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最終更新日:2016年12月1日
メタンハイドレート(Methane Hydrate、Methane Clathrate)は、メタン(CH4)を水(H2O)が囲む構造の物質であり固体(Solid:氷のようなもの)である。天然ガス(Natural
Gas)の成分であるメタンが含まれるために、天然ガスの非在来型資源(Non-conventional
Energy Resource)として注目されている。ある程度の低温と高圧条件下で生成し、海底(Seabed)や凍土(Permafrost)地帯などに存在することが確認されている。世界的に分布し、日本近海にも多数の存在が知られている。エネルギー資源をほとんど持たない日本は、特にその開発(Development)に力を入れている。しかし、開発のためには、技術的かつ経済的な問題を解決しなければならないし、メタンは温暖化ガス(Greenhouse Gas)でもあるため、環境への負荷を起こさないような対策も必要であり、開発の見通しはたっていない。 同様な構造はメタン以外の二酸化炭素(CO2)なども作るために、総称としてガス・ハイドレート〔Gas Hydrate:さらに構造体名はクラスレート(Clathrate)〕という呼び方もされるが、資源を考える場合にはメタン・ハイドレートという呼び方をすべきである。 なお、地球46億年の地球史において、40億年前頃から始まる生物(Organism)の進化(Evolution)の過程における大絶滅(Mass Extinction)の原因として、その当時のメタン・ハイドレート(あるいはガス・ハイドレート)の何らかの原因による地表への放出が重要な働きをしたというようなモデルが提唱されている。メタンは二酸化炭素よりも強力な温暖化ガスであるためである〔二酸化炭素の20倍以上(地球温暖化係数、Global Warming Potential)〕。 |
リンク |
メタンハイドレートとは |
メタンハイドレート (Methane hydrate) とは、メタンを中心にして周囲を水分子が囲んだ形になっている物質である。この構造を維持するためには、環境が低温かつ高圧であることが求められる。地球上では、シベリアなどの永久凍土の地下や海底でこの条件が満たされ、メタンハイドレートが存在できる。実際にはほとんどが海底に存在し、地上の永久凍土などにはそれほど多くない。これらの場所では、大量の有機物を含んだ土砂が低温・高圧の状態におかれ結晶化している。 ウィキペディアによる『メタンハイドレート』から |
メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム(2009)による『日本周辺海域におけるメタンハイドレート起源BSR分布図』から BSR(海底擬似反射面、Bottom Simulating Reflector)とは、音波による反射法地震探査から得られる特徴的な反射面であり、メタンハイドレート濃集帯の存在を示すと考えられている。ただし、さらに、強振幅反射や高速度異常やタービダイト層の分布と広がりなどを確認しなければならない。 |
【第132-4-2】日本近海のメタンハイドレート分布 |
【第132-4-3】メタンハイドレート結晶構造の一部を構成する5角12面体 |
〔資源エネルギー庁による『エネルギー白書 2004年版』から〕 |
〔メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアムの『メタンハイドレートの説明』の『どこにあるのか?』の『メタンハイドレート分布図』から〕 |
Natural sources of methane include wetlands, termites, decomposing organic materials in ocean and fresh water, and methane hydrate. Anthropogenic influenced sources include livestock flatulence, rice paddies, biomass burning, landfills, coal mining, and gas production, with rice paddies and livestock flatulence being the major sources of methane. (Image: U.S. Dept. of Energy Technology Laboratory, National Methane Hydrate Program) |
Methane hydrate consists of a cage of water molecules trapping a methane molecule within. This can form large crystals of hydrate in cold and heavily pressurized situations (mainly on the continental slope in the oceans). (Image: Slim Films for Suess et al., Scientific American, Nov. 1999, pp. 76-83). |
〔Gavin Schmidt氏による。NASA Goddard Institute for Space Studies (GISS)の中の『Methane: A Scientific Journey from Obscurity to Climate Super-Stardom』から〕 |
水深─地温勾配─メタンハイドレード層の厚さの関係 『<参考>水深─地温勾配─メタンハイドレード層の厚さの関係』から |
資源量 |
天然ガスとの比較は『天然ガスとは』のページを参照。日本の天然ガス輸入量は約7000万トン(2010年)。天然ガス10億立方メートルはLNG約74万トンであるから、LNGの7000万トンは946億立方メートルとなるが、メタンガス1.1兆立方メートルでは11.6年分程度にしかならない。
メタンハイドレート濃集帯以外のメタンハイドレート層中原始資源量 参考資料:「東部南海トラフMH資源量」PDF(291KB) メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム(HP/2012/10)による『メタンハイドレート探査と資源量評価』から |
メタンハイドレート 織田(2010/3)による『注目される日本の海底資源』から |
調査対象海域(2次元/3次元地震探査)の全体の面積は約12,000 km2 、この内BSR(海底擬似反射面)が認められた範囲は4,687
km2 (約40%)、さらにその中で濃集帯と判定された面積は767 km2。 藤井ほか10名(2009)による『確率論的手法による東部南海トラフのメタンハイドレート資源量評価』から |
Milkov(2004)による『Global estimates of hydrate-bound gas in marine sediments: how much is really out there?』から |
藤田(2002)による『メタンハイドレートの探査と開発の動向』から |
松本ほか(1994)による〔『メタンハイドレート』から |
メタン発生源 |