た行

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【た】

耐火粘土（refractory clay）③
『耐火度の高い粘土。わが国では、一般にSK26以上のものを耐火粘土といっているが、鉱業法上はSK31以上のものをさす。堆積性のものが多く、わが国ではその中で比較的固くて粉砕しても可塑性に乏しいものを頁岩粘土という名でよんでいる。カオリナイトを主成分とし、岩手粘土、筑豊粘土などがその例である。そのほか、堆積性の木節粘土、蛙目粘土、熱水性のハロイサイト粘土などがこれに属する。外国では、耐火粘土の耐火度の下限は必ずしもわが国と同じでないが、ほぼわが国の頁岩粘土にあたるファイアクレーが主体で、そのほかカオリン、ボールクレーの一部を含んでいる。いずれも焼成してシャモットをつくり、耐火物の骨材として用いるほか、木節粘土、蛙目粘土のような可塑性の強いものは生土のままで耐火物の成形助剤結合材として用いられる。〔長沢敬之助・井川博行〕』
堆積鉱床（sedimentary deposit）③
『堆積作用によってできた鉱床。おもなものは次の3つである。①海や湖の底に溶存成分が化学的ないし生物化学的に沈殿してできた鉱床。米国Lake Superior地域をはじめ各地に知られている縞状鉄鉱層、米国Appalachia山脈地域やフランスからルクセンブルグにかけた地域の魚卵状鉄鉱層、ソ連GruziyaのChiaturiのマンガン鉱層などがこれに属する。②塩湖の蒸発によってできた塩類の鉱床。東ドイツStassfurtのカリ塩鉱床がその例である。③岩石が風化したあと川によって運ばれて海や湖に達する過程で淘汰が起こり、それぞれの鉱物の粒度や比重に応じて沈積することによりできた漂砂鉱床（砂鉱床）（placer）。砂金、砂鉄、珪砂などの鉱床。以上のほか、風化作用によって生成した粘土鉱物が川によって運ばれて海や湖に堆積してできた堆積性の粘土鉱床がある。米国Georgia州からSouth Carolina州にかけてのカオリン鉱床や各地のボールクレー（わが国の木節粘土を含む）の鉱床などがこれに属する。〔長沢敬之助〕』
ダイヤモンド（diamond）②
『C　金剛石とも。立方晶系、空間群Fd3m、格子定数0.356718＋2.8×10^-7(t－25)nm、t は温度（℃）、単位格子中8原子含む。硬度10、劈開{111}完全、通常は無色～薄い黄褐色の八面体ないし十二面体の晶相を示す。比重3.51524。屈折率2.4195（25℃）は透明物質の中では最大。赤外線や紫外線の吸収率の特性でⅠ型とⅡ型に分け、さらに、それぞれaとbに細分される。天然産のものは、ほとんど前者に属し、不純物のN、B、Alなどの離溶物を多く含む。合成のものは後者に属し、不純物は少なく光の波長200nmくらいまで透明、蛍光もほとんど検出されない。超苦鉄質のキンバーライト、それと類似のランプロアイトなどから多く産する。地殻物質である超高圧変成岩のエクロジャイトにも超高圧鉱物として産出。隕石の衝撃変成あるいは気相成長したと考えられるものも発見。特異なものでは石炭層の中にも電子顕微鏡オーダーのものが見いだされている。屈折率の大きいこと、硬度が大きいこと、天然の産出が限られることなどから宝石として珍重される。ブリリアント・カットなど適切な加工により入射光をほとんど入射前面に反射し、さらに波長による屈折率の違いからきらめきを生ずる。工業用では高温高圧合成による研磨材用などのほか、常圧あるいは低圧で、アルコールなど有機分子の熱またはプラズマ分解-気相成長により、薄膜状のものが容易に合成される。超硬保護膜や電子部品の基盤材として製膜制御の研究が活発である。多形関係としては、グラファイト、ロンスデーライト（六方ダイヤモンド）やチャオアイト（chaoite）がある。また、結晶ではないが、C60、C72などのように多数の炭素原子が球状の巨大分子をなして存在しているフラーレン（fullaren）や直径がナノメートル程度の網目構造でつくられたナノチューブ（nanotube）が材料科学の分野で見いだされ、その性質や利用について研究されている。長い間、人工ダイヤモンド合成の試みがなされ、数々の失敗や悲劇も生みながら、GE社により1955年に合成が成功した。〔進野　勇〕』
タールサンド（tar sand）⑥
『タール状あるいは重質の油分を多量に含んだ砂または砂岩をいうが、原油を含む多孔質の他の岩石を呼ぶこともある。タールサンドからの採油は、流動性を有する原油と異なり普通の方法では採集できない。露天掘りや火攻法（油層内における一部の油を燃焼し、油層内温度を上昇させ流動性を大きくして坑井採油する）、水攻法などを用いる。タールサンドは、オイルシェールとともに今後に開発技術が期待される需要な資源。世界における産地は、カナダ、アメリカ、ベネズエラ、マダガスカル、トリニダード、アルバニア、ルーマニア、ソ連など。原始埋蔵量16000億バーレル。』

炭化水素（hydrocarbon）⑦
『炭素原子と水素原子とからなる有機化合物。つまり炭素と水素とだけからなる化合物の総称で、化石燃料の主成分。炭化水素は炭素原子1個と水素原子4個からなるメタンCH4から、炭素原子が数百の大分子まできわめて多種あり、炭化水素を有機化合物の化学構造から分類すると概略表45のとおりである。大気汚染公害の見地から問題になるのは塗料や有機溶剤を使用する工場、石油類タンクなどから排出（揮発）するもの、自動車の未燃ガソリンが揮発するものや燃焼（内燃）の際クラッキングを起こして発生するものである。とくに非メタン系炭化水素は窒素酸化物と反応して、光化学スモッグの起因となるオキシダントを発生するので、大気中の炭化水素の測定については非メタン系炭化水素とし、光化学オキシダント生成防止のための濃度レベルは、6～9時間の3時間平均値が0.2～0.31ppmCの範囲にあることとされている。なお、ppmCとは炭素原子数を基準として表したppm値である。

**表45**
有機化合物（炭素化合物）	鎖式化合物（脂肪族炭化水素）	飽和化合物（飽和炭化水素）	メタン系炭化水素〔メタン、エタン、プロパンなど〕（パラフィン系炭化水素）
		不飽和化合物（不飽和炭化水素）	エチレン系炭化水素〔エチレン、プロピレンなど〕
			アセチレン系炭化水素〔アセチレン、メチルアセチレンなど〕
	環式化合物	炭素環式化合物	芳香族化合物〔ベンゼン、トルエン、キシレンなど〕（芳香族炭化水素）
			脂環式化合物〔シクロプロパンなど〕
		複素環式化合物	〔炭素以外の元素を環の中に含む化合物、ビリジンなど〕

』

炭化水素資源（hydrocarbon resources）③
『一般に経済的に採掘可能な原油、天然ガスおよびオイルサンドの総称であるが、場合によりオイルシェールをこれに含めることもある。これらのうちで原油と天然ガスの資源量（通常は埋蔵量または鉱量、reservesという）については次のような種類がある。
①　可採埋蔵量：　ある時点以降、適切な条件のもとに採収しうる鉱量をいい、これとすでに採収したものを合計して究極可採埋蔵量という。また、計算根拠となったデータの豊富さにより確認埋蔵量、推定埋蔵量、予想埋蔵量に区別してその信頼度を表す。埋蔵量は通常、地表条件に換算して表す。
②　原始埋蔵量：　貯留層内の総埋蔵量をいい、究極可採埋蔵量と採収不能な埋蔵量の和である。
　これらの埋蔵量の算定法には容積法、物質収支法および減退曲線法の代表的3手法があり、わが国では日本工業規格（JIS M 1006-1975）でそれぞれの大要が規格化されている。これは発見された油・ガス田の埋蔵量であるが、今後発見されるであろう埋蔵量の予測法もいくつか提案されている。これらの方法による世界の究極可採埋蔵量の推定値が数多く発表されている。石油学会編「新石油事典」（1982、朝倉書店）によれば原油1.92兆バーレル、天然ガス8500兆立方フィートとされており、さらに増進回収法による増油分を見込むならば原油は2.05兆バーレルと予測されている。1982年の世界の消費量は約200億バーレルであるから、このままの消費水準が続くと仮定すれば、石油の寿命は約100年と計算できる。しかし、実際には消費量がこのまま推移することは考えられないので、石油の寿命は40～50年と計算している人もいる。〔浅川　忠〕』
探鉱（prospecting）②
『鉱床の発見および評価を目的とした一連の作業。必要範囲の地質図・地質構造図を実際調査と構造試錐によって作成し、それに各種の地表探鉱・地球物理探査・地化学探査・放射能探査などの結果を総合して当該地下資源の分布範囲・深度・配列・規模を推定し、それらを基礎に試錐探鉱・坑道探鉱などを実施して鉱床を確認し、その試料を分析し、鉱量を計算し、試料の選鉱法など当該鉱床の開発目的に必要な試験を実施して結論を得る。探査と混用されているが、探査のほうが意味が広い。〔岸本文男・平山晴彦〕』
探鉱〔prospecting、exploration（探査）〕③
『有用な鉱物、燃料あるいは地熱資源の開発・採掘にさきがけて行われる鉱床を探す作業をいう。鉱床を発見したあと開発に着手するまでには、鉱床の形、鉱石の品位、埋蔵量など鉱床の諸性質の概略を明らかにする必要があり、探鉱あるいは探査という語は両方ともこの全体を包含する言葉として使われることが多いが、探鉱という語を鉱床の発見のみをさす狭義に用いることもある。英語のprospectingはこの狭義の探鉱にあたり、explorationはprospectingと同義にも、またそのあとの発見された鉱床の性質を明らかにする作業をさすものとしても用いられる。
　一般に、まず地表における岩石、地層の分布状況を調査する地質調査を広く行い、有望地域については地下に存在する鉱床の直接的・間接的反映を重力、電気、磁気、放射能、弾性波などの物理的手段で調査する物理探鉱、沢水、沢砂、土壌、岩石の微量成分の分析から伏在する鉱床を探す地化学探鉱を行ってターゲットを絞る。最終的には試錐を行い、コアの観察・分析や試錐孔を利用した検層によって鉱床の存在状況を確認する。また探鉱の目的で坑道または立坑を掘り、鉱床を確認することもよく行われる。実際にはこれらの探鉱法が常にすべて用いられるのではなく、対象とする鉱物の種類や必要とする精度に応じて利用される探鉱法は異なる。たとえば粘土鉱床の探鉱には物理探鉱、地化学探鉱はあまり有効でなく、おもに試錐に頼ることが必要である。〔藤田嘉彦・蜂須賀栄治〕』
→『探鉱／採鉱とは』のページを参照。

【ち】

地化学探鉱（地化学探査、地表地化学探鉱）（geochemical exploration、geochemical prospecting）③
『地下に胚胎する鉱床からその鉱床に固有の化学成分が上昇し、地表付近で異常値として兆候が現れる。その異常値から地下における鉱床の存在を推定しようとする探査法。この方法は石油鉱床、金属鉱床、地熱鉱床のいずれにも有効であるとされている。
　石油・天然ガス鉱床の地化学探鉱で最も重要なパラメーターは土壌ガス分布である。地表近くの土壌に吸着されている炭化水素ガスのうち、メタンはバクテリア発酵により多量に生成されるので地下深所からの浸出指示成分としては不適格である。そこで一般にエタン以上の成分が調査対象となる。海洋ではトウを海底付近に下げ船を走行させながらトウ内にセットされた水中ポンプで海水を連続的に船上へ汲み上げ、海水中の微量な炭化水素ガスを自動的に連続分析する方法がとられる。トウの位置はソナー記録を参考にしながらウィンチ操作で海底から常に10～20m上にあるようケーブルの繰り出しが調節される。
　金属鉱床の探鉱は鉱床から固有の金属が熱水または地下水に溶解して地表面へ向かって上昇したものを測定し、アノマリーを見つけることである。したがって、対象とされるサンプルの種類は多く、土壌、岩石、河川堆積物、河川水、湖水、植物、地表付近のガスなどが調査対象となる。　
　地熱鉱床の場合も金属鉱床の探鉱と似ている。なぜならば地熱水は一般に多量の金属（たとえばヒ素、水銀など）を溶解しているので、地熱の異常は金属濃度の異常として現れる場合が多いからである。地熱探査では金属の他に炭酸ガス、硫化水素などの火山性ガスも重要な指示成分となる。また熱水による地表岩石との同位体交換反応による異常（δ¹⁸Oなど）も有効な手法として調査対象となる。〔浅川　忠〕』
地下資源（underground resources）⑥
『地下に埋蔵されている天然資源の総称で、ふつうは鉱物資源とほぼ同義に使用されている。広義の鉱物資源には金属・非金属鉱物資源に加えて石炭・石油・天然ガス、地下水中の無機成分などの資源が含まれるが、さらに地下水資源、地熱エネルギー資源を含めたものを地下資源と呼ぶ場合もある。』
地質図（geologic map）②
『地殻表面の各種の岩体を、その種類・年代・岩相などによって区分し、それらの分布、累重関係、褶曲・断層などの地質構造を表現した図。通常、地形図上に、岩石の分布を色または模様で示し、地質構造や累重関係は各種の記号で表現する。一般の地質図には、地質柱状図や地質断面図がつけられる。広い意味では、これらを含めて地質図と呼ぶが、厳密には地質平面図を指す。〔鈴木尉元〕』
地質図（geologic map、geological map）③
『岩石や地層をその種類、生成年代、岩相などによって区分し、それらの分布を示すとともに、整合・不整合などの累重関係、褶曲・断層などの地質構造を表現した図。通常地図上に岩石、地層の分布を色別または模様別に記し、地質構造や累重関係は各種の記号で表現する。地質図には普通地質断面図、またときに地質柱状図がつけられ、広義にはこれらを含めて地質図とよぶ。〔藤田嘉彦〕』
→『地質図とは』のページを参照。
地質断面図（geological profile、geological section）②
『地下の岩石の分布、各種岩類の相互関係、地質構造を断面図で示したもの。主に地表地質の資料によって描くが、ボーリングボーリングや物理探査資料をも参考にする。断面図を描くには、簡単な場合にはフリーハンドによるが、幾何学的作図法としては平行褶曲図法（バスク図法）・直線図法・三井図法などがある。地層の相互関係、層厚・層相の変化などを概念的に示した断面図は、模式（地質）断面図という。〔鈴木尉元〕』
地質断面図（geologic cross-section）③
『地表地質の資料によって地下の岩石の分布、整合・不整合などの相互関係、断層・背斜・向斜などの地質構造などの地質状況を断面図で示したもの。より正確なものは、試錐や物理探鉱などの地下地質情報をも参考にして描かれる。〔藤田嘉彦〕』
地質柱状図（geologic column、columnar section、geologic log）②
『ある地域の地層の層序・層厚・岩相・含有化石などを長柱状に示した図。単に柱状図とも。柱状図における高さは、各地層の厚さにほぼ比例して描かれる。地層が傾斜している場合には、真の厚さに直して表示される。この点で坑井柱状図が掘削試料（コア）をそのまま柱状に表現するのと異なる。地層の対比、化石の産出層準、標本採取層準の表示などに用いられる。地層の硬軟の特徴がわかるように、柱状図の右端または左端に凹凸をつけて表現することもある。一連の露頭でみられる地層の状態を示した露頭柱状図、それをいくつかまとめて1本に示した総合柱状図、また、ある地域の層序・岩相などをまとめて概念的に示した模式柱状図などがある。〔鈴木尉元〕』
地質柱状図（geologic column、columnar section）③
『ある地域または場所における地層の岩質、重なり具合、厚さ、含有化石などを長柱状に示した断面図。単に柱状図ともよばれる。柱状図では下から上に新しい地層が、それぞれ真の厚さにほぼ比例して描かれる。通常各地層の岩質は模様化して表現され、詳細はその横に補足して記載される。岩石標本の採集層準や化石の産出層準の表示に用いるほか、その地域の岩質の時代に伴う変化から堆積環境の変化の判読に用いたり、いくつかの地域で得られた柱状図を並べて対比することにより、厚さ、岩相の地域変化を判読するのにも用いられる。〔藤田嘉彦〕』
地質調査（geological survey）③
『ある地域の地質状況（岩石・地層の分布、相互関係、形成年代や地質構造など）を知るために行う調査。一般的な地質の解明を目的とする場合や、鉱床・建造物の基礎など、特定の目的のために調査する場合があり、それに応じて、調査の規模・組織・手段は多様。ふつうハンマー・クリノメーターなどの携帯器具を用い肉眼観察を主とする地表地質調査を指すが、広義には物理探査・地化学探査・試錐調査などを含める。〔坂本　亨〕』
地質調査（geological survey）③
『ある地域の地質状況（岩石の種類、地層の分布、相互関係、形成年代、地質構造など）を知るために行う調査。一般的な地質の解明を目的とする場合や鉱床の存在、建造物の基盤の適性など特定の目的のために調査する場合があり、それに応じて調査手段・規模は多様である。狭義にはハンマーとクリノメーターを用い野外での肉眼観察による地表地質調査をさすが、広義には対象とする地域の地質状況を調査するという意味で空中写真による地質調査、物理探鉱、地化学探鉱、試錐調査なども含める。通常、調査結果は地質図、地質柱状図、地質断面図など地質の状況がわかりやすい図で表現される。〔藤田嘉彦〕』
→『地質調査法とは』のページを参照。

地層水（formation water）③
『石油鉱業の慣用語で、貯留岩の孔隙中に含まれる水である。特に油・ガス鉱床に付随する地層水を油田水（oil-field water）と称する。
　地層水の性質は、その起源、続成的変化、水理学的ポテンシャルの差による天水や海水の付加、火成活動などにより支配される。海水起源の場合、一般にNa⁺とCl^-が多いが、その濃度は海水の数10分の1から数倍にわたる。他成分を海水と比較すると、一般にMg²⁺が減少し、Ca²⁺は地質時代の古いものほど増加する。SO4^2-は還元されてきわめて少ないが、天水が付加している場合は比較的多くなる。生物起源のI^-は一般に海水の100～10000倍に濃集している。地層水の水質の分類法には溶存イオンに基づくいろいろの手法があるが、油田水にはSulin（1946）の方法がもっとも有効である。すなわち、石油やガスに特に関係したと考えられる[Cl-Ca]型と[HCO3-Na]型、岩塩鉱床と関係した[Cl-Mg]型、水理学的に開放された地域に特有な[SO4-Na]型の4つに分類される。〔藤田嘉彦〕

Na⁺/Cl^-	（Cl^-－Na⁺）/Mg²⁺	（Na⁺－Cl^-）/SO4^2-	Sulinタイプ
＜1	＞1		Cl-Ca
＜1	＜1		Cl-Mg
＞1		＞1	HCO3-Na
＞1		＜1	SO4-Na
（注）　濃度は全イオンに対する当量百分率

』

地熱エネルギー（geothermal energy）⑥
『地球内部の熱エネルギーを総称する場合と、そのうち人間が取り出して利用できる部分に限る場合とがある。地熱エネルギーは地熱発電、地域暖房、農業、工業などに利用されている。地熱の熱源としてはグローバルなものとしては地殻を構成する岩石中の放射性元素の発熱、マントルからの熱の供給があり、またとくに局所的には火山による集中的な熱の供給がある。』
地熱エネルギー（geothermal energy）⑦
『地表面近くに存在するマグマと呼ばれる地下の溶融岩石がもつエネルギーをいう。マグマのエネルギーは通常でも地殻を貫いて地表面につねにエネルギーを放出することにより地表面を暖めているが、このエネルギーを一般に地殻熱流量といい、地球内部から地殻を通して単位面積・単位時間当たりの熱流量として次のように表される。
　　Q＝k⊿T≒k（dT/dz）
ここで、kは熱伝導率、⊿Tは温度勾配、zは深さである。
　この地殻熱流量は世界の陸上領域で約1.41×10^-6cal/m²s、海域では1.42×10^-6cal/m²sと推定されている。火山国であるわが国では火山が65、それを含めたいわゆる地熱地帯は200ヶ所あり、全世界の地熱エネルギーの約1割を占めている。地熱エネルギーを有効的に取り出すには現在では非常に限られた方法しかないが、その技術開発が種々研究されている。地熱エネルギーは主に地熱発電に利用されているが、図95（略）および表47（略）に示すように多目的利用が可能であり、とくに、人工熱水系造成による高温岩体発電技術などの開発が推進されている。』
貯留岩（reservoir rock）③
『石油・天然ガスなどの炭化水素鉱床あるいは蒸気・熱水などの地熱鉱床を形成するために必要な集積構造（トラップ）中の多孔質・高透水性の岩石をさす。炭化水素貯留岩の孔隙中には、石油・天然ガス以外に、多量の塩分濃度の高い水が含まれている。また、集積構造を形成するためには、貯留岩を直接おおって流体の上方移動を阻止している不透水性岩石（帽岩またはキャップロック）の存在が必要である。
　貯留岩の価値判断に用いられる岩石物性は、一般にはその岩石のもつ有効孔隙率と浸透率である。有効孔隙率とは、岩石中の有効孔隙（互いに連通性のある孔隙）の体積と岩石の総体積との比（％）をいい、φeで表す。また、浸透率とは、多孔質岩石内における流体の流れやすさを表す値であり、その単位はダルシー（d）またはミリダルシー（md）を用いる。Levorsen（1967）によると、炭化水素の貯留岩となるために必要な孔隙率と浸透率の範囲は次のとおりであるとしている。すなわち、孔隙率では、0～5％は不可、5～10％は可、10～20％は良、20～25％は優である。また、浸透率では、1～10mdは可、10～100mdは良、100～1000mdは優である。
　実際に石油および天然ガスの貯留岩となっている岩石には、次のようなものがある。すなわち、Levorsen（1967）によると、礫岩・砂岩・シルト岩・頁岩などの一般砕屑岩、苦灰岩・石灰岩などの炭酸塩岩、凝灰岩・凝灰角礫岩などの火山砕屑岩、安山岩・流紋岩などの火山岩、花こう岩・閃緑岩などの深成岩、片岩・珪岩などの変成岩が貯留岩になっているとしている。したがって、ある条件さえ整えば、すべての種類の岩石が貯留岩になりうる可能性をもつことになる。しかし、実際に油・ガス田の貯留岩になっている岩石の種類を調査してみると、このような岩石はきわめて限られていることがわかる。たとえば、Knebel and Rodriguez-Eraso（1955）の調査によると、1955年まで開発された世界の主要油田300における主たる貯留岩は砂岩（62％）と炭酸塩岩（32％）であり、これら以外の岩石は合計して6％であると報告している。また、青柳（1974）によると、1968年までに開発された日本海側地域の油・ガス田44の貯留岩は、砂岩（63％）・火山砕屑岩（30％）、火山岩（7％）および炭酸塩岩（1％）であったことが報告されている。したがって、本邦の油・ガス田の場合には、海外の油田で多い炭酸塩岩が少なく、火山砕屑岩および火山岩が多いことになる。この原因については、本邦の主要油・ガス田の形成が日本海側の新第三系に限られており、この時期にグリーンタフで代表されるような大規模の火山活動が行われていたためと考えられている。
　貯留岩は岩石の骨組みとなる粒子と粒子の空間である孔隙とより構成されている。孔隙内には炭化水素・空気・水などの流体と粘土などのマトリックスが存在する。この粘土または粘土鉱物は、貯留岩の孔隙性および透水性に対してかなり強い影響力をもつ。貯留岩の透水性を低下させる粘土鉱物はモンモリロナイト＞モンモリロナイト／イライト混合層鉱物＞イライト＞緑泥石＞カオリナイトの順であり、Naモンモリロナイトの影響がもっとも強い。また孔隙中における自生粘土鉱物は、次のような影響を与えることが知られている。すなわち、フィルム状のセメントは粒子を包むために岩石の貯留性に影響し、ドルース型のセメントは孔隙を複雑に埋めるためにその透水性を急激に低下させる。凝灰岩中の火山ガラスが沸石化すると、孔隙率が低くなり、比重が大となることが認められている。〔青柳宏一〕』
貯留岩（reservoir rock）⑥
『多孔質、浸透性を有する岩石で、その孔隙が石油・ガスまたは水で満たされているもの。貯留岩としては粒子と粒子の間に孔隙をもった礫岩・砂岩、初生的に孔隙を有する炭酸塩岩・軽石・火山岩、初生的な割れ目をもつ水中生成の溶岩、二次的な割れ目が発達した各種の堆積岩、火成岩、変成岩などがある。ただし、全世界の巨大油田187の貯留岩は砂岩（64％）、炭酸塩岩（36％）である。地熱の場合は孔隙に高温の蒸気または熱水をたくわえた岩石・地層をいう。』

【て】

鉄鉱床（iron deposit）②
『稼行される鉱床は堆積鉱床・火成鉱床・残留鉱床の3種。主要鉱石鉱物は磁鉄鉱・赤鉄鉱・ゲーサイト（褐鉄鉱）・シャモサイト・シデライトなど。堆積鉱床はFeに富む堆積岩で、縞状鉄鉱層とアイアンストーンに大別される。縞状鉄鉱層は世界各大陸の先カンブリア時代の地層中に大規模に発達。鉄鉱床として最も重要で、1990年には、世界の鉄鉱石の90％以上を供給。しばしばFeに富む部分とチャート質の部分が数mm～数cmのラミナをつくるので、この名がある。始生代に多いアルゴマ型と、原生代に多いスペリオル型があり、後者の方が大規模。アイアンストーンは主に顕生代の地層にみられ、チャート質のラミナは伴わず、魚卵状のシャモサイト・シデライトなどからなる。クリントン型とミネット型がある。日本でかつて広く稼行された褐鉄鉱鉱床（虻田・喜茂別など）は、火山地域の温泉などによる化学的沈殿物。火成鉱床にはマグマ性と熱水性がある。マグマ性には、鉄酸化物（および少量のりん灰石・珪酸塩鉱物）の溶融体（マグマ）が固結したもの（高地のため未開発だが、チリのEl Laco火山の磁鉄鉱溶岩が典型）と、苦鉄質貫入岩体中の磁鉄鉱鉱層（Bushveld複合岩体層など）があり、後者はVやTiを主に稼行。スウェーデンのKiruna鉱床は規模が大きく、成因に諸説あるが、前者の変成した可能性もある。熱水鉱床としてはスカルン（釜石鉱山・中国の大冶鉱床など）・塊状交代鉱床（スペインBilbao鉱床など）・シデライト鉱脈鉱床などがある。高品位ではあるが大規模なものは少ない。残留鉱床としては砂鉄があり、その利用の歴史は古く、日本でもかつて重要な鉄資源であった。FeはAlなどとともにラテライトに濃集するがまだ利用されていない。〔島崎英彦〕』
天然ガス（natural gas）③
『広義の天然ガスは天然に産するすべてのガスをさすが、一般には狭義の可燃性天然ガスをさす場合が多い。非可燃性天然ガスとしては火山・温泉などからのマグマ性ガスがある。可燃性天然ガスの分類は目的あるいは観点によりいろいろな分類法がとられる。
①　成因による分類：原油と同じ成因でできたものを石油系天然ガスといい、石炭の変成に伴って放出されるガスを石炭ガスといい、バクテリア発酵でできたガスを生化学ガスという。
②　地質学的産状による分類：天然ガスは産状により油田ガス、ガス田ガスおよび炭田ガスの3つに分類される。油田ガスは石油の生産に伴って産出するものをさすことから石油随伴ガスまたは原油随伴ガスともいう。
③　鉱床形態による分類：油溶型鉱床、遊離型鉱床、水溶型（性）鉱床の3つに分類される。油溶型鉱床は原油随伴ガスを意味し、遊離型鉱床は石油を伴わない石油系ガス、石炭ガスが石炭による吸着容量を超えて発生したとき付近の貯留層へ移動し、集積したもの、および水溶性ガス鉱床から溶解限界を超えたものが遊離し、移動して付近の貯留層に集積したものである。水溶型鉱床は生化学ガスが水に溶解した状態で鉱床をなすものである。〔浅川　忠〕』
天然ガス（natural gas）⑥
『天然に地下から産出し、地表でガス状をなす可燃性または非可燃性の物質。一般には炭化水素（メタン、エタン、プロパン、ブタン）を主成分とする可燃性ガスをいうことが多い。可燃性天然ガスを地質学的産状からみると次の三者に分けられる。
①石油または含油地層と密接な関係をもって産出するもの（油田ガス）。
②石炭または含炭地層と密接な関係をもって産出するもの（炭田ガス）。
③石油にも石炭にも関係なく産出するもの（水溶性天然ガス）。
天然ガスの用途としては化学工業原料・工場燃料・都市ガス用などがある。世界の確認埋蔵量（1979）は73兆m³。不燃性ガスとしては、炭酸ガスと窒素を両極端とし、メタン・硫化水素・亜硫酸ガスなどを伴う火山性ガスと水成岩地域から産出する窒素・ヘリウム・ラドンなどがある。』
天然ガス（natural gas）⑦
『天然に地下から産するパラフィン系炭化水素を主成分とする可燃性ガスの総称。油田から原油に伴って産出する油田ガス、原油を伴わないガス田から採取されるガス田ガス、石炭層から産出する炭田ガス、地下水に伴って産出する水溶性ガスなどがある。世界の天然ガスの究極埋蔵量は204兆m³、確認可採埋蔵量は1991年現在で119兆m³である。天然ガスは脱硫精製することによりいわゆるクリーンエネルギーとなり、都市ガスや一般工業燃料、化学工業用原料などとして用いられる。』
→『天然ガスとは』のページを参照。
⇒（天然ガスの種類）（社）日本エネルギー学会（1999）による
⇒（非在来型天然ガス）（社）日本エネルギー学会（1999）による
⇒（非在来型天然ガス）緒方（2001）による

【と】

銅鉱床（copper deposit）②
『熱水鉱床・マグマ鉱床・堆積層内鉱床など多様な産状を示す。鉱石鉱物も多種にわたるが、主要な初生鉱物は黄銅鉱で、他に斑銅鉱・輝銅鉱・コベリン・テトラヘドライト・硫砒銅鉱など。酸化帯では孔雀石・珪孔雀石・自然銅・赤銅鉱・らん銅鉱・ブロシャン銅鉱など。熱水鉱床は、１）斑岩銅鉱床：斑状貫入岩体中およびその周辺に鉱染する低品位大規模鉱床。Cu資源として最重要。環太平洋造山帯に例が多い。２）火山性塊状硫化物鉱床：世界各地のさまざまな時代の苦鉄質～珪長質火山岩類に伴うCu・Zn・Pbの鉱床。カナダのNoranda地域、別子鉱山・小坂鉱山など。３）鉱脈鉱床：黄銅鉱-石英脈やSn・W・Zn・Pbなどを伴う多金属鉱脈などで足尾鉱山など。４）スカルン鉱床：釜石・八茎鉱山など。マグマ鉱床は、５）サドベリー型鉱床：苦鉄質マグマから不混和現象によって分離した硫化物溶融体が濃集・固結したもの。稼行目的のNiと同量程度のCuを産する。Sudbury鉱床など。堆積層内鉱床は、６）カッパーベルト型鉱床：ザンビア・カッパーベルトの高品位層状鉱床が典型。Coが重要副産物。銅資源としては１）に次いで重要。７）含銅頁岩型鉱床：北欧に広く薄く分布する古生代の含銅頁岩層（Kupferschiefer）が代表。一般に低品位。８）コロコロ型鉱床:赤色砂岩中の鉱染鉱でボリビアのCorocoro鉱床など。規模は小さい。９）自然銅鉱床：米国スペリオル湖のKeweenaw半島にみられ、礫岩のセメント部や玄武岩溶岩の気泡中に自然銅を含む。かつての米国の重要な銅資源の一つ。〔島崎英彦〕』
陶磁器用粘土（clays for pottery）③
『陶磁器製造に適した粘土質原料である。一般に陶磁器原料は可塑性原料および非可塑性原料に大別することができる。可塑性原料は各種粘土鉱物を主体とし、非可塑性原料は石英および長石を主体とするものである。可塑性原料の主要な粘土鉱物はカオリナイト、ハロイサイト、セリサイト、スメクタイトおよびパイロフィライトである。木節粘土、蛙目粘土、カオリン、陶石、ろう石は陶磁器用粘土原料の代表的なものである。
　粘土が陶磁器用粘土となりうるためには可塑性、解膠性、泥漿の流動性、乾燥収縮、乾燥強度、焼成収縮、耐火度などにおいて製造工程上必要な特性を保有していることである。さらに焼成品の呈色、強度、気孔率、耐化学性、耐候性などにおいても必要な特性を与えるものでなくてはならない。これらの特性は粘土の総化学組成、鉱物組成、粒度分布、交換性イオンの種類などによって異なる。たとえば、耐火度は主としてAl2O3成分と塩基成分によって左右され、乾燥収縮は微粒部分の量と関係する。また乾燥強度は微粒部分の量とはい土全体の粒度構成に依存し、呈色は酸化鉄、酸化マンガン、酸化チタンの量と関係がある。これらのことから、製品の種類によってそれぞれ異なった粘土原料が用いられている。特定の用途に用いられる粘土にはその用途を示す名称を与えることが多い。瓦用粘土、煉瓦用粘土、せっ器用粘土、釉薬用粘土などがその例である。〔宇田川重和〕』

陶石（porcelain stone、pottery stone）②
『単味で焼成して磁器状となる陶磁器製造用の白色・塊状の岩石の商品名。一般に石英（約70％）とセリサイトやカオリンなどの粘土鉱物（約30％）からなり、黄鉄鉱や水酸化鉄など少量の不純物を伴う。化学組成はSiO2 70～80、Al2O3 13～20、K2O 1.5～6、ig.loss 2～5、Fe2O3・TiO2など0.2～0.8％、耐火度SK-26～29。熊本県（天草）・石川県（服部）・岐阜県（伊西）・佐賀県（有田）などから産出し、年産量24.5万t（1992）。』
陶石（pottery stone）③
『西欧諸国ではこれにあたる名称はないが、toseki（oの頭に^-）と書くかあるいはpottery stoneと訳される。陶磁器原料として古くから採掘利用されてきたもので、それぞれ著名な焼物の産地と結び付いた原料山が全国各地、特に中部以西にきわめて多い。産額の大半を占める標式的な陶石は石英の微粒とセリサイトを主成分とする白色の岩石であって、単味で焼成して陶磁器化する性質をもっている。しかし陶石とよばれているものの中にはカオリンのやや多いもの、長石と石英微粒あるいはクリストバライトを主成分とする長石質のものもある。なお、中国にも陶石とよく似た性質、産状の原料を産し、古くから磁器原料として用いられているが、同国では瓷石（瓷はわが国の磁にあたる）porcelain stoneという。
〔地質鉱床〕　陶石鉱床はおもに石英斑岩、流紋岩、松脂岩などの岩脈が、貫入後引き続いてみずからの熱水変質によってできたものである。したがって、鉱床もほとんどこれらの岩脈の内部に限られている。岩脈ではなく岩株であったり、凝灰岩の中に鉱床ができていることもあるが、これらは少例に過ぎない。次に幾つかの代表例について述べる。鉱床の状態をもっとも標式的に表しているのは九州天草にある天草陶石である。そこでは下島西海岸沿いの東西5km、南北10kmくらいの範囲に10数本の流紋岩岩脈が分布し、それらが陶石化してできた鉱床が各所にあって数10ヵ所で稼行採掘されている（図：略）。兵庫県の出石町にある出石陶石も類似しているが、天草陶石に比べて分布範囲が狭く、陶石化したのは流紋岩岩脈と松脂岩岩脈である。同じような例は他にも少なくない。これらに対して佐賀県と長崎県の県境の両側にわたって発達している陶石群はかなり趣を異にする。すなわち、それらのうち、泉山陶石は流紋岩の岩株が陶石化してできた鉱床で、直径150mくらいの円形の地表分布を示している。一方、波佐見陶石は岩脈だけでなく、凝灰岩もともに陶石化してできたもので、しかも長石とクリストバライトを主成分とする長石質のものである。一般に陶石鉱床の限界は陶石化の程度によって決まる。しかし大部分の陶石はおもな不純物として硫化鉄鉱を鉱染状あるいは網脈状に含有し、そのため地表に近い部分だけが水酸化鉄に変わりつつ鉄が溶脱されており、深部にはしばしば硫化鉄鉱が多量に残存して不良鉱となって鉱床の下限を決定している。
〔産地〕　現在のおもな産地は熊本県天草郡（天草陶石）、佐賀県有田町（泉山陶石）、長崎県彼杵群波佐見町（波佐見陶石）、石川県石川郡鳥越村、同能美郡辰口町（服部陶石、河合陶石）、岐阜県吉城郡神岡町（渋草陶石）、兵庫県出石郡出石町（出石陶石）などの他数地区に及んでいる。
〔鉱物組成と化学組成〕　上述のように陶石の主成分は石英とセリサイトであるが、石英と、長石（カリ長石およびオリゴクレース）あるいはクリストバライトを主成分とするものもある。副成分鉱物としてはカオリン、ゼオライト、モンモリロナイト、緑泥石、ルチルおよび未変質ガラスなどがある。最も好ましくない不純物は硫化鉄鉱、菱鉄鉱、方解石などである。石英、長石およびクリストバライトは陶石化によってできたものでおおむね細粒であるが、長石質の陶石の中には原岩の石英や長石の斑晶が陶石化から逃れたものがそのまま含まれていることもある。出石陶石の一部には硫化鉄鉱の他に閃亜鉛鉱や方鉛鉱の鉱染あるいは細脈が見られるが、このような例は非常に少ない。陶石には雲母／モンモリロナイト、緑泥石／モンモリロナイトなどの混合層鉱物の存在している例がある。鉱物組成の例を表1に掲げる。
　これに対応する陶石の化学組成の例を表2に示す。〔岩生周一〕

**表1　陶石の鉱物組成の例（％）**
		セリサイト	石英	長石＋カオリン	Fe2O3*
天草陶石	特選鉱	35～45	45～55	15 （おもにカオリナイト）	0.07～0.3
天草陶石	一等鉱	30～35	45～55	15～20	0.3～0.5
		セリサイト	石英・クリストバライト	長石	カオリンその他	硫化鉄
泉山陶石	白色陶磁器用	25～40	45～55	10以下	少量	2以下
泉山陶石	釉薬用	10～20	約50	30～40		2以下
*　wt％、他は容量比

**表2　陶石の化学組成の例**
天草陶石（一等鉱　SK 26）		SiO2 75.90, TiO2 0.04, Al2O3 15.89, Fe2O3 0.09, FeO 0.28, CaO 0.09, MgO 0.07, MnO tr., K2O 3.03, Na2O 0.39, SO3 0.03, H2O+ 3.48, H2O- 0.42, 計99.71（wt％）
泉山陶石	白色陶磁器用（SK 17～20）	SiO2 79.02, TiO2 0.03, Al2O3 13.47, Fe2O3 0.42, FeO 0.14, CaO 0.03, MgO 0.10, MnO 0.02, K2O 3.13, Na2O 0.35, H2O+ 2.62, H2O- 0.64, 計99.95（wt％）
泉山陶石	釉薬用原石	SiO2 76.72, TiO2 0.04, Al2O3 14.06, Fe2O3 0.25, FeO 0.07, CaO 0.06, MgO 0.06, MnO 0.01, K2O 5.15, Na2O 1.07, H2O+ 1.91, H2O- 0.38, 計99.78（wt％）

トラップ（trap）③
『多孔質岩石中を移動してきた石油・天然ガスが、それ以上進めなくなり、そこに引っかかり集積し、貯留させるような地質条件の場所をいう。すなわち石油地質学ではそのような地質構造をわな（trap）という。トラップには構造トラップ、層位トラップ、層位・構造組合せトラップがある。構造トラップとは背斜トラップ、断層トラップなどをいい、層位トラップはレンズ状砂トラップ、尖滅トラップ、浸透率トラップ、不整合トラップなどがおもなものである。層位・構造組合せトラップは、層位的要素と褶曲または断層としての構造的要素とが組み合わさってはじめてトラップを形成しうるものである。トラップ内にある石油・天然ガスは、地層水の上に載って最も高い位置を占めるが、貯留岩内に強い動水圧勾配がある場合、油やガスはそれと浮力がつり合うところまで移動して偏在するトラップがある。〔相場惇一〕』
→石油のトラップ
トリウム（thorium）⑦
『元素記号Thで表される、原子番号90、原子量232.05の放射性元素。トリウムはそれ自体は熱中性子に対して核分裂性ではない。しかし同位体であるトリウム232²³²Thは熱中性子を吸収して、核分裂性のウラン233²³³Uに変換するので、潜在核燃料物質（親物質）として重要な核燃料資源である。』

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