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最終更新日:2016年12月11日
ソーラー建築(Solar building)とは、太陽熱利用(ソーラーシステム:パッシブおよびアクティブ)や太陽光発電(PV:アクティブ)を備えた建築を指す。太陽の光と熱から、光としての利用(照明)・熱としての利用(給湯や暖房)・電気としての利用〔照明や空調(暖房・冷房)やその他の動力〕を効率良く行うことができる建築物を設計することが主体である。日本では、日本建築学会が中心となってシステムの標準化を行っている。
ソーラー建築は、 ヨーロッパ(主に英国とドイツなど)および北米(米国とカナダ)で、よく用いられている言葉であり、住宅(house)を対象にして太陽エネルギーを効率よく利用できる建築技術を開発することにより、省エネおよび環境に負荷の少ない建築物を建造すること(材料及び建造中に要したエネルギーと排出物も考慮する場合と建造後のみを考慮する場合とがある)を指すが、第1次石油危機(1973年)頃から広く行われ始めた。太陽熱利用を主体とするパッシブ(passive)建築と、太陽光発電を主体とするアクティブ(active)建築とに分けることもある(特別の機器を用いない場合をパッシブと呼ぶが、実際の例では、パッシブとアクティブの境界は明確でない場合がある)。Natural
building(自然建築)・Green building(緑の建築)・Low-energy
building/house(低エネルギー建築/住宅)・Zero-energy building(ZEB、ゼロ・エネルギー建築)/house(ZEH、ゼロ・エネルギー住宅)〔Zero
Net Energy(ZNE) building/house、Net-Zero
Energy Building(NZEB)/house、Net
Zero Building〕・Energy-plus building/house(エネルギー・プラス建築/住宅)などの、類縁の多くの言葉も用いられているが、これらの区別は必ずしも明瞭ではない。
日本では21世紀に入ってから、PVの普及とともに、一部の研究者らによって用いられている言葉であるが、ソーラー建築技術を指す場合が多く、単にPVを導入した建築を指す訳ではない。経済産業省が2010年に『ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の実現と展開について〜2030
年でのZEB達成に向けて〜』(54p、2009年11月、ZEBの実現と展開に関する研究会による)という報告書を出して、ZEBの必要性をアピールしている。
Elements of passive solar design, shown in a direct gain application Wikipedia(HP/2011/11)による『Passive solar building design』から |
8.太陽熱利用(SH)建築方式 日本建築学会による太陽熱利用方式の分類とコード番号 |
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9. 日本建築学会による集熱方式のアイコンとコード番号 |
10. 日本建築学会による蓄熱方式のコード番号とアイコン |
11. 日本建築学会による熱利用方式のコード番号とアイコン |
12. 太陽熱利用(SH)システムの設計の特徴 |
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中島(2010)による『太陽熱利用の新たな展開』から |
The four approaches for passive solar heating in skin-load dominated buildings Types and Costs of Technology Fosdick(2010)による『Passive Solar Heating』から |
図−1 建築における目的別年間エネルギー消費割合(日本) 図−2 給湯・冷暖房エネルギー消費量(全国平均) 図−4 月別電力消費量(全国平均) |
図−3 日射量時間変動と月変化(東京) 図−5 年平均傾斜面日射量[集熱、発電用] |
図−6 室内の熱環境を保つ手法の標準化 |
図−7 集める手法の建築部位別分類の標準化 |
図−8 蓄える手法の建築部位別の標準化 |
図−9 熱分配し使う方式分類の標準化 |
図−10−1 光発電の設置形態別の標準化 |
図10−2 光発電の設置形態別の標準化 |
参考文献 1) 井上宇市、中島康孝 共著:「建築設備ポケットブック改訂第4版」相模書房発行 2) 中島康孝他編著:「ソーラー建築設計ガイドブック」日本建築学会編、彰国社発行 3) 中島康孝他編著:「ソーラー建築設計データブック」日本建築学会編、オーム社発行 |
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中島(2005)による『ソーラー建築設計における太陽と建築のエネルギー対決と調和』から |