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第２回　エネルギー資源（総論）

配付プリント等

• 　日本を中心としたエネルギー資源（Energy Resources）状況は経済産業省〔METI、Ministry of Economy, Trade and Industry：その中の資源エネルギー庁（Agency for Natural Resources and Energy、ANRE）が管轄〕が毎年刊行しているエネルギー白書（Annual Energy Report）にまとめられています。そこには、世界の状況についても簡単に説明されています。関連の情報は、日本については資源エネルギー庁およびJOGMEC（Japan Oil, Gas and Metals National Corporation、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構）等から、世界についてはIEA（International Energy Agency、国際エネルギー機関）やUSEIA（U. S. Energy Information Administration、米国エネルギー情報局）やBP〔British Petroleumの略称からきているがBP（ビーピー）が正式名：英国の国際的な石油会社〕等から入手できます。
  　ただし、エネルギー需給（Supply-Demand）に関連する公表されたデータは商業ベースのエネルギー資源についてのものであり、市場に出ない非商業エネルギー〔Non-commercial Energy Resources：薪（Firewood）や糞（Feces）など〕は一般的に含まれていないので注意が必要です。しかし、とくに途上国などにおいては非商業エネルギーの占める割合が高い場合がありますので、国連などによってそれらの量の見積りも近年では行われ始めています。それによれば、世界で非商業エネルギーは全体の２割程度を占めるとも言われています。以下の説明は、統計データを入手できる商業エネルギーに基づいたものですので、実際には世界の場合には0.8倍（商業エネルギー分が８割とした場合）した量が現実に近いと推定されます。日本の場合は、商業エネルギーはほぼ全エネルギーに等しいと考えて良いと思います。
  　世界のエネルギー資源の消費（Consumption）量の約９割近くが化石燃料（Fossil Fuels）〔石油（Oil、Crude Oil）＋石炭（Coal）＋天然ガス（Natural Gas）〕です。日本でも８割以上を占めます。化石燃料は炭化水素（Hydrocarbons）からなりますので、元素（Element）から見れば炭素（Carbon）と水素（Hydrogen）がその大部分を占めますが、これらを消費すると大気中の酸素（Oxygen）との反応によって炭酸ガス（Carbon Dioxide、二酸化炭素、CO2）と水（Water）が発生します。とくにこの炭酸ガスが温室効果（Greenhouse Effect）を増長し温暖化（Global Warming）を進めるということで、地球環境問題（Global Environmental Issues）と密接な関連を持つことが知られています。例えば、各国が排出する炭酸ガス量は、消費される化石燃料から主に見積られています。
  　本授業では、日本におけるエネルギー需給の概要を説明します。エネルギーの流れは、入口側の『一次エネルギー総供給（Total Primary Energy Supply）』と出口側の『最終エネルギー消費（Final Energy Consumption）』によって示されることが普通であり、エネルギーフロー（Energy Flow）とかエネルギーバランス（Energy Balance）とか呼ばれます。電気（Electric Power）や石油製品（Petroleum Products：例えばガソリン等）などは二次エネルギー（Secondary Energy）とも呼ばれるもので、一次エネルギーからの転換（Conversion）によって生み出されます。日本では、経済産業省が毎年エネルギーバランスをまとめて表として提供していました〔総合エネルギー統計（Energy Balances in Japan）〕。この表からフロー図等の作成もできますので便利でしたが、現在は休刊中です^*。それは、炭酸ガス排出量（CO2 Emission）の国際的な基準による推定も行えるような体系への変更作業のためと言われています。
  　日本の一次エネルギー総供給で最も多いのは石油（Oil）であり４割強です。日本の特徴の一つは原子力（Nuclear）が比較的多いことであり約１割強です。その他（約6％）の大部分は水力（Hydro）です。
  　日本の最終エネルギー消費は産業（Industry）・民生（Residential & Commercial）・運輸（Transport）の３分野に分類されていますが、産業は４割強、民生は３割強、運輸は２割強です。
  　日本では一次エネルギー総供給量の2/3程度が最終エネルギー消費量となっています。つまり、1/3近くが排熱（Heat Loss）となっていますので、この過程での省エネも重要です。さらに、最終エネルギー消費で実質的に利用されているのはその約半分ともされていますので、一次エネルギー総供給量の1/3程度しか有効に利用されていないことになります（⇒Exergy、エクセルギー）。
  　日本の将来のエネルギー需給の見通し（Long-term Energy Supply Demand Outlook）は、経済産業省所管の審議会である総合資源エネルギー調査会（Advisory Committee for Natural Resources and Energy、ACNRE）で一次エネルギー総供給と最終エネルギー消費について案が作成され、政府がそれを承認した後に、その方針に沿った諸施策が政府によって実行されています。近年は、気候変動枠組条約（United Nations Framework Convention on Climate Change、UNFCCC、FCCC）の京都議定書（Kyoto Protocol）に定められた炭酸ガス削減等の数値目標（Treaty Obligation）を達成するための需給量見通し案も含まれています。

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  ^*資源エネルギー庁のウェブサイトから一部のデータを入手できます。
• 『エネルギー資源（総論）』。講義内容は以下について。
  �@日本のエネルギーフロー
  　・一次エネルギー総供給
  　・エネルギー転換
  　・最終エネルギー消費
  �A日本のエネルギー・バランス表
  　・総合エネルギー統計
  �B日本の長期エネルギー需給見通し
  　・総合資源エネルギー調査会（旧：総合エネルギー調査会）
• 配布プリント5枚�@。出席票。
  【1枚目】
  資源全般の分類（表）
  【2枚目】
  主な資源関連組織・機関
  【3枚目】
  図�T-1、表�T-1、図�U-1、図�U-2、図�U-3、図�U-4…『エネルギー2002』（11,12-13,49,50,51p）
  【4枚目】
  表�T-2、図�U-6、図�U-7、図�U-8、図�U-9、図�U-14…『エネルギー2002』（18,55,56,57,61p）
  図2.6、図2.7…『エネルギーと国の役割』（31,35p）
  【5枚目】
  （世界のエネルギー資源埋蔵量）、（主要国のエネルギー供給構成）…『エネルギー2002』（218,220p）
  図2.1、図2.2、表2.1、表2.2、図2.5、表2.4、図2.6、図2.7…『地球エネルギー論』（32,33,34,37,39,42,43p）
• 紹介した参考図書：
  【エネルギー全般】
  �@BP統計2010（HP）
  　　　『BP Statistical Reviewof World Energy』からのプリントアウト（45p）。世界のエネルギー資源の需給等を簡単に図表にまとめたもので、この種の統計で最も代表的なものの一つ。
  �A経済産業省（編）（2010）：エネルギー白書2010．
  　　　エネルギー全般の現況を簡潔にまとめたもの。年刊。価格も手ごろで、お奨め。ただし、インターネットからも読める（こちら）。
  【日本のエネルギー需給】
  �B資源エネルギー庁長官官房総合政策課（編）（2006）：総合エネルギー統計（平成16年度版）．
  　　　日本のエネルギー需給バランス表を1990年度分から収録。年刊。エネルギー需給を調べるときの最も役立つ資料の一つ。ただし、この後の新刊は出ていない（地球温暖化の温室効果ガス排出量との関係で、見直しを実施中）。
  【エネルギーデータの読み方】
  �C松井賢一（1994）：新・エネルギーデータの読み方　使い方．
  　　　（前述）

補足説明

全般	地球資源関連用語は『地球資源関連用語集』のページを参照。 地球科学用語は『地球科学用語集』のページを参照。

• 時間切れで説明していない内容。
  �C日本の一次エネルギー総供給と最終エネルギー消費（％；1999→2005→2006→2007→2008年度）
  　・一次エネルギー総供給の推移
  　　　石油（52→49→44→44→42）、石炭（17→20→21→22→23）、天然ガス（13→14→17→18→19）、原子力（13→11→12→10→10）、その他（5→6→6→6→6）
  　・部門別最終エネルギー消費の推移
  　　　産業（49→44→45→45→43）、民生（26→32→32→31→34）、運輸（25→24→23→23→24）
  　・産業部門エネルギー消費の推移
  　　　大部分は製造業
  　・民生部門エネルギー消費の推移
  　　　家庭（53→42→42→43→41）、業務（47→58→58→57→59）
  　・運輸部門エネルギー消費の推移
  　　　旅客（64→61→6割→61→61）、貨物（36→39→4割→39→39）
  �D世界のエネルギー資源埋蔵量
  �E日本の総合エネルギー政策
  　　１）エネルギー政策基本法（2002年）
  　　２）エネルギー基本計画（2003年、2007年）
  　⇒環境基本法（1993年）、環境基本計画（1994年、2000年、2006年）、新・国家エネルギー戦略（2006年）
  �F資源の消費量の増大要因
  　　１）人口増加
  　　２）生活水準の向上
  　　３）科学技術の発達
  �Gエネルギーの需要予測
  　　１）資源統計を外挿（短期予測）
  　　２）生活水準（GDP/人口）とエネルギー消費
  　　３）エネルギー需要の推測（現未来*）〔*現未来：10年程度、近未来：10〜50年、中未来：50〜1000年、遠未来：1000年以上〕
  　　　　エネルギー消費量/人口＝f（GDP/人口）
  　　　　∴エネルギー消費量＝f（GDP/人口）×人口

• エネルギー事情全般の詳しい報告は、資源エネルギー庁による『エネルギー白書』（わかりやすい「エネルギー白書」の解説）を参照。【見る→】
• 資源エネルギー庁による『長期エネルギー需給見通し（案）』も参照。【見る→】⇒『長期エネルギー需給見通し（再計算）』【見る→】
• JOGMEC〔（独）石油天然ガス・金属鉱物資源機構〕による『石油・天然ガスレビュー』には最新の関連事項が解説されている。
• 経済産業省による『Cool Earth-エネルギー革新技術計画』も参照。【見る→】＆【見る→】
• 総合エネルギー統計についてはRIETIの戒能一成氏による『総合エネルギー統計の解説』を参照。
• エネルギー全般のやさしい解説は、（財）エネルギー総合工学研究所による『？を！にするエネルギー講座』の中の『やさしいエネルギー解説集』を参照。
• 総合エネルギー調査会需給部会（2005年3月）による『２０３０年のエネルギー需給展望』（PDFファイル、1,187KB、224頁）を読めばエネルギー事情（見通し）がわかる。
• 環境省による『平成20年版環境／循環型社会白書』【見る→】（平成21年版から環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書は合冊となった）や『循環型社会形成推進基本計画』【見る→】も参照。⇒『平成21年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書』【見る→】
• フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』による説明を参照してください。
  ■資源（Resource）／Category:Resources／資源エネルギー庁（Agency for Natural Resources and Energy）／
  ■エネルギー資源（Energy development、Energy and society）／Category:Energy development／化石燃料（Fossil fuel）／Category:化石燃料（Category:Fossil fuels）／
  ■エネルギー（Energy）／Category:エネルギー（Category:Energy）／エクセルギー（Exergy）／Emergy⇒Embodied energy／World energy resources and consumption／Category:Energy by country／List of countries by energy consumption per capita／List of countries by electric energy consumption／List of countries by energy intensity／List of countries by total primary energy consumption and production／Category:Energy use comparisons／Category:Energy-related lists／Energy policy／Category:エネルギー政策（Category:Energy policy）／

【日本のエネルギーフロー】

• 資源エネルギー庁（2010）による『平成21年度エネルギーに関する年次報告（エネルギー白書）』から

【日本のエネルギーフローおよびバランス表】

• 〔原子力百科事典ATOMICAの中の『日本のエネルギーバランス (01-02-02-02)』から〕

【日本の一次エネルギー供給と最終エネルギー消費】

• 資源エネルギー庁（2010）による『平成21年度エネルギーに関する年次報告（エネルギー白書）』から

  
  

  資源エネルギー庁（2010）による『平成21年度エネルギーに関する年次報告（エネルギー白書）』から

【日本の一次エネルギー供給と最終エネルギー消費の見通し】

• 経済産業省（2009）による『長期エネルギー需給見通し（再計算）』から

参考

• 『エネルギー資源』の各項目、とくに『エネルギーフローについて』、『資源政策』、『エネルギー法とは』などのページを参照。
• 埋蔵量と生産量類は『埋蔵量と生産量』のページを参照。
• エネルギー問題は『エネルギー問題』のページを参照。
• 資源問題と環境問題の展望と対策については『展望と対策』のページを参照。
• 資源問題は『資源問題とは』のページを参照。
• 温室効果ガス排出係数については『地球温暖化とは』のページを参照。
• モデルについては『地球観測とは』のページを参照。
• 超長期のエネルギー技術のビジョンについては『地球観測とは』のページの中のこちらを参照。

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• 『論文リスト（エネルギー資源）』のページも参照。

【総合資源エネルギー調査会】

• 総合資源エネルギー調査会については経済産業省による『総合資源エネルギー調査会』を参照。
  

  【所掌事務】 経済産業省設置法第１９条抜粋（総合資源エネルギー調査会） 第１９条　総合資源エネルギー調査会は、次に掲げる事務をつかさどる。 １　エネルギー政策基本法第12条第1項に規定するエネルギー基本計画に関し、同条第3項に規定する事項を処理すること。 １の２　経済産業大臣の諮問に応じて鉱物資源及びエネルギーの安定的かつ効率的な供給の確保並びにこれらの適正な利用の推進に関する総合的な施策に関する重要事項(次号に規定する重要事項を除く。)並びに高圧ガス及び火薬類の保安に関する重要事項を調査審議すること。 ２　経済産業大臣又は関係各大臣の諮問に応じて石油の割当て又は配給その他石油需給適正化法の運用に関する重要事項を調査審議すること。 ３　前３号に規定する事項に関し、経済産業大臣又は関係各大臣に意見を述べること。 ４　電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法、石油及び可燃性天然ガス資源開発法、石油の備蓄の確保等に関する法律、揮発油等の品質の確保等に関する法律、電源開発促進法及び液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律の規定によりその権限に属させられた事項を処理すること。 　２　総合資源エネルギー調査会の委員その他の職員で政令で定めるものは、経済産業大臣が任命する。 　３　前２項に定めるもののほか、総合資源エネルギー調査会の組織、所掌事務及び委員その他の職員その他総合資源エネルギー調査会に関し必要な事項については、政令で定める。 【部会一覧】 　総合部会／需給部会／省エネルギー部会／省エネルギー基準部会／新エネルギー部会／原子力安全・保安部会／都市熱エネルギー部会／鉱業分科会（レアメタル対策部会）／石油分科会（石油部会、開発部会）／石油需給調整分科会／電気事業分科会（原子力部会）／電源開発分科会／高圧ガス及び火薬類保安分科会（高圧ガス部会、火薬部会、液化石油ガス部会） 【委員】 　２９名（平成２０年現在）

【世界のエネルギー消費量の推移】

• 資源エネルギー庁（2010）による『平成21年度エネルギーに関する年次報告（エネルギー白書）』から

【世界のエネルギー需給見通し】

• 〔総合エネルギー調査会需給部会による『２０３０年のエネルギー需給展望』の14頁から〕