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【ま】
- 埋蔵鉱量(ore reserves)A
『資源量(resources;経済対象となる有用物質濃集体の量)分類の一つ。単に鉱量、埋蔵量とも。資源量の分類体系を明確にするため、V.E.McKelvey(1973)が、横軸に「地質学的確かさ」、縦軸に「経済性」をとって定義し
McKelvey box として有名になった分類が、米国地質調査所と鉱山局(1980)により改訂され一般化した。左方へ「確かさ」が、上方へ「経済性」が高くなる。「精測」は調査・分析点間隔が十分密で、資源の量・質・形態・位置が確定しているもの、「概測」はそれほど密ではないが、その間の連続性が十分想定されるもので、両者合計を確認資源量とする。「予測」は、確認資源の延長が地質学的に予想されるもの。潜在資源は既知資源とは別の鉱床で、既知鉱床のある鉱産地域に期待される「仮定」と、既知鉱床のない地質環境に期待される「推測」に区分。「経済的」は一定の社会経済条件下で利益の得られるもので、経済性のある確認資源量を埋蔵鉱量と呼ぶ。「准経済的」は経済限界に近く、条件の変動によっては生産可能となるもの、「経済限界下」は上の二つの基準以下のもの。以上の定義によると既採掘量は含まれないため、左肩に累積生産量を置き、資源量全体の評価に加える。JIS規格に基づく「確定鉱量」は精測に、「推定鉱量」は概測に、「予想鉱量」は予測に、おおよそ該当するが、定義が異なるため厳密には対応しない。なお核原料の資源量については、国際原子力機関は確認資源(reasonably
assured resources)、推定追加資源(estimated additional r.)、期待資源(speculative
r.)をコスト別に用いる。〔矢島淳吉〕』
→【参考】
埋蔵量(石油の)(reserves)A
『地下資源量のうち、地表条件に換算した量で、鉱量または埋蔵鉱量ともいう。油・ガスの量の場合は油田・ガス層内に存在している量をいう。地表に回収できる量を可採埋蔵量という。JISでは、既存発見坑井を起点とし、一定の距離の範囲内のものについて確認埋蔵量、その外側で分布が地質学的に推定される範囲内のものを推定埋蔵量、さらに既発見地域内で地質学的に予想されるものを予想埋蔵量とする。開発以前のもとの埋蔵量を原始埋蔵量と呼ぶ。なお、既発見地域外で存在が期待されるものに対しては未発見資源(undiscovered
resources)とされ、埋蔵量とは区別される。〔服部昌樹〕』
埋蔵鉱量(ore reserves)B
『埋蔵鉱量とは地殻中に現存する鉱床の質量をいい、埋蔵鉱量には、計算基準としてJIS規格が定めてあり、品位との相関性をもたせてあって、次のような種類に規定されている。@鉱量計算基準JIS
1001(金属、非金属鉱床に適用)。A炭量計算基準JIS 1002(石炭および堆積性鉱床に適用)。B石灰石鉱量基準JIS
1003。C石油および天然ガス鉱量計算基準JIS 1006などがある。上記のことから明らかなように、一次性鉱床と二次性鉱床の特性に起因する判断および鉱床の型により算出方法と基準を適宜選ぶことを理想としている。以下JIS規格に定義された事項について記す。
〔鉱量の定義〕 「鉱量はすべて理論可採埋蔵鉱量と可採粗鉱量で表し、その定義は次のとおりである。理論可採埋蔵鉱量とは地質学的に鉱床の存在が認められる範囲において、鉱床の天然の露頭周辺から鉱床内に向かい、水平面に対し75度以下の傾きをもってできる面の上方に包含される部分の質量をいう。また可採粗鉱量とは、理論可採埋蔵量のうちから実際の採鉱により出鉱すべき粗鉱の質量をいう。以下理論可採埋蔵鉱量および可採粗鉱量は、これを確定、推定、および予想の3種類に分けその定義は次のとおりとする。」となっている。
確定鉱量: 適当な鉱画により容積および品位が確認された鉱量をいう。すなわち鉱床の性質または開発の状況により、連続性が確実に認められる部分も場合により加えることができる。
推定鉱量: 適当な鉱画により確定されてはいないが、探鉱の結果および鉱床の性質により、容積および品位が推定される部分の鉱量をいう。
予想鉱量: 確定鉱量および推定鉱量としては計上できないが、地質鉱床的に容積および品位が予想される部分の鉱量をいう。なおJISにおける確定鉱量に関しては適当な鉱画という語が使用されているが、これに関しては特別に次のような3種について説明がなされている。
@鉱脈の場合は3側面以上によって囲まれた部分ということになっていて、それは上下のひ(金偏に通)押坑道とそれを結ぶ2本の切上り、または掘り下りの坑井のによって囲まれることが必要であるとし、A層状含銅硫化鉄鉱床の場合は上下間隔30m以内の2個の上部と下部の鉱体の断面に挟まれた部分をさすということになっている。また、B塊状鉱体の場合は、ほぼ平行な2断面によって囲まれた部分としているが、この場合断面は必ずしも水平面とは限らず垂直断面でもよいとしている。〔蜂須賀栄治〕』
埋蔵量〔reserve(s)〕F
『ある範囲に存在していると推定される地下資源の量をいう。埋蔵量は地下資源の種類に応じて埋蔵鉱量(埋蔵されている鉱石の量)、石油の埋蔵鉱量(油層、ガス層内に存在している油量、ガス量)などと呼び、また、埋蔵量は理論的に算出された理論埋蔵量、さらに理論可採埋蔵量、理論不可採埋蔵量に、もしくは確定埋蔵量、推定埋蔵量、予想埋蔵量などに分類される。』
→鉱量
→『資源埋蔵量の分類』のページを参照。
- マンガン鉱床(manganese deposit)A
『マンガン鉱床には熱水性鉱脈鉱床・堆積鉱床・風化残留鉱床がある。堆積鉱床には、海底火山活動に伴う火山源堆積鉱床と岩石中のMnが風化・浸食後、水で運ばれて濃集した非火山源堆積鉱床がある。後者のほうが大規模でNikopol・Chiaturaが代表例。縞状鉄鉱層に伴う鉱床もあり、南アのKarahariはこの型。主な鉱石鉱物は軟マンガン鉱・クリプトメレーン鉱・ブラウン鉱・轟(とどろき)石。風化残留型は、既存鉱床が風化作用で地下浅所に富鉱部を形成したもので、高品位鉱床が多い。ブラジルのSerra
do NavioやガボンのMoandaがこの型。太平洋などの深海底のマンガン団塊は、Mnの潜在資源。日本には中生界中の火山源堆積鉱床(野田玉川)、新第三紀の鉱脈型(大江・稲倉石・上国)と堆積型(ピリカ)がある。世界の年産量(1983)は2,500万
t 、その約40%をウクライナとグルジアが占め、世界の埋蔵量の80%以上を南アが占める。〔正路徹也〕』
- マンガン団塊(manganese nodule)A
『MnおよびFe酸化物を主成分とする粒径1mm以上の黒色塊状沈殿物。マンガンノジュールとも。堆積速度が遅い(または無堆積の)深海盆、海山などの海底堆積物の表層付近で数mm/106年の速度で成長。海水中から沈殿したFe・Mn酸化物コロイドが、岩石・化石等を核として沈着成長する(hydrogenetic)ものと、表層堆積物中で酸化物粒子中のMnが優先的に溶解再沈殿した(early-diagenetic)ものがある。後者では副成分としてCu・Ni・Coを最大1〜2%含む。産状・組成は底層流・海水構造・堆積環境の変化によって規制される。〔佐藤任弘・臼井 朗〕』
【み】
- 脈石(みゃくせき)(gangue)A
『鉱石中に含まれている経済価値のない鉱物の総称、また、それからなる部分の名称。個々の鉱物を脈石鉱物という。鉱石の対語。〔関根良弘〕』
【む】
- 無煙炭(anthracite)F
『石炭の燃料比分類により燃料比7以上の石炭をいう。無煙炭は石炭化度のもっとも進んだもので黒色、金属光沢がある。石炭中でもっとも固定炭素を多く含み揮発分が少ないので燃焼時にほとんど煙を出さない。燃料として、またガス化用に用いられるが、液化用には不適である。』
【め】
- メタンハイドレート(methane hydrate)F
『水とメタンなどのガスが固まってできた氷状の物質で、かご状になった水の分子の中にメタンなどのガスが入った構造をとる。この物質は大陸棚や海溝付近で見つかっているが、低温、高圧力など一定の条件がそろうとでき、周囲の泥などが混ざるため岩石のように見える。温度の上昇など条件が変わると簡単に溶け出しガスとなって噴出する。1964年ロシアのシベリアの凍土の下から発見され、その後の深海調査で世界各地の大陸棚や大陸斜面に広く分布していることがわかった。天然ガスの主成分であるメタンを取り込んだメタンハイドレートの埋蔵量は、アメリカエネルギー省の試算では2京m3(京は兆の1万倍)で、現在確認されている天然ガス埋蔵量に比べても100倍以上である。日本周辺でも見つかっており、四国沖の南海トラフや十勝沖など北海道周辺を中心に、国内の年間ガス消費量の約100倍に当たる約6兆m3のメタンハイドレート層があると見込まれている。しかし資源としてどれだけ採掘できるかは未知数で、大半が水深500〜5000mの海底か、さらに100〜1000m下の地層にあり、固体のままの採掘は不可能で、蒸気や熱水を注入して温度を上げて溶かしガス状になったメタンを回収する方法が考えられているが、まだ研究段階である。』
→『メタンハイドレートとは』のページを参照。
⇒松本ほか(1994)による
⇒(資源量)松本ほか(1994)による
⇒(資源量)藤田(2002)による
⇒(資源量)Milkov(2004)による
【も】
- 木炭(charcoal)F
『木材を乾留して得られる炭素質物質。木炭はコナラ、クヌギ、カシ、カエデなどを原料にして、種々の方法で蒸し焼き(乾留)してつくられるが、原料の10〜20%しか炭にならない。木炭の発熱量は6700〜7500kcal/kg(28000〜31350kJ/kg)で、茶の湯や焼肉など特殊な用途の燃料としてや、二硫化炭素、四塩化炭素、活性炭製造原料として工業用に用いられる。』
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