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補足説明 |
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【土壌生成と風化作用】
土壌生成(Soil Formation、Soil Evolution、Pedogenesis)を行なう土壌生成作用は、風化作用(Weathering)に生物(Organism)の働きが加わったものである。風化作用のみでは土壌は生成されないが、風化作用が基本的に重要である。
風化作用とは、鉱物〔Mineral:地殻中の岩石(Rock)を構成する〕と大気成分〔Atmospheric Constituent:特に二酸化炭素(Carbon
Dioxide)と酸素ガス(Oxygen
Gas)〕と水(Water)との相互作用(Interaction)を指す。実質的には、大気起源の二酸化炭素や酸素ガスが溶解した水(水溶液)が鉱物と反応して起こる作用であり、次のような反応により大気中二酸化炭素を鉱物として固定する反応が主体である。
珪酸塩鉱物〔Silicate Mineral(一次、Primary)〕+CO2+H2O⇒炭酸塩鉱物(Carbonate Mineral)↓+珪酸塩鉱物〔Silicate
Mineral(二次、Secondary)〕〔粘土鉱物(Clay Mineral)が主体〕↓+酸化鉱物〔Oxide Mineral(二次、Secondary)〕〔鉄の水酸化物(Fe-hydroxide)が主体〕↓+H2O
Soil formation 〔Seafriends Marine Conservation and Education Centreによるseafriendsの『environment』の中の『Soil: use, sustainability and conservation』の『Soil: Geology』から〕 |
【土壌断面】
土壌化は地表面から深部に向かって進行する。従って、地層のように層状構造を形成するが、その断面を図で表現することが多く、土壌断面(Soil Profile)と呼ぶ。
最上部の有機物層(Organic Layer:主に植物などの生物による)をO層(O Horizon)と呼び、以下A〜C層(A Horizon
〜 C Horizon)と呼ぶ。それらの下部の新鮮な基盤岩はR層(R
Horizon:Rock Layer)と呼ぶ。A層が最も典型的な土壌であり、生物由来の有機物が多く混じる。B層は、A層から移動した成分を特徴とする土壌であり、有機物も含む。C層は有機物を含まない風化層である。従って、狭義の土壌はO層とA層とB層を指す。広義ではC層も含める。なお、森林地ではO層は厚いが、草地では薄いか欠損する。
Soil profile 〔Seafriends Marine Conservation and Education Centreによるseafriendsの『environment』の中の『Soil: use, sustainability and conservation』の『Soil: Geology』から〕 |
【5大土壌生成因子】
土壌生成作用において重要な因子は、母材(Parent Material:基盤岩など)・気候〔Climate:気温(Temperature)や降水量(Precipitation Rate)など〕・地形(Topography:傾斜など)・時間(Time)・生物(Biological Factor)の5つであるので、これを5大土壌生成因子(Soil Forming Factor)と呼ぶ。これ以外に、人為(Anthropogenic Process)を加えて6大因子と呼ぶこともある。
〔日本粘土学会の『粘土基礎講座T』の中の南條正巳氏による『7.土壌中の粘土鉱物』から〕 |
参考 |
【世界の土壌】
上記の土壌生成因子の違いに応じて、多種多様な土壌が形成されている。世界的には、緯度(Latitude)の変化に対応した水平分布(Horizontal Zonation、Horizontal Variation)を示すことが多い。高山地帯であれば、高度(Altitude)に対応した垂直分布(Vertical Zonation、Altitudinal
Zonation、Altitudinal Variation)を示すこともある。
【FAO/UNESCO分類】 |
特 徴 |
分布 面積 〔億ha〕 |
分布 割合 〔%〕 |
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ツンドラ(Tundra)・亜極地褐色森林土地帯 | コケ・地衣類・小灌木のみ植生。寒さのために農耕不可。 | 5.12 | 3.9 | |
沙漠(Desert)土(塩類土・アルカリ土を含む) 【ゼロソル・イェルモソル(Yermosol)】 |
養分が低くとくに窒素、リン酸、微量要素が不足。水不足で灌漑を必要とするが、二次的塩類化などに注意を要す。 | 21.04 | 16.2 | |
チェルノーゼム(栗色土、ブルニーゼム、赤色プレリーを含む) 【チェルノーゼム(Chernozem)・カスタノーゼム(Kastanozem)】 |
物理的、化学的性質ともにバランスのとれた肥沃な土壌。広大な小麦地帯とアメリカのとうもろこし地帯に分布。 | 8.12 | 6.2 | |
非石灰質褐色土 | 粘土の多い下層土をもち、養分は高いが、物理的性質が悪いので耕土をよくほぐすことが大事である。 | 2.84 | 2.2 | |
ポドゾル(泥炭土、低腐植質グライ土、灰褐色ポドゾル土を含む) 【ポドゾル(Podzol)・ヒストソル(Histosol)】 |
養分が溶脱されて酸性を示す。中和のために石灰の施用を要す。寒冷な気候が耕作の制限因子である。 | 19.40 | 14.9 | |
赤黄色ポドゾル性土 【アクリソル(Acrisol)】 |
養分の溶脱が激しく、酸性で、湿潤気候下で発達、粘土が表層から移動して下層に集積。 | 3.88 | 3.0 | |
ラトソル(Latosol、Oxisol、Ferallitic Soil;Laterite)(地下水ラテライトなどを含む) 【フェラルソル(Ferralsol)】 |
風化と養分溶脱をもっとも激しく受け、リン酸に欠乏、湿潤熱帯における主要土壌。 | 24.72 | 19.0 | |
グルムソル土 地帯 |
グルムソル 【バーティソル(Vertisol)】 |
養分に富むが物理的性質が悪い。透水性低く、排水不良。 |
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テラロッサ(Terra Rosa)【ルビソル(Luvisol)】 | 石灰岩の上に生成された赤色で肥沃な土壌、物理的性質もよく、耕作も容易な土壌。 | |||
レンジナ・褐色森林土地帯 | レンジナ【レンジナ(Rendzina)】 | 石灰岩や泥灰岩を材料にした土壌で肥沃度が高い。傾斜地に分布し、牧草地に利用されている。 |
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褐色森林土【カンビソル(Cambisol)】 | 湿潤冷温帯の中部ヨーロッパに広く分布。粘土移動やポドゾル化がない褐色な土壌断面をもち、中性ないし酸性。 | |||
アンドソル(黒ボク土) 【アンドソル(Andosol)】 |
火山灰からできた土壌で、容積重が軽く、リン酸を土壌に吸収、固定化する力が大きい。 | 0.28 | 0.2 | |
岩屑土(リトソル) 【リトソル(Lithosol)】 |
岩石の上に載っているれきの多い未熟な土壌で、広い面積をもつが、耕地面積割合は低い。放牧地に利用。 | 26.92 | 20.7 | |
砂丘(Dune)未熟土(レゴソル) 【レゴソル(Regosol)】 |
風の力によって砂、微砂が堆積したもの。海岸砂丘堆積物や新しい火山灰などからなる。 | 7.60 | 5.8 | |
沖積(Alluvium)土 【フルビソル(Fluvisol)・グライソル(Gleysol)】 |
河川の氾濫などで堆積された比較的新しい堆積物。肥沃度が高く、世界人口の1/3はこの土壌に食糧を依存している。 | 5.88 | 4.5 | |
<出典> 大塚紘雄・井上隆弘:世界の土壌、科学、58、p.611、岩波書店(1988)。 |
土壌立地学の『読替えデジタル日本土壌図』から 森林地域では褐色森林土が最も優勢。次に黒ぼく土(黒ボク土:火山灰起源)が多い。平野地域では沖積土〔第四紀の完新世(最新の地質時代区分:かつての沖積世:約1万年前から現在まで)に主に河川により堆積した地層の土壌〕が優勢。 |