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最終更新日:2016年12月10日
水素(Hydrogen:重水素、Deuterium、Heavy Hydrogen)を主に用いた核融合反応(Nuclear Fusion)によって発電(Electricity
Generation)しようとするもので、核分裂(Nuclear Fission)を利用した現在の原子力発電(Nuclear Power)の未来型と期待されている。21世紀中には実用化が目指されているものの、問題は山積しているため、実現の可能性は高くない。 核分裂が原爆(Atomic Bomb、A-bomb)として実用化されてきたように、核融合も水爆(水素爆弾、Hydrogen Bomb、H-bomb)として実用化されている(ただし、水爆は起爆のために原爆を使っており、実質的には核分裂爆弾である。:Two-stage Thermonuclear Weapon)。 恒星(star)は、核融合反応により輝いており、反応産物として比較的重たい元素が合成されている。恒星内部程度の温度と圧力条件では、原子番号26の鉄(iron)までが合成され、それより重たい元素は超新星爆発(supernova explosion)のような現象発生時(さらに高温・高圧条件下)に生成される(超新星元素合成、supernova nucleosynthesis)。 |
リンク |
核融合とは |
核反応
自然界でも原始星で起きている反応の一つである。核融合炉として使用する場合、資源の入手性が非常に良いが、反応条件が厳しく、D-T反応の10倍厳しい反応条件を達成する必要がある。D-D反応で生ずるトリチウム、ヘリウム3
をその場で燃焼させる触媒式D-D反応が検討されている。なお、JT-60を含む多くの核融合開発を目的とした実験装置において、重水素を使う実験が行われている結果、この反応が起きている。もちろん、投入エネルギーを回収出来る程ではない。
イオン温度が10億度の条件において、反応断面積がD-D反応の5〜6倍程度の条件とD-T反応程ではないが比較的起こりやすく、発生するエネルギーも荷電粒子である陽子が担い放射性物質も出ないので炉が扱いやすいこと(但し副反応のD-D反応で中性子が発生する)と、直接電力にエネルギーを変換することが可能なことで注目されている反応である。しかしながら、地球上にはヘリウム3がほとんど存在しないことが大きな問題である。アポロ計画の探査の結果太陽風により月には大量のヘリウム3が存在することが明らかになったが、実用化は非常に遠いと見られる。中華人民共和国の月探査計画はヘリウム3採取を最終目的にしている。 |
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D-T反応
反応条件が緩やかで、最も早く実用化が見込まれている反応である。核融合炉として使用する場合トリチウムの入手性に課題がある。トリチウムは、自然界においては、大気の上層でわずかに生成されるのみであり、半減期の短い放射性物質であるため事実上採取は不可能である。また、高速中性子が生成するため、炉の材質も検討が必要となる。現在検討されているトリチウム入手法は、核融合炉の周囲をリチウムブランケットで囲み炉から放出される高速中性子を減速させつつ核反応を起こし、
トリチウムを得ることである。このときブランケットは高速中性子を減速して遮蔽し、燃料を生産し、反応熱を取り出すと言う3つの役割をすることになる。JETおよびTFTRにおいてはこの反応を主反応とするような実験が行われた。 |
D-T反応 |
ウィキペディア(HP/2013/12)による『原子核融合』および『核融合炉』から |
核融合炉 |
核融合反応の種類 |
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原子力百科事典ATOMICAによる『核融合反応と熱エネルギー』から |
図1 各種核融合炉方式の種類 原子力百科事典ATOMICAによる『核融合反応装置の形式と作動原理』から |
原子力百科事典ATOMICAによる『核融合研究開発の経過』から |
原子力百科事典ATOMICAによる『核融合炉の概念』から |
水爆 |
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エドワード・テラー(Edward Teller)とスタニスワフ・ウラム(Stanislaw Ulam)が水爆の基本的設計を行なった。その時の設計がテラー・ウラム型(Teller-Ulam configuration)として今も標準的な水爆の基本設計とされている。 まず、図の上部の核分裂爆弾=原爆を爆発させ、その高温高圧を利用して図の下部の水素リチウム核物質に核融合反応を起こさせる。核融合反応を足すことで核分裂反応に比べて1桁〜3桁ほど大きなエネルギーが取り出せる。 |
ウィキペディア(HP/2014/6)による『水素爆弾』から |
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