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【は】
- バイオマスエネルギー(biomass energy)F
『生物エネルギーともいい、バイオマスは英語の“生物の量”あるいは“生産される生体量”という意味の生態学の用語であるが、エネルギー的な見地からのバイオマスエネルギーとは、地球生物圏の物質循環系に組み込まれた生物体または生物体から派生する有機物質の化学エネルギーということになる。バイオマスは植物の光合成作用により、太陽エネルギーを変換して生産される炭素、水素、酸素を主成分とする植物、動物、微生物などの有機構成物で、再生産可能なエネルギー資源で、地球上には約2兆tが存在し、約2千億tが毎年再生されている。バイオマス資源は表66に例を示すように多岐にわたり、その利用形態としては薪などのように直接燃料として熱とする直接燃焼法、家畜の排せつ物や生ごみ、廃水処理時の汚泥などを発酵させてメタンに変換し、メタンを燃料として使用するメタン発酵、デンプンや糖を酵母により糖液とし発酵させてエタノールに変換し燃料とするエタノール発酵、バイオマスを高温で熱分解し、可燃性ガスに変換する熱分解ガス化法などがある。
表66 バイオマス資源
バ
イ
オ
マ
ス |
栽
培
植
物 |
デンプン・糖質作用 |
サトウキビ |
トウモロコシ |
イモ |
水生植物 |
海藻 |
ホテイアオイ、クロレラ |
ゴム植物 |
ヘビアゴム |
グアユーレ |
油脂植物 |
ヤシなど |
石油植物 |
アオサンゴ |
ユーカリ |
木材 |
未
利
用
資
源 |
農産廃棄物 |
稲わら |
セルロース資源 |
もみがら |
林産廃棄物 |
おが屑 |
パルプ屑 |
都市ゴミ、産業廃棄物 |
畜産廃棄物 |
家畜ふん尿 |
』
→『バイオマスとは』のページを参照。
⇒横山(1999)による
⇒山本(2000)による
⇒(バイオマス生産量)国際エネルギー機関(1999)による
- 斑岩銅鉱床(porphyry copper deposit)A
『斑岩に伴う大規模・低品位な鉱染状銅鉱床。花崗閃緑斑岩などの岩株状浅所貫入岩体に関係する熱水鉱床。貫入岩自身と近くの被貫入岩に鉱染状〜細脈網状の低品位の初生鉱体を形成。初生鉱石鉱物は黄銅鉱・斑銅鉱・磁鉄鉱・黄鉄鉱など。母岩にはカリ質・フィリック質・プロピライト質変質が発達。貫入岩の大きさは1〜数km2程度だが変質帯の広がりはその10〜20倍に及ぶ。初生鉱床の主要部はカリ質変質帯中に生成。鉱体の上部では地表から10〜150mの厚さで酸化・溶脱帯が形成され、褐鉄鉱・銅酸化物などを含む。この酸化・溶脱帯で溶出したCuが輝銅鉱などとして沈殿し二次富化帯を形成。低品位のため露天採掘が多く、坑内採掘はブロックケービング法などによる。Mo・Au・Agなどの副産物も重要。環太平洋造山帯・アルプス-ヒマラヤ造山帯に広く分布するが、日本には知られていない。大陸縁弧のものに比べ、西太平洋島弧の鉱床ではMoに乏しくAuに富む傾向がある。銅の資源として最も重要で世界のCuの50%以上を供給。平均品位0.3〜1%程度で数億t程度の鉱量のものが多い。〔今井 亮〕』
【ひ】
- 非金属鉱物(non-metallic mineral)A
『精錬によって金属元素を抽出することを目的とせず、その化学的性質や物理的性質を利用する鉱物。各種工業の原料として重要なことから、工業原料鉱物ともいう。黄鉄鉱は金属鉱物であるが硫酸原料に用いられ、ボーキサイトは粘土状であるがAlの鉱石なので金属鉱物として扱うなど中間的なものもある。日本で採掘・利用されている非金属鉱物は、珪石・長石・石灰石・耐火粘土など20余種に及ぶ。石油・天然ガス・石炭・亜炭などは燃料鉱物として別分類。〔須藤定久〕』
→『工業鉱物資源(非金属鉱物資源)』のページを参照。
- 尾鉱(tailings)A
『鉱石を選鉱して有用鉱物粒を採取した残りの極低品位部分。廃石とも。精鉱に対する語。〔小村幸二郎〕』
【ふ】
- 物理探鉱〔geophysical prospecting(survey)〕B
『地下に存在する物質の物理的性質を直接あるいは間接に利用し、地下構造、物質、温度などを解明し、石油、天然ガス、有用鉱物、地熱、水など、地下資源の賦存を推定すること。表に物理的性質、現象および適用分野を示す。現象には自然に存在するもの、あるいは発生するものと、人為的に発生するものがある。従来、多くの方法は地表面(含海空)で観測するものがほとんどであったが、現今では坑井を用いた垂直方向の観測も多く、精度も向上している。必要とされる学問、技術は地球物理学を中心とし、地質、電子、物理、工、資源など、広い学問分野にわたり、おのおのの単なる応用でなく、ひとつの学問、技術体系を形成する。観測には精度の良いセンサーおよび記録装置と、移動に便利で強力なソース(弾性波、電磁波、電流、放射線など)、またデータ処理・解析には電子計算機、グラフィックディスプレイなど、高度なハードウェアと合わせて、フレキシブルなソフトウェアが不可欠である。探鉱の効率(速度、経済性)および精度の向上のためには、物理的性質の異なった方法を組み合わせ、異種情報の重畳により有望地の素早い選出と確率を高めることが必要である。また、各種情報のデータベース化は不可欠である。物理探鉱の結果、試掘された場合、結果はすぐに物理探鉱データとの比較、再解釈に使われるべきであり、精度の向上をもたらす。必要に応じ再測定を行う。開発段階でも物理探鉱の価値は減るものではなく、サイクリックに用いられるべきものである。
方 法 |
物理的性質 |
適用分野 |
地震探鉱 |
弾性 |
石油、天然ガス、石炭、鉱物、地熱 |
重力探鉱 |
密度 |
石油、天然ガス、石炭、鉱物 |
磁力探鉱 |
磁性 |
石油、天然ガス、鉱物、地熱 |
電気探鉱 |
誘電率抵抗 |
石油、天然ガス、鉱物、地熱 |
放射能探鉱 |
放射能 |
鉱物、地熱、温泉 |
地熱探鉱 |
熱伝導率 |
地熱、温泉 |
なお、リモートセンシングも坑井内検層も広義には物理探鉱の分野に入るが、前者は電磁波の反射、散乱、輻射などの物理現象を利用するもので、物理探鉱とは別にされている。
物理探鉱に用いられる技術は地球物理学、土木、防災にも適用できるものである。〔山崎 喬〕』
- 浮遊選鉱(flotation)B
『鉱物粒子の表面的性質のひとつである疎水性、親水性に基づいて、鉱物相互の分離を行う選鉱法をいう。すなわち疎水性鉱物は水に濡れにくいが、その表面が気体または油状物質などと親和性を有するため浮遊性を示す。反対に親水性鉱物は水に濡れやすいため水相にとどまり浮遊しにくい。実際の浮遊選鉱は、単に鉱物本来の表面的性質を利用するのみならず、種々の浮遊選鉱試薬を用い、鉱物粒子表面の本来の疎水性または親水性を人為的に調節し、その浮遊性を変化させて相互の分離が行われる。
過去における浮遊選鉱法発展の歴史的経過をみると、多油法、表面張力法および泡沫浮遊選鉱法の3つに大別される。現在実際に行われている方法は、泡沫浮遊選鉱法のみである。これは、粉砕された鉱石微粒子を懸濁した鉱液(パルプ)の中に、適宜浮遊選鉱試薬を加えて鉱物粒子の表面の性質を調節し、その後細かい多数の気泡を発生または導入し、その気泡表面に疎水性鉱物を付着させ、浮上させ分離回収する方法である。粘土鉱物に対する浮遊選鉱の実施例として、米国Georgia州のMinerals
& Chemicals Philipp Corp.のMcIntyre工場がある。ここでは製紙用クレーとしてカオリンを精製しているが、チタン鉱物の除去にウルトラ浮選を導入している。ウルトラ浮選とは、従来の浮遊選鉱では困難であった微粒鉱物の選別のために、44μm以下の担体鉱物を加えて、浮かすべき微粒鉱物を担体鉱物に付着させ、浮上せしめ分離する方法である。その他実験例まで含めて、カオリン、セリサイト、耐火粘土などの適用例があるが、硫化鉄、酸化鉄などの含鉄鉱物の除去には、有効な手段である。以下代表的な浮遊選鉱機について説明する。
ファーレンワルド(Fahrenwald)型浮選機は、FW型、あるいはデンバー・サブ・A(Denver Sub-A)型浮選機とも称され、現在もっとも普及している機種のひとつである。図1(略)のようにフィードパイプから供給されるパルプと、スタンドパイプを通って吸引される空気は、槽の下部において攪拌、混和され、鉱粒を付着させた気泡は上昇して、パルプ上層に泡沫を形成する。
フェジャーグレン(Fagergren)型浮選機は、図2(略)のようにローター下部のインペラによりパルプをローター内部に引上げ、スタンドパイプより導かれた空気と十分混和させる。ローターの周囲にはステーターのロッドが並んでおり気泡の分散が十分行われ、またステーターの内側の激しい攪拌に比べ外側のパルプの動揺が少ない。
アジテヤ(Agitair)型浮選機は、図3(略)のようにスタンドパイプより空気が圧入され、かご型のインペラでパルプとの空気混和がなされる。槽の底にはインペラを囲んで放射状にスタビライザが固定され、これによりパルプの渦流を防ぎ、かつ攪拌効果を強める。圧入される空気の量は、各浮選槽ごとに、エアバルブで調節できる。
ワーマン(Warman)型浮選機は、図4(略)のように、スタンドパイプより空気を自吸するが、場合によっては、低圧外気を圧入することもできる。ローターバーは、回転方向と逆に45゜の後退角で取り付けてある。ゆえに気泡混和パルプは底に向けて放出される。槽の底に固定されたバッフルプレートは、パルプの回転を妨げ上昇流に変えるように配列されている。この機種は、珪砂などの比較的粗い鉱物を浮選するのに有利である。〔蜂須賀栄治〕』
- プラスチック(plastic)@
『熱と圧力あるいはその両者によって塑性変形させて成形することができる高分子物質の総称。その成形品の個々をさすこともある。このような高分子物質には天然樹脂と合成樹脂とがあるが、プラスチックといえば後者をさすのがふつうであり、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂に大別される。』
⇒竹本・稲木(1993)による
⇒中條(1997)による
- プルトニウム(plutonium)@
『原子番号94.超ウラン元素の1つ。最長半減期の同位体の質量数244.239Pu(半減期2.41×104年、α崩壊)は原子炉により238Uから多量につくられる。金属PuはPuF4をカルシウムで還元してつくる。銀白色。常温ではα型(単斜晶系)、122±2℃以上ではβ型(体心単斜晶系)、206±3℃以上ではγ型(斜方晶系)、319±5℃以上ではδ型(面心立方構造)、451±4℃以上ではδ'型(正方晶系)、476±5℃以上ではε型(体心立方構造)となる。密度は19.84g/cm3。融点639.5℃、沸点3200℃。空気中で非常に不安定で発火しやすい。水素、窒素、ハロゲン、ハロゲン化水素などとも徐々に反応する。塩酸、希硫酸、リン酸にとけるが、濃硝酸、濃硫酸、アルカリにはおかされにくい。化合物は高速増殖炉の核燃料として使用される。元素中最も毒性が高い物質。危険なイオン化放射が長期にわたって存在する。強力な発がん性物質。』
プルトニウム(plutonium)F
『天然に存在しない人工放射性元素つまり超ウラン元素の一つ。原子番号は94、14種の放射性同位元素が知られている。プルトニウム238238PuはウランUに重陽子を当てると生成し、238Puに中性子を当てると239Puになる。これはおそい中性子を吸収すると核分裂を起こし総質量の0.1%が熱に変化する。この反応は“原子力の利用”に用いられる。すなわち、原子炉の核燃料などに用いられる。』
→『プルトニウム』のページを参照。
【へ】
- ペグマタイト鉱床(pegmatite deposit)A
『揮発成分に富むマグマ残液から固結した粗粒鉱物からなる鉱床。脈状・塊状を呈し、規模は数m〜数十m。採掘対象は主に核部の純粋な石英とその周囲の白雲母-長石帯で、工業用原料として重要。希少金属資源となるリシア雲母・緑柱石・モナズ石・ゼノタイム・サマルスキー石・コルンブ石・閃ウラン鉱などを伴う。特殊な例に白金属(族?)鉱物(南ア、メレンスキー・リーフの輝石ペグマタイト)がある。透明なトパーズ・緑柱石・電気石・コランダムは宝石資源。日本では福島県石川山や岐阜県苗木付近が有名。〔坂巻幸雄・平野英雄〕』
- ベントナイト(bentonite)B
『米国Wyoming州東部の白亜紀Fort Benton層中に産する粘土に対して命名された名。この地方に産するワイオミングベントナイトは、火山灰起源で層状鉱床をなしており、黄緑色、青灰色などの可塑性の強い粘土で、水を加えると数倍に膨潤する性質が特徴的である。構成鉱物はおもに交換性陽イオンとしてNaを層間にもつモンモリロナイト(正確には後記)であって、クリストバライトなどを伴うことが多い。このワイオミングベントナイトは盛んに採掘され、掘削泥水用、鋳物砂の接合用など種々の用途に用いられてきた。一方、Wyoming以外の各地でも類似の粘土が開発されたが、その中にはわが国の山形県大江町月布や群馬県安中市、松井田町、富岡市などのベントナイトのようにワイオミングベントナイトと似たものもあるけれども、交換性陽イオンとしてCaがおもであって膨潤性の小さいもの、たとえば米国Arizona州Chetoのベントナイト、西ドイツ南東部のLandshut付近に産するベントナイト、イギリス南部のRedhill、Woburnなどに産するフラーズアースなどがあり、また明らかに熱水性のイタリアPonza島のベントナイト(交換性陽イオンはMg、Ca)やわが国の新潟県三川村白崎に産する流紋岩を交代したベントナイト(交換性陽イオンはおもにNa)のように、ワイオミングベントナイトとは異なった性質、産状をもつものもある。米国などではこのようなものまで拡張してモンモリロナイト(およびそれと類縁の鉱物)を主体とする粘土をベントナイトとよんでおり、必要な場合にはNaベントナイトあるいは膨潤性ベントナイトとCaベントナイトあるいは非膨潤性ベントナイトとに区分している。それに対してイギリスでは、同国に産する交換性陽イオンとしておもにCaをもつ膨潤性の小さいモンモリロナイト粘土をフラーズアースといい、ベントナイトとはよんでいない。イギリスで産出するベントナイトはフラーズアースに炭酸ナトリウムを加えてベントナイト化したものである。またわが国では酸性白土という名が広く行われており、ベントナイトに対置して用いられているので、その分ベントナイトの範囲が狭い。酸性白土はベントナイトが風化して交換性陽イオンとしてHを含むようになったもので、構成鉱物はやはりモンモリロナイトを主とするが、懸濁液のpHが5〜6と酸性を呈し、膨潤性を示さない。新潟県中條町、新発田市小戸、糸魚川市付近(青海町)などが産地であるが、開発が進んで深部の風化していない部分に達するとベントナイトとよぶべき(現実にはそのようなものまで酸性白土とよぶこともあるが)ものになる。
〔成因〕 べントナイトはもっとも普通には火山灰(多く場合フェルシックの)の変質によりできる。ガラス質の火山灰が海水との接触によりモンモリロナイト化することは現世の海底堆積物で示されている。ベントナイトはこのような続成作用によってできるほか、凝灰岩の熱水変質によっても生成するし、上記のようにフェルシックな火山岩の熱水変質によってできる場合もある。わが国でいえば、月布や群馬のNaベントナイトは中新世の地層中に比較的薄い層をなしてはさまれ、側方によく連続しており、続成作用によってできたと考えられるのに対し、宮城県川崎のCaベントナイトや中條、小戸、糸魚川の一部の酸性白土は凝灰岩、白崎のNaベントナイトや糸魚川の一部の酸性白土は流紋岩の熱水変質によりできたとされている(なお正確には、これらの酸性白土はこのようにしてできたあと風化作用を受けて酸性白土になっている)。
〔性質、組成〕 青灰色ないし黄色の粘土で、可塑性が強く、懸濁液のpHは7〜8.5であるが上記のように酸性白土ではもっと低い。膨潤性が強く、膨潤度は3〜20であるが酸性白土ではもっと小さい。
ベントナイトはおもにモンモリロナイト-バイデライト系のスメクタイトから成っている。多くの場合モンモリロナイトであるが、ワイオミングベントナイトはほぼモンモリロナイトとバイデライトの境界付近のものであるし、ときにバイデライトから成るベントナイトもみられる。わが国のベントナイト、酸性白土にはバイデライトから成るものは知られていない。層間陽イオンについては、上記のようにNaを主とするもの、CaあるいはCaとMgを主とするもの、Hをかなり含むもの(日本でいう酸性白土)などがある。随伴鉱物としてはクリストバライトがもっとも普通でそのほかゼオライト、石英、長石、方解石などもみられる。
化学組成上SiO2/Al2O3のモル比は4〜6程度であり、酸性白土ではもう少し高い。モンモリロナイトはバイデライトに比しSiO2/Al2O3が高いのでこれが関係はするが、SiO2/Al2O3はむしろおもにクリストバライト(あるいは非晶質珪酸)の混入の程度によってきまる。〔長沢敬之助〕
〔利用〕 ベントナイトは』各方面で利用されているが、そのうち使用量の大きいものは鋳造用砂型結合剤、掘削泥水用、製鉄ペレタイジング用、油脂・石油精製用その他である。そのおもな利用法について述べると次のようになる。
鋳造用砂型への利用: 鋳鉄、鋳鋼用砂型粘結剤としてもっとも多く使用されている。成形に使用されるベントナイトは高膨潤性で流動性があり高温で安定な性質が要求されている。生産性を上げ能率化するため高圧造型法が開発されてからはCa型のベントナイトの要望が多くなっている。これは砂に対する濡れやベントナイトによる被覆が均一であれば水分は少なくても所定の強度が得られる理由による。
石油ガス井掘削および土木建築への利用: ベントナイトは石油ガス井の掘削用泥水に適当な粘性を付与して不透水性の泥壁をつくるので掘削層の除去、地層の崩落防止、水の湧出防止、ドリルパイプ、ピットの冷却になくてはならないものである。建築で地下を掘る際、建物の周りに鉄または木製の板を打ち込み土砂を掘削するが、土留壁体の変形、破壊を防止し付近の地盤沈下や埋設物の破壊を防ぐためベントナイト泥水を充満させながら、土壁を支え漏水を止めてコンクリートを打ち込む。また岩盤亀裂、砂礫層、軟弱地盤の強化、漏水防止のためベントナイト-セメント混合物をグラウト工法として利用する。
粉鉱石団粒化への利用: 粉鉱石のベントナイトによる団粒化は落下強度、耐圧強度。粉化防止に効果をあげており、特に鉄鉱石に利用されている。その他、硫酸滓、砂鉄に利用されているが、いずれの場合もベントナイトの配合割合は0.5〜1%である。
油脂・石油の精製および触媒用: 油脂の精製、潤滑油の高温脱色精製などに活性白土が使用されるが、その原料土はわが国では酸性白土が用いられてきた。しかし欧米ではベントナイト(Ca型モンモリロナイト)が使用されている。活性化処理は日本では硫酸、欧米では塩酸により行われ、油脂、石油軽留分、芳香族炭化水素の精製、潤滑油、パラフィンワックスの高温脱色精製、吸着剤、触媒として使用されている。
その他浄水、凝集剤としての利用、窯業製品添加剤、煉炭粘結剤、製紙用、水性塗料、飼料、固形肥料などに利用されている。〔加藤忠蔵〕
【ほ】
- キャップロック、帽岩(cap rock)B
『油層またはガス層の上部および側方をおおって、ガスや油の上方への移動を防止している岩層をいう。キャップロックは透水性の乏しく、簡単に割れ目などできにくい性質をもっていることが必要である。泥岩、頁岩、緻密な石灰岩などが普遍的で、岩塩、硬石こうなども良好なキャップロックとなる。キャップロックがガスや油を上方に逃がさない機構およびその能力は一般に毛管封塞で説明される。すなわち岩石の孔隙は毛細管の集合と考えることができる。油やガスのような非湿潤相が水で濡れた孔隙に侵入しはじめるときの圧力をスレッショールド圧力といい、水飽和率100%のときのスレッショールド圧を毛管置換圧という。毛管置換圧は岩石の実測により知ることができ、貯留岩は一般に0であるが、泥岩などはその孔隙率が小さくなるほど大きくなり、10〜50kg/cm2の値が得られる。油やガスの封じこめ能力はこの置換圧に比例し、油・ガス層の頂部の圧力とキャップロックの静水圧との差がキャップロックの置換圧に等しくなるまでの油またはガスを封塞できる。油とガスに対する封塞能力を比較すると、ガスは密度の低い分だけ余計にガス層頂部に圧力がかかり、同じ置換圧をもつキャップロックならば、ガスコラムは油のコラムよりかなり低くなる。〔相場惇一〕』
帽岩(cap rock)E
『石油・天然ガス、岩塩ドーム、地熱流体などの流動性を有する鉱物資源をおおう不透水岩石。金属鉱床(とくに、黒鉱鉱床)の上位に分布する泥岩層なども帽岩と呼ばれることがある。また、地熱流体の帽岩としては二次的変質帯がその役割を果たしていることがある。石油鉱床においては、貯留岩を直接おおい、石油の垂直上方への第二次移動を阻止しているち密かつ不浸透性の岩石を総称していう。帽岩としては、頁岩、ち密な石灰石、岩塩、石膏、細粒の凝灰岩などが良好とされている。また、砂岩であっても、より浸透性の大きな貯留岩に対しては帽岩となり得ることが知られている。』
- ボーキサイト鉱床(bauxite deposit)A
『ラテライト化作用により形成されるAlの風化残留鉱床。Al資源のほとんどはこのタイプ。鉱石の化学組成はAl2O3 50〜60、Fe2O3
1〜25、SiO2 1〜10、TiO2
1〜15、H2O 12〜30%。Alは主としてギブサイト・ベーマイトとして存在。一般に第三紀以降の鉱石はギブサイト、中生代のものはベーマイト、古生代のものはダイアスポアが多い。このほかカオリナイトなど粘土鉱物を相当量伴うことがある。Feは大部分がゲーサイト、珪酸の多くは粘土鉱物として含まれ、原岩に石英があれば鉱石中にも残る。Tiの量は原岩の種類に影響され、玄武岩ではTiO2 10%以上になることがあり、鉱物はルチル・イルメナイトなど。H2OはAl・Feの水酸化物中のもの。成因には諸説あるが、熱帯の風化作用で岩石中のアルカリ・アルカリ土類元素の溶脱、珪酸塩の分解が行われ、水に難溶性のFe・Alの水酸化物などが残留したものと考えられている。原岩は特定の岩石である必要はないが、かすみ石閃長岩・石灰岩・頁岩・片麻岩・玄武岩などの例が多い。世界の埋蔵量は232億
t(1993)で、ギニア・オーストラリア・ブラジル・ジャマイカ・インド・ガイアナなどに多い。日本にはこのタイプの鉱床はない。名称はフランスの地名Les
Beauxにちなむ。〔嶋崎吉彦・島崎英彦〕』
- →宝石
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