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【か】
- 環境(かんきょう)K
『一般には、ある主体に対する、そのまわり。生物学では主体は細胞、個体、個体群、群集などさまざまなレベルで設定することができ、生物的環境、非生物的環境などとも区別される。とくに個体レベルで設定される環境については、個体を取り巻く外部環境と、個体の体内の内部環境とが区別される。』
環境(environment)(A)
『語源は仏語のmilieuに由来し、もともとは「中心を取り囲むもの」という意味。一般には、人間の生命や生活を取り巻き、その基盤をなすすべての要素と条件をさす。人間の活動領域の発展とともに空間的・時間的な広がりを持ち、自然的環境、社会的環境の双方を含む。』
⇒河村(1988)による
⇒宮本(1989)による
⇒高橋・石田(1993)による
⇒飯島(2000)による
- 環境アセスメント(environmental impact
assessment)A
『開発事業などの実施に際し、それが環境へ及ぼす影響を事前に調査・予測・評価すること。環境影響評価とも。日本では、環境基本法(1993)にアセスメント条項(20条)があるものの、独自のアセスメント法はない。これまでは1972年の閣議了解、84年の閣議決定に基づいて実務上実施。内容面では、アセスメントの対象事業の範囲が狭いこと、代替案の欠如、住民参加や情報公開の不十分さなどの問題点が指摘されている。一部の地方自治体ではアセスメント条例があり、国より内容的に改善されているものがある。〔中井勝巳〕』
環境アセスメント(environmental impact assessment)(A)
『環境影響評価ともいう。開発事業などを実施する前に、その事業が環境に及ぼす影響を調査・予測・評価、その結果に基づいて事業の内容を見直したり、環境保全対策を立案したりする制度。アメリカのNEPA(1969年制定)により初めて制度化され世界に広まった。日本でも97年にようやく法制化された。』
→『環境アセスメントとは』のページを参照。
- 環境汚染(environmental pollution)(A)
『特定の物質または複数の物質(汚染物質)が、現在世代または将来世代の人間生活になんらかの形で被害をもたらす程度以上に環境中に広がること。汚染される環境媒体を基準にすれば、大気汚染、水質汚染、土壌汚染等々、汚染物質を基準にすれば、水銀汚染、カドミウム汚染等々、汚染規模を基準にすれば、局地的汚染、広域的汚染、地球的汚染等々に分類される。』
- 環境会計(environmental accounting)(A)
『市場経済の枠外にあった環境コストを企業に取り入れる会計情報を測定し、その結果を利害関係者に伝達する会計をいう。企業には外部環境問題と内部環境問題があるが、世界規模的な環境悪化問題に対処することが重視され、公害会計、社会責任会計、社会関連会計から地球環境の保全と管理に必要な環境会計、環境監査へと会計は変化している。』
- 環境科学
⇒河村(1988)による
- 環境学
⇒高橋・石田(1993)による
- 環境監査(environmental audit)(A)
『企業の環境管理システムが所期の目的どおり働いているか否かを監査すること。資格を持った認証機関による外部監査と内部監査がある。このほか土地を購入する際に汚染の有無を調査するための監査の意に使われる場合もある。』
- 環境勘定(environmental accounting)(A)
『環境の状況とその変化ならびに環境と経済との相互作用をシステムとして包括的かつ整合的に記録、加工、伝達するための方法とその形式。おもに3つのアプローチがある。第1は物量表示による自然資源勘定。第2はSNAとリンクした貨幣表示によるサテライト勘定。この代表例は環境・経済統合勘定(SEEA)。第3は環境サービスと環境被害に焦点を当てた福祉指向型のアプローチ。』
- 環境基準(environmental quality
standards)A
『人の健康を保護し、生活環境を保全するうえで維持されることが望ましい基準のこと。環境基本法16条は、国に大気汚染・水質汚濁・土壌汚染および騒音に関して、環境基準を定めることを義務づけている。この基準達成のため、公害排出企業等に対して環境汚染物質のCO2、NO2、一部の重金属や有機塩素系溶剤等の排出基準が定められ、総量規制が行われる場合もある。環境基準は行政上の目標であり、排出基準のように、直接に企業や個人を規制するものではない。〔中井勝巳〕』
環境基準(ambient standard)(A)
『環境中の有害物質濃度等に関する行政基準。汚染等排出・発生源を規制する排出(規制)基準とは異なる。日本では環境基本法(同法制定前は公害対策基本法)により「維持されることが望ましい」行政上の目標基準とされ、大気汚染、水質汚濁、騒音等について設定されている。』
- 環境基本法(The Basic Environment
Law、Basic Law Environmental Pollution Control)A
『1993年制定。国の環境保全に関する施策を総合的・計画的に推進するための法律。これまで、公害対策基本法(1967年制定、1993年廃止)が環境保全の基本法としてあったが、地球サミット(1992)以降、地球環境問題(地球温暖化・オゾン層破壊など)に対処するために、新たな基本法の制定が必要となっていた。本法は公害対策基本法を継承し、従来の公害規制に加えて、環境保全(環境への負荷活動の低減を含む)の指針、環境基本計画・環境基準の制定、地球環境保全のための国際協力なども明記し、地球環境の保全を意図。〔中井勝巳〕』
環境基本法(Environmental Basic Law)(A)
『都市・生活型公害や地球規模の環境問題に対応するために公害対策基本法と自然環境保全法を見なおす形で1993年に成立。@基本理念として環境負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築、A環境基本法制の根幹に、法定計画としての環境基本計画を位置づけたこと、B国の施策の策定・実施に当たって環境配慮が義務づけられたこと、C伝統的な規制手法とは異なるいわゆる経済的措置の導入の可能性が明定されたこと、D地球環境保全等に関する国際協力のための規定がおかれたことが特色。』
→『環境基本法・環境基本計画とは』のページを参照。
- 環境権(environmental right)(A)
『環境を破壊から守るために、よい環境を享受しうる権利をいう。1970年「公害国際シンポジウム」で初めて提唱された。みだりに環境を汚染し、住民の快適な生活を妨げ、あるいは妨げようとしている者に対しては、この権利に基づいて、妨害の排除、または予防を請求しうるものとされているが、判例は、環境権を私権として認めていない。』
- 環境資源(environmental resources)(A)
『自然環境は人間にとって有用な財貨(水や鉱物といった原材料の提供)や各種サービス(廃物の処分機能など)を提供することができる。こうした財貨・サービスを継時的に提供しうる源泉を環境資源または自然資産という。』
- 環境社会学
⇒飯島(1993)による
⇒飯島(2001)による
⇒(調査と方法)小松(2001)による
⇒(調査と方法)寺口(2001)による
- 環境税(environmental tax)(A)
『地球環境保全のため、温暖化等の悪影響を及ぼす物質の排出に課税し、これを抑制するとともに、税収の確保を図る経済手段。地球温暖化の最大原因と考えられる二酸化炭素(CO2)の排出量を基準とする炭素税の形が普通で、熱量換算(BTU等)するエネルギー税の形もある。』
- 環境ホルモン
⇒筏(1998)による
- 環境問題(environmental problem)(A)
『環境に関わる一連の問題の総称。内容的に分類すれば、@環境汚染をめぐる問題(汚染問題)、A自然保護をめぐる問題(自然問題)、Bアメニティ保全をめぐる問題(アメニティ問題)に大別されるが、これらは相互に密接な関連性を持っている。』
⇒河村(1988)による
⇒宮本(1989)による
⇒高橋・石田(1993)による
⇒飯島(2000)による
- 環境リスク
⇒中西(1995)による
⇒中西(1998)による
⇒兜(2000)による
- 環境倫理(environmental ethics)(A)
『環境に対する社会規範のあり方を次の3つの視点から考えること。@人間だけではなく、生物の種、生態系、景観などにも生存の権利があるので、勝手にそれを否定してはならない、A現在世代は、未来世代の生存可能性に対して責任がある、B地球の生態系は開いた宇宙ではなくて閉じた世界である。』
- 環境倫理学
⇒加藤(1991)による
【き】
- 気候変動に関する政府間パネル(IPCC; Intergovernmental
Panel on Climate Change)(A)
『気象変動についての科学的知見を評価する政府間機構のこと。1988年WMO(世界気象機関)とUNEP(国連環境計画)によって承認され、気象変動に関する科学的知見、社会への影響、対応策をまとめ報告する役割を担う。3作業部会からなり、@気象変動についての科学的知見、A影響と対応策、B社会経済的側面の影響評価をそれぞれ分担する。』
【け】
- 限界価値生産物(marginal-value
product)(A)
『ある生産要素の限界生産物に、その要素が使用されている部門の生産物の価値を乗じたもの。生産要素市場で完全競争が支配するなら、与えられた要素価格にその要素の限界価値生産物が等しくなる点で要素需要量が決まる。限界収入生産物は限界生産物に限界収入を乗じたものと定義されるから、生産物市場が完全競争的であり、その結果生産物の価格と限界収入とが等しければ、限界価値生産物と限界収入生産物とは等しくなる。』
- 限界生産物(marginal products)(A)
『他の生産要素の使用量を不変とし、ある生産要素の使用量を1単位増加させたときに得られる生産物の増加分を、その生産要素の限界生産物という。限界価値生産物と異なり、純粋に技術上の概念である。』
【こ】
- 公害(environmental pollution)F
『公害対策基本法によれば、「公害とは事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気汚染、水質汚濁(水質以外の水の状態または水底の底質が悪化することを含む)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の採掘によるものを除く)および悪臭によって、人の健康または生活環境に係わる被害が生ずることをいう。」と定義されている。』
公害(pollution damage)(A)
『もともと日本の戦前の法律で「公利」の反対語として使われていたが、戦後はイギリス法の「パブリック・ニューサンス」(公的生活妨害)の邦訳語として用いられた。その後、1960年代以降、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音・振動、悪臭など、主として環境汚染に伴う各種の被害(汚染被害)を総称する言葉となっている。』
→『公害とは』のページを参照。
⇒(公害の定義)宮本(1989)による
⇒(四大公害)植田(1996)による
- 光化学スモッグ(photochemical smog)F
『化石燃料の燃焼(とくに自動車のガソリンエンジン)による排気ガス中の窒素酸化物NOx、炭化水素が、強い太陽の紫外線に当たって光化学反応を起こし、大量の過酸化物、オキシダントが発生する現象をいい、オキシダント濃度が1時間平均0.12ppm以上になると“光化学オキシダント注意報”が発令され、0.24ppm以上で“光化学オキシダント警報”が発令される。夏の日ざしが強くて風の弱い日にとくに発生しやすく、大気が白っぽくどんより濁った感じになり、目や喉に刺激を与え、ひどいときには意識不明などの健康被害を及ぼす。健康被害の主因はオキシダントで、この他アクロレイン、硫酸ミスト、硝酸メチル、シアン化水素などである。』
- 光合成(photosynthesis)F
『光化学反応の一種で、光の作用によって有機化合物が合成されることをいう。光合成でもっとも重要なのは緑色植物の炭素同化作用である。すなわち、高等植物、藻類、光合成細菌が行っている太陽光エネルギーによる炭素同化の生物過程をいい、生物における無機物から有機物を合成する独立栄養の一形式である。樹木や植物は葉緑素(クロロフィル)を生体触媒(仲介役)として、太陽光線により光合成するものであり、大量の太陽エネルギーを有機物の形で蓄えられるのである。地球上では光合成により年間、炭素として5×1010t、有機物として12.5×1010tの物質が生合成されている。』
- 購買力平価(purchasing power parity;PPP)(A)
『一種の物価指数である。通常の物価指数が2つあるいはそれ以上の時点の財・サービスの価格を比較するのに対して、2つあるいはそれ以上の国の財・サービスの価格を比較する。ドル/円のように為替レートと同じ単位を持つ。一般に通貨の対内購買力は、物価指数の逆数として捉えられるから、購買力平価は、対内購買力の比率、すなわち、日本で1円でどれだけの財・サービスが買え、アメリカで1ドルでそれだけ買えるかの比率。このような「絶対版」の購買力平価に対して、基準時点を定め、そこから各国の物価の動きを比較することによって「相対版」の購買力平価を計算することもある。なお、購買力平価を為替レートで割ったものを物価水準あるいは内外価格差と呼ぶ。』
- 黒液(black liquor)F
『パルプ工場で木片(チップ)を薬液で蒸煮して、非繊維物質を溶かし洗浄するときにできる廃液を黒液といい、高発熱量500〜800kcal/kg(2100〜3350kJ/kg)である。これを廃水として排出すると、BODが1リットル当たり35000〜40000mg(通常の下水で約200mg)となり、処理にばく大な経費を要する。このため黒液を減圧加熱して濃縮し燃料として用い、パルプ工場では全使用エネルギーの約28%を黒液で賄われている。黒液は黒液専燃の黒液燃焼ボイラの燃料とするのが一般的である。』
- 国内総生産(gross domestic product;GDP)(A)
『経済全体の総産出額から、二重計算を避けるために、原材料その他の中間投入物の価値額を引いたもの。したがって、居住者である生産者すなわち国内に所在する企業、政府および対家計民間非営利団体の創り出した付加価値の総計である。SNAで採用されている集計生産物概念で、生産、支出、分配の3面から測定可能であるが、支出面から測定したものを特に国内総支出と呼ぶことがある。』
- 国民総所得(gross national income;
GNI)(A)
『各制度部門の第1次所得バランスを総計した集計量。GNIは、国民総生産(GDP)から非居住者単位への第1次所得の支払分を控除し、非居住者単位からの受取分を加算したものに等しい。従来の国民総生産(GNP)と同じものであるが、概念的にはGNPが生産物の測度であるのに対し、SNA(1993年)におけるGNIは所得の測度である。』
- 国民総生産(gross national product;GNP)(A)
『国民概念に基づく集計生産物概念であり、国内総生産に海外からの要素所得を加え、海外への要素所得を控除したもの。SNAでは、生産に関して国内概念が採用されているため、日本の国民勘定統計ではフローの統合勘定の欄外項目の扱いとなっている。』
- 国連環境計画(UNEP; United Nations
Environment Programme)(A)
『1972年6月のストックホルム(国連人間環境)会議によって、環境の保護および改善のための国連における恒久的な制度が緊急に必要であると認識された。UNEPは、これをうけ同年12月5日に国連総会で設立決議がなされた機関である。本部はケニアのナイロビに設置されている。』
- 国連人間環境会議(United Nations Conference
on the Human Environment)(A)
『1972年にスウェーデンで開かれた会議。「かけがえのない地球」を美しく保つため各国の協力が呼びかけられた。参加国114、参加人員1200人を超え、日本からもカネミ油症や水俣病の患者たちが参加してアピールした。この会議で「国連人間環境宣言」が採択された。76年には居住環境をテーマとするハビタット会議、82年にはナイロビ環境会議も行われた。』
- ごみ(refuse)F
『ごみは人間生活の場より排出され、利用価値の少ない固形物で「社会通念上、占有者が生活環境に支障ありと認め、占有の意思を放棄して投棄した固形物」と定義付けられている。法律上(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)ごみは廃棄物とされ、表24(a)(略)に示すように一般廃棄物と産業廃棄物に分けられ、その処理の責務は一般廃棄物は市町村(地方自治体)、産業廃棄物は事業者となっている。一般に、ごみは厨芥、雑芥、混合芥に分類され、特殊なものとして粗大ごみ、工業ごみ、道路清掃ごみなどがあり、さらに同表の(b)(略)に示すように家庭ごみ、都市ごみ、業態ごみなどにも分けられる。また、焼却処理面からは可燃性ごみ、不燃性ごみに、堆肥化処理面からは有機質ごみ、無機質ごみに区別できる。いずれにしてもごみは大きなエネルギー源、資源といえるので、有効利用がはかられている。』
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