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配付プリント等|補足説明
- 狭義の資源と言えば、天然資源(Natural Resources)を指します。その大部分は地下資源(Underground Resources)です。生物関連の資源は、近年では人類の関与が大きいので天然資源とは呼び難い状況ですし、もちろん地下資源とは言いません。そのような事情がありますので、様々な種類の資源を総合的に取り扱える便利な言葉として地球資源(Earth Resources)を用いています。地球資源は3つの大きなグループから構成されると考えるのが便利です。エネルギー資源(Energy Resources)と鉱物資源(Mineral
Resources)と生物資源(Biotic Resources)のグループです。これ以外に、水資源(Water Resources)と土壌資源(Soil
Resources)についても説明します。
- 『はじめに−地球資源とは』。講義内容は以下について。
授業全体の概説、参考書の紹介、および評価(成績)について。
- 紹介した参考書は次のとおり(日本語のみ):
【全般】
@エネルギー・資源学会(編)(1997):エネルギー・資源ハンドブック コンパクト版.
資源全般にわたる詳細な内容をもつ唯一の書。ただし、値段は少し高い。
【エネルギー資源と鉱物資源】
A西山 孝(2001):地球エネルギー論.
鉱物資源についても考察されている。値段と内容からはお奨めの書。
【エネルギー資源】
B(財)日本エネルギー経済研究所計量分析ユニット(編)(2008):改訂2版 図解 エネルギー・経済データの読み方入門.
経済的側面からのエネルギー関係データの読み方を解説。とくに、編者が出している関係出版物の解説書でもある。
C松井賢一(1994):新・エネルギーデータの読み方 使い方.
全般的なエネルギーデータの活用のしかたを解説。エネルギー情報源についても記されている。お奨めの書。
【鉱物資源】
D志賀美英(2003):鉱物資源論.
鉱物資源を総合的に扱っている。おそらく唯一の本(日本語の)。
E福岡正人(2009):なぞの金属・レアメタル―知らずに語れないハイテクを支える鉱物資源―.
題名はレアメタルとなっているが鉱物資源(とくに金属鉱物資源)について解説されている。元素−鉱物−岩石−鉱床−地質−プレートテクトニクスなどとの関係が平易に説明されている。
- 評価(成績)の方法は、こちらを参照。
- 次回からプリントを配布し、それをもとに説明する。
また、出席を確認する。
資源全般の分類|地球構成物質一覧|鉱業法による『鉱物』|
- 資源のみを扱った参考書は少ないが、環境との関わりで資源とくにエネルギーを解説したものは多いので、環境関連の参考書を探す必要がある。いずれにしても、書店等のホームページから、『資源』、『エネルギー』、『鉱物』などのキーワードで検索すると、市販本の大部分についてリストをつくることができる。最後は、実際に書店あるいは図書館で内容を確認して、自分に合ったものを選定すればよい。
- 一般的な文献検索の方法については、『電子ジャーナルと文献検索』のページも参照。
- 資源一般で、紹介しなかった本:
・B・J・スキンナー(1982):地球資源学入門 第2版.
最も古くから読まれている代表的な本。
・J・M・コンラッド(2002):資源経済学.
翻訳ではあるが日本語で書かれたものの中で最も詳しい。経済学の基礎の理解が必要。
※JOGMECによる『資源経済の基礎(2005)』(280p)
・山口梅太郎(編著)(1990):現代資源論(改訂版) 放送大学教材 56160-1-9011.
コンパクトに要領よくまとめられているが、絶版なのが残念。同題のビデオ教材の解説書でもある。
・佐々木信行(2001):資源論入門−地球環境の未来を考える−.
易しい入門書。
- 鉱物資源関連で、紹介しなかった本:
・谷口正次(2001):資源採掘から環境問題を考える 資源生産性の高い経済社会に向けて.
リーフレットではあるが、この種の内容は他にない。
・飯山敏道(1998):地球鉱物資源入門.
鉱物資源の参考書は少ないが、その一冊。ただし、成因論(鉱床学)的内容に偏る。
・西山 孝(1993):資源経済学のすすめ 世界の鉱物資源を考える.
・番場猛夫(1993):いま、地球の財産を診る−鉱床学と鉱物資源(増補改訂).
・吉田國夫(1992):鉱産物の知識と取引(改訂新版第10版).
- エネルギー資源関連で、紹介しなかった本:
・新田義孝(2001):演習 資源エネルギー論.
演習形式で、問題が与えられている。様々な側面からのアプローチがされている。
・世良 力(1999):資源・エネルギー工学要論.
工学的要素が強い。
・エネルギー教育研究会(編著)(1997):講座 現代エネルギー・環境論.
エネルギーの環境との関わりの面からまとめられている。ただし、最近は、類書が多数出ている。
・濱川圭弘ほか(編)(2001):エネルギー環境学.
環境学のなかでエネルギー資源もその一部として扱ったものは多いが、比較的その扱いの比重が大きい本の一つ。
- 資源問題関連で、紹介しなかった本:
・岩淵 孝(1996):現代世界の資源問題入門.
・森 俊介(1992):地球環境と資源問題.
- 今や、『資源』は『環境』と密接な関係にあるので、ある程度の環境学の知識も必要とされる。とくにエネルギー資源との関連において、『気候変動枠組条約』、『京都議定書』、『地球温暖化対策の推進に関する法律』などについても理解しておいて欲しい。そのためには、『地球温暖化とは』のページなどを参照。
- RSBSの『サステナビリティの科学的基礎に関する調査』〔286ページ
(2.8MB)〕、とくに『第2部
サステナビリティの5つの側面』 (1.6MB) を参照。また、これらの『参考文献』も参照。【見る→】
【資源全般の分類】
※資源全般を分類した例は少ない〔こちら(その他)を参照〕。『環境』というような言葉と同じで、不必要かつ不適当な対象についても『資源』という言葉が多く使われている。逆に言えば、『資源』という言葉は、人間にとって価値があるものなら何でもその対象にできる。以下に私が分類中の例を示す。『地球資源』は、あまり人工的でないエネルギー・物質資源を指している。従来から用いられている『地下資源』がその主体であるが、それ以外も含ませている。つまり、ほぼ『天然資源』に等しい使い方をしている。
なお、インターネットにおいて『資源』という語で検索すると、もっと多様な用いられ方をしていることが判るが、この分類では表に出ていなくてもそれらの大部分について配慮はしている。
- 日本標準職業分類はこちらを参照。
- 日本標準産業分類はこちらを参照。
資源全般の分類
大分類 |
中分類 |
小分類 |
個別資源 |
将来の資源 |
備考 |
人的資源 |
人口 |
人口 |
(人口増か人口減か、労働力比率) |
競争力を持つ実質的な人口が重要 |
科学・技術力(教育) |
科学・技術力 |
(能力) |
教育が重要 |
文化力(教育) |
文化力 |
文化力 |
(能力) |
教育が重要 |
情報力 |
情報力 |
(能力) |
教育が重要 |
経済力 |
経済力 |
(能力) |
教育が重要 |
軍事力 |
軍事力 |
|
|
環境資源 |
国土面積 |
国土面積 |
|
|
自然環境 |
気候 |
気候 |
(気候変動の影響) |
温暖(非寒冷)、湿潤(非乾燥) |
土地能力 |
土地能力 |
(気候変動の影響) |
非砂漠、非凍土 |
大気環境 |
|
大気資源? |
大気汚染の影響? |
水環境 |
水資源 |
|
水(表流水・地下水)汚染の影響 |
土壌環境 |
土壌資源 |
|
土壌汚染の影響 |
生物環境 |
生態系 |
|
地球環境問題の影響 |
地盤環境 |
|
|
地震の程度 |
社会環境 |
社会環境 |
|
|
|
その他 |
観光資源(自然環境+社会環境) |
|
|
|
エネルギー・物質資源@
(地球資源) |
エネルギー資源 |
化石燃料 |
石油、石炭、天然ガス、など |
オイルシェール、オイルサンド、メタンハイドレート?、など |
ただし、オイルシェールとオイルサンドは一部利用中 |
核燃料 (原子力) |
ウラニウム(核分裂) |
トリチウム(核融合)? |
|
自然エネルギーなど |
非生物 |
太陽光、太陽熱、水力、風力、地熱、など |
潮力、波力 |
|
生物 |
バイオマス |
|
|
鉱物資源 |
金属鉱物資源 |
ベースメタル(鉄、アルミニウム、銅、など)、レアメタル、貴金属、など |
マンガン団塊?、コバルト・リッチ・クラスト、海底熱水鉱床 |
|
非金属鉱物資源 |
非金属鉱物資源 |
石灰石、など |
|
工業原料資源とも呼ぶ |
肥料資源 |
リン(燐灰石)、など |
|
|
砕石資源 |
砂利、砂、など |
|
土石資源とも呼ぶ |
石材資源 |
各種岩石 |
|
宝石資源 |
宝石、貴金属 |
|
|
生物資源 |
食糧資源 |
水産物、など |
|
|
森林資源 |
木材、パルプ、など |
|
|
水資源 |
|
降水、表流水、地下水、など |
|
|
土壌資源 |
|
土壌 |
|
|
その他 |
医薬用資源 |
|
|
|
エネルギー・物質資源A |
エネルギー資源 |
(人工的なエネルギー利用形態も含む) |
廃棄物利用、バイオマス利用、など |
燃料電池(発電)、バイオマス利用、など |
|
物質資源 |
(おもに化石燃料などから作られるもの) |
プラスチックおよびその他の高分子(繊維、ゴム、塗料、接着剤)、など |
|
|
生物資源 |
(養殖や栽培や飼育や植林などによる) |
水産物、農産物、畜産物、林産物、など |
|
|
その他 |
医薬用資源(遺伝子操作を含む) |
|
|
|
エネルギー・物質資源は、自然本来の資源を@とし、人工的な資源をAとした。 |
福岡(2011)による『資源全般の分類』 |
【地球構成物質一覧】
※資源について考える場合に、地球を構成している物質についても整理しておくことは大事である。エネルギー資源にしても、物質として存在するものは多い。生物か非生物か、無機物か有機物か、固体か液体か気体か、を主な分類の基準としている。
地球構成物質一覧
分類 |
備考 |
非生物源
(天然) |
無機物 |
固態 |
鉱物〔岩石、土壌、レゴリス〕、氷河、浮遊物質〔水中〕、エーロゾル〔大気中〕 |
主に地圏(地殻、マントル、核)、地球外物質(隕石など):鉱物の種の総数は約4000。 |
液態 |
水、溶存物質、エーロゾル |
主に水圏 |
気態 |
大気(窒素ガス、酸素ガス、水蒸気、など) |
主に気圏 |
有機物 |
固態 |
|
|
液態 |
|
|
気態 |
メタンガスなど |
主に気圏 |
生物源
(天然) |
生体 |
有機物 |
固態 |
生体バイオマス(植物、動物、など) |
生物圏:生物の種の総数は約200万。 |
液態 |
生体バイオマス由来物質 |
天然物化合物 |
気態 |
生体バイオマス由来物質 |
天然物化合物 |
無機物 |
固態 |
サンゴ礁(石灰質部分)、など |
|
液態 |
|
|
気態 |
|
|
非生体(死体) |
有機物 |
固態 |
石炭、化石の一部、死体バイオマス |
化石燃料(石炭) |
液態 |
石油、シェール・オイル/サンド・オイル〔固態に近い〕 |
化石燃料(石油) |
気態 |
天然ガス、メタンハイドレート |
化石燃料(天然ガス) |
無機物 |
固態 |
石灰岩、など |
|
液態 |
|
|
気態 |
|
|
人間源
(人工) |
有機物 |
固態 |
プラスチック、高分子化合物、など |
CAS(Chemical
Abstracts Service)による収録件数の総数では、2009年1月現在で、有機化合物と無機化合物が約4200万件弱、バイオシーケンス(タンパク質のアミノ酸配列や遺伝子の核酸配列など)が約6000万件強、合計1億種類を超える。 |
液態 |
石油製品、など |
気態 |
LPG、フロンガス、など |
無機物 |
固態 |
各種金属(合金を含む)、セラミックス、ガラス、など |
液態 |
各種薬品、など |
気態 |
炭酸ガス、各種ガス類、など |
福岡(2011)による『地球構成物質一覧』から |
【鉱業法による『鉱物』】
※1950年に制定された日本の『鉱業法』においては、『鉱物』は以下のように定義されている。つまり、本授業での用い方とは異なり、『鉱物』=地下資源のような扱い方である。つまり、化石燃料なども含んでいる。また、鉱物資源の分け方も、当時の主要鉱石を中心にしており、金属鉱物資源と非金属鉱物資源の扱いも明確ではない。
(適用鉱物)
第三条 この条以下において「鉱物」とは、金鉱、銀鉱、銅鉱、鉛鉱、そう鉛鉱、すず鉱、アンチモニー鉱、水銀鉱、亜鉛鉱、鉄鉱、硫化鉄鉱、クローム鉄鉱、マンガン鉱、タングステン鉱、モリブデン鉱、ひ鉱、ニツケル鉱、コバルト鉱、ウラン鉱、トリウム鉱、りん鉱、黒鉛、石炭、亜炭、石油、アスフアルト、可燃性天然ガス、硫黄、石こう、重晶石、明ばん石、ほたる石、石綿、石灰石、ドロマイト、けい石、長石、ろう石、滑石、耐火粘土(ゼーゲルコーン番号三十一以上の耐火度を有するものに限る。以下同じ。)及び砂鉱(砂金、砂鉄、砂すずその他ちゆう積鉱床をなす金属鉱をいう。以下同じ。)をいう。
2 前項の鉱物の廃鉱又は鉱さいであつて、土地と附合しているものは、鉱物とみなす。
日本国(1950)による『鉱業法』から
本授業における扱い:
■=エネルギー資源
●=金属鉱物資源
○=非金属鉱物資源
●金鉱(Au)、●銀鉱(Ag)、●銅鉱(Cu)、●鉛鉱(Pb)、●蒼鉛鉱(Bi)、●錫鉱(Sn)、●アンチモニー鉱(Sb)、●水銀鉱(Hg)、●亜鉛鉱(Zn)、●鉄鉱(Fe)、硫化鉄鉱(鉄鉱に含める)、●クローム鉄鉱(Cr)、●マンガン鉱(Mn)、●タングステン鉱(W)、●モリブデン鉱(Mo)、●砒鉱(As)、●ニツケル鉱(Ni)、●コバルト鉱(Co)、■ウラン鉱(U)、●(■*1)トリウム鉱(Th)、○燐鉱(P)、○*2黒鉛(C)、■石炭、亜炭(石炭に含める)、■石油、アスフアルト(石炭に含める)、■可燃性天然ガス、○*3硫黄(S)、○石膏、○(●*4)重晶石(BaSO4)、○明礬石、○(●*5)蛍石(CaF2)、○石綿、○石灰石(CaCO3)、○ドロマイト、○珪石、○長石、○蝋石、○滑石、○耐火粘土(ゼーゲルコーン番号31以上の耐火度を有するものに限る。以下同じ。)及び●*6砂鉱(砂金、砂鉄、砂錫その他沖積鉱床をなす金属鉱をいう。以下同じ。)をいう。
*1 トリウムは、核燃料として用いることができるが、世界的にはインドのみが利用しているだけで日本はウランだけである。従って、日本ではエネルギー資源と言えない。
*2 黒鉛(鉱物名は石墨)は、単元素として利用されるが、慣例的に非金属鉱物資源とされる。
*3 硫黄は、単元素として利用されるが、慣例的に非金属鉱物資源とされる。
*4 重晶石(BaSO4)は、単元素Baとしても利用される。
*5 蛍石(CaF2)は、単元素Fとして利用されるが、一般に非金属鉱物資源とされる。
*6 砂鉱は、基本的には単一の目的元素を分離して利用する金属鉱物資源である。
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