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配付プリント等 |
補足説明 |
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片麻岩(へんまがん、gneiss、ナイス):高温および高圧の変成条件下で形成される変成岩。火成岩の花崗岩に似ているが、源岩の種類の違いによって、構成鉱物は変動する。大陸地殻中〜深部に地表の岩石がもたらされて形成されるので、大陸地殻の形成史に関連する情報をもつ。 | 片岩(へんがん、schist、シスト):高圧および中〜低温の変成条件下で形成される変成岩。圧力(応力、stress)に垂直な方向に押し潰されたような組織を示す(この写真は平らな面を撮っているので明瞭ではないが、下部に見える断面では平行な縞模様が見える)。 |
変成岩(metamorphic rocks)は、地表付近にあった岩石が地下へ埋没し、地下の高温・高圧条件によって、構成鉱物の一部または全部が変化した岩石である。一般的な変成岩は、圧力と温度の両方の影響を受けて形成される。とくに両方の影響が大きい変成岩は、構成鉱物が粗粒であり等粒状になって、一見花崗岩に似る場合もあるが、このようなものは片麻岩と呼ばれる。比較的圧力の影響が大きい場合には応力のために層状を示すことがあり、その代表的なものが片岩である。これらは広域的に形成される場合が普通であるので広域変成岩に含まれる。また、特別に温度の影響が強い場合は熱変成(接触変成)岩と呼ぶことがあり、逆に圧力の影響が強い場合は動力変成岩と呼ぶことがある。 |
参考 |
【変成相と変成相系列】
変成岩は、変成作用の重要な要因である温度と圧力の違いによって区別される。特定の温度・圧力条件下では、特定の鉱物の組合せが安定なため、それぞれ固有の鉱物を含む変成岩となりやすい。それぞれの固有の変成岩は、指標となる鉱物名などを用いた変成相(metamorphic facies)名で表わされる。実際には、鉱物組合せだけでなく化学組成も異なるため、それらを詳しく調べることで、生成した温度・圧力条件を決定できる場合が多い(地質温度計・地質圧力計という)。また、適当な放射性元素を含んでいれば、その母と娘の同位体組成を測定することにより、その半減期から生成年代を決定できる(放射年代という)。これらのデータがそろえば、含まれる岩石の時間と空間における変化の経路を決めることが可能であり、それは地殻変動を明らかにするための情報を与える。このような変化の経路はプレート運動と関連しており、世界的にはいくつかの系列を示す場合が多く、これらは変成相系列(metamorphic facies series)と呼ばれる。
・1bar(バール)=106dyn/cm2=105N/m2=105Pa(パスカル)
・1 M(メガ)Pa=106Pa=10bar=0.01 kb(キロバール:1キロバールはほぼ1000気圧に等しい)
・1 G(ギガ)Pa=109Pa=104
bar=10 kb
・静水圧(hydrostatic pressure)では、10km深度で約1kbとなる。また、密度3(g/cm3)程度の鉱物から構成される地殻での静岩圧(lithostatic pressure、overburden pressure)では、10km深度で約3kbとなり、平均地殻厚さ30kmの地殻の底では約9kbとなる。
Diagram showing metamorphic facies in pressure-temperature space. The domain of the graph corresponds to circumstances within the Earth's crust and upper mantle. Wikipedia(HP/2012/11)による『Metamorphic facies』から 20世紀初期にエスコラ(Pentti Eskola、1883-1964)により提唱された概念である変成相(Metamorphic
facies)とは、温度・圧力の特定の領域では、特定の鉱物が安定に存在するので、それにより変成作用の強度を示したものである。全岩の化学組成が塩基性である岩石(Mafic)に適している。 |
〔総合地質情報研究グループの『ベータ版』の『シームレス地質図サポートページ』の『岩石や地層のでき方』から〕 |
図10 a) 都城(1965)による変成相系列の定義.同一の変成帯に属する変成岩の変成相を連ねたもの(太実線)を変成相系列と定義した. b) 個々の岩石は,沈み込み〜上昇過程を通じて,複数の変成相を経験することがある.図中最高変成度の岩石では5つ(図中丸数字の@〜D).これをダルーファ(De Roever and Nijhuis, 1963)は「複数変成相変成作用」と呼び,P-Tパスの概念の先駆けとなった.これを基にスピアらは,同一の変成帯に属する個々の変成岩のP-Tパス(細実線)の中で,温度ピークの条件(太実線)を連ねたものを変成相系列と再定義した(Spear et al., 1990). 丸山ほか(2004)による『広域変成作用論の革新的変貌』から |
【対の変成帯の成因】
広域変成岩(regional metamorphic rocks)の成因はプレートテクトニクスに基づいて解釈される。それにより、高圧低温型と低圧高温型の変成帯(metamorphic belt)が対になって存在する理由も説明されている。
一方、接触変成岩(contact metamorphic rock:熱変成岩、thermal
metamorphic rock)はマグマの近辺においてのみ形成され、動力変成岩(dynamic
metamorphic rock)は断層(fault)内部にのみ形成される。
変成岩の形成されうる場所 〔総合地質情報研究グループの『ベータ版』の『シームレス地質図サポートページ』の『岩石や地層のでき方』から〕 |
変成の場 対の変成帯 対の変成帯を接しさせた中央構造線 …もともと離れた場所にあった領家変成帯と三波川変成帯を接しさせた大断層が、中央構造線です。
〔長野県下伊那郡の大鹿村中央構造線博物館の『中央構造線ってなあに?』の中の『対の変成帯』から〕 |