|
最終更新日:2017年8月1日
放射能(Radioactivity)の人工的な発生源は原子力発電(Nuclear Power)関連と核兵器(Nuclear
Weapon)関連の2つが主要なものである。医学や工学分野においても、ラジオアイソトープ(Radioisotope)と呼ばれる放射性物質(Radioactive
Substance)が扱われているため、事故による被害の報告はある。 一般に核兵器関連の場合に放射能汚染(Radioactive Contamination)が問題にされることが多い。日本は、世界でも広島(Hiroshima)と長崎(Nagasaki)で被爆を受けた唯一の国であるが、核実験(Nuclear Testing)等による被曝(Radiation Poisoning)例はいくつかの国で知られている。劣化ウラン(Depleted Uranium)の武器使用(劣化ウラン弾、Depleted Uranium Ammunition:ウラニウムは密度が高いために貫通力が大きいとされている)も放射能汚染を引き起こしていると言われている。 原子力発電(Nuclear Power)関連の放射能汚染も、米国のスリーマイルアイランド(Three Mile Island:1979年)や旧ソ連(現ウクライナ、Ukraine)のチェルノブイリ(Chernobyl:1986年)における大事故によるものや、様々な段階の小事故によるものが知られている。2011年3月に発生した東日本大震災に伴う福島原発事故はチェルノブイリ原発事故に次いで放射能汚染が激しく、現在も進行中である。 ウラニウム(Uranium)の採掘(Mining)に伴う放射能汚染も知られている。 自然放射能〔Natural Radioactivity、Natural Background Radiation:大気側(Sources from Space and in the Atmosphere)からと地下側(Sources in the Earth)からの2通りがあり、地下に自然の条件で放射性物質が多い場合がある〕も存在するが、一般的には汚染と言わないことが普通である。 |
リンク |
※(独)国民生活センターによる『比較的安価な放射線測定器の性能』(2011年9月8日)によれば、500Bq/kgは約0.007μSv/hに相当するが、10万円以下程度の安価な測定器はこのような低放射能を測定できる能力を持たない。 従って、食品・飲料水等(暫定規制値は200〜500Bq/kg)の137Csの汚染検査に用いることはできない。
なお、累積の被ばく量の測定には『バッジ』が用いられる。測定範囲は最低0.1mSv程度のものが多い。
原子力災害 |
※1986年4月26日にソビエト連邦(現:ウクライナ)のチェルノブイリ原発4号炉で起こった事故。原子炉は、黒鉛減速沸騰軽水圧力管型(RBMK-1000型)。
|
※2011年3月11日(金)14時46分頃に三陸沖(牡鹿半島の東南東約130km付近)の深さ約24kmで発生したマグニチュード(Mw)9.0の超巨大地震による災害である東北関東大震災(2011年東北地方太平洋沖地震)に伴って生じた事故。福島第一原発(原子炉計6機、沸騰水型軽水炉)と福島第二原発(原子炉計4機、沸騰水型軽水炉)における炉心熔融や水素(ガス)爆発等に伴って放射性物質が放出した〔貯蔵プールに保管されていた使用済み核燃料(高レベル放射性廃棄物)からの放射性物質の漏出も〕。第一原発では、1〜3号機は自動停止、4〜6号機は定期点検のため停止中であったが、1〜4号機で大きな問題が発生した(基本的には冷却の問題)。第二原発においても問題が生じたが、第一原発よりも早く終息した。
|
※1979年3月28日に米国ペンシルベニア州のスリーマイル島原発2号炉で発生した事故。原子炉は、加圧水型軽水炉(PWR)。
|
《INES》(International Nuclear Event Scale、国際原子力事象評価尺度) |
放射能汚染 |
関ほか(2012)による『放射性物質による土壌汚染の調査法に関する手法の検討』から |
(前略) ウィキペディア(HP/2011/3)による『シーベルト』から |
〔図G−1〕全国の降下物中のSr-90、Cs-137平均濃度 1980年まで中国で大気圏核爆発実験が行われていた。その後Sr-90及びCs-137の濃度は減少したが、1986年のチェルノブイリ原子力発電所の事故により、特にCs-137濃度が高くなっている。 |
〔図G−2〕全国の日常食中のSr-90、Cs-137平均濃度 日常食においては降下物ほど顕著なピークは見られないが、中国の大気圏内核爆発実験及びチェルノブイリ原子力発電所の事故の影響は見られる。 |
原子力安全委員会(2008)による『環境放射線モニタリング指針』から |
線量限界 |
|
|
|
|
|
|
|
|
RIST(2012/2)による『原子力百科辞典ATOMICA』の『ICRP勧告(1990年)による個人の線量限度の考え』から |
|
|
||
実効線量 | 決められた5年間の平均が1年あたり20mSv | 1年に1mSv | |
等価線量 | 眼の水晶体 | 150mSv | 15mSv |
皮膚 | 500mSv | 50mScv | |
手先、足先 | 500mSv | ||
注)職業被ばくの実効線量は任意の1年に50mSvを超えるべきではないという付加条件がついている。 女性の職業被ばくに関して、妊娠が告知された後の残りの期間の腹部の表面について2mSvという補助的な等価線量限度を適用する。 |
原子力百科事典ATOMICA(HP/2011/4)による『ICRP勧告(1990年)による個人の線量限度の考え』から |
生体濃縮(生物濃縮) |
松永(2011/6)による『魚の放射能汚染』から 水産庁(2007年?)による『水産物における放射性物質について』にも同じような図がある〔参考文献:山県登編、生物濃縮/笠松不二男、Radioisotopes 48, 1999〕。 |
|
|
|
|
|
|
RIST(2004/8)による『原子力百科辞典ATOMICA』の『放射性核種の生物濃縮』から |
|
|
RIST(2003/3)による『原子力百科辞典ATOMICA』の『放射能の河川、湖沼、海洋での拡散と移行』から |
図1 淡水から人にいたる137Csの 食物連鎖(水に対する存在比を示 し、%数値は人の摂取の内訳) (Pendleton1958) |
|
|
|
清水(1973/11)による『環境における放射性物質の生物濃縮について』から |
SPEEDI(緊急時環境線量情報予測システム) |
|
|
原子力百科事典ATOMICA(HP/2011/4)による『緊急時環境線量情報予測システム(SPEEDI)』から |