化学工業日報社(1997)による〔『知っていますか『石油の話』』(30-31p)から〕
『2.石油とは
◇石油は液体の炭化水素
石油は、天然にできた燃える鉱物油(原油と天然ガソリン)とその製品の総称です。化学的にみますと、多数の似通った分子式をもつ液状炭化水素の混合物です。炭化水素には、天然のものとしては、原油、天然ガソリンといった液状のものがありますが、その他に気体の天然ガスや固体の天然アスファルトもあり、これらも含めて広義の「石油」といっています。
みなさんもご存知のように、水(H2O)は水素(H)と酸素(O)の原子が2対1の割合で結びついた化合物ですが「石油」は、炭素と水素の原子がいろいろの割合で結びついた「炭化水素」です。
「炭化水素」は、炭素と水素の結びつきが実にさまざまで一番簡単なのは炭素1と水素4の割合で結びついたメタンです。続いて炭素2に水素6のエタン、炭素3に水素8のプロパン、炭素4に水素10のブタンなどがあります。これらは、常温常圧では気体です。炭素数が5以上15まではガソリン、灯油、軽油、重油などの液体、16以上40ぐらいまではアスファルト、パラフィンなどのように固体となります。これら炭化水素のうち、液体のものを狭義の「石油」と呼び、気体のプロパン、ブタンや固体のアスファルト、パラフィンなど親類筋にあたるものを含めて「石油類」と呼んでいます。
また、石油は近世に入ってから、主としてランプ用に灯油が使われていましたので、灯油のことを「石油」と呼ぶ場合があります。「石油ストーブ」とか、「石油ランプ」というのは、この灯油を使ったもののことです。』