ホーム地球環境学

オゾン層破壊とは(Ozon Layer Depletion)

最終更新日:2017年3月15日

リンクオゾン層極域成層圏雲オゾン消滅反応オゾンホールフロン紫外線

 オゾン層(Ozone Layer)は、成層圏(Stratosphere)の中の高度20〜30キロメートル付近にあるオゾン(O3濃度の高い部分を指す。もし成層圏に存在するオゾンを対流圏(Troposphere)の地表付近に持ってきた場合を仮定すると、厚さはたったの3ミリメートル程度の薄い層となることが示されている(圧力を補正した場合:ドブソン単位、DU、Dobson Unit)オゾンは太陽光の紫外線(Ultraviolet)を吸収して生成・消滅するために、地表に到達する紫外線量を軽減させる働きを行っている。従って、オゾン層が無くなれば強力な紫外線が地表に注ぎ、そのために生物の細胞が損傷を受ける。人の場合は、皮膚癌(Skin Cancer)の発生や白内障(Cataract)などの視力障害の発生などが懸念されている。高緯度地域での被害が大きいと予想されている。
 オゾン層破壊(Stratospheric Ozone Depletion)の原因物質は、フロン類(Freon)であることが確認されている。フロンは人工物質であり、冷媒(Refrigerant)や洗浄等の目的に適した物質であり、対流圏では安定であると考えられていた。しかし、長い時間をかけて成層圏へ移動した後は太陽の強力な紫外線によって分解され、原子状塩素(Chlorine Atom)を放出し、これがオゾンを分解することが判明した。
 オゾン層の破壊現象は、南極(Antarctica)上空におけるオゾン層の穴であるオゾンホール(Ozone Hole)の発見から始まった。オゾン層は地球全体を取り巻くが、南極上空でオゾン層の破壊が起こりやすいのは、低温域でしか発生しない極域成層圏雲(PSC、Polar Stratospheric Cloud、Nacreous Cloud:真珠母雲、Mother-of-pearl Cloud)の存在のため(太陽光が当たらない低温の時期にはオゾン破壊を起こさない塩素化合物の形で塩素成分を蓄積し、太陽光が当たる時期になるとそれらは一斉に原子状塩素に変わり破壊反応を起こすため)と考えられている。
 現在では、オゾン層保護のためのウィーン条約(Vienna Convention for the Protection of the Ozone Layer)に基づくオゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書(Montreal Protocol on Substances That Deplete the Ozone Layer)に則って全廃に向けての取り組みが進行中である。
 地球環境問題の中で唯一の世界的な対策の成功例と言われているが、途上国を中心に全廃への道は険しく、また全廃しても成層圏への移動に時間がかかるため、現在もオゾン層減少に歯止めはかかっていないと言われている。
 地表付近に存在するオゾンは、光化学オキシダント(Photochemical Oxidant)の1つである人工的な有害物質(Harmful Substance)であることに注意する必要がある。

リンク

リンクオゾン層オゾン層観測オゾン層破壊極域成層圏雲フロンドブソン単位法令紫外線

【リンク】

【オゾン層】

【オゾン層観測】

【オゾン層破壊】

【極域成層圏雲】

【フロン(Freon)】

【ドブソン単位】

【法令】

【紫外線】

オゾン層

2002|−|2010|2011|2012

【2012】

【2010】

【2002】

極域成層圏雲(Polar stratospheric cloud、PSC)

2010

 オゾンホールの生成(オゾンの破壊)には、極(域)成層圏雲の働きが大きいことが知られている。南極や北極の上空(20〜30km程度)の成層圏に発生する硫酸硝酸(と水)を主とする雲であり、超低温(-70〜-80℃)の条件下で成長する。オゾンを破壊する塩素原子(Cl)を、冬季の間は破壊能力の低い他の塩素化合物の形で捕捉し、春季に増大する太陽光の作用によって塩素原子として放出して急激なオゾン層破壊を引き起こす。

【2010】

オゾン消滅反応

2002

 オゾン層は、チャップマン機構(反応)により示されるような太陽光の紫外線による作用によって酸素分子(O2から生成したオゾン(O3によって形成される。ただし、それ以外の窒素(NOxサイクル)や水素(HOxサイクル)や塩素(ClOxサイクル)などの、オゾンを消滅させる反応も生じている。これらがバランスした状態にあるのが本来のオゾン層である。
 ここに、人類が放出するフロンなどから発生した塩素が、急激にオゾン層を破壊していることが明らかになった。特に(域)成層圏雲の働きによる南極上空のオゾン層の穴であるオゾンホールの発生は良く知られている。

【2002】

オゾンホール

2000|−|2012

【2012】

【2000】

フロン

2012

【2012】

紫外線

2012

【2012】


ホーム