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最終更新日:2017年7月27日
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全般 |
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リンク⇒こちら| 石油とは| 石油備蓄| 構成物質| |
石油埋蔵量| 世界の需給| 日本の需給| 将来の石油| |
起源物質| ケロジェン起源説| 生成温度| 生成時代| トラップ| |
石油取引| 石油製品| 製油所| 石油市場| 原油価格| |
非在来型(オイルシェールなど)|
石油会社(石油メジャーも)| 石油開発| |
エネルギー資源(Energy Resource)の主役(Leading)である。運輸(Tranport)部門では現在も代替できる資源は存在しない。世界エネルギー資源消費量(Consumption)の4割近くを占めるため、その枯渇(Depletion)問題が最も心配されている。ピーク・オイル(Peak Oil)は枯渇時期についての問題ではなく、迫りくる生産量(Product)がピークとなる時期についての論争であるが、過去の例からピークを過ぎると社会経済的な問題が激化しやすくなるため、その影響を心配して対策をとるべきことが主張されているものである。 石油(Oil)は過去の生物体(Ancient Biomass)が変化して生成されたものである。つまり、過去の太陽エネルギーの缶詰(Tin Can of Ancient Solar Energy)とも言える。従って、それを現在の地球で消費すると、過去にあった膨大なエネルギーを放出することになり、現在のエネルギーバランスを崩すことにより環境問題(Environmental Issue)を大きくする訳である。 また、石油はエネルギー資源としてばかりでなく、プラスチック(Plastic)などの原料(Raw Material)としての物質資源(Material Resource)でもある。むしろ、物質資源としての価値の方が高いためエネルギー資源としての消費は控えるべきであるという主張もなされている。 |
石油とは |
石油備蓄 |
国家石油備蓄基地の場所・容量 JOGMEC(HP/2011/3)による『国家石油備蓄基地』から |
石油連盟(HP/2011/3)による『今日の石油産業 2010』から |
構成物質 |
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IEEE GlobalSpecによる『Petroleum and Mineral Oil Products Information』(HP/2017/7/27)から |
石油は、炭素(C)と水素(H)からなる化合物、「炭化水素」を主成分としています。石油に含まれる炭化水素は、分子量も構造も様々で、石油は多様な炭化水素の混合物となっています。 (1)炭化水素 |
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nite(独)製品評価技術基盤機構による『石油の成分』(HP/2017/7/27)から |
非在来型 |
在来型と非在来型の区別は明確ではないが、非在来型石油資源の代表例はオイルシェール/シェールオイル(オイルシェール=油母頁岩*、ゆぼけつがん、油頁岩、Oil shale)〔そこから生産される石油はシェールオイル(Shale
oil)であるが、区別されずに使われている場合が多い。シェール革命後はシェールオイルと呼ばれることが多いが、オイルシェールという場合はこのシェールを人工的に処理して生産したものを本来は示していたため、混乱を避けるためにシェールオイルはタイトオイルとも呼ばれる。〕およびタールサンド(Tar
sands)〔オイルサンド(Oil sand)も同じ意味で使われている。タイトオイル(Tight oil:浸透性の悪いタイトな油層からの石油)は別ものとされているが、シェールオイルとの重複もある。〕である。
* 頁岩(けつがん、Shale)は剥離性を示す泥質の堆積岩である。剥離性を示さないものは泥岩(Mudstone)と呼ばれる。さらにスレート劈開を示すものは粘板岩(Slate)と呼ばれる。変成作用により生成した岩石に(結晶)片岩(Schist)があるが、この片岩と粘板岩の中間的な岩石は千枚岩(Phyllite)と呼ばれ、変成岩に含まれる。粘板岩は堆積岩に含められることが多いが、変成岩に含める研究者もいる。〔変成作用の強さ(とくに圧力条件)により、泥岩→頁岩→粘板岩→千枚岩→片岩のように変化する。〕
頁岩は、石油の根源岩(Source rock)の代表的なものの一つであり、堆積作用時に生物の遺骸が混じり、それが分解せずに石油根源物質に変化すれば、油母(Kerogen)頁岩となる。普通の石油資源は、これらの有機物が孔隙率の高い岩石に移動したもので、移動先の岩石は貯留岩(Oil
reservoir⇒Petroleum
reservoir)と呼ばれ、砂岩や石灰岩が代表的である。
(リンクはウィキぺディア)
【参考】“シェールオイル”は在来型か、非在来型か? http://www.rs.jx-group.co.jp/library/files/20111227_02_write.pdf
高橋力裕氏による。2011年12月?、4p。
図4 世界のシェールオイルの技術的回収可能量(2013年6月) 伊原(2013/8)による『世界のシェールガス・オイルの資源量評価を考察する』から |
1-1. タイトオイルとは? 伊原(2013/7)による『タイトオイルとは何か』から |
石油連盟による『今日の石油産業2012』(2012/4)による |
シェールオイル(旧型):オイルシェールを乾留して得られる石油〔採鉱後に人工的に過熱・分解処理(乾留)して得られる〕=非在来型。 図2 オイルシェールからシェールオイル・合成原油を生産する工程 (出所)PEC:原油価格高騰下における非在来型“フィードストック”の動向に関する調査報告書(PEC-2005P-03) |
図3 IEAのWorld Energy Outlookの原油区分 (出所)IEA:World Energy Outlook 2011 非在来型は、カナダのオイルサンド、ベネズエラのオリノコ重質油、オイルシェール、石炭液化技術(CTL)、ガス液化技術(GTL)など、、採掘された後に一定の処理をしないと通常の石油として利用できないものが殆ど。 |
高橋(2011/12)による『“シェールオイル”は在来型か、非在来型か?』から オイルシェール(Oil Shale)は石油を含んだシェール〔堆積岩の中の頁岩〕。 |
石油取引 |
JX日鉱日石エネルギー(HP/2015/1)による『石油便覧』の『第4編 第3章 第1節 原油・製品の輸出入のしくみ』から |
図 4-5-1 石油製品の輸送方法 JX日鉱日石エネルギー(HP/2015/1)による『石油便覧』の『第4編 第5章 第1節 総説』から |
図1 中東から日本への原油輸送 図2 世界の原油先物市場 |
第1節 原油市場 第1項 原油の貿易取引 1.産油国から消費国へ 日本が輸入している原油の8割以上は、サウジアラビアなどの中東諸国から運ばれてくる。約12,000kmも離れたこれらの国々から、日本の輸入基地や精油所までは、大型タンカーで往復45〜50日かかる。途中には、水深の浅いマラッカ海峡などもあり、細心の注意を払いながら、原油が運ばれている。 一方、南方原油はインドネシアなどの東南アジアから運ばれてくるが、その航行期間は、中東諸国からの日数と比べるとおよそ半分程度である。 2.原油タンカー 原油タンカーは、16〜32万重量トン級のVLCC(Very Large Crude Carrier)と、32万重量トン以上のULCC(Ultra Large Crude Carrier)が主に利用されている。かつては、大型化が競われてい たが、ULCCは積出港と受入港の施設や航路の制約も多いことから、原油タンカーの主流はVLCCに再移行している。 また、海上での原油流出事故を防ぐために、5,000重量トン以上の新造船は1996年7月以降、ダブル・ ハル(二重船殻構造)方式またはミッド・デッキ(中間甲板)方式での建造が義務付けられている。 中東向けには20〜30万重量トン級、南方向けには10万重量トン級のタンカーが用いられることが多い。 3.取引価格 (1)FOB(Free On Board)価格 FOBは貿易上の取引条件のひとつ。売主は買主の手配したタンカーなどに、契約した貨物を指定された港で積み込めば引き渡し義務を完了する。ここまでの費用を含んだ積み地における価格をFOB価格(本船渡し価格)という。 (2)CIF(Cost, Insurance and Freight)価格 CIF価格(運賃保険料込み価格)は、FOB価格に加えて、仕向港までの運賃と保険料を含んだ荷揚げ地における価格をいう。保険料は、航行区域などのカントリーリスクによって高低するのが一般的である。 第2項 原油の需給 国際エネルギー機関(IEA : International Energy Agency)によると、世界のエネルギー需要の中で石油のシェアは将来的には減少するものの、需要量そのものはOECD非加盟国の成長により伸び続け、2035年の世界の石油需要は9,900万バレル/日(bbl/d)に達する見通しである。 内訳では、現在消費の約5割がOECD加盟国によるものだが、2035年には開発途上国のシェアが逆転して先進国を上回ると見られている。 一方、供給はOECD からは北海油田や米国内油田の減退により減少する見通しである。 また、OECD以外の非OPEC諸国からの供給も、ロシアや旧ソ連諸国が増加する以外は、アジアを中心に減少するため、全体としては微増となり、需要を満たすことができるのは中東OPEC諸国が中心となると考えられる。世界供給に占めるOPECのシェアは2000年の34.8%から2035年には50%以上に増加すると見られている。 |
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第3項 原油の国際市場 世界の石油市場は、域内の石油消費を背景に、北米、欧州、アジアの三大市場が形成されている。 各石油市場は、現物市場とその派生市場であるOTC(Over the Counter)市場(先渡市場・スワッ プ市場)及び先物市場から構成されている。これら三つの市場はお互いに影響し合っており、現物価格はOTC市場や先物市場の価格によって決定されるという図式が確立している。 各地域内で中心となっているのが先物市場で、北米ではNYMEX、欧州ではICE Futures Europe、アジアでは東京商品取引所が石油価格の情報発信の役割を果たすとともに、価格変動リスクのヘッジの場として様々なプレイヤーに利用されている。最近では、アジア時間を起点とした欧州、北米に繋がる24時間取引へのニーズが高く、各取引所間でMOU(覚書)を締結するなど、その環境整備に向けた取組みが行われている。既に、OTC市場と先物市場との間でも相互補完の関係が確立され、現物市場、OTC市場、先物市場間における三位一体の取引構造の中で、地域と時間を超えた多様で柔軟な取引が行われている。 また、中東においては、2007年6月、ドバイ商業取引所(DME)がオマーン原油の現物先物取引を開始した。なお、この上場に伴いオマーン政府は、従来のレトロアクティブ方式(産油国が船積月の翌月に公式販売価格を一方的に通知する方式)から、DMEの月間平均価格を翌々月船積されるオマーン原油の公式販売価格(OSP:Official Selling Price)の決定に利用している。 1.北米市場 北米市場では、ニューヨークのNYMEXにおいて原油や石油製品、天然ガスなどの先物取引が行われている。ここで形成された先物価格が北米の価格指標となり、現物の価格形成に影響を与えている。 1983年3月にNYMEXで上場された原油先物(通称WTI=West Texas Intermediate)は、石油先物取引の中で、一商品としては世界最大の出来高を誇っており、同地域のマーカー原油としても高い指標性を有している。 2.欧州市場 欧州市場では、ロンドンのICE Futures Europeにおいて北海油田で生産されるブレント原油をはじめ、天然ガス、ガスオイルなどの先物取引が行われている。1988年6月にIPE(現 ICE Futures Europe)で上場されたブレント原油は、NYMEXのWTIと同様に高い流動性が確保され、同地域のマーカー原油となっている。 3.アジア市場 アジア市場は、中東産原油の流通が最も多く、そのマーカー原油はドバイ原油及びオマーン原油である。東京商品取引所では、そのマーカー原油のスポット価格を最終決済価格とするアジア向け中東産原油価格を上場している。 この他、アジア市場では、シンガポールで行われている業者間のOTC市場がある。OTC市場では、実際に相対で取引されたスポット価格を民間の価格報告機関が収集・報告し、その報告された価格を参考として、個々の取引価格が決められている。中東産原油以外では、マレーシア産のタピス原油やFOBシンガポールの石油製品の取引も行われている。また、2007年6月にはドバイ・マーカンタイル取引所(DME)が設立され、オマーン原油の先物が上場された。 第4項 原油の価格指標 1.世界のマーカー原油 (1)ドバイ原油 ドバイ原油は、アラブ首長国連邦(UAE)の構成首長国のひとつであるドバイで産出される原油で、仕向地の制約がないことから取引に便利な原油として絶対値価格でのスポット取引が活発に行われている。そのスポット価格はOPECが設定するバスケット価格にも採用される(最近の新バスケットではアブダビのマーバン原油に取って替わられた)ほか、中東産原油の価格指標となっている。さらに、オマーン原油価格との月間平均は日本国内をはじめアジア向けの中東産原油の価格指標となっている。しかし、ドバイ原油は生産量が年々減少傾向にあり(2010年においては日量約7万バレル)、指標としての適格性を疑問視する向きがあった。そこで、有力なエネルギー価格調査会社であるプラッツは、仕向地の制約のないオマーン原油の代替受渡を認め、ドバイ原油の取引を対象として、アセスメント(評価)を行っている。 ドバイ原油のAPI 度は約31度で中質原油に分類され、硫黄分は約2%である。 (2)オマーン原油 中東のオマーンで産出されるオマーン原油は、ドバイ原油よりも埋蔵量が多く、日量約75万バレ ル(2010年)と、比較的産出量が安定しており、仕向地の制約を受けないことから、ドバイ原油とともに中東産原油の価格指標となっている。オマーン原油はAPI度が約34度で中質原油に分類され、硫黄分が約2%である。 (3)WTI 原油 WTI原油は、米国テキサス州沿岸部の油田で産出される原油の総称である。WTI原油は、日量約30万バレル(2010年)産出される原油で、NYMEXに1983年から上場されたLight Sweet Crude Oil(軽質低硫黄原油)の受渡供用品の代表的なものである。NYMEXの同市場は、石油先物取引としては世界最大の出来高を有することから、北米のみならず世界の指標油種として利用されている。 NYMEXの受渡しは、テキサス州に隣接するオクラホマ州のクッシングで行われるため、受渡場所の混雑状況により価格が影響を受けることもある。 WTI原油はAPI度が35〜50度と超軽質で、硫黄分も0.2%程度と少なく良質であり消費地に近いことから、ドバイ原油やオマーン原油よりも一般的に高値で取引されている。 なお、サウジアラビアやクウェートは、2010年1月から、米国向けの原油輸出における価格フォーミュラを改訂し、米国向け原油輸出価格を従来のWTI原油のスポット 取引価格連動から、ASCI(Argus Sour Crude Index:米国メキシコ湾岸地域で取引される中質マーズ原油、ポセイドン原油およびサザン・グリーンキャニオン(SGC)原油の加重平均価格)連動に変更した。この背景として、これらの油種は中東産原油同 様、硫黄分の多い中質原油であり、硫黄分の少ないWTIよりも近い性状であること、 また、これら3油種のスポット取引は日量40〜60万バレルと、米国で最も活発に取引されている原油であることから、より現物原油の需給を反映すると考えられたことなどが挙げられる。さらに、3油種の生産地が分散していることから、局地的な自然災害などの影響が緩和されるという点も考慮されたものと思われる。マーズ原油は通常、WTIよりも割安に評価される傾向にあり、今後の米国向け中東産原油の価格形成に一定の影響があると言われている。 (4)ブレント原油 ブレント原油は、北海油田・英国領海北部のブレント油田で日量約50〜60万バレル(2010年)産出される原油で、IPE (現ICE Futures Europe)に1988年から上場されている。ブレント原油は欧州向け原油の指標とされ、NYMEXのWTI原油と並んで、世界の原油市場の一角を形成している。 プラッツは、ブレント原油、フォーティーズ原油、オゼバーグ原油及びエコフィスク原油の代替受渡しを認めたBFOE(Brent/ Forties/ Oseberg/ Ekofisk)条件のブレント原油の取引をアセスメント価格の対象としており、ICE Futures EuropeのBrent原油先物の決済価格となるICE Brent IndexもBFOEの平均価格となっている。 ブレント原油はAPI度が約38度、硫黄分が0.38%であり、質的にはWTI原油とドバイ原油やオマーン原油の間に位置付けられる。 |
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東京商品取引所(HP/2015/1)による『検定試験テキスト−石油取引の基礎知識−』の『第4章 石油取引の現状』から |
図1 現物取引・先渡取引・先物取引 |
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図11 世界の上位10位までの商品取引所と東京工業品取引所の取引高の推移 |
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(株)東京工業品取引所・市場構造研究所(2011/3)による『世界の石油市場と商品先物取引所』から【見る→】 |
石油製品 |
石油製品内需の推移と見通し 石油連盟(2015/4)による『今日の石油産業2015』から |
石油サプライチェーンの構造 @原油輸入から、製油所における石油精製まで 石油会社は、@海外から原油を輸入(一部、国内産)し、A製油所での精製プロセスにおいてガソリン・灯油・軽油・重油・LPガス・石油化学用のナフサ等の石油製品を生産・供給する。 |
石油サプライチェーンの構造 A製油所から最終需要家への供給 ガソリンの流通経路(系列取引と業者間転売) |
我が国の製油所と原油処理能力 現在、我が国には、25の製油所が稼働中(本年3月末に2製油所が化学工場に転換予定)。原油処理能力は、過去10年のピークであった2008年4月初時点(28製油所・約489万B/D)に比して、本年4月初(23製油所約398万B/D)には約2割の精製能力が削減される。 |
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資源エネルギー庁資源・燃料部(2014)による『石油産業の現状と課題』から |
石油製品の製造プロセス 出光興産(株)(HP/2013/9)による『石油製品・化学製品ができるまで』から |
園田(1993)による『有機工業化学』から |
製油所 |
石油市場 |
ドバイ原油 | オマーン原油 | WTI原油 | ブレント原油 | |
生産量(推定) | 約6.5万bbl/d(2007年) | 約58.1万bbl/d(2007年) | 約30万bbl/d(2007年) | 約18.7万bbl/d(2007年) |
転売・仕向け地限定 | 制限なし | 制限緩い | 制限(国内パイプライン) | 制限なし(一部仕向け地限定) |
価格 | 市場価格 | OSP(準市場価格) | 市場価格 | 市場価格 |
API度 | 約31度 | 約33.5度 | 約35〜50度 | 約38度 |
消費地域 | 主にアジア向け | 主にアジア向け | 米国内 |
主に欧州 (北米、アジア向けもあり) |
特徴 |
埋蔵量と生産量が少ない ブラッツウインドウ上の取引では売り手オプションにより、オマーン原油で代替受け渡しが可能となっている |
DMEで上場しているオマーン原油先物取引の月間平均価格を翌々月に船積みされるオマーン原油のOSPとしている | テキサス原油のパイプライン輸送による米国内向け原油製品価格に強く影響を受ける |
主に欧州向けだが、水際原油として輸出の柔軟性がある Forties、Osebergでの代替受け渡しが可能となっている |
出所:筆者作成 |
原油価格 |
※需給の関係から見れば次のような要因が重要と考えられる。
供給面(生産側):
@産油国の戦争・紛争【減】;
A産油国(とくにOPEC)による戦略(生産量調整も含む)【減または増】;
B埋蔵量増加(在来型:新油田開発)【増】;
C埋蔵量増加(非在来型:シェールオイル開発など)【増】;
D埋蔵量減少(ピークオイル)【減】;
E輸送時の事故等(タンカー襲撃・テロも含む)【減】;など。
需要面(消費側):
@世界経済の景気【増または減】;
A石油製品動向〔ガソリンなどのエネルギー製品およびプラスチックなどの物質製品〕(自然災害等による製造施設への影響【減】も含む)【増または減】;
B特定国(おもに中国やインドなどの新興国)の経済発展【増】;
C地球環境問題(とくに地球温暖化問題に関連する二酸化炭素排出抑制)の影響(代替エネルギー利用による影響も含む)【減】;
D投機的資金の流入【増】;など。
ただし、これらは相互に密接に関連するため、どの影響が最も強いかを判断することは簡単ではない。また、原油価格はガソリンなどの石油製品価格に直結するため、生活用製品全体の価格上昇を招く。ただし、時間差は変動する。
原油価格とは、原油を取引する際の価格の事である。 各産油国に複数の価格指標がある。2000年代終盤時点において原油の国際価格動向に大きな影響を持っているのはアメリカのウェスト・テキサス・インターミディエイト(West Texas Intermediate, WTI) の先物価格であるが、2010年代初頭にはイギリスのブレント原油(Brent Crude)の先物価格が比重を増してきている。国際取引での単位は1バレル(158.9873リットルで、通常は約159リットル)当たりのアメリカドル ($/bbl) で表記される。日本国内向けでは1キロリットルあたりの日本円(円/kl)で表記される。 概要 原油価格には、先物価格と現物の取引におけるスポット価格があり、「ニューヨーク原油先物」「ブレント原油先物」「ドバイ原油・オマーン原油のスポット価格」が三大指標となっている。 なお、スポット価格とは契約の度に当事者間で決定される価格で実勢価格に近い。日本への輸入では8割が期間を定めて契約するターム契約であるが、現在ではターム契約の価格もスポット価格に連動するように設定されている。 原油は天然資源であるので、その質により価格は異なる。ガソリンや灯油が多く含まれる軽質油で、硫黄分が少ないWTIは高値で取引され、重質で硫黄が多いドバイ原油はWTIより若干安くなる傾向がある。 日本国内における原油価格は、為替相場や、タンカーによる輸送コストの影響も受ける。原油国際価格はFOB(Free On Board=タンカーへの積込時)の価格を指すが、日本国内での原油価格は運賃や保険料を含んだCIF (Cost, Insurance and Freight) で表記される。 原油価格は市場経済により需要と供給のバランスで決まるとされ、需要面では世界経済の景気動向やガソリン・プラスチックなど様々な石油製品の需要動向が影響し、供給面では産油国での供給動向(戦争・内戦による減産、タンカー襲撃、新しい油田の開発による増産)が影響する。また、投機的資金によっても上下する。急激な原油価格の高騰に伴う消費国での経済混乱はオイルショックと呼ばれるが、産油国では原油価格上昇により経済が好調となる。 国際的な指標となるのは、ブレント原油価格。アメリカの原油価格の指標とされるのは、WTI。アジアで指標となるのはドバイ原油価格との位置づけ。(2014年現在の三大指標) |
1987年5月からのイギリス・北海ブレント原油スポット価格の推移。ドル建て、青線は実際の価格、赤線は2011年11月を基準とした物価(CPI-U)を考慮した実効価格である。 |
ウィキペディア(HP/2015/2)による『原油価格』から |
図 1-3-1 NYMEX WTI価格の推移 |
[注] 注1)トランスオーシャン所有の半潜水式リグ「ディープウォーター・ホライゾン」。この事故によってリグの作業員11名が犠牲となった。米国政府が第三者に委託した公式レポートによると、原油の流出量は約490万バレルとされ、史上最大の原油流出事故であった。 注2)「オイルサンド」とは小さな砂粒の周りにタール状の油分がついたものを指す。地層学的には通常の油田と比較して、浅い地層に位置していたために、軽い部分が蒸発して重い部分のみが残ったものと考えられている。常温では固体のため、石炭のように「露天掘り」での回収もしくは水蒸気等で熱して流動性を確保して回収する。現在、カナダの原油生産量の50%以上はこのオイルサンドが占めている。 注3)「シェールオイル」とも呼ばれる。シェール(頁岩)層から生産される原油の総称で非在来型に分類される。 IEAでは「オイルシェール」(使用するには乾留が必要)と混同しやすいために、「タイトオイル」という語を推奨している。 注4) CAPP(Canadian Association of Petroleum Producers)によると、2010年のオイルサンド生産量147万バレル/日が2015年には228万バレル/日に増加すると推測されている。 |
JX日鉱日石エネルギー(HP/2015/1)による『石油便覧』の『第1編 第3章 第2節 原油価格の推移』から |
石油連盟による『今日の石油産業2012』(2012/4)による |
一般に米国産のウェスト・テキサス・インターミディエイト(West Texas Intermediate、WTI) の先物価格〔ニューヨーク・マーカンタイル取引所(New York Mercantile Exchange、NYMEX)〕が世界の原油価格の最も大きな指標とされる。他には、北海産ブレント原油(Brent Crude)やアラブ首長国連邦 ドバイ(Dubai)産原油などの指標もある。 |
Brent barrel petroleum spot prices, May 1987 - Jan 2011. Due to exchange rate fluctuations, the real price line is only relevant to the United States and countries with a currency tied to the U.S. dollar at a constant rate throughout the period. New York Mercantile Exchange prices for West Texas Intermediate 1996 - 2010 Wikipedia(HP/2011)による『Price of petroleum』から |
Figure 15. Estimations of the cost of oil production for various locations and types of resources around the world. Data from CERA. Figure 16. Oil production costs from various sources as a function of the EROI of those sources. The dotted lines represent the real oil price averaged over both recessions and expansions during the period from 1970 through 2008. EROI data for oil sands come from Murphy and Hall, the EROI values for both Saudi Crude and ultradeep water were interpolated from other EROI data in Murphy and Hall, data on the EROI of average global oil production are from Gagnon et al., and the data on the cost of production come from CERA. Murphy and Hall(2011)による『Energy return on investment, peak oil, and the end of economic growth』から |
【第111-1-1】 原油価格に影響を及ぼす要因 資源エネルギー庁による「平成20年度エネルギーに関する年次報告」(エネルギー白書2009)の第1部第1章の中の『第1節 原油価格騰落の要因分析』から |
〔InflationData.comの『Inflation』の中の『Historical Crude Oil Prices (Chart)』から〕 |
【第222-1-9】長期的原油価格の推移 〔資源エネルギー庁による『エネルギー白書 2006年版』から〕 |
石油会社(石油メジャーも) |
日本の石油元売会社の再編と提携関係(2015年3月現在) 石油連盟(2015/4)による『今日の石油産業2015』から |
図9 民間企業による埋蔵量のアクセス制約(例:石油) |
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図10 石油企業ピラミッド |
図11 世界の石油・ガス生産量のプレーヤー別生産シェア |
市原(2012)による『強まる資源の国家支配、厳しさ増す石油企業の争い−グローバルE&P 事業の最新トレンド −』から |
石油連盟(HP/2011/3)による『今日の石油産業 2010』から |
Data | Total energy (consumption per capita/intensity)/Natural gas (consumption/production/reserves/imports/exports)/Petroleum (consumption/production/reserves/imports/exports)/List of natural gas fields/List of oil fields/Price of petroleum/Price of natural gas/Price of gasoline and diesel | |
Exploration and production | Exploration | Petroleum engineering (Reservoir simulation/Seismic to simulation)/Petroleum geology/Geophysics/Seismic (Seismic inversion)/Petrophysics/Core sampling |
Drilling | Drilling engineering/Underbalanced drilling/Directional drilling (Measurement/Geosteering)/Drilling fluid/Drill stem test | |
Development | Completion (Squeeze job)/Well logging/Pipeline transport/Tracers | |
Production | Artificial lift (Pumpjack/Submersible pump (ESP)/Gas lift)/Enhanced oil recovery (EOR) (Steam injection/Gas reinjection)/Water injection/Well intervention/Upstream/Midstream/Downstream/Refining | |
Technical challenges | Differential sticking/Drilling fluid invasion/Blowouts/Lost circulation | |
Oil and gas agreements | Production sharing agreements/Concessions/Service agreements/Risk agreements | |
Major petroleum companies | Supermajors | BP/Chevron/ConocoPhillips/ExxonMobil/Royal Dutch Shell/Total |
National oil companies | CNPC/NIOC/Petrobras/Petronas/PDVSA/Rosneft/Saudi Aramco | |
Other | BG Group/Eni/Gazprom (Gazprom Neft)/Lukoil/Nippon Oil/Repsol YPF/Sinopec/Statoil/Surgutneftegas | |
Major oil provinces | East Texas/Gulf of Mexico/Niger Delta/North Sea/Persian Gulf/Russia/Venezuela/Western Canadian Sedimentary Basin | |
Research and development | Deep Sea Drilling Program/French Institute of Petroleum/IHS/Integrated Ocean Drilling Program/Kola Superdeep Borehole/Project Mohole/TaskForceMajella | |
Related articles | OPEC/History of petroleum (Seven Sisters)/Peak oil/Oil price increases since 2003/Society of Petroleum Engineers/Swing producer/Petroleum product | |
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【第112-3-2】スーパーメジャーズ形成の経緯 資源エネルギー庁(2010)による『平成21年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書)』から |
石油輸出機構(OPEC)の加盟13カ国 ガボン(黄緑色)は脱退国 〔フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』の『石油輸出国機構』から〕 西から、エクアドル・ベネズエラ〔南米〕、アルジェリア・リビア・ナイジェリア・アンゴラ〔アフリカ〕、サウジアラビア・イラク・クウェート・イラン・カタール・アラブ首長国連邦(UAE)〔西アジア〕、インドネシア〔東南アジア〕。 |
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生産規模 | 200万 boe/d超 | 100万 boe/d超 |
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埋蔵量規模 | 100億 boe以上 | 40億 boe以上 |
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上流コアの現状 | 多様なコアの維持拡大 | 主要コアの維持 | 地場以外のコア確立 | 北米集中 |
ExxonMobil BP Shell Chevron Total ConocoPhillips |
Eni |
Repsol YPF Occidental Anadarko Apache BG Hess Tailsman Marathon |
Devon EnCana Suncor CNR Chesapeake EOG |
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海外進出する国営石油会社 | ||||
Gazprom、Petrobras、Statoil、CNPC、Petronas、ONGC、CNOOC、Sinopec 他 |
石油開発 |
〔JOGMEC NewsのVol.3 2006年1月号の中の『日本国内の油・ガス田』から〕 |
From Pennsylvania Historical & Museum Commission, Drake Well Museum Collection, Titusville, PA The first great flowing well in the history of the oil industry was the Empire well on Funk Farm. Completed in September, 1861, it initially flowed at 3,000 barrels per day. This well also illustrated the turbulent nature of the oil industry in these early days. With an extra 3,000 barrels of oil flooding the market each day, the price of oil plummeted to 10 cents a barrel. 〔Paleontological Research Institutionの中の『The World of Oil』の『Oil History』の『The Story of Oil in Pennsylvania』から〕 |