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【り】
- リグニン(lignin)H
『フェニルプロパノイド単位からなる複雑な重合物。厚壁組織、木部の道管および仮道管などの細胞壁のセルロースと結合して(リグノセルロースとなる)、それらの組織を強固にしている。リグニンはセルロースの組織を強固にしている。リグニンはセルロースの次に大量に存在する植物の高分子物質で、木材の20〜30%を占める。』
- 燐(リン)鉱床(phosphate deposit)A
『リン酸カルシウムを対象とする鉱床で、海成堆積鉱床とマグマ鉱床がある。前者は隠微晶質〜微晶質りん灰石(炭酸塩を固溶)からなり、泥岩・石灰質頁岩・砂岩・ドロマイト・チャート・珪藻土に伴う。P2O5 25%以上、厚さ1〜10mで10,000km2に及ぶ。米国フロリダ州(中新世)、アイダホ州とその周辺(ペルム紀)、メキシコ北西部(ジュラ紀)、モロッコ・チュニジアや中近東(白亜紀〜始新世)の鉱層は著名。寒暖の海水境界で生成。マグマ鉱床は、かすみ石閃長岩・カーボナタイトに伴うりん灰石濃集体(鉱床)で、コラ半島のヒビン・アルカリ岩体(石炭紀)、南アPalabora(先カンブリア時代)・マラウイTundule(白亜紀)・ブラジルJacupiranga(白亜紀)等のカーボナタイト岩体とその風化残留物が例。鉱石品位表示はP2O5%とBPL(bone phosphate
of lime、Ca3(PO4)2)%法があり、2.18×P2O5%=BPL%。稼行鉱床の品位はBPL50〜85%。世界の年産量は1.6億t(1991)で、主産国は米国・旧ソ連・中国・モロッコなど。堆積鉱床産が85%、残りはほぼ火成鉱床。〔平野英雄・岡野武雄〕』
【れ】
- レアメタル
⇒(株)フジ・テクノシステム・(社)日本工業技術振興協会(編)(1991)による
⇒大迫(1992)による
- 劣化ウラン(depleted uranium)F
『核燃料として、有効な成分であるウラン235235Uの同位体存在比が天然のもの(0.71%)よりも少なくなったウラン。法律的には235Uの238Uに対する比率が天然の混合率に達しないウランと定義されている。劣化ウランはウラン濃縮の過程あるいは使用済燃料再処理の過程で生じる。劣化ウランはそのまま核分裂性物質として原子炉で使うことはできないが、その中には親物質としてプルトニウム生産に採用し得る238Uが多量に含まれているので、高速増殖炉のブランケット用物質として活用される。』
【ろ】
- 蝋石(ろうせき)(pyrophyllite、roseki)A
『本来はパイロフィライトを主成分とする緻密・軟質で、ろう感をもった岩石。印材・石筆・彫刻材などに使われていたが、18世紀末の近代製鉄業の発達とともに耐火物原料として、その後は各種工業原料として需要が増え、類似した外観・用途をもつカオリンやセリサイトを主成分とする岩石もろう石と呼ばれ利用されている。構成鉱物はパイロフィライト・カオリン・セリサイトで、石英・ダイアスポア・コランダム・明ばん石・紅柱石・トパーズ・黄鉄鉱などを伴う。主構成鉱物から、パイロフィライト質ろう石・カオリン質ろう石・セリサイト質ろう石など。鉱床は中生代末〜新第三紀の流紋岩・デイサイト・安山岩・それらの火砕岩類・石英斑岩などが熱水変質作用を受けて形成され、塊状・脈状・パイプ状・層状などの形態を示す。鉱床の中心部にはコランダムやダイアスポアが産出し、周囲には弱い粘土帯・珪化帯などを伴う。日本は世界最大のろう石生産国(1992年の年産量は約77万t)。用途は、耐火物・農薬・ガラス繊維・陶磁器など。主産地は岡山県三石地区・広島県勝光山地区・長崎県五島・兵庫県神崎地区・韓国の莞島(Wando)地区・東來(草冠がつく)(Donglae)地区・中国の浙江省・福建省など。〔須藤定久〕』
蝋石(ろうせき)B
『西欧諸国にはこれにあたる名称はないが、roseki(oの頭に-)と書かれる。ろう石とよばれるものに共通の特徴はろう感をもち、白色または灰白色を基調色とすることであるが、この中には、@パイロフィライトを主体とする白い粘土質原料、Aカオリンまたはセリサイトを主とする白色の粘土質原料および、Bタルクを主体とする白色〜淡緑色石質の原料の3種類がある。
@パイロフィライトを主体とするろう石。おもに微細なパイロフィライト結晶の集合体からできているが、通常、石英の微粒を混じえ、その量が多く珪質のものも多い。また、カオリン(おもにカオリナイト;ディッカイト、ナクライトを伴うこともある)、セリサイトをさまざまな割合で混じえる。ダイアスポア、ベーマイト、コランダム、紅柱石、ジュモルチエライト、明ばん石、トパズなどをよく伴う。希にりん灰石、他のリン酸塩鉱物を含む例もある。鉄分は一般に少ないが、おもに硫化鉄鉱あるいは水酸化鉄として含まれる。石英は微細な粒子の他、原岩の粗い石英粒がそのまま含まれることも多い。粗粒の石英は好ましくない。ろう石鉱床の一部にはほとんどダイアスポアからできているものが脈状あるいはレンズ状、球状に産出し、それらは耐火度が高く、光学ガラスのるつぼ用原料などに供給されるものがある。通常のろう石はパイロフィライトの特性を反映して耐火性に富み、シャモットにせずに比較的低温でもよく焼締るので、わが国ではおもに耐火煉瓦の原料として多量に使われてきた。また、ろう石を粉砕して水ひなどによってできる限り石英その他を除去したものはおもに製紙用クレーなどとして広く市販されている。鉱床はおもに流紋岩やその凝灰岩あるいは砂岩などが熱水変質を受けてできたもので、わが国では岡山県三石地域、広島県勝光山地域、長崎県五島をはじめ、多くの地域から原料を多産する。韓国南部にも産地が多く日本に輸出されている。
Aカオリンまたはセリサイトを主とするろう石。パイロフィライトに対するカオリンまたはセリサイトの量比が大きい。石英を混在することは通常のろう石と同様である。通常のろう石鉱床に伴って産することもあり、産地を特定できない。陶磁器用原料として稼行されているものがある。
Bタルクを主体とするろう石。石筆石または石けん石ともよばれる。硬度が低い(モース硬度1)ので、古くは石筆用などとして切り出されたが、現在では粉砕して白色粉材とし、また鉄分の少ないものは陶磁器、タイルなどの原料にも使われている。鉱床はかんらん岩やマグネサイトなどMgに富む岩体や地層が地殻のかなり深いところで熱水溶液の作用を受けて生成されたものである。わが国には大鉱床は発見されていない。パイロフィライト・ダイアスポアを主とするろう石鉱床からは雲母/モンモリロナイト、またカオリンを主とするものからは緑泥石/モンモリロナイトの混合層鉱物が報告されている例がある。〔岩生周一〕』
- 露天採掘(open pit、open-cut mining)A
『表土や被覆地層を除去し、鉱体を地表から直接採掘する方法。露天掘りとも。鉱体が地表に露出するか地下浅所にあり、水理地質・気候・地上建造物などの条件が採掘を妨げない場合に可能。坑内採掘に比べ採掘費が安く大量処理できるため、低品位の大鉱体をなす金属・非金属鉱石や水平炭層の場合に最適。除去する土石量とそれにより採掘可能となる鉱石量の比を剥土比という。〔岡野武雄〕』
露天採鉱(open-cut、open-pit mining)B
『露天採鉱は一般に鉱床が地表に近いところに賦存していて剥土比が小さい鉱床の採掘方法として採用されてきたが、近年重機械の発明利用により採掘技術の研究と相まって急速に発達した。特に1965年以降は、大型建設機械の導入により、傾斜面採掘法やグローリホール法は影をひそめ、安全性と量産性の面からほとんど階段採掘法(ベンチカット法)にとって代られている。以下それらを含む露天採鉱法の5種について概略を説明する。
@ 階段採掘法(ベンチカット法): 階段採掘法は岩盤に数段のベンチを作り、クローラドリルと車両系建設機械を組み合わせて鉱石を採掘する方法である。この方法の長所は、イ.平地の作業で保安上安全であり少々の悪天候でも生産は維持できる。ロ.採掘能率は高く生産能力の安定化が望める。ハ.切羽の選択採掘ができて、品質管理上有利である。ニ.各種高能率の建設機械類の導入が計られるので省力化が可能である。短所としては、イ.採掘場の起業費が多額の投資となり相当長期間の切羽準備を必要とする。ロ.採掘区域の地形上の制約を受けることがあるなどが考えられる。
A 傾斜面採掘法: 傾斜面採掘法は山を開いて手軽にすぐ採掘に取りかかる方法として小規模鉱山で広く行われている採掘方法である。採掘基盤を定め切羽を作ろうとする斜面の表土を除き、基盤ができればこれを採掘傾斜面60度に仕上げていく。この切羽作りの作業は命綱を腰につけた作業員が上部から斜面を降り、小型さく岩機を用いてせん孔、発破を行い凸部を削り落とし、軟岩の部分をはぎとって仕上げていく。採掘斜面の高さは20mを限度に採掘面の傾斜は60度以下の勾配とする。採掘斜面の高さが20m以上になるときは高さ20mごとに適当な幅の階段を設けなければならないということになっている。
B グローリホール法: この方法は地表に開坑している立坑を中心にその周囲を漏斗状に採掘していく方法である。立坑の下部に小割室を作り、ふるいを設けるのが普通である。この採掘状態を図解すれば図(略)のとおりである。図1は図2の下部の拡大図。
C 坑道式大発破法: この方法は急傾斜な山腹を一発破で多量に爆破する場合に用いられてきた方法である。作業はまず山腹に加背幅1.6m×1.3m(縦×横幅)程度の小断面の坑道を15〜20mT字形に掘削し、そのT字形の終端に薬室を設けこれに多量の爆薬を集中装薬した後、坑道を埋戻し密閉し、これを爆破することにより一時に多量の原鉱石を採取する方法である。
D 水力採鉱法→水力採鉱
〔蜂須賀栄治〕』
露天掘り(open-cut mining method、open pit)E
『露天採鉱法。表土や表層堆積物を取り除き、地表から直接鉱床(鉱体)を採掘する方法をいう。坑内採鉱法(underground
mining method)の対語。大規模塊状の金属・非金属鉱床、水平層をなす石灰石鉱床、砕石資源などが地表下浅所に存在している場合に用いられる。グロリーホール法(glory
hole method)、階段法(bench cut method)などがあり、前者は大規模な石灰石鉱体の採掘に、後者は小規模な石灰石鉱体の採掘や、金属・非金属鉱体や砕石山の採掘に用いられている。』
- 露頭(outcrop)B
『地層や地質構造などが地表に露出している部分。狭義には鉱床または有用鉱物の濃集部が地表に露出している部分をよぶ。露頭の形状は対象となるものやその周辺の岩石などの物理的・化学的性質によって異なる。露頭の存在はその鉱床の発見の端緒になることもあり、鉱床の賦存状態・規模を推定する際の直接の手がかりとして重要である。〔藤田嘉彦〕』
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