|
最終更新日:2016年8月14日
全般 | 燃料 | 木質⇒こちら | その他 |
リンク⇒こちら| バイオマスとは| バイオマス生産量| ポテンシャル| ロードマップ| |
エネルギー| 燃焼| |
木質バイオマス| 木質ペレット| ペレタイザ| ペレット/チップボイラー・ストーブ| |
バイオマス・ニッポン| バイオマスタウン| 木の駅プロジェクト| |
|
バイオマス(Biomass、生物体量)とは、元来は生態学(Ecology)で生物(Living Biological
Organisms)の量を物質の量〔質量(Mass)またはエネルギー(Energy)〕として表現したものを意味する。資源(Resource)関連では、現在の生物に由来する資源を指し、近年は再生可能(Renewable)でクリーンな(Clean)エネルギー資源(Energy Resource)の一つとして頻繁に使われている。 バイオマスエネルギーは、生物由来のエネルギーであり、石油などの化石燃料は過去の生物のバイオマス由来であるが、普通はバイオマスエネルギーとは呼ばれない。薪炭は現在のバイオマスを利用しているが、このような古くから使われているものも、バイオマスエネルギーといような呼び方をしないことが多い。つまり、バイオマスエネルギーという呼び方は、現在の生物の新しい利用法のものを指すことが一般的であるが、以下の表には広い意味でのバイオマスエネルギーに含まれるものをまとめている。
|
バイオマスとは |
NEDO(2013/12)による『再生可能エネルギー技術白書』の『第4章 バイオマスエネルギー』から |
図表4.1 バイオマスエネルギー技術体系 ※「一般廃棄物処理関連技術」については、1)組成が複雑であること、2)組成中のバイオマスからのエネルギー変換のみを目的とした技術体系でないこと、3)近年になって、ようやくバイオマスエネルギー回収に主眼を置いた施設設置が進んできたこと、4)エネルギー回収設備の設置等においては交付金等による促進が主であり技術開発、普及に係る要因がコスト制約のみではないこと、等を背景に本書においてはバイオマスエネルギー変換技術とは別の体系として整理した。 |
図表4.2 バイオマス資源の体系 |
NEDO(2010)によるNEDO再生可能エネルギー技術白書の中の『バイオマスエネルギーの技術の現状とロードマップ』から |
NEDO(2010)による『バイオマスエネルギー導入ガイドブック(第3版)【見る→】』の『バイオマス資源の体系』(4p)から 【見る→】 |
図 1.1.4 バイオマス資源の分類B |
図 1.1.6 バイオマスの有効発熱量の水分・灰分依存性 |
(独)産業技術総合研究所・(株)テクノリサーチ研究所による『バイオマス資源の活用とバイオマスマテリアルの開発状況に関する実態調査 報告書』(2010/2)から |
【第213-3-14】バイオマス資源の分類及び主要なエネルギー利用形態 【第222-3-5】世界各地域のバイオマス利用状況(2001年) 〔資源エネルギー庁による『エネルギー白書 2004年版』から〕 |
|
|
バイオマス生産量(導入量) |
図 4-4 主要国のバイオマスエネルギー導入実績(一次エネルギーベース) 出典:“Renewables information”(2011,IEA)より NEDO 作成 |
図 4-5 主要国のバイオマスエネルギー導入推移(一次エネルギーベース) 出典:“Renewables information”(2011,IEA)より NEDO 作成 |
図 4-6 日本のバイオマスエネルギー導入量の推移 出典: 資源エネルギー庁資料より NEDO 作成 |
|
NEDO(2013/12)による『再生可能エネルギー技術白書』の『第4章 バイオマスエネルギー』から |
環境省による『平成23年版 環境・循環型社会・生物多様性白書』から |
REN21〔ISEP訳〕(HP/2011/6)による『自然エネルギー世界白書2010』から |
図表4.16 主要国における再生可能、バイオマスエネルギー等の導入実態(2007 年) 出典:「Energy Balances of OECD Countries (2009 Edition)」(2009, IEA) |
図表4.18 日本のバイオマスエネルギー導入量の推移 ※発電量について:2005 年度からは、売電分だけでなく自家消費分(買電節約分)についても調査対象を拡大して計上。2005、2006 年度の破線は売電分だけを計上した場合の推定値。 出典:「総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会(第30 回)資料」平成21 年2 月13 日 |
図表4.19 バイオマス発電の利用実態(発電量の内訳)(2006年度実績) ※ここでは、一般廃棄物中のバイオマス分のみをバイオマスエネルギーとして計上している。 出典:「総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会(第30 回)資料」平成21 年2 月13 日 |
図表4.20 バイオマスエネルギー熱利用の利用実態(熱利用量の内訳) ※一般廃棄物中のバイオマス分のみをバイオマスエネルギーとして計上している。 出典:「総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会(第30 回)資料」平成21 年2 月13 日 |
NEDO(2010)によるNEDO再生可能エネルギー技術白書の中の『バイオマスエネルギーの技術の現状とロードマップ』から |
ポテンシャル |
4-2 IEA によるバイオマスエネルギー需要量およびポテンシャルの推計 出典:“BIOENERGY - A SUSTAINABLE AND RELIABLE ENERGY SOURCE”(2009,IEA) |
※1:降水のある森林と牧草地の平均生産量に基づき,エネルギー密度 18GJ/乾燥重量tで試算. ※2:飼料面積が解放されると,その部分がバイオマスエネルギー生産に回せるため,技術ポテンシャルは 171EJ/年から 288EJ/年に増加する.図 4-1-2 では,持続可能なバイオマスポテンシャルの推計の幅(200〜500EJ/年)に含まれる. 出典:“Renewable Energy Sources and Climate Change Mitigation”(2011,IPCC)より NEDO 作成 |
NEDO(2013/12)による『再生可能エネルギー技術白書』の『第4章 バイオマスエネルギー』から |
図表4.9 我が国のバイオマス賦存量・利用率(2008 年) 出典:「第12 回バイオマス・ニッポン総合戦略推進会議およびバイオマス・ニッポン総合戦略推進アドバイザリーグループ会合合同会議参考資料」(2009) |
図表4.10 我が国のバイオマスエネルギーのポテンシャル 出典:「総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会(第30 回)」(H21.2 経済産業省)配付資料-資料1 p11 より引用 |
NEDO(2010)によるNEDO再生可能エネルギー技術白書の中の『バイオマスエネルギーの技術の現状とロードマップ』から |
ロードマップ |
農林水産省バイオマス事業化戦略検討チーム(2012/4)による『バイオマス利用技術の現状とロードマップについて(案)』(一部略)から |
図表 4-57 バイオマスエネルギーの技術ロードマップ(1) |
|
図表 4-58 バイオマスエネルギーの技術ロードマップ(2) |
図表 4-59 バイオマスエネルギーの技術ロードマップ(3) |
図表 4-60 バイオマスエネルギーの技術ロードマップ(4) ※1:経済産業省「バイオ燃料技術革新計画」(平成20年3月、バイオ燃料技術革新協議会) ※2:経済産業省「エネルギー基本計画」(平成22年6月) |
図表 4-61 バイオマスエネルギーの技術ロードマップ(5) ※1:経済産業省総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会(第35回)-配付資料我が国の技術力を活用したセルロース系バイオ燃料等の生産可能量(試算)について(2020年のセルロース系バイオ燃料等の生産量試算検討会) |
NEDO(2010)によるNEDO再生可能エネルギー技術白書の中の『バイオマスエネルギーの技術の現状とロードマップ』から |
エネルギー |
バイオマスエネルギーの利用は、バイオマス発電とバイオマス熱利用とバイオマス輸送燃料の3つに分けることができる。
|
図5:バイオマス資源をエネルギーへ |
図6:エタノール、バイオディーゼル、HVOの世界生産量(2000年〜2013年) |
ISEPによる『自然エネルギー世界白書 2014』から |
ISEPによる『自然エネルギー白書 2014』から |
(注) 中国の値は香港を含む。出典: IEA「Energy Balances 2013」を基に作成。 資源エネルギー庁による『エネルギー白書2014』から |
図 1.3:世界の自然エネルギー市場のトレンド (出典:UNEP, Global Trends in Renewable Energy Investment 2013 より ISEP 作成) |
図 1.6:世界の最終エネルギー需要に占める自然エネルギーの割合(2011年) 出典:「自然エネルギー世界白書 2013」(REN21) |
図 1.7:自然エネルギー設備容量とバイオ燃料生産の年間平均成長率 (出典:「自然エネルギー世界白書 2013」REN21) |
|
|
図 1.16: 日本国内の自然エネルギーによる発電量の推計(ISEP調査) |
図 2.5:国内における固定価格買取制度の設備認定設備容量 (資源エネルギー庁データよりISEP作成) |
図 2.6:固定価格買取制度による発電設備の運転開始トレンド (資源エネルギー庁データよりISEP作成) |
図 2.16:バイオマス発電の設備認定の状況(2013年12月末) 資源エネルギー庁データよりISEP作成 |
図 2.17:バイオマス発電設備の認定状況(平均の設備容量)2013年12月末現在 (資源エネルギー庁データよりISEP作成) |
作成:バイオマス産業社会ネットワーク 出所:バイオマス産業社会ネットワーク調査 , 2013 年 10 月現在 *PKS:パームオイル(アブラヤシ)の残さであるパームヤシ殻 |
図 3.1:日本国内の自然エネルギー発電設備の累積設備容量(ISEP調査) |
図2.29:九州内の木質バイオマス発電所計画(2013年10月時点) |
(ISEP調査) |
|
図 2.34: グリーン電力認証量および証書発行量の推移 (グリーンエネルギー認証センター資料よりISEP作成) |
|
|
図 3.2:日本国内の自然エネルギーによる発電量の推計 (ISE 調査) |
|
図 3.15:日本国内でのバイオマス発電の導入状況と累積導入量 (ISEP調べ) |
図 3.16:日本国内でのバイオマス発電の比率内訳 (設備容量ベース) ※石炭火力への混焼を除く(ISEP 調べ) |
|
(出所)「木質バイオマス人材育成事業実施報告書」(森のエネルギー研究所、 2012年3月)より作成 |
図 3.17:国内のバイオマス発電のカテゴリー別導入推移 (出所:ISEP調べ) |
|
図 3.20:バイオ燃料の国内供給量および国内生産量 (単位 : 千 kL)出所 : 農林水産省データより |
図 3.21:BDF、バイオエタノール製造施設数の推移 出所:農水省データより作成 |
(出所:農林水産省ほかデータ) |
|
図 4.1:日本の100%自然エネルギーシナリオ (WWFジャパン,2011年) |
||
環境エネルギー政策研究所(2014/3)による『自然エネルギー白書 2014』から |
図4-7 バイオマス発電の種類 |
図4-16 主要国でのバイオマス発電量の実績量の推移(2000〜2009年) 出典:“Deploying Renewables 2011”P-41(2011,IEA) |
図 4-21 世界全体のバイオマス発電の発電容量の将来見通し(New Policies Scenario) 出典:“World Energy Outlook 2013”(2013,IEA)より NEDO 作成 |
図4-22 主要国のバイオマス,廃棄物の発電容量の将来見通し(New Policies Scenario) 出典:“World Energy Outlook 2013”(2013,IEA)より NEDO 作成 |
図 4-36 世界のバイオマス熱利用の実績量推移 出典:“Deploying Renewables 2011”(2011,IEA)より NEDO 作成 |
図 4-42 伝統的なバイオマスの熱需要予測(New Policies Scenario) 出典:“World Energy Outlook 2010”(2010,IEA) |
図 4-44 バイオマス輸送燃料変換技術の体系 |
図 4-55 世界の輸送燃料のバイオ燃料需要量とその比率(New Policies Scenario) 注:New policies Scenario:既往の政策や今後計画された政策が着実に実行された場合のシナリオ 出典:“World Energy Outlook 2011”(2011,IEA)より NEDO 作成 |
NEDO(2013/12)による『再生可能エネルギー技術白書』の『第4章 バイオマスエネルギー』から |
図 1: 2050 までの自然エネルギー低位・中位・高位シナリオ 出典:全シナリオ名、及び引用文は、「補足欄2:掲載シナリオ一覧」参照 |
図3:2050年までの世界の輸送燃料に占める自然エネルギーの割合 出典:全シナリオ名、及び引用文は、「補足欄2:掲載シナリオ一覧」参照 |
図 2: 各国およびEUにおける自然エネルギーによる電力の割合, 2010-2030 (2010年実績値、2020年目標値、2030-2035年予測値) 出典:本章については後注 25 参照 |
図4: 建築物への自然エネルギー「統合」の機会 |
21世紀のための自然エネルギー政策ネットワーク(REN21)・環境エネルギー政策研究所(ISEP)〔ISEP訳〕(2013/2)による『世界自然エネルギー未来白書 2013』から |
2. 再生可能エネルギー電力買取法(FIT)の成立と課題 (1)FIT法の成立とバイオマス電力 2011年8月、管直人首相の辞任条件になるなど紆余曲折の末、再生可能エネルギー電力全量固定価格買取制度(FIT)、電気事業者による再生可能エネルギー調達に関する特別措置法が成立した。 このFITとは、すでに世界80以上の国や地域で導入されている、再生可能エネルギー電力を固定価格で買取ることで、利用拡大を促す制度である。日本のFIT法は、2012年7月の施行が予定されているが、買取価格が決定されるのは5月頃の見込みである。 電力買取価格は、低すぎれば再生可能エネルギー電力の増大に結びつかず、高すぎれば国民や産業界の負担が過剰になる。条件や利用可能量によって、適切な設計を行うことが重要である。 特にバイオマス発電では、@バイオマスが建材や紙パルプ、飼料など他の用途と競合すること、Aエネルギー利用としても発電だけでなく熱利用もあること、B燃料となるバイオマスの輸入が可能であること、C適切な対策がとられないと森林破壊など生態系の破壊や、化石燃料以上の温室効果ガス排出につながる可能性があること、といった他の再生可能エネルギーと異なる特徴があり、十分な配慮が不可欠である。 日本のバイオマス資源のうち、使いやすい建設廃材などは、すでにほとんど使われており、今後、利用拡大が可能なのは、林地残材と食品廃棄物などの水分量の多い廃棄物バイオマスである(右図)。特に切り捨て間伐材などの林地残材は最も多いため、大きな期待がかけられている。 (2)「林地残材でバイオマス発電」は無理が多い だが、「では、FITの電力買取価格を高めにして林地残材でバイオマス発電を促進すればよい」かといえば、それほどことは単純ではない。林地残材は、基本的に「使えない」資源なので林地に残されてきたのである。 日本林業が衰退して久しい。「森林・林業再生プラン」などによるてこ入れが始まっているが、欧米に比べて大きく遅れている林内の路網整備、木材加工・流通やマーケティングの改善など、「日本の林業は産業ではない」と言われる状況を変えることは、一朝一夕では実現できない。そもそもエネルギー利用は、有機資源利用の中で最も価値が低い利用法である。木材なら、まず建材として使い、建材として使えなくなったらチップ化してボードや紙の原料とし、紙も何度かリサイクルし、いよいよ繊維がぼろぼろになって紙にならなくなったら、燃やして電気や熱として利用することができる(カスケード利用)。もちろん、林業や木材加工段階で出てくる樹皮や端材なども適宜、エネルギー利用できる。日本のバイオマス利用可能量の半分は、森林由来のバイオマスであり、今後のバイオマス利用拡大には、林業振興が不可欠である。 切り捨て間伐材をなぜ降ろして使わないかと言えば、搬出費用が材の販売価格を上回るからである。林地残材の搬出費用はケースバイケースで大きく変わるが、6,000〜20,000円/m3程度とされる。一方、燃料用としての取引価格は3,000円程度であり、到底、引き合わない。 第二に、林地残材を一定価格以下で、大量に安定的に集めることは難しい。バイオマスはかさばるので、特に陸上輸送の距離が長くなるとコストがかかるだけでなく、輸送用燃料を消費し、CO2削減効果が減ってしまう。 さらに、無理に安いチップの大量需要に応えようとすると、地道に作業道を整備して間伐材などを降ろすのではなく、手っ取り早く安価に大量の材を調達できる大面積の皆伐が広がるおそれがある。発電効率は、発電規模が大きいほど上げやすい。1万kWのバイオマス発電施設は、年間10万t以上のチップを必要とする。 近年、九州などで100ヘクタールを越える皆伐が広がっている上に、再造林(植林)が行われていない。こうしたことが起こる一因は、土壌流出などの問題がある伐採の「伐採届」が提出されていなかったり(違法である)、伐採届が出されていても、人手不足などで自治体が十分チェックできていないためである。FITによって大量のチップ需要が生み出される一方で、こうした歯止めが機能しないままだと、各地にはげ山が広がる可能性がある。 つまり林地残材は、大量に安価なチップを求められる(特に大規模な)発電用途には向かない資源なのである。林地残材は、建設廃材より水分量が多く燃料としての価値が低いにもかかわらず、搬出費用がかかるため建材向けよりも高くなるという「使えない」ものなので、使わないのが(経済的に)正しい姿とも言える。 もちろん、この前提条件のどこかを変えることで、「使える」資源にすることはできる。最近、各地に広がっている「バイオマス集積基地」では、一定価格で材を買い取るようにしたところ、自伐林家などが搬出するようになり、これまで林地に放置されていた材の利用が進むようになっている。林地残材は、こうしたバイオマス集積基地で行っているように、製紙用チップなどや、それらに向かなければ熱利用とするのがよいだろう。 ボイラーでの熱利用なら万トン単位である必要はなく、燃料供給力に応じたボイラーを導入すれば、無理がない。かつ、薪や丸太ボイラーであればチップ化費用がかからないため、燃料買取価格を高くできる。そうした熱利用のうち、条件が合えば熱電併給(コジェネレーション)を入れるのが、やりやすいバイオマス発電の一形態である。 大量で安価なバイオマスを必要とするバイオマス発電は、基本的に林業や木材加工によって出る樹皮や端材、あるいは利用後の廃棄物が燃料に適しており、その場合も、20%台の発電効率の電力単独ではなく、熱利用も含めた総合効率が80%程度になるコジェネレーションが望ましい。 農林水産省は、FIT施行も視野に入れ、2012年2月、バイオマス事業化戦略検討チームによる検討を開始した。また、耕作放棄地などを利用する再生可能エネルギー利用拡大を目的とする「農山漁村における再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律案」を国会に提出している。ただし、農水省が一定の賦存量があるとして挙げている農作物非食用部(上の図参照)においても、林地残材と同様、発電施設が必要とする、まとまった量を安価に安定的に供給するシステムがこれまで存在していない。そのため、今後、農村において、飼料に向かないバイオマスをエネルギー利用するにあたっては、まず小規模でも可能な熱利用を基本とし、状況によってはコジェネレーションとするのが妥当であろう。 なお、FITのバイオマス発電の買取価格はまだ決定されていないが、一つの目安は、他用途である製紙用チップをやや下回る程度もしくは同程度の原料買取価格に基づく発電コストとすることが考えられるのではないだろうか。また同時に、伐採届などがきちんと機能することも重要である。 もし、単純に林地残材の搬出費用にチップ化、輸送費用を上乗せすると、建材向けを超える価格になって、林業現場は大きく混乱するおそれがある右図は、政府のエネルギー・環境会議コスト等検証委員会報告書に載ったバイオマス発電のコストだが、単純なコストを根拠とするのではなく、上のような事情を勘案しながら、買取価格を決めていく必要があるのではないだろうか。 |
図:バイオマスの賦存量と利用可能量(出所:農林水産省資料) |
図:バイオマス(木質専燃・石炭混焼)の発電コスト 出典:エネルギー・環境会議コスト等検証委員会報告書 |
|
図3:EUのバイオディーゼル生産量(1,000トン) 出所:European Biodiesel Board |
|
図1:バイオマス発電導入量推移 |
図2:木質バイオマス発電 出所:自然エネルギー白書2012(環境エネルギー政策研究所) |
バイオマス産業社会ネットワークによる『バイオマス白書2012』から |
図7. エタノールおよびバイオディーゼルの生産量(2000年〜2011年) 出典:本章の巻末注53を参照 バイオマスは世界のエネルギー需要のうち推計53 EJを供給 〜35%は近代エネルギー使用 環境エネルギー政策研究所(ISEP)による『自然エネルギー世界白書 2012』(REN21によるRenewables 2012 Global Status Reportの和訳)から |
第222-2-11 世界各地域のバイオマス利用状況(2009年) (注) 中国の値は香港を含む。 (出所) IEA, Energy Balances 2011より作成 資源エネルギー庁(HP/2012/11)による『エネルギー白書2012』から |
中小機構によるJ-Net21の中の『バイオマス発電−生物・廃棄物を利用して発電』(2012/1)から |
(注) 中国の値は香港を含む。 (出所) IEA, Extended Energy Balances of OECD Countries 2010, Extended Energy Balances of Non-OECD Countries 2010 より作成 資源エネルギー庁による『エネルギー白書 2011』から |
図表4.3 ガス化の形式別の特徴 出典:独立行政法人産業技術総合研究所資料 図表4.4 ガス化炉タイプと適用規模 出典:「バイオマスを原料とする合成燃料の生産技術および利用に関する最新動向調査」(2009, NEDO) NEDO(2010)によるNEDO再生可能エネルギー技術白書の中の『バイオマスエネルギーの技術の現状とロードマップ』から |
燃焼 |
図 2-4 木材の燃焼プロセス
(株)森のエネルギー研究所による『平成23年度 地球温暖化対策と大気汚染防止に資するコベネフィット技術等の評価検討業務 報告書』(2012/3)から |
バイオマス・ニッポン |
家畜排せつ物や生ゴミ、木くずなどの動植物から生まれた再生可能な有機性資源のことをバイオマスといいます。 国産バイオ燃料の大幅な生産拡大について 農林水産省の『バイオマス・ニッポン』から |
バイオマスタウン |
バイオマスタウン バイオマスタウン構想を公表した318地区《平成23年4月末現在》 農林水産省(HP/2013/8)による『バイオマスタウン』から |
木の駅プロジェクト |
森林整備と地域経済の活性化を目的とした事業です。 木の駅プロジェクト(HP/2014/2)による『木の駅Prjとは』から トップページで紹介されている地域のプロジェクト数は27。 |