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本授業科目について
本授業は、地表でみられるさまざまな現象を理解するために必要な、地球を構成する物質とその性質について概説します。『地球システム』は、おもに無機の世界である『地圏(geosphere)』・『水圏(hydrosphere)』・『気圏(atmosphere)』の3圏と、これらの重なり合う空間に存在する有機の世界の『生物圏(biosphere)』の4圏に分けて取り扱えますが、ここではとくに『地圏』について、その基本構成単位である鉱物(mineral)、そしてその集合体である岩石(rock)について説明し、これらと残りの3圏との相互作用について考えます。とくに地表で見られるさまざまなエネルギー・物質循環過程での諸作用(例、風化作用や土壌化作用など)のメカニズムについて、そして5番目の『人間圏(anthroposphere?)』の存在がこれらの過程に与える影響についても考えます。
※さらに授業に関連した内容について調べたい時には、インターネットのフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』からキーワードを入力して検索を行うと簡潔な説明を読むことができます。ここでは、他言語による説明も見ることができます。また、参考資料についても教えてくれますので、非常に便利です。
配布プリント等 |
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補足説明 |
【日本の20世紀初期の3大鉱物標本】
参考 |
非生物源 (天然) |
無機物 | 固態 | 鉱物〔岩石、土壌、レゴリス〕、氷河、浮遊物質〔水中〕、エーロゾル〔大気中〕 | 主に地圏(地殻、マントル、核)、地球外物質(隕石など):鉱物の種の総数は約4000。 | |
液態 | 水、溶存物質、エーロゾル | 主に水圏 | |||
気態 | 大気(窒素ガス、酸素ガス、水蒸気など) | 主に気圏 | |||
有機物 | 固態 | ||||
液態 | |||||
気態 | メタンガスなど | 主に気圏 | |||
生物源 (天然) |
生体 | 有機物 | 固態 | 生体バイオマス(植物、動物など) | 生物圏:生物の種の総数は約200万。 |
液態 | 生体バイオマス由来物質 | 天然物化合物 | |||
気態 | 生体バイオマス由来物質 | 天然物化合物 | |||
無機物 | 固態 | サンゴ礁(石灰質部分)など | |||
液態 | |||||
気態 | |||||
非生体(死体) | 有機物 | 固態 | 石炭、化石の一部、死体バイオマス | 化石燃料(石炭) | |
液態 | 石油、シェール・オイル/サンド・オイル〔固態に近い〕 | 化石燃料(石油) | |||
気態 | 天然ガス、メタンハイドレート | 化石燃料(天然ガス) | |||
無機物 | 固態 | 石灰岩など | |||
液態 | |||||
気態 | |||||
人間源 (人工) |
有機物 | 固態 | プラスチック、高分子化合物など | CAS(Chemical Abstracts Service)による収録件数の総数では、2009年1月現在で、有機化合物と無機化合物が約4200万件弱、バイオシーケンス(タンパク質のアミノ酸配列や遺伝子の核酸配列など)が約6000万件強、合計1億種類を超える。 | |
液態 | 石油製品など | ||||
気態 | LPG、フロンガスなど | ||||
無機物 | 固態 | 各種金属(合金を含む)、セラミックス、ガラスなど | |||
液態 | 各種薬品など | ||||
気態 | 炭酸ガス、各種ガス類など |
成 岩 |
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花崗岩(granite):酸性(acidic)の深成岩(plutonic rock)。大陸地殻の代表的な岩石。灰色部分は石英(quartz:SiO2)、白色部分は斜長石(plagioclase:NaAlSi3O8〜CaAl2Si2O8)、黒色部分は黒雲母(biotite)であるが、カリ長石(K-feldspar)(正長石;orthoclase:KAlSi3O8)ははっきりしない(少し灰色味をもつ白色の部分に存在すると考えられる。試料によっては、暖色系の色合いが強い。)。鉱物の粒径は数mmであるが、試料によっては1cmを超える場合もある。 | 玄武岩(basalt):塩基性(basic)の火山岩(volcanic rock)。海洋地殻の代表的な岩石。輝石(pyroxene)と斜長石(plagioclase)を主とし、カンラン石(olivine)や角閃石(amphibole)も伴う。ただし、鉱物の粒径は肉眼では識別できないほど小さい。輝石・カンラン石・角閃石は有色鉱物であるので、全体的には暗灰色に見える。 | |
火成岩(igneous rocks)は、マグマ(magma:岩石の溶融体)から固結してできる岩石であるが、化学組成(とくにSiO2(珪酸;シリカ)成分量)および組織(形成深度が粒径などに最も影響する。)の違いにより分類される。花崗岩はSiO2量が多く、深部でゆっくり冷却されて形成された。一方、玄武岩はSiO2量が少なく、地表付近で急速に冷却されて形成された。これらの中間の性質を持つ岩石には、別の名称が付けられているが、これらは連続的に変化している。なお、マグマの化学組成の違いは主に源岩の違いによる。 | ||
成 岩 |
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片麻岩(gneiss):高温および高圧の変成条件下で形成される変成岩。上の花崗岩に似ているが、源岩の種類の違いによって、構成鉱物は変動する。大陸地殻中〜深部に地表の岩石がもたらされて形成されるので、大陸地殻の形成史に関連する情報を有する。 | 片岩(schist):高圧および中〜低温の変成条件下で形成される変成岩。圧力(応力)に垂直な方向に押し潰されたような組織を示す(この写真は平らな面を撮っているので明瞭ではないが、下部に見える断面では平行な縞模様が見える。)。 | |
変成岩(metamorphic rocks)は、地表付近にあった岩石が地下へ埋没し、地下の高温・高圧条件によって、構成鉱物の一部または全部が変化した岩石である。一般的な変成岩は、圧力と温度の両方の影響によって形成される。とくに両方の影響が大きい変成岩は、構成鉱物が粗粒であり等粒状になって、一見花崗岩に似る場合もあるが、片麻岩と呼ぶ。比較的圧力の影響が大きい場合には応力のために層状を示すことがあり、その代表的なものが片岩である。これらは広域的に形成される場合が普通であるので広域変成岩に含まれる。また、特別に温度の影響が強い場合は熱変成(接触変成)岩と呼ぶことがあり、逆に圧力の影響が強い場合は動力変成岩と呼ぶことがある。 | ||
積 岩 |
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砂岩(sand stone):構成鉱物の粒径が2mm〜1/16mmの砕屑岩(clastic rock)。 | 泥岩(mud stone):構成鉱物の粒径が1/16mm以下の砕屑岩(clastic rock)。 | |
堆積岩(sedimentary rocks)は、地表における風化・浸食・運搬・堆積作用によって形成される岩石であり、砕屑岩が主体である。地表環境条件下で不安定な鉱物は、破砕と分解の過程で消失するため、一次鉱物(源岩を構成していた鉱物)の種類は限られる(主に石英および長石の一部が残る。他には岩片状のものも残る。さらに地表条件で安定な粘土鉱物のような二次鉱物も形成される。)。一方、破砕によって半分また半分と粒径が小さくなると仮定すれば、(1/2)nとして構成鉱物の大きさを表せる。人為的に2mmや(1/2)4mmなどが砕屑物の大きさの境界として使われ、2mm以上の粒子から構成されるものは礫、2mm〜1/16mmは砂、1/16mm以下は泥とされている。これらの堆積物は地下での続成作用によって粒子間が固定されると、堆積岩となる。これらは層状の組織・構造を持つので一般に地層と呼ばれる。 |