はじめに 2
第1章 2030年エネルギー需給見通し
第1節 2030年エネルギー需給見通しの考え方と評価 5
第2節 2030年エネルギー需給見通し(詳細) 10
1. マクロフレームの見通し 11
2. 各ケースの考え方 13
3. 現状固定ケースの想定 14
4. 戦略目標と努力継続/最大導入ケースの詳細 16
(1) エネルギー効率の改善と最終エネルギー消費の見通し
(2) 運輸部門の燃料多様化
(3) 原子力の利用推進等の電源分野の取組
(4) 新エネルギーの導入促進
5. 一次エネルギー国内供給の見通し・ 32
6. エネルギー起源CO2排出量の見通し 32
第2章 2010年エネルギー需給見通し
第1節 2010年エネルギー需給見通しの考え方と評価
1.2010年エネルギー需給見通しの考え方 33
2.2010年「現行対策シナリオ」の評価 34
3.「追加対策シナリオ」の評価と京都議定書目標達成計画の改定 36
第2節 2010年エネルギー需給見通し(詳細)
1.各シナリオの考え方 38
2.各ケースの考え方 38
3.マクロフレームの見通し 39
4.部門別の動向と各対策の評価結果 40
(1)産業部門
(2)民生部門
(3)運輸部門
(4)供給・転換部門
5.試算結果 65
エネルギー技術戦略−俯瞰図 総合資源エネルギー調査会需給部会(2008)による『長期エネルギー需給見通し(案)』から |
1.エネルギー需給見通しの背景と目的
今回策定する「2030年見通し」では、「新・国家エネルギー戦略」(【見る→】)に示された目標の達成に向けて、「エネルギー技術戦略」(こちら)に掲げられた最先端のエネルギー技術の進展・導入の効果が「最大限」発揮された場合に想定される我が国のエネルギー需給構造の姿(「長期エネルギー需給見通し」)を描く。
具体的には、「新・国家エネルギー戦略」に示された目指すべき長期的な方向性としての数値目標をベンチマークとして、これを実現するための技術の定量的な分析を踏まえ、我が国の在るべきエネルギー需給構造を検討する。
【需要面】
○エネルギー消費効率の改善
○運輸部門のエネルギー次世代化
【供給面】
○原子力利用の促進
○新エネルギーの導入促進
○石油依存度の低減
2.前提条件
−我が国経済は順調に成長:
経済成長率 2005〜2010年 2.1%、2010〜2020年 1.9%、2020〜2030年 1.2%
−エネルギー高価格時代が継続:
原油価格 2020年 $90/bbl、2030年 $100/bbl
−本格普及が想定される最先端技術を最大限導入
★2030年までに「新・国家エネルギー戦略」に掲げられた目標の達成を目指す。
※少なくとも30%以上のエネルギー効率の向上、運輸部門の石油依存度80%程度、原子力発電の発電電力比率30〜40%程度以上、石油依存度40%未満
※2020年にエネルギー効率30%改善を目指す。(ダボスでの総理提案)
3.ケース設定
今回の長期エネルギー需給見通しでは、エネルギー技術の進展と導入のレベルに基づき、以下の3ケースについて推計を行う。
【現状固定ケース】
現状(2005年度)を基準とし、今後新たなエネルギー技術が導入されず、機器の効率が一定のまま推移した場合を想定。耐用年数に応じて古い機器が現状(2005年度)レベルの機器に入れ替わる効果のみを反映したケース。
将来時点において、新たな技術が導入された場合の効果を適切に反映させるための算定のベース。
【努力継続ケース】
これまで効率改善に取り組んできた機器・設備について、既存技術の延長線上で今後とも継続して効率改善の努力を行い、耐用年数を迎える機器と順次入れ替えていく効果を反映したケース。
主として現在トップランナー制度の対象となっている家電、自動車に加え、住宅・建築物について今後とも改善努力を継続した場合に実現する姿。
家電製品については、トップランナー制度などを活用して効率改善を継続することで、2020年までには新たに購入される製品の全てが現在の最高水準の効率を達成していることを想定。自動車についても同様に、従来自動車につきトップランナー基準の着実な履行がなされると想定。
【最大導入ケース】
実用段階にある最先端の技術で、高コストではあるが、省エネ性能の格段の向上が見込まれる機器・設備について、国民や企業に対して更新を法的に強制する一歩手前のギリギリの政策を講じ最大限普及させることにより劇的な改善を実現するケース。
将来的に期待される市場規模を前提に、技術的ポテンシャルの最大値まで効率改善を見込んだ機器・設備(次世代自動車、グリーンIT等)が、類似機器の最大普及速度やコスト低減等のデータを勘案し、最速で普及した場合の効果を反映。
4.戦略目標とエネルギー技術
@エネルギー消費効率の改善(1)
技術的ポテンシャルの最大限まで機器・設備効率を改善し、これらの製品を更新時に最大限導入することで、世界最高水準のエネルギー効率を達成。
部門別の最終エネルギー消費量見通し
【産業部門】
世界最高水準の省エネ努力を継続・強化する
過去15年間で、エネルギー消費量は微増。→エネルギー消費量を、今後15年間で、約2%。25年間で約3%削減。
【業務部門】
エネルギー消費の伸びを反転させる
過去15年間で、床面積当たりのエネルギー原単位は約10%悪化、エネルギー消費量は約50%増加。→エネルギー原単位を、今後15年間で約10%強、25年間で約15%強改善、エネルギー消費量も15年間で約3%、25年間で約7%削減。
※床面積の伸びは今後鈍化傾向
【家庭部門】
エネルギー消費の伸びを反転させる
過去15年間で、世帯当たりのエネルギー消費量が約8%増加、エネルギー消費量全体も約30%増加(1人当たりのエネルギー消費量も約30%増加)→世帯当たりの消費量を、今後15年間で約7%、25年間で約13%改善、エネルギー消費量も15年間で約6%、25年間で約14%削減(1人当たりのエネルギー消費量は、今後15年間で2%改善、25年間で5%改善)
※世帯数は2015年にピークを迎える。
【運輸部門】
エネルギー消費の伸びを反転させる
過去15年間で、運輸部門のエネルギー消費量は約18%増加。→エネルギー消費量を金後15年間で約15%、25年間で30%削減。
A運輸部門のエネルギー次世代化
次世代自動車の導入、燃料多様化、燃費の改善、交通流対策を進めることで、運輸部門における石油依存度の低減を目指す。
B原子力利用の推進
○安全を大前提とした原子力発電の推進により、2030年度頃において、発電電力量に占める原子力発電の比率を30〜40%程度以上にする。
○石炭ガス化複合発電(IGCC)等の高効率発電設備の導入により、ストックベースの発電効率を約3%向上する。
○LNGと石炭の価格差が更に広がる見通しの下であっても、供給安定性に配慮しつつ、CO2排出量の抑制に向け、最大限、電源の運用方法の調整に努めると想定。
C新エネルギーの導入促進
○新エネルギーの産業としての自立を目指しつつ導入拡大を図ることによって、2020年・2030年までに、それぞれ現状の約2倍、約3倍の導入・普及に取り組む。
○その結果、水力・地熱発電を加えた再生可能エネルギーは、2030年度の最大導入ケースでは、一次エネルギー国内供給の11.1%を占める。
5.試算結果
(1)最終エネルギー消費
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最終消費計 |
413 |
100% |
449 |
100% |
416 |
100% |
390 |
100% |
469 |
100% |
412 |
100% |
365 |
100% |
産業 |
181 |
44% |
180 |
40% |
180 |
43% |
178 |
46% |
179 |
38% |
179 |
43% |
176 |
48% |
民生 |
134 |
32% |
169 |
38% |
142 |
34% |
129 |
33% |
192 |
41% |
147 |
36% |
121 |
33% |
家庭 |
56 |
14% |
64 |
14% |
58 |
14% |
53 |
14% |
70 |
15% |
59 |
14% |
48 |
13% |
業務他 |
78 |
19% |
105 |
23% |
84 |
20% |
76 |
19% |
122 |
26% |
89 |
21% |
72 |
20% |
運輸 |
98 |
24% |
100 |
22% |
94 |
23% |
83 |
21% |
97 |
21% |
86 |
21% |
69 |
19% |
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石油 |
255 |
43% |
248 |
38% |
232 |
39% |
209 |
37% |
245 |
36% |
220 |
37% |
183 |
35% |
LPG |
18 |
3% |
19 |
3% |
18 |
3% |
18 |
3% |
19 |
3% |
19 |
3% |
18 |
3% |
石炭 |
123 |
21% |
136 |
21% |
121 |
20% |
110 |
20% |
146 |
21% |
123 |
20% |
95 |
18% |
天然ガス |
88 |
15% |
107 |
16% |
87 |
14% |
79 |
14% |
129 |
19% |
94 |
16% |
73 |
14% |
原子力 |
69 |
12% |
99 |
15% |
99 |
17% |
99 |
18% |
99 |
15% |
99 |
17% |
99 |
19% |
水力 |
17 |
3% |
19 |
3% |
19 |
3% |
19 |
3% |
19 |
3% |
19 |
3% |
19 |
4% |
地熱 |
1 |
0% |
1 |
0% |
1 |
0% |
1 |
0% |
1 |
0% |
1 |
0% |
1 |
0% |
新エネルギー等 |
16 |
3% |
22 |
3% |
22 |
4% |
26 |
5% |
26 |
4% |
26 |
4% |
38 |
7% |
経済産業省では、平成20年3月19日、「長期エネルギー需給見通し(案)」をとりまとめました。
1.検討の背景
2007年4月より総合資源エネルギー調査会需給部会にて、エネルギーの安定供給及び温暖化問題への対応といった政策課題を踏まえ、2030年までの我が国のエネルギー需給とエネルギー起源CO2排出量について、審議を重ねてまいりました。
2.「長期エネルギー需給見通し(案)」の概要
○2030年エネルギー需給見通し
2030年までのエネルギー技術の進展と導入のレベルにより現状固定ケース、努力継続ケース、最大導入ケースの3ケースにわけ、エネルギー需給の姿及びエネルギー起源CO2排出量について定量的に分析いたしました。
なお、本見通しでは、実排出量を推計したものであり、クレジットの購入等の効果は含まれておりません。
○2010年エネルギー需給見通し
京都議定書の第一約束期間の中間点である2010年について、京都議定書目標達成計画の改定にあわせ、中央環境審議会地球環境部会・産業構造審議会環境部会地球環境小委員会合同会合にて行われた各対策の進捗状況点検及び追加対策の検討を踏まえ、エネルギー起源CO2の排出量見通しについて試算いたしました。
本報告書は、こうした検討結果を、「長期エネルギー需給見通し(案)」としてとりまとめたものです。
また、2030年エネルギー需給見通しの中で、最先端のエネルギー技術を導入すると想定した最大導入ケースを実現するために2020年時点で必要な追加的な社会的コストについても併せて試算いたしました。
長期エネルギー需給見通し(案)のポイント
長期エネルギー需給見通し(案)
需給見通しに基づく試算(2020年におけるCO2排出量等)
需給見通しに基づく試算(2020年の姿とコスト)
3.2030年見通しと2010年見通しの関係について(京都議定書の▲6%目標との整合性)
○この度公表された長期エネルギー需給見通し(案)では、2010年時点の実際のエネルギー起源CO2の排出量について、90年総排出量比+5%程度を想定しております。
○これは以下の理由により、京都議定書の▲6%目標の達成と整合的です。
@今回の見通しは、+5%程度となっていますが、先に発表した2010年エネルギー需給見通しでも明らかなように、CO2以外の温室効果ガスとして、代替フロン等の削減が▲3.1%進展すると見込まれており、これを考慮した温室効果ガス全体の伸びは、+2%程度となります。
A他方で、そもそも、京都議定書の▲6%目標は、政府自らが財政出動によって実現するものとして、森林吸収で▲3.8%、また京都メカニズムの活用で▲1.6%を織り込んでおり、これらを勘案した実際の排出量の目標は▲0.6%と言えます。したがって、この目標と見通しの差は、実際のところ、2.6%程度です。
Bこの差は、産業界の自主行動計画において、自らの費用により京都メカニズムを活用しようとしている量(2.6%)と一致しているため、相殺されることとなります。
○このように、今回の見通しは、京都議定書の目標を達成することを見込んだものとなっております。