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【ゆ】
- 有糸分裂(mitosis、複数はmitoses(karyokinesis))H
『親の核と遺伝的に同じ2つの娘核をつくる核分裂の方法(細胞周期のM期)。普通は娘核のまわりの細胞質の分裂(細胞質分裂)を伴い、2つの娘細胞を生じる(細胞分裂)。多細胞生物と多核性菌類において、成長、発生、および修復過程での核の複製に伴って起こる。原核生物は核がないため有糸分裂もなく、別の方法でDNAを複製、分離している。有糸分裂を行わない体細胞(とその核)は、典型的な間期の状態にある。有糸分裂の最初の段階(前期)で凝縮した染色体が見えはじめ、セントロメアでつながった2つの同一の姉妹染色分体が生じる。減数分裂の第一分裂前期とは異なり、普通は相同染色体は対合しない(図112参照:略)。
前期の間に、微小管からなる紡錘体が核の外側に形成される。中心粒がある場合はS期(細胞周期)に複製され、紡錘体の両極を形成する。2つの星状体は微小管の伸長とともに分離する。中期に核膜は崩壊し、染色体のセントロメアの動原体から微小管が伸長して紡錘体に付着する。その結果生じる攪拌により、すべての染色体は2つの紡錘体極の中間の平面(中期核板)に並ぶ。それぞれの染色体は紡錘体の軸に対して長軸が垂直になるように並ぶ。中期は長時間かかることもある。後期は動原体の分離からはじまり、染色体の2つの姉妹染色分体が両側の紡錘体極に向かって引っぱられ離れていく。ここで、それぞれの染色分体は独立した染色体になる。数分後、染色体が両極に達すると、新しい核膜がそれぞれの染色体集団のまわりに形成され、染色体は分散する。後期には核小体が再び現れる。有糸分裂は終了し、通常は細胞質分裂によって2つの娘細胞がつくられる。通常、有糸分裂は30分から3時間かかる。減数分裂と比較せよ。』
有糸分裂(ゆうしぶんれつ)K
『真核生物の核分裂の様式。光学顕微鏡下の観察で染色体や紡錘体などの糸状構造の形成が観察されることからこの名がある。有糸分裂はさらに体細胞分裂と減数分裂に大別される。有糸分裂の進行過程は前期、中期、後期、終期に分けられる。染色体や紡錘体の形成をともなわない核分裂を無糸分裂とよぶが、この現象は主として病的な細胞だけで観察されるので、無糸分裂という用語は現在はほとんど使用されない。』
- 有性生殖(sexual reproduction)H
『本質的な性の過程(遺伝子組換えや遺伝子移入)と生殖の過程(新しい個体の生産)はしばしば混同され、生活環では互いに関連しているが、まったく別のことである。例えば、ゾウリムシなどの原生動物における接合では、性と生殖はほとんど関係がなく、ヒメゾウリムシの複合種におけるオートミキシスでは完全に独立している。また、被子植物では核融合によって二次内乳核が生じ、これは性的な過程(オートミキシス)であるが、その核には子孫(生殖)に対する遺伝的な寄与はまったくない。
ここでいう遺伝子移入とは、有糸分裂、二分裂、出芽(いずれも性的な過程ではない)などの細胞分裂ではなく、細胞間での遺伝子移入のみをいい、接合、受精、プラスミドの移入、ウイルスの感染を含む(ある種の遺伝子操作を含めることもある)。プラスミドの摘出と、それらの近縁でない種のゲノムへの取り込みは、共通の遺伝子プールをもつという種の定義に対して問題を提起している。減数分裂と受精がない原核生物では、一般に性的な過程は特殊化した接合によって行われる(例、F因子)。真核生物では、有性の生活環の顕著な特徴は減数分裂と受精だが、配偶子は必ずしも減数分裂によって生じるわけではなく、また受精後に有糸分裂が起こらないこともある。遺伝的組換えは、通常は性的な過程と関係し、子孫における遺伝的変異を増大させる(例外、同系交配)。有性生殖は不安定な環境や不調和な環境では適応的であると一般に考えられている。しかし、減数分裂は共適応した遺伝子の複合体を崩壊させる可能性がある。』
有性生殖(ゆうせいせいしょく)K
『減数分裂による染色体の減数と受精・接合による染色体数の回復によって子孫を残す生殖の方法。減数分裂の過程で遺伝的組換えが起きる。必ずしも雄と雌が分化している必要はない。有性生殖には、組換えによって有害な突然変異を排除し、健全な遺伝子の組み合わせを維持する機能と、病原体耐性などの有利な突然変異を組み合わせ、適応進化の速度を速める機能があると考えられている。無性生殖の対語。』
- 遊走子(zoospore、swarm spore)H
『胞子嚢(遊走子嚢)の中でつくられる裸の胞子で、運動性があり、1本または2本、あるいは多数の鞭毛をもつ。ある種の藻類や卵菌類のような原生生物に見られる。』
遊走子(ゆうそうし)K
『べん(鞭)毛があり水中を運動する胞子。藻類の多くや一部の菌類にみられる。動胞子ともいうが、教育用語としては、学術(植)にしたがい遊走子とする。』
- 誘導結合高周波プラズマ分光分析(inductively
coupled plasma spectrometry)@
『不活性気体の気流中においたコイルに4〜50MHz、出力2〜10kWの高周波発振器から高周波電流を流すときに発生する無極放電プラズマの中に、主として溶液状の試料を導入して行なう発光分光分析をいう。ICPと略称する。試料の利用効率がよく、プラズマ中滞在時間が長く、高感度の多元素同時定量ができる。直流アークやスパーク光源に比較して検出感度が1桁くらい高く(多くの金属元素で10-4〜10-3μg/cm3)、10-3〜10-2μg/cm-3の定量が可能で、たとえば製鉄所で1日数百種の試料を分析するのに用いられる。』
誘導結合プラズマ発光分析法(inductively coupled plasma atomic emission spectrometry)A
『誘導結合プラズマ(ICP)中に導入された試料中の元素が励起されて発光する光を検出し分析するのがICP発光分析法である。単にICPとも。従来のアーク放電を用いた発光分析に比べて安定な光源が得られ、共存元素の影響が少なく定量範囲が広いため、多数の元素を高感度(ppb、ng/ml
レベル)で短時間に測定することができる。〔今井 登〕』
ICP発光分光分析(ICP emission spectrometry)I
『ICP(高周波誘導結合プラズマ、inductively coupled plasma)を光源とする発光分光分析。外径約20mmの石英ガラス管製のトーチ(torch)の外側に2〜3ターンの誘導コイルを巻き、これに周波数20〜50MHz、出力1〜2kWの高周波電力を加え、トーチに流したアルゴンガス中に発生させたフレーム状の放電をICPという。通常、水溶液などの液体試料をネブライザーで霧化して、アルゴンのキャリヤーガスでトーチの中心軸の試料導入管から導入する。このプラズマを上部からみるとドーナツ状の穴があいており、この中に試料が効率よく導入される。このため、試料原子は約6000Kに加熱され、耐火性元素を含めて多くの元素の検出限界は0.1〜10ng・cm-3ときわめて高感度である。アルカリ金属などの共存元素の影響が小さいこと、ダイナミックレンジ(検量線の直線範囲)が5〜6桁と広いことなどの優れた特長があり、液体試料の発光分光分析法として1970年代の後半から急速に発展した。』
【よ】
陽イオン交換(cation exchange)B
『粘土は、同形置換および粒子表面または破壊面のシラノールの解離(≡SiO-+H+)による負荷電を有し、これに陽イオンを吸着している。自然状態で保持している陽イオン種は、堆積環境や土壌条件で異なるが、最も普通にはアルカリおよびアルカリ土金属(Na+、K+、Mg2+、Ca2+)であり、酸性白土や鉱質酸性土壌では水和単量[Al(H2O)63+]または重合アルミニウムイオン〔たとえばAl6(OH)12(H2O)126+〕、腐植質やアロフェン質の土壌では水素イオン(H3O+)が優勢である。水田では鉄(Fe2+)やマンガン(Mn2+)、金属鉱山や工場の下流では亜鉛(Zn2+)、カドミウム(Cd2+)、銅(Cu2+)、水銀(Hg2+)などの軽・重金属イオンが吸着されていることもある。ただし、これら軽・重金属イオンは塩基性が弱いため、pHが高い場合(〜中性)はたとえばZn(OH)+のような塩基性陽イオンになっている。
このように陽イオンを保持した粘土が異種陽イオンを含む溶液、たとえば塩化アンモニウム溶液と接すると、次式のように、既存の陽イオン(Mn+)はアンモニウムイオンと交換して溶液中に出てくる(Xは粘土を表す)。
XMn++nNH4Cl ⇔ X(NH4)n+MCln
このように、固体表面の陽イオンが溶液中の異種の陽イオンと交換する現象を陽イオン交換という。この現象は1850年、土壌に初めて発見されたが、当時はこれに水素イオンは関与しないものと考えられたため塩基交換(base
exchange)とよばれた。陽イオンは水素イオン以外は塩基だからである。
陽イオン交換は、自然界ではきわめて重要な反応であって、岩石鉱物の風化、地殻内の物質変化や移動を支配し、また土壌の物理性や養分の保持・供給力とも密接な関係をもっている。たとえば、土壌酸性化の第1段階は、風化によって遊離したアルカリ・アルカリ土金属イオンと雨水または土壌水中の水素イオンとの交換反応である。〔吉永長則〕』
陽イオン交換容量(cation-exchange capacity、CEC)B
『粘土、ゼオライトや土壌に交換態で保持されている陽イオンを交換性陽イオンといい、その総量を陽イオン交換容量という。これは負荷電の総量であり、膨脹性粘土鉱物の場合、陽イオン交換容量は大略層荷電の値を表している。通常単位重量あたり(1g、100gまたは1kg)のミリグラム当量数(meq)で示される。おもな粘土の値は表のとおり。単位はmeq/100g。
カオリナイト |
3〜15 |
スメクタイト |
80〜100 |
ハロイサイト(10A) |
10〜40 |
バーミキュライト |
100〜150 |
ハロイサイト(7A) |
5〜10 |
緑泥石 |
10〜40 |
セピオライト-パリゴルスカイト |
20〜30 |
アロフェン |
15〜40 |
雲母様鉱物(イライト) |
10〜40 |
腐植 |
100〜250 |
陽イオン交換容量に対する交換性塩基の割合(%)を塩基飽和度、交換性水素とアルミニウムの割合を塩基未飽和度(degree
of base unsaturation)という。アルミニウムは、pHにより次のように加水分解するので、陽イオン交換に関しては水素イオンと同義に考えてよい。
Al(OH)2++H+ (pH<5)
Al(OH)2++H2O ⇔ Al(OH)2++H+ (pH5〜8)
Al(OH)2++H2O ⇔ Al(OH)3+H+ (pH5〜8)
----------------------------------------
Al3++3H2O ⇔ Al(OH)3+3H+
陽イオン交換容量の測定法には大別してアルコール洗浄法と平衡法の2つがある。
アルコール洗浄法では、まず特定の塩溶液を用い、遠心分離またはろ過洗浄を繰り返して試料を特定の陽イオンで飽和する。塩溶液としては通常1規定、pH7の酢酸カルシウム/塩化カルシウム混液または酢酸アンモニウム/塩化アンモニウム混液が用いられる。次に余剰(遊離)の塩をアルコール(80%エタノール、または90〜95%メタノール)で洗って除去し、最後に保持されている陽イオンを他種の塩溶液(たとえば1規定塩化ナトリウム)で繰り返し洗浄抽出し、適当な方法で定量する。
しかし、この方法ではアルコール洗浄の際に吸着陽イオンの解離が起こり、特にアロフェンのような変異荷電性の粘土では大きい測定誤差を与える。また洗浄(遊離塩除去)の終点の判定に困難があり、洗浄の途中で試料が分散しはじめることもある。平衡法ではこれらの欠点を避けることができるが、その方法は次のとおりである。
まず一定量の試料をあらかじめ秤量した蓋付小型遠心分離管に採り、初め特定の塩(たとえば塩化カルシウム)の1規定溶液で4〜5回洗って陽イオンで飽和し、次に0.05規定溶液で最低5回洗ってその濃度で平衡に達せしめる。最後の洗浄の上澄液のpHをもって平衡pHとする。最後の洗浄のあと、遠心分離菅外側を清浄にして秤量し、これから遠心分離管と試料乾物重の合量を差し引いて遊離塩溶液量とする。次に遠心分離管の内容を他の塩溶液(たとえば1規定硝酸ナトリウム)で5回洗い上澄液をメスフラスコに集め、一定量にしたのち、はじめに用いた陽イオン(カルシウム)を定量する。この定量値から遊離塩溶液中の陽イオン量(カルシウム)を差し引いて陽イオン交換容量求める。遊離塩溶液中の陽イオン量は、その濃度を平衡に用いた原液と同じと見なし、計算によって求める。この方法で、陰イオンの吸着量を同様にして求めれば、陰イオン交換容量も求められる。〔吉永長則〕』
溶液(solution)@
『液体状態にある均一な混合物を溶液という。固体状態をとる場合は固溶体という。溶液はある液体に他の液体、または固体、気体を溶解してつくられる。もとになる液体を溶媒、溶解した物質を溶質という。ほぼ同じ大きさの異種分子がまったく無秩序に混じりあった状態が、溶液の典型的な状態であり、このような状態にある溶液を理想溶液という。実在の溶液では、溶質がイオンであったり、分子の大きさが異なったり、分子間に相互作用がはたらき、理想溶液の性質からずれることが多い。』
溶解(dissolution)@
『物質(気体、液体、固体)が溶媒に溶けて均一混合物(溶液)となる現象をいう。たとえば二酸化炭素やアンモニアなどの気体、エタノールやアセトンなどの液体、塩化ナトリウムやショ糖などの固体が水に溶けて水溶液となる場合が溶解の実例である。溶解後、その全部または一部がイオンとなる場合、溶質がイオンに解離せず分子状で存在している場合、あるいは分子やイオンが会合して存在している場合などがある。』
溶解度(solubility)@
『一般にある物質(溶質)が他の物質(溶媒)に溶解する限度をいい、飽和溶液中における溶質の濃度で表わされる。固体の液体に対する溶解度は溶媒100gに対する溶質の量(グラム数)、または溶液100g中の溶質の量(グラム数)、あるいは溶液1dm3中に溶けている溶質の量(グラム数)で表わすことが多い。溶解度は一般に温度によって変化し、その関係を表わす曲線を溶解度曲線という。気体の液体に対する溶解度はふつう溶解度係数で表わす。』
溶解度積(solubility product)@
『電解質Mν1Xν2は飽和溶液中では次のように解離している。
Mν1Xν2⇔ν1Mz1+ + ν2Xz2-
このとき、溶液中のイオンの濃度[Mz1+]ν1と[Xz2-]ν2の積Kspを溶解度積という。ここでz1、z2はイオンM、Xの価数であり、ν1z1=ν2z2の関係がある。溶解度積は温度、圧力だけによる定数であって、難溶性塩の溶解度積は化学分析とくに沈殿滴定において重要な値である。』
幼根(radicle)J
『植物の胚に形成された根をいう。その内部分化の程度は種によりさまざまである。幼根の発生を含めて胚発生の形式は植物群によって異なる。一般にまず原根層として胚の本体になるべき部分の基端に、胚柄に接して現われ、内生的に形成されていく。種子が発芽したのちは、裸子植物や双子葉類の幼根は主根として伸長することが多い。』
幼時成長(juvenile growth)J
『一般に、生物体の幼時における成長をさす。とくに、樹木の芽生えから稚樹の期間の成長は一般に非常に急激で、Hn=Hi(1+R)n-1の関係が成り立つという(Hnはn年後の高さ、Hiは1年目の終りの高さ、Rは前年の高さに対する成長率)。すなわち、この期間には対数曲線的に増加するのを特徴とする。動物でも幼時には一般に成長が速やかで、指数関数的な場合も多い。』
溶質(solute)@
『→溶媒』
葉序(phyllotaxy、phyllotaxis)H
『【植】茎につく葉の配列。輪生、対生、あるいはらせんなどがある。らせん葉序では、連続して葉のついている点を結ぶ線がらせんを形成する。個々の葉は、このらせん内の規則的な位置にある。最も単純な真の互生の配列では、葉は180゜離れ、片方につく1枚の葉から、その真上にある葉までをたどると、茎を1回転し、その間に2枚の葉がつく。すなわち1/2葉序である。いろいろな型の葉序が見られ、1/3、2/5、3/8、5/13などがある(フィボナッチ数列)。それぞれの分数が茎の上で連続してつく葉によってつくられる角度を示す(真上から見た場合)。それぞれのらせんの末端にある1枚の葉は、はじめの葉の真上にある。茎を下にたどると、葉の重なり合う点が縦の列として認められ、これは直列線とよばれる。成長点では葉原基がらせんに配列し、直列線は生じないが、頂端から下にたどると原基は下降する曲線の列、すなわち斜列線として、ほぼ時計まわりに配列する。茎頂における斜列は、成熟したシュートでは伸長する間にまっすぐになり、直列線になることもある。』
葉序(ようじょ)K
『維管束植物の茎にいくつかの葉がつくとき、その配列をいう。さまざまな様式があり、植物の種類によってほぼ一定である。互生、対生、輪生(広義には対生を含む)に二または三大別される。』
葉状体(thallus)H
『単純な、植物のように見える栄養体で、根、茎、葉が分化していない。単細胞または多細胞で、枝分かれしたりしなかったりする繊維状であるか、多少とも扁平でリボン状の場合もある。1細胞の厚さの場合は、一層であるという。』
葉状体(ようじょうたい)K
『多細胞であるが、外部形態では茎・葉の区別がなく、維管束組織の分化も認められない植物体。大半の菌類、藻類、タイ類の体制は、これにあたる。茎葉体の対語。』
葉身(ようしん)(leaf blade、lamina)H
『(1)葉の薄くて平たい柔軟な部分。光合成や蒸散の主要な場で、そのため非常に環境に適応している。単葉(1片よりなる)、あるいは複葉(いくつかの部分(小葉)に分かれていて、それぞれの柄が葉柄についている)である。典型的な双子葉類の葉は表面積が大きく、太陽エネルギーを最も効率よく吸収できるように、光合成を行う細胞は上側の表皮のすぐ下に存在する。葉身は葉脈に支持されており、これを通じて水分や無機栄養素の供給を受け、光合成産物を送り出す。気孔を通して大気に通じている細胞間隙があり、ガス交換や水分蒸発の調節に役立っている。葉身が薄いと気体の拡散距離が短くなり、気体の濃度勾配が大きなまま保たれ、そのために拡散速度も速くなる。表面積や呼吸速度が大きいと葉の温度が下がる。常緑樹の葉の葉身は一般に落葉樹の2倍の厚みをもつが、どちらも風に対する抵抗性はあまり高くない。
(2)褐藻類(褐色植物)では、葉のように広がった葉状体の部分をいう。』
葉身(ようしん)K
『葉の主要部ともいうべき扁平(へんぺい)な部分。多くの場合は葉柄、たく(托)葉とともに葉を構成するが、葉柄および托葉の両方または一方を欠く葉もある。
溶媒(solvent)@
『溶液または固溶体を構成するある1つの成分をとくに溶媒といい、そのほかの成分を溶質という。気体または固体が液体に混ざって溶液をつくる場合にはその液体を溶媒といい、液体と液体とが溶液をつくる場合、あるいは固体と固体との混合によって固溶体がつくられる場合などには、多量に存在する方を溶媒とみなすことが多い。』
葉緑体(chloroplast)H
『真核生物のクロロフィルを含む色素体で、光合成の明反応と暗反応を行う細胞小器官。すべての植物界(しかし、すべての細胞とは限らない)と、ほとんどの藻類(詳しくは後述)に存在する。多様な独立栄養生物間でそれらの葉緑体が類似していることから、葉緑体は同じ起原であることが示唆されている。細胞学的、生化学的にある種の細菌と類似しているため、葉緑体は種々の光合成細菌が数段階の独立した過程により細胞に内部共生して進化したという考えが、広く受け入れられている。葉緑体は独自のDNAと原核生物型のリボソームを含むタンパク質合成機構をもつ。そのため、葉緑体は半自律性の細胞小器官である。単離した葉緑体でもRNA合成ができるが、それは染色体DNAの支配下においてのみである。葉緑体と、関連する色素複合体の形成は、葉緑体DNAと相互作用する染色体DNAにより、大きく支配されている。
1つの細胞に含まれる葉緑体の数は、1個から多数までさまざまである。高等植物では、通常は直径約4〜6μmの円盤状で、細胞質に1層で存在しているが、光強度によって形や位置を変えることができる。藻類の葉緑体の形はさまざまである(杯形、らせん形、星状、網目状、裂片状、円盤状)。また、貯蔵物質が結合していることが多いピレノイドがしばしば含まれている。緑藻類(緑色植物)と植物の葉緑体は、しばしばデンプン粒と小さな脂肪滴を含む。
成熟した葉緑体は、一般には、均質なストロマ(暗反応が起こる場)を包み込む2枚の外膜に囲まれている。また、二重膜でできた扁平な袋(チラコイド)がストロマを横切っており、そのチラコイドは積み重なってグラナを形成している。チラコイド膜には、光合成色素と光合成の光依存反応に関与する電子伝達系が含まれている。グラナのチラコイドはストロマのチラコイド(グラナ間チラコイド)により連絡されている。藻類では、葉緑体が葉緑体小胞体の1枚または2枚の膜に包まれていることがある。チラコイドの積み重なり方はさまざまである。3層が周縁の層とともに葉緑体包膜と平行に伸びていたり(例、ミドリムシ植物、黄金色植物、黄緑色植物、ラフィド植物、ケイ藻植物、褐色植物)、またはチラコイドが2層から6層重なり、互いに連なったり、自由に並んだりする(例、紅色植物)。光合成原核生物には葉緑体は存在せず、多量のチラコイドが細胞質に遊離した状態で存在し、その配置や形も種によってさまざまである。』
葉緑体(ようりょくたい)K
『クロロフィルやカロテノイドなどの光合成色素をもち、光合成をおこなう色素体の一種。外側は2層の膜で包まれ、内部は液状のストロマと膜状のチラコイドから成る。ストロマには独自の遺伝子(DNA)とその発現系(葉緑体リボソームなど)が存在し、またカルビン・ベンソン回路の場となっている。シダ植物以上の葉緑体には円盤状のチラコイドが積み重なった部分がみられ、グラナとよばれる。』
抑制剤(inhibitor,retarder)@
『添加すると化学反応速度が大きく低下する物質。抑制剤という語は総称で、抑制する対象に対応してさまざまな名称でよばれる。ラジカル重合を抑制または禁止する物質を重合防止剤または重合抑止剤、重合禁止剤などという。ガソリンに添加されるアンチノック剤、大気中の酸素による油脂の酸化やゴムの老化を防ぐ酸化防止剤、金属の腐食を防ぐ腐食防止剤なども抑制剤である。また、写真乳剤のかぶりを防止するかぶり抑制剤もある。酵素作用の阻害は阻害物質による。』
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