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最終更新日:2017年1月22日
岩石(Rock)を構成する鉱物(Mineral)の粒子(Grain)の中には、その生成時の流体〔Fluid:液体(Liquid)および気体(Gas)〕が閉じこめられていることがあり、流体包有物(Fluid Inclusion)と呼ばれる。固体(Solid)も含まれる場合がある。大部分は水(Water)を主体とするが、液体と気体の2相からなる場合が多い。このような試料を加熱すれば、ある温度で液体と気体は一緒になって流体に変わるが、その温度が生成温度を示す。このように、流体包有物は生成温度(Formation Temperature)や溶液(Solution)の塩濃度(Salinity)などの情報を与えてくれるため、特に鉱石鉱物(Ore Mineral)の生成条件や生成環境を調べる上で役に立つ。 |
リンク |
流体包有物地質温度計 |
Fig. 6. Schematic phase diagram for a two-phase liquid-rich fluid inclusion. A bubble of the inclusion shribks (a→b) by heating along a boiling point curve (BPC), and disappears at Th (c), that is, a homogenization temperature. By overheating the inclusion over Th, its internal pressures increase along an isochore (c→d→e). If a formation pressure (Pf) and the isochore for the inclusion are known, its formation temperature (Tf) is also determined (e). 佐脇(2003)による『流体包有物−その基礎と最近の研究動向−』から |
図 2 充填度0.7の場合の流体包有物内の温度−圧力関係と包有物内の相の状態 |
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図 3 水の圧カ−比容積−温度図 |
図 4 水の圧カ−比容積−温度図の作り方と耐圧容器内の気相・液相の割合 |
武内(1975)による『鉱物中の流体包有物研究の基礎-2-流体包有物地質温度計』から |
均質化温度 |
Fig. 5. Summary homogenization temperature-salinity diagram illustrating typical ranges for inclusions from different deposit types. Note that fields should not be considered definitive and compositions exist outside the ranges shown. Wilkinson(2001)による『Fluid inclusions in hydrothermal ore deposits』から |
図1 結晶中の初成包有物、二次包有物、擬二次包有物の関係を示す.T:結晶成長面、着色帯などに平行に分布する初成包有物.U:結晶成長面を切り彎曲しあるいは分岐して分布する二次包有物.V:二次包有物と類似の分布をしているが、ある成長面で突然分布が切れる擬二次包有物.図の擬二次包有物の生成条件は3番目の成長層に分布する初成包有物の生成条件と同じである. |
図 6 結晶成長面に付着した異物(気泡または結晶)Aが原因となって流体包有物が生 成する過程を示す.成長層の進行につれ異物が押しやられ(U),後に均質な流体を包有した流体包有物ができる.ほとんど異物のみを含んだ包有物(IV)や,異物が流体とともにとりこまれた包有物(V )もできる.X:結晶,F:流体. |
図 6 (a),(b)結晶中の割目が充填され,(c)不規則な形の二次包有物が生成し,(d)負結晶の二次包有物に変化する過程を示す(Roedder,1967). |
図7 流体包有物のnecking downにより種々の密度を有する流体包有物に分離してゆく過程を示す.もとの流体包有物はT5の温度で均質になるべきであるが、necking downの結果(a)包有物はT5よりも高温で均質になり、(b)包有物はT3とT4の間、(c)包有物はT2とT3の間で均質となる.流体包有物の均質化については「高温高圧下の流体」を参照のこと(Roedder、1967). |
武内(1975)による『鉱物中の流体包有物研究の基礎-1-流体包有物の研究史,分類と生成』から |
H2O-NaCl系 |
図 1 低温度におけるH2O−NaCl系の相図,特にNaCl水溶液の氷点の変化を示す(Roedder,1962). |
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武内(1975)による『鉱物中の流体包有物研究の基礎-3-流体包有物の塩濃度, 熱水溶液の性質』から |