戻る<1|2|3|4|5|6|7|8|9|10|11|12|13|14|15<
配付プリント等|補足説明
- 地球(Earth)は、地圏〔Geosphere:内側から、内核(Inner
Core)・外核(Outer Core)・マントル(Mantle)・地殻(Crust)の4つに分けられる〕−水圏(Hydrosphere:海水・陸水の2つに分けられる)−気圏(Atmosphere:通常は、対流圏・成層圏・中間圏・熱圏の4つに分けられる)の無機地球の三圏からなるが、これらに生物圏(Biosphere:有機地球:生物の世界=生態系)を加えて四圏とすることもある。本授業では、最も要的な存在である地圏を中心に、水圏と気圏についても説明し、最後に地球科学(Earth Science)最大のモデルであるプレートテクトニクス(Plate Tectonics)および、その次世代モデル(候補)であるプルームテクトニクス(Plume Tectonics)についても解説する。
- 講義内容の概説、参考書の紹介、試験について。
本講義は、現在の地球の姿の概略を理解することが目標である。
- 参考書の紹介は次のとおり:
【教科書的参考書】
@鳥山隆三(編)(1985):教養の地学 改訂版.
出版年は古いが、内容的にはお奨め。本授業の進行はこの本の目次に従っている。
A西村祐二郎(編著)(2002):基礎地球科学.
最近の新しい地球観が盛り込まれている。
【参考書(講座)】
B地学団体研究会(編)(1994):地球をはかる 新版地学教育講座1巻.
『新版地学教育講座』(全16巻)の中の一冊。全16巻で地学分野(天文もふくむ)の全領域にわたる内容を網羅する。全般的に説明はわかりやすい。
C松井孝典ほか(1996):地球惑星科学入門 岩波講座 地球惑星科学1.
岩波講座『地球惑星科学』(全14巻)の中の一冊。やや専門的。全14巻で最近の地球惑星科学の動向がわかる。
【参考書(単行本)】
D熊澤峰夫・丸山茂徳(編)(2002):プルームテクトニクスと全地球史解読.
プレートテクトニクスの次の世代のモデルとされる『プルームテクトニクス』を含む、新しい地球観を包括的に理解するのに最も適する本。岩波『科学』に発表された論文を主にまとめたもの。お奨め。やや専門的。
E杉村 新・中村保夫・井田喜明(編)(1988):図説地球科学.
主に岩波講座『地球科学』(1978〜1980)からの図表をもとに、とくに固体地球科学諸分野の重要事項をまとめたもの。
F鹿園直建(1992):地球システム科学入門.
『地球科学的考え、システム論的考え、および、人間の地球に対する考え方(地球観)』により構成され、『地球システム科学』を銘打った最初の本。
G福岡正人(2009):なぞの金属・レアメタル―知らずに語れないハイテクを支える鉱物資源―.
題名はレアメタルという鉱物資源(とくに金属鉱物資源)についての本となっているが、固体地球(地圏)の最小構成単位である鉱物(mineral)を中心に、元素との関係や岩石−鉱床−地質−プレートテクトニクスなどとの関係も平易に説明されている。
- 評価(成績)について(こちらを参照)
- 関係する公の機関は、『地質調査総合センター』、『国土地理院』、『気象庁』、『海上保安庁海洋情報部』など。
- 紹介しなかった参考書(新書版など)【出版年の古い順】:
@上田誠也(1971):新しい地球観 岩波新書(青版)779.
プレートテクトニクスという名前は1967年頃に確立したが、当時の新しい地球観であるプレートテクトニクス・モデルを初めて日本で一般に紹介した本。非常によく読まれた。
AW・S・ブロッカー(1988):なぜ地球は人が住める星になったか? 現代宇宙科学への招待 ブルーバックスB-734.
宇宙の誕生から、太陽系・惑星・地球の形成と進化、そして人類の未来についてまで、非常にわかりやすくかつおもしろくまとめられている良書。
B平 朝彦(1990):日本列島の誕生 岩波新書(新赤版)148.
プレートテクトニクスに基づく日本列島誕生のシナリオを提示。
C神奈川県立博物館(編)(1994):新しい地球史 46億年の謎.
一般向けに編集されているが、新しい地球観を概観できる内容となっている。
DJ・ウィリアム・ショップ(1998):失われた化石記録 講談社現代新書1344.
光合成生物の誕生を中心に、生命の誕生に関する最古の化石記録をめぐる興味深いエピソードなどがおもしろい。
E上田誠也(1998):地球・海と大陸のダイナミズム NHKライブラリー92.
上記@の著者が、『地球観の革命』を振り返ったもの。
F丸山茂徳・磯崎行雄(1998):生命と地球の歴史 岩波書店(新赤版)543.
最も新しい地球観の概要がわかる。地球46億年の(無機)地球および生命の相互作用の変遷史についての新しい見方。一般向きではあるが、専門的内容を含む。
G酒井 均(1999):地球と生命の起源 火星にはなぜ生命が生まれなかったのか ブルーバックスB-1248.
なぜ地球に生命が誕生したか、これまでの太陽系と生命の起源に関する研究を紹介するなかで、その疑問に答えようとするもの。
H川上紳一(2000):生命と地球の共進化 NHKブックス888.
地球の歴史と生物の歴史は相互に密接に関わって進化してきたという歴史観を『生命と地球の共進化』と呼び、そのような視点からの生物進化の歴史を紹介したもの。
I熊澤峰夫・伊藤孝士・吉田茂生(編)(2002):全地球史解読.
『地球の歴史解読研究の考え方、方法と解読事例、そして最新の地球観をまとめたもの』。やや専門的。
J東京大学地球惑星システム科学講座(編)(2004):進化する地球惑星システム.
「地球惑星システム科学」とはどんなものかを、最先端の話題を使って説明したもの。
K鹿園直建(2009):地球惑星システム科学入門.
『地球システム科学入門』の改訂版。
- 参考書を図書館で探したいときは、広島大学図書館のOPACで検索します。例えば、『図書』の『和資料』を選び、『書名』として『地球科学』(地球環境など、他のキーワードでも試してください)を検索すると160種類以上の本があることがわかります。その中で、出版年が古くないもの(少なくとも1980年代後半から1990年代以降のものがよい)を選んで、実際に現物を見て自分にあった本を何か一冊通して読まれることを薦めます。
《注》
(1)近年における地球科学分野の研究の進歩は速いので、古いものは避けたほうが良い。地球科学分野の最大のモデルである『プレートテクトニクス・モデル』は、世界的には1967年頃に体系化されたが、日本に導入されたのは1980年代である。それ以来、モデルの適用により、従来の考え方が大きく変わってきているので、少なくとも1980年代後半以降のものの方が初心者には適している。ただし、これより古いと価値がないという意味ではない。
(2)最初に読む本としては、地球科学全般を説明した内容のものが良い。
(3)図書館以外でも、例えば大きな書店では地球科学(および地球環境学)関係のコーナーを覗けば、最近出版された代表的な本が並んでいるので、自分にあったものを選ぶと良い。ただし、良書が必ずしも売れる訳ではないので、余程大きな書店以外では、いわゆる良い本を入手するのは簡単ではない。また、文庫または新書版であると、そちらのコーナーにしか置いてないこともあるので注意が必要。
(4)インターネットなどで代表的な書店等のホームページ(こちらを参照)の情報から選んで注文するのも手である。
(5)インターネットから各種情報を入手できるので、インターネットの利用の仕方に慣れると、様々な情報を得ることができるようになる。
戻る