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岩石磁気

最終更新日:2017年1月22日

1997|1998|1999|−|2001|−|20052006|−|2010|2011|20122013

※通常の磁石に付く鉱物を、一般には強磁性鉱物と呼んでおり、代表的なものは磁鉄鉱(マグネタイト、magnetite、Fe3O4:フェリ磁性、ferrimagnetism)と単斜晶系磁硫鉄鉱(単斜晶系ピロータイト、monoclinic pyrrhotite、Fe7S8:フェリ磁性、ferrimagnetism)である。しかし、古地磁気学の分野では磁性鉱物として(いわゆる強磁性鉱物ではない)赤鉄鉱(ヘマタイト、hematite、Fe2O3:反強磁性*、antiferromagnetism)等も頻繁に対象としている。
*:赤鉄鉱(Hematite)は温度によって異なる磁性を示す。

岩石磁気関連単位など

用語

SI

cgs

SI→cgs

cgs→SI
鉱物の磁性 Magnetic Properties of Minerals  鉱物の磁性は、強磁性常磁性paramagnetic)と反磁性diamagnetc)に分けられ、強磁性フェロ磁性ferromagnetic)とフェリ磁性ferrimagnetic)と反強磁性antiferromagnetic)に分けられる。
電磁気の単位 International System of Electrical and Magnetic Units
  • 主な単位系は次のとおり。@
    CGS電磁単位系(CGS-emu)
     emu=electromagnetic unit(電磁単位)
    ・CGS静電単位系 (CGS-esu)
     esu=electrostatic unit(静電単位)
    ・CGSガウス単位系 (ガウス単位系)
    ・ヘヴィサイド・ローレンツ単位系(ヘヴィサイド単位系)
    ・実用単位系 (practical units) /BA単位系 (British Association units)
    MKSA単位系
磁気誘導 Magnetic induction
  • 磁気が近接してくると、物体に反対の磁極が生じる現象。@
磁束密度 magnetic flux density
  • 磁束の単位面積当たりの面密度のことであるが、単に磁場と呼ばれることも多い。磁束密度はベクトル量である。 記号 B で表されることが多い。国際単位系(SI)ではテスラ(T)、もしくはウェーバ毎平方メートル(Wb/m2)である。@
T G 1T=1Wb/m2=104G 1G=10-4T
磁場 Magnetic field
  • 単に磁場と言った場合は磁束密度Bもしくは、「磁場の強さ」Hのどちらかを指すものとして用いられるが、どちらを指しているのかは文脈により、また、どちらの解釈としても問題ない場合も多い。BとHは一定の関係にあるが、BHの単位は国際単位系(SI)でそれぞれWb/m2, A/m であり、次元も異なる独立した二つの物理量である。Hの単位はN/Wbで表すこともある。なお、CGS単位系における、磁場(の強さ)Hの単位は、Oeである。@
A/m Oe   1Oe=10/(4π) (A/Gb)/0.01(m/cm)=1000/(4π)A/m=約79.577A/m
透磁率
導磁率
Permeability
  • 磁場(磁界)の強さH磁束密度Bとの間の関係を B=μH で表した時の比例定数μである。単位はH/mヘンリー毎メートル)、あるいは N/A2ニュートン毎平方アンペア)。
    磁界の強さHと磁束密度Bとの関係、磁化曲線またはB-H カーブの傾きになる。実用的な強磁性磁気材料では、磁化曲線はヒステリシスをもつので、透磁率は始め小さく(初透磁率)、その後大きくなる。
    透磁率の大きい材料を芯につかえばより強力な電磁石になる。
    真空の透磁率μ
    oとの比μs=μ/μo比透磁率という。
    μ
    o=4π×10-7H/m=1.2566370614…×10-6H/m
    真空中の誘電率ε
    oと真空中の光速cとの間には
    √ε
    oμo=1/c
    という関係がある。@
H/m      
磁気モーメント Magnetic moment

  • 磁気双極子モーメント、簡単には磁気モーメントM は、一対の磁荷としても一つの環状電流としても定義できる。
    一対の磁荷として定義するなら、磁荷の大きさをm 、正負二つの磁荷を距てる無限小の距離ベクトルをl、とすると、磁気モーメントM
    M = ml
    で与えられる。
    一方、環状電流として定義するなら、環の面積をA 、電流をIとすると、
    M = IAn
    となる。ここで、n は環と垂直な単位ベクトルである。nの方向、したがってMの方向、は右手の法則によって与えられる。すなわち、電流の方向に右手の親指以外を巻いたときに親指の方向がnの方向になる。
    環電流で磁気モーメントを定義するのは、磁気モーメントはすべて電流によっているのであるから、より基本的である。しかし、磁気モーメントが磁荷の対からなっていると考えた方が便利なこともある。A
磁化、
磁気分極
磁化 Magnetization
  • 磁性体に外部磁場をかけたときに、その磁性体が磁気的に分極して磁石となる現象のこと。また、磁性体の磁化の程度を表す物理量も磁化と呼ぶ。磁気分極(magnetic polarization)とも呼ばれる。
    強磁性体は磁場をかけて磁化させた後に磁場を取り除いた後も分極が残り永久磁石となる残留磁化と呼ばれる現象があるが、これも磁化と呼ぶ場合がある。@
  • 磁化J帯磁率χ
    ある物質の磁石の強さあるいは磁化Jは単位体積あたりの磁気モーメントの量である。ある体積の磁化の大きさを計算するには、磁気モーメントのベクトル和を体積で割ればいい。
    JMi/体積
    Mi というのは構成している磁気モーメントである。磁化の強さの単位はT(テスラ)またはWb/m2。磁化は誘導磁化と自発磁化の二つに分類できる。ある物質が磁場H にさらされると、誘導磁化Jiが生じる。生じる磁化と磁場は帯磁率χで結びつけられる。
    Ji=χH
    つまり、帯磁率χはある物質の磁化しやすさと見ることができる。上の式では帯磁率としてスカラーを取った。これは磁化と磁場が平行となることを暗黙に仮定していることとなる。しかしながら、磁気異方性を示す物質もある。そのような物質ではJi はH と平行にはならない。磁気異方性を持った物質では、x方向に磁場をかけても一般にはx方向だけではなくy, z方向の磁化も生ずる。この様な場合は、帯磁率は3×3 の行列で表されるようなテンソルとなる。現在の磁場の働きかけの結果である誘導磁化に加えて、残留磁化Jrを持つ物質もある。残留磁化はその物質に働いた過去の磁場を記録している。A
残留磁化 Remanent Magnetization
  • 自然残留磁化(NRM)B
    J=J
    i+Jr
     J
    i誘導磁化、Jr自然残留磁化
    J
    i=χH
     H:地球磁場、J
    i:誘導磁化。
    NRM初生NRM二次NRM
     初生NRM熱残留磁化(TRM)+化学残留磁化(CRM)+堆積残留磁化(DRM)
     二次NRM粘性残留磁化(VRM)+等温残留磁化(IRM)。
  • 飽和等温残留磁化SIRM)、S-0.3T=[1-(IRM0.3T/SIRM)]/2〔0.3Tは大部分の磁鉄鉱のIRMが飽和する磁場〕S ratioHIRM〔=SIRM+IRM-0.3T)/2〕、非履歴性残留磁化ARM)C
磁化率、帯磁率
磁気感受率
磁化率 Magnetic susceptibility
  • 磁気分極の起こりやすさを示す物性値。
    外部から磁界Hを掛けられると一般の磁性体には磁気分極P
    mが生ずるが、このHPmは比例する。その関係を
    P
    mχmμoH
    のように書き表した時の比例係数χ
    mが(静的な)磁化率である(μoは真空の透磁率)。ギリシア文字のχで表現するが、電気感受率にも同じ文字を使う場合があるので区別のためχmとしている。μoHとPmは共に磁束密度次元を持つので、χは無次元量であり単位系に依らない(ただしPmχmHのように透磁率を介さず、直接にPmとHを結ぶ係数を磁化率χmと定義する流派も存在し、この場合のχm透磁率と同じ次元を持つことになる)。
T G 1T=1Wb/m2=104G 1G=10-4T
体積磁化率 Volume susceptibility(κ)
  • 体積磁化率:κ=M/H
    H
    :磁場(A/m)、M:単位体積当たりの磁化(A/m)A
質量磁化率 Mass susceptibility(χ)
  • 質量磁化率:χ=κ/ρ
    κ:体積磁化率(無次元)、ρ:密度(kg/m
    3)A
ヒステリシス Hysteresis

  • 磁気ヒステリシスA
    強磁性体においては、その磁化は加えた磁場に比例せず、ヒステリシスを示す。
    ヒステリシスループの形は磁性体の性質によって違う。
    O→B→C:初磁化曲線
    C→D: 残留磁化:飽和等温残留磁化(SIRM)
    D→E: 保磁力
    C→D→E→F→G→C:ヒステリシスループ
    κ:初生帯磁率
    Hc:保磁力
    Hcr:残留保磁力
    Ms:飽和磁化
    Mrs:飽和残留磁化
  • Day plot、ORC(First-order reversal curves) diagramsC
保磁力
抗磁力
Coercivity
  • 磁化された磁性体を磁化されていない状態に戻すために必要な反対向きの外部磁場の強さをいう。 保磁力の単位には、CGS単位系ではエルステッド [Oe] 、SI単位ではアンペア毎メートル [A/m] をもちいる。1 [A/m] は 4π×10-3 [Oe] である。@
A/m Oe   1Oe=10/(4π) (A/Gb)/0.01(m/cm)=1000/(4π)A/m=約79.577A/m
各種温度 キュリー温度
キュリー点
Curie temperature
Curie point
ネール温度 Neel(最初のeの頭に´) temperature
magnetic ordering temperature
  • 反強磁性体が常磁性へと転移する温度。@
  • The Neel(最初のeの頭に´) temperature or magnetic ordering temperature, TN, is the temperature above which an antiferromagnetic or ferrimagnetic material becomes paramagnetic−that is, the thermal energy becomes large enough to destroy the macroscopic magnetic ordering within the material.
    The Neel
    (最初のeの頭に´) temperature is analogous to the Curie temperature, TC, for ferromagnetic materials. It is named after Louis Neel(最初のeの頭に´)(1904-2000), who received the 1970 Nobel prize in physics for his work in the area.@
フェルベー点 Verwey transition
  • Fe−フェライトは磁鉄鉱(magnetite)と呼ばれ、人類が発見した最も古い磁性体である。スピネル格子で、単位胞の中に32個のO2-イオンと8個のAイオンと16個のBイオンの計56個のイオンを含む。磁鉄鉱はBイオンにFe3+とFe2+が同居するため、それらの間を電子が飛び移るホッピング伝導を行う。そのため、フェライトの中では異例に電気抵抗率が低い。125Kでこのホッピングは停止し、その温度以下で電気抵抗は急上昇し、結晶がひずむ。この変態点をフェルベー点という。A
モーリン点 Morin transition
  • ヘマタイト(α-Fe2O3)は低温(250K以下)ではc軸方面に磁化を持つ反強磁性であるが、高温(250-963K)ではc面に磁化を持つ傾角磁性になる。この250Kの転移点をモーリン点という。A
  • The Morin transition (also known as a spin-flop transition) is a magnetic phase transition in α-Fe2O3 hematite where the antiferromagnetic ordering is reorganized from being aligned perpendicular to the c-axis to be aligned parallel to the c-axis below TM.
    T
    M = 260K for Fe3+ in α-Fe2O3.
    A change in magnetic properties takes place at the Morin transition temperature.@
消磁 demagnetization

 段階的に、磁場の大きさあるいは温度を変えて、磁化を測定することにより、磁性鉱物の種類(化学組成の違いも含む)や量や粒径を予想する。

  • 部分消磁−段階消磁B
     交流消磁
     熱消磁
     化学消磁

SI=国際単位系、cgs=cgs単位系
T=テスラ、G=ガウス、Oe=エルステッド、H=ヘンリー、A=アンペア、m=メートル

【2013】

【2012】

【2010】

【2006】

【2005】

【2001】

【1999】

【1997】


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