あ |
ISO14001 |
国際標準化機構(ISO:International Organization for Standardization)が発行している環境マネジメントシステムの規格。ISOは国際的な非政府組織(民間機関)であり、製品及びサービスの国際貿易を容易にし、知的・科学的・技術的・経済的活動分野における国際間の協力を助長するために、世界的な標準化とその関連活動の発展開発を図ることを目的としている。
ISO14001の基本的な構造は、PDCAサイクルと呼ばれ、@方針・計画(Plan)、A実施(Do)、B点検(Check)、C是正・見直し(Act)というプロセスを繰り返すことにより、環境マネジメントのレベルを継続的に改善していくものである。 |
A |
アセス逃れ |
事業者が、実施しようとする事業が環境アセスメントの対象行為になるのを嫌い、環境アセスメントの実施を避けようとする方策を、業界内で一般的にこう呼んでいる。
事業計画を分割して、ひとつひとつの計画規模をアセス対象事業より小さくすることなどが代表的な例。また、環境影響評価法(1997)に基づいて、アセス対象事業となるかどうかを判断するスクリーニング段階において、規模要件で自動的に決まる第一種事業より規模が小さく、個別のケースごとに検討されることになる第二種事業にあたるかどうかで、事業者と環境部局の攻防が繰り広げられることもある。 |
B |
アセス法アセス |
環境影響評価法(1997)の手続に基づいて実施される環境アセスメントの略称、通称。
これに対して、1999年の同法全面施行以前に、閣議決定(1984)に基づいて実施されてきた環境アセスメントは、「閣議アセス」としばしば呼ばれる。
同法は施行後、まだ年月が浅いこともあり、このような通称が用いられているが、やがてこういった過渡的な通称は使用されなくなっていくと思われる。 |
B |
アワスメント |
形式上は環境アセスメントを実施するものの、その結果「環境に及ぼす影響は軽微である」と、事業計画を追認するにすぎないような環境アセスメント制度を「役に立たないもの」として憤慨、または揶揄するとき等につかう俗語、隠語。計画に評価を「合わす」とアセスメントの語呂合わせによる造語。
日本では、事業計画立案時に環境部局と非公式に協議がされ、必要があればその時点で縮小や計画変更を行う等しており、調整を経てはじめてアセスメント手続きに入ることが一般的であることもあって、アワスメント的な環境アセスメントになるのはやむをえないとの指摘もされる。 |
B |
影響要因 |
環境影響を与える側としての行為を影響要因という。
環境影響評価法に基づく基本的事項においては、影響要因は、事業としての土地又は工作物が完成するまでの工事と、工事完了後の土地又は工作物の存在・供用の2つに区分され、それぞれにおいて環境に影響を及ぼし得る要因を細区分として抽出できるようになっている。 |
A |
横断条項 |
環境影響評価法の対象となる事業は、国などの許認可を受けたり、国の補助金等を受けて行う事業か、国が自ら行う事業であり、事業を行ってよいかどうかを行政が最終的に決定できる。しかし、事業に関する法律(道路法、鉄道事業法など)に基づく許認可や補助金の交付に当たっては、事業が環境の保全に適正に配慮しているか否かについて審査されない場合がある。そこで、環境影響評価法では、環境に配慮していない場合は許認可や補助金等の交付をしないようにする規定を設けている。これを横断条項と呼んでいる。 |
A |
環境アセスメント結果を他法令の許認可に反映させるための「環境影響評価法」上の仕組み。
「環境影響評価法」が対象とする事業は、国が行う事業か、国の補助や許認可によって自治体等が行う大規模な事業であるが、事業に関する個別の法律(道路法、河川法等)は、環境保全への配慮を許認可の必須要件としない。そこで、環境保全の見地から、意見の多様性を反映させることを趣旨として、当該事業に関して主務大臣が許認可を行うに際し、環境アセスメントにおける環境省大臣意見を許認可に反映させることを定めた条項を、いわゆる横断条項と呼ぶ。
現アセス法においては、環境省大臣は意見が必要と思ったときにはいつでも意見を出せるようになった。米国、NEPA(国家環境政策法)におけるCEQ(環境諮問委員会)の勧告権と似た役割を果たすが、行政機構が異なるため、一概に単純比較はできない。 |
B |
か |
閣議アセス |
1983(昭和58)年に廃案となった環境影響評価法案に基づき、政府内部の申し合わせにより統一的なルールを設けることとなり、1984(昭和59)年に閣議決定されたもの。 |
A |
国レベルの大規模事業を対象とする環境アセスメントの実施が1984年に閣議決定され、環境アセスメントの要綱「環境影響評価の実施について」が作成された。これに基づく環境アセスメントを、通称、閣議アセスと呼ぶ。閣議アセスに基づく環境アセスメントは、「環境影響評価法」が全面施行された1999年6月まで実施され、案件は448件に及んだ。
環境アセスメントの法制化作業は、1972年「各種公共事業に係る環境保全対策について」の閣議了解が行われた頃に始まる。しかし産業界や政府部内の反対の前に法制化は難航し、1981年になりようやく国会提出がなされたものの、審議は終了せず、1983年までに継続審議として検討されたが、審議未了のまま、ついに環境庁(当時)は法制化を断念、廃案となった。閣議アセスはそれに代わって制度化されたものであるが、1999年に「環境影響評価法」が施行されたことに伴い廃止された(1999年)。 |
B |
簡易アセスメント【米国】(Environmental Assessment、EA) |
米国の環境アセスメント法制であるNEPA(国家環境政策法)に基づいて、本格的なEIS(評価書)作成の必要性を判断するために実施される、前置的な簡易アセスメントのこと。
米国においては、連邦政府の関与するあらゆる行為(事業、計画、政策、法案、資金援助等)が環境アセスメントの対象行為となるため、予備的に文書にして10ページ程のEA(簡易アセスメント)が行われ、EISの作成の要否がスクリーニングされる。 |
B |
環境アセスメント制度 |
環境アセスメントの実施を義務付けている各種の制度(法律、条例、要綱、など)のこと。
制度の内容は、国や自治体など制度を作る主体により異なる。また、時代により変遷することが多い。
日本のアセス制度は、1972年「各種公共事業に係る環境保全対策について」の閣議了解により始まり、1984年に閣議決定された、いわゆる「閣議アセス」を経て、1999年に施行された「環境アセス法」へと変わった。
また、都道府県レベルでも「アセス要項」から「アセス条例」に変わる例が多いなど、環境アセスメントの制度は、時代の要請に応じて変遷している。 |
B |
環境影響評価 |
環境アセスメントともいう。また、英語ではEnvironmental Impact Assessmentであり、EIAという略称も広く使用される。
環境に大きな影響を及ぼすおそれがある事業について、その事業の実施に当たり、あらかじめその事業の環境への影響を調査、予測、評価し、その結果に基づき、その事業について適正な環境配慮を行うこと。わが国においては、環境影響評価法等に基づき、道路やダム、鉄道、発電所などを対象にして、地域住民や専門家や環境担当行政機関が関与しつつ手続が実施されている。 |
A |
道路、ダム事業など、環境に著しい影響を及ぼす恐れのある行為について、事前に環境への影響を十分調査、予測、評価して、その結果を公表して地域住民等の関係者の意見を聞き、環境配慮を行う手続の総称。
1969年にアメリカにおいて法制化されたNEPA(国家環境政策法)に環境アセスメントの沿革が求められ、環境配慮のための民主的意思決定、科学的判断形成方法として考案されたのが、もともとの意味での環境アセスメントである。米国においては複数の代替案から最適案を選出する手続が最大の特徴になっているが、わが国の環境アセスメントにおいては代替案の比較検討を必須要件とせず、環境基準等の環境保全目標をクリアしているか、環境影響を低減させるための最大の努力を図ったかで評価することとしている。しかし、評価手法、評価手続の客観性の確保、環境アセスメントの結果そのものの拘束力の確保など、課題が残されており、より早期にアセスメントを行う戦略的環境アセスメントの導入の必要性が指摘されている。 |
B |
空港や道路の建設、大規模な宅地開発など環境に著しい影響を及ぼすおそれがある事業を行おうとする時に、事業者が開発事業の内容を決めるにあたって、自ら周辺の環境の状況を調査し、事業を実施した場合、環境にどのような影響を与えるかに関して調査・予測及び評価を行って、その結果を住民に公表し、意見を聴き、より適正な環境への配慮を確保するための手続(制度)のこと。アセスメントとは「評価、査定」という意味で、日本語では「環境影響評価」と呼ばれる。近年、事業計画が固まった段階で行うものよりさらに早期の政策・計画・プログラム段階で実施する「戦略的環境アセスメント(SEA)」を導入する取り組みが始まっている。 |
C |
環境影響評価指令【EU】(Council Directive of 27 June 1985
on the Assessment of the Effects of Certain Public and Private
Pro) |
1985年に採択されたEUの指令。1997年に改正(97/11/EC)。事業の許可の前にその事業の環境に対する影響を特定し、これを評価する環境影響アセスメントの手順を定めている。一般市民の意見及び環境関連機関との協議等、すべての評価結果が事業の認可手続きで権限を持つ機関により考慮される。影響が他国に及ぶ場合は、その国に情報を提供する。
この手続が必要な事業は本指令で定めるものと加盟国が定めるものの2種類があるが、企業の設備設置から公共事業まで広範囲の活動に適用される。1997年改正では、どの事業をアセスメントの対象にするか(スクリーニング)、どの項目を重点的に調査するか(スコーピング)を扱うことが導入された。2001年から施行されているSEA指令(2001/42/EC)では、環境に著しい影響を与える特定の計画及びプログラムを採択するのに先立ち、これらの計画やプログラムを担当する当局は、環境影響アセスメントを実施し、関係機関や公衆、場合によっては他加盟国と協議することとされている。 |
B |
環境影響評価準備書
準備書(Draft Environmental Impact Statement) |
準備書ともいう。地方公共団体の条例では、環境影響評価書案の名称も使われる。
環境影響評価の結果について環境の保全の見地からの意見を聴くための準備として、調査、予測、評価、環境保全対策の検討を実施した結果等を示し、環境の保全に関する事業者自らの考え方を取りまとめた文書。事業者は準備書を作成して、関係地域を所管する都道府県知事、市町村長に送付する。また、環境保全の見地からの意見を求めるため、準備書を作成したことを公告し、関係する地域内において準備書及びその要約書を縦覧するほか、説明会を開催することが義務付けられている。なお、準備書は内容が詳細で量も多いことから、事業者が準備書の内容を説明する説明会を開催する。 |
A |
環境アセスメント手続きにおいてその方法を記載した方法書により行われるアセスメント調査の報告書のことをいう。米国の環境アセスメント(NEPA:国家環境政策法)におけるDEIS(準備書)にあたる。
調査、縦覧等の手続を準備書手続きと言い、環境アセスメントの手続きの流れにおける準備書作成に関わる手続きを指して、準備書段階と呼んだりする。準備書のあとに、準備書に記載された内容に対する関係者の意見を反映して作成される最終報告書を評価書と呼ぶ。 |
B |
環境影響評価書
評価書(Final Environmental Impact Statement) |
評価書ともいう。
環境影響評価準備書について都道府県知事や一般から述べられた意見等を踏まえ、環境影響評価準備書の記載事項について再検討を加え、必要に応じて見直した上で、準備書に対し述べられた意見と、それらに対する事業者の見解を、準備書の記載事項に追加して記載した文書。環境影響評価法に基づく手続では、事業者は評価書を作成して、事業の許認可等を行う者に送付し、許認可等を行う者は環境大臣に送付する。環境大臣は環境保全の見地からの意見を述べ、許認可等を行う者は環境大臣の意見を踏まえて事業者に意見を述べる。事業者は意見の内容を検討し、必要に応じて見直した上で、最終的に評価書を確定し、都道府県知事、市町村長、事業の許認可等を行う者に送付するとともに、公告・縦覧を行う。 |
A |
評価書案の公告、縦覧後、住民等の意見を取り入れ、最終的に環境アセスメントの結果を記した文書。
文書形式におけるアセスメント手続では、「方法書→準備書(評価書案)→評価書」という流れを基本的な柱とし、事業者と住民の間で、各段階に設けられた公聴会と説明会をふまえた「意見書(住民→事業者)」、「見解書(事業者→住民)」の文書によるやりとりでコミュニケーションが図られる。評価書は、アセスメントの手続の最終段階で作成されるものであり、評価書の内容に従って事業の許認可がなされるので、特に慎重を期すべきものである。 |
B |
評価書【米国】(Environmental Impact Statement、EIS) |
米国における環境アセスメントにおいて、環境影響評価書を総称してEISと呼ぶ。
DEIS(準備書)とFEIS(最終評価書)を合わせてEISと呼ぶが、NEPA(国家環境政策法)では合理的な意思形成を実現するために、徹底した文書主義を採用している。行われたアセスメントの結果は、EISとしてすべてEPA(環境保護庁)にファイルされている。 |
B |
環境影響評価審査会
(環境影響評価審議会) |
地方公共団体が定める条例等により規定されている、環境影響評価、事後調査等の調査審議を行うことを目的として設置される学識経験者を中心とした委員会。地方公共団体の長の諮問に応じ、専門家としての立場から、環境影響評価方法書、環境影響評価準備書等に対して調査審議を行い、意見を具申する。 |
A |
環境影響評価法 |
アセス法ともいう。
規模が大きく環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある事業について、環境影響評価が適切かつ円滑に行われるための手続等を定め、その結果を事業に係る環境保全措置や事業内容に関する決定に反映させるための措置等をとることにより、事業において環境保全について適正な配慮がなされることを確保することを目的とする法律。 |
A |
各種の開発事業に対して行われる環境アセスメントの手続を定めた法律。一般に「アセス法」と略称される。1997年に成立、1999年に施行された。
本法施行以前は、いわゆる閣議アセスが行われていた。閣議アセスからの変更点としては、対象事業の拡大、アセス結果に対する環境省意見の許認可への反映を謳った横断条項の設置、住民意見の提出機会の増加、スクリーニング、スコーピング手法の導入、生物多様性や住民の自然との触れ合いに及ぼす影響も調査内容に加えること、環境影響の低減に最大限の努力をしたかどうかを評価の判断材料に加えること、などがあり、意思決定段階における環境配慮が大幅に強化された。しかし、本法によって行われる環境アセスメントは、事業実施段階におけるものであり、もっと早期に行う計画アセスや戦略的環境アセスメントの必要性が指摘されている。 |
B |
環境影響評価法【ドイツ】 |
EU環境影響評価指令(1985)を実施するドイツ国内法として1990年に制定されたもの。1997年のEU第2次環境影響評価指令を反映させるため、2001年に改正されている。
評価対象は、産業施設等の設置のほか、高速道路建設、森林伐採、大規模ホテル建設等、別表に列挙された事業計画である。各事業の所管行政庁は、許認可・計画決定等に先立って、スクリーニング、スコーピング、事業者による関係資料の提出、関係行政庁・利害関係人・公衆の参加を経て、環境影響の包括的評価を行う。この環境影響評価は、個別の許認可・計画決定を行うにあたって考慮される。 |
B |
環境影響評価方法書 |
方法書ともいう。地方公共団体の条例では、調査計画書、実施計画書等の名称も使われる。
事業が環境に及ぼす影響は、事業が行われる地域によって異なるため、環境影響評価も地域に応じて行う必要がある。環境影響評価の方法を決めるに当たり、住民、地方公共団体などの意見を聴くために事業者が作成する文書。方法書においては、どのような点に着目して環境影響評価を行うか(環境影響評価の項目)という点について事業者の考え方を明らかにすることを必須の事項とし、具体的にどのような手法で調査、予測、評価を行うかという点については、事業者がすでに案を決定している場合に記載されることとなる。 |
A |
環境諮問委員会【米国】(Council on Environmental Quality、CEQ) |
米国における、大統領府直属の環境諮問委員会のこと。すなわち、大統領に直接、専門的、省庁横断的見地から行政的意見のサポートを行うことを目的とする、公的な諮問機関である。
日 本では大統領制を採用していないため、これに該当する機関はない。CEQは、大統領に勧告、行政機関には助言と勧告の権限のみを持つ。しかし、権限は少ないながらも、内閣(国防省、国務省等)、独立行政機関(CIA、NASA、EPA)よりも大統領直属として各省庁より行政レベルが上に位置づけられており、その発言力は無視できない。EPA(環境保護庁)、および他省庁は、重要な問題を抱える案件の場合、CEQに申し立てることができる。日本でのアセス法における横断条項での環境大臣勧告等と似ているが、行政機構が違うため、一概に単純比較はできない。 |
B |
環境大臣の意見(環境影響評価法の) |
環境影響評価法においては、事業計画の熟度に応じて適切な意見提出を行うため、環境大臣は計画段階環境配慮書、環境影響評価書及び環境影響評価報告書に対し意見を提出でき、また環境影響評価項目等の選定段階においても、意見提出することができる。 |
A |
環境要素(環境影響評価における) |
環境影響評価の評価対象のうち、環境影響を受ける要素を環境要素という。
環境影響評価項目を選定する際の区分として示されているものであり、環境の自然的構成要素の良好な状態の保持(大気環境、水環境、土壌環境、その他の環境)、生物の多様性の確保及び自然環境の体系的保全(植物、動物、生態系)、人と自然との豊かな触れ合い(景観、人と自然との触れ合いの活動の場)、及び環境への負荷(廃棄物等、温室効果ガス等)の4分野について環境要素を設定している。 |
A |
技術指針 |
環境影響評価項目の選定、調査や予測、環境保全措置の検討、評価の実施その他の環境影響評価に関する技術的事項についてとりまとめたもの。環境影響評価法に基づく環境影響評価では、事業種ごとに主務省令で定められる。 |
A |
基本的事項 |
環境影響評価法での対象事業は、事業種ごとに諸元や立地条件等が異なっているため、実際に環境影響評価を行うに際しての具体的な内容に関する基準や指針は、事業種ごとに主務大臣が定める主務省令により規定するとされているが、それらの基準・指針が、一定の水準を保ちつつ適切な内容が定められるよう、全ての事業種に共通する基本となるべき考え方が環境大臣により、基本的事項(正式名称「環境影響評価法第4条第9項の規定による主務大臣及び国土交通大臣が定めるべき基準並びに同法第11条第3項及び第12条第2項の規定による主務大臣が定めるべき指針に関する基本的事項」)として示されている。 |
A |
計画アセスメント |
事業実施より前の上位計画の策定段階における環境影響評価のこと。戦略的環境アセスメント(SEA)の一つ。一般に、事業の計画が実施計画の段階に至るまでには基本計画が策定され、事業の実施方針や整備計画が策定されたうえで具体的な事業の実施計画がつくられる。 |
A |
事業の構想・計画段階で行う環境アセスメントのことで、事業実施段階で行われる事業アセスメントと対比して用いられる概念。実際には両者の厳密な線引きは難しい。
事業の基本的な諸元が確定する以前のかなりの自由度をもって代替案との比較検討を行える段階での環境アセスメントを指すことが多い。今日では計画アセスメントよりは事業計画以前の政策段階までも含めた戦略的環境アセスメントという概念を用いることが一般的である。 |
B |
計画段階環境配慮書 |
2011(平成23)年4月の環境影響評価法改正により、事業の早期段階における環境配慮を図るため、第一種事業を実施しようとする者は、事業の位置、規模等を選定するにあたり環境の保全のために配慮すべき事項について検討を行い、計画段階環境配慮書を作成し、送付等を行うことが義務付けられている。 |
A |
環境影響評価法(環境アセスメント法)で定められている手続きのなかに出てくる図書(文書)の1つ。第1種事業を実施しようとする者は、事業の位置・規模等の検討段階で、環境保全のために適正な配慮をしなければならない事項について検討を行うこと、また、その結果をまとめた計画段階環境配慮書を作成することが義務付けられている。(法第3条の2、第3条の3)計画段階環境配慮書が「配慮書」と略称されている。この配慮書には、(1)事業を実施しようとする者の氏名と住所、(2)事業の目的及び内容、(3)事業実施想定区域及びその周囲の概況、(4)計画段階配慮事項ごとに調査、予測及び評価の結果をとりまとめたもの、(5)その他環境省令で定める事項を記載すべきことが規定されている。配慮書は、作成の後主務大臣に提出されるとともに公表され、これに対する主務大臣、環境大臣、都道府県知事、国民等からの意見は、事業者の計画策定に反映されることとなっている。
事業の枠組みが既に決定された後の環境アセスメントでは、事業者の対応が困難となる場合があったことから、2011年の法改正で新たに盛込まれた手続きであり、いわゆる戦略的環境アセスメントの一部と位置づけられる。なお、第2種事業の実施者は、義務付けではなく、任意に実施することとなっている。 |
B |
公告 |
法律等に基づき特定の事項を広く一般に知らせることをいう。
環境影響評価法では、環境影響評価方法書、準備書、評価書を公表することを公告という。 |
A |
公衆参加(環境影響評価の)
住民参加(Residents Participation ) |
環境影響評価手続は、事業を行う者が、住民や市町村、都道府県など多くの主体の意見を踏まえ、事業計画をより環境に配慮したものとしていく手続である。環境影響評価に関する情報は、関係主体に伝えられ、関係主体の意見が事業や計画に反映されなければならない。環境影響評価法では、より広範の主体から意見を聴取するため、意見提出者を関係地域の住民に限定していないが、関係主体の中心は、環境影響を受ける地域住民である。環境影響評価のプロセスが進行する過程で作成される文書(配慮書、方法書、準備書)は、その都度、住民等の関係主体に対して公告・縦覧が行なわれ、環境保全の見地からの意見は、各文書ごとに意見書として提出することができる。事業者は、これらの意見を踏まえて事業計画の修正を行うシステムとなっている。 |
A |
行政が事業計画を策定・実施し、議会がチェック機構としての役割を果たすという間接民主主義では、地域住民の意向を十分に反映してないとの批判を背景に、事業によって直接・間接的に影響を受ける利害関係者である住民の直接的な意見を取り入れること、またはそのための制度をさしていう。計画過程の透明性や公正さの確保が求められ、ワークショップやPI(Public
Involvement)などの手法が取り入れられている。
環境アセスメントでは、手続上、住民意見をどの程度反映させるか、どの時点で情報開示を行うのが適当かが問題になる。閣議アセスの時代には、事業計画の環境影響は、アセスメントの実施後にその結果が公表され、住民による意見反映は実質不可能に等しかった。しかし、現行のアセス法(1997)の制定以降、スコーピング(方法書手続)の段階で事業計画の公表、意見の公聴が明文化され、事業計画への住民意見を反映する制度的な仕組みは、かなり門戸が広がった。しかし、環境情報の偏在、専門性、住民の行政参加の態様、情報開示におけるレスポンシビリティー、アカウンタビリティーなど、まだまだ問題は多いとの指摘もある。 |
B |
公聴会(環境影響評価手続における) |
地方公共団体の環境影響評価に関する条例等の中には、首長が、環境影響評価準備書等に対する関係住民等の意見を聴く機会を設けることができるとする規定を有するものがある。この会を、公聴会という。 |
A |
国家環境政策法【米国】(National Environmental Policy Act、NEPA) |
世界に先駆けて成立した米国の環境アセスメント制度。1969年にNEPAが連邦議会を通過した。NEPAは、連邦政府の関わるあらゆるレベルの行為(政策、計画、事業等)に対して、必要な場合、環境アセスメントを行うことを義務付け、連邦政府の環境保全の役割、責任を法的に明らかにしている。
NEPAの成立は、その後、米国では州レベルでの環境アセスメントの制度化の契機となり、また、世界中の国々の環境アセスメントの制度導入を促した。制度の内容、運用面においても、欧州、日本を含んだアジア諸国等の環境アセスメント制度の原型となっている。この制度の手続きは、「CA判定」→「EA手続」→「EIS作成手続」と三段階ある。 |
B |
さ |
最終評価書【米国】(Final EIS 、FEIS) |
米国のNEPA(国家環境政策法)に基づく環境アセスメントの、最終的な環境影響評価書(EIS)のこと。
実施された環境アセスメントの結果は、EISとしてEPA(環境保護庁)に整理して保存される。FEISの作成をもって事業者のアセスメント手続きが終了する。担当政府機関は、FEISの公告縦覧に対して出された住民意見に回答する義務はないが、他の政府機関がこのFEISに不服がある場合は、CEQ(環境諮問委員会)に申し立てを行なうことができる。 |
B |
事業アセスメント |
事業の実施段階における環境影響評価のこと。 |
A |
戦略アセス(戦略的環境アセスメント)と対比して言われる、事業実施段階(Project段階)において行われる環境アセスメント。現在、環境影響評価法において実施されている環境アセスメントを含め、日本において行われている環境アセスメントは、事業アセスメントの範疇に属する。
実際の環境アセスメントにあっては、どこまでが計画・政策段階(戦略アセス)か、どこからが事業実施段階(事業アセス)かを、厳密に区分、定義付けることは難しく、概念的な区分としてこの言葉が利用されていることが多い。 |
B |
事業者アセスメント(Self Assessment) |
事業者自身が行う環境アセスメントのこと。実際には事業者自らではなく、そのほとんどは事業者が専門の民間業者に委託して実施される。
これに対し事業者又は事業者から委託を受けた民間業者等以外の者が行う環境アセスメントを第三者アセスメントと呼ぶが、理論的な可能性があるだけで、現実には経費の問題等からほとんど行われることがなく、日本の環境アセスメントでは、そのほとんどが事業者アセスメントとして行われる。
汚染者負担原則(PPPの原則)との関係、無謀な事業を行わない事業者自身の自己抑制、環境アセスメントの事例の集積による事業者自身の事業合理化、現実性、環境省大臣意見の提出権が確保されているなどの点から採用されたが、第三者アセスメントが公正性、客観性確保の観点から望ましいとの指摘もある。 |
B |
自治体アセスメント |
各地方自治体において、条例や要綱に基づいて行われる環境アセスメントの総称。国レベルの環境アセスメント手続を定めた環境影響評価法の対象事業より小規模な事業を対象にするのが一般的である。
自治体アセスメントは、自治体首長や住民の意向、地域の固有の事情、自治体の政策全般等が反映されやすく、自治体によって内容が異なってくる。開発抑制が必要な大都市部、環境保全志向の強い自治体等では、事業計画が固まる前の段階で環境アセスメントを行う、いわゆる戦略的環境アセスメントの導入が始まりつつある。 |
B |
縦覧 |
環境影響評価手続において作成する図書(環境影響評価方法書、環境影響評価準備書、環境影響評価書など)を、誰にでも見られるようにすること。2011(平成23)年4月の環境影響評価法の改正によって、紙媒体に加え、インターネットにより行うことが義務付けられている。 |
A |
条例アセスメント |
自治体アセスメントのうち、条例による環境アセスメントを、要綱アセスメントと区別して条例アセスメントと呼ぶ。
地方分権改革、条例制定権との関係等、諸々の制約があるが、各自治体は地域の固有事情を反映し、個々、特色ある条例設計の試みが展開されつつある。 |
B |
スクリーニング |
地域の環境特性や事業計画の内容等を踏まえて生じる環境影響の予見を行い、環境影響評価の実施が必要な事業か否かの判断を行うこと。
環境影響評価法では、必ず環境影響評価を行う事業(第1種事業)に準じる大きさの事業(第2種事業)について、スクリーニングを行うこととしている。判定は、その事業の免許等を行う者(例えば道路であれば国土交通大臣、発電所であれば経済産業大臣)が判定基準にしたがって行う。なお、判定に当たっては、地域の状況をよく知っている都道府県知事の意見を聴くことになっている。 |
A |
環境アセスメントの手続きの流れの中でまず始めに行う手続きで、環境アセスメントの対象事業か否かを振り分ける手続きのこと。
例えば、環境影響評価法(1999年)による国レベルでの環境アセスの際には、事業内容と規模等から環境アセスメントを必須とする第一種事業か、さらに判断を加える必要のある第二種事業のいずれに該当するか、もしくは環境アセスメントを必要としない事業かの判定が必要になる。第二種事業の事業規模に該当する場合には、さらに実質的、個別的に諸事情を勘案して、環境アセスメントが必要であるかどうかの判断を下す必要がある。この段階の手続をスクリーニングという。
アセスの要否を判断する日本のスクリーニング手続においては、“アセス逃れ”を減らすための工夫として、対象事業のリストアップという手法が採用されている。米国における環境アセスメント(NEPA)では、日本とはニュアンスを異にするもののCA(適用除外行為)、FONSI(影響微小)が、スクリーニング手続に該当する。 |
B |
スコーピング |
環境影響評価法に基づく手続では、「対象事業に係る環境影響評価(調査、予測、評価)を行う方法」について環境保全の見地からの意見を求めるために環境影響評価方法書を作成する。方法書に対しては、地域の環境情報を補完する観点から意見を有する者、地方公共団体の長(都道府県知事、市町村長)が意見を述べることとされている。方法書の作成から各主体の意見の聴取を経て環境影響評価の項目及び手法の選定にいたるまでの一連の過程を、項目及び手法を「絞り込む」という意味で「スコーピング」という。 |
A |
環境アセスメントにおいて、手法、方法等、評価の枠組みを決める方法書を確定させるための手続き。環境アセスメントの方法を公開し、その手法の公正さを確保することを目的としている。
環境への影響を調査する際、その調査項目の重要度、選定等は、各ケースによって異なり、画一的に論じることができない。そこで、評価書作成に先立って、方法書案を作成、公表し、広く意見を募ることによって、より公正で、案件ごとの個別の事情に適った環境アセスメントの評価枠組みを決定することができる。
日本ではアセス法(1999年)の制定により、この手続きが一連の手続きの中に位置付けられた。 |
B |
生活環境の保全に関する環境基準 |
環境基本法第16条に基づき定められている水質汚濁に係る環境基準のうち、生活環境を保全するうえで維持することが望ましい基準をいう。pH(水素イオン濃度指数:potential
Hydrogen)、BOD(Biochemical Oxygen Demand:生物化学的酸素要求量)、COD(Chemical
Oxygen Demand:化学的酸素要求量)、SS(Suspended Solids:浮遊物質量)、DO(Dissolved
Oxygen:溶存酸素量)、大腸菌群数、ノルマルヘキサン抽出物質(油分など)、全窒素、全燐、全亜鉛について基準値が設定されており、これらを「生活環境項目」と呼ぶ。生活環境項目の基準値は、河川、湖沼、海域の各公共用水域について、水道、水産、工業用水、農業用水、水浴などの利用目的に応じて設けられたいくつかの水域類型ごとに、該当する水域名を指定することにより設定される。全窒素及び全燐の基準は、植物性プランクトンの著しい増殖のおそれのある海域及び湖沼について水域類型を指定して適用される。 |
A |
戦略的環境アセスメント(Strategic Environmental Assessment、SEA、戦略アセス) |
SEA(Strategic Environmental Assessment)ともいう。
個別の事業の計画、実施に枠組みを与えることになる政策や計画の検討段階に環境配慮を組み込むため、これらの策定等の段階において、環境への影響を把握・評価し、環境への配慮が十分に行われることを確保するための手続。 |
A |
事業計画が固まった段階で行う現行の環境アセスメント(いわゆる事業アセス)より早期の、事業実施段階(Project段階)に至るまでの意思形成過程(戦略的な段階)の段階で行う環境アセスメントをいう。戦略的段階とは、一般的に「Policy(政策)>Plan(計画)>Program
(プログラム)」の三つのPの段階を指すと説明されているが、抽象的な概念であり、具体的にはどの段階からが戦略的環境アセスメントと呼びうるか、厳密な定義は難しい。
従前、計画アセスとよばれていたものより概念的には広く捉えられており、計画熟度が高まった事業の実施段階よりは環境配慮の柔軟な取り込みがしやすいと期待されている。持続可能な社会の実現に向け戦略的環境アセスメントへの取組みが、環境省が2007年に策定した「戦略的環境アセスメント導入ガイドライン」や地方自治体の条例などによって進められてきたが、2011年の改正アセス法において「配慮書手続」が定められ、事業の位置・規模等の検討段階を対象とする戦略的環境アセスメントが制度化されることとなった。また、より早期の段階での環境配慮に向け、事業の位置・規模等の検討段階よりも上位の計画及び政策の策定や実施に環境配慮を組み込むための戦略的環境アセスメント制度の検討が課題となっている。 |
B |
道路や空港、ダムなどの事業を実施するにあたり、政策の決定や計画の策定など事前の段階で、環境への影響を評価したり、代わりとなる案を検討したりするなど、環境への配慮を確保するための手続きを明確にした環境影響評価(環境アセスメント)手法のこと。SEAはStrategic
Environmental Assessmentの略だ。欧米などの主要先進国ではSEAの導入・整備が進められており、日本でも環境影響評価法の制定、改正に関するの争点とされてきたが、制度化は見送られている。環境省は、2007年4月、SEAを実施する際の共通的なガイドラインである「戦略的環境アセスメント導入ガイドライン」を公表した。同ガイドラインは、SEAの基本的な考え方や手続きなどを規定。対象は、環境影響評価法で定める第1種事業を中心として、規模が大きく、環境影響の程度が大きくなるおそれがある事業の実施に枠組みを与える計画のうち、事業の位置や規模などが検討段階にあるものだ。なお、同ガイドラインは、発電所に対しては個別ガイドラインの作成などSEAへの取組を求めていない。一方、2008年6月に施行された「生物多様性基本法」は、事業計画の立案段階における事業者による環境アセスメントの実施を求めており、SEAの考え方が反映されている。 |
C |
SEAガイドライン(Strategic Environmental Assessment Guidline、戦略的環境アセスメント導入ガイドライン) |
2007年4月に、環境省が「戦略的環境アセスメント総合研究会」の検討結果をもとに取りまとめ関係省、都道府県・政令指定都市に通知したもので、正式名称は「戦略的環境アセスメント導入ガイドライン(上位計画のうち事業の位置・規模等の検討段階)」。
1997年の環境影響評価法制定時に衆参両院の付帯決議でも指摘されている通り、戦略的環境アセスメント(SEA)の制度化は長年の課題となっているが、このガイドラインにより共通的な手続き、評価方法等によるSEAの実施を促すことをねらったもの。対象計画、実施主体、SEAの基本的考え方、SEAの手続き、SEA評価結果の対象計画への反映等、計画特性及び地域特性の把握、複数案の設定、評価項目の選定、調査予測及び評価、評価結果の取りまとめ、公共事業分野における関連する取組みとの関係、民間事業者等の取扱い、SEA評価結果の取扱いなどが記載されている。 |
B |
た |
第1種事業(環境影響評価法の) |
環境影響評価法で対象としている道路、ダム、鉄道、飛行場、発電所等13種類の事業であって、国が免許等の関与を行う事業のうち、規模が大きく環境影響の程度が著しいものとなるおそれがあるもののこと。これらの事業は、環境影響評価法に基づく手続を、必ず行うこととなる。 |
A |
環境影響評価法(1999年)において、その事業内容、規模要件等から、必ず環境アセスメントを実施なければならない、とされている事業のこと。
同法では、国が実施、または許認可する事業のうち、環境に影響を及ぼす恐れのある事業種を列挙している。さらに、規模要件等から環境アセスメントを義務付ける第一種事業と、個別に環境アセスメントの必要性を判断するやや小規模な第二種事業に区分している(法第2条・同施行令別表)。列挙された事業種に該当し、その規模等が第一種事業の規模要件に該当する場合には、環境アセスメントを行うことが義務付けられる。 |
B |
代償措置 |
環境保全の観点からの価値を代償するための措置。事業の実施により損なわれる環境のうち、特定の又は全ての環境要素について人為的に創出することを意味しており、環境影響の回避・低減のための措置を十分に実施してもどうしても残る環境影響に対して検討されることになる。なお、「環境の保全の観点からの価値」とは、例えば、自然海岸であれば生態系の基盤として水生生物を育む機能、景観要素としての機能、水質浄化の機能等多様な価値を含む。一方では経済的な価値は含まないことから、「代償措置」には経済的な価値の損失を補てんするための財政的な措置は含まれないことに注意が必要である。 |
A |
第2種事業(環境影響評価法の) |
環境影響評価法で対象としている道路、ダム、鉄道、飛行場、発電所等13種類の事業であって、国が免許等の関与を行う事業のうち、第1種事業に準ずる規模の事業のことをいう。これらの事業は、環境影響評価法に基づく手続を行うかどうかを個別に判断(スクリーニング)することとなる。 |
A |
環境影響評価法(1999年)において、その事業内容、規模要件等から、環境アセスメントが必要とされるかどうか個別に判断される事業。
同法では、国が実施、または許認可する事業のうち、環境に影響を及ぼす恐れのある事業種が列挙されている。さらに、規模要件等から環境アセスメントを義務付ける第一種事業と、個別に環境アセスメントの必要性を判断するやや小規模な第二種事業に区分している。列挙された事業種に該当し、その規模等が第一種事業の要件に該当する場合には、環境アセスメントを行うことが義務付けられるが、第二種事業に該当する場合は、環境アセスメントを実施すべきかどうかの判定は、事業規模のみではなく諸事情を総合的に勘案して行われる(法第2条・同法施行令別表)。このため、時として“アセス逃れ”が試みられる場合がある。
対象事業種は新幹線、原発等を除いて第一種事業と同様の事業種が該当し、規模要件がある場合には第一種事業の下限の3/4までが第二種事業に該当する。 |
B |
適用除外行為【米国】(Categorical Exclusion、CE) |
米国でのNEPA(国家環境政策法)に基づく環境アセスメントでは、環境影響がほとんどないと考えられる行為をあらかじめ環境アセスメントの対象から効率的に除外するためにリストアップしている。その除外リストのこと。略してCEと呼ばれる。
NEPAにおける、スクリーニングプロセスでの、まず最初に行う検討項目である。日本の環境影響評価法(1997)に基づくスクリーニング段階での、第一種又は第二種事業に該当するか、もしくは環境アセスメントを実施は義務付けられていないか、の「対象行為」の判定と似ている。しかし、NEPAでは、原則として全てについて環境アセスメントを実施するという前提のもとで、例外的に環境影響がほとんどないとみなせるものを「除外行為」として位置づけているものであり、より要件が厳しい。 |
B |
時のアセス |
長期に渡って計画の進行が停滞している事業について、事業の合理性、事業期間の期限的有効性の観点から見直すことを、通称としてこう呼ぶ。
公共事業評価という点においては一致するが、もともと環境アセスメントの用語ではなく、どちらかと言えば経済アセスとしてのニュアンスに近いものとして、この言葉が用いられはじめた。しかし、現在の世相になじみやすく、用語としての世間的認知度も高いことから、非効率な公共事業投資を牽制する実際的な手段として期待されている。第14回(1997年)日本新語・流行語大賞(「現代用語の基礎知識」の読者による投票)でも上位ランクされた。 |
B |
な |
ノー・ネット・ロス原則(No Net Loss) |
ある地域内全体において、その中のある自然(例えば湿地や草原)の量が一定に保たれることを目的とする発想、原則のこと。
米国ではミティゲーション概念における前提となっており、開発行為に伴う代償措置に際して、立地等の妥当性が認められる場合には、失われる自然とトータルで同等以上の自然の再生が担保されることが求められる。
ノーネットロス原則においては、そうしたトータルで差引きゼロの損失という環境影響を緩和するための措置が補償されない限り、代償措置とは認められないとの見解が示される。 |
B |
は |
PI(パブリック・インボルブメント) |
Public Involvementの略称。パブリック・インボルブメントともいう。
施策の立案や事業の計画・実施等の過程で、関係する住民・利用者や国民一般に情報を公開した上で、広く意見を聴取し、それらに反映すること。 |
A |
FONSI
(Finding of No Significant Impact) |
米国の環境影響アセスメント制度上の評価方法のひとつ。同制度における手続きは、スクリーニング段階でEA(簡易アセスメント)が行われる。EAの結果が公開され、意見を募集して、環境への影響が微少であると判断されると、FONSI(影響微少)として分類され、EIS(評価書)を作成することなく政府は行為を実行する事ができる。 |
B |
複数案の比較検討 |
環境影響評価法のもとでは、環境影響の回避・低減に事業者はどれだけ努めたかを評価書において具体的に示すことが求められている。このため効果的な方法として推奨されているのが複数案の比較検討である。これは原案とその代替案(通常2以上)の両者を合わせたものである。計画段階配慮事項の検討段階においては、2以上の事業の実施が想定される区域において検討することが望ましい。 |
A |
報告書 |
2011(平成23)年4月の環境影響評価法改正により、導入された手続。評価書の公告を行った事業者は、環境保全措置(回復することが困難であるためその保全が特に必要であると認められる環境に係るものであって、その効果が確実でないもの)
、事後調査及び事後調査により判明した環境の状況に応じて講ずる環境保全措置であって、当該事業の実施において講じたものに係る報告書の作成と報告等が義務付けられた。 |
A |
ま |
ミティゲーション |
開発事業による環境に対する影響を軽減するためのすべての保全行為を表す概念。環境影響の回避、低減及び代償措置が含まれる。 |
A |
人間の活動によって発生する環境への影響を緩和、または補償する行為。
急激な湿地帯の減少に対処するため、1970年頃に米国で生まれた。
ミティゲーションには次の5段階があるとされる。
1)回避:ある行為をしないことで影響を避ける、2)最小化:ある行為とその実施に当たり規模や程度を制限して影響を最小化する、3)修正・修復:影響を受ける環境の修復、回復、復元により影響を矯正する、4)軽減:ある行為の実施期間中、繰り返しの保護やメンテナンスで影響を軽減または除去する、5)代償:代替資源や環境を置き換えて提供して影響の代償措置を行う。
より簡単に回避、低減、代償の3段階とみなすこともある。
これらの段階は、その順に検討されることが望ましいとされており、米国では、ミティゲーションはノーネットロス原則を前提として行われる。
一方、日本では本来的意味合いから離れ、代償ミティゲーション段階のみがミティゲーションであると捉えられることも少なくない。 |
B |
代償ミティゲーション(Compensatory Mitigation) |
人間の活動によって発生する環境影響の補償、代償として、代替資源や環境を置き換えて提供するという、環境への影響の代償措置のこと。例えば干潟の埋立を行う際、消失する干潟の代償として近傍に人工干潟を造成するようなことをいう。
日本ではミティゲーションといえば代償ミティゲーションを指すことが多いが、これは元来はミティゲーションの諸段階の中でもっとも検討優先度の低い、いわば最後の手段にあたる概念である。 |
B |
ミティゲーション・バンキング(Mitigation Banking) |
ある地域でミティゲーションを行った際に、トータルで開発前の自然と較べて量・質ともに向上した場合に、プラス分を蓄積(バンキング)し、債券化すること。
米国では開発で自然環境が減少・消失する場合にはミティゲーションを行うことが義務づけられているが、開発を行なう事業者が何らかの事情で当該地域周辺でミティゲーションを行えない場合、債権を購入することでミティゲーションを行ったものとみなすことができる。
米国にはさまざまな自然環境を復元・ストックして債権を売り出す、ミティゲーション・バンキングを専門とする会社が存在する。
しかし、ミティゲーション・バンキングを行なう前提として、米国のようにノーネットロス原則が確立していること、当該地域から遠く離れた場所(オフサイト)でのミティゲーションが公認されていることが必要である。そうした前提のない現状の日本において、ミティゲーション・バンキングを実現するのは難しい。 |
B |
や |
有害物質 |
人の健康に害を及ぼす可能性のある物質を指し、大気汚染防止法や水質汚濁防止法などでそれぞれ定義されている。
大気汚染防止法では、「物の燃焼、合成、分解その他の処理(機械的処理を除く。)に伴い発生する物質のうち、カドミウム、塩素、フッ化水素、鉛その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある物質で政令で定めるもの」に対して排出基準が設けられているほか、継続的な摂取が健康を損なうおそれのある物質を「有害大気汚染物質」として、対策の推進が規定されている。
水質汚濁防止法では、「カドミウムその他の人の健康に被害を生ずるおそれのある物質で政令で定めるもの」を「有害物質」とし、特定施設を有する事業場に対する排水基準が定められている。
土壌汚染対策法では、「鉛、砒素、トリクロロエチレンその他の物質であって、それが土壌に含まれることに起因して人の健康に係る被害を生ずるおそれがあるものとして政令で定めるもの」を「特定有害物質」として、土壌の特定有害物質による汚染の状況の把握や人の健康に係る被害の防止に関する措置等が定められている。 |
A |
要綱アセスメント |
法律や条例等の法令形式をとらず、行政の内部執行規程等、いわゆる要綱に基づく環境アセスメントを要綱アセスメントと呼ぶ。
事業者に対して法的強制力を持たない、いわゆる行政指導で環境アセスメントを行なっていたので、規範的根拠、公平性においてはやや問題があったが、環境アセスメントの過渡的措置として柔軟に活用され、一定の効果をあげてきた。
国の管轄事業に対する環境アセスメントでは、1984年から閣議アセスとして要綱アセスメントが実施されてきたが、1999年に環境影響評価法が施行され、要綱アセスメントはすでに行なわれていない。自治体管轄事業に対する環境アセスメントも、その多くは要綱アセスメントとして行なわれてきたが、現在、各自治体で条例化が進行中であり、条例アセスメントを実施する自治体が増えつつある。 |
B |
ら |
類型指定 |
水質汚濁の生活環境項目及び騒音の環境基準については、全国一律の環境基準値を設定していない。国において類型別に基準値が示され、これに基づき、水域については内閣総理大臣又は都道府県知事が利水目的に応じて、騒音については都道府県知事が土地の利用状況や時間帯等に応じてあてはめ、指定していく方式となっている。これを類型指定という。 |
A |