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第７回　地圏（その２：土壌）

配付プリント等

• 『地圏（その２：土壌）』。講義内容は以下について。
  �@土壌の構成：
  　１）土壌断面：
  　　・上部から、O（organic）層、A層、B層、C層、R（rock）層。
  　　　有機物を含むO層・A層・B層が狭義の土壌。
  　　　C層は風化層で、R層は母岩。
  　　・生成の順番は、C層→A層→B層。
  　２）土壌の三相分布：
  　　・土壌固相
  　　　　無機物（岩石片、砂、粘土）
  　　　　有機物（動植物、遺体、腐植）
  　　・液相（土壌水）
  　　・気相（土壌空気：酸素に乏しく、二酸化炭素に富む）
  　３）土壌構成成分：
  　　・一次鉱物…もともとの岩石を構成する鉱物
  　　・粘土鉱物および鉄水酸化物（二次鉱物）…土壌化の過程で生じた鉱物
  　　・腐植（腐植酸、フルボ酸、ヒューミン）…植物に由来
  　　・土壌生物（植物、土壌動物、土壌微生物）
  �A土壌の生成：
  　１）風化作用：
  　　・化学的風化作用〔大気中の二酸化炭素（酸性化）および酸素（酸化）が溶けた水の働き〕
  　　・物理的風化作用〔機械的破砕による細粒化（寒暖差、孔隙水の氷結）〕
  　　・生物学的風化作用〔分泌される有機酸等による化学的作用、および根による機械的破砕等の物理的作用を含む〕
  　２）土壌生成作用：
  　　・岩石（母岩）→風化作用→風化生成物→土壌生成作用（＋風化作用）→土壌
  　　・風化作用では、岩石の構成鉱物（一次鉱物）の分解、および二次鉱物（主に粘土鉱物）の生成。
  　　・土壌生成作用の土壌生成因子は、岩石（母岩、母材）、気候、生物、地形、時間、人為の６つ。
  　　・世界的には緯度に沿って同種の土壌が生成されやすいが、これは土壌の水平成帯性と呼ばれる。同様に、標高の違いによって生じる土壌分布は、土壌の垂直成帯性と呼ばれる。いずれも気候因子の気温と降水量の違いがその大きな原因である。
• 配布プリント３枚�E。出席票。
  【１枚目】
  図4、図16、図21…『土のある惑星』（12,45,70p）
  図7-4、図10-1、図10-2…『地表環境の地学−地形と土壌』（121,151,152p）
  表2.6…『最新土壌学』（20-21p）
  【２枚目】
  図1.3、表2.1、表2.2、図3.5…『最新土壌学』（5,12,13,38p）
  図6…『土のある惑星』（20p）
  図7-1、図7-2、図8-2、図8-6…『地表環境の地学−地形と土壌』（116,118,132,138p）
  【３枚目】
  図3.6、図4.1、図4.2、表5.1、表5.2、図5.1、図6.2…『最新土壌学』（40,44,45,54,56,57,74p）
  表1、図17…『土のある惑星』（21,54p）
  表7-1、表8-2…『地表環境の地学−地形と土壌』（117,139p）

補足説明

全 般	環境学関連は『地球環境学』の関連ページを参照。 地球科学用語は『地球科学用語集』のページを参照。 環境学用語は『地球環境関連用語集』のページを参照。 単位については『単位』のページを参照。

• 時間切れで説明していない内容。
  �B土壌の分布：
  　１）土壌型：土壌生成作用→安定した土壌断面→生成的分類の基本単位
  　２）土壌の地理的分布：ロシアのドクチャーエフ（V.V.Dokuchaev, 1846-1903）
  　　・気候・植生帯→水平成帯性土壌
  　　・高度　　　　　→垂直成帯性土壌
  　３）日本の土壌分布
  　　・垂直成帯性が優位

• 土壌は『土壌とは』のページを参照。
• 風化は『風化とは』のページを参照。

【土壌の形成】

• Soil formation 〔Seafriends Marine Conservation and Education Centreによるseafriendsの『environment』の中の『Soil: use, sustainability and conservation』の『Soil: Geology』から〕 土壌のでき方（風化作用が重要）。

【土壌断面】

• Soil profile 〔Seafriends Marine Conservation and Education Centreによるseafriendsの『environment』の中の『Soil: use, sustainability and conservation』の『Soil: Geology』から〕 土壌断面： O層：（organicに由来）落葉・落枝（リッター）からなる有機物層。 A層：有機物と無機物が混在する層。 B層：A層から溶脱された物質に富む層。 C層：風化層。 R層：（rockに由来）未風化層（岩）。 ※O層・A層・B層が生物の影響下にあるので、これらを土壌体（solum、複数はsola）と呼び、狭義の土壌とすることがある。

【土壌生成因子】

• 〔日本粘土学会の『粘土基礎講座�T』の中の南條正巳氏による『７．土壌中の粘土鉱物』から〕 土壌生成因子（５因子）。

参考

【世界の土壌群と分布面積】

• 表1・2　世界の各種土壌群の特徴と分布面積

  土壌群名（アメリカ農務省分類） 【FAO/UNESCO分類】		特　　徴	分布 面積 〔億ha〕	分布 割合 〔％〕
  ツンドラ・亜極地褐色森林土地帯		コケ・地衣類・小灌木のみ植生。寒さのために農耕不可。	5.12	3.9
  沙漠土（塩類土・アルカリ土を含む） 【ゼロソル・イェルモソル】		養分が低くとくに窒素、リン酸、微量要素が不足。水不足で灌漑を必要とするが、二次的塩類化などに注意を要す。	21.04	16.2
  チェルノーゼム（栗色土、ブルニーゼム、赤色プレリーを含む） 【チェルノーゼム・カスタノーゼム】		物理的、化学的性質ともにバランスのとれた肥沃な土壌。広大な小麦地帯とアメリカのとうもろこし地帯に分布。	8.12	6.2
  非石灰質褐色土		粘土の多い下層土をもち、養分は高いが、物理的性質が悪いので耕土をよくほぐすことが大事である。	2.84	2.2
  ポドゾル（泥炭土、低腐植質グライ土、灰褐色ポドゾル土を含む） 【ポドゾル・ヒストソル】		養分が溶脱されて酸性を示す。中和のために石灰の施用を要す。寒冷な気候が耕作の制限因子である。	19.40	14.9
  赤黄色ポドゾル性土 【アクリソル】		養分の溶脱が激しく、酸性で、湿潤気候下で発達、粘土が表層から移動して下層に集積。	3.88	3.0
  ラトソル（地下水ラテライトなどを含む） 【フェラルソル】		風化と養分溶脱をもっとも激しく受け、リン酸に欠乏、湿潤熱帯における主要土壌。	24.72	19.0
  グルムソル土 地帯	グルムソル 【バーティソル】	養分に富むが物理的性質が悪い。透水性低く、排水不良。	3.24	2.5
  	テラロッサ【ルビソル】	石灰岩の上に生成された赤色で肥沃な土壌、物理的性質もよく、耕作も容易な土壌。
  レンジナ・褐色森林土地帯	レンジナ【レンジナ】	石灰岩や泥灰岩を材料にした土壌で肥沃度が高い。傾斜地に分布し、牧草地に利用されている。	1.0	0.8
  	褐色森林土【カンビソル】	湿潤冷温帯の中部ヨーロッパに広く分布。粘土移動やポドゾル化がない褐色な土壌断面をもち、中性ないし酸性。
  アンドソル（黒ボク土） 【アンドソル】		火山灰からできた土壌で、容積重が軽く、リン酸を土壌に吸収、固定化する力が大きい。	0.28	0.2
  岩屑土（リトソル） 【リトソル】		岩石の上に載っているれきの多い未熟な土壌で、広い面積をもつが、耕地面積割合は低い。放牧地に利用。	26.92	20.7
  砂丘未熟土（レゴソル） 【レゴソル】		風の力によって砂、微砂が堆積したもの。海岸砂丘堆積物や新しい火山灰などからなる。	7.60	5.8
  沖積土 【フルビソル・グライソル】		河川の氾濫などで堆積された比較的新しい堆積物。肥沃度が高く、世界人口の1/3はこの土壌に食糧を依存している。	5.88	4.5
  <出典>　大塚紘雄・井上隆弘：世界の土壌、科学、58、p.611、岩波書店（1988）。

  
  
  図1・3　世界の土壌分布
  
  〔茅（監修）オーム社（編）（2003）による〕