数
字
・
ア
ル
フ
ァ
ベ
ット |
ABO式血液型 |
ABO
blood
group
system |
ABO式血液型(ABOしき けつえきがた)とは、血液型の分類法の一種。A、B、O、ABの4型に分類する。
血液の種類を表す型ではない。 赤血球の表面には250種以上の表面抗原があるが、A/B型抗原はその代表的な抗原である。
赤血球の表面にA抗原があるとA型、B抗原があるとB型、AとB,両方の抗原があるとAB型、両抗原が無いとO型とする。 逆に血漿中には各抗原に反応する抗体があり、通常A型の血漿中には抗B抗体があり、B型の血漿中には抗A抗体があり、AB型の血漿中には抗A抗体も抗B抗体のどちらも無し、O型の血漿には抗A抗体と抗B抗体両方が存在する。
血漿中の抗体を調べることで血液型を判定することを裏試験ともいう。表面抗原に、それぞれ対応する抗体が反応すると赤血球は凝集してしまう。 |
DNA型鑑定 |
DNA
profiling |
DNA型鑑定(ディーエヌエーがたかんてい)あるいはDNA鑑定とは、デオキシリボ核酸 (DNA) の多型部位を検査することで個人を識別するために行う鑑定である。犯罪捜査や、親子など血縁の鑑定に利用される。また、作物や家畜の品種鑑定にも応用されている。
DNAは「デオキシリボ核酸」の略称で、遺伝子の本体として生物の核内に存在する物質である。DNAを主成分とした物質は1869年に発見され、「ヌクレイン」と名づけられた。しかし、遺伝子の本体は長い間タンパク質であると考えられていたこともあって、DNAの初期の研究は遅々として進まなかった。
遺伝子の本体はDNAであるということが初めてはっきり示されたのは1944年であり、それが学会で公認されたのは1952年である。二重らせんで知られるDNAの立体構造、いわゆるジェームズ・ワトソンとフランシス・クリックのモデルが発表されたのは1953年である。この発見は分子生物学史最大の発見の一つと称えられ、以後DNAの研究は急速に進展する。この発見により、2人は1962年にノーベル生理学・医学賞を受賞している。
1984年にはレスター大学の遺伝学者アレック・ジェフェリーズ(英語版)が、科学雑誌「ネイチャー」に論文を発表した。彼は多くの研究者が関心をもった“遺伝子の働き”でなく、“DNAによって個人を区別できるか否か”の観点に着目したといわれる。その結果「ヒトのDNA型は十分に個性があり不同性がある。そして、終生不変である」こと、したがってDNAで「個人の特定ができる」ことを説いた。
この発表により、DNA型鑑定は個人特定の切り札として飛躍的に発展していく。 |
HLA
(ヒト白血球型抗原) |
Human
leukocyte
antigen |
ヒト白血球型抗原(ヒトはっけっきゅうがたこうげん、Human
Leukocyte Antigen; HLA)とはヒトの主要組織適合遺伝子複合体のことである。白血球の血液型と言えるものであり、一般的に血液型というとA,O,AB,B型といった赤血球の型を指すが、HLA型は白血球の型を示している。ただし、白血球以外にもHLAは存在するため、現在ではヒト白血球型抗原の名称で呼ばれることはほとんどなく、HLAと略して呼ばれる。 |
MHC
(主要組織適合遺伝子複合体) |
Major
histocompatibility
complex |
主要組織適合遺伝子複合体(しゅようそしきてきごういでんしふくごうたい、major
histocompatibility complex; MHC)は、免疫反応に必要な多くのタンパクの遺伝子情報を含む大きな遺伝子領域である。
主要組織適合遺伝子複合体は、ほとんどの脊椎動物がもつ遺伝子領域であり、ヒトのMHCはヒト白血球型抗原
(HLA)、マウスのMHCはH-2 (histocompatibility-2) 、ニワトリではB遺伝子座
B locus と呼ばれる。
MHCには主要組織適合遺伝子複合体抗原(主要組織適合抗原、MHC抗原、MHC分子とも呼ばれる)と呼ばれる糖タンパクがコードされている。このMHC分子は抗原提示を行うことで細菌やウイルスなどの感染病原体の排除や、がん細胞の拒絶、臓器移植の際の拒絶反応などに関与し、免疫にとって非常に重要な働きをする。その他、ペプチドの輸送に関与するTAP (transporter associated with antigen processing) やプロテアソームに関与するLMP
(low-molecular-weight protein) といった、免疫に関するさまざまなタンパク群もこのMHCにコードされている。 |
Rh因子 |
Rh
blood
group
system |
Rh因子(アールエイチいんし、独:Rhesusfaktor)とは、血液型を決定する因子の一つ。
赤血球膜の抗原により判定される。現在は40種以上の抗原が発見されているが、輸血の際の副作用の関係でD抗原、C/c抗原、E/e抗原で判定する場合が多い。便宜上、D抗原陰性の場合をdで表すこともある。この3つの抗原のタイプによって、CDe、Cdeなどのように表記する。ただし、C抗原とE抗原に対する抗体はD抗原に対する抗体と比較して免疫反応が弱く、大きな問題とはならないため、一般的には、D抗原の有無で陽性・陰性を表記する。免疫原性は
D > E > c > C > e の順に強い。
ABO式と異なり自然抗体は形成されないため、血清中の抗体を検査して判定することはない。また極まれにD以外の抗原を持たない「D--」や上に記した5つの抗原を全部持たない「Rh
null(アールエイチナル)」というものがある。ちなみにRh
nullをもつ日本人は6人前後だという。
日本人での頻度はCCDee(43%)、CcDEe(38%)、ccDEE(10%)、ccDee(0.1%)、CCDEE(0.05%)の順となっている。 |
あ |
アキレス腱 |
Achilles
tendon |
アキレス腱(アキレスけん、英語 Achilles'
tendon、ラテン語 tendo Achillis)は、踵骨腱(しょうこつけん)とも言い、足にあるふくらはぎの腓腹筋・ヒラメ筋をかかとの骨にある踵骨隆起に付着させる腱である。人体で最も強く最大の腱で、歩行や跳躍などの運動の際に必要である。
比喩的に「強者が持つ急所」を指す言葉として用いられることも多い。
アキレス腱は足首の後ろに存在する。ふくらはぎの中央近くからかかとにかけての部位を占め、長さは約15cmほどで最も強靭かつ太い腱である。上部ほど太く、下へ行くにしたがって細くなっている。ふくらはぎにある下腿三頭筋のうち、腓腹筋は内側頭と外側頭の二頭に分かれ、上部が大腿骨の下端に接続している一方、下部は腓腹筋の下層にある平目筋と合流してふくらはぎの半ばでアキレス腱を形成し、踵骨に接続している。
アキレス腱は歩行や疾走・跳躍などの運動の際、爪先を蹴り出す時にかかとを持ち上げたり、着地する足の爪先を地面に踏み込ませるなど重要な機能を果たしている。しかし、力をこめて踏ん張るなど瞬間的に大きな負荷がかかると、炎症やアキレス腱断裂などの外傷を起こすことがある。そのため、運動の前には丹念にアキレス腱を伸ばすストレッチングが推奨されている。また、人体中最大の腱であるにもかかわらず走行する血管が乏しく、一旦痛みが出ると難治性となりやすい。
名称の由来
腱の名前はギリシア神話に登場する英雄アキレウスから取られている。
アキレウスはプティア王ペレウスとネレウスの娘テティスの間に生まれた。テティスはわが子を愛してその肉体を不死身にしようと、冥府の川ステュクスにまだ赤子であったアキレウスの全身を浸したが、その時母親がつかんでいたかかとだけが水に漬からず、かかとの部分のみ生身のままで残った。
アキレウスは長じて人中最大の英雄となり、トロイア戦争で活躍するが、ついにはパリス王子に弱点のかかとを弓で射抜かれ、これが原因となって命を落とした。この伝説からアキレス腱は致命的な弱点の代名詞ともなった。 |
脚 |
Leg |
脚(あし)は、人や動物の体を支える部分である。脚という言葉は言語用途によって意味が異なり、一般に生物学に限らず体部下位に付属し支えるものを指して脚と呼び、それを機軸として慣用句として様々な意味合いを持つ言葉に発展してきた。
脚はそれを所有する生物によって構成要素や構造が様々であり、彼らはその機能に見合った生活をしている。また、脚そのものにも様々な適応的な形態が見て取れる。人という地上に生息する脊椎動物に限らず、脊椎動物以外の高等動物も含めて脚は対で備わっており、ムカデなどを除き、発生学的に偶数になっている場合がほとんどである。
形態学的に脚は体部に付属し、移動に際し使われる股関節辺りから末梢端接地部までの肢全体を指して呼んでおり(leg)、脚と指す時は足(foot)を含めた意味であることが一般的になっている。脊椎動物の脚には指に相当するものが末端部に付属しており、体を支えるという機能以外に様々な行動を補助するものとなっている。偶蹄目や奇蹄目などの陸上動物の脚は歩行に特化しており、付属器官である指と爪が蹄等になっており、その形は人のそれとは大きく異なっている。
一般的な生物の脚には、様々な付属器官がある。指や爪、あるいは様々な毛の束があり、それなりの機能を果たしている。中には生殖器、外分泌器等を備えるものもあり、外敵に対抗し身を守る手段としても脚を利用している動物が多い。その一方、ヘビのように脚を痕跡程度にまで退化させた動物群や、完全に脚を失い、新たに吸盤を形成したヒル類のような動物群もある。
人の脚の各部位の名称としては脚末梢端には足が付属し、接地部足底から上に向かい、足、足首、脛(スネ)、膝(ヒザ)、腿(タイ)までを含み脚と呼んでいる。便宜上、日本語で同じ音を持つ「足」という漢字を当て、踝以下接地部を指して区別のために使い分けて呼ぶ。脚と同じ部位を指して腿(タイ)という表記を用いることもあり、腿と言う字自身は太ももや脹脛(フクラハギ)を指すが、上腿(ジョウタイ)と書いて下肢の膝から上を指し、下腿(カタイ)と書いて下肢の膝から先を指す。また、大腿(ダイタイ)と書いてモモを指し、小腿(ショウタイ)と書いて脹脛を指す。
一般的に脚は身体全体の重さを直接的に引き受ける部位であり、全身中最も太い骨と、瞬発力と持久力を兼ね備えた筋力を備える。脚の筋肉は骨格筋によって構成され、大きく大腿筋、下腿筋、足筋に分けられ、それらと骨を繋ぐ腱とで脚の動きを調節している。
なお、人の前脚は腕や手と呼ばれ区別される。通常は歩行には用いられず、地面に着かない。日常生活において腕で体重を支えることはないため、腕の筋力は脚のそれには及ばない。イヌの「お手」など、他の生物の類似箇所を指して概念的に同様の呼び方をする場合があるが、生物によってその構成は大きく変化しており、前脚を腕と一概に呼ぶ事はできない。 |
汗 |
Perspiration |
汗(あせ)とは、哺乳類が皮膚の汗腺から分泌する液体である。およそ99%が水であるが、さまざまな溶解固形物(主に塩化物)も含む。o-クレゾール、p-クレゾール、および少量の尿素などの化学物質もしくは芳香化合物も含まれている。汗を分泌することを発汗という。
人間においては、汗は主として体温調節の手段であるが、男性の汗の成分はフェロモンとしても機能するという説もある。サウナ風呂などで汗をかくことには体から有害物質を取り除く作用があると広く信じられているが、これには科学的根拠はない。皮膚表面からの汗の蒸発には、潜熱による冷却効果がある。よって、気温の高い時や、運動により個体の筋肉が熱くなっている時には、より多くの汗が分泌される。緊張や吐き気によっても発汗は促進され、逆に寒さにより抑制される。 |
頭 |
Head |
頭(あたま)あるいは頭部は、動物の体の前方の口器、感覚器官、中枢神経系が集中して特別に分化した部位である。目、耳といった感覚器官や、摂食器官である口器の複合した前面部分は、特に顔と呼ぶことがある。頭部の付け根はしばしば可動性を有するくびれた部分となり、首と呼ばれる。ヒトでは顔と首を除いた部分に頭髪が生えており、この部分だけを頭部の他の部分から区別して頭と呼ぶこともある。 |
胃 |
Stomach |
胃(い、英: stomach:スタマック、独:
Magen:マーゲン)は消化器を構成する器官。
位置
・消化管の中で、食道の次に続き、十二指腸につながる。
・横隔膜の下に位置し、腹腔内に突出する。腹腔内に突出する臓器を腹腔臓器と言う。肝臓の左側に位置する。
・体表からは胸骨下縁、みぞおちの辺りに当たる。
ただし大きさ・位置に関しては個人差があり、胃が垂れ下がった胃下垂の状態になることもある。
構造
胃は消化管を成す管状の器官であり、入口と出口が狭く、途中がふくらんで袋状の構造になっている。全体の形状は死体と生体で大きく異なり、生体では多くの場合、鈎形である。
食道につながる入口付近を噴門部、十二指腸につながる出口付近を幽門部、それ以外の部位を胃体部と言う。全体が左側に弧状に湾曲しており、噴門から幽門までが大きくふくらんでいる左側を大彎(だいわん)、ふくらみが小さく逆に反った形になっている右側を小彎(しょうわん)と呼ぶ。なお、胃底部と呼ばれるのは、胃の上部で噴門に近い部分のことで、この名は、胃の外科手術を行うとき、胃よりも下の部位から開腹するため、そこから見ると胃の中では一番奥に位置することから付けられた。胃底部は横隔膜に接する。中身がない状態では、内側の壁はひだを作り縮んでいる(容積は約50ミリリットル)が、食後に食べ物でふくらんだ状態のときは、腹部前面に張り出したのが感じられるぐらいに膨らむ(いわゆる「満腹」の状態では、容積は1.5から1.8リットル)。幽門は第1腰椎右側に位置する。
機能
胃は、
・飲み込んだ食物をその後数時間程度まで貯留する。
・胃壁から分泌される塩酸(胃酸)によって、食べたものを酸性に保つことで殺菌し腐敗を防ぐ
・消化酵素のペプシンによって、タンパク質をペプトンと呼ばれるどろどろした水溶性の分解産物に消化する。
・食べ物が入ってくるとガストリンを血管内へ分泌してペプシノゲンの分泌を促進し、胃壁細胞からの胃酸分泌を促進し、胃壁細胞を増殖させる、等の消化活動を活発化する。
・食べ物が十二指腸へ出てゆくと、十二指腸から内分泌されるセクレチンによってガストリン分泌が抑制され、消化活動を停止する。
などの機能を持つ。
胃と胃液
強酸性の胃液が胃を自ら消化してしまわないのは、胃が粘膜で覆われているからであるが、それだけではない。胃液を中和する重曹も生成されている。また常にプロスタグランジンという活性物質の働きで細胞増殖を活発にして胃壁の損傷を最小限に抑えている。しかしストレスなどで副交感神経のバランスが崩れたりすると、胃液や消化酵素のコントロールが効かず自分自身を消化してしまう、つまり胃に穴が開く状態である「胃潰瘍」を引き起こす。 |
胃液 |
|
胃液(いえき、英: gastric
juice)は、食べ物を消化するために胃で分泌される体液(消化液)である。中に含まれる塩酸は胃酸とも呼ばれる。
強酸性で、pHは通常
1 - 1.5 程度。塩酸および酸性条件下で活性化するタンパク分解酵素(ペプシン)が含まれており、これによってタンパク質を分解し(ペプトン)小腸での吸収を助ける。また同じく酵素のリパーゼは主に脂肪を分解する。胃液分泌には脳相、胃相、腸相がある。
胃液はまた、感染症の原因になる細菌やウイルスを殺菌したり、あるいは一部の有害物質を分解することで、これらから身を守る生体防御システムとしての役割も担っている。例えばコレラ菌は胃酸によってほとんどが死滅してしまうため、大量の菌を摂取しないかぎり感染は起こらないが、胃酸の分泌が少ない低酸症の患者などでは少量の菌でも発症する。多くの細菌が胃液によって殺菌されるが、中には赤痢菌のように胃酸に強く100個以下の菌でも感染するものや、ヘリコバクター・ピロリなどのように胃酸を中和して胃の内部で生息するものもいる。
胃自体は胃液による消化を免れるシステムを備えているが、そのシステムの弱体化、胃酸の過剰によって潰瘍が起こることがある。塩酸は分泌細胞のプロトンポンプで生成され、ヒスタミンH2受容体刺激によって分泌が亢進する。そのためこれらを薬理学的に抑制すると症状を緩和することができる。 |
陰核 |
Clitoris |
陰核(いんかく、クリトリス)は、ヒトを含む哺乳類の雌の性器に備わる小さな突起で、発生学的には男性の陰茎(ペニス)に相当する。クリトリス
(clitoris) は、鍵またはネジのような封じるものを意味するギリシャ語のクレイスを語源とする。陰梃(いんてい)とも。 |
陰茎 |
Penis |
陰茎(いんけい、英語:penis)は体内受精をする動物のオスにあって、身体から常時突出しているか、あるいは突出させることができる器官である。精子をメスの体内に直接送りこむ際に、これを雌の生殖器に挿入するのに用いられる性器(交接器)である。雄の生殖器、特に外性器のうちのひとつ。また、哺乳類では泌尿器を兼ね、睾丸の上部から突き出ている。 |
咽喉 |
Throat |
咽喉(いんこう)は、首の一部であり、頸椎の前方にある。内部は咽頭と喉頭から構成され、口の奥、食道と気管の上にある。咽喉の重要な特徴として、食道と気管を分け、食物が気管に入るのを防ぐ喉頭蓋がある。
咽喉には、咽頭と喉頭のほかにさまざまな血管と筋肉がある。哺乳類の咽喉にある骨は、舌骨と鎖骨だけである。 |
陰唇 |
Labia |
陰唇(いんしん)は、女性器の一部で、外部から見える部位である。ラテン語でラビウム (labium) だが、左右で対になっているため複数形でラビア (labia) ということが多い。
内側の小陰唇と外側の大陰唇があり、発生学・解剖学的には関係が薄い。 |
咽頭 |
Pharynx |
咽頭(いんとう, Pharynx)とは、脊索動物門固有の器官で、消化管の前部で口腔と食道の中間にあり、胚の時期には、両側壁にいくつかの咽頭嚢が前後に並んで発生する部分のことである。咽頭と食道または喉頭の境界は第6頸椎である。 |
陰嚢 |
Scrotum |
陰嚢(いんのう、英: Scrotum)とは、哺乳類のオスにおいて皮膚と筋肉から成る器官で、睾丸(精巣)を包むコブ状の突出部。腹部の延長線、陰茎と肛門の間に位置し、主にヒトやその他の一部哺乳類の場合、付け根は思春期以降陰毛によって覆われる。女性では、陰嚢は大陰唇に相当する。
一般に睾丸と混同される事があるが、睾丸が精巣すなわち性器自体を指すのに対し、陰嚢はそれを包む袋を指す。布久利(ふぐり)とも言い、俗に、袋(玉袋、皮袋)、いなり(おいなりさん)とも言われる。 |
陰部神経叢 |
Pudendal
plexus |
陰部神経叢(いんぶしんけいそう)とは脊髄神経から分岐し骨盤・臀部・性器・下肢のうちに陰部へ繋がる神経叢の名称。
陰部神経叢は脊髄神経から分岐し背中・腹部・鼠径部と下肢のうち腰部に繋がる腰神経叢や仙骨に繋がる仙骨神経叢と相互に連結しているためこれらを合わせて腰仙骨神経叢に含まれる。 |
腕 |
Arm |
腕(うで、かいな)とは、人間の肩から手までの部分のこと。
人間の腕は医学的には、上肢(じょうし)と呼ばれる事が多い。腕は肘を境に、肩に近い方を上腕(じょうわん)、手の方を前腕(ぜんわん)もしくは下腕(かわん)という。 |
運動器 |
Human
musculoskeletal
system |
運動器(うんどうき)とは、動物の器官の分類の一つで、身体を構成し、支え、身体運動を可能にする器官である。ヒトを含む脊椎動物では身体の支柱である全身の骨格と関節(骨格系)と、それらに結合する骨格筋、腱および靭帯が運動器に所属する。これらをまとめて運動器系(うんどうきけい)として扱う。 |
運動神経 |
Motor
neuron |
運動神経(うんどうしんけい)とは、体や内臓の筋肉の動きを指令するために信号を伝える神経の総称である。頭部では脳神経、体部では脊髄神経として、中枢から離れて末梢に向かうので、遠心性神経という名称でも呼ばれる。
運動神経が最終的に支配する筋肉には、頭・体部の骨格筋と、感覚器や内臓・血管の内臓筋とがある。
体性運動神経
骨格筋を支配する神経は、体性運動神経と呼び、多くの本では「随意運動」に関係すると記されることが多いが、実際の運動の際に同時的に起こる多数の骨格筋の収縮は、小脳や脳幹での統合的な働きの結果として起こされるのであって、真に意識されるとは限らない。
内臓運動神経
他方、内臓や感覚器の平滑筋や心筋の収縮は、内臓運動神経として自律神経により自動的に行われるが、無論中枢全体の感情的な動きと無関係ではなく、いずれかに接続点を持っている。このため、怒りや興奮に伴い、瞳孔散大筋、胃腸平滑筋、心筋などの全てが影響を受ける事が生ずる。なお、体の諸部を走る神経は、純粋に運動神経束より成ることはなく、多くの場合は混合性である。 |
延髄⇒脳 |
Medulla
oblongata |
延髄(えんずい、medulla oblongata)は、脳の一部。脳幹のうちもっとも尾側の部分であって、吻側に橋、尾側に脊髄がある。後頭骨に開いた大後頭孔という穴を通る。背側には下髄帆を挟んで小脳がある。嘔吐、嚥下、唾液、呼吸および循環、消化の中枢を含み、生命維持に不可欠な機能を担っている。 |
横隔膜 |
Thoracic
diaphragm |
横隔膜(おうかくまく、英: thoracic
diaphragm)は、呼吸運動に関する筋肉の1つ。
哺乳類にのみ存在する。
胸腔と腹腔の境界にある筋板であり、胸郭下口の周りから起こり、血管、食道が横隔膜を貫くための3孔(大動脈裂孔・食道裂孔・大静脈孔)がある。
起始部は腰椎部・胸骨部・肋骨部の3部からなり、ドーム状(円蓋状)に胸腔に盛集する。
停止部は横隔膜中央部の腱膜(腱中心)。
横隔膜の収縮によって円蓋を下げ、胸腔を広げる、すなわち呼吸(腹式呼吸)の際に大きな役割をする。 支配神経は頚神経からの横隔神経。
横隔膜の痙攣で起こる現象が”しゃっくり”である。 |
横紋筋⇔平滑筋 |
Striated
muscle
tissue |
横紋筋(おうもんきん)は脊椎動物の筋肉の一種で、外見上規則正しい横紋がみられるためにこう呼ばれる。さらに骨格筋、皮筋(表情筋など)と心筋に区別される。詳細は骨格筋と心筋の項目を参照のこと。
この横紋は、筋繊維(線維)を構成するアクチンとミオシンが規則正しく並んでいるためにみられる。それらから構成される筋原繊維(線維)は細胞を貫いて並び、そのために細胞の区分はなく、細長く伸びて内部に筋原繊維の並んだところに複数の核がある、いわゆる合胞体となっている。
他の筋肉では細胞内にアクチンとミオシンの繊維(線維)がばらばらに入っているのに対して、横紋筋ではそれらが規則正しく交互に配置し、そのために明るい帯と暗い帯が交互に配列する様子が光学顕微鏡でも確認できる。これが筋収縮の分子レベルでの理解へ近づく入り口となった。 |
か |
回腸⇒小腸 |
Ileum |
回腸(かいちょう、ileum)は、空腸から続く小腸の一部で、大腸(結腸)に続く。空腸と回腸は十二指腸と違い腸間膜があるので、空腸と回腸を総称して腸間膜小腸と分類する場合もある。
空腸と回腸の明確な解剖学的境界は無いが、おおむね口側の2/5が空腸、残りの3/5が回腸とされ、回盲弁によって大腸(結腸)に続く。
肉眼的特徴としては内部に輪状襞(輪状ヒダ)と腸絨毛を認め(ただし空腸よりは疎である)、空腸よりやや細い。特に回腸下部にはパイエル板(集合リンパ小節)が多数みられる。
腸の項目も参照のこと。 |
海馬 |
Hippocampus |
海馬(かいば)は、大脳辺縁系の一部である、海馬体の一部。特徴的な層構造を持ち、脳の記憶や空間学習能力に関わる脳の器官。
その他、虚血に対して非常に脆弱であることや、アルツハイマー病における最初の病変部位としても知られており、最も研究の進んだ脳部位である。心理的ストレスを長期間受け続けるとコルチゾールの分泌により、海馬の神経細胞が破壊され、海馬が萎縮する。心的外傷後ストレス障害(PTSD)・うつ病の患者にはその萎縮が確認される。
神経科学の分野では、海馬体の別の部位である歯状回と海馬をあわせて「海馬」と慣例的に呼ぶことが多い。 |
海馬傍回 |
Parahippocampal
gyrus |
海馬傍回(かいばぼうかい、英: Parahippocampal
gyrus)または海馬回(かいばかい、英:
hippocampal gyrus)は海馬の周囲に存在する灰白質の大脳皮質領域。大脳内側面の脳回のひとつである。この領域は記憶の符号化及び検索において重要な役割を担っている。この領域の前部は嗅周皮質 (perirhinal
cortex) 及び、嗅内皮質
(entorhinal
cortex) を含んでいる。海馬傍皮質 (parahippocampal cortex) という用語は海馬傍回の後部と紡錘状回の内側部を指して用いられる。
海馬傍回場所領域 (PPA : parahippocampal
place area) は海馬傍皮質の下位領域で
(顔や物体ではなく) 風景の符号化と認知に重要な役割を持つ。fMRI研究により、この脳領域は被験者が自然風景や都市風景などの画像 (つまり"場所"の画像) のような地理的な風景の刺激を呈示された際に高い活動を示した。この領域はラッセル・エプスタイン (Russell Epstein) (現ペンシルベニア大学)
とNancy Kanwisher (Nancy Kanwisher)
(現 MIT) によって1998年に初めて記述された (ジェフリー・アギーレ
(Geoffrey Aguirre)とAlumit Ishaiによる同様の論文も参照)。(脳卒中などによる) 海馬傍回場所領域の損傷は、風景の中にある個々の物体 (人や家具など) は認識出来るにも関わらず視覚的に風景を認識出来なくなるという症状を、しばしば引き起こす。海馬傍回場所領域は、顔に対して特異的に活動する皮質領域であり顔認知に重要な役割を持つと考えられている紡錘状回顔領域
(FFA : Fusiform
face area) と補完しあう関係にあると考えられている。
さらなる研究によって、右の海馬傍回は視覚背景を文脈にあてはめる以上の機能を持つことが示唆されている。キャサリン・P・ランキン (Katherine P. Rankin) らによる研究は、この領域が言語コミュニケーションにおけるパラ言語的な要素を含む、社会的なコンテキストの識別に重要な役割を持つことを示唆している。 |
灰白質 |
Grey
matter |
灰白質(かいはくしつ)とは、中枢神経系の神経組織のうち、神経細胞の細胞体が存在している部位のこと。これに対し、神経細胞体がなく、有髄神経線維ばかりの部位を白質(はくしつ)と呼ぶ。
中枢神経系(脳と脊髄)の神経組織は、神経細胞とグリア細胞とによって構成されている。グリア細胞は、どの部位にも普遍的に存在している。一方、神経細胞に関しては、神経細胞体からのびて張り巡らされている神経線維(軸索)は、どこでも普遍的に存在するものの、神経細胞体そのものが存在する部位は限られており、特定の部位に固まって存在する傾向がある。この部位を灰白質と総称する。神経細胞体の集まり方は、場所によって異なっているので、灰白質の形も様々である。例えば、大脳や小脳ではその表面を薄く覆う様に存在している(皮質)。これら皮質では、神経細胞体は層構造をなして並んでいる。一方、間脳、脳幹、脊髄などでは、その表面には灰白質は存在せず、内部に、神経細胞体が多数の島状に分かれた灰白質のかたまりをつくる。これらひとつひとつのかたまりを、神経核(しんけいかく)と呼ぶ。神経核は、ひとつひとつに固有の名称が存在し、特定の機能に関与している神経細胞が集まって存在する部位である。
灰白質、白質の名前の由来は、新鮮な脳組織の断面を肉眼的に観察したとき、白質は明るく光るような白色をしているのに対し、灰白質は、白質よりも色が濃く、灰色がかって見えることによる。これは、有髄神経線維のミエリン鞘の主成分として大量に存在しているコレステロールやミエリンが白い色をしているためで、白質には、灰白質に比べて、有髄神経線維が多いからと考えられている。
なお、脳にコレステロールが多く含まれるのは、神経細胞から伸びたコレステロールで被われたミエリン鞘によるものであり、神経線維の絶縁性とミエリン鞘の切れ目からのジャンプにより信号伝達を高めているものである。 |
海馬体⇒大脳辺縁系 |
Hippocampal
formation |
海馬体(かいばたい、英: hippocampal
formation)は、大脳皮質・側頭葉の内側にあり側脳室下角底部に突出した大脳辺縁系の一部である。
左右に一対ずつ存在し、ヒトでは直径
1 cm、長さも 5 cm ほどの器官である。ギリシャ神話に登場する海神ポセイドンが駆る馬車を引く半馬半魚の想像上の動物ヒッポカンポス (hippocampus) の尾に形が似ているとされたことから名づけられた。
学名が同じ Hippocampus であるタツノオトシゴから由来すると言う説もある。
1950年代にてんかん手術のために海馬体を切り取った、H.M.
というイニシャルを持つ患者が、その後新たに記憶を獲得する能力をなくしてしまった(前向性健忘)というエピソードは大変有名である。このエピソードにより、海馬が脳の記憶形成に重大に関わる分野として、研究が盛んになっていった。
歯状回(dentate gyrus)、海馬(hippocampus)、海馬台(海馬支脚)(subiculum)、前海馬支脚(presubiculum)、傍海馬支脚(parasubiculum)、嗅内野皮質(entorhinal cortex)の各部に分けられる。海馬体全体のことを慣例として「海馬」と呼ぶことも多いが、解剖学においては厳密には海馬体の一部の神経細胞層を持つ部位のみを海馬とする。 |
下顎骨 |
Mandible |
下顎骨(かがくこつ、mandible
bone)は下顎を形成する骨である。
ヒトの下顎骨は、上顎骨と対になっている骨であり、頭蓋の顔面骨の中で一番大きく、強い骨である。下顎の歯を釘植する。水平のU字状上に曲がっている下顎体と、その両端に垂直につく二つの下顎枝からなる。 |
かかと |
Heel |
かかと(踵)は、足の裏の最も後(背中側)の部分である。きびすとも言う。靴ではかかとの下の靴底を厚くするのが普通で、英語の
heel からヒールとも言う。靴のこの部分を指してかかとと言うこともある。
骨格的には、下腿の骨と関節によってつながっている踵骨(しょうこつ)に相当する。手では、足のかかとに相当する部分に特に固有の名称はついていない。
ヒトのかかとの皮膚は、全身の中で最も固くて厚い。これは体重を支えるクッションの役目をしている。
西洋では、悪魔にはかかとはないとされている。ほとんどの哺乳類では、かかとに当たる部分は歩く際に地上に着かない。アライグマなど、かかとを地上につける動物もあるが、これは、二足で立ち上がる際の安定性を増す効果がある。ただし、人のかかとのように目立たない。これは、ヒトではかかとが肥厚していると同時に、土踏まずがあるためにかかとが突出しているからである。これは、ヒトが直立二足歩行をするために発達した構造と考えられる。 |
下気道⇔上気道 |
Respiratory
tract |
下気道(かきどう、英語: Lower
respiratory tract)とは、気道のうち喉頭よりも末梢の部分のこと。喉頭よりも中枢側の上気道とは異なり、免疫機構が正常な場合は基本的に無菌である。 |
蝸牛⇒内耳 |
Cochlea |
蝸牛(かぎゅう、cochlea)とは、内耳にあり聴覚を司る感覚器官・蝸牛管(cochlear duct)が納まっている、側頭骨の空洞である。蝸牛管を指して「蝸牛」と言うこともある。蝸牛管は中学・高校の生物ではうずまき管と呼ばれる。
哺乳類では動物のカタツムリに似た巻貝状の形態をしているためこれらの名がある。
蝸牛管の内部は、リンパ液で満たされている。鼓膜そして耳小骨を経た振動はこのリンパを介して蝸牛管内部にある基底膜 (basilar
membrane) に伝わり、最終的に蝸牛神経を通じて中枢神経に情報を送る。
解剖学的な知見に基づいた蝸牛の仕組みについての説明は19世紀から行われてきたが、蝸牛が硬い殻に覆われているため実験的な検証は困難であった。1980年代ごろよりようやく生体外での実験が本格化したものの、その詳細な機構や機能については依然謎に包まれた部分がある。 |
角膜 |
Cornea |
角膜(かくまく、英: cornea)は、目を構成する層状の組織の一つであり透明である。最も外界に近い部分に位置する。
視覚器官はさまざまな種に見られるが、角膜を備えるのは節足動物や軟体動物、環形動物、脊椎動物に限られる。ヒトの場合は、直径約12mm、厚さは中央部が約0.5mm、周辺部が約0.7mm。角膜には目に光を取り入れる窓の役割があるほか、光を屈折させて水晶体とともに目のピントを合わせる働きがある。また角膜表面は常に涙で覆われ、乾燥と眼球内部への細菌感染を防いでいる。
発生学的には、角膜内層は前眼房の中皮由来であり、中胚葉由来である。角膜外層は体表外胚葉に由来する。 |
下垂体 |
Pituitary
gland |
下垂体(かすいたい)または脳下垂体(のうかすいたい)とは、脊椎動物の体に存在する器官のひとつで、多くのホルモンを分泌する内分泌器官。脳に接して、脳の直下(腹側)に存在し、脳の一部がのびてぶら下がっているように見えることからこの名がある。
下垂体は、脳とともに、硬膜に包まれており、脳の腹側に接している。視交叉の後方、間脳の視床下部に接する位置にある。下側は、頭蓋骨の蝶形骨に接する。ヒトなどの蝶形骨には、下垂体がちょうどはまり込むようなくぼみがあり、これはトルコ鞍と呼ばれる。
内分泌器官である下垂体には、血管が非常に発達しており、分泌されたホルモンが効率よく血流に乗って全身に運ばれるようになっている。下垂体前葉のホルモンの分泌を調節するホルモンは、視床下部から分泌されており、下垂体を通る血管のうちの一部は、視床下部を経由してから下垂体に入るため、視床下部の分泌調節ホルモンの刺激が効率よく下垂体前葉に伝わるようになっている。
一方、下垂体後葉ホルモンは、視床下部の神経細胞で産生され、神経細胞の軸索をとおして、運ばれる。この軸索は視床下部から下垂体後葉にまで達しており、ここで血管に放出される。 |
肩 |
Shoulder |
肩(かた)とは、ヒトおよび哺乳類の胴体のうち、腕、前肢、翼に接している部分のことである。
一般に球関節の構造を持ち、回転(外転、内転)、旋回(外旋、内旋、上方回旋、下方回旋)、挙上、下制(引き下げ)、牽引(前方牽引、後方牽引)、屈曲(関節屈曲、水平屈曲)、伸展(関節伸展、水平伸展)などの複雑な動作が可能である。また、多くの筋肉から構成されており、強い力を出すことができる。
頂上より少し下がった平らな部分を山の肩、瓶の肩などと呼ぶことがある。また、地位、身分、称号などのことを、氏名の右上に記すことから肩書きと呼ぶ。肩で荷物を担ぐことから転じて、力、負担、責任などを指すことがあり、肩を貸す、肩の荷が下りるなど多くの成句・慣用句がある。
デスクワークなどで長時間同じ姿勢を続けていると、肩付近の筋肉に不快感や痛みを訴える肩こりの症状が現れやすい。この場合の肩とは、上記の解剖学的な意味に加えて、首(頚部)も含めることがある。 |
髪⇒頭髪 |
|
|
ガラス体
(硝子体) |
Vitreous
humour |
硝子体(しょうしたい)は、眼球の器官の一つで、水晶体の後方にあり、内腔をうめる透明なゼリー状の組織。ガラス体とも呼ばれる。タンパク質(コラーゲン)からできている。また、眼球の外側を覆う強膜とともに眼球の形を保つ役割を担い、また外力を分散させる作用を持つとされる。
網膜剥離発生機序と関係性がある。 |
感覚器 |
Sensory
system |
感覚器(かんかくき、英: Sensory
system)とは、動物の体を構成する器官のうち、何らかの物理的または化学的刺激を受け取る受容器として働く器官である。
各器官は感覚器系と呼ばれ、それぞれが繋がる末梢神経系を通し、受け取った情報はニューロンを介して中枢神経系へと伝えられる。感覚器には光に対する視覚器、音に対する聴覚器、化学物質に対する嗅覚器・味覚器、温度や機械刺激に対する触覚器などが挙げられる。ヒトの場合、その代表的な感覚器には、目、耳、鼻、舌、皮膚などがある。また、動物の種類によって独自の感覚器が様々に発達している場合がある。これらの感覚器をまとめて感覚器系というひとつの器官系として扱う場合がある。生理作用と知覚作用を統一的に考察する場合には、感覚器とその知覚作用を感官と呼ぶ場合がある。
ある感覚器は、特定の種類の情報を受け取るように特化されている。感覚器で受容された何らかの情報は、多くの場合、その動物の神経系に受け渡されるようになっている。感覚器で得られた情報を脳などの中枢神経系に伝える働きをする神経のことを感覚神経(感覚性神経)と呼ぶ。
感覚器の1つひとつは独自の機能を担っており、これらの機能は神経系を介して相互に調節される。 |
間質液 |
Interstitial
fluid |
間質液(かんしつえき)とは、多細胞生物の組織において細胞を浸す液体であり、細胞外液のうち血液とリンパ管の中を流れるリンパ液を除く体液である。組織液・細胞間液・細胞間リンパ液とも呼ばれる。血液により運ばれた酸素やタンパク質などの物質は毛細血管壁を介して間質液へと拡散した後、間質液から組織の細胞へと拡散する。
リンパ管内の体液のみをリンパ液と言う場合もあるが 間質液との明瞭な区別はなく 海外では間質液をリンパ液と呼ぶことが多い。
間質液は血管膜を通して膠質浸透圧と 筋などの圧力の変動によって静脈に主に水分と血液ガスが再吸収され タンパク質や老廃物 ウイルスやガン細胞などの異物など
分子量の大きいものは リンパ管に吸収される。
ヒト1人の体内には平均11リットルの間質液が含まれ、細胞へ栄養素と酸素を運ぶとともに老廃物や二酸化炭素を運び去っている。 |
関節 |
Joint |
関節(かんせつ)とは、骨と骨が連結する部分を表す言葉である。
脊椎動物ではこれは内骨格における骨同士の連結部であり、不動性結合(synarthrosis)と可動性結合(diarthrosis)とがある。膝・肘・腰・肩など体中のいたるところにある。関節には、両骨の間に潤滑油の役目を果たす滑膜が存在する。
関節を隔てた骨同士は筋肉や靱帯で結びつけられ、それらの牽引力によって曲がることができる。その動く方向、大きさはある程度決まっており、それを超える曲げ方があった場合には障害を起こす。ただし時間をかけて慣れさせれば可動範囲や方向をある程度変えることもできる。この幅は個体差も大きく、よく曲がる人は「関節が柔らかい」といわれる。これは、体操競技などでは重要な能力とされる。関節の可動幅が少ない人は怪我をしやすいともいわれる。
年齢を重ねるとリウマチなどで関節痛を感じることが多い。関節部分が損傷した場合、人工関節に置き換える治療法がなされる。
『人間の関節一覧』も参照。 |
汗腺 |
Sweat
gland |
汗腺(かんせん、sweat gland,
sudoriferous, sudoriparous glands)は、皮膚にある汗を分泌する腺である。汗腺には主に次の2種が存在する。
・エクリン腺 (Eccrine sweat glands) は全身にあり場所によって密集度が異なる。ヒトにおいて主に体温を下げるために利用される。
・アポクリン腺 (Apocrine sweat glands) は、エクリン腺よりも大きく、分泌機構も異なり、ヒトでは主に腋窩や外陰部などに存在する。ヒトでは芳香腺としての機能が退化しておりほとんど体温調節にしか寄与しないが、ウマやウシなど偶蹄目では芳香腺として機能する。乳腺、睫毛腺もこの一種である。 |
肝臓 |
Liver |
肝臓(かんぞう、希:(hepar)、羅:
iecur、独: Leber、英: Liver)は、腹部の右上に位置する内臓である。最大の内臓で機能も多く、特に内部環境の維持に非常に大きな役割を果たしている。
肝臓は、腹部の右上に位置して、ほぼ肋骨の下に収まっており、頭側(上方)には横隔膜が存在する。ある種の動物では体内で最大の臓器である。非常に機能が多いことで知られ、代謝、排出、胎児の造血、解毒、体液の恒常性の維持などにおいて重要な役割を担っている。特にアルコール分解能があることで一般には知られている。また、十二指腸に胆汁を分泌して消化にも一定の役割を持っている。
働きは少なくとも500以上あるとされ、これと同機能を持つ化学工場は作れないとも言われるほど多機能であるため、人工臓器としての実用化が非常に難しい臓器である。
他方、臓器の中での部位による機能の分化が少なく、一部に損傷があっても再生能力が強いため、その損傷などがあっても症状に現れにくい。自覚症状が出る頃には非常に悪化していることもあり、「沈黙の臓器」などと呼ばれることがある。
牛・豚・鶏などの肝臓はレバーと呼ばれ、食材とされる。また魚類(アンコウ等)・軟体動物(イカ等)の肝臓も、食用にされる。独特の臭みがあり、特に調理法に工夫を必要とする一方、栄養豊富なことから摂取が勧められる部位でもある。しかし、その高い栄養価からかあまり多く摂取すると痛風などの原因とされることがあるので注意が必要である。牛や豚の肝臓は消化酵素を加えて加水分解され、肝臓水解物として二日酔いや慢性肝疾患治療の医薬品原料となる。
無脊椎動物のいくつかの群にも同様な器官があり、一般には中腸腺といわれる。カニミソなどもこれにあたる。 |
間脳 |
Diencephalon |
間脳(かんのう)は大脳半球と中脳の間にある自律神経の中枢。
脳は大脳、中脳、小脳からなり、大脳は大脳半球(=終脳)と間脳からなるので、間脳は大脳半球と中脳の間にある。2つの大脳半球に包まれる様にして一つの間脳があり、2つの大脳半球は一つの間脳に繋がっている。間脳は中脳に繋がっている。間脳は(広義の)視床と視床下部からなり、視床は視床上部と狭義の視床(背側視床)と腹側視床からなる。単に視床と言う場合は狭義の視床を指す。
間脳は大脳半球のほぼ全ての入力と出力を下位中枢と中継する信号の交差点となっている。特に視床下部は本能的な活動を制御している。ヒトは大脳が最も発達していることから、間脳も最大である。 |
器官 |
Organ
(anatomy) |
器官(きかん、organ)とは、生物のうち、動物や植物などの多細胞生物の体を構成する単位で、形態的に周囲と区別され、それ全体としてひとまとまりの機能を担うもののこと。生体内の構造の単位としては、多数の細胞が集まって組織を構成し、複数の組織が集まって器官を構成している。
細胞内にあって、細胞を構成する機能単位は、細胞小器官 (細胞内小器官、小器官、オルガネラ) を参照。 |
気管 |
Trachea |
気管(きかん)は動物の空気呼吸器官。
脊椎動物と節足動物の両方にこの名称の器官があるが、双方で起源と機能は異なる。共通点は空気の流通する管である点である。 |
基節骨 |
Phalanx
bone |
基節骨(きせつこつ)(羅名proximalis Os,proximalis)とは、四肢動物の前肢、後肢を構成する短骨の一つである。
ヒトの基節骨は、左右の手足に5本ずつ存在している。
手は中節骨、末節骨とともに指節骨(指骨)を構成している。
足は中節骨、末節骨とともに趾節骨(趾骨)を構成している。 |
嗅球 |
Olfactory
bulb |
嗅球(きゅうきゅう、英: olfactory
bulb、羅: bulbus olfactorius)は、嗅神経入力を受け、嗅覚情報処理に関わる、脊椎動物の脳の組織。終脳の先端に位置する。副嗅球と区別する際には特に主嗅球(main olfactory bulb)という。 |
橋 |
Pons |
橋(きょう、[拉]pons) は、脳の部位の一つ。脳幹に含まれ、前後を中脳と延髄とに挟まれる。第四脳室の腹側壁をなす。第四脳室をはさんで背側には小脳がある。
前腹側から脳幹の外観を観察すると、小脳の腹側からのびた強大な線維束(中小脳脚)が、脳幹の一部を乗り越え、これをつつむように盛り上がってみえることから、この部位を小脳からでた「橋」にみたてて、この名がついた。
三叉神経、外転神経、顔面神経、聴神経といった多くの脳神経核が存在する。脳神経が出る部位である。脳幹を経由する多くの伝導路が通過する他、大脳皮質からの運動性出力を橋核、中小脳脚を経由して、小脳へと伝える経路などが存在する。 |
胸骨 |
Sternum |
胸骨(きょうこつ、英語:sternum)は人においては胸郭前面の正中部にある扁平骨であり、上から胸骨柄・胸骨体・剣状突起の3部からなる。 |
筋肉 |
Muscle |
筋肉(きんにく、拉: musculus;
独: Muskel; 仏, 英: muscle)は、動物の持つ組織のひとつで、収縮することにより力を発生させる、代表的な運動器官であり。動物の運動は、筋肉によってもたらされる。ただし、細部に於ける繊毛や鞭毛による運動等、若干の例外はある。
また、筋肉が収縮することにより発生する力を筋力と呼び、これは収縮する筋肉の断面積に比例する。つまり誤解されがちだが筋力は筋肉量や筋肉の長さに比例しているのではなく、筋肉の太さに比例している。
『人間の筋肉の一覧』も参照。
人間の筋肉の一覧
人体には、通常は、大小含めて約600を越える筋肉が存在する。筋肉は、大別すると骨格筋、平滑筋、心筋に分けられる。これらは、意識して動かすことができるかという点で随意筋(骨格筋のみ)と不随意筋(心筋・平滑筋)に分けられる。また、組織構造から有紋筋(心筋・骨格筋)と平滑筋に分けられる。
骨格筋は、体幹筋と体肢筋に分けられる。そのうち体幹筋を体幹腹部の前体幹筋と体幹背部の後体幹筋に分ける。前体幹筋は頭部の筋・頸部の筋・胸部の筋・腹部の筋を含み、後体幹筋は背部の筋のみとなる。体肢筋は上肢の筋・下肢の筋に分けられる。 |
主要な筋肉の概要図 |
1. 後頭前頭筋
2. 側頭頭頂筋
3. 眼輪筋
4. 上唇挙筋
5. 咀嚼筋
6. 胸鎖乳突筋
7. 眼輪筋
8. 三角筋
9. 僧帽筋
10. 大胸筋
11. 広背筋
12. 上腕三頭筋
13. 上腕二頭筋
14. 前鋸筋
15. 腹直筋
16. 外腹斜筋
17. 大腿筋膜張筋
18. 大腿直筋
19. 大殿筋
20. 方形回内筋
21. 屈筋支帯
22. 総指伸筋
23. 縫工筋
24. 大腿四頭筋
25. ??
26. 腓腹筋
27. 前脛骨筋
28. ヒラメ筋
29. 上伸筋支帯?
30. 下腿三頭筋? |
|
空腸⇒小腸 |
Jejunum |
空腸(くうちょう、jejunum)は、十二指腸から続く小腸の一部で、回腸に続く。空腸と回腸は十二指腸と違い腸間膜があるので、空腸と回腸を総称して腸間膜小腸と分類する場合もある。
空腸と回腸の明確な解剖学的境界は無いが、おおむね口側の2/5が空腸、残りの3/5が回腸とされる。
肉眼的特徴としては内部に輪状襞(輪状ヒダ)と腸絨毛を認め、回腸よりやや太い。内壁にパイエル板(集合リンパ小節)がみられることもあるが、回腸より数は少ない。腸の項目も参照のこと。
また、腸液が分泌され、最終消化を行うところでもある。
空腸の名の由来は、死体解剖を行った際に内容物が見られなかった(「空っぽ」の空)ことに由来する。 |
口 |
Mouth |
口(くち)は、消化管の最前端である。食物を取り入れる部分であり、食物を分断し、把持し、取り込むための構造が備わっていると同時に、鼻腔と並んで呼吸器の末端ともなっている。文脈により口腔(こうこう)ともいう。なお口腔の読みの例外として、日本医学界においては(こうくう)を正式とする。 |
首 |
Neck |
くび(首、頸)とは頸部(けいぶ)、すなわち、人体において頭(頭部)と胴体をつなぐ部位である。
日本語ではまた、頭部そのものを指す場合もある。
ヒトを含む哺乳類の脊柱の頸部は7つの堆骨で構成される。これらを頸椎という。頸椎は、典型的に
C-1 (CI) から C-7 (CVII) で参照され、各々の堆体の間には盤状の軟骨性の椎間板がある。首は頭の重量を支え、脳から下って体に至る神経束を保護する。さらに、首は高度に柔軟であり、頭部を回し、あらゆる向きに曲げることができる。脊柱は、頂上から底部まで、前方に向かって凸なかたちでゆるやかに(S字状に)湾曲する。その湾曲は脊柱のあらゆる曲線のなかでもっとも目立たないものである。 |
クモ膜⇒髄膜 |
Arachnoid
mater |
クモ膜(蜘蛛膜、くもまく、arachnoid
mater)は、脳と脊髄を覆う3層の髄膜のうち、外から2層目にあたるものである。名は小柱の入り組んだ様子がクモ(ラテン語でarachnoid)の巣を思わせることから。
一番外の硬膜には密着しているが、内の軟膜との間には広い空間があり、小柱という線維の束が無数に伸びてクモ膜と軟膜をつないでいる。この空間は肉眼で見ても明らかで、クモ膜下腔と呼ばれる。クモ膜下腔は脳脊髄液で満たされている。硬膜とクモ膜の間にもわずかながら硬膜下隙と呼ばれる隙間があり、硬膜下出血で血液がたまると肉眼で認められる程度まで広がる。
脳のクモ膜と脊髄のクモ膜を特に区別する必要があるときは、脳クモ膜(のうくもまく、英語:cranial
arachnoid、ラテン語:arachnoidea encephali)、脊髄クモ膜(せきずいくもまく、英語:spinal arachnoid、ラテン語:arachnoidea spinalis)と呼び分ける。脳クモ膜は脳硬膜を貫いて、頭蓋内の静脈洞にクモ膜顆粒(パッキオーニ小体)と呼ばれる突出を作っている。クモ膜顆粒はクモ膜下腔の脳脊髄液がクモ膜を通過して静脈血に吸収される場所と考えられている。
硬膜・軟膜と同様、脊髄クモ膜は脊髄神経の根を包んで脊柱管の外に出る。脊髄神経が脊髄神経節を作り前枝と後枝に分かれた先にもクモ膜は続いているが、その部分は神経周膜と呼ばれる。 |
毛穴 |
Pore |
毛穴(けあな)は、生物の皮膚の表面に存在する小さな孔。人の肌の1cm四方には、少なくとも20個はあるという。ここから体毛が生えることから、毛穴と呼ばれる。毛穴の役割は幾つかあるが、いずれも体内から体外へと放出する役割をもつ。皮膚呼吸はこれの代表で、水蒸気などを発散している。また毛穴からは皮脂も分泌されるが、皮脂が毛穴に溜まり、それが放置されると角栓となって毛穴を塞ぎ、毛穴の機能を低下させる。
鼻に角栓が出来た場合、角栓を除去するための製品が市販されており、それによって除去することができる。
また、恒温動物にとっての毛穴の重要な役割として体温の調節のために汗を発散することが挙げられる。これは汗腺から分泌された液体である。 |
脛骨 |
Tibia |
脛骨(けいこつ、ラテン語:tibia、英語:shin
bone)とは、四肢動物の後肢を構成する長骨の一つである。腓骨とともに膝から足首の間を構成し、脚の内側前面にある。大腿骨に次いで2番目に長い骨である。
脚および足の脛骨側を脛側(けいそく)という。医学用語の内側(ないそく)および日常語の内側(うちがわ)と同じである。脛側の反対側を腓側(ひそく)と呼ぶ。 |
頚神経叢 |
Cervical
plexus |
頚神経叢(けいしんけいそう)とは脊髄神経から分岐し頭・首・上肢のうちに頭・顔・首へ繋がる神経叢の名称。
頚神経叢は脊髄神経から分岐し頭部・背中・肩部と上肢のうち鎖骨・肩・上腕・前腕・手に繋がる腕神経叢と相互に連結しているためこれらを合わせて頚腕神経叢と呼ぶ。 |
頸椎 |
Cervical
vertebrae |
頸椎(けいつい、cervical spine)は、椎骨の一部で、頭を支えるための骨である。
ナマケモノなど一部の例外を除き、人間やキリンを含むほとんどの哺乳類の頸椎は七つの骨で構成されている。脊椎の中でも最も可動性が高く上下左右など様々な方向へ動かすことができる。
第一頸椎から第七頸椎まで上から順にC1、C2、...、C7と略されることが多い。 第一頸椎(C1)、第二頸椎(C2)は他の五つと比べ特徴的な形態をしており、それぞれ環椎(Atlas)、軸椎(Axis)とも呼ばれる。第三頸椎(C3)から第七頸椎(C7)までは似た形をしているが下にある椎体ほど大きく、特に第七頸椎は長く大きな棘突起を持ち、体表から容易に観察したり触れることができるため隆椎とも呼ばれる。
頸椎の中で最も運動が起こりやすいのは第一頸椎と第二頸椎の間であり、これを環軸関節と呼ぶ。 |
血圧 |
Blood
pressure |
血圧(けつあつ、英語: Blood
pressure)とは、血管内の血液の有する圧力のことである。一般には動脈の血圧のことで、心臓の収縮期と拡張期の血圧をいい、それぞれ収縮期血圧(または最高血圧、英: Systolic
blood pressure)、拡張期血圧(または最低血圧、英:
Diastolic
blood pressure)と呼ぶ。単位は永年の慣行からSI単位のパスカル(Pa)ではなく、水銀柱ミリメートル(mmHg)を使用することがほとんどである。
なお、血圧の単位について、一定の猶予期間後に水銀柱ミリメートル(mmHg)からパスカル(Pa)への移行が企図されているかのような誤解があり、医療現場から用途を限定する非SI単位としてmmHgの存続を望むという、頓珍漢な意見が多く出されている実態がある。
正しくは、計量単位令別表第6
項番12 にあるとおり、「血圧の計量」については、水銀柱ミリメートル(mmHg)を恒久的に使用することができる。2013年9月30日までの猶予措置がなされているのは、「生体内の圧力」の方であり、この「生体内の圧力」は、例えば、頭蓋内圧力、眼圧、気道内圧、膀胱内圧力のことであり、「血圧」はここでいう「生体内の圧力」ではない。生体内圧力の計量に使われている
mmHg は、2013年10月1日以降は、トルのみが使えることになる。
ヒトの血圧
左心室から大動脈弁を出た直後の大動脈内圧である。人間での正常範囲は、収縮期血圧で130mmHg未満、拡張期血圧で85mmHg未満とされている。血圧が上昇した場合、血圧反射機能により、自律神経を介した反射性の制御が行われ、心拍数が減少し、血管が拡張し、血圧は正常な範囲に戻る。
健康人においても、加齢によって正常血圧は上昇する。また、この正常範囲は21世紀初頭のものであり、以前から何回か改定されており、今後も改訂の可能性がある。
正常範囲を超えた血圧が維持されている状態は高血圧症と呼ばれ、生活習慣病のひとつである。また、正常範囲より低い状態は低血圧症と呼ばれる。低血圧症は、疲れが取れにくい・慢性的に体がだるい重い・耳鳴りがする・動悸や息切れがする・脳貧血で意識を失いやすいなどの症状は出るが、必ずしも早起きが苦手だとは言えない。この事に関しては医学的に根拠がない。
心臓の収縮力低下、アナフィラキシーショックなど血管の異常な拡張、血液の喪失などによって重要臓器への血流が保てないほど血圧が低下した状態はショック(末梢循環不全)と呼ばれる。この場合、中心静脈圧(静脈血圧)の低下も同時にみられる。
他に、医学的に重要な、特殊な血圧として、肺動脈楔入圧が挙げられる。
ヒトの血圧はさまざまな影響を受けて変動する。 |
血液 |
Blood |
血液(けつえき、英語:blood)は、動物の体内を巡る主要な体液で、全身の細胞に栄養分や酸素を運搬し、二酸化炭素や老廃物を運び出すための媒体である。
血液は、生体内で細胞が生きてゆく上で必要不可欠な媒質であり、性状や分量などは恒常性が保たれるように働く。ヒトの血液量は体重のおよそ
1/13(男性で約8%、女性で約7%)であり、体重 70 kg の場合は、約 5kg が血液の重さとなる。
動物一般について言えば、血液は体液とほぼ同意である。血液の流れを血流もしくは血行という。血液が管状の構造の中を流れている脊椎動物においては、この管を血管という。体液を体内で流通させるしくみがある場合、これを「血管系」あるいは「循環器系」という。血管系には開放血管系と閉鎖血管系がある。ヒトをはじめとする脊椎動物は閉鎖血管系であり、特に外傷などが無い限り、血液は血管の内部のみを流れる。血管の外には組織液があり、液体成分と一部の血球は血管の壁を越えて出入りする。血管の周囲にある細胞は、組織液に浸っていると考えてよい。甲殻類や昆虫など開放血管系の動物および循環器系のない動物においては血液は血管外にも流れ出すので、血液と組織液の区別はなく、体液はすべて血液と見なして良い。 |
血液型 |
Blood
type |
血液型(けつえきがた)とは、血液内にある血球の持つ抗原の違いをもとに決めた血液の分類のことである。
抗原は、赤血球・血小板・白血球・血漿などに存在し数百種類が知られており、その組み合せによって決まる血液型は膨大な数(数兆通り以上という説もあり)になる。世界を捜しても、一卵性双生児でもない限り自分と完全に同じ血液型をしている人はいないとすら言われる。この性質を利用して畜産、特にサラブレッド生産の分野において血液型が親子関係の証明に使われていた(現在は直接DNAを鑑定する手法が用いられる)。
輸血をする場合、ABO式など一部の分類は自然抗体が形成され、型違いの血液を混ぜると凝集や溶血が起きるため、型合わせする必要がある。また、血液型によって、凝集や溶血反応はそれぞれである。反応が一番激しいとされているのは、jr(a+)型である。 |
血液検査 |
Blood
test |
血液検査(けつえきけんさ)は、採血法によって得られた血液を利用して病状などを調べる臨床検査である。
検査は主に臨床検査技師が行う。
『血液検査の参考基準値』も参照。 |
血管 |
Blood
vessel |
血管(けっかん、Blood vessel)は、血液を身体の各所に送るための通路となる管。全身へ酸素や栄養分、老廃物、体温(恒温動物の場合)、水分を運ぶ。血管中の血液を規則的に送るための筋肉に富む構造がある場合、これを心臓という。血管中の血液の流れる方向は普通一定している。脊椎動物の血管は心臓から出る血液を送る動脈と心臓へ戻る血液を送る静脈、そしてそれぞれの末端(細動脈と細静脈)をつなぐ毛細血管からなる。
『人間の動静脈一覧』も参照。 |
血漿 |
Blood
plasma |
血漿(けっしょう)は血液に含まれる液体成分の一つ。血液の55%をしめる。
血漿量は、全体液量−細胞内液量-間質液量で求めることが出来る。また、エバンスブルー色素を用いての色素濃度の測定、放射性ヨウ素標識血清アルブミンを用いての放射活性からも血漿量を求めることが出来る。
やや黄色みを帯びた中性の液体で以下の成分で構成される。水 (91%) の次にたんぱく質 (7%) が多い。
・水
・蛋白質(アルブミン、フィブリノーゲン、免疫グロブリン)
・脂質
・糖類(グルコース)
・無機塩類 |
血小板 |
Platelet |
血小板(けっしょうばん、英名Platelet)は、血液に含まれる細胞成分の一種である。核を持たない。血管が損傷した時に集合してその傷口をふさぎ(血小板凝集)、止血作用を持つ。
血小板は、骨髄中の巨核球(巨大核細胞)という細胞の細胞質がちぎれたものである。そのため細胞質のみから構成されており、核を持たず、また形も不定形である。血小板1つ1つの大きさも一般の細胞よりはずっと小さく、1〜4
μm
である。通常の血液中には、10万〜40万個/mm3程度含まれている。寿命は3〜10日であり、寿命が尽きると主に脾臓で破壊される。
血小板数はPLTという略号で表されることが多い。 |
結腸⇒大腸 |
Large
intestine |
結腸(けっちょう、colon)とは、大腸のうち右腸骨窩から仙骨上端までの部分である。結腸はさらに上行結腸(盲腸から右結腸曲)、横行結腸(右結腸曲から左結腸曲)、下行結腸(左結腸曲から左腸骨窩)、S状結腸(左腸骨窩から直腸上端)に区別される。 |
腱 |
Tendon |
腱(けん)は、解剖学において骨格筋が骨に付着する部分の筋肉主体部寄りにある結合組織のひとつ。骨と骨とを結合させているものは靱帯という。両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類の骨格筋に付属して存在する。骨格筋は全体的に赤色(哺乳類)を示すが、腱はほぼ白色に見える。組成は殆どが線維質であるコラーゲンで、軟部組織としては硬い方に属する。代表的な腱はアキレス腱があり、人体の中では最大のものである。 |
肩甲骨 |
Scapula |
肩甲骨(けんこうこつ、 英名shoulder
blade、羅名scapula、pl.scapulae)は、四肢動物の肩帯を構成する骨の一つである。
本来の用字は肩胛骨で、「肩甲骨」は代用字である。
ヒトの肩甲骨は肩に一対あり、後方から肋骨を覆っている三角形状をした大型の骨である。 |
検便 |
Stool
test |
検便(けんべん)とは排泄された大便を検査すること。消化管疾患の有無、寄生虫、細菌感染の有無を調べるために行なわれる。食品を扱う調理従事者、保育介護関係者、水道管理事業従業員(配管工事ではなく、水そのものを管理する人)には定期的に検査を行なうことが多い。また海外渡航者、園児学童(最近行わない学校等も多い)を対象に検査が行なわれることもある。 |
交感神経幹 |
Sympathetic
trunk |
交感神経幹(こうかんしんけいかん、英:
sympathetic trunk)は、脊椎の傍らにあり、ほぼ頭蓋骨の底部から尾骨まで縦走する神経線維の束。左右に一本ずつあり、この線維束の中に交感神経の神経節が並ぶ。 |
交感神経系 |
Sympathetic
nervous
system |
交感神経系(こうかんしんけいけい、英:
Sympathetic nervous system, SNS)は、自律神経系の一つ。「闘争と逃走の神経(英語ではFight and Flight)」などとも呼ばれるように、激しい活動を行っている時に活性化する。「交換神経」は誤字。
末梢の交感神経線維は胸髄・腰髄の側角細胞に始まる。ここから出た神経線維は交感神経幹神経節(椎傍神経節)またはさらに末梢の椎前神経節(腹腔神経節・上腸間膜神経節など)に至り、ここで次のニューロンに交代して末梢の効果器に分布している。このように交感神経は2つの神経線維の連絡から成り立っており、神経節までの線維を節前線維といい、交代した神経節から先の線維を節後線維という。なお、1つの節前線維に複数の節後線維が接続していることも多い。
胸髄上部から出た交感神経線維は上に向かい頚部交感神経節(上・中・下頚神経節)でニューロンをかえ、頭頚部や上肢、心臓、肺などに分布する。一方で、胸髄中・下部の線維は大内臓神経、小内臓神経などとして、交感神経幹を通過し、腹部の腹腔神経節などでニューロンをかえて腹部の臓器に分布する。また、腰髄上部からの交感神経線維は腰内臓神経を伝って下腸間膜神経節に入りニューロンをかえ、腹部から骨盤部の臓器に分布している。
交感神経には内臓に分布する線維のほかに皮膚の末梢血管や立毛筋に分布するものもあるが、これらは交感神経幹神経節でニューロンを交代する。 |
虹彩 |
Iris |
虹彩(こうさい)とは、脊椎動物及び軟体動物頭足類の目において、角膜と水晶体の間にある薄い膜。瞳孔の大きさを調節して網膜に入る光の量を調節する役割を持つ。カメラの絞りに相当する。アイリス。
『ヒトの虹彩の色』も参照。 |
恒常性 |
Homeostasis |
恒常性(こうじょうせい)ないしはホメオスタシス(英:Homeostasis
ホメオステイシス、ギリシア:ΟΜΟΙΟΣΤΑΣΙΣ ホモイオスタシス)とは生物および鉱物において、その内部環境を一定の状態に保ちつづけようとする傾向のことである。
恒常性は生物のもつ重要な性質のひとつで生体の内部や外部の環境因子の変化にかかわらず生体の状態が一定に保たれるという性質、あるいはその状態を指す。生物が生物である要件のひとつであるほか、健康を定義する重要な要素でもある。生体恒常性とも言われる。
恒常性の保たれる範囲は体温や血圧、体液の浸透圧やpHなどをはじめ病原微生物やウイルスといった異物(非自己)の排除、創傷の修復など生体機能全般に及ぶ。
恒常性が保たれるためにはこれらが変化したとき、それを元に戻そうとする作用、すなわち生じた変化を打ち消す向きの変化を生む働きが存在しなければならない。これは、負のフィードバック作用と呼ばれる。この作用を主に司っているのが間脳視床下部であり、その指令の伝達網の役割を自律神経系や内分泌系(ホルモン分泌)が担っている。 |
甲状腺 |
Thyroid |
甲状腺(こうじょうせん、thyroid
gland)とは、頚部前面に位置する内分泌器官で、甲状腺ホルモン、カルシトニンなどのホルモンを分泌する。発生的には内胚葉に起源を持つ。 |
喉頭 |
Larynx |
喉頭(こうとう、larynx)とは、咽頭と気管の狭間で、舌骨より下にあり気管より上にある、頸部中央に一つ存在する器官のことをいう。体表からは、のど仏として触れることができ、嚥下時には上前方に移動する。嚥下時の食物の気管や肺への流入(誤嚥)の防止、発声などの機能を持つ。嚥下時には、喉頭蓋が後方に倒れ込み、声門が閉鎖することにより、気管に食物が入り込む事を阻止する。 |
喉頭隆起 |
Adam's
apple |
喉頭隆起(こうとうりゅうき)は、俗に喉仏(のどぼとけ)とも言い、喉の中間にある甲状軟骨の突起したところ。英語Adam's Apple、フランス語Pomme d'Adamなど。キリスト教圏では「アダムのりんご」という。ただし、スペイン本国のスペイン語ではnuez (de Adan)(aの頭に´)((アダムの)木の実、ナッツ)と表現するなど一部例外もある。
男子は思春期を過ぎると喉仏が目立つようになる。
人間の喉頭は、靱帯と筋肉によって結合された軟骨の枠内に固定されている。正面にあるのが甲状軟骨で、首の前方にかたまりをつくって、喉頭隆起、あるいは、西洋ではより一般的に「アダムの林檎」として知られている。
喉頭は思春期の間に、女性よりも男性においてより顕著に成長し、そのため典型的な喉仏は、女性や思春期前の少年少女より成人男性の方がさらに隆起している。この咽頭の成長はまた、十代の少年らの声変わりの原因でもある。
甲状軟骨は、喉頭の骨格(喉頭を含む気管の内外の軟骨構造)を作る9本の軟骨のうち最大のものである。これは2枚の板状の薄片から成り、軟骨の前方で合体し喉頭隆起と呼ばれる隆起を形作る。喉頭隆起は男女ともに明瞭だが、成人男性においていくぶん顕著な傾向がある。咽頭隆起のすぐ上方の甲状軟骨の縁は、甲状軟骨切痕または上甲状切痕と呼ばれている。
甲状軟骨の外側面を構成する2枚の薄片は、気管の左右それぞれの側を覆って斜めに広がる。各々の薄片の後縁はその下方で、輪状軟骨とともに、輪状甲状関節と呼ばれる関節を形成する。この関節での軟骨の動きは声帯ヒダの緊張の変化をもたらす。そして、それはさらに声の変化を生じる。甲状軟骨の上縁全体は、甲状舌骨膜によって舌骨とつながっている。
甲状軟骨は、そのすぐ後方に位置する喉頭を保護するのに役立つばかりでなく、喉頭の筋肉の付着する場所としても役立っている。 |
硬膜⇒髄膜 |
Dura
mater |
硬膜(こうまく、dura mater)は、脳と脊髄を覆う3層の髄膜のうち、一番外にある膜。硬膜の内にあるクモ膜とは密に接着している。ただし硬膜下隙と呼ばれる微細な隙間があり、硬膜下出血で血液がたまると肉眼で認められる程度まで広がる。硬膜は非常に厚く強靭な膜であって、脳と脊髄を周りの組織から隔て外傷や感染から守るという役割を担っている。クモ膜と軟膜をあわせて(広義の)軟膜(leptomeninx)と呼ぶのに対応し、硬膜をpachymeninxと呼ぶことがある。脳の硬膜と脊髄の硬膜を特に区別する必要があるときは、脳硬膜(のうこうまく、英語:cranial dura mater、ラテン語:dura mater encephali)、脊髄硬膜(せきずいこうまく、英語:spinal dura
mater、ラテン語:dura mater spinalis)と呼び分ける。 |
肛門 |
Anus |
肛門(こうもん)とは、消化管の出口のこと。解剖学的には直腸の体外への開口部。肛門括約筋によって制御される。 |
呼吸器 |
Respiratory
system |
呼吸器(こきゅうき、英語: respiratory
system)は、動物における外呼吸をするために特化した器官のこと。
酸素呼吸をする生物は、呼吸のために酸素を取り入れ、二酸化炭素を排出する。光合成をする生物では、それによる酸素・二酸化炭素とのやりとりがあるが、それ以外の生物、および、光合成生物でも、光合成のできない時間には、体外から酸素を取り入れ、体外へと二酸化炭素を排出する必要がある。これを外呼吸という。体内では細胞と血液の間でガス交換が行われ、これは内呼吸と呼ばれるが、一般的に「呼吸」とは外呼吸を指し、内呼吸は「代謝」と言い換える事が多い。
これは、一般には体表から行われるが、多細胞動物では、特定の部分で、これを集中的に行う。この部分を呼吸器という。呼吸器は、体表の面積を拡張する形になっている。水中では体表が体外に伸び出し、多数の枝分かれを生じる例が多く、それらは鰓と呼ばれる。陸上では、体内に細い管で空気を導く気管や、体内に高所を作る形の肺がある。肺においても、その内部に多数の凹凸を作って、やはり表面積を広げる適応が見られる。また、循環器を持つものでは、この部分にそれは集中することが多い。四肢動物では、血管系において、肺循環が独立している。 |
五臓六腑 |
Zang-fu |
五臓六腑(ごぞうろっぷ)とは、伝統中国医学において人間の内臓全体を言い表すときに用いられたことば。「五臓」とは、肝・心・脾・肺・腎を指す。心包を加え六臓とすることもある。「六腑」とは、胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦を指す。関係臓器がない三焦をはずして五腑とすることもある。現代医学における解剖学の知見とは異なる概念。陰陽五行説による解釈では、五臓も六腑もともに五行に配当され、それぞれの役割などについて説明される。
五臓六腑について書かれた最古の文献は、中国最古の医学書とされる『黄帝内経』であると言われている。 |
骨格 |
Skeleton |
骨格(こっかく、骨骼とも。英:
skeleton)とは、関節で結合した複数の骨および軟骨によって構成される構造のことを指す。 |
骨格筋 |
Skeletal
striated
muscle |
骨格筋(こっかくきん、英: skeletal
muscle)は、動物の筋肉の一分類であり、骨格を動かす筋肉を指す。ここではヒトの骨格筋について記す。
骨格筋は組織学的には横紋筋であり、内臓筋が平滑筋であるのと対照をなしている。ただし浅頭筋などにみられる皮筋や、舌や咽頭、横隔膜のような内臓筋の一部も骨格を支えているわけではないが、骨格筋組織である横紋筋である。
骨格筋は、細長い筋繊維とその細胞間を埋めて束ねる結合組織からなる。
筋繊維(筋線維とも)はそれぞれが一個の細胞で、筋細胞と呼ばれる。筋細胞は多くの核を持っている多核細胞(合胞体)である。 筋繊維の集まりが筋束を構成し、筋束の集まりが骨格筋を構成する。 |
骨髄 |
Bone
marrow |
骨髄(こつずい、英語:bone marrow)は、骨の中に存在する柔組織である。骨髄には、大きく分けて2種類の細胞がある。血液の細胞とそれを支持する間質細胞である。 |
骨盤 |
Pelvis |
骨盤(こつばん、pelvis)は大腿骨と脊柱の間で体を支える、強固に一体化した一群の骨の解剖学的名称である。
骨盤は、左右1対の寛骨、仙骨、尾骨で構成される。これらの骨はいずれも成長とともに癒合するため個数が変わる。
・寛骨 : 腸骨、坐骨、恥骨が17歳頃に一体化して1個の寛骨となる。
・仙骨 : 5個の仙椎が癒合して1個の仙骨となる。
・尾骨 : 3-6個の尾椎が部分的にあるいは全面的に癒合して尾骨となる。数は不定である(個々人で異なる)
・仙骨は脊柱の下端の骨ではない。下端は尾骨である。
・坐骨・腸骨・恥骨の結合部が大腿骨との関節になっている。肩関節と同じく球関節で自由度は2である。 |
骨盤
1. 仙骨 2. 腸骨
3. 坐骨
4. 恥骨
5. 恥骨結合 6. 寛骨臼 7. 閉鎖孔 8. 尾骨
赤線は骨盤縁(分界線) |
|
コレステロール |
Cholesterol |
コレステロール (cholesterol) とは、ステロイドに分類され、その中でもステロールと呼ばれるサブグループに属する有機化合物の一種である。分子式は
C27H46O と表される。室温で単離された場合は白色ないしは微黄色の固体である。生体内ではスクアレンからラノステロールを経て生合成される。P450
oxidoreductase(POR)はマイクロゾームに存在するP450酵素群に電子伝達を行う酵素であり、コレステロールの合成に関与している。
名称は1784年に研究者が胆石からコレステロールの固体を初めて同定した際、ギリシア語の
chole-(胆汁)と stereos(固体)から名付けられた。加えて化学構造がアルコール体であるため、化学命名接尾辞
"-ol" が付けられる。
いわゆる「善玉/悪玉コレステロール」と呼ばれる物は、コレステロールが血管中を輸送される際のコレステロールとリポタンパク質が作る複合体を示し、コレステロール分子自体を指すものではない。善玉と悪玉の違いは複合体を作るリポタンパク質の違いであり、これにより血管内での振る舞いが変わることに由来する。これらのコレステロールを原料とする複合体分子が血液の状態を計る血液検査の指標となっている。
コレステロール分子自体は、動物細胞にとっては生体膜の構成物質であったり、さまざまな生命現象に関わる重要な化合物である。よって生体において、広く分布しており、主要な生体分子といえる。
また、液晶の原材料など工業原料としても利用される。 |
さ |
細胞外液 |
Extracellular
fluid |
細胞外液(さいぼうがいえき、英: extracellular
fluid)は、細胞外に存在する体液の総称であり、血漿と間質液より構成される。脳脊髄液などの一部の細胞外液は細胞通過液として分類される場合もある。細胞の生活環境である細胞外液は内部環境とも呼ばれ、細胞外液の恒常性の維持は生命維持において不可欠な機構である。細胞外液は体重のおよそ20%(血漿:5%、間質液:15%)を占める。 |
細胞内液 |
Cytosol |
細胞内液(さいぼうないえき、英: intracellular
fluid)は、体液のうち細胞内に存在するものの総称。動物種により異なるが、体重の30〜40%程度を占め、細胞の種類によりその含有率は異なる。細胞膜を介して物質交換を行っており、同一の細胞であっても活動状況によりその組成は異なる。 |
鎖骨 |
Clavicle |
鎖骨(さこつ)は四肢動物の肩帯を構成する骨の一つ。
ヒトの鎖骨は、胸骨と肩甲骨を連結する事で肩構造を支持し、また各種筋肉の起始基盤として機能する。ウマ、イヌ、ウシ、ゾウの様な走行性の哺乳類等では退化している場合も多い。鎖骨がないといわゆる抱きつく所作(前脚を内側に曲げ保持すること)が困難で鎖骨のない動物は木登りができないことから、早期に草原に進出した動物は長距離移動に適応して鎖骨が退化し、長期間森林に生息した動物には鎖骨が残っているのではないかと考えられている。鳥類では左右の鎖骨が癒合し、暢思骨または叉骨と呼ばれる。
「鎖骨」という名称は、古代中国で脱走を防ぐために囚人の体に穴を空けて鎖を通した場所がこの部位であったことに由来する。別名、「巨骨」と呼ばれ、ここのある経穴も巨骨穴といわれる。
ヒトの鎖骨は、人体の中で最も折れ易い骨である。そこで、「肩に横方向から加わる衝撃を吸収するための、クラッシャブルゾーンの役割を果たしているのではないか。」という仮説が提唱されている。 |
坐骨 |
Ischium |
坐骨(ざこつ)(英名: IschiiまたはIschium、羅名:
ischii、os.ischii)は、四肢動物の腰帯を構成する骨の一つである。
ヒトの場合、坐骨、腸骨Ilium、恥骨Pubisをあわせて寛骨と呼ばれる。 |
坐骨神経 |
Sciatic
nerve |
坐骨神経(ざこつしんけい)は、多くの動物に於いて同一個体中で最大の直径と長さをもつ末梢神経。
ヒトの場合、腰仙骨神経叢から始まり総腓骨神経と脛骨神経に分かれて終わる。腰仙骨神経叢を構成する末梢神経のうち坐骨神経をなす物は第4、第5腰神経と第1〜第3仙骨神経である(L4〜S3)。
坐骨神経の走行は、腰仙骨神経叢を出た後、梨状筋の前面を通り、下殿神経と共に大坐骨孔(梨状筋下孔)を通って骨盤外へ出て、大腿後面(大殿筋と大腿二頭筋の前面)を下行し、大腿屈筋群(大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋)と大内転筋へ筋枝を分枝し、膝の裏(膝窩)の上方で2終枝(総腓骨神経と脛骨神経)に分かれる。
症状として坐骨神経痛がある。 |
三角筋 |
Deltoid
muscle |
三角筋(さんかくきん)は人間の上肢の筋。
三角筋の肩甲棘部は肩甲棘から、肩峰部は肩峰から、鎖骨部は鎖骨の外側部の1/3からそれぞれ起始し肩関節を覆う様に外下方へと走り上腕骨三角筋粗面に停止する。運動は肩関節を支点にして肩甲棘部が上腕を伸展・内転・外旋させ、肩峰部が上腕を外転させ、鎖骨部が上腕を屈曲・内転・内旋させる。支配神経は腕神経叢の腋窩神経レベルがC(4)・5・6である。 |
三叉神経⇒脳神経 |
Trigeminal
nerve |
三叉神経(さんさしんけい、英:trigeminal
nerve)は、12対ある脳神経の一つであり、第V脳神経(CN V)とも呼ばれる。三叉とはこの神経が眼神経(V1)、上顎神経(V2)、下顎神経(V3)の三神経に分かれることに由来する。体性運動性と知覚性の混合神経であり、脳神経の中で最大の神経である。 |
子宮 |
Uterus |
子宮(しきゅう、Uterus)とは、哺乳類のメスの生殖器の一つ。(単孔類を除く)
妊娠時、体内で子供(胎児)を育てるときには胎児の入れ物になる器官である。膣の奥にある。
膣に射精された精子が子宮に到達した場合でも、白血球の攻撃にさらされ数多く死滅する。また、ここから卵管への入口に辿り着いた精子は識別され、条件を満たした精子のみ卵管へ通過することが可能である。
卵(らん)が卵巣でつくられ、卵管を通って運ばれるうちに精子と受精すると、受精卵は子宮の内側の壁に付着し(着床)、出産までの期間、そこで成長する。妊娠中、子宮の大きさは胎児全体を包むように大きく拡張する。子宮内には、胎盤が構築され、子宮と胎児との間を区切り、物質交換などを担う。子袋(こぶくろ)ともいう。
子宮の形態は種により異なり、重複子宮、分裂子宮、双角子宮、単一子宮に分類される。 |
指骨 |
Phalanx
bone |
指骨(しこつ、phalanx bonesまたはphalanges)は、四肢動物の前肢・後肢の先端部にある、手および足の指を構成する骨の集合。
手(前肢)の指骨と足(後肢)の指骨を区別して呼ぶ場合は、足のものを趾骨(しこつ)と呼ぶ。欧米圏では指骨・趾骨ともに、古代ヨーロッパの密集陣形になぞらえてファランクス(ファランジ)、またはそれに近い名称で呼ばれる。
基節骨・中節骨・末節骨で構成される骨の集合で、動物の手足において、指に相当する部分を構成している。手足の中心部分を構成する中手骨・中足骨とは基節骨が接し、中節骨、末節骨の順に繋がっている。それぞれの骨や関節に種子骨が付くものもある。
固有の名称を持っていない骨で、中手骨などと同様に指の番号を付けて呼ばれる。例えばヒトの中指(第3指)の指骨であれば、根元から順に第3指基節骨・第3指中節骨・第3指末節骨となる。 |
視床⇒間脳 |
Thalamus |
視床(ししょう、英: thalamus)は、脳の構造のうち、間脳の一部を占める部位。また、広義の脳幹の最吻側部に当たる。
嗅覚を除き、視覚、聴覚、体性感覚などの感覚入力を大脳新皮質へ中継する重要な役割を担う。
広義の視床は背側視床(dorsal thalamus)、腹側視床(ventral thalamus)に区分されるが、通常「視床」と言った場合にはこのうち背側視床を指していることがほとんどであり、狭義の視床はほぼ背側視床に等しい。例外として、Nieuwenhuysらの定義では、外側膝状核および内側膝状核は厳密には背側視床ではなく視床後部(metathalamus)に含められるが、一般には狭義の視床に加えられることが多い。また腹側視床のうち視床網様核は、背側視床との関係が密であるため、便宜的に狭義の視床に加えられることもしばしばである。これだけでも明らかなように、研究者によって視床核群の分類法は異なっていることもあり注意を要するが、一般的な用法における(狭義の)視床は、「背側視床」「視床後部」(ときに「視床網様核」も)を合わせたものを指す。
視床は、分類にもよるが 20 あまりの視床亜核(thalamic
subnuclei)へと解剖学的に分類され、入出力が異なっており、それぞれ異なった機能を担っていると考えられている。
これらの核はアルファベットの略称で呼ばれることも多い。 |
視床下部⇒間脳 |
Hypothalamus |
視床下部(ししょうかぶ、Hypothalamus)とは、間脳(視床の前下方で、第三脳室下側壁)に位置し、自律機能の調節を行う総合中枢である。中脳以下の自律機能を司る中枢がそれぞれ呼吸運動や血管運動などの個々の自律機能を調節するのに対して、視床下部は交感神経・副交感神経機能及び内分泌機能を全体として総合的に調節している。視床下部には、体温調節中枢、下垂体ホルモンの調節中枢、浸透圧受容器などがある。また、視床下部は摂食行動や飲水行動、性行動、睡眠などの本能行動の中枢、及び怒りや不安などの情動行動の中枢でもある。
構造的には、室周層にある下垂体前葉ホルモン調節因子を分泌する漏斗核(弓状核、隆起核)、視床下部の前部で室周層と内側群の間にあるオキシトシンを産生する室傍核、視索の背外側および腹内側にあるバゾプレッシンを産生する視索上核、内側核群にあるGnRHを分泌する視索前核、摂食中枢(空腹中枢)を含む背内側視床下部核(背内側核)、満腹中枢を含む腹内側視床下部核(腹内側核)、交感神経と連絡する後核、大脳辺縁系と連絡し、感情形成に関与し、嗅覚と自律神経と関係する乳頭体核、外側核群にある交感神経と連絡する外側核、その他に視床下部の後外部にある視床下核がある。 |
舌 |
Tongue |
舌(ぜつ、した)は、動物の口の中にある器官。脊椎動物の舌は、筋肉でできた突起物である。筋肉を様々に動かすことで、形や位置を自在に変えることができ、食物を飲み込む際、言葉をしゃべる(構音)際などに使われるので、消化器、運動器の働きをもつといえる。その運動は非常に細かく、正確にコントロールすることが可能。また、哺乳類の舌には、味覚を感じる受容器である味蕾(みらい)があり、感覚器でもある。
脊椎動物以外にあって舌と名づけられた構造は、脊椎動物の舌の形などとの類似性から名づけられたものが多く、その構造、役割などは様々である。中でも有名なものに、軟体動物の歯舌(しぜつ)がある。 |
膝蓋骨 |
Patella |
膝蓋骨(しつがいこつ、英: Patella)は、三角形の骨で、大腿骨に繋がっており、膝の前面を保護している。人体の中では最も大きな種子骨である。その形状から、膝の皿とも呼ばれる。
膝蓋骨は大腿四頭筋腱に付着している。大腿四頭筋は収縮することで膝をまっすぐにする筋肉で、このうちの中間広筋が膝蓋骨底に付着している。また外側広筋腱と内側広筋腱がそれぞれ膝蓋骨の外側縁、内側縁に付着する。
膝蓋骨の主要な機能は、膝を伸縮することにある。膝蓋骨は腱が大腿骨を動かす際に、てこのような役割を果たすのである。
膝蓋骨は2歳から6歳頃までの間に骨化するが、先天的理由もしくは再生不良が原因で膝蓋骨が無い人もいる。また分裂膝蓋骨を持つ人は人口の約2%程度いるとされるが、通常は自覚症状を持たない。 |
脂肪細胞 |
Adipocyte |
脂肪細胞(しぼうさいぼう、英: adipocyte)は、細胞質内に脂肪滴を有する細胞のことである。単胞性脂肪細胞(白色脂肪細胞)と多胞性脂肪細胞(褐色脂肪細胞)とに分類される。単胞性脂肪細胞は大型の脂肪滴が存在し、核や細胞小器官は辺縁に圧迫されている。貯蔵型の細胞。多胞性脂肪細胞は小型あるいは中型の脂肪滴が多数存在し、細胞小器官が発達している。代謝型の細胞。冬眠する動物では多胞性脂肪細胞を主体とする脂肪組織を冬眠腺と呼ぶ場合がある。近年、脂肪組織に多くの脂肪幹細胞が見出され、脂肪幹細胞移植など再生医療のセルソース(細胞源)として、その価値に注目が集まってきた。 |
脂肪組織 |
Adipose
tissue |
脂肪組織(しぼうそしき)は、脂肪細胞で構成された疎性結合組織の解剖学的用語である。
主な役割は脂肪としてエネルギーを蓄えることであるが、外界からの物理的衝撃を吸収することで重要な器官を保護したり、外界の温度変化から断熱して体温を保ったりする機能も持つ。近年はホルモンを作り出す重要な内分泌器官としても注目されており、TNF-αやレプチン、最近発見されたレジスチンやアディポネクチンなどの産生に関与する。 |
指紋 |
Fingerprint |
指紋(しもん)は指先の皮膚にある汗腺の開口部が隆起した線(隆線)により出来る紋様。またはこの隆線の形作る模様が物体の表面に付着した跡。
人や指ごとに「紋様」は全て異なり、終生不変という特徴を持つと言われている。また、掌紋や足紋(足の裏の紋様)も同様の特性を持っており、これらを総称して皮膚紋理と呼ぶ。
遺伝子が同じ一卵性双生児同士であっても指紋は異なるが指紋の特徴は遺伝するものであり、人種や地域毎に紋様の出現比率が異なる。日本人の中で最も多く見られる紋様は渦状紋である。遺伝病である先天性指紋欠如疾患(en:Adermatoglyphia)や、ネーゲリ症候群(en:Naegeli--Franceschetti--Jadassohn
syndrome)、網状色素性皮膚症(en:Dermatopathia
pigmentosa reticularis)等の発症者は指紋が無いという特徴を持つ。歌舞伎症候群の発症者は蹄状紋増加等特徴的な指紋を有する。なお、台湾で5世代にわたって両手足の指紋が全く無い一族が発見された。
個々人で紋様が異なるという特徴から指紋は犯罪捜査や個人認証として利用されている。日本では1908年(明治41年)の司法官僚である平沼騏一郎の報告書に基づいて、1911年(明治44年)に警視庁が指紋制度を採用した。日本においては、江戸時代より「証文における署名・捺印」と同じ意味を持つ物として拇印が採用されていた。即ち、日本は昔から「指紋による個人特定」を認識していたと言える。 |
尺骨 |
Ulna |
尺骨(しゃっこつ)(英名 elbow
bone、羅名 ulna pl, ulnae)は、四肢動物の前肢を構成する骨であり、前腕の二本の長い骨のうちの一つである。
断面は角柱状の形状を取り、橈骨と平行に並んで存在している。尺骨と橈骨の大きさや長さを比較すると、尺骨の方がやや大きく長い。解剖学的正位(腕を体の脇に下げ、掌の表側を前に向けた位置)において、体に近い内側(ないそく)側にあり、小指の側に位置するのが尺骨である。
前腕および手の尺骨側を尺側(しゃくそく)という。同部位に対しては医学用語の内側(ないそく)が日常語の外側(そとがわ)に当たり、紛らわしい。尺側の反対側を橈側(とうそく)と呼ぶ。 |
十二指腸 |
Duodenum |
十二指腸(じゅうにしちょう、Duodenum)は、胃と小腸をつなぐ消化管である。全体の形はC字状で長さは約25cm。十二指腸の名は、ターヘル・アナトミアを解体新書として和訳刊行された際に、新たに作られた医学用語のひとつである。ラテン語では本来
duodenum digitorum(duodenum「12」+digitorum「指」=「12本の指の幅」)と呼ばれていた。さらにさかのぼるとギリシャ語dodekadaktylos(dodeka「12」+daktylos「指」)から来ている。いずれにせよ、この名はこの部分の長さが指の幅の12倍ほどであることに由来する。大部分が後腹膜に固定されており、可動性がない。
なお、小腸の一部とする考え方もあり、その場合は空腸と回腸と違い腸間膜に包まれないので無腸間膜小腸と呼称する場合もある。 |
循環器 |
Circulatory
system |
循環器(じゅんかんき、英: Circulation)とは、動物の器官の分類のひとつで、血液やリンパ液などの体液を体内で輸送し循環させる働きを行う。この器官の群は循環器系と呼ばれ、そのほとんどが管状であるため脈管系とも呼ばれる。これには2つの系統があり、血液を循環させる血管系、リンパ液を循環させるリンパ系と言う。
体のすべての細胞は、その活動のために酸素や栄養分を必要とし、また二酸化炭素や老廃物を除去する必要があるため、これを血液の形ですべての細胞とやり取りする必要がある。脊椎動物では、このシステムは心臓とそれに接続された血管と呼ばれる管によって達成されている。血管は、心臓から体の各部まで血液を運んだ後、再び心臓まで戻るような経路になっており、文字通り「循環」するようになっている。これに加えて、血液は免疫のためのリンパ球をも運んでおり、白血球の機能に関する器官も循環器に含めることが多い。 |
消化器 |
Human
gastrointestinal
tract |
ヒトの消化器 |
消化器(しょうかき)とは、多細胞生物、特に動物において、食物を体内に摂取し、貯蔵と消化、消化された食物からの栄養素の吸収、不消化物の排泄、およびそれらを行うための運搬、といった働きを担う器官群の事。主要な器官は消化管(しょうかかん、英語: alimentary canal, alimentary tract)であり、これらの働きをコントロールする消化腺(しょうかせん)まはた付属腺(ふぞくせん)、歯や肝臓などの付属器(ふぞくき)も含まれる。これらの器官をまとめたシステムを消化器系(しょうかきけい)という器官系として扱う。
分類との関係
動物は食物を摂取し、それを消化吸収することで生活している。消化吸収の手法には生物の種類によって様々あり、体外で行うもの、体内に取り込んで行うもの、また体内でも細胞内に取り込むものもある。体内消化を行う動物には、腔所として消化器が分化しているものが多い。それらは発生的には原腸胚期に形成される原腸に起源を持つ、内胚葉由来の器官であり、相同な構造である。
消化器は入り口(口)と出口(肛門)を結ぶ管状の構造で、途中にはその機能に応じて様々な分化が見られ、また付随する器官がある。ただし、いくつかの例外がある。海綿動物、平板動物などには明確な消化器がなく、これらは消化器が分化する以前の動物の姿を残すものと考えられる。刺胞動物や扁形動物などは消化器の出入り口が一つしかなく、袋状、または盲嚢で終わる消化器を持つ。これらは、消化器の出入り口が未分化の状態と考えられ、消化のシステムも細胞内消化が主である。他にも腕足動物などいくつかの群に肛門を欠く動物があるが、それらは二次的に退化したものと考えられる。また、中生動物などでは消化器そのものがないが、これらも祖先は持っていたものと考えられている。環形動物以上の動物は、前方にある口で摂取・咀嚼・貯留を行い、体の軸に沿って続く消化器の途中で化学的消化がなされ、後方で栄養分の吸収と老廃物の排泄をする。単純な生物ではこの連なりが直線的だが、高等生物では複雑に曲がりくねった構造を持ち、動物の各群において消化器の様子や配置はその動物の体制の基本的特徴と見なされる。 |
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松果体 |
Pineal
gland |
松果体(しょうかたい、英語:pineal
body)は、脳にある小さな内分泌器。松果腺 (pineal gland) 、上生体 (epiphysis) とも呼ばれる。脳内の中央、2つの大脳半球の間に位置し、2つの視床体が結合する溝にはさみ込まれている。概日リズムを調節するホルモン、メラトニンを分泌することで知られる。 |
上気道⇔下気道 |
Respiratory
tract |
上気道(じょうきどう)は、呼吸器(気道)のうち、鼻から鼻腔、鼻咽腔、咽頭、喉頭までをいう。これに対して、喉頭よりも肺側の気管、気管支、細気管支、肺を下気道(気管より末梢の気道)という。 |
小腸 |
Small
intestine |
小腸(しょうちょう、small intestine)は、消化器のうち消化管の一部で消化と吸収を行う。
ヒトの小腸は胃に続き大腸へと繋がる消化管である。長さ約6mだが生体内では筋肉の収縮によって3m前後まで縮んでいる。太さは3〜4cm。腹腔の中で曲がりくねっている。小腸は、十二指腸・空腸・回腸の3箇所に区分される。 |
小脳 |
Cerebellum |
小脳(しょうのう、英: cerebellum、ラテン語で「小さな脳」を意味する)は、脳の部位の名称。脳を背側から見たときに大脳の尾側に位置し、外観がカリフラワー状をした部分である。脳幹の背側に位置しており、脳幹と小脳の間には第四脳室が存在する。重さは成人で120〜140グラムで、脳全体の重さの10%強をしめる。小脳の主要な機能は知覚と運動機能の統合であり、平衡・筋緊張・随意筋運動の調節などを司る。このため、小脳が損傷を受けると、運動や平衡感覚に異常をきたし、精密な運動ができなくなったり酒に酔っているようなふらふらとした歩行となることがある。
小脳の傷害が運動障害を引き起こすことを最初に示したのは、18世紀の生理学者たちであった。その後19世紀初頭〜中盤にかけて、実験動物を用いた小脳切除・病変形成実験が行われ、小脳傷害が異常運動・異常歩様・筋力低下の原因となることが明らかにされた。これらの研究成果に基づき、小脳が運動制御に重要な役割を果たすという結論が導かれたのである。
協調運動制御のため、小脳と大脳運動野(情報を筋肉に伝達し運動を起こさせる)および脊髄小脳路(身体位置保持のための固有受容フィードバックを起こす)を結ぶ多くの神経回路が存在する。小脳は運動を微調整するため体位に対し絶えずフィードバックをかけることで、これらの経路を統合している。 |
静脈 |
Vein |
静脈(じょうみゃく、vein、Venae)は、毛細血管から発生した静脈血を心臓に送るために使われる血管。毛細血管の吻合により細静脈に至り、静脈となる。ただし、肺静脈のみ、他の静脈とは機能が異なり、動脈血が流れる。
全身の静脈は、肺静脈系と大静脈系に二分される。大静脈系は腸などからの血流を肝臓に運ぶ門脈系を含む。静脈は皮膚からの位置によっていくつかに分類されている。すなわち、筋膜よりも皮膚よりを走行する皮静脈、筋膜下を走る深静脈、両静脈をつなぐ貫通静脈である。深静脈は動脈と一対をなし、解剖学では後脛骨静脈と後脛骨動脈や、最上肋間静脈と最上肋間動脈のように同名が与えられている。 |
上腕骨 |
Humerus |
上腕骨(じょうわんこつ)(英名arm
bone)(羅名humerus、pl.humeri)とは、四肢動物の前肢において近位部を構成する長骨である。
ヒトの上腕骨は、左右の上腕に1つずつ存在して上腕構造を支持し、近位端に上腕骨頭と言う半球状の構造をもち、遠位端には上腕骨滑車と上腕骨小頭を持ち、鼓(つづみ)のような構造を形成する。両端で太く中央でやや細い。 |
上腕二頭筋 |
Biceps |
上腕二頭筋(じょうわんにとうきん、biceps
brachii )は人間の上肢の筋肉。腕を曲げた時によく浮き出る筋肉で通称力こぶと呼ばれている。しばしば上腕二頭筋を見せることは力強い男性のイメージを作り出し、アメリカンコミックのポパイやボディビルのポーズなどに良く見られる。
二頭の名の通り起始部が長頭と短頭に分かれている。長頭は肩甲骨関節上結節から起こり、上腕二頭筋長頭腱として関節包内・上腕骨結節間溝を通り、大部分は橈骨粗面に停止する。一部は尺骨の前腕筋膜に停止する。短頭は肩甲骨烏口突起から起こり、停止部は長頭と同様である。
支配神経は腕神経叢の外側神経束の枝である筋皮神経である。
作用としては前腕の屈曲と回外(肘を90°で固定し手のひらを上に向ける動作)を行う。屈曲時には上腕筋、烏口腕筋などと共に協調して働くが、純粋に前腕の屈曲をする主動作筋は上腕筋である。前腕屈曲位の拮抗筋は上腕三頭筋となる。前腕の回外は回外筋、腕橈骨筋などと協調して働く。大部分のドアのノブや螺子が右回りに作られているのは前腕の回外時に出る力が上腕二頭筋によって回内時よりも力が出やすいためである。
上腕二頭筋全体を効率よく鍛える種目はダンベルカールやバーベルカール、短頭を鍛えるにはコンセントレーションカールやプリーチャーベンチカール、長頭ならインクラインカールやインクラインハンマーカールなどが効果的である。他にも、ナローチンニング(懸垂)なども効果的である。 |
食道 |
Esophagus |
食道(しょくどう、Esophagus)は、消化管の一部で、口腔、咽頭に続き、食物が胃に送り込まれるときに通過する管状の器官のこと。食道では、食物の消化は行われない。
食道の構造と機能
ヒトの食道は、成人で25〜30
cm前後の長さがあり、頸部(第6頸椎)で喉頭の後ろ側で始まり、胸部では気管支、大動脈弓などの後ろを通り、横隔膜(食道裂孔)を突き抜けて腹部に至る。横隔膜の下(第11胸椎)で胃の噴門とつながる。食道には3箇所の生理的狭窄部がある。咽頭との接合部、気管支の後ろを通る部位、そして横隔膜を抜ける部位で、食物がよくつまるのはこれらの箇所である。
食道の壁は、内腔側から粘膜、筋層、外膜と分けることができる。粘膜は、口で咀嚼されたとはいえ、まだ形を保ったままの食物が通過することで傷つかないように、力学的に強い重層扁平上皮で構成されている。粘膜のすぐ下層にある多数の食道腺が粘膜の表面に粘液を分泌することで、食物の通りをよくするはたらきがある。筋層は2層構造をしており、内側の筋は輪走筋、外側の筋は縦走筋に相当するが、長軸方向に対して筋線維は垂直/平行ではなく、いずれも斜行している。これらが順に収縮することで食物を胃に送り出すような動きをする。これを蠕動運動という。また、他の消化器官と異なる特徴として、口に近い側の上部食道の筋は横紋筋で構成されているという点がある。なお、胃に近い側の下部食道の筋は他の消化器官同様、平滑筋で構成されている。ただし、ラットなどの他の哺乳類には、全長に渡って横紋筋で構成されているものもいる。これらの筋は、自律神経の働きで無意識下で収縮運動が起こる。「喉元過ぎて熱さを忘れる」の言葉どおり、食道の粘膜の感覚はあまり鋭敏ではない。 |
尻 |
Buttocks |
尻、臀(しり、英: buttocks)とは、一般に四足動物(とくに哺乳類)における胴の後方(ヒトのような直立動物においては下後方)、肛門周囲の部位のこと。臀部(でんぶ)。
位置としては骨盤の後方にあたり、大腿部を支える筋肉などが集中するため、筋肉質に盛り上がる。ヒトの場合、直立姿勢の関係から、背面が平らになっているため、この部分だけが後方に突き出し、なお目立つ部分となっている。
鳥類における尾羽部分または尾羽が生えている部分を尻と称することもある。昆虫類においても、胴の最後部を尻と呼ぶことがある。トカゲのような爬虫類においては、肛門周囲ではあっても尻とは通常は呼ばない。しかし、その尾を尻尾(しっぽ)と称する。食肉としてはイチボとランプが尻の肉に相当する。
俗に「けつ」、「おかま」、「おいど」、「いしき」、「アナル」と呼ばれることがある。古語では「いさらい」、「ゐさらひ」、「いざらい」とも表記する。丁寧語では「お尻」または「おけつ」。盛り上がったやや平坦な部分を「尻っぺた」や「けつっぺた」とも呼ぶ。排泄や性にまつわる部位であることなどから、世界各国においてさまざまな隠語・俗語がある。 |
自律神経系 |
Autonomic
nervous
system |
自律神経系(じりつしんけいけい、英:
Autonomic nervous system)は、末梢神経系のうち植物性機能を担う神経系であり、動物性機能を担う体性神経系に対比される。自律神経系は内臓諸臓器の機能を調節する遠心性機序と内臓からの情報を中枢神経系に伝える求心性の機序という2つの系からなる。
交感神経系と副交感神経系の2つの神経系で構成されている。 |
心筋 |
Cardiac
muscle |
心筋(しんきん)とは、心臓を構成する筋肉のことをいう。
心筋は、骨格筋と同じ横紋筋であるが、骨格筋は随意筋で多核の細胞でできているのに対して、心筋は単核(稀に2核)の細胞でできており、不随意筋である。また、ミトコンドリアが非常に多く存在しており、心筋が要求するエネルギーの大部分をまかなっている。心房には血圧と血流の制御に関連する心房性ナトリウム利尿ペプチドと呼ばれるペプチドホルモンを合成、分泌する心筋細胞が存在する。心筋細胞は介在板により結ばれ、心筋線維を形成する。心筋線維は静止時には細胞外に対して-50〜-90mVの膜電位を有する。骨格筋の絶対不応期は1〜3msecなのに対して、心筋の絶対不応期は200msecと長い。 |
神経 |
Nerve |
神経(しんけい、英: Nerve)は、動物に見られる組織で、情報伝達の役割を担う。
日本語の「神経」は杉田玄白らが解体新書を翻訳する際、神気と経脈とを合わせた造語をあてたことに由来しており、これは現在の漢字圏でもそのまま使われている。
全体の構造からみると、情報の統合のため体正中部に集合して存在する「中枢神経系」と、中枢外に存在し、個別に線維として認識される「末梢神経系」とに分けられる。末梢では、繊維(線維)の形態が神経繊維束(神経線維束)として明瞭に認められるために、これのみを「神経」と呼ぶことも多い。神経細胞の核を含む部分は「核周部 (perikaryon)」と呼ばれ、小胞体やゴルジ体を含み、タンパク合成の中心的部分となっている。神経細胞は多数の突起を持つが、これらは核周部に向かって情報を運ぶ「樹状突起
(dendrite)」と、核周部から離れた方向に情報を運ぶ「軸索 (axon)」とに分類される。軸索の末端は他の神経や効果器官と、わずかな空間 (1/50,000mm) を隔ててシナプスを形成する。
神経細胞や軸索が単独で存在することは少なく、集団をなすことが多い。一定の機能を持つ神経細胞の核周部が、中枢において集まった場合、この集団を「神経核 (nucleus)」と呼び、末梢では「神経節
(ganglion)」という名で呼んでいる。また哺乳類では、大脳や小脳の表面に神経細胞が隙間なく並んで層状の灰白質を形成する皮質(大脳皮質、海馬、小脳皮質など)がつくられる。
中枢の核や、末梢の神経節に出入りする神経線維も、まとまって走行することが多いが、各神経線維は直接接するのではなく、神経膠細胞
(neuroglia) によって支持されたり、被覆・絶縁されたりしている。神経軸索を直接被覆するグリア細胞として、有髄神経の鞘を作り、跳躍伝導に寄与することにより、神経の伝導速度を飛躍的に早めているシュワン細胞(中枢では、希突起膠細胞、oligodendroglia)が有名である。末梢では、神経線維は関節や筋肉周辺を走るために、体の運動に伴った伸張・変形が起こる際に、線維をどう守るかが重要である。肉眼的に認められる神経は、グリアに被覆された神経軸索の束が、更に膠原線維により、神経上膜・周膜・内膜と、三重に取り囲まれた構造物として存在するのである。このようにして末梢神経が多少牽引されても、コラーゲン線維の抗張性により保護される。中枢神経は、多くの場合強固な骨(頭蓋・脊柱)内に格納され、変形することはほとんどないので、コラーゲン成分の少ない部分として知られている。
『ヒトの神経の名称一覧』も参照。 |
神経系 |
Nervous
system |
神経系(しんけいけい、英: nervous
system)とは、主に神経細胞(ニューロン)の連鎖によって作られる神経と通して、外部の情報の伝達と処理を行う動物の器官。
内容的には、一つの動物体における神経全体の配置のあり方を指す場合と、同一個体内での、神経の系統の大きな区別を指す場合がある。前者は動物の分類において、上位分類群を特徴付ける重要な特徴と見なされる。
また、神経系が情報を受け渡しする対象である「外部」にも2つの意味があり、ひとつは生体の外部を指す場合と、もうひとつは生体の内部ながら神経系の外部を指す場合の両方がある。
海綿動物・平板動物は神経系を持たない。それ以外の動物門は、それぞれに独特の神経系を持つ。神経系の発達は、体制の発達を考えた場合に、一つの高等さの指標となる。
・在神経系 - クラゲなどの腔腸動物では神経細胞(上皮筋細胞)が体表にあり、分散型のネットワークを形成する。中枢神経が分化しない。
・集中神経系
・管状神経系 - 中枢神経系は背面中央に1本あり、管状。前方部分が脳に分化するものが多い。(ヒトなどの脊椎動物を含む脊索動物)
・はしご形神経系
- 中枢神経系は腹面左右に1本ずつあり、各体節ごとに神経細胞が集まってその両者を連結する神経節が存在する(昆虫類などの節足動物、環形動物)。節足動物の昆虫などでは、頭部と胸部の神経節が発達して脳を形成する。
・かご形神経系 - 神経細胞が頭部に集まって神経節をつくり、その他の部位では、はしご状に連絡する神経索が存在する(プラナリアなどのhttp://ja.wikipedia.org/wiki/謇∝ス「蜍慕黄扁形動物)
ヒトの神経系は、突起部を含む神経細胞の単位をいうニューロンがシナプスで連続し、神経伝達物質が分泌される事で興奮が伝達する機能から成り立つ。これはニューロン連鎖と呼ばれ、感覚や運動または自浄作用から、記憶や思考まはた判断や感情などの精神活動の大元でもあると考えられる。ニューロン連鎖は伝導路という決まった経路の束をつくる。この経路には求心性(感覚性・上行性)と遠心性(運動性・下行性)という方向性があり、ひとつのニューロン連鎖は双方向に情報をやり取りしない。
一般にヒトに神経系は、大きく中枢神経系と末梢神経系の2つに分けられる。
中枢神経系 |
脳(脳神経) |
前脳 |
大脳 |
嗅脳,へんとう,線条体,海馬,大脳新皮質 |
間脳 |
視床上部,視床,視床下部,視床腹部,下垂体,松果体,第三脳室 |
脳幹 |
中脳 |
中脳蓋,大脳脚,視蓋前域,中脳水道 |
菱脳 |
後脳 |
橋,小脳 |
髄脳 |
延髄 |
脊髄(脊髄神経)
|
末梢神経系 |
体性神経系
(随意、動物性機能) |
求心性神経(感覚神経) |
遠心性神経(運動神経) |
自律神経系
(不随意、植物性機能) |
交感神経 |
激しい活動を行っている時に活性化 |
副交感神経 |
遠心性、コリン作用性 |
|
神経細胞 |
Neuron |
神経細胞(しんけいさいぼう、ニューロン、neuron)は、神経系を構成する細胞で、その機能は情報処理と情報伝達に特化しており、動物に特有である。なお、日本においては「神経細胞」という言葉でニューロン(neuron)ではなく神経細胞体(soma)を指す慣習があるが、本稿では「神経細胞」の語を、一つの細胞の全体を指して「ニューロン」と同義的に用いる。
神経細胞の基本的な機能は、神経細胞へ入力刺激が入ってきた場合に、活動電位を発生させ、他の細胞に情報を伝達することである。ひとつの神経細胞に複数の細胞から入力したり、活動電位がおきる閾値を変化させたりすることにより、情報の修飾が行われる。
神経細胞は主に3つの部分に区分けされ、細胞核のある細胞体、他の細胞からの入力を受ける樹状突起、他の細胞に出力する軸索に分けられる。樹状突起と軸索は発生的にはほぼ同じ過程をたどるため、両者をまとめて神経突起(neurite)とも言う。前の細胞の軸索終末と後ろの細胞の樹状突起の間の情報を伝達する部分には、微小な間隙を持つシナプスと呼ばれる化学物質による伝達構造が形成されている。
神経細胞の中には、光や機械的刺激などに反応する感覚細胞や、筋繊維に出力する運動神経の細胞などもある。
なお「ニューロン」とは、「神経元」とも訳され、神経系の構成単位を意味する語として生み出された造語である。神経の構造に関する論争の中で作られた。現在においては、単に細胞の名前として「神経細胞」と同義的に用いられる。 |
神経繊維 |
Axon |
神経繊維(しんけいせんい、神経線維とも、英:
nerve fiber, axon)は、神経細胞の細胞体から延びる細長い突起で、実体は神経細胞の軸索(神経突起)である。あるいは、軸索と樹状突起を併せた総称。いずれにせよ、「神経線維」と言ったときは神経細胞の一部位というよりは、よりマクロ的な捉え方をしているものである。神経線維は活動電位の伝導に加え、神経終末と細胞体との間の物質交換に役立っている。肉眼的に見える「神経」は、神経線維の束(神経線維束)とその周囲の結合組織からなる。 |
心臓 |
Heart |
心臓(しんぞう)とは、血液循環の原動力となる器官のこと。血液循環系の中枢器官のこと。
心臓は特に脊椎動物のもつ筋肉質の臓器であり、律動的な収縮によって血液の循環を行うポンプの役目を担っている。あるいは、環形動物・軟体動物・節足動物における似たような役割の構造である。
ある程度規模の大きな多細胞の動物において、細胞が代謝を維持するには常に血液によってエネルギー源や酸素を受け取り、老廃物や二酸化炭素を運び出す必要がある。そのため、心臓が機能を停止することは生き物の存続条件の一つである代謝・呼吸ができなくなることであり、通常は個体の死を意味する。
ヒトの心臓の構造
血液の流れは白い矢印で示されている。
位置
ヒトの心臓の位置は胸腔内の縦隔下部ほぼ中央にあり、心膜が包む形で形成される心嚢の中にあり、前胸壁と食道が挟んでいる。大きさは握りこぶし程度である。形はおおまかに逆円錐状で、その軸は左斜め側に傾いている。そのため心臓の下部は左側に傾き、肋骨の左側第5肋間から鎖骨中線の間に位置する。心臓は、上部の太く大きな血管があり右後方に尖る部分を「心底」、下部の左前方に尖った部分を「心尖」と言う。成人の場合、心尖は第5肋間・正中線から左に7-9cmの場所にあり、ここに触れると拍動を確認できる。 |
構造
心膜は繊維性部分と漿膜性部分がある。繊維性心膜(壁側膜)は臓器間を埋める繊維性結合組織の一部でできており、これによって心嚢は、前面で胸骨の裏と、底で横隔膜の中央にある腱の真ん中上部と、それぞれしっかりと固着されつつ、内側では心筋肉と接触している。漿膜性心膜(心外膜・臓側膜)は繊維性心膜の内側にあり、心嚢を内張りする役目を負っている。漿膜性心膜の内側には心膜腔というすきまがあり、内側には液体の漿液(心膜液)が分泌されている。この液は、心臓の拍動から生じる摩擦を低減する効果を持つ。
心臓を動かす厚い筋肉は心筋と呼ばれ、骨格筋と同様にアクチンとミオシンのフィラメントが滑走して動く横紋筋でありながら、多くの枝分かれ構造を持ち互いに境界膜(介在膜)で電気的に連絡し、まるで1つの大きな細胞のように同期する機能的合胞体となっている。この心筋は心臓を螺旋状に取り囲んでいる。心筋は伸展の大きさに対応して強い収縮を行い、流入する血液が多くなると強く縮んで拍出量を増やす。これはスターリングの法則と呼ばれる。
内臓の配置を決める役目を持つ細胞群には、6μm (6/1000 mm)程の長さの「線毛」と呼ばれる細長い細胞の突起があり、この線毛は常に時計回りに回転運動をしている。この動きにより体液に流れができ、線毛の根元にある「情報伝達物質」が一定の方向に流れていく。心臓に限ると、この情報伝達物質が付着した部分が「左」側となる。心臓や他の臓器の左右が決まると、線毛を持つ細胞群の役割は終わり、消失する。この仕組は、東京大学で分子細胞生物学を研究する廣川信隆のグループにより、1998年世界で初めて解明された。
ヒトの心臓は二対の心房・心室、つまり右心房、左心房、右心室、左心室から成る。心臓のサイズは握りこぶしほどの大きさである。それぞれの壁は、心房よりも心室が、同じ心室でも左心室の方が厚い。心臓は血液の逆流を防止するために4つの弁を持っている。弁は右心房と右心室、右心室と肺動脈、左心房と左心室、左心室と大動脈の間に存在し、それぞれ、三尖弁、肺動脈弁、僧帽弁(二尖弁)、大動脈弁と呼ばれる。弁の周囲は腱索を介して心室の乳頭筋に繋がり、ひっくり返らないようになっている。
心臓は送り出す血液のうち約5%を心臓自身で用いている。心臓を潤す栄養血管は冠動脈と言い、大動脈基部のValsalva洞から右心房・心室に伸び心臓の下部を回りこんで左心室の後・下壁に至る右冠動脈 (RCA) と、左心房・心室前方から中隔・心尖部に伸びる左冠動脈 (LCA) の2本に枝分かれする。心筋は大きく脈動するため、血液の供給は主に筋肉の縮まる力が低くなった心臓拡張時に行われる。
心臓は交感神経と副交感神経の支配を受ける。前者は心拍数や心筋収縮力の増加および興奮伝達速度を早め、後者はこれらの減少や遅延を促す。心臓の中で耳状になっている所を心耳(en:auricle)といい、左側を左心耳(left auricle)、右側を右心耳(right auricle)という。 |
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腎臓 |
Kidney |
腎臓(じんぞう)は、泌尿器系の器官の一つ。
「肝腎」の言葉の通り、非常に重要な臓器の一つで、血液からの老廃物や余分な水分の濾過及び排出(尿)、体液の恒常性の維持を主な役割とする。 |
人体 |
Human
body |
人体(じんたい、human body)とは、人の体を指す。
「人体」という表現は医学、解剖学、生理学、生物学、工学、美術などの分野で広く用いられている。日常表現では、あえて人のそれと特定する必要もないので「からだ」「カラダ」などと呼ばれることのほうが多い。また「身体」と呼ばれることもあり、ほぼ同等の意味であることもあるが、多少用法が異なっていることもある。
人体の外観はおおまかに見ると、頭、首、胴体、両腕、両脚に分けることが可能であり、それらを「五体」と呼んでいる。人類の平均身長は1.6m程度。統計的に見れば人体の大きさは人種によって異なっている。人体のかたちは体型と呼ばれており、これは栄養の取り方やダイエットなどの後天的な要素によってひとりひとり異なっている。人体に脂肪が過剰についている状態は肥満と呼ばれている。また体型は男女の性の別によっても違いが見られ、男性に比べて女性のほうが統計的に見て体脂肪率が高く、脂肪が多い分、外形的には丸みを帯びていることが多い。各部位の長さやサイズの全身に対する比率をプロポーションという。身長に対する脚の長さの比率、腕の長さの比率なども地域・人種によって傾向が異なっている。(比較してみると、「アフリカ人」や「黒人」と呼ばれている人々は脚や腕がすらりと長い傾向があり、プロポーションが良いとされることがある。)
肌(皮膚)の色も、人種によって傾向が異なっている。 |
靭帯 |
Ligament |
靭帯(じんたい)は、強靭な結合組織の短い束で、骨と骨を繋ぎ関節を形作る。主成分は長いコラーゲンの線維である。靭帯には関節の可動域を制限する働きもある。なお、骨と骨格筋を繋ぐのは靱帯ではなく腱である。
関節包靭帯は関節包の一部となって関節を包み、機械的な強度を増すのに役立っている。関節包外靭帯は骨と骨の剥離を防ぎ、関節を安定させる役割を持っている。
靭帯には若干の弾性があり、張力がかかると次第に伸びていく。脱臼した場合、できるだけ早期に整復する必要があるのは、一つにはこのためである。治療が遅れると靭帯が伸び過ぎ、関節の強度が落ち、習慣的な脱臼の元になる。 |
人体比率 |
Body
proportions |
人体比率(じんたいひりつ)とは、人体あるいはもっと一般的には動物の身体の、各部分の相互関係や身体全体との長さの関係のことである。西洋における芸術分野において、全身像を描くために研究対象とされてきた。例えば、身長が頭部の高さのN倍であることを「N頭身」と呼ぶのはその一例で、ギリシアやルネッサンス期においては成人は平均的に7頭身から8頭身であるとされている。下記のように様々な部位について標準的な比率が割り出されてきた。
もっとも、デフォルメ技術を用いて表現する際には、標準的な比率から大きく外れることもある。実際、マニエリズムの画家は10頭身以上に身長を引き伸ばした人体を書いたとされている。また、近年においてはスーパーデフォルメの技術を用いる表現手法もあり、スーパーデフォルメの頭身に合わせた人体比率があるとする意見もある。 |
水晶体 |
Lens |
水晶体(すいしょうたい、英lens)は、人間の目の中にある組織。カメラでいう凸レンズの役割を果たす。
厚さは約4mm前後で、直径は約9mm。無色透明で、凸レンズの形状。眼球における屈折力の1/4から1/3を担っている。毛様体と呼ばれる筋肉がつながり、チン小帯で支えられる。
近くを見るときは毛様筋が収縮し、チン小帯が弛緩することで厚くなる。遠くを見るときは逆に毛様筋が弛緩し、チン小帯が引っ張られることで薄くなる。このようにして遠近にピントを合わせる。
長時間近くを見続けるなどすると緊張により一時的に元に戻らなくなることがある。(「遠くを見ようとするとかすむ」感覚。)この状態を「仮性近視」と呼び、常態化すると近視となると言われているが俗説である。
水晶体は加齢とともに硬くなるため、焦点を調整することが困難となる。 |
膵臓 |
Pancreas |
膵臓(すいぞう、英: pancreas)は、脊椎動物の器官のひとつで、膵液と呼ばれる消化酵素を含む液体を分泌し、それを消化管に送り込む外分泌腺である。
また、魚類以外の脊椎動物の膵臓の中には、ランゲルハンス島(らんげるはんすとう)と呼ばれる球状に小さな細胞の集塊が無数に散らばっている。ランゲルハンス島は、1個1個が微小な臓器と考えられ、インスリン、グルカゴンなどのホルモンを血液中に分泌する内分泌腺である。なお、魚類のランゲルハンス島は膵臓ではなく肝臓近辺に散在する。
したがって膵臓全体として見ると、両生類以上の脊椎動物の膵臓は、2つの機能を持つといえる。
・内分泌機能 - いくつかのホルモンを分泌する内分泌器
・外分泌機能 - 膵液を小腸(十二指腸)に分泌する消化器
ランゲルハンス島を、膵臓の内分泌部とも呼び、これに対し、ランゲルハンス島でない部分(膵液を分泌する部分)を外分泌部とも呼ぶ。(ただし、魚類では、ランゲルハンス島は、膵臓とは別の場所に分かれて存在しているので、魚類の膵臓は、内分泌腺としての機能は持たない。) |
髄膜 |
Meninges |
髄膜(ずいまく、Meninges)は、脳および脊髄の保護のための膜の総称。外側から硬膜・クモ膜・軟膜という3層から成る。
脳および脊髄は、他の組織と異なり、膠原線維を組織内部にわずかしか持たないために、その外部には結合組織より成る特有の保護構造を持っている。 |
頭蓋骨 |
Skull |
頭蓋骨(ずがいこつ)は、頭の全体的な枠組みとしてはたらく、有頭動物の骨様構造である。頭蓋骨は、顔の構造を支持し、脳を外傷から保護する。なお、解剖学では「とうがいこつ」と読み、形質人類学では頭骨と表記して「とうこつ」と称し、「ずがいこつ」という読み方は学問的には用いられない。英語ではskullまたはcranium、複数形craniaである。
白骨化した頭蓋骨は髑髏(どくろ、されこうべ、しゃれこうべ)と呼ばれる。頭蓋骨に関する文化的な側面はそちらを参照のこと。
ヒトの場合では、成人の頭蓋骨は通常28個の骨から構成される。下顎を除いて、頭蓋の骨格はすべて縫合(移動をほとんど許さない厳密な接合)によって互いに連結されている。
8個の骨格が神経頭蓋すなわち脳と延髄を囲む骨の保護円蓋を形成する。14個の骨格が内臓頭蓋(顔を支持する骨格)を形成する。中耳の6個の耳小骨は側頭骨の内側に包まれる。喉頭を支持する舌骨は頭蓋骨の一部と通常見なさない。舌骨は他の骨と連結していないからである。 |
1:前頭骨、2:鼻骨、3:頭頂骨、4:側頭骨、5:蝶形骨、6:涙骨,7:頬骨、8:篩骨、9:上顎骨、10:下顎骨 |
1:前頭骨、2:頭頂骨、3:鼻骨、4:篩骨、5:涙骨、6:蝶形骨、7:後頭骨、8:側頭骨、9:頬骨、10:上顎骨、11:下顎骨 |
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生殖器 |
Reproductive
system |
生殖器(せいしょくき)とは、生物が有性生殖を行う場合に、生殖活動に直接関係する器官のこと。雄(男)と雌(女)でそれぞれ異なる生殖器がある場合、それぞれを分けて、雄性(男性)生殖器、雌性(女性)生殖器と呼ぶ。 |
精巣 |
Testicle |
精巣(せいそう、英語 Testicle、ラテン語
Testis)とは、動物の雄がもつ生殖器の1つ。雄性配偶子(精子)を産生する器官。哺乳類などの精巣は睾丸(こうがん)とも呼ばれ、左右1対ある。俗称は、金玉(きんたま)、玉(たま、en:Balls(ボール))、ゴールデンボール、ふぐり、など。また 魚類の精巣は、白子(しらこ)と呼ばれ、魚の種類によっては食用にする。
脊椎動物の精巣は精子を作り出す他に、ホルモンであるアンドロゲンを分泌する内分泌器官でもある。 |
脊髄 |
Spinal
cord |
脊髄(せきずい、英: spinal
cord)は、脊椎動物のもつ神経幹。脊椎の脊髄腔の中を通り、全身に枝を出す。脳と脊髄を合わせて、中枢神経と呼ぶ。脊椎の中を通って脳につづき延髄とともに中枢神経系を構成する長い器官である。 |
脊椎 |
Vertebral
column |
|
脊椎(せきつい)は一般的に背骨といわれている部分を指す。動物の身体を重力から支える役割を持っている。動物を脊椎の有無によってヒトを含む脊椎動物と無脊椎動物に分けることは古くから行われてきたが、実際には脊椎を持つ脊椎動物は動物全体の中の一つの亜門にすぎない。
ヒトの脊椎骨は、頭蓋骨の後頭骨にある大後頭孔より下降し、骨盤に至る。脊椎は、頸椎(cervical、7椎、まれに8椎)、胸椎(thoracic、12椎)、腰椎(lumbar、5椎)、仙椎(sacral、5椎)および尾椎(coccygeal、3-6椎)の約30個の椎骨から形成されている。骨と骨は関節でつながっており、その間にはクッションの役割をする椎間板がある。
脊椎の彎曲
成長とともに脊椎は彎曲し始め、頸椎が前彎、胸椎が後彎、腰椎が前彎し成人のようなS字状のカーブを描くようになる。これは、直立二足歩行に必要なバランスをとるために必要となる(生理的彎曲)。 |
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脊髄神経 |
Spinal
nerve |
脊髄神経(せきずいしんけい、英語:spinal
nerves、ラテン語:nervi spinales)とは、末梢神経のうち、脊髄から分かれて出るものを指す。末梢神経は脊髄神経と脳神経に分かれるが、脳神経は迷走神経を除いて頭頸部にしか分布しないから、四肢・体幹を支配する神経はほぼすべて脊髄神経である。狭義には脊柱管から前根と後根が出て合わさるところから、前枝と後枝に分かれるまでの部分を指す。 |
赤血球 |
Red
blood
cell |
赤血球(せっけっきゅう、英: Red
blood cell あるいは Erythrocyte)は血液細胞の1種であり、酸素を運ぶ役割を持つ。
赤血球は血液細胞の一つで色は赤く血液循環によって体中を回り、肺から得た酸素を取り込み、体の隅々の細胞に運び供給する役割を担い、また二酸化炭素の排出にも関わる。赤血球の内部には鉄を含む赤いタンパク質ヘモグロビンが充満しており、赤血球はヘモグロビンに酸素を取り込む。大きさは直径が7-8μm、厚さが2μm強ほどの両面中央が凹んだ円盤状であり、数は血液1μLあたり成人男性で420-554万個、成人女性で384-488万個程度で血液の体積のおよそ4-5割程度が赤血球の体積である。標準的な体格の成人であれば全身におよそ3.5-5リットルの血液があるため、体内の赤血球の総数はおよそ20兆個であり、これは全身の細胞数約60兆個の1/3である。体内の細胞にくまなく酸素を供給するために膨大な数の赤血球が存在する。骨髄では毎日2000億個弱程度の赤血球が作られているが、その寿命は約120日で、120日の間におよそ20-30万回に渡って体を循環して酸素を供給し、古くなると脾臓や肝臓などのマクロファージに捕捉され分解される。赤血球は体の隅々の細胞にまで酸素を供給するため、柔らかく非常に変形能力に富み、自分の直径の半分以下の径の狭い毛細血管にも入り込み通過することができる。
赤血球は成熟する最終段階で細胞核やミトコンドリア・リボゾームなどの細胞内器官を遺棄する。酸素の運搬には不要な細胞核や酸素を消費するミトコンドリアを捨て去り、乾燥重量の約9割がヘモグロビンである赤血球はいわばヘモグロビンを閉じ込めた柔軟な袋であり、ヘモグロビンによる酸素運搬に特化した細胞といえる。ミトコンドリアを持たないため、細胞の活動に必要なエネルギーは嫌気性解糖系と呼ばれる酵素によって糖(グルコース)を分解して得る。 |
背中 |
Human
back |
背中(せなか)とは、高等動物の胴の表面の内、胸や腹と反対側、すなわち、脊柱(背骨)が通っている側の、半面のことである。特にヒトの場合には、胴のくびれ、すなわち腰よりも下の部分は尻と称して区別する。ヒトにとっては腹と違い直接目で見ることが難しい部分であるため、背中には裏側のニュアンスがある。「背(せ)」とも言うが、この場合は刃物の「背」のように、転用された表現も多い。一方で身長のことも「背」と言うが、このときは俗に「せい」と発音することがある。 |
仙骨神経叢 |
Sacral
plexus |
仙骨神経叢(せんこつしんけいそう)とは脊髄神経から分岐し骨盤・臀部・性器・下肢のうちに大腿・脹脛(ふくらはぎ)・足へ繋がる神経叢の名称。
仙骨神経叢は脊髄神経から分岐し背中・腹部・鼠径部と下肢のうち大腿・膝・脹脛に繋がる腰神経叢と相互に連結しているためこれらを合わせて腰仙骨神経叢と呼ぶ。 |
線条体⇒大脳基底核 |
Striatum |
線条体(せんじょうたい striatum)は、終脳の皮質下構造であり、大脳基底核の主要な構成要素のひとつである。線条体は運動機能への関与が最もよく知られているが、意思決定などその他の神経過程にも関わると考えられている。線条体は、新線条体(または背側線条体)と腹側線条体に区分されるが、単に線条体と言った場合には新線条体のことを指す場合が多い。線条体
striatum という名称は、ヒト新線条体の尾状核と被殻が内包(大脳新皮質や視床からの軸索線維の束であり白質)によって分断される場所で、互いに連絡している部分が線条 stria として見えることから命名された。 |
前頭葉⇒大脳 |
Frontal
lobe |
前頭葉(ぜんとうよう、英: Frontal
lobe)は、哺乳類の脳の一部である。大脳の葉のひとつ。前頭葉は両側の大脳半球の前部に存在し、頭頂葉の前側、側頭葉の上前方に位置する。前頭葉と頭頂葉の間には一次運動野が存在する。一次運動野は中心前回に関連付けられた特定の身体部位の随意運動を制御している。
前頭葉が完全に成熟するのは25歳前後と言われており、これは成人期の認知的成熟の印とされている。UCLA
のアーサー・トーガ (Arthur Toga)
の研究によって、前頭葉の白質の髄鞘は10代の被験者より若い成人の被験者において増加していることが発見された。成人期初期における統合失調症の典型的な発症は、不十分なミエリン化と、それによって引き起こされる前頭の細胞間の非効率的な結合とに関連がある。
大脳皮質のドーパミン感受性ニューロンの大半は前頭葉に存在する。ドーパミン系は報酬、注意、長期記憶、計画や意欲と関連付けられている。ドーパミンは、視床から前頭へと伝えられる感覚情報の制限、及び選択に関連しているとされている。米国国立精神保健研究所の報告によると、前頭前皮質におけるドーパミン活性の減少を起こす遺伝子変異はワーキングメモリ課題における成績の低下と課題中の前頭前皮質の機能の低下とに関係し、統合失調症のリスクをわずかに増加させると報告されている。 |
前脳 |
Prosencephalon |
前脳(ぜんのう)とは脊椎動物の脳の最吻側に位置する領域。前脳・中脳・後脳で発生初期の中枢神経系の三大領域を成す。前脳は体温、生殖機能、食餌、睡眠、あらゆる感情の表現を司る。
脳が五つの領域に分かれる段階に至ると、前脳は間脳(腹側視床、視床、視床下部、視床腹部、視床上部、視蓋前域)と終脳(俗にいう大脳だが、解剖学では大脳とは終脳と間脳を合わせた領域を指す)とに分かれる。終脳は皮質、その下の白質、そして基底核よりなる。
前脳は受精後5週間以内に胎児前部の独立した領域として視認できるようになる。8週目には、前脳は左右の大脳半球に分かれる。
発生中に前脳が二葉の脳を分け損ねると、全前脳欠損症という障害に陥る。 |
前立腺 |
Prostate |
前立腺(ぜんりつせん)は、器官の一つで、男性のみに存在する生殖器。膀胱の真下にあり、尿道を取り囲むかたちで存在、精嚢が隣接。クルミほどの大きさで、重さは数グラム。スキーン腺に相同である。 |
総肝管 |
Common
hepatic
duct |
総肝管(英: common hepatic
duct)とは右肝管と左肝管が集合して形成される管。総肝管は総胆管から形成される胆嚢からの胆嚢管と結合する。
胆汁の貯蔵機能を有している胆嚢の除去手術を受けた人での肝管は、除去以前の胆汁の量に比較してたくさんの量の胆汁を通過させることとなる。
総肝管は右肝動脈および胆嚢動脈と重要な関係性がある。 |
総胆管 |
Common
bile
duct |
総胆管(そうたんかん、英: common
bile duct)は、総肝管と胆嚢管との合流部から十二指腸までを結ぶ導管である。胆道の最も下流にあたる部分で、肝管および胆嚢からの胆汁を十二指腸へ流す役割を担う。総胆管は胆嚢管との合流部から十二指腸の背側を下行し、膵頭部を貫いて十二指腸に入る。総胆管の先は乳頭部胆管となり、主膵管と合流して十二指腸乳頭部に開口する。乳頭部にはOddi括約筋と呼ばれる筋組織が存在し、胆汁の排出を制御するとともに腸液の逆流を防いでいる。 |
た |
体液 |
Body
fluid |
体液(たいえき)は、動物がなんらかの形で体内に持っている液体である。生物学的には、動物の体内にあって、組織間や体腔内、あるいは全身に広がった管や循環系の中を満たしているものだけを指す。
一般的には、唾液・汗・精液・尿など、体内外に分泌・排泄される様々な液体も体液と呼ばれることがある。 |
体性神経系 |
Somatic
nervous
system |
体性神経系(たいせいしんけいけい、英:somatic
nervous system)は、自律神経系とともに末梢神経系をなす。末梢神経系は、脳神経と脊髄神経とがある。体性神経系は、感覚神経と運動神経とがある。体性感覚や特殊感覚に基づく骨格筋の反射による運動機能の調節、大脳皮質の働きに基づく意志による運動機能に関与する。 |
大腿骨 |
Femur |
大腿骨(だいたいこつ、英語:thigh
bone)は、四肢動物の後肢において近位部を構成する長骨である。哺乳類の体では最も長く、体積があり、強靭な骨である。股から膝の間を構成する。
ラテン語ではfemurで、属格はfemoris。ただし古典ラテン語では属格はfeminisである。 |
大腸 |
Large
intestine |
大腸(だいちょう、英: large
intestine)は、脊椎動物の消化器である消化管の一部で、小腸より肛門に近い部位に位置する器官である。腸管の太さと腸絨毛を欠く点で、小腸と区別される。
消化機能としては、細菌による食物繊維の発酵、及び一部の栄養素の吸収と水分の吸収が行われる部位である。また、吸収されずに残ったものが便を形成し、排泄されるまでの間、貯留される部位でもある。何らかの原因で水分の再吸収がうまく機能しないと、水分の多い便が排泄される状態になるが、これを下痢と呼ぶ。 |
大脳 |
Cerebrum |
大脳(だいのう、Cerebrum)は終脳(Telencephalon)とも呼ばれ、中枢神経系の一部である。頭蓋骨の直下に位置し、ヒトでは非常に発達している。大きく分けると次の三つの構造に分けられる。
・大脳皮質:表層の灰白質
・白質:大脳皮質の下にある神経線維の束
・大脳基底核:大脳中心部で間脳の周囲を囲むように存在する神経細胞の集まり |
大脳基底核 |
Basal
ganglia |
大脳基底核(だいのうきていかく、英語:basal
ganglia)は、大脳皮質と視床、脳幹を結びつけている神経核の集まりである。哺乳類の大脳基底核は運動調節、認知機能、感情、動機づけや学習など様々な機能を担っている。 |
大脳新皮質 |
Neocortex |
大脳新皮質(だいのうしんひしつ 英:Cerebral
neocortex, isocortex)とは、大脳の部位のうち、表面を占める皮質構造のうち進化的に新しい部分である。合理的で分析的な思考や、言語機能をつかさどる。いわゆる下等生物では小さく、高等生物は大きい傾向がある。人類では、中脳、間脳などを覆うほどの大きさを占めている。
厚さおよそ2mmの皮質状組織で、灰白色を呈し、6層構造をもつ。 |
大脳皮質 |
Cerebral
cortex |
大脳皮質(だいのうひしつ、Cerebral
cortex)は大脳の表面に広がる、神経細胞の灰白質の薄い層。その厚さは場所によって違うが、1.5〜4.0mmほど。大脳基底核と呼ばれる灰白質の周りを覆っている。知覚、随意運動、思考、推理、記憶など、脳の高次機能を司る。神経細胞は規則正しい層構造をなして整然と並んでいる。両生類から見られる古皮質と、哺乳類で出現する新皮質がある。個体発生の初期には古皮質が作られ、後に新皮質が作られる。アルツハイマー病ではβアミロイドの沈着による斑が観察される。
各部の名称
大脳皮質の各部には名称が与えられている。しかし名称は一通りではなく、いくつかの異なる観点から与えられた名称が、混在したまま使用されている。
一つめに、脳溝などの、肉眼で確認できる構造を基準にして与えられたマクロ解剖学的な名称がある(大脳葉、脳回、脳溝など参照)。
二つめに、顕微鏡や染色技術などを用いて確認される微視的な構造を基準にして与えられたミクロ解剖学的・細胞構築学的な名称がある(ブロードマンの脳地図など参照)。
三つめに、各部位が果たしている機能的役割に応じて与えられた名称がある(一次運動野、体性感覚野、視覚野、聴覚野、言語野など参照)。
そしてこれらの名称に上、下、前、後、内側、外側といった方向を表す用語を付加して位置をより細かく指定する。
またfMRIなどの脳イメージング技術を用いた研究では、データをやり取りするのにタライラッハ座標 (Talairach coordinates) や MNI
座標などの三次元脳座標系を用いた、 x,y,z の三組の数値で皮質部位を指定する。以上述べたような呼称が、皮質の部位を指定するのに混在して用いられている。
例えば外側膝状体から視放線を通じて視覚情報の入力を受ける大脳皮質の部位は、マクロ解剖学的な分類では後頭葉内側面の一部、または鳥距溝周辺であり、細胞構築学的分類ではブロードマン領野の17野 (BA17) であり、機能的な分類であれば一次視覚皮質 (V1) であり、タライラッハ座標であれば (-3, -74, 7) の周辺といった点である。 |
大脳辺縁系 |
Limbic
system |
大脳辺縁系(だいのうへんえんけい、英:
limbic system)は人間の脳で情動の表出、意欲、そして記憶や自律神経活動に関与している複数の構造物の総称である。limbicの語源のラテン語であるlimbusは、edge
すなわち「辺縁」の意である。 |
胎盤 |
Placenta |
胎盤(たいばん)とは、有胎盤類などの雌(人間の女性も含む)の妊娠時、子宮内に形成され、母体と胎児を連絡する器官である。
胎盤を作る出産を胎生とよぶが、卵胎生(非胎盤型胎生)を胎生に含めることがあるので注意を要する。 |
唾液 |
Saliva |
唾液(だえき)は、唾液腺から口腔内に分泌される分泌液である。水、電解質、粘液、多くの種類の酵素からなる。唾液は、唾液腺より分泌される。正常では1日に1-1.5リットル程度(安静時唾液で700-800ミリリットル程度)分泌される。成分の99.5%が水分であり、無機質と有機質が残りの約半分ずつを占める。
デンプンをマルトース(麦芽糖)へと分解するβ-アミラーゼを含む消化液として知られる他、口腔粘膜の保護や洗浄、殺菌、抗菌、排泄などの作用を行い、また緩衝液としてpHが急激に低下しないように働くことで、う蝕の予防も行っている。
空腹時に食物を見、これを咀嚼した時、粘り気の少ない漿液性の唾液が大量分泌され、これにより食物は湿らされる。このことにより粉砕しやすくなり、食塊の形成や嚥下を容易にする。嘔吐の前兆として苦味のある唾液が大量分泌される。これは嘔吐物に水分を補給して排出しやすくするための働きと考えられる。 |
唾液腺 |
Salivary
gland |
唾液腺(だえきせん、Salivary
gland)は、動物の唾液を分泌する腺であり、導管は口腔に開口している。大唾液腺と小唾液腺とに分類している。脊椎動物の大唾液腺は、顎下腺、舌下腺が有り、哺乳類には更に耳下腺が有る。 |
胆管 |
Bile
duct |
胆管(たんかん、英: Bile duct)は、肝臓から十二指腸まで胆汁を運ぶ管腔構造物の総称である。
胆汁は肝細胞で生成される消化液で、脂肪の消化吸収を助ける役割を持つ。正常の肝細胞は索状に配列しており、隣接する肝細胞間には細い管腔様構造が存在する。これを毛細胆管といい、肝細胞で生成された胆汁が分泌される。
毛細胆管はHering管を経て小葉間胆管に流入する。小葉間胆管は合流を繰り返して次第に太くなり、最終的には2本の肝管(左肝管、右肝管)となって肝臓の外へ出る。2本の肝管は肝門部で合流して総肝管となり下行する。胆嚢管(胆嚢へつながる管)が合流する部(三管合流部)より先は総胆管となり、十二指腸壁を貫いて十二指腸乳頭部に開口する。
肝臓内の胆管は細かく枝分かれして樹状のネットワークを形成している。その経路は次のとおり: 毛細胆管
→ Hering管 → 小葉間胆管 → 区域胆管枝 → 左肝管・右肝管 →(肝臓外へ)→ 総肝管
→(胆嚢管が合流)→ 総胆管
→ 乳頭部胆管 →(主膵管が合流)→
共通管 → (十二指腸へ開口) |
胆汁 |
Bile |
胆汁(たんじゅう)は、肝臓で生成される黄褐色でアルカリ性の液体である。肝細胞で絶えず生成され、総肝管を通って胆のうに一時貯蔵・濃縮される。食事時に胆のうが収縮され、総胆管の十二指腸開口部であるオッディ括約筋が弛緩し十二指腸に排出されて働く。
胆汁は3つに分類される。
・A胆汁(胆管胆汁) -
ファーター乳頭から分泌する
・B胆汁(胆のう胆汁) - 胆嚢で濃縮
・C胆汁(肝胆汁) - 肝細胞で産生 |
胆嚢 |
Gallbladder |
胆嚢(たんのう)は消化に必要になるまで胆汁を蓄積する洋梨形の器官で、胆管(胆道)によって肝臓と十二指腸に接続している。
胆?は肝臓で分泌される胆汁を蓄積して濃縮し、食物が十二指腸に入ると、物理的刺激によりコレシストキニン
(CCK) が分泌され、これが胆?を刺激して胆汁を放出する。 |
胆嚢管 |
Cystic
duct |
胆嚢管(たんのうかん、英:Cystic
duct)は、胆嚢と総胆管をつなぐ短い管である。
胆嚢管は、通常、胆嚢動脈のとなりに位置し、長さを自由に変える事ができる。 胆嚢管は、胆汁を流すことに支障を来たさないような螺旋弁を有している。
胆汁は、胆嚢と総肝管及び総胆管の双方向に流れることができる。
このようにして胆汁はしばらくの間、胆嚢に蓄えておくことができる。 油を含んだ食事の刺激を受けて、ホルモンであるコレシストキニンが、肝臓の胆汁の生産を高め、胆嚢で濃縮し、オッディ括約筋を弛緩させ、胆汁の分泌を促進する。 |
恥骨 |
Pubis |
恥骨(ちこつ、英名: pubis、羅名:
pubis、os.pubis)は、四肢動物の腰帯を構成する骨の一つである。
ヒトの場合、坐骨、腸骨、恥骨をあわせて寛骨と呼ばれる。 |
膣 |
Vagina |
膣(腟、ちつ、ドイツ語:
Vagina (ヴァギナ)、英語: Vagina (ヴァジャイナ))は動物の雌性生殖器のうち、体内にあって体外開口部に連なる末端部。機能としては、雄の精子注入装置である陰茎を受け入れるための部分を指す。 |
中手骨 |
Metacarpus |
中手骨(ちゅうしゅこつ、英名:metacarpal
bone(s)、羅名:os metacarpi, os metacarpale、羅名pl.:ossa metacarpi,
ossa metacarpalia)とは、四肢動物の前肢を構成する長骨のひとつである。生物の分類によって中手骨の数は異なる。手根骨の先に位置し、ヒトにおいては掌の基礎となる。
ヒトの中手骨は、左右の手根骨の遠位に5本ずつ存在する細長い管状骨で、指節骨より長く、橈側から尺側へ向けて第1
- 第5指と対応して、第1中手骨(母指中手骨)、第2中手骨(示指中手骨)、第3中手骨(中指中手骨)、第4中手骨(環指中手骨)、第5中手骨(小指中手骨)(英名:metacarpal bone I - V, first metacarpal bone
- fifth metacarpal bone、羅名:os metacarpi I - V, os metacarpi primum
- os metacarpi quintum)と呼ばれる。
第1中手骨が最も短く、最も太い。第2中手骨が最も長く、第3、第4、第5中手骨の順で短くなる。中手骨は中手骨頭(遠位端)・中手骨底(近位端)・中手骨体(骨幹部)の3つの部分に分けられる。
中手骨頭は大きな球状で、指節骨を構成する基節骨底と関節する。第3中手骨底の背面外側には小さい茎状突起がある。
中手骨底は中手骨の近位端で太く、手根骨と関節する。関節面の形は5本の中手骨で異なり、第1中手骨は鞍状に突起し、第2中手骨では中央部がへこみ、第3、第4中手骨では平面的、第5中手骨では不完全な鞍状になっている。
中手骨体は掌側面が浅くくぼむように緩く湾曲し、中手骨頭、中手骨底より細く、隣り合う中手骨との間に中手骨間隙
interosseous metacarpal spaces, spatia interossea metacarpi がある。中手骨間隙には背側骨間筋、掌側骨間筋が配置される。中手骨体の背側面は遠位部では扁平であり、掌側面の中央では縦に長く隆起するため、この断面はほぼ三角形を成す。 |
虫垂 |
Vermiform
appendix |
虫垂(ちゅうすい、英語:appendix,
vermiform process, ラテン語:appendix vermiformis, 虫様突起(ちゅうようとっき)とも)は、大腸の一部である。右下腹部にあり、盲腸の端から細長く飛び出している。虫垂の根元は結腸ひもの端にある。虫垂間膜で後腹壁につながれ、虫垂動脈で栄養される。多数のリンパ小節を含むので、リンパ系器官に含められる。
虫垂部位は炎症を起こしやすく(虫垂炎)、穿孔して腹膜炎に至ることがある。かつては生理機能がないと考えられ、虫垂炎を予防するために異常所見がなくても切除されることがあった。
ところが、後に虫垂はリンパ組織の一つとして扁桃などと同様に、胃腸の免疫機能に大きく関与しているとの見方(まだ研究段階ではあるが、免疫グロブリン(Ig)Aを産生などに関係しているとの2014年の大阪大の報告もある)があり、異常がなければ温存し、虫垂炎であっても健康なリスクのない成人で炎症が軽度であれば抗生物質投与など保存的治療で完了することも増えた。ただし現状、虫垂炎の治療は切除が原則であり、手術の遅れによる重症化、死亡は大きな脅威である。
かつては、ヒトにとって虫垂は欠かせない存在であった。それは善玉菌の備蓄機能を備えているからである。今日においても、この機能が失われたわけではないが、食糧事情の大幅な改善により善玉菌を摂取しやすいことから、さほどこの機能は重要視されていないと見られている。
一方、草食動物にとって虫垂は生命維持に欠かせない器官である。虫垂は草の繊維を構成するセルロースを分解するバクテリアの棲息場所となっており、食物の分解に欠かせないからである。 |
中枢神経系 |
Central
nervous
system |
中枢神経系(ちゅうすうしんけいけい、Central
nervous system)とは、神経系の中で多数の神経細胞が集まって大きなまとまりになっている領域である。逆に、全身に分散している部分は末梢神経系という。脊椎動物では脳と脊髄が中枢神経となる。脊髄は背側の体腔に位置し、脳は頭蓋腔の中にある。どちらも髄膜に覆われている。また脳は頭蓋骨、脊髄は脊椎骨にも守られている。 |
中足骨 |
Metatarsus |
中足骨(ちゅうそくこつ、英名:metatarsal bone(s)、羅名:os
metatarsi, os metatarsale、羅名pl.:ossa metatarsi, ossa metatarsalia)とは、四肢動物の後肢を構成する長骨のひとつである。生物の分類によって中足骨の数は異なる。足根骨の先に位置し、ヒトにおいては底の基礎となる。
ヒトの中足骨は、左右の足根骨の遠位に5本ずつ存在する細長い管状骨で、趾節骨より長く、内側から外側へ向けて第1
- 第5趾と対応して、第1中足骨、第2中足骨、第3中足骨、第4中足骨、第5中足骨(英名:metatarsal
bone I - V, first metatarsal bone - fifth metatarsal bone、羅名:os
metatarsi I - V, os metatarsi primum - os metatarsi quintum)と呼ばれる。
第1中足骨が最も短く、最も太い。第2中足骨が最も長い。第3、第4、第5中足骨の順で短くなる。中足骨は中足骨頭(遠位端)・中足骨底(近位端)・中足骨体(骨幹部)の3つの部分に分けられる。
中足骨頭は大きな球状で、趾節骨を構成する基節骨底と関節する。
中足骨底は中足骨の近位端で太く、足根骨と関節する。関節面の形は5本の中足骨で異なり、第1中足骨は鞍状に突起し、第2中足骨では中央部がへこみ、第3、第4中足骨では平面的、第5中足骨では不完全な鞍状になっている。
中足骨体は底側面が浅くくぼむように緩く湾曲し、中足骨頭、中足骨底より細く、隣り合う中足骨との間に中足骨間隙
interosseous metatarsal spaces, spatia interossea metatarsi がある。中足骨間隙には背側骨間筋、底側骨間筋が配置される。中足骨体の背側面は遠位部では扁平であり、底側面の中央では縦に長く隆起するため、この断面はほぼ三角形を成す。 |
中脳 |
Midbrain |
中脳(ちゅうのう、midbrain[英語]、mesencephalon[ラテン語])は、脳の一部。狭義の脳幹(下位脳幹)のうち、もっとも上の部分であって、さらに上には第三脳室、下には橋、両外側には間脳がある。なめらかな動きを可能にする錐体外路性運動系の重要な中継所を含むほか、対光反射、視聴覚の中継所、眼球運動反射、姿勢反射(立ち直り反射)、γ運動ニューロン活動抑制、歩行リズムの中枢をも含む。 |
腸 |
Human
gastrointestinal
tract |
ヒトにおける腸の構造
1.食道
2.胃 3.十二指腸
4.小腸
5.盲腸
6.虫垂
7.大腸
8.直腸
9.肛門 |
腸(ちょう、intestines)は食物が胃で溶かされた後、その中の栄養や水分を吸収する器官。末端は肛門であり、消化された食物は便となり、排便により体外へと排出される。腸の構造は動物によって異なり、摂取する食物による違いが大きい。
ヒトの腸は、大きく小腸と大腸の2つに分けることが出来る。小腸は更に口側から、十二指腸、空腸、回腸に分けられ、大腸は盲腸、結腸(上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸)、直腸に分けられる。人間の腸の全長は7〜9m程度で、3分の2は小腸である。「日本人の腸は長い」などの俗説が一部メディアで広められているが根拠がなく、人種で大きな差はない。
腸の働き
小腸:十二指腸では、総胆管を通った胆液や膵管を通った膵液が出て、消化の働きをする。空腸では、腸液が分泌される。回腸では、柔突起で養分が吸収される。また、食物とともに飲み込まれた空気などの気体も、ここで吸収される。
大腸:栄養分が吸収された後の食物が運ばれ水分を吸収する。もしここに問題があると、下痢になる可能性が高くなる。蠕動運動と逆蠕動運動によって、小腸から運ばれる内容物をある一定の時間とどめておくことができ、水分を効率よく吸収できる仕組みになっている。しかし、ここに内容物がとどまる時間が長すぎると、水分の吸収が過剰になされ便秘を引き起こす。これらの運動は自律神経系に支配されており、直接には大脳の支配を受けない。ちなみに、虫垂は昔は役割があったようだが、今はあまり意味の無い存在となっている。 |
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腸間膜⇒腹膜 |
Mesentery |
腸間膜(ちょうかんまく、英:Mesentery)とは、空腸と回腸を腹部の後方から支える腹膜の二重層のことである。しかしながら、腸間膜は、腹腔の様々な構成物を含む腹膜の二重層も含んで言うことが多い。 |
腸骨 |
Ilium |
腸骨(ちょうこつ、英語: Ilium、ラテン語:
ilium、os. ilium)は、四肢動物の腰帯を構成する骨の一つである。
ヒトの場合、坐骨 (Ischium)、腸骨、恥骨 (Pubis) をあわせて寛骨と呼ばれる。骨盤は、左右1対の寛骨、仙骨、尾骨で構成され、腸骨は骨盤最大の骨である。 |
腸絨毛 |
Intestinal
villus |
腸絨毛(ちょうじゅうもう、英Intestinal
villus)とは、小腸内壁の輪状ひだに存在する突起のこと。
俗に柔毛(じゅうもう)、柔突起(じゅうとっき)とも呼ばれるが、これらは微絨毛を指す場合もある。中学校の教科書などでは、「柔毛」が採用されている。
絨毛の表面には更に小さな突起が無数に存在しており、これを微絨毛と言う。栄養の効率を良くするため、小腸の表面積を増やす仕組み。大人一人あたり数百万〜数千万存在すると言われる。
表面積を概算すると、平均的な体型の成人男性の場合でテニスコート一面とほぼ同じ面積になる。
繊毛(せんもう)と混同しないよう注意。 |
直腸⇒大腸 |
Rectum |
直腸(ちょくちょう、rectum)は、肛門直前の腸の部分である。ヒトでは大腸のうち仙骨上端から肛門管直上までの部分である。
ヒトでは、S状結腸が仙骨前面に達すると直腸になり、その前面を
"仙骨の湾曲に沿って" 下降する。骨盤の下壁に届くと急に後方へとほぼ直角に屈曲して外界に開く(外界開口部は肛門)。直腸の長さは個人差はあるが、凡そ20cm前後である。 |
椎間板 |
Intervertebral
disc |
椎間板(ついかんばん)、または椎間円板(ついかんえんばん)は、椎骨と呼ばれる脊柱を構成している一つ一つの骨の間に存在する円形の線維軟骨。ゼラチン状の髄核とコラーゲンを含む線維輪から成っており、椎骨にかかる衝撃を吸収する。また、椎骨の微妙な動きを可能にする軟骨関節を形成し、靭帯とともに脊椎を保持する役割を持つ。 |
椎骨(脊椎骨) |
Vertebral
notch |
椎骨(ついこつ)または脊椎骨(せきついこつ)(vertebra)は、脊椎の分節をなす個々の骨のことで縦一列に並んでおり、ヒトの場合上から順に頚椎7個、胸椎12個、腰椎5個、仙椎5個、尾椎4個の33個存在するが、仙椎および尾椎はそれぞれ癒合しており、仙骨および尾骨と呼ばれる。その他の独立した椎骨は、それぞれの部位の第何番目の骨と命名されている。 |
土踏まず |
Arches
of
the foot |
土踏まず(つちふまず)とは、ヒトの足裏にあるアーチ形状である。土踏まずは片足に三箇所(厳密に言えば四箇所)あり、それぞれ、前後方向、左右方向、水平回転方向の姿勢制御を容易にする。また、アーチ形状がバネのように作用することで、足にかかる衝撃を緩和させる役割もある。
直立二足歩行を行うことで次第に形成されるため、生まれたばかりの赤ん坊にはない。なお、土踏まずが形成されるのはヒトだけである。
足に合わない靴を履くなど、足の使われ方によっては、土踏まずが正常に形成されないことがある。土踏まずが正常に形成されていない足を、扁平足と呼ぶ。ただし、外観上で確認できなくても、骨格としては形成されていることがあり、足裏が見かけ平らであっても扁平足とは限らない。 |
爪 |
Nail |
爪(つめ)は、有羊膜類の指の先端の背面にある表皮の角質が変化し硬化して出来た板状の皮膚の付属器官である。
体毛や歯と同じく鱗から派生した相同である。哺乳類では種によって特化している。ここでは主にヒトの爪について説明する。他の動物の爪等については後述の関連項目(蹄、扁爪、鉤爪などの項目)を参照。
表皮から変化して出来た点においては、爪と毛を総じて「角質器」とも呼ぶ。爪が指先を保護するおかげで、手足の動作において指先に力を加えたり、うまく歩いたりする事が出来る等、爪は動物にとって重要な役割を果たしている。爪の下部には毛細血管が集中しており、爪は血液の健康状態に影響され易い。 |
手 |
Hand |
手は、脊椎動物の前肢末端部にある器官。
主に、人間の腕の末端にある器官を指す。生物的には前足にあたる。
カニやサソリなど、節足動物でも前足に特徴のある場合はそれを手ということもある。5本の指、平、甲からなる。ヒトの手は他の動物のものと比べると器用で、様々な道具を使うことが出来る。
日本語で「手」といった場合は腕を含めることがある。 |
瞳孔 |
Pupil |
瞳孔(どうこう)または瞳(ひとみ)は、眼の虹彩によって囲まれた孔である。瞳孔は光量に応じて、その径を変化させる。瞳孔径の変化は、網膜に投射する光量の調整に寄与する。 |
橈骨 |
Radius |
橈骨(とうこつ)(英名 radial
bone、羅名 radius pl, radii)とは、四肢動物の前肢を構成するする骨であり、前腕の二本の長い骨のうちの一つである。
断面は角柱状の形状を取り、尺骨と平行に並んで存在している。橈骨と尺骨の大きさや長さを比較すると、橈骨の方がやや小さく短い。解剖学的正位(腕を体の脇に下げ、掌の表側を前に向けた位置)において、体から離れた外側(がいそく)側に位置し、母指の側にあるのが橈骨である。
前腕および手の橈骨側を橈側(とうそく)という。同部位に対しては医学用語の外側(がいそく)が日常語の内側(うちがわ)に当たり、紛らわしい。橈側の反対側を尺側(しゃくそく)と呼ぶ。 |
胴体 |
Trunk |
胴体(どうたい)とは、ヒトを含む動物体の中心部のうち頭・首・四肢・尾を除く部分を差す解剖学用語。胴(どう)とも。胴体は胸部と腹部を含む。 |
頭髪 |
|
頭髪(とうはつ)は、ヒトの頭部に生える毛である。毛髪(もうはつ)、髪の毛(かみのけ)、また単に髪(かみ)ともいう。
頭髪はケラチンという硬質たんぱく質で形成されている。3重構造になっており、中心部にあるのが髄質で、その周囲を皮質が取り巻き、その外側を毛表皮(クチクラ、キューティクル)が覆っている。ただし髄質は、ないものもあり、その役割ははっきりしない。
頭髪の直径はおよそ0.05mmから0.15mmの範囲であるが、個人差及び人種差が大きい。一般に白色人種と黒色人種においては細く、頭皮1平方cm当たりおよそ400本前後、黄色人種では前二者に比べて太く、1平方cm当たり250本ほどである。頭髪の断面も人種差があり、黄人では一般的に円形で、白人では楕円、黒人は更に細長い。このため黄人は直毛であり、白人では波状毛と呼ばれるゆるく波打った髪から巻き毛まで変異を示し、黒人では縮れ毛になりやすい。くせ毛は、毛穴の形により生成される。ただ、唯一思春期においてのみ(個人差あり)癖が変わることがある。思春期独特のホルモンバランスの変化という説が有力である。他には、骨格の変化により毛穴の形が変わりくせが変化することもある。
『ヒトの髪の色』も参照。 |
動脈 |
Artery |
動脈(どうみゃく)とは、動物の血管系において、心臓から押し出される血液の流れる血管のことである。逆に心臓へ流れ込む血液の流れる血管は静脈といわれる。
動物の体液は、ある程度以上体の大きいものでは強制的に循環させる必要がある。その循環のためにポンプの役割をする器官があり、これが心臓である。心臓が押し出した血液の流れる管が動脈である。動脈は、その高い圧力に耐えるため、たとえば脊椎動物では外膜・中膜・内膜の3層からなる丈夫な構造を持つ。また、柔軟性に富むため心臓の収縮時と拡張時の血圧の差を吸収できるようになっている。
動脈は各組織へ血液を配分するために分岐していくが、分岐した枝同士が合流していることもある。これを吻合と言い、一方の血流が不十分でも組織が虚血に陥ることを避けられる。逆に、吻合のない動脈の支配領域はそれだけ虚血のリスクが高いと言える。
一般的に、大動脈を通じて全身へ送り出される血液は酸素に富んだ動脈血である。肺で酸素化を受けて心臓に戻ってくる血液は肺静脈を流れていても動脈血である点に注意を要する。
動脈の柔軟性が失われた状態が動脈硬化で、この状態では心臓の駆出力を十分に吸収できず、高血圧の原因になったりする。また、動脈硬化に伴い血管内腔が狭くなることで虚血の原因にもなる。
動脈は壁が丈夫で、しかも内部の血液には高い圧力がかかっているため、生きた動物を解剖すると、その段階で動脈血は出てしまい、それでも壁はつぶれないので空気が入る。そのため、血液の循環が発見されるまでは、動脈は気体を送っていると考えられ、この気体が生気であると考えられたことがあった。 |
な |
内耳 |
Inner
ear |
内耳(ないじ、英語: inner ear、ドイツ語:
inneres Ohr、ラテン語: auris interna)は、耳を外耳、中耳、内耳と3つに分けたときに最も内側にあたる部分で、蝸牛と前庭・三半規管よりなる。リンパ液を膜で包んだものが入り組んだ形をしている。膜迷路とも呼ぶ。これを包む骨を骨迷路という。内耳は側頭骨の内部に存在している。
内耳は、耳のもっとも奥にある構造である。哺乳類の内耳は蝸牛と前庭・三半規管の3つの部分よりなる。
このうち、聴覚にかかわるのは蝸牛であり、ここに音の振動を神経(蝸牛神経)に伝えるための構造がある。外耳、中耳はここへ振動を伝えるための構造に過ぎない。
他方、前庭・三半規管は平衡感覚を受容するための器官である。いわゆる平衡胞の働きを受け持っている。 |
内分泌器 |
Endocrine
system |
内分泌器(ないぶんぴつき)とは、多細胞生物、特に動物において、ホルモンを分泌する器官のこと。ホルモンを分泌する腺なので、内分泌腺(ないぶんぴせん、英: endocrine gland)ともいう。それらをまとめて、内分泌器系または内分泌系、液体調整系とも呼ぶ。内分泌器の共通の特徴として、ホルモンを分泌する細胞が存在すること、分泌したホルモンは血液中に溶け出して全身を回るため、器官内に血管が発達していること、またホルモンの分泌量をそのときの体にあわせた量に調節するため、その器官そのものも別のホルモンの作用を受けること、などがある。内分泌器の機能的な性質から、内分泌器は体内で特にくっついて存在する傾向はなく、お互いに血管以外では接続されていないのは、他の器官系とは異なる。内分泌器を含む内分泌系を扱う学問を内分泌学という。 |
涙 |
Tears |
涙(なみだ、涕、泪)は目の涙腺から分泌される体液のことである。眼球の保護が主要な役割であるが、ヒト特有の現象として感情の発現として涙を流すことがある。
通常の分泌量は1日平均2-3cc。涙の原料は血液。9割以上が水で出来ており、タンパク質(アルブミンやグロブリン、リゾチームなど)、リン酸塩なども含有する。涙腺内の毛細血管から得た血液から血球を除き、液体成分のみを取り出したもの。一般的に弱いアルカリ性の液体である。分泌された涙液は目の表面を通過したあと涙点に入り、涙小管・涙嚢・鼻を経て、喉から再吸収される。
涙には以下のような役割があるとされている。
・目の表面(角膜・結膜)への栄養補給
・瞼を円滑に動かす潤滑材
・細菌・紫外線から目を守る防御壁
・雑菌の消毒
涙は「油層」「涙液層」「ムチン層」の3層で目を保護して、その3層の合わせた厚さは約7μm(マイクロメートル)しかない。涙の持っている抗菌成分はリゾチームという。このリゾチームは、細菌の細胞壁(ペプチドグリカン)を分解する作用を持つ。
眼の使用頻度によって涙が蒸発しやすくなったり分泌量が減ったりすると、ドライアイと呼ばれる状態に陥る。 |
軟骨 |
Cartilage |
軟骨(なんこつ)は、軟骨細胞とそれを取り囲む基質からなる支持器官であり、軟骨組織は血管、神経、リンパ管を欠く。弾力性があり、脊椎動物に比較的発達している。 |
軟膜⇒髄膜 |
Pia
mater |
軟膜(なんまく、pia mater)は、脳および脊髄を包む髄膜のうち、もっとも内部にある膜。ラテン語の「pia
mater」は「優しい母」の意味であり、これはアラビア語の軟膜にあたる語の意味に由来する(翻訳借用)。
軟膜は発生学的には、神経堤に由来する。薄く網状の膜で、脳の表面を隙間なく覆っており、皮質の溝の中にまで入り込んでいる。軟膜はさらに外側の上軟膜層 (epipial layer) と内側の内軟膜 (intima pia) の2層に分けられる。
内軟膜は隙間のない膜で、脳および脊髄の神経組織と癒着している。血管が脳内に入り込むところでは、内軟膜も折れ曲がって血管を包み込むように脳内に入り込んでいる。内軟膜の細胞は血管からではなく、神経組織内を拡散する脳脊髄液に栄養を依存する。上軟膜層は膠原線維状の組織が網の目のようにはりめぐらされた膜で、軟膜の外側を包むクモ膜の小柱とつながっている。大脳皮質には上軟膜がなく、脳に栄養する血管は内軟膜の上を走り、クモ膜の小柱によって固定されている。
脳内部の空間である脳室内のうち、側脳室下角の内側面、第三脳室と第四脳室下部の天井には脈絡叢があり、ここで軟膜は脳室上衣細胞
と癒着して脈絡組織を形成している。これは脳室内に浮かんだ脈絡叢をつなぎとめる役割を果たしている。
脊髄では、両外側の軟膜は膜状の組織となってクモ膜を突き破り、硬膜に付着して脊髄をつなぎとめている。鋸歯状に分布するこの組織を歯状靱帯という。 |
乳腺 |
Mammary
gland |
乳腺(英: Mammary gland、羅:
Glandula mammaria)は、乳汁を産生する外分泌組織。一般に左右対をなし、霊長類では胸部、有蹄類の大部分は鼠径部、食肉類、豚、齧歯類では腋窩から鼠径部にかけて存在する。ここでは一般に人体のものについて記述する。
乳腺は小さな乳腺葉の塊である。
乳腺は乳汁を分泌できる。男性では乳腺は一般に機能退化となっていることが多い。しかし、男性でも病的な場合、エストロゲンレベルが高まる場合などによって生じてくることがある(女性化乳房)。
一般に乳腺はエストロゲンの作用によって増殖し、プロゲステロンの作用によって発達する。思春期以降による女性の第二次性徴によって、卵巣が発達し、女性ホルモンとも言われるエストロゲン、プロゲステロンの分泌増加が起こり、乳腺が発達する。主にエストロゲンは乳管の発達、プロゲステロンはエストロゲンと共に乳腺葉の発達に作用する。
またプロラクチンとオキシトシンは乳汁分泌刺激を生じる。 |
乳房 |
Breast |
乳房(にゅうぼう、ちぶさ)は、哺乳類のメスが持つ授乳器官。単に乳(ちち)あるいはお乳とも言い、俗におっぱいとも呼ばれる。 |
尿 |
Urine |
尿(にょう、いばり)は、腎臓により生産される液体状の排泄物。血液中の水分や不要物、老廃物からなる。小便(しょうべん)、ションベン(しょんべん)、小水(しょうすい)、お尿(おにょう)、ハルン(はるん)、おしっこ(しっこ)とも呼ばれる。古くは「ゆばり」「ゆまり」(湯放)と言った。
尿の生産・排泄に関わる器官を泌尿器と呼ぶ。ヒトの場合、腎臓で血液から濾し取られることで生産された尿は、尿管を経由して膀胱に蓄積され尿道口から排出される。生産量は水分摂取量にもよるが、1時間あたり60ml、1日約1.5リットルである。膀胱の容量は、成人で平均して500ml程度で、膀胱総容積の4/5程度蓄積されると大脳に信号が送られ、尿意を催す。日本人が人生80年の間に出す尿の平均量は約35トンといわれている。 |
尿管 |
Ureter |
尿管(にょうかん、ureter)とは腎で作った尿を膀胱に運ぶ管腔臓器である。輸尿管(ゆにょうかん)ともいう。左右に1本ずつある。粘膜表面は移行上皮によって形成される。腸管と同じように蠕動運動をしており、これにより尿を膀胱に効率よく運ぶ。膀胱までに尿を運ぶ際に狭窄する場所として腎盂から尿管へ移行する尿管起始部、総腸骨動脈・総腸骨静脈との交叉部、膀胱壁を貫く膀胱への移行部がある。 |
尿検査 |
Urinalysis |
尿検査(にょうけんさ、英:Urinalysis)は、尿についての多くの検査項目を含み健康診断の最も一般的な方法の一つである。尿検査の一部は検尿で行われ、結果は試験紙の変色で読み取ることができる。
『検尿』は尿を参照。 |
尿道 |
Urethra |
尿道(にょうどう)は、哺乳類の泌尿器に分類される器官のひとつで、尿が、膀胱から体外へ排泄されるときに通る管のこと。男性の場合、膀胱の出口で、精管が接続されており、射精時には、精子を含む精液を運ぶ管でもあるので、生殖器でもある。
ヒトの場合、骨盤内にある膀胱から、恥骨結合の下を通って、外陰部へと続く。女性では、膣前庭に開口するが、男性では、膀胱を出ると、前立腺の中心を貫通し、その後、陰茎内部の尿道海綿体を貫通した後、陰茎亀頭先端に開口する。そのため、男性と女性とで、尿道の形状が大きく異なる。男性の場合、成人で16から20cmの長さがあり、細い。一方、女性の尿道は太く、長さは3
- 4 cmと、男性よりもかなり短い。これが、女性のほうが尿路感染症を起こしやすい原因であるといわれる。尿道には、膀胱を出たあと、尿道周囲の筋肉が発達して、内部の尿の通行を妨げる尿道括約筋がある。この筋は随意筋で、意識的に尿を我慢するときに用いられる。
尿道の壁の構造は、内側に、粘膜があり、その外に主に2層の平滑筋が存在するのが基本であるが、男性の尿道海綿体内では平滑筋層は明確ではない。尿道内部の壁の潤滑剤としての粘液を分泌する尿道腺と呼ばれる小型の分泌腺が多数存在し、尿道の内壁を湿らせている。内側の粘膜は、女性では、膀胱のごく近くでは、膀胱と同じ移行上皮であるが、それ以外のほとんどは重層扁平上皮である。一方、男性尿道では、膀胱の近くでは移行上皮、その後、前立腺内を通るときは前立腺の上皮と同様の多列円柱上皮となり、陰茎内では、独特の重層円柱上皮、亀頭部で重層扁平上皮と、様々に形を変える。 |
粘膜 |
Mucous
membrane |
粘膜(ねんまく、mucous membrane)は、上皮細胞に覆われた外胚葉由来の上皮層である。吸収と分泌に関わる。様々な体腔に配置し、外部環境や内部臓器に面している。鼻孔、唇、耳、生殖器、肛門などあちこちで肌と繋がる。粘膜や腺から分泌された濃い粘性の流体が粘液である。粘膜は体内に於いて見られた場所を指し、全ての粘膜が粘液を分泌する訳ではない。その表面がいつも粘液性の分泌物で濡れている柔性膜を称するときに限り、「粘膜」という呼称を用いるのである。位置的には中空性臓器の内腔表面に多い。粘膜上皮、粘膜固有層、粘膜筋板より構成される。
大概の呼吸器系は粘膜が特徴的である体腔に含まれる。陰茎亀頭(陰茎の頭部)、陰核亀頭、陰茎包皮、陰核包皮は粘膜であって、皮膚ではない。 |
脳 |
Brain |
脳(のう、英: brain、独: Gehirn、羅:
encephalon、希: enkephalos)は、動物の頭部にある、神経系の中枢。狭義には脊椎動物のものを指すが、より広義には無脊椎動物の頭部神経節をも含む。脊髄とともに中枢神経系をなし、感情・思考・生命維持その他神経活動の中心的、指導的な役割を担う。
ヒトの脳の構造: 前頭葉(水色)、頭頂葉(黄色)、側頭葉(緑色)、後頭葉(赤色)、小脳(紫色)、脳幹(灰色) |
ヒトの脳は頭蓋内腔の大部分を占めている。成人で体重の2%ほどにあたる1.2〜1.6キログラムの質量がある。脳の質量は、男性で女性よりもやや大きく、体重との相関はない。約300億個の神経細胞を含むがそれは脳をなす細胞の1割程度であり、残りの9割はグリア細胞と呼ばれるものである。グリア細胞は神経細胞に栄養を供給したり、髄鞘を作って伝導速度を上げたりと、さまざまな働きをする。「人間は脳の1割ほどしか有効に使っていない」という俗説があるが、これはグリア細胞の機能がよくわかっていなかった時代に、働いている細胞は神経細胞だけという思い込みから広まったものと言われる。最近では脳の大部分は有効的に活用されており、脳の一部分が破損など何らかの機能的障害となる要因が発生した場合にあまり使われていない部分は代替的または補助的に活用されている可能性があると考えられている。
脳は、大脳・小脳・脳幹に大きく分けることができる。大脳はさらに終脳(Telencephalon)と間脳(Diencephalon)に、脳幹はさらに中脳・橋・延髄に分けられる。この区別は肉眼で見た様子に基づいたものであって、胚発生の上では小脳は脳幹から分かれるものであり、また生命維持機能に強く関わる間脳を脳幹に含める意見もある。
脳は、髄膜と呼ばれる3層の膜、すなわち軟膜・クモ膜・硬膜に覆われている。軟膜は脳の実質に密着しているがクモ膜は少し離れており、軟膜との間にクモ膜下腔という空間を残している。クモ膜下腔は脳脊髄液で満たされている。硬膜は大脳鎌・小脳テントなどの突出と、硬膜静脈洞を作る部分のほかは頭蓋の内面に密着して内張りとなっている。硬膜とクモ膜はほぼ密着している。 |
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脳幹 |
Brainstem |
脳幹(のうかん、英: brain stem)は、中枢神経系を構成する器官集合体の一つ。延髄と橋、中脳と間脳を合わせて脳幹と呼ぶ。狭義の「脳幹」では間脳すなわち視床および視床下部を除外するが、この意味をより明確に表すため下位脳幹
lower brainstem という用語が用いられる。また、脳幹・(間脳)・小脳・大脳を合わせて脳と呼ぶ。
小脳(緑)大脳(橙)
脊髄 延髄 橋 中脳 間脳
脳の矢状断。延髄、橋、中脳、間脳が脳幹。 |
脳幹の機能
脳幹は多種多様な神経核から構成されており、その機能も当然ながら多様であり、この小さな部分に多数の生命維持機能を含む。
1.多数の脳神経が出入りし、多数の神経核が存在する。
2.自律神経機能中枢が存在する。
3.意識と覚醒に重要な神経回路があるとされる。網様体の項を参照。
4.脊髄から視床へ上行する感覚神経路が存在する。
5.上位中枢から脊髄に下降する運動神経路が存在する。
6.姿勢反射の中枢である。 |
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脳神経 |
Cranial
erves |
脳神経(のうしんけい、cranial
nerves)とは、脊椎動物の神経系に属する器官で、脳から直接出ている末梢神経の総称。これに対し、脊髄から出ている末梢神経のことを脊髄神経と呼ぶ。
ヒトなどの哺乳類や、その他爬虫類、鳥類などの脳神経は、主なものだけで左右12対存在し、それぞれには固有の名称が付けられている。また、この名前とは別に、神経が脳と接続されている部位(脳から出る部位)によって、頭側から尾側の順になるように付けられた番号でも呼ばれる。脳神経の番号はローマ数字で表すことが多い。
脳神経一覧
番号による名称 |
固有の名称 |
主な働き |
第I脳神経 |
嗅神経 |
嗅覚 |
第II脳神経 |
視神経 |
視覚 |
第III脳神経 |
動眼神経 |
眼球運動 |
第IV脳神経 |
滑車神経 |
眼球運動(上斜筋) |
第V脳神経 |
三叉神経 |
顔面・鼻・口・歯の知覚、咀嚼運動 |
第VI脳神経 |
外転神経 |
眼球運動(外直筋) |
第VII脳神経 |
顔面神経 |
表情筋の運動、舌前2/3の味覚、涙腺や唾液腺の分泌 |
第VIII脳神経 |
内耳神経 |
聴覚、平衡覚 |
第IX脳神経 |
舌咽神経 |
舌後1/3の知覚・味覚、唾液腺の分泌 |
第X脳神経 |
迷走神経 |
のどの知覚・運動、頚胸腹部の臓器を支配 |
第XI脳神経 |
副神経 |
肩や首の筋肉の運動(僧帽筋、胸鎖乳突筋) |
第XII脳神経 |
舌下神経 |
舌の運動 |
|
脳脊髄液 |
Cerebrospinal
fluid |
脳脊髄液(のうせきずいえき、cerebrospinal
fluid、CSF)とは、脳室系とクモ膜下腔を満たす、リンパ液のように無色透明な液体である。弱アルカリ性であり、細胞成分はほとんど含まれない。略して髄液とも呼ばれる。脳室系の脈絡叢から産生される廃液であって、脳の水分含有量を緩衝したり、形を保つ役に立っている。一般には脳漿(のうしょう)として知られる。 |
脳梁 |
Corpus
callosum |
脳梁(のうりょう、corpus callosum、CC)とは、左右の大脳半球をつなぐ交連線維の太い束である。大脳の正中深く、すなわち大脳縦裂の底、側脳室の背側壁に位置し、左右の大脳皮質の間で情報をやり取りする経路となっている。ヒトの場合、約2億〜3億5000万の神経線維を含む。大脳の容積と比較した相対的な脳梁の断面積は、女性の方が男性よりも大きいとする研究があるが、これに反証する大規模なメタアナリシスも報告されている。近年になって、実験手法の発展に伴い拡散強調MRIなどを用いて断面積以外の要素に着目して男女差ありとする研究も報告されるようになってきているが、男女差なしとする研究も依然として報告されており、確定した結論が得られない状況である。 |
のど仏⇒喉頭隆起 |
|
は |
歯 |
Tooth |
歯(は、英: tooth)は、口腔内にある咀嚼するための一番目の器官。人体でもっとも硬く、遺体ではその治療状況によって人物の特定の重要な手掛かりとなる。人工歯と区別する意味で天然歯と言うこともある。多くの種類の構造を持ち、それぞれが異なる目的を果たす。歯学では、過去には歯牙(しが)と言ったが、現在は使わない傾向にある。
歯の部位を示すために、歯の内側を舌側、口蓋側、外側を唇側、頬側、正中に近い方を近心、反対側を遠心、上端を切縁、咬合面という。
多くの高等動物が持つ。人間は乳歯と永久歯の二組を持つが(二生歯性)、ネズミ目のように一組の歯が伸び続ける動物もいれば(一生歯性)、サメのように、二週間に一組ずつ新しい歯が作られていく動物もいる(多生歯性)。化石化した哺乳類においてもっとも特徴的な部位であり、古生物学者達は化石の種類や関係を鑑別するのにしばしば歯を使う。
歯は摂食の際の重要な構造であり、その形は餌のタイプと強く結びついている。 |
肺 |
Lung |
肺(はい)は脊椎動物の器官の一つ。肺臓とも呼ばれる。空気中から得た酸素を体内に取り込んだり、老廃物である二酸化炭素を空気中に排出する役割(呼吸)を持つ。これに対して水中から得た酸素を取り込み、水中に排出する器官が鰓(えら)である。
なお、無脊椎動物でも、体内に一定の腔所を持ち、その内側でガス交換を行う器官を肺と呼ぶ。節足動物のクモ型綱、軟体動物の腹足綱にその例がある。 |
白室⇒灰白質 |
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白血球 |
White
blood
cell |
白血球(はっけっきゅう、英名White
blood cellあるいはLeukocyte)は、広義には生体防御に関わる免疫担当細胞を指す。しかしながら、血液に含まれる細胞成分や、骨髄系前駆細胞から分化する免疫担当細胞(好中球をはじめとした顆粒球、単球、樹状細胞などを含み、リンパ球を含まない)、さらには狭義には好中球を単独で表すこともあるため、文脈により何を指すか全く異なる場合があることに留意する必要がある。一般にはリンパ球、顆粒球、単球の総称とされるため、本項は主に血液に含まれ、一般的な検査で検出される細胞成分の一つという定義に基づいている。この細胞成分は外部から体内に侵入した細菌・ウイルスなど異物の排除と腫瘍細胞・役目を終えた細胞の排除などを役割とする造血幹細胞由来の細胞である。
血液検査などではWBCと表されることが多い。
大きさは6から30μm(マクロファージはそれ以上)。数は、正常血液1マイクロリットルあたり、3500から9500個程度である。 |
鼻 |
Nose |
鼻(はな)は、動物の器官のひとつで、嗅覚をつかさどる感覚器、そして呼吸をするための呼吸器である。餌の臭いを嗅ぐ点で、口の補助的役割も勤める。 |
鼻水 |
Mucus |
鼻水(はなみず)は、鼻から出る流動性あるいは半流動性の液体。鼻汁(はなじる、びじゅう)、洟(はな)ともいう。鼻水から水分が抜け固体となったものは鼻糞(はなくそ)という。
鼻水は、鼻腔内の鼻腺、杯細胞などから分泌された粘液、および血管からの浸出液などの混合物である。鼻から吸った空気に適度な湿り気を与えたり、気道の粘膜を病原菌から保護するために常に分泌されているが、通常は無意識のうちに飲み込んでいる。
しかし風邪をひいた、花粉症にかかった場合などには、鼻や喉に付着した病原菌や花粉を殺菌し洗い流すために大量の鼻水が分泌され、鼻からあふれ出ることになる。
また、最近では少なくなったが、蛋白質の摂取が不足すると緑色の鼻水が大量に分泌され、俗に「青っ洟」と呼ばれる。1960年代頃までの日本では食肉の消費量が少ないこともあって、成長期の子供は蛋白質が不足する事が少なくなく、「青っ洟」を垂らしている子も普通に見られた。
鼻水をすすると痰となって喉から出てくることがある。これは鼻と口が気道によって繋がっているためである。
なお激しく泣いたときなどに出る鼻水は、涙が鼻涙管を経て鼻に流れ込んだものである。
鼻水に鼻息が混じり膨らむことを鼻提灯(はなちょうちん)と言う。アニメや漫画においては眠っている様子を表現するために用いられることがある。
俳句では、冬の季語になっている。 |
腹 |
Abdomen |
腹(はら、英語:abdomen)は、人間や動物の体における胴の下半部のことである。腹部(ふくぶ)とも言い、話し言葉ではおなかともいう。なお、人類などの腹部のうち下方(鼠蹊部から股間のあたり)を下腹部(かふくぶ)という。
哺乳類では、胸腔と骨盤の間にあり、内部に消化器・生殖器を中心とする内臓の大部分がある。胸腔との間には横隔膜がある。
人間の腹は、肋骨に囲まれた胸郭から下の、足の付け根までの胴部を指す。腰骨の部分は腰とも言うが、その前側は下腹部と呼ぶ。腹部は見かけの上では特に目立った構造のない、なめらかなもので、中央やや下方向の正中線上にへそがある。またさらに下方の股間には泌尿生殖系を含む外陰部が見える。成長期以降には、臍からこの部分にかけて陰毛を生じるが、その範囲には個人差が大きい。
体内ではそのほとんどを消化器系のうち胃、十二指腸、小腸などが占め、次に大きいのは肝臓であるが、胃と肝臓は肋骨の範囲に収まる。さらに泌尿生殖器系がここに含まれる。
また、皮下脂肪の蓄積する部位としても知られ、中年太り、ビール腹などはこれを指すことが多い。
女性の場合、初経の1年以上前までは腹が前に突き出た形になるが、初経の1年前後でまっすぐになる。その後加齢してくるとへそ周辺→下腹全体→胃付近の順に腹が出てくるようになるが、加齢による腹の出始める時期や腹の出るスピードは個人差が大きい。 |
皮下脂肪⇒脂肪組織 |
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腓骨 |
Fibula |
腓骨(ひこつ、ラテン語:fibula、英語:calf
bone)は、四肢動物の後肢を構成する骨である。脛骨とともに膝から足首までを構成し、脛骨に対して外側背面を通っている。
脚および足の腓骨側を腓側(ひそく)という。医学用語の外側(がいそく)および日常語の外側(そとがわ)と同じである。腓側の反対側を脛側(けいそく)と呼ぶ。 |
膝 |
Knee |
膝(ひざ)は脚(足)の関節部で、腿(もも)と脛(すね)とを繋ぐ部分のことを指す。膝の前面を膝頭(ひざがしら)、膝小僧(ひざこぞう)という。後面はひかがみ(膕、引屈)という。
膝は足裏以外では接地することが多い部位である。たとえばかかとを挙げ、つま先と膝をついて座る座り方は「跪く」と言い、多くの民族に見られる。つま先を伸ばして足の甲と膝をつくのを正座という。いずれも改まった場、あるいはへりくだった姿勢を示す。這う場合も足裏ではなく膝をつく。転ぶ場合には膝からぶつかることも多い。
膝の関節は、「大腿骨と脛骨で作られる関節」と、「大腿骨と膝蓋骨で作られる関節」とで形成される。このうち、大腿骨と脛骨で作られる関節は螺旋関節といわれる1軸性の関節形態を成している。膝関節は、腕における肘関節に対応する。 |
皮脂 |
Sebaceous
gland |
皮脂(ひし、英: Sebum)は、皮脂腺から分泌される脂肪などを含むエマルション様の液体である。成分はグリセリン脂肪酸エステルである。
皮脂腺の腺細胞が内部で合成した分泌物を多量に蓄積した後、細胞全体が崩壊することによって皮脂腺内腔に放出される。つまり、皮脂は皮脂腺細胞の崩壊物全体からなる。毛穴の内面に開く皮脂腺開口部から皮膚表面に分泌され、皮膚や体毛の表面に常に薄い膜状に広がり、物理的、化学的に皮膚や毛髪を保護、保湿する役割を果たしている。また、これに含まれる脂肪が皮膚の常在菌により分解されることで生じる脂肪酸によって皮膚の表面は弱酸性となり、これが病原菌などを排除する機能も持つ。
皮脂は思春期になると性ホルモンの影響を受けて分泌が活発になり、毛穴内面の角質の増大によって速やかに毛穴の外に放出されることが妨げられると、毛穴内に角質とともに蓄積してにきびが発生する原因となる。また、頭皮から分泌される皮脂は量が多いこともあって頭皮を洗浄しないと蓄積されていき、匂いを発生するので美容上嫌われることがある。 |
皮脂腺 |
Sebaceous
gland |
皮脂腺(ひしせん)は、皮膚の内部にある小さい腺。主に皮脂を分泌し、皮膚や毛髪の表面の保護や保湿の働きをする。脂腺とも。
体毛1本に対してそれぞれ皮脂腺が存在するが、体の場所によって皮脂腺が発達しているところとそうでないところがある。頭皮は発達している例であり、髪を保護するために多量の皮脂を分泌する。しかし髪があまりにも長いと全体に皮脂が行き渡らないため、リンスやトリートメントを使用して補うことがある。
ストレスを受けると体内の活性酸素が急激に増加して皮脂腺が活発になるが、この時分泌された皮脂には通常より強い臭いを伴う。 |
肘 |
Elbow |
肘(ひじ、肱、臂)は、人間の腕の移行部で、上腕と前腕を繋ぐ肘関節(ちゅうかんせつ)と、これらを取り巻く筋や腱のことを指す。脚における膝に対応する。狭義には、腕を折り曲げたときに外側になる部分を指す。
後面に尺骨上端部の肘頭があり、曲げると突出する。前面には肘窩(ちゅうか)と呼ばれる浅い窪みも見られ、静脈注射にしばしば利用される。皮静脈がはっきりしているためである。
肘関節は上腕骨、橈骨、尺骨の間に存在する関節である。その屈伸を行うのは、主に上腕骨と尺骨間である。 |
脾臓 |
Spleen |
脾臓(ひぞう)は循環器系内に組み込また臓器である。
脾臓の機能
免疫機能:白脾髄でB細胞(Bリンパ球)、Tリンパ球、形質細胞を成熟させ、血液を増殖の場とする病原体に対する免疫応答の場となる。循環血中の莢膜を持つ細菌の濾過とIgMオプソニン抗体を産生する場でもある。脾摘された人が肺炎球菌やインフルエンザ菌、マラリアなどに感染すると重症化しやすい。
造血機能:骨髄で造血が始まるまでの胎生期には、脾臓で赤血球が作られている。生後はその機能は失われるが、大量出血や骨髄の機能が抑制された状態では再び脾臓での造血が行われることがある(髄外造血)。ラットやマウスでは出生後も造血が行われる。
血球の破壊:古くなった赤血球の破壊を行う。赤血球中のヘモグロビンを破壊し鉄を回収する働きもある。摘出により溶血性貧血が改善された例がある。
血液の貯蔵機能:血液を蓄える機能がある。人間ではそれほど多くの血液の貯留はされないが、犬や馬などの動物では大量の血液が貯留されている。筋肉が大量の酸素を必要とするような運動時には、脾臓から貯蔵されていた血液を駆出することで充分な酸素を筋肉へ送り届けることが出来る。
こうした重要な機能も、循環器系の一部で機能の代替が行えるため、手術等によって脾臓を失ってもただちに致死することはない。 |
泌尿器 |
Urinary
system |
泌尿器(ひにょうき)とは、動物の器官のうち、尿を作り出し、体外に排出するために働く器官をまとめて呼んだ名前。それらの器官をすべてまとめて泌尿器系と呼ぶ。
多くの動物、特に陸上動物を含む複雑な体を持つ動物では、体内環境と体外環境とを区別し、体外環境の影響によらず、体内を一定の状態に維持する恒常性をもっている。このため、体内と体外との物質のやり取りは管理・制限されており、栄養分の取り込みや、不要な老廃物の排除は、物質の自由な拡散で行うことができず、専用の物質交換システムが用いられている。この排出システムを排出器官というが、ヒトを中心として脊椎動物においてはこれを泌尿器という。泌尿器の役割は、体液(血液)から、老廃物などの不要な物質を濾過、選別し、高濃度に濃縮するなどして蓄積、適宜体外へ排出することである。この過程で通過する通り道の器官を尿路と呼ぶ。
泌尿器の定義と、診療科の泌尿器科の対象となる器官は異なっている。 |
皮膚 |
Skin |
皮膚(ひふ、英: skin)は、動物の器官のひとつで、体の表面をおおっている層のこと。体の内外を区切り、その境をなす構造である。皮膚と毛、爪、羽毛、鱗など、それに付随する構造(器官)とをあわせて、外皮系という器官系としてまとめて扱う場合がある。また、動物種によっては、皮膚感覚を伝える感覚器の働きも持っている場合がある。ヒトの皮膚は「肌」とも呼ばれる。
高等脊椎動物では上皮性の表皮、その下にある結合組織系の真皮から構成され、さらに皮下組織そして多くの場合には脂肪組織へと繋がってゆく。
ヒトの皮膚は、上皮部分では細胞分裂から角化し、垢となって剥がれ落ちるまで約4週間かかる。
『ヒトの肌の色』も参照。 |
腹腔 |
Abdominal
cavity |
腹腔(ふくこう/ふくくう/ふっくう、Abdominal
cavity)とは人間を含む哺乳類の身体の部分のうち、横隔膜より下部で腹部の内腔を指す。その下部には骨盤がある。腹腔内面や内部の内臓は腹膜に覆われている。腹腔と腹膜腔を同義で用いることがしばしばあるが、厳密には、単純に横隔膜や腹壁に囲まれた空間を腹腔と呼び、その内面の腹膜によって作られる空間を腹膜腔という。例えるならば、壁紙を貼る前の部屋が「腹腔」、「腹膜」という壁紙で囲まれた空間を「腹膜腔」と呼ぶ。 |
副交感神経系 |
Parasympathetic
nervous
system |
副交感神経系(ふくこうかんしんけいけい、(PNS:Parasympathetic
nervous system)は、自律神経系の一部を構成する神経系であり、コリン作用性である。「副交換神経」は誤字。
副交感神経は遠心性の自律神経であり、臓器近傍あるいは臓器内に存在する神経節を隔てて大きく節前線維と節後線維に分けられる。節前線維・節後線維ともに末端部から神経伝達物質としてアセチルコリンを放出することからコリン作用性神経と呼ばれる。 |
副甲状腺 |
Parathyroid
gland |
副甲状腺(ふくこうじょうせん)は上皮小体(じょうひしょうたい)ともいい、甲状腺に隣接してヒトでは2対(他の動物種によっては3-4対)存在する内分泌腺である。第三咽頭嚢由来の外上皮小体および第四咽頭嚢由来の内上皮小体に分けられる。ロンドン動物園のインドサイで最初に副甲状腺は発見され、1877年スエーデンのウプサラ大学の学生Ivar
Sandstrom(oの頭に¨)(イヴァル・サンドストロム)が人で副甲状腺を発見し世界で最初の論文を書いたとされる。甲状腺との直接的関係はない。副甲状腺ホルモン(上皮小体ホルモン、パラトルモンともいう。英:
parathyroid hormone, parathormone; PTH)を分泌し、カルシウムおよびリン酸の調節を司る。発生学的には魚類の鰓に対応すると考えられている。 |
副腎 |
Adrenal
gland |
副腎(ふくじん)は、哺乳類などに存在する器官で、多種のホルモンを分泌する内分泌器の一つ。腎臓の隣にあることから、この名があり、腎上体(じんじょうたい)とも呼ばれる。実際には腎臓と直接の接続はない。
大きく2層構造をしており、中胚葉由来の副腎皮質および外胚葉由来の副腎髄質から構成される。副腎皮質からは、コレステロールを原料に多種のステロイドホルモンが分泌される。それらのホルモンをまとめて副腎皮質ホルモンと総称する。副腎皮質ホルモンは、その機能から大きく3つに分類される。体内での糖の蓄積と利用を制御する糖質コルチコイド、無機イオンなどの電解質バランスを調節する鉱質コルチコイド、そして生殖機能に関与する性ホルモン、特にアンドロゲンである。一方、副腎髄質からは、カテコールアミンホルモンであるエピネフリン(アドレナリン)、ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)が分泌され、体のストレス反応などの調節を行っている。皮質と髄質とは発生学的にも機能的にも直接の関連性はない。 |
腹膜 |
Peritoneum |
腹膜(ふくまく、英:peritoneum)とは、胃や肝臓といった腹部の臓器の全体ないし一部をおおっている薄い半透明の膜である。腹膜は腹腔の中にあり、胸膜・心膜とともに漿膜に分類される。腹膜で囲まれた閉鎖空間を腹膜腔という。なお、腹膜腔と腹腔はもともと別のものであるが、両者が同義のものとして扱われることも多い。
腹膜は外表面を覆う単一の中皮細胞層(mesothelium)と結合組織である中皮下層(submesothelial layer)より構成される。また腹膜は腹壁内面の壁側腹膜(parietal peritoneum)と臓器表面の臓側腹膜(visceral peritoneum)に区別されるが両者は連続しており、腹膜面の総面積は1.7〜2.0
m^(2)に達する。これは体表の表面積にほぼ等しい。腹膜腔には少量の漿液が含まれ臓器の運動の摩擦を防いでいる。臓側腹膜と壁側腹膜の移行部が長くなって二重膜をつくっているところは間膜と呼ばれ、臓器に出入りする血管・神経の通路となっており、器官や体壁への連絡路の役割を果たしている。 |
糞 |
Feces |
糞(くそ、ふん。くそは「屎」とも表記)とは、動物の消化管から排泄される固体状の排泄物。糞便(ふんべん)、大便(だいべん)、(俗に)うんこ、うんち、ばばや、大便から転じ大とも呼ばれる。(うんこ、くそについては)転じて、取るに足らない物、無意味な物、役立たない物、不必要な物を指して、このように形容する場合もある。
糞は大抵の場合において、禁忌されるべき不浄の存在として扱われる。特に衛生面から見た場合、伝染病の病原体を含んだ糞は典型的かつ危険な感染源であるし(これらが近代の戦争で、赤痢等の伝染病を蔓延させるための生物兵器として使用されたこともある)、また非常に強い臭気を放つ。
動物の糞は一般的に、草食獣などの弱い動物ほど糞の臭いは少なく、逆に肉食獣の糞は臭気が強い。これは弱い動物が臭い糞をすると、天敵を集めてしまう危険が高くなるために、臭い糞をする草食獣は淘汰された結果だともといわれているが、逆に肉食獣などの糞は、脂質やタンパク質を消化するためにさまざまな消化分泌系が発達し、より臭いが強い傾向がある。
古くから、さまざまな理由で忌み嫌われてきた糞ではあるが、近年では生物学的な循環において、これらを資源として考える向きもあり、将来的には宇宙ステーションなどの閉鎖環境において、有効に活用する手段が求められることもあり、そのための研究も広く行われている。 |
分泌 |
Secretion |
分泌(ぶんぴ又はぶんぴつ)とは一般に細胞が代謝産物を排出すること。
また狭義には、分泌活動を専門的に行う腺細胞が集まって腺を形成し、分泌物を排出することをいうこともある。この意味では特に動物個体のレベルで、体外または体腔に出す外分泌(exocrine)と、体液に出す内分泌(endocrine)に分類される。
外分泌には体表への汗、皮脂、乳など、消化管への唾液、胃液、胆汁などの分泌がある。内分泌はホルモンなどのシグナル物質の分泌である。内分泌は必ずしも腺によるものではなく単独の細胞によるものもある。 |
平滑筋⇔横紋筋 |
Smooth
muscle
tissue |
平滑筋(へいかつきん)とは、横紋筋とは違いサルコメア(筋節)のない筋肉のことである(アクチン・ミオシンは少量存在する)。血管、膀胱、子宮など、管状あるいは袋状器官では「壁」にみられる。また、消化管(胃・小腸・大腸など)では消化物を筋収縮により運ぶ役割を持つ。
抗平滑筋抗体(ASMA)は肝炎、肝硬変、狼瘡などの自己免疫疾患の徴候のことがある。
平滑筋の個々の細胞は紡錘形であり、内部にアクチンとミオシンが存在することが確認されている。骨格筋、心筋と異なり横紋は見られず、細胞自体の収縮メカニズムは不明とされている。支配神経は自律神経である。骨格筋とは異なり神経-筋接合部は明確ではなく、神経線維のところどころにある膨らみから信号が伝達される。
信号伝達のメカニズムにより、単元性平滑筋と多元性平滑筋に分類される。 |
便⇒糞 |
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へそ |
Navel |
へそ(臍)とは、
・腹部のまんなかの小さなへこみ。臍帯のとれた跡。ほぞとも。
・石臼、重ね箪笥などの重なり部分に設けた小さな突起。
・ものの中央にあるくぼみや高い部分。「あんパンのへそ」のように用いる。
臍という漢字はほぞとも読み、「ほぞをかむ」などの慣用句に用いられる。解剖学では漢字を原則として音読みで読むため、さいと発音し、医学でもそのように発音することが普通である。経絡学ではへその中も経穴のひとつとみなされ、「臍中」と書いてさいちゅうと呼んでいる。
臍、とは腹部のまんなかの小さなへこみ(あるいは、小さな突起)のことである。 人だけでなく、哺乳類全般の腹部にあるが、ヒト以外の哺乳類ではそれほど顕著には見られない。厳密に言えば、爬虫類、鳥類を含む胚膜類はすべて臍がある。
臍帯(=胎児時代に母胎から栄養素や酸素を得るための接続)の痕跡である。 母胎と繋がっている状態での血管などを含むひも状の器官を生物学、医学では臍帯(さいたい)、日常語では臍の緒(へそのお)と呼ぶ。臍帯は出生後は自然にあるいは人為的に切断されることで胎盤などの胚膜の主要部から成る器官が切り離され、さらに体の側に残った部分も周囲が締め付けられて血液循環がなくなり、壊死して脱落する。このときの瘢痕が臍である。
この部分の皮膚の下は瘢痕化した血管であり、皮下脂肪や筋肉がないため、くぼんでいる。ヒトでは腹部の皮下脂肪が発達するために周囲から特にくぼんで見えるために目立つ。
しかし、この部分の閉塞が遅れると、この部分の皮下に、腹圧によって繰り返し臍の内部に腸などが飛び出すヘルニア症状を起こすようになり、臍ヘルニアと呼ぶ。これがいわゆる「でべそ」である。
人間の皮膚で唯一汗を分泌しない部分である。 |
扁桃 |
Tonsil |
扁桃(へんとう)は、二次リンパ器官に分類されるリンパ上皮性器官である。従来は扁桃腺と呼ばれていたが、真の意味では腺ではないため扁桃に改められた。
口腔、鼻孔から吸引した異物が咽頭に到る前に免疫応答できるような配置をなす。単なるリンパ節の集合体ではなく、粘膜上皮直下の密なリンパ小節の集まりと、表面の亀裂と陥没によって特徴づけられる。亀裂は上皮を伴っており、特に口蓋扁桃では盲管状となり深部に至る。盲管内では、上皮内へのリンパ球と顆粒白血球の遊走が見られることが特徴。
アーモンドの種子の形に似ているためアーモンドの別称である「扁桃」と命名された。口蓋弓の中間にある陥没に位置する口蓋扁桃(こうがいへんとう)と舌根にある舌扁桃(ぜつへんとう)、咽頭円蓋にある咽頭扁桃(いんとうへんとう)は輪を描くので、まとめてワルダイエル咽頭輪と呼ばれる。このほか、耳管への異物の侵入を防ぐと考えられている耳管内口周辺粘膜下の耳管扁桃や、咽頭上部に存在する咽頭扁桃が存在する。 |
膀胱 |
Urinary
bladder |
膀胱(ぼうこう)は、腎臓から送られてくる尿を一時的に溜める袋状の器官。尿を作る動物一般において、それを一時蓄える構造に対してもこの名を与える。
腎臓からの排出物は本来は消化管に放出される。その部分に発達した袋状の構造が膀胱である。したがって内胚葉起源である。ほ乳類では肛門と独立して新たに尿道が直接に体外に口を開くので、膀胱は消化管と独立する。
陸上生活をする哺乳類においては、尿や便を魚類のごとく垂れ流しにするのは甚だ生存に不利である。尿や便を垂れ流しにすれば、それを辿って捕食者に容易に発見されてしまう為である。従って、哺乳類では便を保持する直腸や尿を保持する膀胱が発達したと考えられている。
ヒトの場合、下腹部中央に位置。左右の腎臓からの尿管でつながり、尿が送られてくる。また、尿を外部に排出するために尿道がつながる。尿道への入口は膀胱頸部筋で閉じられる。
通常時は1時間あたり60mlの尿が腎臓から送られる。膀胱総容積の4/5程度蓄積されると大脳に信号が送られ、尿意を感じる。排尿時は腹圧を加えることで膀胱の筋肉が働いて内圧がかかり、膀胱頸部筋が開放、排尿に至る。
通常の膀胱の厚さは1.5cm程度だが、尿が蓄積されるにつれて薄くなる。満タン時には3mmまで薄くなり、この場合まれに衝撃で破裂する事がある。
膀胱の容量は、成人で平均して500ml程度であるが、人によって、約250 - 600ml程度と、個人差が大きい。体の大きさはあまり関係なく、小柄な女性でも1L以上我慢できる人もいる(俗に「貴婦人膀胱」といわれる)。
子供の夜尿症で、膀胱が小さいことが原因の場合、排尿をなるべく我慢させることで、成長とともに膀胱の容量が大きくなり、夜尿が治るケースがある。 |
ほくろ |
Nevus |
ほくろ(黒子、黶、mole)は、皮膚の一部にメラニン色素を含む細胞=メラノサイトが、周囲より高い密度で集まってできた母斑の一種。メラノサイトが一層に並んでいるものを、狭義の黒子(こくし、lentigo)と言い、メラノサイトが重層したもの(しばしば持ち上げられた表皮が盛り上がって見える)を色素性母斑(pigmented nevus)あるいは母斑細胞性母斑(nevus cell nevus/nevocellular
nevus)と言う(この場合、母斑を形成するメラノサイトを特に母斑細胞(nevus
cell/nevocyte)と呼ぶ)。体表からは、黒く見えるのが一般的であるが、深い部分でのメラノサイトの増殖の場合、青く見えることもある(青色母斑という)。一般には過誤腫的なものと考えられているが、WHO分類では色素性母斑に限っては良性腫瘍として扱い、ICD-Oコード付けが成されている(8720/0など)。
日本語では古く「ははくそ(母糞)」と言った。文字通り「母胎内でついた母親の糞」の意であったが、鎌倉時代初期に色名の「くろ(黒)」と混同をきたして「ははくろ(母黒)」という語が生じ、ハワクロ→ハウクロ→ホークロという転訛を経て室町時代末期にホクロになったというのが通説である。目の下にあると泣き黒子(ぼくろ)と呼ばれる。
体の上でのほくろの位置が年月とともにゆっくり移動することがあり、複数のほくろの位置関係が変化することもあるが心配ない。
もし成人の手の平、指、足底、足指、目のあたり、鼻、上唇周辺などの“ほくろ”が急に大きく(長径6mm以上に)なったり、その境界がぼやけていたりいびつな形だったり、出血、膿、あるいは崩れがあるなら、いじらずにすぐ皮膚科や形成外科に行って、良性かどうか診てもらうのが良い。
数年で盛り上がった“ほくろ”でも、真珠状の光沢や青黒さがあったり、斑(まだら)状のもの、あるいは中央部が潰瘍で落ち込み周囲が黒く盛り上がっている場合も同様。
以前は切除法が多かったが、近年では、レーザー治療などを使ってほくろを除去する人も増えている。 |
骨 |
Bone |
骨(ほね, 英:bone)とは、脊椎動物において骨格を構成する、リン酸カルシウムを多分に含んだ硬い組織。
特に軟骨(cartilage)などと明確に区別する場合には硬骨とも呼ばれる。 動物体内での骨の機能は多岐に亘り、体の保護や姿勢の維持、筋肉を用いた運動のほかに、栄養の貯蔵や、血球を産生する場としての役割も持っている。 ヒトの大人の体には、大小約206の骨があり(幼児で約270個)、それぞれに固有の名称が与えられている。ちなみにヒトの体で最も大きな骨は大腿骨である。
『人間の骨の一覧』も参照。 |
ま |
末梢神経系 |
Peripheral
nervous
system |
末梢神経系(まっしょうしんけいけい
peripheral nervous system)とは、神経系のうち中枢神経系(脳・脊髄)以外のもの。中枢神経系外の神経線維と、神経節とから成る。体の知覚・運動を制御する体性神経系と内臓・血管などの自動的制御に関わる自律神経系とに大別される。
神経組織を大まかに分けると、脳・脊髄より成る中枢神経系とそれ以外の神経節と神経線維とから成る末梢神経系とに区別される。この区分は、肉眼解剖のみに頼っていた時代に作られたものであるから、両者に構造的な厳然とした境界があるわけではない。すなわち中枢と末梢の構造的区切りは、神経の機能的境界とは一致しない。例えば、脊髄前角から出る運動神経を例にあげれば、一本のニューロンが脊髄前角から脊髄外の筋肉まで、切れ目なく走行しているが、脊髄内部に存在する部分は中枢神経系と定義し、脊髄という領域から少しでも外部に線維が出れば、それが末梢神経系に属するという事になる。
進化学的に考えると、神経組織が下等な動物では、体の諸所に存在する散在神経の連絡網のみから成るだけで、中枢はなく末梢神経のみが局所の反射的調節を担っていることがわかる。しかしヒドラなどの刺胞動物でも、既に口の周囲の神経網は他部よりも密度が高く、頭部に脳が形成される兆しが見える。自律神経特に交感神経系は、完全に末梢部分が主体となって中枢外に交感神経幹を作り、この中に上顎・星状・腹腔・上下腸間膜・下腹神経節と呼ばれる神経節が連鎖を作っている。勿論脊髄を通じて中枢神経との連絡は存在する。 |
眉毛 |
Eyebrow |
眉毛(まゆげ、英語:eyebrow)とは、目の上部に弓状に生える毛のこと。眉(まゆ)とも呼ばれる。
眉毛は顔面に左右一対あり、まぶたの上の、目の上にそれに沿って隆起する部分に目の幅とほぼ同じくらいにわたって生えている体毛である。一般の体毛と異なり、より太く色濃くなっている。それぞれの毛は立ち上がらず左右の外側、やや下向きに寝る。眉毛の位置は多少の差はあるが、左右非対称で生えていることがほとんどである。左右の眉の間−眉間(みけん)−の毛がない部分の幅には個人差があり,ここに毛が生えることにより二つの眉がつながった状態になることがある。
眉毛は機能的には額から落ちる雨水や汗が目に入らないようにする役割を担う。それぞれの毛の方向はそれに対応するものと考えられる。同様に、雨水やほこりや小さなゴミが目にはいるのを避ける役割も担っている。
他方で、眉は人の表情を作る重要な役割を担っており、それによるコミュニケーションにおいても重要な役割を果たしている。
眉毛は目元のみならず顔全体の印象を左右するパーツであるため、古くから化粧の一環として眉毛を任意の形に整える、引眉などの行為が行われてきた。歌舞伎など世界の古典的な舞踊において、目や口元と同様に眉を強調する化粧を行う例は数多い。現代では主に女性が眉毛を抜いたりカットしたり、剃ったりして眉毛の形を整えることがある。女性の場合は眉毛を描くため、全て剃り落としている人もいる。また、逆に薄い眉や不揃いな眉の場合は眉のラインを描きたすこともある。髪を染めている人の場合は、髪の色に合わせて眉毛を染めることもある。眉毛には生理的役割はないので、頭髪と同様、美容として加工することにあまり抵抗感はないと言える。眉の化粧については眉墨の項目で詳述している。 |
みぞおち |
Celiac plexus |
みぞおちとは、人間の腹の上方中央にある窪んだ部位のこと。鳩尾(きゅうび、みぞおち)、水月(すいげつ)、心窩(しんか、しんわ)とも呼ばれる。 みぞおちの内部背中側には腹腔神経叢(ふくこうしんけいそう、英:celiac
plexus, solar plexus. 独:solarplexus)という神経叢 (en:nerve
plexus) がある。
東洋医学の経絡論においては、みぞおちは体の正中線上を走る任脈の「鳩尾(きゅうび)」という経穴(ツボ)となっている。
みぞおちを殴るなどして衝撃を与えると強い痛みを感じる。これはみぞおち奥の腹腔神経叢には多数の交感神経(神経叢)が走っており、痛覚が鋭敏なためである。さらに衝撃で横隔膜の動きが瞬間的に止まることがあり、この場合呼吸困難に陥る。そのためみぞおちは人体の急所の一つとなっており、ボクシングや空手、ムエタイ、柔術、杖術などの格闘技や武道ではみぞおちを狙う攻撃が重要な技術となっている。
膵癌など、一部の内臓の癌治療においては、患者の痛みを和らげるためにみぞおちから麻酔注射を打つことがある。 |
胸 |
Chest |
胸(むね)とは、人体において首と腹部に挟まれており、脊椎より前方の部分である。また、動物において、それに対応する部位をさす。内臓部分を意味する場合と、身体の外形、特に乳房を意味する場合がある。ヒトのように肋骨により保護されている場合や、昆虫など外骨格を持つ生物においては胸郭(きょうかく)と呼ばれる(昆虫の構造)。哺乳類の胸郭内の体腔は後方を横隔膜で仕切られて他の体腔から分離するので、胸腔(きょうくう)と呼ばれ、そこに肺と心臓を収める。 |
目 |
Eye |
目(眼、め)は、光を受容する感覚器である。光の情報は眼で受容され、中枢神経系の働きによって視覚が生じる。
ヒトの眼は感覚器系に当たる眼球と附属器、神経系に当たる視神経と動眼神経からなる。眼球は光受容に関連する。角膜、瞳孔、水晶体などの構造は、光学的役割を果たす。網膜において光は神経信号に符号化される。視神経は、網膜からの神経情報を脳へと伝達する。付属器のうち眼瞼や涙器は眼球を保護する。外眼筋は眼球運動に寄与する。多くの動物が眼に相当する器官を持つ。動物の眼には、人間の眼と構造や機能が大きく異なるものがある。 |
迷走神経⇒脳神経 |
Vagus
nerve |
迷走神経(めいそうしんけい、英:Vagus
nerve、羅:Nervus vagus)は、12対ある脳神経の一つであり、第X脳神経とも呼ばれる。頸部と胸部内臓、一部は腹部内臓に分布する。
迷走神経は脳神経の中で唯一腹部にまで到達する神経である。迷走神経は体で一番重要な神経であると言える。
迷走神経の「Vagus」とは中世のラテン語で、放浪している事を意味する。
首から横行結腸の3分の1までのほとんど全ての内臓の運動神経と副交感性の知覚神経が迷走神経であり、さらに、心拍数の調整、胃腸の蠕動運動、発汗や発話等にも関与する。
主に副交感神経性線維であるが、関与する線維の神経核は迷走神経背側核、疑核
nucleus
ambiguus、孤束核 solitary nucleus などである。
また、胸腔内で反回神経を分岐し、これは上行し口蓋帆挙筋、耳管咽頭筋、茎突咽頭筋、口蓋舌筋、口蓋咽頭筋、上咽頭収縮筋、中咽頭収縮筋、下咽頭収縮筋、鰓弓筋等を支配している。このことは、口でも迷走神経が多くの筋肉を支配し、発話や咽頭を開くことにきわめて重大な役割を担っていることを示す。
また、この神経は外耳や髄膜の一部からいくらかの刺激を受ける。
直接の枝としては、硬膜枝、上神経節、下神経節、鰓弓神経、腸骨枝、耳介枝、咽頭枝、咽頭神経叢、喉頭神経、上頚心臓枝、下頚心臓枝、気管枝、食道枝、胸心臓神経、気管支枝、肺神経叢、食道神経叢、前迷走神経幹、前胃枝、胃小弯前神経、肝枝、幽門枝、後迷走神経幹、後胃枝、胃小弯後神経、腹腔枝、腹腔神経叢、腎枝に分枝する。 |
耳 |
Ear |
耳(みみ)は、動物の器官の1つで、音を適刺激とする感覚器であると同時に、重力の向きと加速度を適刺激とする感覚器でもある。一般に、聴覚にとって重要な器官として広く認知されているが、聴覚以外にも平衡覚と回転覚を感知しているため、合わせて平衡聴覚器とも言う。 |
毛細血管 |
Capillary |
毛細血管(もうさいけっかん)は、動脈と静脈をつなぐ細い血管。(例外として門脈系がある)毛管、毛細管とも呼ばれる。閉鎖血管系にのみ存在する。
組織細胞と物質をやりとりするため壁は薄く、1層の内皮細胞のみで構成。 動脈、静脈から無数に枝分かれし組織に網の目のようにはりめぐらされる。
直径5〜10μmで、白血球、血漿等が血管細胞の隙間を通じて移動、ガス交換・栄養分・老廃物の運搬等を行う。毛細血管は形態学的に連続性毛細血管、有窓性毛細血管、洞様毛細血管に分類される。 |
盲腸 |
Cecum |
盲腸(もうちょう、英: cecum)とは、大腸の一部で、小腸との接合部より口側(肛門から遠い側)の盲端部分。
人間や肉食動物の盲腸はかなり小さいが、草食動物やラットの盲腸はとても大きい。草食動物の盲腸が大きいのは、ここで微生物の力を借りてセルロースを分解するためである。その微生物のたまり場が虫垂である。 |
網膜 |
Retina |
網膜(もうまく)は、眼の構成要素の一つである。視覚細胞が面状に並んだ部分があればこう呼び、視覚的な映像(光情報)を神経信号(電気信号)に変換する働きを持ち、視神経を通して脳中枢へと信号を伝達する。その働きからカメラのフィルムに例えられる。
脊椎動物の外側眼では眼球の後ろ側の内壁を覆う薄い膜状の組織であり、神経細胞が規則的に並ぶ層構造をしている。
脊椎動物の網膜では、目に入った光は網膜の奥(眼球の壁側)の視細胞層に存在する光受容細胞である視細胞(桿体および錐体)によって感受される。視細胞で光から神経信号へと変換され、その信号は網膜にある様々な神経細胞により複雑な処理を受け、最終的に網膜の表面(眼球の中心側)に存在する神経節細胞から視神経を経て、脳中枢へ情報が伝えられる。 |
や |
指 |
Digit
(anatomy) |
指(ゆび)は、一般的に人間の身体の一部で、手や足の末端部にある突出部で、中に関節のある骨格を含む。人が日常的に使う部位だけに様々な意味合いを持つ言葉に発展し、慣用句でも多用されている。相同な構造は四肢動物全般に見られ、四肢の形成の初期から存在する物である。
大和言葉としての「ゆび」は手足両方を指すが、漢字の「指」は手偏が付いていることからもわかるとおり、本来は手の「ゆび」を意味する。英語などのゲルマン語や中国語では手の「ゆび」と足の「ゆび」を区別する。「finger」と「toe」、「Finger」と「Zehe」、「手指」と「脚趾」など。また、英語では親指を除いた4本のみをfingerとする。日本語でも、医学用語では「指」と「趾」を区別する。
一方、仏doigt・西dedo・伊ditoなどは「ゆび」と同様、手足ともに用いられる。 |
腰神経叢 |
Lumbar
plexus |
腰神経叢(ようしんけいそう)とは脊髄神経から分岐し骨盤・臀部・性器・下肢のうちに大腿・膝・脹脛(ふくらはぎ)へ繋がる神経叢の名称。
腰神経叢は脊髄神経から分岐し背中・腹部・鼠径部と下肢のうち大腿・脹脛・足に繋がる仙骨神経叢と相互に連結しているためこれらを合わせて腰仙骨神経叢と呼ぶ。 |
ら |
ランゲルハンス島⇒膵臓 |
Islets
of
Langerhans |
ランゲルハンス島(ランゲルハンスとう、islets
of Langerhans)とは、動物の臓器の一つである膵臓の中でグルカゴンを分泌するα細胞(A細胞)、血糖量を低下させるホルモンであるインスリンを分泌するβ細胞(B細胞)、ソマトスタチンを分泌するδ細胞(D細胞)および膵ポリペプチドを分泌するPP細胞およびグレリンを分泌するε細胞の5種の細胞からなる細胞塊である。
別名を膵島(すいとう、pancreatic islet)という。膵臓は、アミラーゼなどの消化酵素を十二指腸内へ分泌する外分泌腺とランゲルハンス島からなるが、膵組織の90%以上は外分泌腺が占め、その中に、内分泌細胞の塊が島のように浮かんで存在している。発見者であるパウル・ランゲルハンスの名前からランゲルハンス島と命名された。
魚類を除く多くの脊椎動物の膵臓内に散在する球形の内分泌腺組織で、主にインスリンを分泌し血糖の調節を行う。魚類のランゲルハンス島は膵臓ではなく肝臓近辺に散在する。その径100〜300μm。ランゲルハンス島はヒトの膵臓1mgにつき10-20個あり、膵臓全体で100万個以上存在するといわれる。齧歯類では、膵島の中心部にβ細胞が位置し、α、δ、PP細胞が周辺部に位置するが、ヒトにおいては、この分布は齧歯類ほどは明確ではない。鳥類においては、むしろα細胞が中心部に位置することが知られている。
ランゲルハンス島を構成する細胞が腫瘍化したものを膵内分泌腫瘍という。膵島細胞腫ということもある。これにはα細胞由来のグルカゴノーマ、β細胞由来のインスリノーマ、δ細胞由来のソマトスタチノーマ、PP細胞のPPオーマなどがある。 |
卵巣 |
Ovary |
卵巣(らんそう)とは、動物のメスの生殖器のひとつで、卵子(または卵(らん)ともいう)を作り出す器官。一般的な機能として、卵子のもとになる卵細胞を維持・成熟させ、その後放出する。オスで精子を作り出す精巣と合わせて、生殖巣と呼ばれる。また、脊椎動物の卵巣は、エストロゲン(卵胞ホルモン)、プロゲステロン(黄体ホルモン)を分泌する器官でもあるので、内分泌器官でもある。
ヒトを含む哺乳類の卵巣の内部には、卵胞(らんほう、らんぽう)と呼ばれる構造が多数あり、それぞれ1つずつの卵細胞を包んでいる。卵胞が卵細胞を成熟させ、排卵(はいらん)と呼ばれる、卵巣からの放出を起こさせる。排卵は、動物の種類によって、年に1〜2回程度の繁殖期に起こったり、一定の周期(性周期)でくりかえし起こる種などがある。排卵された卵細胞は、一旦は体腔内に出るが、卵管内に吸い込まれ、卵管から子宮へと流れていく。卵細胞を放出した後の卵胞は、その後、黄体(おうたい)へと変化する。卵巣からは、何種類かのホルモンが分泌される。卵胞からはエストロゲンが、黄体からはプロゲステロンおよびエストロゲンが分泌される。これらのホルモンは、メスの体に機能的な変化を起こさせ、排卵とその後の受精、着床、妊娠といった一連の現象を引き起こすために重要である。このホルモンによる作用は生殖器を中心とした変化だが、それ以外にも全身にわたる。
ヒトの場合、女性の性周期は平均28日程度であるが、子宮内膜の剥離に伴う出血(月経)を目安に考えるため、月経周期と呼ばれる。卵巣からの排卵もこの周期にあわせて起こる。月経の時期になると、卵巣内では次回の排卵のために新たな卵胞が発達をはじめ、月経から約2週間程度で卵胞は最大に発達し、卵巣からの排卵が起こる。 |
リンパ系 |
Lymphatic
system |
脊椎動物においてリンパ系(リンパけい、lymphatic system)はリンパ液と呼ばれる清明な液を運搬する導管ネットワークである。リンパ液が通過するリンパ組織もこれに含まれる。リンパ節を筆頭としてリンパ組織が見出される器官は多く、扁桃腺のように消化管に付随したリンパ濾胞もその一つである。リンパ系はまた脾臓、胸腺、骨髄、消化管に付随したリンパ組織といったリンパ球の循環や産生を行う全ての構造を含む。今日われわれがリンパ系と言っているものはルドベックとバートリンが初めて独立に記述した。
血液の溶解成分は体内の細胞や組織に直接混ざり合うことはない。まず組織液と混ざり、次に細胞に入る。リンパ液というのはリンパ管に流れ込んだ組織液のことである。リンパ液は血液のようにポンプで体内を流れるわけではなく、大体骨格筋の収縮によって流れる。
リンパ系には3つの相互に関連した機能がある。組織から組織液を取り除く働きが1つ。吸収された脂肪酸と脂質を乳糜として循環系まで運ぶ働きが1つ(胸管)。最後に、単球や、抗体産生細胞などのリンパ球をはじめとする免疫細胞を産生する働きである(胸腺)。
様々な器官のリンパ排液についての研究は、がんの診断と治療の点から重要である。リンパ系は体内の多くの組織に物理的に近いところに位置しているため、体内の様々な部位の間で転移と呼ばれるプロセスを起こしてがん細胞を運んでしまう。がん細胞はリンパ節を通過するからそこで捕らえることができる。もしそこでがん細胞を破壊できないなら今度はリンパ節が2次性腫瘍の病巣となる恐れがある。
リンパ系に病気や何らかの異常が起きると、腫脹や他の症状が現れる。リンパ系の異常は体の感染症への抵抗力を損なう。
『ヒトのリンパの名称一覧』も参照。 |
リンパ節 |
Lymph
node |
リンパ節(リンパせつ)とは哺乳類の免疫器官のひとつである。
全身からリンパ液を回収して静脈に戻すリンパ管系の途中に位置し組織内に進入、あるいは生じた非自己異物が血管系に入り込んで全身に循環してしまう前にチェックし免疫応答を発動して食い止める関所のような機能を持つ。
豆の様な形の0.2-3cmの大きさの小体で一つの場所に2〜10数個集まり、全身で600個程度ある。 リンパ節には、周囲から多くのリンパ管が入り、一部の凹んだリンパ門からは入ったリンパ管よりも、出るリンパ管はより太く少ない数になる。 |
肋骨 |
Rib |
肋骨(ろっこつ)は、胸部内臓を覆う骨である。あばら骨とも言い、脊椎から内臓を取り囲む形で付いている。ほとんどの脊椎動物には肋骨があり、外界からの衝撃から内臓を保護する役割を果たしている。
人間の肋骨は全部で二十四本で両側に十二本ずつ、それぞれ第一肋骨〜第十二肋骨と名前が付いている。
そのうち第一肋骨〜第七肋骨は胸骨外側縁と接しており完全に胸部を覆っているのに対して、第八肋骨〜第十二肋骨は胸骨と接しておらず前腹部は開いている。肋骨全体としては肺と心臓をその内部に抱え、肝臓がその内部にほぼ収まる。
また肋骨は骨折しやすい骨としても知られている。一本一本が細く衝撃に対して弱いためであり、主な原因としては外衝撃のほかに咳などによる疲労骨折が挙げられる。他方で折れてもダメージが少ない場合がある骨でもある。深く折れて内臓に刺されば命取りになりかねないが、一本軽く折れた程度の場合、互いに支え合っているのでさほどの苦痛はない。 |
わ |
腕神経叢 |
Brachial
plexus |
腕神経叢(わんしんけいそう、brachial
plexus)とは脊髄神経から分岐し頭・首・上肢のうちに鎖骨・上腕・前腕・手へ繋がる神経叢の名称。
腕神経叢は脊髄神経から分岐し頭部・背中・肩部と上肢のうち後頭部・首・鎖骨に繋がる頚神経叢と相互に連結しているためこれらを合わせて頚腕神経叢と呼ぶ。 |