目 次
はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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第1 基本的な考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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(1) 本ガイドラインの目的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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(2) 本ガイドラインの運用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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(3) 用語について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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第2 計画検討手順 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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(1) 計画検討の発議 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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(2) 事業の必要性と課題の共有 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
(3) 複数案の設定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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(4) 評価項目の設定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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(5) 複数案の比較評価 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
7
(6) 計画案の選定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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(7) 計画の決定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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(8) 留意事項 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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第3 住民参画促進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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(1) 住民・関係者等の対象範囲の把握 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
(2) コミュニケーション手法の選択 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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(3) 段階に応じた双方向コミュニケーションの実施 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
(4) 留意事項 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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第4 技術・専門的検討 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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(1) 技術・専門的検討内容の整理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
(2) 技術・専門的検討の実施 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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(3) 各項目の評価等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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(4) 検討結果の公表 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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(5) 留意事項 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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第5 委員会等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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(1) 設置にあたっての基本的事項 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
(2) 委員会等の役割 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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第6 その他留意事項 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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(1) 評価結果等の活用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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(2) 事例の蓄積とガイドラインの見直し ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15
社会資本整備を進めるに当たっては、透明性、公正性を確保し住民・関係者等の理解と協力を得るため、住民参画の取り組みを推進することが重要であり、このことは社会資本整備重点計画法(平成15年法律第20号)に基づき策定された社会資本整備重点計画において位置づけられている。国土交通省においては、平成15年6月に『国土交通省所管の公共事業の構想段階における住民参加手続きガイドライン』を策定し、計画策定者からの積極的な情報公開・提供等を行うことにより住民参画を促し、住民・関係者等との協働の下で、事業の公益性及び必要性について適切な判断を行う等、より良い計画となるよう取り組んできた。
一方、計画づくりにあたっては、社会面、経済面、環境面等の様々な観点から総合的に判断していく必要があり、これらを適切に実施するためには、住民・関係者等の理解と協力が不可欠であり、計画策定プロセスを、より透明性等を持ったものにしていくことが求められている。
国土交通省においては、既に、一部の事業においては、構想段階における計画策定プロセスの透明性等を確保するためガイドラインを定め、先行的な取り組みを実施してきたところであるが、今般、これまでの取り組みや各事業における事例等を基に、公共事業の構想段階における計画策定プロセスのあり方について、標準的な考え方を示すことにより、より良い計画作りに資し、もって、適切な社会資本整備を推進するため、「公共事業の構想段階における計画策定プロセスガイドライン」(以下、「本ガイドライン」という。)を策定した。なお、次期「社会資本整備重点計画」の策定についての社会資本整備審議会・交通政策審議会計画部会とりまとめ(平成19年6月)の中でも公共事業の構想段階における計画策定プロセスの透明性、公正性の向上のため新たなガイドライン等で明確に位置づけることの重要性が言及されている。
また、平成19 年4 月、環境省により「戦略的環境アセスメント導入ガイドライン」が策定され、事業に先立つ早い段階での環境配慮の取組みを進めることが求められているところである。本ガイドラインが示す構想段階における計画策定プロセスは、社会面、経済面、環境面等の様々な観点から総合的に検討を行い、計画を合理的に導き出す過程を住民参画のもとで進めていくこととしており、いわゆる戦略的環境アセスメントを含むものとなっている。
(1) 本ガイドラインの目的
安全・安心で環境と調和した豊かな社会、生活を支える社会資本の整備を円滑に推進していくためには、事業の構想段階から国民の理解を得ながら進めていく必要がある。
公共事業の計画に関して国民の理解を得るためには、計画自体が適切であることはもちろんのこと計画策定プロセスに対して透明性、客観性、合理性、公正性が確保されていることが重要である。
本ガイドラインは公共事業の構想段階に焦点を当て、計画策定プロセスの透明性、客観性、合理性、公正性の向上に資するため、標準的な計画検討手順と手順の各段階に実施すべき事項、計画検討手順を進めるにあたって実施される住民参画促進及び技術・専門的検討に関する基本的な考え方や留意事項をとりまとめたものである。
本ガイドラインにおいては、標準的な計画策定プロセスとして、複数案や評価項目の設定、複数案の比較評価、計画案の選定等の手順を、対象事業の特性に応じた住民参画や委員会等の関与の下、計画を策定することを定めており、これらの計画策定プロセスを実施することにより、社会面、経済面、環境面等の様々な観点から総合的に検討された合理的な計画を導き出すことが可能となる。
なお、事業の特性等に応じ最適な計画策定のプロセスにも違いがあることから、本 ガイドラインの趣旨を十分に踏まえつつ、各事業において、最適な計画策定のプロセスを追求することが重要である。
また、本ガイドラインは基本的に計画策定者が実施すべき事項を定めたものであるが、住民、利害関係者(団体)、学識経験者、地方公共団体、関係行政機関等、様々な主体の計画策定プロセスにおける関わりについても記述している。
(2) 本ガイドラインの運用
@ 本ガイドラインは、国土交通省所管の河川、道路、港湾、空港等の国等が実施する事業のうち、国民生活、社会経済又は環境への影響が大きいものに関係する計画で構想段階にあるものに適用することを基本とし、必要に応じ、各事業において適用対象を定めるものとする。
A 計画策定者は、事業の特性や事案の性質、地域の実情等を勘案しつつ、事業の規模等に十分配慮し、当該事業に最も適した計画策定プロセスになるように努めるものとする。なお、本ガイドラインは全ての事業に一律に適用することを意図しているものではなく、本ガイドラインの趣旨を十分踏まえつつ、実際の個別事業への適用にあたって画一的にならないよう柔軟に対応するものとする。
B 公共事業は事業毎に個別の所管法に則り実施されるものである。このため計画策定者は個別の所管法の目的や責務を十分に踏まえて、本ガイドラインを運用するものとする。
C 事業特性等を勘案し、必要に応じて、本ガイドラインの趣旨を十分に踏まえ事業分野ごとの計画策定プロセスに関するガイドライン等(マニュアル)の整備・充実を図るものとする。
D 計画策定者は、構想段階における計画策定プロセスを進めるにあたり、関係地方公共団体と連携して行うとともに、上位計画等との整合性のみならず、当該事業に関連する地方公共団体の基本構想、都市計画区域における整備、開発及び保全の方針、その他当該地域の整備等に関する構想・方針等や関係行政機関の計画との整合性を図るものとする。
E 地方公共団体は、地域社会に密接に関係しており、各地域の意見を代表して述べる立場にあるとともに社会、経済、環境等の様々な観点から行政区域全体を見通し、判断を行うことができる。このため、地方公共団体は、計画策定プロセスにおいて、計画策定者と連携・協力することが期待される。
F 地方公共団体、民間事業者等が行う事業についても、本ガイドラインの趣旨に配慮した措置が講じられることを期待する。
(3) 用語について
構想段階
計画策定者が、事業の公益性及び必要性を確認するとともに、当該事業により整備する施設の概ねの位置、配置及び規模等の基本的な事項について、事業の目的に照らして検討を加えることにより、計画を決定するまでの段階をいうものとする。
計画(構想段階における計画)
構想段階の一連の手順を経て絞り込まれた事業の概ねの計画。また、構想段階の次の詳細な計画案の検討段階における検討の基本となるものである。例えば、河川事業における計画検討、道路事業における概略計画及び港湾事業における長期構想等が該当する。
本ガイドラインにおいては、これらすべてを「計画」と表記する。
住民・関係者等
当該事業の規模や特性に応じて影響(受益、負担)を受ける地域の住民及びNPO・企業等の利害関係者等。
計画策定者
構想段階において計画の検討の発議から計画の決定に至る手続きを実施する主体。なお、事業の特性に応じて、地方公共団体、関係行政機関が共同で実施する場合もある。
委員会等
計画検討手順の妥当性の確保、住民・関係者等との適切なコミュニケーションの確保及び高度な技術・専門的判断が必要な場合等に、計画検討手順、住民参画促進及び技術・専門的検討の進め方に関し客観的な立場から助言するための、学識経験者等からなる組織。
計画策定プロセス
構想段階における計画策定のために実施する標準的な計画検討手順並びに計画検討手順を進めるにあたって実施される住民参画促進と技術・専門的検討の総称。
計画検討手順
計画検討の発議の後、当該事業の必要性と課題の共有、複数案と評価項目の設定、複数案の比較評価、計画案の選定及び計画の決定に至るまでの各段階から構成される一連の手順及びその総称。
住民参画促進
計画策定プロセスへの住民・関係者等の参画を促進し、住民・関係者等との適切なコミュニケーションを確保するために講じられる一連の行為及びその総称。
住民参画促進においては計画策定者と住民・関係者等との双方向のコミュニケーションとなるよう、計画検討手順を進める中で、情報提供、意見の把握、意見の整理・対応の公表を適宜実施する。
技術・専門的検討
計画検討手順の中で行われる当該事業の必要性と課題の共有や複数案の設定・評価等における技術的、専門的事項について検討し、計画の合理性を確保するために行われる一連の検討作業及びその総称。
なお、技術・専門的検討においては、理学や工学等の自然科学分野、社会学や経済学等の社会科学分野、考古学等の人文科学分野の専門的な検討を行うこととする。