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第８回　恐竜の谷の大異変

配付プリント等

• DVD『地球大紀行第７集：恐竜の谷の大異変　北米・ロッキー山脈』（約50分）。
  『生物進化最大の事件、恐竜絶滅。6500万年前に起こったこの事件を隕石の衝突によるものであるという最新のシナリオで描く。』
• 同『映像特典：｢巨大クレーターの発見｣』（約10分）。
  『『地球大紀行』放送当時では解明されていなかった隕石衝突の場所。近年の調査で詳しく解ってきた謎を解説する。』
• プリント�F２枚。出席票。
  【1枚目表】（大量絶滅と環境変動、爬虫類の系統樹）
  図16-7、図19-1、図19-2…〔『さまよえる大陸と海の系譜』(268,294,297p）
  図17、表2、図21…『繰り返す大量絶滅』（56,72-73,74p）
  【1枚目裏】（恐竜の系統樹、恐竜の骨格）
  （全部）…『新恐竜伝説』（図版）
  【2枚目表】（爬虫類および恐竜の系統樹、P/T境界の絶滅説）
  図5-35、図5-36…『化石と生物進化』（165,167p）
  図5.1…『生命と地球の歴史』（129p）
  図51…『生命と地球の共進化』（214p）
  （右下図）…『巨大隕石の衝突』（169p）
  【2枚目裏】（隕石とクレーター）
  （隕石衝突からクレーターができるまで）、（推定されるクレーターの大きさ）、（爆発のエネルギー比較）…『巨大隕石の衝突』（83-87,182,183,197p）
  （地球規模でみられるイリジウムの異常数値）、（クレーターはこうしてできる）…『巨大隕石が地球に衝突する日』（38,46p）
  表3-1…『太陽系と惑星』（48p）
  図5.2、図5.4…『生命と地球の歴史』（148p）
• 補足説明：　
  �@恐竜の発見：
  　1841年に英国のリチャード・オーウェンが、発見されていたイグアノドン（Iguanodon）・メガロサウルス（Megalosaurus）・ヒラエオサウルス（Hylaeosaurus）の3種の化石爬虫類に対して、Dinosauria（dinosaur）“恐ろしいトカゲ”という新分類名を提唱した。
  �A恐竜の定義：
  　（１）頭骨の側頭窩の数と位置から、双弓亜綱、主竜下綱に属し、骨盤の構造^*１)から竜盤目、もしくは鳥盤目に属し^*2)、
  　　　^*１)腸骨・恥骨・座骨の構造の違いによる。
  　　　^*2)直立型（fully-elect）であり、哺乳類・鳥類以外では恐竜だけ。
  　（２）中生代に生息し、
  　（３）水中、空中ではなく、陸上で日常生活を送ったものだけ。
  �B中生代末大量絶滅隕石衝突説：絶滅
  　ウォルター・アルバレス（Walter Alvarez）らが1980年にサイエンス（Science）誌上に中生代末大量絶滅隕石衝突説を発表した。これは、K/T境界層にイリジウム元素が濃集することから、その由来を隕石とすれば、恐竜絶滅などの現象を説明できるとするもの。
  　おもな根拠は以下のとおり：
  （１）イリジウム層は世界的にみられること。（1980〜1990に60ヶ所）
  （２）直径10km程度の隕石が6500万年に一度、地球と衝突することがあってもよいこと。
  （３）イリジウムの濃集という現象は、きわめてまれであること。
  （４）イリジウム濃集層は世界的に同時に形成されたこと。
  （５）イリジウム濃集層は大衝突で生じた塵であるから、海成層にも陸成層にもあること。
  （６）衝突の影響は動物だけでなく植物にもみられること。
  （７）白亜紀と第三紀との境界粘土岩層の化学組成は、上下のそれとは異なること。
  （８）境界粘土岩層の化学組成は、成因が同じであるから、世界的に同じであること。
  （９）隕石起源の親鉄元素オスミウムが含まれること。
  （10）境界粘土岩中の親鉄元素の諸特徴は、隕石のそれと同じであること。
  （11）衝突時の高温を示す証拠があること。
  （12）激しい衝突があったことを示す衝撃石英があること。
  （13）大量の動植物が燃焼したことを示すススがあること。
  （14）地層中で、最上部の恐竜化石の産出位置より上にイリジウム層があること。
  （15）隕石衝突による環境破壊は、ほとんど生存しうる種が存在しないほど大規模なものであったこと。
  《反論》
  （１）イリジウム濃集のピークが5回ある。（短い期間に、隕石が何度も衝突する確率は低い。）
  （２）海洋の古動物の絶滅は海水準の低下と密接に関連している。
  （３）アンモナイト類は白亜紀後半を通じてその多様性が徐々に減少していた。
  　　境界粘土岩層より下位で絶滅していた。

補足説明

全般	地球科学用語については『地球科学用語集』ページを参照。 単位については『単位について』のページを参照。 地質年代については『地質年代表』のページを参照。

• 恐竜については『恐竜とは』のページを参照。
• 恐竜絶滅については『化石とは』のページの『絶滅』を参照。また、『クレーターとは』のページの『Chicxulub』も参照。
• 恐竜については福井県立恐竜博物館も参照。
• ※フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』で主な項目について調べることができます。
  ■ガラパゴス諸島／
  ■恐竜／竜盤類／鳥盤類／主竜類／双弓類／イグアノドン／メガロサウルス／ヒラエオサウルス／恐竜の一覧／絶滅した動物一覧／リチャード・オーウェン（1804-1892）／
  ■大量絶滅／絶滅／K-T境界／イリジウム／隕石／チクシュルーブ・クレーター／Walter Alvarez（1940-）／
• 【恐竜の鳥盤類と竜盤類】
  

  鳥盤類の骨盤	竜盤類の骨盤
  恐竜という名前は、イギリスのリチャード・オーエン卿がつけたものでディノ（おそろしい）サウルス（とかげ）という意味です。 　恐竜を大きく分けると、トカゲ型の腰骨（現在のは虫類的な腰骨をもったグループ）をもつ竜盤類と鳥に似た腰骨（鳥類に似た腰骨をもったグループ）をもつ鳥盤類に分けられます。 〔NTTレゾナント（株）による環境gooの『自然』の中の『恐竜・化石特集』から〕

参考

【主要な絶滅と環境変動】

• 平野（1993）による〔『繰り返す大量絶滅』（72-73p）から〕
  

  表2　地史を通じてみられる主要な絶滅と環境変動。�@〜�Jが古生代以降の11大絶滅、下線がジャブロンスキーの5大絶滅。
  地質時代（×100万年前）		絶滅動物	環境変動	絶滅率	科数
  �J中新世中期	（15）	軟体動物	気候寒冷化	25.0(0.43)	12
  �I始新世後期	（36.5）	軟体動物	海水準低下	45.8(0.50)	15
  �H白亜紀末	（65）	浮遊性有孔虫、斧足類、アンモナイト、ベレムナイト、鳥盤類、竜盤類	海水準低下＋ 気候寒冷化＋ 隕石衝突	66.3(1.74)	90
  �G白亜紀後期CT	（91）	アンモナイト、斧足類	無酸素事変	18.9(0.93)	36
  �F白亜紀前期AA	（107）	斧足類	無酸素事変	12.0(0.22)	18
  �Eジュラ紀末	（135）	斧足類、アンモナイト、竜脚類恐竜、剣竜	海水準低下＋ 気候変動	19.5(1.09)	30
  �Dジュラ紀前期PT	（188）	斧足類	無酸素事変	15.2(0.86)	17
  �C三畳紀後期	（205）	コノドントアンモナイト（セラタイト亜目）、腕足類、腹足類、斧足類、両生類（迷歯類）、哺乳類型爬虫類、槽歯類	海水準低下	38.6(1.94)	36
  �Bペルム紀末	（250）	サンゴ、フズリナ、腕足類、海百合、コケムシ、アンモナイト（ゴニアタイト亜目）、哺乳類型爬虫類	海水準低下＋ 気候寒冷化	D：52.5(5.61) G：　-　(7.12)	81 154
  石炭紀末	（290）	−
  �Aデボン紀後期FF	（360）	造礁性生物（サンゴ、海綿）、腕足類、三葉虫、アンモナイト、コノドント、板皮類	海水準低下＋ 氷河発達	21**、50*
  シルル紀末	（410）	−	海水準低下
  �@オルドビス紀末	（438）	造礁性生物（サンゴ、海綿）、筆石、コケムシ、腕足類、オウムガイ、三葉虫	氷河発達＋ 海水準低下	22**
  カンブリア紀後期	（510）	三葉虫、コノドント、腕足類	海水準低下？＋ 気候寒冷化？	15〜20*
  先カンブリア時代後期	（650）	藻類（アクリタークス）	氷河発達
  古生代以降の11大絶滅は、ジャブロンスキー、スタンレー、ラウプ、セプコスキーのいう大量絶滅をカウントしたもの。先カンブリア時代については情報が乏しく、まだ十分に議論されていないのでカウントから除いた。ペルム紀以降の絶滅率はラウプとセプコスキー（1984）による。（　）内の絶滅率は、セプコスキーとラウプ（1986）による（絶滅科数）÷（全科数）を100万年あたりで表示した値。科数は絶滅事変のあった期の間の絶滅科数。すべて海生動物に基づく。*：セプコスキー（1986）による海生動物の属の絶滅率（％）。**：セプコスキー（1982）による海生動物の科の絶滅率（％）。地質時代は紀単位で表示してあるが、紀末の絶滅率は、その紀の最後の期の絶滅率である。CT：セノマニアン期とチューロニアン期の境界、AA：アプチアン期とアルビアン期の境界、PT：プリーンスバキアン期とトアルシアン期の境界、FF：フラスニアン期とファメニアン期の境界、D：ズルフィアン期、G：グアダルピアン期。

【顕生代の生物多様性】

• 〔Wikipedia, the free encyclopediaのImage:Extinction Intensity.png（Extinction event）から〕 Genera：Genus（属）の複数形。 Cm＝カンブリア紀(Cambrian)、O＝オルドヴィス紀(Ordovician)、S＝シルル紀（ゴトランド紀、Silurian）、D＝デボン紀(Devonian)、C＝石炭紀(Carboniferous)、P＝ペルム紀（二畳紀、Permian）、Tr＝三畳紀（トリアス紀、Triassic）、J＝ジュラ紀(Jurassic)、K＝白亜紀(Cretaceous)、Pg＝第三紀の古第三紀(Paleogene)、N＝第三紀の新第三紀(Neogene)。