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窒素循環を基軸とした大規模農業地域-都市間の食糧循環とその持続可能性の評価

〔2016〜2018年度科学研究費 基盤研究(B)〕

最終更新日:2016年9月30日

考察(食糧循環)
食料循環研究
  食料の生産と安定供給とは、人類の生存と繁栄に必須である。人類は、太陽と水と耕地とを利用して、循環する自然を巧みに使いながら、持続的に再生する食料生産を行ってきた。我が国は、太陽にも水にも耕地にも恵まれている。しかし、地球規模での気候変動の影響、異常気象や自然災害、水資源の枯渇、漁場の変調、水産資源の激減など、食料生産を困難にする要因の増加が懸念されている。また、人口の急増は、グローバルにみた食料供給が需要を下回るリスクを増大させている。一方、休耕地の増加などの農業施策の問題、フードマイレージに象徴される流通や販売におけるエネルギー問題、国際関係上の食料安全保障の問題など、食料に関わる国際的および社会的な課題も顕在化してきた。
 食料は、我が国から動くことのない耕地と水資源などによる安定生産が前提となる。しかし、今や、食料生産を困難にする要因の研究をはじめ、耕地や水資源の利用、飼料を含む食料生産の実際と潜在的な生産力に関する学術研究が必要とされている。例をあげれば、森林、耕地、河川、湖沼、そして海を一体とした物質循環に関する研究、土壌の質を確保する水と森林がもたらす有機・無機物質の循環等の研究や、動植物・昆虫・微生物等の食料生産環境での役割等の研究がある。また、循環からだけでは不足する窒素をはじめとする肥料の持続的供給手段の開発や、自然の循環を断ち切ってしまう可能性のある農薬をはじめとする諸要因のフィールドでの複合的研究や、諸分析を実験室に移した研究等、さらなる研究がある。  他方、食料生産と供給にかかわる課題として、食料需給に関わる国際関係や、国内の法的制度的課題として、耕地権や水利権、農業経営などに関する社会システムの学術的な研究がある。また、食料の価格維持や生産調整などの政策や、それに関連した備蓄の方法とそれを管理調整する行政などの課題にも学術的関心が深まっている。
 以上のことから、食料生産に関わる植物、動物、微生物の生命活動の研究と、それを育む自然環境を長時間軸での物質循環システムとして捉えなおす農林水産生態学をはじめとする、自然科学分野および環境学分野と、食料供給システムの実態を研究する社会科学分野の研究者とが一堂に会することが出来る、新たな分野「食料循環研究」を設定し、食料生産と供給に関連する、あらゆる分野からの研究課題を募集する。

【文部科学省の『第7期研究費部会(第11回)配付資料』(2014/7/1)の『資料2−2平成26年度「特設分野研究」の審査について』から】


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