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Fe-S-O系(Iron-Sulfur-Oxygen System)

最終更新日:2017年1月27日

リンクFe−SフランボイドFe−OFe-Ti-O磁性
Fe-S-O(-Ti)を含む鉱物リストはこちらを参照。

 (Fe)硫黄(S)酸素(O)系の鉱物は、自然環境に普遍的に存在する。Fe-S系ではFeS2(黄鉄鉱、pyrite:白鉄鉱、marcasite)Fe1-xS(磁硫鉄鉱、pyrrhotite)が主要であり、Fe-O系ではFe2O3(赤鉄鉱、hematite)Fe3O4(磁鉄鉱、magnetite)が主要である。ただし、地表環境では水酸化鉄〔針鉄鉱(goethite:α-FeO(OH))がもっとも多いと予想される〕がもっともポピュラーではあるが、細粒ないし非晶質に近いために同定は簡単ではない。ここでは、代表的な鉱物についての情報を集めている。

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鉄−硫黄

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鉄−硫黄−酸素 その他
硫化鉄(Fe-S) 酸化鉄(Fe-O)
Fe-Ti-O
硫酸鉄 磁性
その他

【硫化鉄】

全般黄鉄鉱白鉄鉱磁硫鉄鉱トロイライトグリグ鉱スマイス鉱マッキーノ鉱

《全般》

《黄鉄鉱》(pyrite)

《白鉄鉱》(marcasite)

《磁硫鉄鉱》〔pyrrhotite:化学式Fe7S8のものは単斜晶系の構造を持つ強磁性鉱物(ferrimagnetic)

《トロイライト》〔troilite:主に隕石中に生じている(金属鉄に伴うことが多い)、antiferromagnetic 〕

《グリグ鉱》〔グレイジャイト、greigite:強磁性鉱物(ferrimagnetic)

《スマイス鉱》(smythite)

《マッキーノ鉱》

【酸化鉄】

全般磁鉄鉱赤鉄鉱マグヘマイト針鉄鉱赤金鉱鱗鉄鉱schwertmanniteフェロオキシハイトフェリハイドライトBernalite非晶質水酸化鉄その他

《全般》

《磁鉄鉱》(マグネタイト、magnetite:Fe3O4、ferrimagnetic)

《赤鉄鉱》(ヘマタイト、hematite:α-Fe2O3、canted antiferromagnetic)

《マグヘマイト》(マグヘマイト、磁赤鉄鉱、maghemite:γ-Fe2O3、ferrimagnetic)

《針鉄鉱》(しんてっこう、ゲータイト、ゲーサイト、goethite:α-FeOOH、antiferromagnetic、weak ferromagnetic)

《赤金鉱》(赤金石、Akaganeite:β-FeOOH)

《鱗鉄鉱》(りんてっこう、レピドクロサイト、lepidocrocite:γ-FeOOH、antiferromagnetic with a small ferromagnetic-like behavior(Guyodo et al., 2007)

《Schwertmannite》(シュバートマナイト)

《フェロオキシハイト》(feroxyhyte:δ-FeOOH、ferrimagnetic)

《フェリハイドライト》(ferrihydrite)

《Bernalite》(バナーライト、バーナライト)

《非晶質水酸化鉄》

《その他》

【Fe-Ti-O】(Ulvospinelはantiferromagnetic、Ilmeniteはantiferromagnetic)

【硫酸鉄】

【磁性】

【その他】(鉄はferromagnetic)

Fe−S

1974|−|1980|−|20092010|2011|2012

【2012】

【2010】

【2009】

【1980】

【1974】

フランボイド(framboid)

1993|−|19961997|−|2011

 Rust (1935)* が、木苺(きいちご)状(raspberry-like)の黄鉄鉱(pyrite)集合体に対してフランス語の『framboise』という用語を用いて以降、フランボイダル黄鉄鉱(framboidal pyrite)はさまざまな環境から報告されるようになった。また、黄鉄鉱以外にも、グリグ鉱(グレイジャイト、greigite)や磁鉄鉱などの他の鉱物からなるフランボイド(framboid)も知られるようになった。
 フランボイドの大部分は地表環境で生成しており、コロイド(colloid)からの結晶成長が主要なメカニズムとされているが、その場合はファンデルワース力(Van der Waals force)と電気的力(電気二重層)が主体(DLVO理論)であると考えられるが、強磁性の物質であれば磁力の影響の方が大きいと予想される。フランボイダル黄鉄鉱の生成過程として、コロイド状硫化鉄→FeS様物質〔非晶質〜隠微晶質:マッキーノ鉱(mackinawite)類似物質?〕→グリグ鉱(Fe3S4)→黄鉄鉱FeS2)を主要なものとすれば、グリグ鉱の持つ強磁性的性質が重要な役割を示していると考えられる。
【リンクはウィキペディア】
* Rust G. W. (1935): Colloidal primary copper ores at Cornwall mines, southeastern Missouri. J. Geol. 43, 398-426.
【参考】Colloidal primary copper ores at Cornwall mines, southeastern Missouri  http://www.jstor.org/discover/10.2307/30061313?uid=25570&uid=3738328&uid=2129&uid=2&uid=70&uid=3&uid=67&uid=62&uid=25569&sid=21102919805443

【2011】

【1997】

【1996】

【1993】

Fe−O

200120022003|−|2011

【2011】

【2003】

【2002】

【2001】

Fe−Ti−O

1993|−|200820092010|2011|2012

【2012】

【2010】

【2009】

【2008】

【1993】

磁性

〜20092010|2011|20122013

鉄−硫黄−酸素(−チタン)を含む鉱物リスト

鉱物

化学式

結晶系

磁性

室温付近で
磁石につく(○)/つかない(×)
鉄の硫化鉱物

硫化鉄
の『リンク』はこちらを参照。
黄鉄鉱(おうてっこう)
(パイライト)
pyrite FeS2 等軸晶系 paramagnetic常磁性 ×
白鉄鉱(はくてっこう) marcasite FeS2 斜方晶系   ×
磁硫鉄鉱
(ピロータイト)
pyrrhotite Fe1-xS Fe9S10
Fe10S11
Fe11S12
六方晶系 antiferromagnetic反強磁性 ×
Fe7S8 単斜晶系 ferrimagneticフェリ磁性
トロイリ鉱
トロイライト
troilite FeS 六方晶系 antiferromagnetic反強磁性 ×
グリグ鉱
グレイジャイト
greigite Fe3S4 等軸晶系 ferrimagneticフェリ磁性
スマイス鉱 smythite Fe3+xS4
(Fe,Ni)9S11 or (Fe,Ni)13S16
六方晶系 ferromagnetic(フェロ磁性、強磁性
マッキーノ鉱 mackinawite (Fe,Ni)1+xS、
(Fe,Ni)9S8
正方晶系 antiferromagnetic反強磁性 ×
鉄の酸化鉱物

酸化鉄
の『リンク』はこちらを参照。
ビュスタイト、
ウスタイト
wustite(uの頭に¨) FeO 等軸晶系 antiferromagnetic反強磁性 ×
磁鉄鉱
(マグネタイト)〔ウルボスピネルと固溶体〕
magnetite Fe3O4 等軸晶系 ferrimagneticフェリ磁性
赤鉄鉱(せきてっこう)
(ヘマタイト)
〔チタン鉄鉱と固溶体〕
hematite α-Fe2O3 三方晶系 canted antiferromagnetic
(傾斜反強磁性
×
(合成) β-Fe2O3 等軸晶系    
マグヘマイト
(磁赤鉄鉱)
maghemite γ-Fe2O3 等軸晶系(正方晶系の超格子をもつ) ferrimagneticフェリ磁性
(合成) ε-Fe2O3 斜方晶系 ferrimagneticフェリ磁性
鉄の水酸化鉱物
(オキシおよび含水も含む)

酸化鉄の『リンク』はこちらを参照。
針鉄鉱(しんてっこう)
(ゲーサイト、
ゲータイト)
goethite α-FeO(OH) 斜方晶系 antiferromagnetic反強磁性)、
weak ferromagnetic(弱いフェロ磁性)
×
赤金石、
赤金鉱
akaganeite(最初のeの頭に´) β-FeO(OH) 正方晶系、
単斜晶系
antiferromagnetic反強磁性 ×
鱗鉄鉱(りんてっこう)
(レピドクロサイト)
lepidocrocite γ-FeO(OH) 斜方晶系 antiferromagnetic反強磁性(with a small ferromagnetic-like behavior) ×
(シュバートマナイト) schwertmannite Fe8O8(OH)6(SO4)・nH2O、
Fe3+16O16(OH,SO4)12-13・10-12H2O、
Fe3+16O16(OH)12(SO4)2
Fe16016(OH)y(S04)z・nH20
正方晶系    
フェロオキシハイト feroxyhyte δ-FeO(OH) 六方晶系 ferrimagneticフェリ磁性
フェリハイドライト ferrihydrite 5Fe2O3・9H2O、
Fe4-5(OH,O)12
Fe2O3・0.5H2O、
FeOOH・0.4H20
六方晶系、
三方晶系
antiferromagnetic反強磁性)(speromagnetic)  
(バナーライト、
バーナライト)
bernalite Fe(OH)3
Fe(OH)3・nH2O
斜方晶系 collinear antiferromagnetic反強磁性  
  green rust⇒
fougerite(最初のeの頭に`)
Fe2+4Fe3+2(OH)12CO3・3H2O、
(Fe2+,Mg)6Fe3+2(OH)18・4H2O
三方晶系    
非晶質 (amorphous)       ×
鉄とチタンの酸化鉱物(チタン酸化鉱物を含む)

Fe-Ti-Oの『リンク』はこちらを参照。
チタン鉄鉱
イルメナイト
ilmenite FeTiO3 三方晶系 paramagnetic常磁性 ×
ウルボスピネル ulvospinel(oの頭に¨) Fe2TiO4 等軸晶系   ×
擬板チタン石 psudobrookite Fe2TiO5 斜方晶系   ×
金紅石(きんこうせき)
ルチル
rutile TiO2 正方晶系   ×
鋭錐石 anatase TiO2 正方晶系   ×
板チタン石 brookite TiO2 斜方晶系   ×
結晶系Crystal system)は、等軸晶系(立方晶系、Cubic crystal system)、正方晶系(Tetragonal crystal system)、三方晶系(菱面体晶系、Trigonal crystal system)、六方晶系(Hexagonal crystal system)、斜方晶系(Orthorhombic crystal system)、単斜晶系(Monoclinic crystal system)、三斜晶系(Triclinic crystal system)の7つからなる。
磁性で、antiferromagnetic反強磁性)に関連する現象のGeometrical frustrationフラストレーション)も参照。
微細な粒子である場合が多い鉱物(とくに水酸化鉱物)では、化学組成および磁性の報告が異なることが多い。ここでは、『リンク』に示した文献から代表的と考えられるものをまとめた。【リンクはウィキペディア】

【2013】

【2012】

【2010】

【〜2009】


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