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最終更新日:2016年7月24日
近年は気候変動(Climate Change)の影響もあって、水資源(Water Resource)の枯渇(Depletion)および分配(Distribution)に関する問題が、世界的に激化してきていると言われている。地表で利用できる水の量は、降水量(Precipitation)と蒸発量〔Evaporation:植物を経由する分も含めて蒸発散量(Evapotranspiration)と呼ばれる〕によって決まる。また、河川(River)が複数の国を流れる大陸では、上流(Upstream)での水の利用が下流(Downstream)での水不足(Water Shortage)を引き起こす例も多い。 さらに、河川水(River Water)および地下水(Groundwater)の水質汚染(Water Pollution)が悪化しているところも増えている。 つまり、世界的に、利用できる水量の低下(Water Volume Decrease)と、その水質の悪化(Water Quality Deterioration)が進行している。 日本については、他国との国境(Border)が海洋上であるので、分配についての問題はなく、また水不足の段階の問題は起こってはいるが、水資源の枯渇という段階には達していない。これは、降水量が適度に多いことと、蒸発量が適度に少ないためである。 しかし、諸外国から農作物(Crop)等を輸入(Import)しており、それらに伴うバーチャルウォーター(Virtual Water、Hidden Water、仮想水、隠れた水)は膨大であるので、実質的には水資源が不足していると思われる。 一般的に、水の利用目的は、飲用も含めた生活用水(Daily Life Water)と農業用水(Agricultural Water)と工業用水(Water for Industrial Use)が主であるが、それらの配分も重要な問題となってきている。 日本の水資源関連情報は国土交通省(MLIT、Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism)が公開している白書(White Paper)に毎年まとめられている。 |
世界の水資源 |
図1-2-1 世界各国の降水量等 (注)1.FAO(国連食糧農業機関)「AQUASTAT」の 2014年4月時点の公表データをもとに国土交通省水資源部作成。2.「世界」の値は「AQUASTAT」に「水資源量[Total renewable water resources(actual)]」が掲載されている 177カ国による。 国土交通省(2014/8)による『平成26年版 日本の水資源』の『第U編 日本の水資源と水循環の現況』の『第1章 水の循環と水資源の賦存状況』から |
(注)FAO AQUASTAT データベース(2014.4 アクセス)による最新値をもとに国土交通省水資源部作成。ここで示す地域内水資源総量は、地域外からの供給量を考慮しない水資源量(internal renewable water resources:IRWR)の地域別集計値を用いた。 |
(出典)「世界水発展報告書 2014(The United Nations World Water Development Report 2014)」(世界水アセスメント計画(WWAP),2014)。水資源の値については FAO AQUASTAT データベース(2013.12WEB サイトアクセス)、人口の値については、国連経済社会局人口部(UNDESA, Population Division)(2011)「World Urbanization Prospects, The 2010 Revision」を使用。 |
図8-1-1 一人当たりの利用可能水資源量(m3/年、2011) (出典)「世界水発展報告書 2014(The United Nations World Water Development Report 2014)」(世界水アセスメント計画(WWAP),2014)。 |
(注)FAO AQUASTAT「Water withdrawal by sector, around 2006 (Update: December 2012)」 http://www.fao.org/nr/water/aquastat/globalmaps/AquastatWorldDataEng_20121214_Withdrawal.pdf をもとに国土交通省水資源部作成。 |
図8-1-2 世界の水需要予測(地域別):基本シナリオ、2000-2050 (出典)「OECD ENVIRONMENTAL OUTLOOK TO 2050」(OECD,2012) http://www.oecd.org/environment/indicators-modelling-outlooks /waterchapteroftheoecdenvironmentaloutlookto2050theconsequencesofinaction.htm |
図8-1-3 排水からの栄養塩(窒素)の影響予測(地域別):基本シナリオ、2000-2050 (出典)「OECD ENVIRONMENTAL OUTLOOK TO 2050」(OECD,2012) http://www.oecd.org/environment/indicators-modelling-outlooks /waterchapteroftheoecdenvironmentaloutlookto2050theconsequencesofinaction.htm |
国土交通省(2014/8)による『平成26年版 日本の水資源』の『第U編 日本の水資源と水循環の現況』の『第8章 水資源に関する国際的な取組み』から |
図1.1. 12 急増する世界の各地域における水使用量 (注)UNESCO「World Water Resources at the Beginning of the 21st Century」(2003 年)をもとに国土交通 省水資源部作成 |
図1.1.14 世界の水需給の逼迫の状況 (注)UNDP「Human Development Report 2006」及びUN「World Population Prospects:The 2008 Revision」をもとに国土交通省水資源部作成 |
図1.1. 13 急増する世界の用途別水使用量 (注)UNESCO「World Water Resources at the Beginning of the 21st Century」(2003 年)をもとに国土交通 省水資源部作成 |
図2.3.1 OECD 加盟国における1人1日平均生活用水使用量 (注)1.OECD 加盟国のうち、ベルギー、ルクセンブルグ、スロバキアを除く。 2.FAO「 Aquastat」(2000 年、2002 年)をもとに国土交通省水資源部作成 |
国土交通省(HP/2011/5)による『平成22年版 日本の水資源』から |
図1: 地球上の水文循環量(1000 km3/year)と貯留量(1000 km3)。 図2: (A)平均年流出量(mm/year)、(B)平均年河川流量、 (C)渇水指数Rwsのグローバルな分布。 Rwsが大きいほど水ストレスが高い地域を表す。 〔東京大学生産技術研究所の沖 大幹氏および総合地球環境学研究所の鼎 信次郎氏による『地球規模の水循環と世界の水資源』から〕 |
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〔国土交通省の『土地・水資源関係』の『水資源部』の中の『日本の水資源』の『平成16年版 日本の水資源』の『第1編本文』から〕 |
〔国土交通省の『土地・水資源関係』の『水資源部』の中の『日本の水資源』の『平成16年版 日本の水資源』の『第U編第1章本文』から〕 |
日本の水資源 |
図1-2-2 地域別降水量及び水資源賦存量 (注)1.国土交通省水資源部作成。2.人口は総務省統計局「国勢調査」(2010年)。3.平均降水量は1981〜2010年の平均で、国土交通省水資源部調べ。4.渇水年とは 1981〜2010年において降水量が少ない方から数えて3番目の年。5.水資源賦存量は、降水量から蒸発散によって失われる水量を引いたものに面積を乗じた値で、平均水資源賦存量は 1981〜2010年の平均値で、国土交通省水資源部調べ。6.地域区分については、用語の解説を参照。 |
図1-3-1 日本の水資源賦存量と使用量 (注)1.国土交通省水資源部作成。2.生活用水、工業用水で使用された水は 2011年の値で、国土交通省水資源部調べ。3.農業用水における河川水は 2011年の値で、国土交通省水資源部調べ。地下水は農林水産省「第5回農業用地下水利用実態調査」(2008年度調査)による。4.四捨五入の関係で合計が合わない場合がある。 |
国土交通省(2014/8)による『平成26年版 日本の水資源』の『第U編 日本の水資源と水循環の現況』の『第1章 水の循環と水資源の賦存状況』から |
図2-1-1 水使用形態の区分 |
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図2-1-2 全国の水使用量 (注)1.国土交通省水資源部作成。2.国土交通省水資源部の推計による取水量ベースの値であり、使用後再び河川等へ還元される水量も含む。3.工業用水は従業員 4 人以上の事業所を対象とし、淡水補給量である。ただし、公益事業において使用された水は含まない。4.農業用水については、1981〜1982年値は 1980年の推計値を、1984〜1988年値は 1983年の推計値を、1990〜1993年値は1989年の推計値を 用いている。5.四捨五入の関係で合計が合わない場合がある。 |
図2-2-1 生活用水使用量の推移 (注)1.国土交通省水資源部作成。2.1975年以降は国土交通省水資源部調べ。3.1965年及び1970年の値については、厚生労働省「水道統計」による。4.有効水量ベースである。 |
図2-3-1 工業用水使用量等の推移 (注)1.経済産業省「工業統計表」をもとに国土交通省水資源部作成(「工業統計表」では、日量で公表されているため、日量に 365を乗じたものを年量とした。)。2.従業者 30人以上の事業所についての数値である。3.公益事業において使用された水量等は含まない。 |
図2-4-1 農業用水量の推移 (注)1.国土交通省水資源部作成。2.農業用水量は、実際の使用量の計測が難しいため、耕地の整備状況、かんがい面積、単位用水量(減水深)、家畜飼養頭羽数などから、国土交通省水資源部で推計した値である。3.推計値について、1975年については農林水産省、その他の年については国土交通省水資源部が推計。なお、1976年〜1979年は1975年の値、1981〜1982年は 1980年の値、1984〜1988年は 1983年の値、1990〜1993年は 1989年の値を用いている。 |
国土交通省(2014/8)による『平成26年版 日本の水資源』の『第U編 日本の水資源と水循環の現況』の『第2章 水資源の利用状況』から |
図1.2.1 我が国における水使用量の推移 (注) |
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図1.2.4 年降水量の経年変化 (注)気象庁資料をもとに国土交通省水資源部作成 |
図1.2.8 最近20 カ年の渇水の状況 (注)1990 年から2009 年の間で、上水道について渇水のあった年数を図示したものである。なお、本項において、上水道の断水及び減圧給水を「渇水」とする。 |
国土交通省(HP/2011/5)による『平成22年版 日本の水資源』から |
〔国土交通省の『土地・水資源関係』の『水資源部』の中の『日本の水資源』の『平成16年版 日本の水資源』の『第U編第1章本文』から〕 |
水利権 |
河川法 |
水に関する法律 |
緑と青の水 |
仮想水(virtual water、バーチャルウォーター) |
※日本は多くの資源を輸入している。とくに生物資源の食料資源について、自国で生産した場合に必要な水の量をバーチャルウォーター(仮想水)と呼ぶ。1993年にロンドン大学東洋アフリカ学科のアンソニー・アラン(John Anthony Allan)氏が、食料生産の背後にある水の量の測定法としてはじめて導入した概念。
2005年において、海外から日本に輸入されたバーチャルウォーター量は、約800億m3であり、その大半は食料に起因しています。これは、日本国内で使用される年間水使用量と同程度です。 環境省(HP/2011/6)による『Virtual water』の『仮想水計算機』から 1m3/t=1リットル/kg。密度1cm3/gであれば、1リットルは1kg。 |
図1.2.10 バーチャルウォーターの輸入量(2005 年) (出典)環境省ホームページ資料 国土交通省(HP/2011/5)による『平成22年版 日本の水資源』から |
〔国土交通省の『土地・水資源関係』の『水資源部』の中の『日本の水資源』の『平成16年版 日本の水資源』の『第1編本文』から〕 |
ピーク・水資源 |
Fig. 3. A potential water-production (supply) scenario in a watershed or region. As demand increases, incremental supply projects (new dams, reservoirs, pumping) increase water availability. Once the maximum cost-effective extraction of surface and groundwater is reached, there is a final shift to a higher cost backstop supply of water such as desalination or water transfers. |
Fig. 4. Theoretical logistics curve showing increasing annual production of renewable water from a watershed. Annual renewable water production increases exponentially and then levels off as it reaches the total annual renewable water supply in the watershed. |
Fig. 6. This theoretical curve shows the progression of unsustainable water extraction from a groundwater aquifer, hypothesizing a peak-type production curve for water after the production rates surpass the natural groundwater recharge rate and production costs rise. Long-term sustainable withdrawals cannot exceed natural recharge rates. |
Fig. 7. This graph charts the value of water provided by increasing supply from various sources in a watershed against the loss in value of ecological services provided by that water. As water withdrawals for human needs increase (solid line), the ecological services provided by same water are in decline (dashed line). At a certain point, the value of water provided through new supply projects is equal to the value of the ecological services. Beyond this point, ecological disruptions exceed the benefits of increased water extraction. We call this point peak ecological water (see Fig. 8). |
Fig. 9. US gross domestic product (GDP) in 2005 dollars from 1900 to 2005 (left axis) plotted with total water withdrawals for all purposes in cubic kilometers per year (right axis). Data on GDP come from the US Bureau of Economic Analysis; data on water use comes from the US Geological Survey (31). |
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Gleick & Palaniappa(2010)による『Peak water limits to freshwater withdrawal and use』から |