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【ら】

  • 落葉落枝層(litter layer)J
    『リター層、L層(L layer)。森林において地表面に落ちたままで、まだ土壌生物によってほとんど分解されていない葉・枝・果実・樹皮・倒木など、すなわち落葉落枝(litter 独Waldstreu)類および動物の糞などのデトリタスの堆積した層。その発達の程度は供給量と分解量の差で決まり、群落の密なこと・低温・乾燥・過湿などは発達の好条件となる。落葉落枝供給量は熱帯・亜熱帯多雨林から草原、温帯落葉広葉樹林、タイガの針葉樹林、ツンドラの順に減少し、その分解率も同じ順序で減少するが、その傾斜は供給量の場合より急激なので、高緯度のものほど有機物の蓄積量が大きくなる。高い分解率は大形節足動物とミミズの存在と、中間の分解率はミミズの存在と、また低い分解率はヒメミミズの存在と結びついているとされる(O.W.Heal, S.B.Chapman, 1972)。落葉落枝層は下方から分解されてF層・H層となり、その下にA層がある。』
  • 裸子植物(gymnosperms)H
    『正式な分類体系においてはもはや使われなくなった語であるが、非公式にはまだ使われている。文字どおり‘裸の種子をもつ植物’を意味し、胚珠と種子は胞子葉(またはそれに類似したもの)の表面に露出してつき、それが被子植物でない種子植物の主要な特徴の一つである。現存している種は、球果植物、ソテツ類、イチョウ類、マオウ類の4つに分類される。』
    裸子植物(らししょくぶつ)K
    『種子植物のうち、胚珠が心皮に囲まれずに裸出する植物をさし、被子植物と並立させる。化石記録は古生代デボン紀にさかのぼり、中生代白亜紀までは陸上植物の優占群であったと考えられる。』
  • 螺旋(らせん)成長(spiral growth)A
    『らせん転位を媒介とした結晶成長機構。成長中の結晶面上にらせん転位が顔を出していると、中心でずれが0、結晶端で1バーガーズベクトルのずれをもつ刃型の階段ができ、ここに粒子が優先的に吸着されるから、らせん中心を主軸としたらせん階段状に成長層が前進する。そのため、二次元核形成を必要とせず、低過飽和度下でも成長できる。F.C.Frankが1949年理論的に予測し、その後、多種類の結晶上に渦巻成長層が観察され、理論の正しさが実証された。〔砂川一郎〕』
  • ラテライト(laterite)A
    『熱帯地域に広く分布し、鉄・アルミニウムの酸化物や水酸化物を主成分とする、硬化した風化生成土壌。紅色をしているので、紅土とも。土壌学的にはオキシゾル(oxisol)と呼ばれる。主要構成鉱物はゲーサイト・ギブサイト・ベーマイト・ダイアスポアで、少量のカオリン・クロム鉄鉱・スピネル・ガーニエライトなどを含む。化学組成は、Fe 45〜55、Ni 0.2〜1.3、Al2O3 5〜10、H2O 8〜15%。地表または浅い部分にできる硬いFe-Al質の魚卵状結核からなるセメント層をラテライト性皮殻(lateritic crust)という。キューバ・ニューカレドニアなどのNiに富むラテライトはNi原料として重要。熱帯地域に広く分布し、その鉱量は350億t以上。1980年、オーストラリアで地化学探査によりラテライト中の金鉱床(lateritic-hosted gold deposit)が発見され(Boddington、Au 100t)、風化残留鉱床の新たなタイプとなった。硬化の程度によりcarapace(手で壊れる)とcuirasse(つるはしでやっと砕ける)に区別。インド南部マラバール海岸地方の赤黄色の鉄・アルミナに富む風化生成物は、露出したときはチーズのように軟らかいが、日光に照射され乾燥すると不可逆的に硬化して煉瓦のように固まるので、古くから建築材料として利用されてきた。F.Buchanan(1807)は、このような物質に対して、煉瓦を意味するラテン語のlaterにちなんでlateriteという術語を最初に用いた。Buchananがラテライトと呼んだ物質はプリンサイト(plinthite)として再定義され(Soil Survey Staff, 1967)、硬化したプリンサイトをラテライトという。〔永塚鎮男・須藤定久〕』
  • ラテライト化作用(laterization)A
    『かつては、熱帯地方の鉄・アルミニウムの酸化物や水酸化物に富んだ赤色土壌(ラテライト性土壌)が生成する過程に対して用いられたが、今日では、このような土壌生成過程に対しては鉄アルミナ富化作用という用語を採用。ラテライト化作用は土壌生成作用を表す用語としては用いられず、プリンサイトが日光に照射されて不可逆的に硬化し、ラテライト皮殻が形成される過程に限定して用いられる。〔松井 健・永塚鎮男〕』
  • ラングミュアの吸着等温式(Langmuir's adsorption isotherm)@
    『1916年ラングミュアが導いた、一定温度での気体の吸着量と圧力との関係を与える次の式をいう:
         v=vmbp/(1+bp)。
    vは吸着された期待の体積、vmは飽和吸着量、pは圧力、bは吸着系によりきまる定数で、吸着係数とよばれる。この式は、一定数の吸着点をもつ表面への吸着速度と脱離速度が吸着平衡において等しいとして導かれる関係で、単分子吸着層をつくる場合に成り立ち、BET吸着等温式の特殊な場合と考えられる。』
  • 【り】

  • リグノセルロース(lignocellulose)H
    『木材の主要な化学構成物質。生物工学の技術によってメタンやアルコールに変換され、特にエネルギー源として貴重な資源となる。』
  • 理想溶液(ideal solution)@
    『ベンゼンとトルエンのように分子の大きさが同じ程度で、分子間力も同じ程度の成分物質を混合すると、混合熱の吸収発生をともなわず、エントロピーの増加(混合エントロピー)だけによって均一な溶液をつくる。これを理想溶液という。理想溶液で成分iの化学ポテンシャルμiは、μi=μio+RT logxiで与えられる。μioは純成分iの化学ポテンシャル、xiは成分iのモル分率である。ほとんどの溶液は十分希薄にすると理想溶液に近づき(理想希薄溶液)、近似的に理想溶液の法則に従うようになる。ベンゼン−トルエンのように全濃度範囲にわたってほぼ理想溶液の性質を示す場合、とくに完全溶液(perfect solution)という。』
  • リソソーム(lysosome)H
    真核細胞の細胞内分解系の不可欠な部分を形成している膜に囲まれた多様な液胞状の器官(図114参照:略)。多種の加水分解酵素を含む。分解される物質は飲食作用(異物食作用)によって細胞に取り込まれ、一次リソソーム(直径0.5μm)と融合してリソソームの一部となる。一次リソソームはゴルジ装置から出芽し、加水分解活性は有していない。この融合により生じた液胞(ヘテロファゴソーム)が分解の場となる。ヘテロファゴソームは消化管に類似しており、同じような分解産物がリソソーム膜の特異的なチャネルまたは担体を通じて細胞質ゾルに拡散する。分解されないものは残余小体としてしばらく残る。自食作用にはしばしば滑面小胞体由来と考えられる膜質の液胞に囲まれた細胞小器官が関与する。これはその後、一次リソソームと融合してオートファゴソームを形成する。これらはホルモンに関係した発生の再構成を行っている細胞に特徴的である。オートファゴソームとヘテロファゴソームは二次リソソームの型であり、一次リソソームよりもかなり大きい。数種の細胞外酵素の分泌は一次リソソームが直接細胞膜と融合して起こる。図38参照(略)。』
    リソソームK
    『高分子化合物の消化をおこなう細胞小器官で、各種の加水分解酵素を含む小胞。細胞外から食胞などで取り込まれた物質、細胞内のミトコンドリアなどの小器官や、特定のアミノ酸配列をもつタンパク質などを分解するとともに、分解産物の再利用の装置でもある。菌類や植物のリソソームに相当する細胞小器官は液胞である。』
  • 律速段階(rate-determining step)@
    『化学反応などの動的過程がいくつかの段階によって構成されているとき、そのうちの1つがほかの段階にくらべて非常に緩慢に進行するために、それによって全過程の進行が実際上支配されてしまうような段階を律速段階という。たとえば次亜塩素酸イオンClO-から塩素酸イオンClO3-への変化
         3ClO- → ClO3- + 2Cl-
    は次の2つの段階(素反応)によって進行すると考えられる。
    (1)   ClO- + ClO- → ClO2- + Cl-
    (2)   ClO2- + ClO- → ClO3- + Cl-
    このうち(2)は(1)にくらべてきわめて迅速に進むから、(1)が全反応の律速段階となる。このとき、律速段階以外の段階(たとえば(2)の素反応)は近似的に平衡状態となる。これを部分平衡という。全反応の化学反応式を見ればClO-に関する3次反応のようであるが、反応次数は律速段階によって規定されているから実際は2次反応であり、全反応の反応速度もまた律速段階によって支配されている。』
  • リボース(ribose)H
    単糖類ペントース(炭素数5)の一つ。C5H10O5RNAや、その前駆体であるヌクレオシド三リン酸などの構成要素。』
    リボース(りぼーす)K
    五炭糖の一種で、リン酸、塩基と結合してATPなどのヌクレオチドをつくる。リボ核酸(RNA)の構成成分である。DNAの構成成分であるデオキシリボースは、リボース分子中の水酸基の一つが水素原子に置き換わったものである。』
  • リボソーム(ribosome)H
    『膜系を欠いているが、多くの場合、膜に結合している細胞小器官で、真核細胞原核細胞および葉緑体ミトコンドリアにある。タンパク質合成の場であり、各々はほぼ一定の比率でリボソームRNA(rRNA)および40種以上の異なるタンパク質から構成される複合体である。原核生物のリボソームは真核生物のものより少し小さく、沈降係数(スベドベリ数、S)は、真核生物の80Sに対して70Sである。リボソームの直径は、原核生物では約29nm、真核生物では約32nmであり、それぞれ大型(50S、60S)と小型(30S、40S)のサブユニットからなる。各々のサブユニットは1〜3種類のrRNAと付属タンパク質から構成される。機能的なリボソームには、成長するポリペプチド鎖に合う溝と、伝令RNA(mRNA)分子のためのもう一つの溝がある。リボソーム大サブユニットとの結合に先だって、小サブユニットと開始tRNAとmRNAの結合には開始因子が必要とされる。1本のmRNA鎖の上にある複数のリボソームによってポリソームが形成される。
     リボソームは、原核生物、葉緑体、ミトコンドリアでは膜に付着していない。しかし一般に真核細胞(特に活発に分泌をしているもの)では、核の外膜の外側表面に付着しているだけでなく、膜に結合して粗面小胞体を形成する。主な真核生物のrRNAの起原は核であり、1本のrRNA転写産物が各1本の18S、5.8S、28SのrRNAへと切断される。18S rRNA分子は小サブユニットを形成し、5.8Sおよび28S rRNAは、核質中で5S rRNAと共同して大サブユニットを形成する。リボソームタンパク質は核内でこれらのrRNAと結合してプロリボソーム顆粒(RNP)となり、核膜孔複合体を通って細胞質へ放出されるらしい。原核生物のrRNAの種類は5S、16S、23Sで、これらは30SのrRNA前駆体から切り出される。』
    リボソーム(りぼそーむ)K
    タンパク質合成をおこなう細胞小器官。多数のタンパク質とリボソーム特有のRNAを含む大小二つのサブユニットから成る。転移RNAおよび多数のタンパク質因子との共同のもとに、伝令RNAの塩基配列として含まれる遺伝情報をアミノ酸の並び方に変えて、タンパク質(ポリペプチド)を合成する。細胞小器官の一つだが、機能としては、多成分から成るタンパク質合成酵素の一種である。リボゾームともいうが、教育用語としては、学術(動)にしたがいリボソームを採用する。』
  • 流通反応器(flow reactor、flow system)I
    『閉鎖系である回分式反応器に対し開放系の反応器であり、流体が連続的に流入して反応し系外に流出するタイプの反応器。』
  • 流動層(fluidized bed)@
    『流体と固体との接触操作を目的として装置の下部から流体を吹き上げ、固体粒子を浮遊懸濁の状態に保つ反応装置をいう。固定層と比較すると、固体の供給、排出などの連続操作が可能であること、熱移動速度がいちじるしく大きいために高発熱反応を容易に制御できることなどが特徴であり、一方固体粒子の物性に対する制約、逆混合の影響などを設計に際して考慮しなくてはならない。各種気相接触反応、焙燃、乾燥など古典的用途から、ポリオレフィンの気相接触重合、金属チタン、シリコーンの製造、微粉炭ボイラー、都市ごみ焼却など次々と新しい用途が開発されている。』
    流動床(fluidized bed)I
    『粒状または粉状の固体を充填した反応器の下部から反応流体(気体または液体)を送入するとき、流速が遅く充填粒子が動かない場合を固定床(または充填層)、流速をあげて粒子が反応器内を動きまわるとき流動床(または流動層)という。さらに流速をあげて固体粒子が流体と一緒に運び去られるときは輸送層(pneumatic bed)もしくは移動層(entrained bed)である。流動床では反応器内部で粒子と流体は均一に混合されて両者間の接触がよく、かつ大量の流体を一定温度下で大量に連続処理できる。流動床は1940年代に流動接触分解(fluidized catalytic cracking)に応用され、その後、各種の触媒および固体反応器、燃焼装置、乾燥装置、固体の焙焼など、固体を連続的に処理できる装置として使用されている。固定床と反応器壁の間の伝熱係数が40〜200kJ・m-2・h-1・deg-1であるのに対して、流動床はその約10倍の伝熱係数であり、触媒の温度調節は固定床に比べて流動床ははるかに容易である。』
  • 粒度分析(particle size analysis)B
    『粉体の粒度を分析すること。土壌学の分野では、器械分析ともよばれている。粒度という述語は、一般に粉末を構成している粒子全体の統計的な大きさ、およびその分布を表す意味に用いられ、粒子個々の大きさを表す粒子径とは区別される。粒度は粉体の物理的および化学的性質を支配する最も重要な因子の1つであるため、粉体を扱う工業や研究に粒度分析は不可欠である。
     粒度分析の方法は多種多様であるが、測定原理の差によって次のように分類することができる。
    @ 粒子の幾何学的大きさを測定したり、それが直接反映される現象を利用する方法: 肉眼観察、指頭や舌による感触、ふるい分け法、光学顕微鏡観察、走査型および透過型電子顕微鏡観察などがこれに属する。さらに、導電性のある液体中に分散させた粒子を微細孔に導入し、1つ1つの粒子が孔を通過するときに生じる、電気抵抗のパルス的増大から粒子径を求める細孔通過法(Coulter counter method)、光を散乱する粒子数とその質量とから粒子径を見積る限外顕微鏡法もこの範ちゅうである。
    A 気体あるいは液体など流体中の粒子の動きが粒子径によって異なることを利用する方法: 各種の沈降法がこれに属し、それには沈降する粉体質量を秤量する天秤法、試料濃度の変化を圧力で検出する圧力法、懸濁液の比重の変化を検出する比重計(浮き秤)法、アンドレアゼンピペット法に代表される各種ピペット法などがある。また、沈降法には重力の他に遠心力を利用するものもある。このグループに属するその他の方法に、流体を流すことにより分級するひ別法、粉体を気体中に噴射して分別捕集する噴射法などがある。
    B 粉体の単位質量あたりの表面積が粒度によって異なることを利用する方法: すべての比表面積測定法がこれに属する。すなわち、BET法に代表される気相吸着法、液体中で脂肪酸、染料、界面活性剤などを吸着させる液相吸着法、蒸気を吸着した粉体をその液体に浸漬し、吸着層の表面エネルギーに相当する発熱量から算出する浸漬熱法、Lea-Nurse法やBlaine法など粉体充填層に流体を透過させる透過法などがある。
    C 光やX線の散乱、透過、あるいは回折を利用する方法: 光散乱法がその例であるが、これにはRayleighあるいはMieの理論を用いて解析する方法と、沈降法と組み合わせた比濁沈降法がある。また、X線の小角散乱を用いる方法、X線回折ピークの拡散を利用する方法もこれに属する。〔井川博行〕』
  • 粒度分布(particle size distribution)B
    『粉体の粒子径の分布のこと。粒子の大きさは一般に粒子径という1次元の寸法で表されるが、その意味するものは測定法により異なる。すなわち、顕微鏡法による粒度分析では定方向の平行線で粒子をはさんだ間隔、すなわち定方向径が、沈降法による測定ではストークス径とよばれる同粒子と沈降速度の等しい球の直径が、細孔通過法では粒子と体積の等しい球の直径が、表面積法では粒子と等しい表面積をもつ球の直径が計測される。また、粒度分布を表す基準として個数(頻度)または体積(密度を掛ければ質量)が広く用いられているが、その他、長さあるいは面積を基準として表すこともある。これらの基準のとり方により、その粉体の粒子径を代表する平均粒子径も異なるのは当然である。
     粉体を構成している粒子のうち、他と明確に分離できる最小単位の個体を一次粒子とよぶ。一次粒子がいくつか集合して大きな凝集粒子となっていることがある。この凝集粒子は、一般に一次粒子が小さいほど生成しやすい。一次粒子は必ずしも単結晶であるとは限らず、いくつかの微結晶から成っていることもある。したがって、一次粒子と凝集粒子の区別は概念的なもので、両者が明確に判別できない事例も多い。粒度分布測定の前に粒子を解膠させるが、これは凝集粒子を一次粒子に分離させる操作である。しかしながら両者の区別が前述のように明確でない場合には、この解膠の操作により粒度分布が異なってくる。一般に、水が分散媒の場合は最も解膠しやすく、湿った空気中で分散させることは困難である。以上のような理由で、粒度分布はその粉体に固有のものではなく、粒度分析の方法や試料の解膠させ方によって異なる性質のものである。
     粘土鉱物は微細であることが特質のひとつであり、2μm以下の水ひ物を粘土試料として採取することが広く行われている。また、粘土の鉱物種により粒度分布が異なることが知られており、その例を表に示す。
    粘土鉱物の粒度分布の例(Marshall、1949)
      2〜0.5
    μm
    0.5〜0.25
    μm
    0.25〜0.125
    μm
    0.125〜0.062
    μm
    <0.062
    μm
    カオリナイト 46 42 5 3 3
    ハロイサイト 25 24 32 16 4
    「イライト」 41 21 15 10 13
    モンモリロナイト 38 23 6 11 24
    * ストークス径                             (須藤俊男:粘土鉱物学、岩波書店)
    〔井川博行〕』
  • 【れ】

  • 零次反応(zero-order reaction)@
    『反応次数が0の化学反応をいい、ふつうは反応速度が反応系のすべての成分の濃度や分圧に無関係なものをさす。この種の反応はたとえば銅触媒によるギ酸の分解反応で見られ、反応物分子などが触媒面に強く吸着して飽和していて、その吸着量が反応物分子の分圧に無関係に一定値を示すためと解釈されている。』
  • レゴリス(regolith)B
    『(1)陸上の未固結堆積物の総称。地表を包む岩石の意で、風化残留堆積物、岩くず、火山灰、氷河堆積物、沖積堆積物、風成堆積物、レス、土壌などを含むが、わが国の土木関係者の間では土壌のみをさす場合もある。
    (2)最近では月や他の天体の表面をおおっている、岩石の砕けた破片から成っているものもレゴリスとよんでいる。単なる細粒化以外に化学的変化を受けていることもあるが、当然地球上の風化とは様相が異なる。〔歌田 実〕』
  • レシベ化作用(clay migration、illimerization)(仏 lessivage)A
    『粘土粒子が化学的変化や分解を受けずに土壌断面表層から下層へ機械的に移動・集積する過程で行われる、基礎的土壌生成作用の一つ。粘土洗脱作用または粘土の機械的移動とも。P.Duchaufour(1951)提案。レシベ化作用の要因として、1)浸透水による運搬、2)腐植-粘土複合体の可動化と腐植の分解による再沈殿、3)珪酸コロイドによる粘土粒子の分散、4)Caイオンの減少による粘土粒子の分散と鉄による分散抑制などがある。レシベ化作用は、粘土粒子の分散・移動・運搬および沈積の3過程からなる。レシベ化作用が働いた土壌断面では、B層における粘土含量および微細粘土/全粘土比が増大する。またこのような粘土集積層(Bt層)において粘土皮膜(clay cutan)が確認される。〔永塚鎮男・田村憲司〕』
  • レス(loess)B
    更新世の風成細粒堆積物。ふつうは無層理。未固結、多孔質の軟らかい堆積物で黄色または、黄褐色を呈している。シルトを主体とし細砂から粘土までの粒径のものを含む。石英、長石、重鉱物、粘土鉱物などを主成分とし、方解石のジュールが多い。北西部ヨーロッパから北アメリカ太平洋岸、Mississippi河、中国東北部などに広く分布し、中国のものは黄土とよばれる。それぞれの場所により、やや起源が異なっているが、砂漠、河川、氷河などの未固結細粒物質が風で運搬、堆積したものと信じられている。〔歌田 実〕』
  • レノルズ数(Reynolds number)@
    『流れの中にある物体の代表的な長さL、速度U、密度ρ、粘性率η、動粘性率ν=η/ρから作られる無次元の数R=ρLU/η=LU/νをいう。たとえば、半径aの球が静止流体中を速度Vで動く場合にはR=aV/νである。Rは、慣性の大きさと粘性の大きさの比と考えてよい。物体の大きさ、流速、流体の種類が異なっていても、Rが等しければ流れの状態は変わらないから、レイノルズ数は流れを特徴づけるものとしてきわめて重要である。円筒内の流れが層流から乱流へ遷移する条件を記述するパラメターとしてレノルズが導入した(1879)。完全流体ではR=∞であるが、粘性流体ではR→∞の極限が必ずしも完全流体の解に一致しない場合がある。』
  • 連続の方程式(equation of continuity)@
    『〔1〕流体の運動について質量保存の法則を表わす方程式。空間における任意の微小体積内の質量の増加は、そこに流れこむ質量と流れ出す質量の差に常に等しいこと(質量の局所的保存)を表わしている。流体の密度をρ、速度をv(u,v,w)とすれば∂ρ/∂t+div(ρv)=0、すなわち
     ∂ρ/∂t+∂(ρu)/∂x+∂(ρv)/∂y+∂(ρw)/∂z=0
    が連続の方程式である。縮まない流体では、div v=0、すなわち∂u/∂x+∂v/∂y+∂w/∂z=0となる。2次元的な縮まない流れでは、連続の方程式∂u/∂x+∂v/∂y=0は、流れの関数Ψを導入しu=∂Ψ/∂y、v=−∂Ψ/∂xとおくことによって自動的に満たされる。
    〔2〕一般に、物理量(電気、熱、量子力学における存在確率、…)が空間に連続的に分布して流れているとき、その局所的保存を表す方程式をいう。』
  • 連続反応(consecutive reaction, successive reaction)@
    『連発反応ともいう。ある化学反応の生成物がさらに別の反応をおこしてほかの生成物に変わる場合に、その全反応を連続反応という。たとえば、
         2Na + HgCl2 → 2NaCl + Hg
    の反応は次の2つの反応が連続しておこった結果生じた反応である。
         Na + HgCl2 → NaCl + HgCl
         HgCl + Na → NaCl + Hg
    一般に1つの化学方程式で表わされる反応も、実際は多くの素反応の組合せからなる連続反応であることが多い。連続反応を構成する諸反応のうち、最初の反応と最終生成物を生ずる最後の反応以外のものを中間反応(intermediate reaction)という。連鎖反応も連続反応の一種である。連鎖反応以外の連続反応を逐次反応ということもある。』
  • 【ろ】

  • ローム(loam)B
    『砂、シルト、粘土が適当量混合している土壌。原義では有機物を多く含む土壌topsoilをさす。なお、このような本来の用法のほか、土木関係や考古学など種々の分野で、いわゆる関東ロームのような風化火山砕屑物層を構成している火山灰起源の褐色土をさす名称として用いられている。〔歌田 実〕』
    ローム(loam)E
    『砂・シルト・粘土がほぼ等しい割合で混じりあった土。通常、少量の有機物を含む。成因によって風成ローム、残留ローム、氾濫原ロームなどに分けられる。関東地方の洪積台地に分布する関東ローム層は、現在では(ロームの組成に近い)風化火山灰層の意味で用いられているが、元来はロームの土性(土壌粒径組成)をもつ土層の意味で命名されたものである。』


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