戻る<1|2|3|4|5|6|7|8|9|10|11|12|13|14|15<
|
配付プリント等 |
@鉱物の定義: 1)天然産であること、2)〔化学組成〕一定の化学式であらわせること、3)〔結晶構造〕結晶質であること、の3条件を満たすこと。ただし、例外がある。 A鉱物の種類: 約4,000種類(世界)、約1,000種類(日本) 化学組成または結晶構造のいずれかが異なれば別鉱物。 B鉱物の分類: 化学組成、とくに陰イオンを基準に分類される。ただし、珪酸塩鉱物はさらに結晶構造(SiO4四面体の頂点どおしの結合のしかた)により6グループに分けられる。 |
@岩石の分類:成因により下記のように3分類される。 1)火成岩…マグマから固結したもの。 2)堆積岩…地表条件(低温・低圧)で生成したもの。 3)変成岩…地下条件(高温・高圧)で生成したもの。 A火成岩:火成作用、マグマ、結晶分化作用、ボーウェンの反応系列、花崗岩、玄武岩 火成岩は、化学成分中のSiO2成分量の違い、および生成深度(つまり、その構成鉱物の粒径などの組織;深いと深成岩、浅いと火山岩)の違いにより分類される。SiO2成分が多いものを酸性岩、少ないものを(逆に言えば、MgOやFeOが多い)塩基性岩と呼ぶ。また、生成深度の深いものを深成岩、浅いものを火山岩とよび、深成岩の代表は花崗岩、火山岩の代表は玄武岩である。 塩基性のマグマ(本源玄武岩マグマ)を仮定し、結晶分化作用によって、ボーウェンの反応系列(有色鉱物:かんらん石→輝石→角閃石→黒雲母;無色鉱物:Ca斜長石→Na斜長石→カリ長石→石英)に従った鉱物の分離が起こるとすれば、さまざまな火成岩を生み出すことも可能である。しかし実際には、プレートテクトニスにより説明されるように、異なるマグマの発生の場が存在し、異なる成因の火成岩が生成している。 B堆積岩:風化作用、浸食作用、運搬作用、堆積作用、続成作用 堆積岩は、地表の風化・浸食・運搬・堆積作用によって形成される砕屑岩が、その典型的なものである。地表条件で不安定な鉱物(ボーウェンの反応系列の低温側のもの)は分解・溶脱され、最後に残るのは石英や長石の一部などのみである。したがって、砕屑岩は粒径によって分類されることが多く、礫岩|2mm|砂岩|1/16mm|シルト岩|1/256mm|粘土岩などのように定義されている。なお、堆積物が続成作用をうけて硬くなると(粒子間を埋める二次鉱物の生成により)堆積岩と呼ばれるが、さらに地下の高い温度と圧力で安定な鉱物に変化すれば(一部ないし全体が)変成岩と呼ばれるようになる。 1)砕屑岩…もっとも典型的 2)生物岩…石灰岩など 3)化学的沈殿岩…蒸発岩など 4)火山砕屑岩(火砕岩) C変成岩:変成作用、変成相、変成相系列 変成岩はおもに地下で受けた温度と圧力の条件の違いによって分類される。ある温度・圧力条件下で安定な鉱物の組合せが存在し、それを指標に変成岩の変成相を定義することができる。また、地下では、温度・圧力の変動は関連しており(つまりプレート運動によって)、ある特定の条件範囲を示す場合が多く、変成相系列と呼ばれる。 |
補足説明 |
|
(質量%) |
(重量%) |
(重量%) |
|||
水素 | 74 | 鉄 | 35 | 酸素 | 47 |
ヘリウム | 24 | 酸素 | 30 | ケイ素 | 28 |
酸素 | 1 | ケイ素 | 15 | アルミニウム | 8 |
その他 | 1 | マグネシウム | 13 | 鉄 | 5 |
その他 | 7 | その他 | 12 |
[ 図2 ] 太陽系の元素存在度 |
[ 図3 ] 太陽と隕石の元素存在度の比較 |
東京大学理学部地球惑星物理学科(HP/2011/5)による『原始太陽系星雲』から |
〔東邦大学理学部の高橋 正氏のホームページの中の『周期表・元素存在度の図表』から〕 |
元素 |
原子 番号 |
Masonの 推定値 |
Washington の推定値 |
Niggliの 推定値 |
Ganapathy らの推定値 |
Ringwood の推定値 |
Fe | 26 | 34.63 | 39.76 | 36.9 | 35.98 | 31.90 |
O | 8 | 29.53 | 27.71 | 29.3 | 28.65 | 29.95 |
Si | 14 | 15.20 | 14.53 | 14.9 | 14.76 | 17.29 |
Mg | 12 | 12.70 | 8.69 | 6.73 | 13.56 | |
Ni | 28 | 2.39 | 3.16 | 2.94 | 2.02 | 1.73 |
S | 16 | 1.93 | 0.64 | 0.73 | 1.66 | |
Ca | 20 | 1.13 | 2.52 | 2.99 | 1.67 | 1.80 |
Al | 13 | 1.09 | 1.79 | 3.01 | 1.32 | 1.40 |
Na | 11 | 0.57 | 0.39 | 0.90 | 0.143 | 0.90 |
Cr | 24 | 0.26 | 0.20 | 0.13 | 0.472 | |
Co | 27 | 0.13 | 0.23 | 0.18 | 0.093 | |
P | 15 | 0.10 | 0.11 | 0.15 | 0.213 | |
K | 19 | 0.07 | 0.14 | 0.29 | 0.017 | |
Ti | 22 | 0.05 | 0.02 | 0.54 | 0.077 | |
Mn | 25 | 0.22 | 0.07 | 0.14 | 0.053 | |
鹿園(1992)による〔『地球システム科学入門』(35p)から〕【見る→】 |
〔東邦大学理学部の高橋 正氏のホームページの中の『周期表・元素存在度の図表』から〕 |
(%) | 1 | 2 | 3 | 4 |
SiO2 | 61.9 | 61.9 | 64.8 | 57.3 |
TiO2 | 1.1 | 0.8 | 0.51 | 0.9 |
Al2O3 | 16.7 | 15.6 | 16.1 | 15.9 |
FeO | 6.9 | 6.2 | 4.8 | 9.1 |
MgO | 3.5 | 3.1 | 2.7 | 5.3 |
CaO | 3.4 | 5.7 | 4.6 | 7.4 |
Na2O | 2.2 | 3.1 | 4.4 | 3.1 |
K2O | 4.2 | 2.9 | 2.0 | 1.1 |
1:地表岩石の平均に近いものとして氷河粘土をとり、77個の異なった試料の分析値より推定 2:カコウ岩質岩石、玄武岩質岩石および堆積岩の占める地殻の厚さ、それぞれの平均化学組成などに基づいて推定 3:マントルからトーナル岩的なものが形成されるという大陸地殻生成モデルに立ち、地殻を3層に分けて、それぞれの厚さ、構成岩石の平均化学組成より推定 4:カコウ閃緑岩を主体とする上部地殻は、地殻自体の分化により生じたとのモデルに立ち、地殻熱流量などを制約条件として推定 |
||||
松尾(監修)(1989)による〔『地球化学』(33,34p)から〕【見る→】 |
|
|
|
||
陰イオンと陽イオンの区別ができない場合 |
元素鉱物 (element mineral) |
特定の陰イオンを含まない場合(金属など) | 自然金(Au)、自然銀(Ag)、自然銅(Cu)、石墨(C)、自然硫黄(S)、など〔天然産であることを示すため『自然(native)』という語を付ける〕 | 量は少ないが、大部分は資源鉱物(鉱石鉱物)となる |
陰イオンが単一元素からなる場合 |
硫化鉱物 (sulfide mineral) |
陰イオンが硫黄(S)の場合 | 黄銅鉱(CuFeS2)、方鉛鉱(PbS)、閃亜鉛鉱(ZnS)、など | 資源鉱物の大部分が含まれる |
酸化鉱物 (oxide mineral) |
陰イオンが酸素(O)の場合 | コランダム(Al2O3)、赤鉄鉱(Fe2O3)など、 | 資源消費量の多い鉄とアルミニウムの資源鉱物が含まれる | |
その他 | ハロゲン化鉱物、など | 資源鉱物となるものが多く含まれる | ||
陰イオンが2種類(1つは酸素)の元素からなる場合 |
炭酸塩鉱物 (carbonate mineral) |
陰イオンが炭素(C)と酸素(O)からなる塩の場合 | 方解石(CaCO3)、など | 石灰岩のように資源鉱物となるものが含まれる |
珪酸塩鉱物 (silicate mineral) |
陰イオンが珪素(Si)と酸素(O)からなる塩の場合 | 結晶構造(SiO4四面体の結合様式)の違いにより6種類のサブグループに分けられている(こちらを参照) | 普通の岩石を構成する造岩鉱物の主体をなし、産出量が最も多い | |
その他 | 硝酸塩鉱物、硫酸塩鉱物、など | 資源鉱物となるものが含まれる |
〔岩手県立博物館の『これなあに?』の『地質分野』の中の『造岩鉱物[ぞうがんこうぶつ]と火成岩の分類』から〕 火成岩の分類では、一般に、横軸にシリカ成分(SiO2)をとり、縦軸に粒径(生成深度:深いほど粗粒)をとる。シリカが多くて粗粒(径数mm程度)なものは、大陸地殻の代表的な岩石である花崗岩(地下でゆっくりと冷えて形成された深成岩の一種)であり、シリカが少なくて細粒(粒子が肉眼で判別しにくい程度)のものは、海洋地殻の代表的な岩石である玄武岩(地表付近で速く冷えて形成された火山岩の一種)である。 |
【ボーウェンの反応系列】(ボーエンあるいはボウエンとも記される)
カナダの岩石学者のノーマン・ボウエン〔ボーウェン、Norman
L. Bowen(1887 - 1956)〕が、マグマから(冷却に伴って)鉱物が晶出する順序をまとめたもの。
かんらん石(olivine)→輝石(pyroxene)→角閃石(amphibole)→黒雲母(biotite)のように、まったく結晶構造の異なる鉱物へと変化していく不連続系列と、斜長石(plagioclase)のCaに富むものからNaに富むものへのように、結晶構造は同じだが組成の異なるもの(固溶体という)へと変化していく連続系列の2つの系列が並列して進み、最後には白雲母(muscovite)・カリ長石(K-feldspar)・石英(quartz)が主体となる。〔リンクはウィキペディア〕
早稲田大学資源地球化学研究室(内田研究室)(HP/2011/5)による『(偏光顕微鏡)』から |
マグマから晶出する鉱物の温度変化と,岩石に含まれる鉱物の違いを示した例. 〔総合地質情報研究グループの『ベータ版』の『シームレス地質図サポートページ』の『岩石や地層のでき方』から〕 かんらん石→輝石→角閃石→黒雲母のように、まったく結晶構造の異なる鉱物へと変化していく不連続系列と、斜長石のCaに富むものからNaに富むものへのように、結晶構造は同じだが組成の異なるもの(固溶体という)へと変化していく連続系列の2つの系列が並列して進み、最後には白雲母・カリ長石・石英が主体となる。 |
Bowen's Reaction Series(ボーウェンの反応系列) 〔Steven Dutch氏(Natural and Applied Sciences, University of Wisconsin-Green Bay)による『Physical Geology (Earth SC 202) Notes and Visual Aids』の『Igneous Rocks』から〕 |
●ふつうの堆積岩の例. 〔総合地質情報研究グループの『ベータ版』の『シームレス地質図サポートページ』の『岩石と地層の分類』から〕 堆積岩は、上記の『ふつうの堆積岩』として形成されるものが代表であり、砕屑岩ともいう。これに火山噴出物が混じり、そして量的にも多ければ火山砕屑岩(略して火砕岩)と呼ぶ。ほかに、化学的な沈殿物が主体である化学的沈殿岩(あるいは化学的堆積岩)、および生物起源の生物岩がある。 |
変成岩の形成されうる場所. 〔総合地質情報研究グループの『ベータ版』の『シームレス地質図サポートページ』の『岩石や地層のでき方』から〕 |
〔総合地質情報研究グループの『ベータ版』の『シームレス地質図サポートページ』の『岩石や地層のでき方』から〕 変成岩は、変成作用の重要な要因である温度と圧力の違いによって区別される。特定の温度・圧力条件下では、特定の鉱物の組合せが安定なため、それぞれ固有の鉱物を含む変成岩となりやすい。実際には、鉱物組合せだけでなく化学組成も異なるため、それらを詳しく調べることで、生成した温度・圧力条件を決定できる場合が多い(地質温度計・地質圧力計という)。また、適当な放射性元素を含んでいれば、その母と娘の同位体組成を測定することにより、その半減期から生成年代を決定できる(放射年代という)。これらのデータがそろえば、含まれる岩石の時間と空間における変化の経路を決めることが可能であり、それは地殻変動を明らかにするための情報を与える。
|
参考 |
A | B | C | D | E | |
石英(quartz) | 21.0 | 25.4 | 24.42 | 23.2 | 20.3 |
斜長石(plagioclase) | 41.0 | 39.25 | 39.25 | 39.9 | 34.9 |
ガラス(glass) | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 12.5 |
正長石(orthoclase) | 21.0 | 4.57 | 8.6 | 12.9 | 11.3 |
黒雲母(biotite) | 4.0 | 15.29 | 11.23 | 8.7 | 7.6 |
白雲母(muscovite) | 0.0 | 9.77 | 7.61 | 5.0 | 4.4 |
緑泥石(chlorite) | 0.0 | 0.0 | 3.31 | 2.2 | 1.9 |
角閃石(amphiboles) | 6.0 | 0.0 | 0.0 | 2.1 | 1.8 |
輝石(pyroxenes) | 4.0 | 0.0 | 0.0 | 1.4 | 1.2 |
かんらん石(olivines) | 0.6 | 0.0 | 0.0 | 0.2 | 0.2 |
酸化鉱物(oxides) | 2.0 | 1.37 | 1.37 | 1.6 | 1.4 |
その他(others) | 0.5 | 4.7 | 4.7 | 3.0 | 2.6 |
A Wedepohl(1969, 表7-11)により概算された上部大陸地殻の平均鉱物組成 B カナダ楯状地のメソノルム(mesonorm)(Shaw et al., 1967) C 緑泥石を含むように修正したカナダ楯状地のメソノルム(付記を参照) D 上部大陸地殻の平均鉱物組成の概算値(計算方法の詳細は付記を参照) E 露出した地殻の平均組成の概算値(計算方法の詳細は付記を参照) |
〔Dartmoor Torsの中の『Geology』の『Minerals』から〕 三角ダイアグラムにおいて、上端はKAlSi3O8(代表的な鉱物はオルソクレース〔正長石〕)、左端はNaAlSi3O8(アルバイト〔曹長石〕)、右端はCaAl2Si2O8(アノーサイト〔灰長石〕)である。代表的な長石の組成は、比較的低温での生成の場合は青色の範囲、比較的高温での生成の場合は青色+赤色の範囲となる。KAlSi3O8−NaAlSi3O8系列をアルカリ長石(とくにKAlSi3O8を主体とするときはカリ長石)とよび、NaAlSi3O8−CaAl2Si2O8系列を斜長石とよぶ。 |
岩種 | 地質時代* | 面積(km2) | 比率(%) |
堆積岩 |
第四紀 新第三紀 古第三紀 白亜紀 ジュラ紀 三畳紀 古生代 |
80,228.16 |
21.36 |
第四紀−古生代 |
149,849.08 |
39.91 |
|
堆積岩を主とする 付加コンプレックス |
古第三紀−古生代 |
60,802.94 |
16.19 |
火成岩を主とする 付加コンプレックス |
古第三紀−古生代 | 3,661.73 | 0.98 |
超苦鉄質火成岩類 | 先新第三紀 | 1,876.98 | 0.50 |
火山岩 |
第四紀 新第三紀 古第三紀 白亜紀 |
41,629.97 44,685.16 4,261.61 15,092.42 |
11.09 11.90 1.13 4.02 |
第四紀−白亜紀 | 105,669.16 | 28.13 | |
深成岩 |
新第三紀 古第三紀 白亜紀 先白亜紀 |
3,947.43 5,339.90 28,498.26 1,422.46 |
1.05 1.42 7.59 0.38 |
新第三紀−古生代 | 39,208.05 | 10.44 | |
変成岩 | 先新第三紀 |
14,472.51 〔低圧型: 4,207.01〕 〔高圧型:10,265.50〕 |
3.85 |
|
375,540.47 | ||
堆積岩(付加コンプレックスを含む) 火成岩(付加コンプレックス及び超苦鉄質火成岩を含む) 変成岩 |
56.10 40.05 3.85 |
||
*)100万分の1日本地質図第3版には、新第三紀と古第三紀との境界にまたがる年代(PG4)の地質単位がある。ここではそれらの年代をより近い古第三紀とした。 |
Saito & Mitsuchi (1956) |
小野・礒見 (1967) |
磯山ほか (1984) |
村田・鹿野 (1995) |
|
堆積岩 〔第四紀〕 〔新第三紀〕 〔古第三紀〕 〔白亜紀〕 〔ジュラ紀〕 〔三畳紀〕 〔古生代〕 〔付加コンプレックスなど〕 |
61.1 20.7 18.9 (上に含まれる) 2.7 1.0 0.3 12.2 5.3 |
55.3 16.5 16.3 (上に含まれる) 3.1 1.1 0.3 12.0 6.0 |
58.3 19.3 15.4 3.9 6.8 0.9 0.4 11.6 − |
56.2 21.4 12.5 1.9 2.7 0.2 0.3 1.0 16.2 |
火山岩 〔第四紀〕 〔新第三紀〕 〔古第三紀〕 〔白亜紀〕 |
21.1 20.4 (上に含まれる) − − |
28.2 5.6 17.8 0.0 3.8 |
26.1 8.8 13.1 (下に含まれる) 4.2 |
28.1 11.1 11.9 1.1 4.0 |
深成岩 〔新第三紀〕 〔古第三紀〕 〔白亜紀〕 〔先白亜紀〕 |
14.2 (白亜紀噴出岩を含む) − − − − |
13.1 0.9 0.0 10.6 0.4 |
11.6 1.0 (下に含まれる) 9.7 0.9 |
10.4 1.0 1.4 7.6 0.4 |
超塩基性岩など | 0.9 | 1.2 | − | 0.5 |
変成岩 〔低圧型〕 〔高圧型〕 |
3.6 0.9 2.7 |
4.6 1.3 3.3 |
4.1 1.2 2.9 |
3.8 1.1 2.7 |
湖沼を除く総面積(km2) | 369,800 | 369,610 | 378,438.6 | 375,540.47 |
〔総合地質情報研究グループの『ベータ版』の『シームレス地質図サポートページ』の『日本列島の地質と構造』から〕 |
〔総合地質情報研究グループの『ベータ版』の『シームレス地質図サポートページ』の『地質年代表』から〕 |
図.1 プレートテクトニクスから見た岩石の地質学的なサイクルと地学現象の概念(平野 1996に着色) 〔国土防災技術(株)の『技術情報』の『技術・研究ノート』の『地質学入門』の中の『岩盤・岩石の種類』から〕 風化作用→浸食作用→運搬作用→堆積作用(堆積物の形成)→続成作用(堆積物から堆積岩へ)→変成作用(変成岩の形成)→火成作用(火成岩の形成) |
|
|
花崗岩(かこうがん、granite、グラニット):酸性(acidic)の深成岩(plutonic rock)。大陸地殻の代表的な岩石。灰色部分は石英(quartz:SiO2)、白色部分は斜長石(plagioclase:NaAlSi3O8〜CaAl2Si2O8)、黒色部分は黒雲母(biotite)であるが、カリ長石(K-feldspar)(正長石;orthoclase:KAlSi3O8)ははっきりしない(少し灰色味をもつ白色の部分に存在すると考えられる。試料によっては、暖色系の色合いが強い)。鉱物の粒径は数mmであるが、試料によっては1cmを超える場合もある。 | 玄武岩(げんぶがん、basalt、バサルト):塩基性(basic)の火山岩(volcanic rock)。海洋地殻の代表的な岩石。輝石(pyroxene)と斜長石(plagioclase)を主とし、カンラン石(olivine)や角閃石(amphibole)も伴う。ただし、鉱物の粒径は肉眼では識別できないほど小さい。輝石・カンラン石・角閃石は有色鉱物であるので、全体的には暗灰色に見える。 |
火成岩(igneous rocks)は、マグマ(magma:岩石の熔融体)から固結してできる岩石であるが、化学組成〔とくにSiO2(珪酸;シリカ)成分量〕および組織(形成深度が粒径などに最も影響する)の違いにより分類される。花崗岩はSiO2量が多く、深部でゆっくり冷却されて形成された。一方、玄武岩はSiO2量が少なく、地表付近で急速に冷却されて形成された。これらの中間の性質を持つ岩石には、別の名称が付けられているが、これらは連続的に変化している。なお、マグマの化学組成の違いは主に源岩の違いによる。 |
|
|
砂岩(さがん、sand stone):構成鉱物の粒径が2mm〜1/16mmの砕屑岩(clastic rock)。 | 泥岩(でいがん、mud stone):構成鉱物の粒径が1/16mm以下の砕屑岩(clastic rock)。 |
堆積岩(sedimentary rocks)は、地表における風化・浸食・運搬・堆積作用によって形成される岩石であり、砕屑岩が主体である。地表環境条件下で不安定な鉱物は、破砕と分解の過程で消失するため、一次鉱物(源岩を構成していた鉱物)の種類は限られる(主に石英および長石の一部が残る。他には岩片状のものも残る。さらに地表条件で安定な粘土鉱物のような二次鉱物も形成される)。一方、破砕によって半分また半分と粒径が小さくなると仮定すれば、(1/2)nとして構成鉱物の大きさを表せる。人為的に2mmや(1/2)4mm(=1/16mm)などが砕屑物の大きさの境界として使われ、2mm以上の粒子から構成されるものは礫、2mm〜1/16mmは砂、1/16mm以下は泥とされている。これらの堆積物(sediment)は地下での続成作用(diagenesis)によって粒子間が固定されると、堆積岩(sedimentary rock)となる。これらは層状の組織・構造を持つので一般に地層(stratum)と呼ばれる。 |
|
|
片麻岩(へんまがん、gneiss、ナイス):高温および高圧の変成条件下で形成される変成岩。火成岩の花崗岩に似ているが、源岩の種類の違いによって、構成鉱物は変動する。大陸地殻中〜深部に地表の岩石がもたらされて形成されるので、大陸地殻の形成史に関連する情報をもつ。 | 片岩(へんがん、schist、シスト):高圧および中〜低温の変成条件下で形成される変成岩。圧力(応力、stress)に垂直な方向に押し潰されたような組織を示す(この写真は平らな面を撮っているので明瞭ではないが、下部に見える断面では平行な縞模様が見える)。 |
変成岩(metamorphic rocks)は、地表付近にあった岩石が地下へ埋没し、地下の高温・高圧条件によって、構成鉱物の一部または全部が変化した岩石である。一般的な変成岩は、圧力と温度の両方の影響を受けて形成される。とくに両方の影響が大きい変成岩は、構成鉱物が粗粒であり等粒状になって、一見花崗岩に似る場合もあるが、このようなものは片麻岩と呼ばれる。比較的圧力の影響が大きい場合には応力のために層状を示すことがあり、その代表的なものが片岩である。これらは広域的に形成される場合が普通であるので広域変成岩に含まれる。また、特別に温度の影響が強い場合は熱変成(接触変成)岩と呼ぶことがあり、逆に圧力の影響が強い場合は動力変成岩と呼ぶことがある。 |