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最終更新日:2016年12月2日
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原子炉 | 燃料 | 廃棄物 | その他 |
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世界の原発 米国の原発 フランスの原発 日本の原発 |
原子炉⇒こちら| 5重の壁| |
核燃料サイクル| ウラン濃縮は『ウラニウム』のページの『濃縮ウラン』を参照。 MOX燃料は『プルトニウム』のページの『MOX』を参照。 |
放射性廃棄物| |
ホウ素| トリウム原発| 原発と地震| 原発の賛否| 原子力潜水艦| 原子力用語⇒こちら| |
処理・処分| |
エネルギー資源(Enery Resource)の中で政治的に最も大きな問題を有するのが原子力発電(Nuclear Power)である。ウラニウム〔Uranium:質量数(Mass Number)235を持つ同位体(Isotope)のみ〕の核分裂反応(Nuclear Fission)を用いるために、核兵器(Nuclear
Weapon:原爆、Atomic Bomb)との関連での軍事技術と分離できない点が多いためと、放射能(Radioactivity)のためである。 2010年1月現在で、世界の運転中と建設・計画中原発は432基(約3.9億kW)と140基(1.4億kW)であり、同じく日本の運転中と建設・計画中原発は54基(約0.5億kW)と15基(0.2億kW)である。日本は米国とフランスに次ぐ、世界第3位の発電設備を有する。 ウラニウム資源の埋蔵量は特に多い訳ではないが、プルトニウム(Plutonium)という核分裂性(Fissile)物質を発生させる方法によれば(高速増殖炉、Breeder Reactor)、理論上はウラン資源の約60倍のエネルギーを生み出すことができると言われているために資源量において魅力があるとされている(ただし、ウラン238の埋蔵量分から生成できるプルトニウムによるエネルギー量は石炭によるエネルギー量程度であるという見積りや、プルトニウムの生成速度は限られているために自由に必要なエネルギーを使える訳ではないことや、プルトニウム自体が持つ欠点等を考慮すれば、プルトニウムはエネルギー資源としての価値はそれほど大きくないという意見もある)。 しかし、大きな問題は利用に伴う放射性廃棄物(Radioactive Waste)に関するものである。放射性廃棄物を人工的に処理する技術は存在しない。従って、隔離して放射能が低下するのを待つしかないため、その隔離方法と場所が問題となっている。日本などでは、リサイクル・システム(核燃料サイクル、Nuclear Fuel Cycle)を確立させようとしているが、どの程度まで可能かどうかは未知数である。 原子力発電所については、地震(Earthquake)などによる自然災害(Natural Disaster)の影響や、人為的な誤動作等に伴う事故(Accident)や、テロ(Terrorism)などによる事故などが懸念されている。また、住民感情として近くに原発を建設することに対する拒否反応が強いため、将来計画(更新や新設)の実行も簡単ではなく、エネルギー利用計画上も大きな問題を抱えている〔反対の理由は様々であり、例え必要性を認めてもNIMBY(Nimby、Not In My Back Yard−私の裏庭はおことわり、迷惑施設、嫌悪施設、忌避施設)として避けられる〕。 近年は、地球温暖化(Global Warming)の主要な原因物質である二酸化炭素(Carbon Dioxide)を運転中は発生しないということで原子力発電のメリットが謳われている。しかし、2011年3月に発生した東日本大震災(東北関東大震災)による福島原発事故の放射能漏洩問題により、反原発の気運が上昇している。 |
原子力の歴史 |
資源エネルギー庁(2012/1)による『原子力を巡る状況について』から |
原子力政策 |
◎原発問題は対立回避=問われるエネルギー政策−サミット 時事ドットコム(HP/2011/5)による『【図解・社会】東日本大震災・各国の原子力政策(2011年5月26日)』から |
米国が描き、日本で実演されてきた戦後日本の原子力政策の根幹は次の三つである。 @戦勝国が核を独占し、日本の核利用を米国の監視下に置くこと A米国の対日政策の基本を「反共政策」とし、原子力を反共の目的のためにも利用する B日本の反米化、反核行動の激化を回避する |
日本の原発推進者(リンクはウィキペディア) 正力松太郎(1885-1969:読売新聞社主)、中曽根康弘(1918-:政治家−自民党)−与謝野馨(1938-:政治家−自民党→たちあがれ日本→民主党) |
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日本の原子力産業(歴史も) |
ウィキペディア(HP/2015/5)による『日本の原子力発電所』から |
吉岡(2011/7)による『日本における原子力発電の歴史』から |
(社)日本原子力産業協会(2008/7)による『日本の原子力産業−原子力産業実態調査の概要−(プレスキット)』から |
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村上(2007/2)による『世界の原子力発電市場と産業界再編の展望』から General Electricv(GE)(米国) |
資源エネルギー庁(2006/3)による『原子力産業のあり方について』から |
5重の壁 |
電気事業連合会(HP/2011/3)による『放射能を閉じ込める5重の壁』から |
核燃料サイクル |
『採鉱』 | ウラン鉱山で鉱石(天然ウラン)を採掘 | ウラン鉱石 | フロントエンド |
『製錬』 | 精錬により、ウランを分離 | イエローケーキ | |
『転換』 | 後のウラン235分離のために気体状態へ変換 | 六フッ化ウラン | |
『濃縮』 | ウラン235の分離濃縮(ウラン濃縮) | 六フッ化ウラン | |
『再転換』 | 固体状態へ変換 | 二酸化ウラン | |
→『MOX燃料加工』→MOX燃料→『原子炉』 |
二酸化ウラン(劣化)→MOX燃料 | ||
『加工』 | 核燃料集合体(核燃料棒)作成 | ウラン燃料 | |
『原子炉』 | 原子力発電所での発電利用 | 使用済み核燃料 | |
→放射性『廃棄物処理処分』 |
埋設処分へ | 低レベル放射性廃棄物 | バックエンド |
『冷却・貯蔵』 | 使用済み核燃料 | ||
『再処理』→『転換』へ戻る | 再処理工場で利用可能なウランを回収 | 回収ウラン | |
→放射性『廃棄物処理処分』 |
地層処分へ | 高レベル放射性廃棄物 | |
→『MOX燃料加工』→MOX燃料→『原子炉』 |
回収プルトニウム→MOX燃料 |
核燃料サイクルとは 原子力発電から生じる使用済核燃料の処理方法については、様々な方法が考えられるが、主として、再処理と直接処分の2つの方法が考えられる。 コスト等検証委員会(HP/2011/11)による第4回会議の配布資料『核燃料サイクルコストについて』から |
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原子力百科事典ATOMICA(2011/7)による『六ヶ所再処理工場』から |
原子力百科事典ATOMICA(2009/1)による『核燃料リサイクルの概要』から |
処理・処分 |
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**TRUはTransuranicsあるいはTransuraniumの略称。 |
原子力百科事典ATOMICA(2011/12)による『再処理廃棄物の特性』から |
RIST(2009/1)による原子力百科事典ATOMICAの『深地層処分』から |
RIST(2009/1)による原子力百科事典ATOMICAの『わが国における高レベル放射性廃棄物の処分についてのシナリオ』から |
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原子力百科事典ATOMICA(2009/1)による『わが国の放射性廃棄物の種類と区分』から |
放射性廃棄物 |
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原子力百科事典ATOMICA(2009/1)による『わが国の放射性廃棄物の種類と区分』から |
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(Bq/m3) |
(Bq/m3) |
(Bq/m3) |
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極高レベル | >3.7×1015 | ||||
高レベル | >3.7×1013 | 高レベル | 3.7×1015〜3.7×1013 | 高レベル | >3.7×1014 |
中レベル | 3.7×1013〜3.7×1010 | 中レベル | 3.7×1013〜3.7×107 | 中レベル | 3.7×104〜3.7×10 |
低レベル | 3.7×1010〜3.7×107 | 低レベル | 3.7×107〜3.7×104 | 低レベル | 3.7×10〜3.7×10-2 |
極低レベル | <3.7×107 | 極低レベル | <3.7×104 | 極低レベル | <3.7×10-2 |
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(mSv/h) |
(Bq/m3) |
(Bq/m3) |
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高レベル | >20 |
極高レベル 高レベル 中レベル |
>3.7×1014 3.7×1014〜3.7×109 3.7×109〜3.7×107 |
高レベル | >3.7×104 |
低レベル | 20〜2 | 低レベル | 3.7×107〜3.7×104 | 低レベル | 3.7×104〜3.7 |
極低レベル | <2 | 極低レベル | <3.7×104 | 極低レベル | <3.7 |
ただし、α固体廃棄物は別区分としてBq/m3で表示する | |||||
注)1964年6月12日廃棄物処理専門部会報告書より引用。この場合報告書の1mR/hを0.01mSv/hに換算した。 |
ホウ素 |
原子力 ホウ素の同位体のうち、10Bは非常に大きな中性子吸収断面積(反応断面積)を持つため、原子炉内において中性子の吸収のため制御棒に、その化合物であるホウ酸は一次冷却水に溶かし込んで加圧水型原子炉の余剰反応度制御に使われる。同様の理由で、微量のホウ素添加を行った金属による放射性物質運搬容器も使用されている。 |
トリウム原発 |
※通常の原子力発電では核燃料としてウラン(235U)を使用しているが、トリウム(232Th)を利用することもできる〔ただし、中性子を吸収させて生成させた核分裂性のウラン233(233U)を燃料とする〕。インドがその例である。
原子力百科事典ATOMICA(HP/2011/4)による『トリウムを用いた原子炉』から |
原発と地震 |
大野(2011/8)による『被曝労働者の悲劇は今も続いている』から 上里による『上関原発計画の報告』も参照。 |
Rogers(2011/3)による『Nuclear power stations and reactors operational around the world: listed and mapped』から |
原発の賛否 |
※日本は第二次世界大戦後に、米国の政策に同調して、国策として原子力の平和利用(原発)を推進することになった。推進者の代表は、読売新聞社初代社主であった正力(しょうりき)松太郎氏と政治家(現自民党)の中曽根(なかそね)康弘氏とされている。そのため、国および原発関連企業等は当然賛成派である。現在の原発の推進(賛成)理由は、エネルギーの安定供給と地球温暖化対策とされている。原発の賛否(賛成/反対)の理由は複雑であるが、長所/短所という点から見てみる。【リンクはウィキペディア】
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(石油・石炭・天然ガス) |
(太陽光発電・風力発電・バイオマス発電など) |
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供給が経済的である |
・初期設備費などは高額であるが、運転費用は低額であり、運転期間が長期(40年以上?)であれば総合的に低価格の電力(発熱量当り)を供給できるとされている。ただし、廃棄物処理や廃炉の費用ならびに施設設置に伴う対策費さらに事故等の補償費は最低限度の額しか算定に含められていない。 ・大規模(集中型)発電を行いやすい。 ・〔ただし、現在では、必ずしも経済的であるとは言えない(『発電・電力とは』のページの『発電コスト』や『原子力発電』のページの『コスト』等を参照)。〕 |
・化石燃料は、燃料価格と発電設備費用と運転費用の単純合計で比較すると、原発よりやや高額(ただし原発の運転期間の設定条件により異なる)。化石燃料の中では石炭が最も低額で、原発に近い。 | ・再生可能エネルギーは、燃料費は不要であるが、発電設備費用が高額であり、現時点では総合的に高額である。ただし、将来的には低額となる可能性はある。再生可能エネルギーの中では風力発電が最も低額である。 | ||
供給が安定的である | ウラン | ・原発の核燃料であるウラン(ウラン235)も、特定の国に集中しており、埋蔵量も化石燃料程度であるが、発熱量当りの資源量は少なくて良いので輸入してしまえば準国産扱いできる。 | ・中近東などの特定の国に集中しているものが多く、安定的な確保の面で不安が大きい。 | ・自然エネルギーが大部分であるので、自然の変動を受けやすいため、供給も不安定になりやすい。 | ||
プルトニウム | ・ウラン238をプルトニウムに変えて利用すれば(プルサーマル→高速増殖炉)、さらに長期間利用できる。 | |||||
排気は無害である | ・原発は、運転中は有害排気を出さない。とくに地球温暖化ガスの二酸化炭素を出さないことから、近年は長所の筆頭に挙げられることが多い。 | ・化石燃料は、二酸化炭素およびSOx・NOxなどの有害排気を出す。ただし、経済性を無視すれば、排気を回収することも可能である。 | ・バイオマスの場合は、生きた生物由来の炭素からの二酸化炭素であるので問題とされない。他の再生可能エネルギーは排気を出さない。 | |||
原子力技術を確保できる | 平和的 |
・原発をはじめ、原子力(核)の平和利用のための学問と技術を継承し、発展させる。 ・原発技術を輸出できる。 |
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軍事的 |
・原子力の軍事利用の典型例は原爆(および水爆)であるが、これらの開発に応用できる技術等を確保できる。 ・現在の日本は核の軍事利用は放棄(日本国憲法)しているが、将来に利用の余地を残しておきたい。 |
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日米関係を維持・強化する |
・原子力安全保障上の、日米同盟には不可欠とされている。 ・東西冷戦に引き続く、国際関係上において、米国のパートナーとしての役割の一つとされている。 |
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原子力産業を維持する |
・国際的な原子力産業を担うために必要と考えられている。 ・国内的にも、諸産業の根幹的な産業であるという認識が大きい。 |
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放射能を発生する | 運転中 | 汚染冷却水 | ・日本の原発は軽水炉のBWRかPWRであるが、いずれも冷却のために大量の海水を利用している。放射能の漏洩は僅少とされているが、排熱量は膨大である。 | − | − |
放射性廃棄物 |
・使用済み核燃料は高い放射能を持つ。半減期を考慮して、保管管理し、最終的には地下深部等に処分する方法以外にない。 ・低い放射能を持つ様々な廃棄物も、上記と同様に処分するしかない。 |
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運転後 | 廃炉 | ・日本の原発54基(2011年現在)のうち運転開始年が最も古いものは1970年であり、40年以上経って老朽化している。順次廃炉となるが、放射能の問題があるために、高い技術と経費を必要とする。 | − | − | ||
事故時 | 放射性物質 |
・その被害の具体的な内容は、2011年東日本大震災による事故の例により明らかになってきた。 ・天災あるいは人災による事故により、放射性物質の漏洩が起こる。 ・国策である場合は、国民の税金等が投入される。 |
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テロ等 | 放射性物質 | ・テロなどの攻撃対象にされやすい。 | − | − | ||
差別を生む | ・放射能に関係するものと、原発誘致に伴う補助金等の金銭に関するもの、が主。 | − | − | |||
軍事に利用される | ・上記の長所に示したことと逆であるが、核技術は原爆製造などのように利用目的が異なっても共通する部分が多い。 | − | − | |||
原子力技術は未成熟である |
・原子核反応を現在の科学・技術は自由にコントロールできない。 ・運転に、細心の注意が必要であり、リスクが大きいため失敗は許されない。このためにストレスなども大きい。 |
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電力の出力を一定にする必要がある | ・電力の出力を変化させると原子炉が不安定になりやすいため、出力を一定にして運転している。需要が少ない時間帯(夜間など)には、揚水発電として蓄電利用されているが、電力損失が大きい。 | − | − |
原子力潜水艦 |
軍用原子炉:プルトニウム(Pu)生産炉、トリチウム生産炉、原子力船用原子炉 原子力船用原子炉:加圧水型原子炉(PWR)が主体。米国および西側諸国の原子力潜水艦は原子炉1基、旧ソ連の弾道ミサイル潜水艦は2基の原子炉を搭載しているのが普通であるので、原子炉の基数は合計約700基程度。 |
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RISTによる原子力百科事典ATOMICAの『軍用炉の廃止措置』(2009/1)から |