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最終更新日:2017年2月5日
全般 | 水 | 生態系 | その他 |
リンク| 安定同位体地球化学| 同位体比| |
流域環境診断| 水の同位体比| 酸素同位体比| Δ17O| 水素同位体比| |
食物連鎖| 炭素同位体比| 窒素同位体比| |
ケイ素同位体比| イオウ同位体比| |
物質(Substance)の最小単位として重要なのは原子(Atom)であり、その化学的性質(Chemical
Property)の違うものは元素(Element)の違いとして表わされる。これは電荷(Charge)を持つ陽子(Proton)の数〔=電子(Electron)数〕の違いとして示されるが、原子核(Atomic
Nucleus)を構成する粒子には陽子の他に電荷を持たず質量のほぼ等しい中性子(Neutron)も存在する。陽子数が同じ原子は同じ元素であるが、中性子の数は元素の分類と関係しない。陽子の数が同じで、中性子の数が異なる元素は、互いに同位体(Isotope)と呼ぶ。一般に、元素は複数の同位体からなる。同位体には、時間と共に崩壊(Radioactive Decay)して別の元素に変わっていく放射性同位体(Radioisotope)と、崩壊せずに安定な安定同位体(Stable
Isotope)とがある。 同じ元素の同位体は化学的性質が同じであるために、挙動も同じである。そのため、各元素の同位体の濃度の比(同位体比、Isotope Ratio)は、どこでもほぼ一定である。しかし、質量が異なる場合には重力の影響を受けて、挙動にごく僅かの違いが生じる場合がある。従って、質量分析計(Mass Spectrometer)を用いて、そのような同位体比の僅かな違いを測定することで、元素濃度の違いからは判らない物質の動態を定量的に決定できることがある。 現在では、安定同位体比(Stable Isotope Ratio)は主に環境問題(Environmental Problem)における有害物質(Hazardous Substance、Harmful Substance、Poisonous Substance)の動態(Movement)を把握するためなどに広く利用されている。 |
リンク |
全般 |
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生態系 | その他 | |
同位体| 同位体地球化学| 安定同位体比| 質量分析法| 分光分析法| |
水の同位体比(天水線)|
水素同位体比(H)| 酸素同位体比(O)| |
食物連鎖と同位体| 生態系と同位体| 炭素同位体比(C)| 窒素同位体比(N)| |
ケイ素同位体比(Si)|
硫黄同位体比(S)| その他の元素の同位体比| アイソトポマー| 用語集| |
安定同位体地球化学 |
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同位体比 |
酒井・松久(1996)による〔『安定同位体地球化学』(5p)から〕 |
流域環境診断 |
項目 | 指標 | 評価内容 |
水循環 | H2Oのδ2H、δ18O、Δ17O | 水の起源・流出経路 |
H2Oのδ2H、δ18O | 水の滞留時間 | |
窒素負荷 | 各態有機物のδ15N | 窒素負荷源の査定(特に排水系窒素負荷の評価) |
NO3-のδ15N | ||
NO3-のδ18O | ||
有機物負荷 | 懸濁態有機物のδ13C | 一次、二次汚濁の寄与 |
溶存態有機物のδ13C | ||
微生物のδ13C | ||
DICのδ13C | ||
DICのδ13C | 呼吸、光合成、曝気のバランス | |
溶存酸素のδ18O | ||
酸化還元プロセス | NO3-、N2Oのδ15N、 δ18O | 脱窒の進行度の評価 |
硝化−脱窒系の共役度の評価 | ||
一酸化二窒素の発生機構の評価 | ||
N2Oのδ15N、 δ18O、SP | メタンの発生・消費機構の評価 | |
生態系 | CH4のδ13C、 δ2H | 生息環境(流速など)の評価 |
一次生産者のδ13C | 生産者の成長速度(光合成活性)の評価 | |
窒素源の評価 | ||
一次生産者のδ15N | 生態系の炭素(エネルギー)基盤の評価 | |
消費者のδ13C | 食物連鎖構造の評価 | |
消費者のδ15N | 生息場所間の移動・物質輸送の評価 | |
消費者のδ13C、δ15N | ||
近過去環境 | 標本や堆積物のδ15N | 汚濁状況、食物網構造、窒素循環の過去環評価 |
水の同位体比 |
図2.5: 天水線のd-parameterの要因となる動的分別について |
図 2.6: 本州の太平洋側と日本海側の気団の違いによる降水のd-parameter変化 |
図 2.7: 日本各地のミネラルウォーターのd-parameter |
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図 2.12: 虫明・沖研究室における動的蒸発分別についての実験結果 |
図 2.13: 動的蒸発分別に伴うδD、δ18Oの変動 |
芳村(2002/9)による『水の安定同位体比情報を用いた広域大気水循環過程の解明に関する研究』から |
図1.世界各地における河川水、湖水および降水などの水素・酸素同位体比(Craig, 1961) |
図2.蒸発の仕方の違いによるd-パラメータ値の差異を示す模式図(早稲田・中井、1983) |
図3.年平均気温と表面積雪のδ18Oの関係(Satow et al., 1999) |
図7.日本アルプスにおける新雪のδDとδ18Oの関係(鈴木、未発表) 図中の数字はd-パラメータを示す。 |
鈴木(2002/3)による『水素・酸素安定同位体を用いた流域水環境研究』から |
酸素同位体比 |
図2-3 既存地下水試料の塩素(Cl)濃度と酸素同位体比(δ18O)との関係,および推定される起源.(a) 中国-四国地域, (b) 福島-新潟地域. |
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産業技術総合研究所地質調査総合センター深部地質環境研究コア(2012)による『技術資料2012:Appendix:深部流体の影響評価・予測手法』から |
Figure 12 Isotopic changes of formation waters. Gat(1996)による『Oxygen and hydrogen isotopes in the hydrologic cycle』 |
Δ17O |
水素同位体比 |
【2012】
図2-1 既存地下水試料の酸素同位体比(δ18O)と水素同位体比(δD)との関係,および推定される起源.(a) 中国-四国地域,(b) 福島-新潟地域. |
図2-2 既存地下水試料の塩素(Cl)濃度と水素同位体比(δD)との関係,および推定される起源. (a) 中国-四国地域, (b) 福島-新潟地域. |
産業技術総合研究所地質調査総合センター深部地質環境研究コア(2012)による『技術資料2012:Appendix:深部流体の影響評価・予測手法』から |
Craig(1961)による関係式: δD=8δ18O+10 上式の傾きの数値8は、水の蒸発と凝縮における酸素と水素の同位体分別作用の結果、ある一定の値を示す場合が多い。 定数項は、Dansgaard(1964)よって地域により異なることが見出されたため、dで表現される: δD=8δ18O+d |
同位体分別の特徴 初期の降水 近藤(HP/2010)による『第8回 環境同位体水文学』から |
Figure 11 Isotopic relationships during the groundwater formation in the arid and semiarid zone. Gat(1996)による『Oxygen and hydrogen isotopes in the hydrologic cycle』 |
Fig. 4 The schematic variation in isotopic composition of precipitation 佐竹ほか(1984)による『D、T、18Oから見た北陸地方の降水と河川水の水文学的特徴』から |
Fig.4 δD versus δ18O plot for volcanic hot springs, fumarolic steams, and surface waters from the southwestern Hokkaido. 松葉谷ほか(1978)による『北海道の温泉ならびに火山についての同位体化学的調査報告』から |
食物連鎖 |
図-1 食物連鎖と安定同位体比の関係 農村工学研究所生態工学研究室(HP)による『安定同位体比で水田の生き物の行動を知る』から |
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図3 安定同位体比からみた球磨川河口干潟の食物連鎖網 ※:松原健司(2002):鳥類の食性解析と安定同位体測定法.『これからの鳥類学(山岸・樋口編著)』,裳華房. 南城ほか(2005)による『安定同位体を用いた干潟食物連鎖網の解明』から |
図1 安定同位体比を用いた食物網構造解析のあらまし (破線矢印は物質の流れ) |
図2 放流海域の食物網構造 誤差線は標準偏差、破線矢印は物質の流れ、図中数字はヒラメ稚魚体長(mm)を示す。 |
山口(2001/10)による『生態系の構造を量る試み』から |
炭素同位体比 |
図2-4 中国-四国地域(西南日本)および福島-新潟地域(東北日本)の溶存全炭酸(TDIC)濃度と炭素同位体比(δ13C)の関係.TDICは,温度,pH, HCO3-濃度と純水の解離定数を用いて計算した. |
図2-5 中国-四国地域(西南日本)および福島-新潟地域(東北日本)の炭素同位体比(δ13C)と溶存全炭酸(TDIC)/3He値の関係. |
産業技術総合研究所地質調査総合センター深部地質環境研究コア(2012)による『技術資料2012:Appendix:深部流体の影響評価・予測手法』から |
Fig. 1 Variation of carbon isotopic ratio of DIC in groundwater derived from the respective carbon reservoirs (revised from Hoefs, 2004). 風早ほか(2007)による『同位体・希ガストレーサーによる地下水研究の現状と新展開』から |
窒素同位体比 |
〔東京大学海洋研究所海洋化学部門生元素動態分野の『研究内容のご紹介』の中の『外洋域における窒素循環と窒素安定同位体比−安定同位体生物地球化学−』から〕 |
Fig. 5 Nitrate-δ15N values of the groundwater in the Fuefukigawa and Hikawa-Kanegawa alluvial fans as compared with the available indexes from the MOE, Japan, 2002 and Kendall, 1998 中村ほか(2008)による『水素・酸素および窒素安定同位体組成からみた甲府盆地東部地下水の涵養源と硝酸イオン濃度分布特性』から |
ケイ素同位体比 |
Figure 2: δ30Si of quartz from the five levels
of silicified rocks. Figure 3: Biogeochemical cycle of Si in continental environments
(adapted from ref. 24). 〔Isabelle Basile-Doelsch, Jean Dominique Meunier and Claude Parron諸氏によるAnother continental pool in the terrestrial silicon cycleから〕 |
イオウ同位体比 |
図2-14 中国,四国地方,有馬温泉および四国の掘削井から得られた試料のSO4濃度とそのδ34Sの関係. |
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産業技術総合研究所地質調査総合センター深部地質環境研究コア(2012)による『技術資料2012:Appendix:深部流体の影響評価・予測手法』から |