(社)日本エネルギー学会(1999)による〔『よくわかる天然ガス』(4、12p)から〕


1.2 天然ガスの起源
 1.はじめに

 一般に天然ガスとは、メタン等の可燃性の炭化水素ガスの総称で、その起源によって、
 @石油随伴ガス(=油田ガス)、
 A水溶性ガス(=微生物発酵メタン)、
 B石炭ガス(=炭田ガス)、
 C無機起源メタン
の四種類に分類されている。
 @〜Cの起源の天然ガスで、現在資源として開発され大量に用いられているのは、@石油随伴ガス(=油田ガス)である。このガスは、石油の生産過程で回収される炭化水素ガスで、エタン、プロパン、ブタン等の炭素数の多い炭化水素成分を含んでいるのが特徴である。これに対し、A水溶性ガス(=微生物発酵メタン)、B石炭ガス(=炭田ガス)は、メタンが主成分である。
 C無機起源メタンには、海底火山活動による無機反応で生成したと考えられるガスと、地球深層ガスまたは地球(惑星)始原ガスと呼ばれるガスが考えられ、後者は、地殻内に閉じ込められた惑星構成物質の中のメタン等の炭化水素がその起源と考えられている。
 そこで、これらの天然ガスの成因について以下に紹介する。』

1.3 天然ガスの開発
1.天然ガス資源の種類と地下での状態

 天然ガスは正式には可燃性天然ガスと呼ばれる。日本の国内産の天然ガスは統計上次のように分類されている。
 @水溶形:地下水と一緒に産出するガス
 A油溶形:原油と一緒に産出するガス
 B遊離形:少量の液体を伴って産出するガス
 C炭田ガス
 なお、形の代わりに性を用い、水溶性ガスなどと呼ぶことも広く用いられている。
 日本の平成9年度の生産量は約23億m^3であるが、遊離形が約76%、水溶形が約22%である。水溶性ガスは地下水に溶解しており、地表において汲み上げた水よりメタンガスは分離される。分離した後の水よりヨウ素を回収しているが、1996年の世界の生産額15,580tの中で日本は6,850t(44%)生産しており、チリの7,230t(46%)に次いで世界第二位を記録している珍しい産物である。水溶性ガスの開発は日本においてのみ産業として成立している。
 世界的に見れば油溶形と遊離形のガスが主体であるので、本文ではこれらを対象として説明する。これらの対応する英語と別称は次のようである。
 @遊離形ガス:nonassociated gas、構造性ガスとも呼ばれている。
 A油溶形ガス:油溶形ガスは油層内での形態により、原油中に溶解している溶解ガス(dissolved gasあるいはsolution gas)とガスキャップガス(associated gasあるいはgas cap gas)とに分けられる。溶解ガスとガスキャップガスは同一の坑井から同時に産出することがあり、これらを分けて計量することは不可能であるので、まとめてアメリカではケーシングヘッドガス(casing head gas)と称し、日本では随伴ガスとも呼ばれている。
 原油もガスも炭化水素を成分としているので、技術的には同一の取扱いを受けており、石油といえば原油とガスの両方を含めている。したがって探鉱から生産まで、地下での貯留の仕方などすべて同一の技術で対処される。』



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