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授業科目『地球資源論』(2011年度前期)(終了)

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【本授業科目について】

【授業計画】
月日

プリント
番号

内  容

4/15
  はじめに−地球資源とは

4/22
@ エネルギー資源(総論) エネルギー資源

5/6
A 化石燃料資源:石油

5/13
B 化石燃料資源:石炭

5/20
C 化石燃料資源:天然ガス

5/27
D 核燃料資源:ウラン

6/3
E 鉱物資源(総論) 鉱物資源

6/10
F 金属鉱物資源

6/17
G 非金属鉱物資源
10

6/24
H 生物資源 生物資源
11

7/1
I 水資源 水資源
12

7/8
J 土壌資源 土壌資源
13

7/15
K 資源と環境
14

7/22
L 将来の資源
15

7/29
M まとめ

16
    ピーク資源および再生可能エネルギー
 

8/5
  試験

※4/29(金)は祭日(昭和の日)。
※8/1(月)〜8/5(金)は試験期間。

【評価(成績)について】

・出席点………40%(※病気や就職活動等でやむを得ずに欠席する場合、メールで連絡すれば配慮する)
・レポート………30%
・試験………30%

【日時】 8/5(金)の3・4時限前半(10:30〜11:1040分間

【場所】 J206

【内容】
(1)5問を出題するが、その中から3問を選んで解答する。記述式。
(2)持込可。


レポートについて

【テーマと様式】

 日本は第二次世界大戦後に、米国の政策に同調して、国策として原子力の平和利用(原発)を推進することになった。推進者の代表は、読売新聞初代社主であった故正力氏と政治家(自民党)の中曽根氏とされている。国および原発関連企業等は当然推進(賛成)派である。現在の原発の推進理由は、エネルギーの安定供給地球温暖化対策とされている。
 原発問題は、エネルギー全体ではなく電力源(電力は二次エネルギーであり、電気は貯めておけないので需要に合わせて供給する必要がある)の問題として取り扱う必要がある。つまり、@集中型か分散型か(規模が大きいほど経済的に有利となるが、事故等の影響も大きくなる)、A発電と送電の一体か分離か(現在は発送電一体で地域独占である)、B需要と供給のマッチングのあり方(電力需要は季節および時間帯によって大きく変動する)、などを検討する必要がある。さらに、国策とする場合には、それにあった制度が必要である(例えば、国営とし、事故等の対策も法令で整備しておく、など)。以下のに、現在よく取り上げられる原発の長所と短所をまとめた。ただし、電力源のすべてを同じ基準で比較検討する必要があるが、必ずしもそのような検討がなされていないものも含めている。
 原発をなくしたら電力不足になるというような、政策の結果として考えられる事態は含めていない。なぜなら、これは原発に限ったことではないからであり、政策を変更したとしたら、新しい体制になるには時間が必要であることは明らかであるからである。さらに、唯一の被爆国民としての原爆(放射能)に対する感情論に関連することも除外している。これらの長所と短所は、様々な立場の国民のメリット/デメリットに結びついて、原発に対する賛否の意見の大きな理由となっている。

そこで、『原発の賛否』について、あなたの考えを約2000字にまとめて記しなさい。
(なお蛇足ながら、賛否の如何は評価に関係しない。)

【提出方法】
 本授業科目の試験日(8月5日の予定)に、試験答案と一緒に提出して下さい。

表 原発の長所と短所
 

内容

説明

比較

化石燃料
(石油・石炭・天然ガス)

再生可能エネルギー
(太陽光発電・風力発電・バイオマス発電など)

長所
供給が経済的である ・初期設備費などは高額であるが、運転費用は低額であり、運転期間が長期(40年以上?)であれば総合的に低価格の電力(発熱量当り)を供給できるとされている。ただし、廃棄物処理や廃炉の費用ならびに施設設置に伴う対策費さらに事故等の補償費は最低限度の額しか算定に含められていない。
・大規模(集中型)発電を行いやすい。
・〔ただし、現在では、必ずしも経済的であるとは言えないこちらを参照)。〕
・化石燃料は、燃料価格と発電設備費用と運転費用の単純合計で比較すると、原発よりやや高額(ただし原発の運転期間の設定条件により異なる)。化石燃料の中では石炭が最も低額で、原発に近い。 ・再生可能エネルギーは、燃料費は不要であるが、発電設備費用が高額であり、現時点では総合的に高額である。ただし、将来的には低額となる可能性はある。再生可能エネルギーの中では風力発電が最も低額である。
供給が安定的である ウラン ・原発の核燃料であるウラン(ウラン235)も、特定の国に集中しており、埋蔵量も化石燃料程度であるが、発熱量当りの資源量は少なくて良いので輸入してしまえば準国産扱いできる。 ・中近東などの特定の国に集中しているものが多く、安定的な確保の面で不安が大きい。 ・自然エネルギーが大部分であるので、自然の変動を受けやすいため、供給も不安定になりやすい。
プルトニウム ・ウラン238をプルトニウムに変えて利用すれば(プルサーマル→高速増殖炉)、さらに長期間利用できる。
排気は無害である ・原発は、運転中は有害排気を出さない。とくに地球温暖化ガスの二酸化炭素を出さないことから、近年は長所の筆頭に挙げられることが多い。 ・化石燃料は、二酸化炭素およびSOx・NOxなどの有害排気を出す。ただし、経済性を無視すれば、排気を回収することも可能である。 ・バイオマスの場合は、生きた生物由来の炭素からの二酸化炭素であるので問題とされない。他の再生可能エネルギーは排気を出さない。
原子力技術を確保できる 平和的 ・原発をはじめ、原子力(核)の平和利用のための学問と技術を継承し、発展させる。
・原発技術を輸出できる。
軍事的 ・原子力の軍事利用の典型例は原爆(および水爆)であるが、これらの開発に応用できる技術等を確保できる。
・現在の日本は核の軍事利用は放棄
(日本国憲法)しているが、将来に利用の余地を残しておきたい。

短所
放射能を発生する 運転中 汚染冷却水 ・日本の原発は軽水炉のBWRかPWRであるが、いずれも冷却のために大量の海水を利用している。放射能の漏洩は僅少とされているが、排熱量は膨大である。
放射性廃棄物 ・使用済み核燃料は高い放射能を持つ。半減期を考慮して、保管管理し、最終的には地下深部等に処分する方法以外にない。
・低い放射能を持つ様々な廃棄物も、上記と同様に処分するしかない。
運転後 廃炉 ・日本の原発54基(2011年現在)のうち運転開始年が最も古いものは1970年であり、40年以上経って老朽化している。順次廃炉となるが、放射能の問題があるために、高い技術と経費を必要とする。
事故時 放射性物質 ・その被害の具体的な内容は、2011年東日本大震災による事故の例により明らかになってきた。
・天災あるいは人災による事故により、放射性物質の漏洩が起こる。
・国策である場合は、国民の税金等が投入される。
テロ等 放射性物質 ・テロなどの攻撃対象にされやすい。
差別を生む ・放射能に関係するものと、原発誘致に伴う補助金等の金銭に関するもの、が主。
軍事に利用される ・上記の長所に示したことと逆であるが、核技術は原爆製造などのように利用目的が異なっても共通する部分が多い。
原子力技術は未成熟である ・原子核反応を現在の科学・技術は自由にコントロールできない。
・運転に、細心の注意が必要であり、リスクが大きいため失敗は許されない。このためにストレスなども大きい。
電力の出力を一定にする必要がある ・電力の出力を変化させると原子炉が不安定になりやすいため、出力を一定にして運転している。需要が少ない時間帯(夜間など)には、揚水発電として蓄電利用されているが、電力損失が大きい。



【参考】


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