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授業科目『地球構成物質論』(2007年度後期)〔大学院〕(終了) |
配布プリント|補足説明
- シラバス(講義室 J201)
- 広島大学の授業時限
- 聴講者はもみじで登録をしておいて下さい。
- 欠席する場合は、メールで連絡して下さい。
- ※11月30日の教室はA506に変更となります(AO入試のため)。
本授業科目について
本授業は、地表でみられるさまざまな現象を理解するために必要な、地球を構成する物質とその性質について概説します。『地球システム』は、おもに無機の世界である『地圏(geosphere)』・『水圏(hydrosphere)』・『気圏(atmosphere)』の3圏と、これらの重なり合う空間に存在する有機の世界の『生物圏(biosphere)』の4圏に分けて取り扱えますが、ここではとくに『地圏』について、その基本構成単位である鉱物、そしてその集合体である岩石について説明し、これらと残りの3圏との相互作用について考えます。とくに地表で見られるさまざまなエネルギー・物質循環過程での諸作用(例、風化作用や土壌化作用など)のメカニズムについて、そして5番目の『人間圏』の存在がこれらの過程に与える影響についても考えます。
※さらに授業に関連した内容について調べたい時には、インターネットのフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』からキーワードを入力して検索を行うと簡潔な説明を読むことができます。ここでは、他言語による説明も見ることができます。また、参考資料についても教えてくれますので、非常に便利です。
レポートの提出について
下記のテーマから一つを選んで、レポートを提出しなさい。
【テーマ@】 地球構成物質について説明しなさい。
【テーマA】 鉱物について説明しなさい。
【テーマB】 岩石について説明しなさい。
【テーマC】 土壌について説明しなさい。
【様 式】 2000字程度。
【提出〆切】 2008年2月8日(金)
【提出先】 メール(添付ファイル)による〔mfukuok@hiroshima-u.ac.jp〕。 |
第1回(10/5)|第2回(10/12)|第3回(10/19)|第4回(10/26)|第5回(11/2)|第6回(11/9)|第7回(11/16)|第8回(11/30)|第9回(12/7)|第10回(12/14)|第11回(12/21)|第12回(1/11)|第13回(1/18)|第14回(1/25)(最終回)
●第1回(10/5)
- 本授業と他の関連授業との関係の説明:
『総合科学研究科』の中の『開設授業科目一覧』の『講義科目(環境科学部門)』などを参照。
- 授業全体の概説:
1)成績評価について:
・後期試験期間最終日を〆切とするレポート(1回のみ)を課す予定。
・レポートの課題等の説明は冬季休暇前頃に行う予定。
2)教材などについて:
・次回からプリントを配付する。
・関連情報は本ウェブを参照。
3)内容について:
地球の4圏について(地圏・水圏・気圏・生物圏)と地表/表層での物質相互作用について
以下の順序で説明する予定。
(1)原子と元素について
(2)鉱物について
(3)岩石について
(4)岩石の成因@火成岩について
(5)岩石の成因A変成岩について
(6)岩石の成因B堆積岩について
(7)水と大気の働きについて
(8)生物の働きについて
(9)風化作用について
(10)土壌生成作用について
(11)地球資源について
- 参考書の紹介:
【全般】
@周藤賢治・牛来正夫(1997):地殻・マントル構成物質.
岩石・鉱物全般を概説したもの。
【鉱物学】
A森本信男(1989):造岩鉱物学.
造岩鉱物についての本はこれだけ。
【粘土鉱物学・粘土科学】
B白水晴雄(1988):粘土鉱物学−粘土科学の基礎−.
粘土鉱物学の概説的な参考書の代表。お奨め。
C下田 右(1985):粘土鉱物研究法.
粘土鉱物の研究法をとくに説明。
D須藤談話会(編)(2000):粘土科学への招待−粘土の素顔と魅力−.
一般向けに、わかりやすい内容。
E須藤談話会(編)(1986):土をみつめる−粘土鉱物の世界−.
上記の旧版的なもの。
F日本粘土学会(編)(1997):粘土の世界.
一般向けに、おもしろく編集。
【岩石学】
G周藤賢治・小山内康人(2002):記載岩石学−岩石学のための情報収集マニュアル.
H周藤賢治・小山内康人(2002):解析岩石学−成因的岩石学へのガイド.
上記2冊は、岩石学全般の最近の研究結果を集成している。やや専門的。
I水谷伸治郎ほか(編)(1987):日本の堆積岩.
J久城育夫ほか(編)(1989):日本の火成岩.
K橋本光男(1987):日本の変成岩.
上記3冊は、日本の岩石の記載をまとめたもの。
【地球化学(水−岩石相互作用】
L鹿園直建(1997):地球システムの化学 環境・資源の解析と予測.
地球化学的物質循環についての研究をまとめたもの。やや専門的。お奨め。
M黒田吉益(2002):水素同位体比から見た 水と岩石・鉱物.
とくに水素同位体比から、岩石と鉱物の性質を説明。
【土壌学】
N久馬一剛(編)(1997):最新土壌学.
土壌学全般の概説。お奨め。
O松井 健・岡崎正規(編著)(1993):環境土壌学−人間の環境としての土壌学−.
環境学的側面から土壌をみたもの。
【その他】
P熊澤峰夫・丸山茂徳(編)(2002):プルームテクトニクスと全地球史解読.
現在の新しい地球観をまとめたもの。やや専門的。非常にお奨め。
●第2回(10/12)
- 出席確認(以後毎回確認):出席状況を評価に反映します。
※欠席する場合は、メールで連絡してください。
- 内容:原子と元素について。
- 配布プリント:1種(およびファイル1冊):
1)北野(1992)による『化学の目で見る地球の環境−空・水・土−』の『第1章 序論』と『第2章 自然をみつめる化学の目−物質の単位、原子』(1-22p)。
- 紹介した参考図書:
@北野 康(1992):化学の目で見る地球の環境−空・水・土−.(この本の改訂版が2006年に出版されています。例えば)
●第3回(10/19)
- 内容:鉱物について。
鉱物学の歴史など。
- 配布プリント:1種:
1)「1.鉱物と造岩鉱物」、「2.鉱物の記載と分類」…『造岩鉱物学』(3-29p)
- 紹介した参考図書:
【鉱物学】
※鉱物学の日本語の参考書は非常に少ない。一般用ないしこども用に書かれたわかりやすいものもあるが、内容が偏っていたり、間違いが多いなどのために、参考になるものはほとんどない。以下には専門家向けのいくつかを示す。
@地学団体研究会(編)(1995):鉱物の科学 新版 地学教育講座3巻.
新版地学教育講座全16巻の中の1冊。もっとも広い範囲の説明をわかりやすく行っているもの。
A森本信男(1989):造岩鉱物学.
(前述)
B秋月瑞彦(1998):鉱物学概論−形態と組織−.
とくに、鉱物の形態と組織を説明。
C森本信男ほか(1975):鉱物学.
日本語の鉱物学の参考書の代表的なもの。ただし、少し古い(絶版)。
【地球構成物質(鉱物+岩石)】
D周藤賢治・牛来正夫(1997):地殻・マントル構成物質.
(前述)
【Mineralogy】
※英語で書かれたものは非常に多く、しかもカラフルでわかりやすいものも多くある。そのうちのいくつかを以下に示す。
EHibbard,M.J.(2002): Mineralogy
−A Geologist's Point of View.
地質家から見た鉱物学の書名のように、地質環境において鉱物が示す特徴および分析機器と分析手法にかなりの紙面を割いている。
FKlein,C.(2001): The 22nd Edition of the Manual of Mineral Science (after
J.D.Dana)(with one CD-ROM).
Danaにより1912年に出版された鉱物学の参考書の22版。図表はCD-ROMでも提供されている。
GNesse,W.D.(2000): Introduction
to Mineralogy.
鉱物学入門として、100を超える鉱物の記載(産状や成因をふくむ)がかなり詳しい。
●第4回(10/26)
●第5回(11/2)
●第6回(11/9)
- 内容:変成岩について。
- 配布プリント:2種:
1)「第4章 変成岩」…『地殻・マントル構成物質』(185-210p)
2)「3.地殻の物質」…『基礎地球科学』(47-86p)
- 『(結晶)片岩』と『片麻岩』の試料を回覧。
- 紹介した参考図書:
@周藤賢治・牛来正夫(1997):地殻・マントル構成物質.
(前述)
A西村祐二郎(編著)(2002):基礎地球科学.
大学低学年向け教科書の一つ。
●第7回(11/16)
- 内容:堆積岩について。
- 配布プリント:2種:
1)「第3章 堆積岩」…『地殻・マントル構成物質』(169-184p)
2)「1.正常堆積物」、「2.沖積層」、「3.付加体堆積物」…『地質基準』(21-67p)
- 『砂岩』と『頁岩』の試料を回覧。
- 紹介した参考図書:
@周藤賢治・牛来正夫(1997):地殻・マントル構成物質.
(前述)
A日本地質学会地質基準委員会(編著)(2001):地質基準
専門書。
『0.1 地質基準とは
地質学は地球を構成する物質を調べる学問であり、近代科学としては最も古い歴史を有している。地球を構成する物質についてどのような調査や研究が必要であり、国際学会などで注目されている最先端の研究はどのようなものであるかを、系統的なまとめたものが“地質基準”である。
日本列島は海洋プレート(oceanic plate)が沈みこむ島弧であり、プレート沈みこみにともなう付加体堆積物(accretionary
complex)や島弧火山岩を主体として構成されている。これらの岩石は、地質学が発展した古い大陸地域に位置する欧米では主体を占めず、研究もすすんでおらず、正面から取りくむ教科書も少なかった。この本はプレート沈みこみにともなう地質体をはじめ、日本列島を構成しているすべての地質体を系統的に取りあつかったものである。この基準はほかの惑星や月などの衛星の構成物質を調査するさいにも適用されることとなろう。』(1pから)
- ※次回(11月30日)の教室はA506に変更となります(AO入試のため)。
●第8回(11/30)
- 内容:水と大気の働きについて。
- 配布プリント:4種:
1)「4 地球表層における物質循環」…『地球化学』(107-128p)
2)「付表W 大気中の化学成分の濃度と平均滞留時間」、「付表X 海水中の化学成分の平均濃度と平均滞留時間」…『地球化学』(240,241p)
3)「地球表面の諸環境」…『図説地球科学』(126-133p)
4)「4. 海の堆積物」…『地球の水圏−海洋と陸水』(66-69p)
- 紹介した参考図書:
@松尾禎士(監修)(1989):地球化学.
地球化学の入門書の定番。
A杉村 新・中村保夫・井田喜明(編)(1988):図説地球科学.
岩波書店の旧地球科学講座を図を中心にまとめたもの。少し古いがお奨めの一つ。
B地学団体研究会(編)(1995):地球の水圏−海洋と陸水.
新版地学教育講座全16巻の中の1冊。もっとも広い範囲の説明をわかりやすく行っているもの。
●第9回(12/7)
- 内容:生物の働きについて。
- 配布プリント:2種:
1)「4 生態系とその特徴」…『地球生態学』(77-107p)
2)「生物・生態に関するデータ」…『環境年表2004/2005』(244-258p)
- 紹介した参考図書:
@和田英太郎(2002):地球生態学.
岩波書店による環境学入門全12巻の中の1冊。
A茅 陽一(監修)オーム社(編)(2003):環境年表
2004/2005.
環境学関係の図表集の1つ。これが類書の中で1番内容的に優れていると思われる。隔年刊で、現時点で最新のもの。
●第10回(12/14)
- 内容:風化作用と土壌生成作用について。
- 配布プリント:2種:
1)「7章 風化と土壌生成」…『地表環境の地学−地形と土壌』(114-129p)
2)「1.土壌とは何か−地球上におけるその意義と役割」、「2.土壌の生成と分類」、「3.土壌の材料」、「4.土壌の有機物」…『最新土壌学』(1-53p)
- 『岩石風化標本8種』(新鮮な花崗岩、さまざまな程度に風化した花崗岩、マサ、粘土)を回覧。
- 紹介した参考図書:
@久馬一剛(編)(1997):最新土壌学.
前出。
A地学団体研究会(編)(1995):地表環境の地学−地形と土壌.
新版地学教育講座全16巻の中の1冊。もっとも広い範囲の説明をわかりやすく行っているもの。
●第11回(12/21)
- 内容:土壌と粘土鉱物について。
- 配布プリント:1種:
1)「第1章 序論」、「第2章 粘土鉱物の化学組成と結晶構造」…『粘土鉱物学』(1-35p)
- 紹介した参考図書:
@白水晴雄(1988):粘土鉱物学−粘土科学の基礎−.
前出。
- 『レポートの提出について』はこちら。
●第12回(1/11)
- 内容:土壌の生物性と化学性について。
- 配布プリント:1種:
1)「5.土壌の生物性」、「6.土壌の化学性」…『最新土壌学』(54-95p)
- 紹介した参考図書:
@久馬一剛(編)(1997):最新土壌学.
前出。
●第13回(1/18)
- 内容:土壌化学性と物理性について。
- 配布プリント:1種:
1)「7.土壌の物理性」、「12.環境問題と土壌」…『最新土壌学』(96-118,197-210p)
- 紹介した参考図書:
@久馬一剛(編)(1997):最新土壌学.
前出。
●第14回(1/25)
- 内容:土壌の化学性(続き)と土壌の物理性について。
全体のまとめ。
- 配布プリント:2種:
1)「1 序論」…『地球システム科学入門』(1-16p)
2)「2 生物の元素組成」…『生物地球化学』(32-67p)
- 紹介した参考図書:
@鹿園直建(1992):地球システム科学入門.
地球システム科学の日本初の参考書。
A南川雅男・吉岡崇仁(編)(2006):生物地球化学.
培風館の地球化学講座の中の一冊。
第1回(10/5)|第2回(10/12)|第3回(10/19)|第4回(10/26)|第5回(11/2)|第6回(11/9)|第7回(11/16)|第8回(11/30)|第9回(12/7)|第10回(12/14)|第11回(12/21)|第12回(1/11)|第13回(1/18)|第14回(1/25)
■第1回(10/5)
- 日本語で書かれた鉱物学および岩石学の参考書で、代表的(古典的)なものは次のとおり(出版は古い):
【鉱物学】
@森本信男ほか(1975):鉱物学.
A原田準平(1973):鉱物概論 第2版 岩波全書230.
【岩石学】
B都城秋穂・久城育夫(1972):岩石学I 偏光顕微鏡と造岩鉱物.
C都城秋穂・久城育夫(1975):岩石学II 岩石の性質と分類.
D都城秋穂・久城育夫(1977):岩石学III 岩石の成因.
- 紹介しなかった、その他の参考書:
【全般】
E通商産業省工業技術院地質調査所(編)(1992):日本の岩石と鉱物.
【鉱物学】
F秋月瑞彦(1998):鉱物学概論−形態と組織−.
【土壌学】
GE・M・ブリッジズ(1990):世界の土壌.
HP・Bullockほか(1989):土壌薄片記載ハンドブック.
I大羽 裕・永塚鎮男(1988):土壌生成分類学.
■第2回(10/12)
■第3回(10/19)
■第4回(10/26)
【日本の20世紀初期の3大鉱物標本】
- 和田鉱物標本
『和田鉱物標本は、東京大学理学部鉱物学教室の基盤を築いた日本人の初代教授である和田維四郎の収集した日本最大の鉱物標本コレクションである。和田維四郎が開成学校助教から東京大学助教授・教授、地質調査所長、鉱山局長、官営製鉄所長官と職を転ずることがあっても、終生変えなかったのが鉱物収集であった。和田維四郎の逝去後、標本は全て岩崎家に買い取られ、現在三菱マテリアルの所有になっている。しかし、明治初期に開成学校助教から東京大学助教授・教授時代に勧業博覧会などの機会に日本全国から集まった標本を東京大学に収めて研究に用いたものが基礎になっている。その点で、和田鉱物標本は東大コレクションの名を付しても不思議ではない。その主だったコレクションについての記載は和田維四郎著「日本鉱物誌(初版)」、同著「本邦鉱物標本」に残されている。両書に記載されている鉱物は約1100の総覧標本と約370の大型標本である。この他に和田維四郎が記載し整理した標本や未整理の標本を併せると4000点を越える。しかし、和田維四郎の没後、何らかの理由で行方不明の標本も数多い。平成11〜12年に和田標本画像データベースを作成するべく、三菱マテリアル中央研究所、シルバー生野、ゴールデン佐渡、鴬沢町立標本館、土肥黄金館を調査し、全標本の写真撮影を行った。(以下略)』
- 若林標本
『鉱物部門は「若林標本」と名づけられた世界的な鉱物コレクションを所有しているほかに、長年に渡って収集した研究用の鉱物標本を多数所有している。これらの標本は、研究者の要望に応じて研究用試料として提供されている。収蔵する全標本数は950種、約2万3000点に上る。特に、若林標本は三菱鉱業の若林弥一郎博士が収集した182種1932点
(約1000点の未分類の試料を除く) におよぶ日本・朝鮮・中国を中心とした産地の鉱物コレクションであり、後に東京大学に寄贈されたものである。アマチュアの個人コレクションとしては世界的で、このコレクションについて
1974年にカタログが作成され東京大学研究総合資料館 (現東京大学総合研究博物館) から出版された。 (定永両一・豊遥秋
: The Wakabayashi Mineral Collection, Bulletin NO.7, The University
Museum, The University of Tokyo, 1974) 』
- 高壮吉鉱物標本Web展示
『高壮吉鉱物標本は明治45年(1912年)から昭和4年(1929年)まで工学部採鉱学教室の教授であった高壮吉により、1890年代から1930年代にかけて蒐集されたもので、標本個数は約1200個です。産地は日本全土に及び、とくに九州の金属鉱山の産出鉱物に見事なものが多く、朝鮮および台湾産もかなりの数に達し、欧米等の標本も含まれています。もっとも著しい特徴は、標本が大型で雄大豪華な点であり、東大の若林標本、和田標本とともに20世紀初期の三大標本の一つに挙げられています。』
■第5回(11/2)
■第6回(11/9)
■第7回(11/16)
■第8回(11/30)
■第9回(12/7)
■第10回(12/14)
■第11回(12/21)
■第12回(1/12)
■第13回(1/18)
■第14回(1/25)
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