『1.はじめに
「日本列島はどのような岩石で構成されているか」。この疑問に答えるには日本列島の地質図を見ればよい。日本列島の地質構成が一目で分かるような最新の図の一つに「100万分の1日本地質図第3版」(地質調査所、1992)がある。この図は数値化され、この3月に数値地質図「100万分の1日本地質図第3版CD-ROM版」(地質調査所、1995)として出版されており、日本列島の地質構成が一目で分かるように工夫されている。さらに、以下に述べるように、数値データをコンピュータ処理することにより、地質図に表現されているそれぞれの地質単位について分布面積を迅速に求めることもできる。
日本列島を構成する岩石の分布面積を求めた例は意外に少なく用いた資料も古い(小野・礒見、1967;磯山ほか、1984)。そこで、ここでは、「100万分の1日本地質図第3版CD-ROM版」(地質調査所、1995)から求めた日本列島を構成する岩石の分布面積とその特徴について述べる。』
2.100万分の1日本地質図第3版CD-ROM版の数値地質図データベース
『
岩種 | 地質時代* | 面積(km2) | 比率(%) |
堆積岩 |
第四紀 新第三紀 古第三紀 白亜紀 ジュラ紀 三畳紀 古生代 |
80,228.16 |
21.36 |
第四紀−古生代 |
149,849.08 |
39.91 |
|
堆積岩を主とする 付加コンプレックス |
古第三紀−古生代 |
60,802.94 |
16.19 |
火成岩を主とする 付加コンプレックス |
古第三紀−古生代 | 3,661.73 | 0.98 |
超苦鉄質火成岩類 | 先新第三紀 | 1,876.98 | 0.50 |
火山岩 |
第四紀 新第三紀 古第三紀 白亜紀 |
41,629.97 44,685.16 4,261.61 15,092.42 |
11.09 11.90 1.13 4.02 |
第四紀−白亜紀 | 105,669.16 | 28.13 | |
深成岩 |
新第三紀 古第三紀 白亜紀 先白亜紀 |
3,947.43 5,339.90 28,498.26 1,422.46 |
1.05 1.42 7.59 0.38 |
新第三紀−古生代 | 39,208.05 | 10.44 | |
変成岩 | 先新第三紀 |
14,472.51 〔低圧型: 4,207.01〕 〔高圧型:10,265.50〕 |
3.85 |
|
375,540.47 | ||
堆積岩(付加コンプレックスを含む) 火成岩(付加コンプレックス及び超苦鉄質火成岩を含む) 変成岩 |
56.10 40.05 3.85 |
||
*)100万分の1日本地質図第3版には、新第三紀と古第三紀との境界にまたがる年代(PG4)の地質単位がある。ここではそれらの年代をより近い古第三紀とした。 |
Saito & Mitsuchi (1956) |
小野・礒見 (1967) |
磯山ほか (1984) |
村田・鹿野 (1995) |
|
堆積岩 〔第四紀〕 〔新第三紀〕 〔古第三紀〕 〔白亜紀〕 〔ジュラ紀〕 〔三畳紀〕 〔古生代〕 〔付加コンプレックスなど〕 |
61.1 20.7 18.9 (上に含まれる) 2.7 1.0 0.3 12.2 5.3 |
55.3 16.5 16.3 (上に含まれる) 3.1 1.1 0.3 12.0 6.0 |
58.3 19.3 15.4 3.9 6.8 0.9 0.4 11.6 − |
56.2 21.4 12.5 1.9 2.7 0.2 0.3 1.0 16.2 |
火山岩 〔第四紀〕 〔新第三紀〕 〔古第三紀〕 〔白亜紀〕 |
21.1 20.4 (上に含まれる) − − |
28.2 5.6 17.8 0.0 3.8 |
26.1 8.8 13.1 (下に含まれる) 4.2 |
28.1 11.1 11.9 1.1 4.0 |
深成岩 〔新第三紀〕 〔古第三紀〕 〔白亜紀〕 〔先白亜紀〕 |
14.2 (白亜紀噴出岩を含む) − − − − |
13.1 0.9 0.0 10.6 0.4 |
11.6 1.0 (下に含まれる) 9.7 0.9 |
10.4 1.0 1.4 7.6 0.4 |
超塩基性岩など | 0.9 | 1.2 | − | 0.5 |
変成岩 〔低圧型〕 〔高圧型〕 |
3.6 0.9 2.7 |
4.6 1.3 3.3 |
4.1 1.2 2.9 |
3.8 1.1 2.7 |
湖沼を除く総面積(km2) | 369,800 | 369,610 | 378,438.6 | 375,540.47 |
3.日本列島を構成する岩石とそれらの分布面積
文献