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【に】
- 二次生産(secondary production)J
『従属栄養生物の生物体生産のこと。細菌・糸状菌・動物などがこれにあたる。消費者・分解者とよばれるものも自己の体を生産しているという意味で、これを二次生産とよぶ考えが定着している。有機物生産の意味での一次生産とは正確に対置される語ではない。なお二次生産なる語の最初の提唱者はG.Winberg(1936)であるとされ、そのときは従属栄養生物の種あるいは生活様式群についての用語であったという。』
- 二命名法(binomial nomenclature)J
『二名法。命名規約によって、種の学名をラテン語で属名と種小名との2語の組合せ、すなわち二名式名(二名
binomen, binominal name)で表現する方式。たとえば、アカマツ Pinus densiflora、ドブネズミ
Rattus norvegicus、黄色ブドウ球菌 Staphylococcus aureus
などのように表わす。終りに命名者の名をつけることが植物や細菌の命名規約では必須とされているが、動物では省いてもよいことになっている。属以上の名称は1単語で表現する単名式名(単名
uninomen, uninominal name)、亜種は三命名法(trinominal nomenclature)すなわち種名のあとに亜種小名を付した三名式名(三名
trinomen, trinominal name)で表わされる。』
- ニュートン(Newton, Sir Isaac)@
『1643.1.4-1727.3.31。イギリスの数学者、物理学者、天文学者。リンカンシャー州ウールズソープの生れ。1661年ケンブリッジ大学に入り1665年B.A.の学位を得た。この年ロンドンに流行したペストはケンブリッジを襲い、大学は一時閉鎖、ニュートンも帰郷した。彼の3大発見、光のスペクトル分解、万有引力および微積分法の発見はこの間に萌芽した。1667年ケンブリッジに帰り、トリニティ・カレッジのフェローとなった。1668年反射望遠鏡を発明。1669年ルーカス(Lucas)教授職につき光学を講義して、これを改訂した“光学”(Opticks,
1728)は死後に刊行される。1672年王立協会の会員に選ばれた。同年スペクトルの実験について報告し、白色光はそれぞれ一定の屈折率をもつ単色光の合成であることを主張し、光は粒子的実体であることを示唆した。単色光を認めない旧来の論者や波動論を唱えるフックはこれにはげしく反対し、とくにフックとの論争が激烈になったため、ニュートンは遂に煩を嫌って沈黙した。もっともニュートン自身はニュートン環の研究から、光がなんらかの周期性をもつことを認めていた。先に1665年2項定理の研究から無限級数の研究に入り、1666年流率法(methodus
fluxionum)の発見に至り、その論文は1669、1672年の2回に書かれたが一般からは認められなかった。約10年おくれてこれと同一の微積分法を発見したライプニッツとの応答は1676年に始まる(発見の前後についての両者の争いは十数年後におこった)。1679年フックは先の論争ののち初めてニュートンに音信し、天体運動の問題に触れたのがきっかけでニュートンは惑星運動の研究を再開した。1884年フック、レン(C.
Wren)、ハリーが逆2乗力によってケプラーの3法則を説明することを論じ合った結果、ハリーがニュートンを訪問して‘既にその解を得ている’といわれ、発表を勧めた。その結果、1685-86年“自然哲学の数学的原理”(Philosophiae
naturalis principia mathematica, 1687、しばしば“プリンキピア Principia”と略称)の大著が完成された。これはラテン文で書かれ、3部からなり、力学原理、引力の法則、その応用、流体の問題、太陽系諸惑星の運動などについて系統的に叙述してある。そののち彼の名声はいよいよ高く、1696年ロンドンに移り造幣局長、1703-27年の間は王立協会の会長を勤めた。ニュートンの物理学における数学的方法の完成は実に精密自然科学の軌範とされ、近代科学の祖とみられるようになった。彼はまた化学、錬金術の実験に耽ったが、その結果は発表されていない。また神学に関する著述もある。終生結婚せず、ウェストミンスター寺院に葬られた。』
- ニュートン流体(Newtonian fluid)A
『一定の剪断応力を加えると瞬間的に一定のひずみ速度の変形が生じ、剪断応力を取り去るとひずみが回復することなく一定にとどまり、かつ、ひずみ速度と剪断応力の間に比例関係の成立する物体。すなわち、剪断応力とひずみ速度との関係を示す流動曲線が原点を通る直線で表せる流体をニュートン流体といい、そのような流動様式をニュートン流動(Newtonian
flow)という。ニュートンの著書〈プリンキピア〉で扱われていることから、この名がついた。比例係数は物質固有の定数で、粘性率と呼ばれる。また、そうでないものを非ニュートン流体といい、そのような流動様式を非ニュートン流動(non-Newtonian
flow)という。普通の流体は、ひずみ速度があまり大きくないとき、ニュートン流体とみなせる。また地球をつくっている物質は地震波のような短周期の振動に対しては弾性体としてふるまうが、何万年、何百万年というタイムスケールの変動に対しては、ニュートン流体としてふるまうと考えられる。〔金森博雄・徳橋秀一〕』
【ね】
- 熱圏(thermosphere)A
『中間圏より外側の、高度85km以上の地球大気の最外層。中間圏との間の圏界面(mesopause)で平均気温は190K、ここを過ぎてから気温は再び上昇し、高度500km付近になると昼1,800K前後、夜800〜1,300Kになる。電離圏(ionosphere)とほぼ同じ範囲。〔角皆静男・丸山健人〕』
- 熱残留磁化(thermoremanent magnetization)A
『岩石が磁場中で高温から冷却するときに獲得する残留磁化でTRMとも記す。一般にTRM起原の岩石は磁化が大きく、磁気的安定性も高い。火山岩がその代表だが、どんな岩石でも、例えば岩脈の貫入などにより加熱を受けた場合はTRMを獲得する。また考古土器なども安定なTRMを獲得することが多い。TRMは実験室の磁場中で加熱冷却することで容易に再現できるため、古地球磁場強度の測定も可能である。地磁気のような弱磁場中で獲得されるTRMは一般に磁化方向が磁場に平行で、大きさは磁場に比例する。また冷却中にある温度区間のみ磁場を作用させて獲得される熱残留磁化を部分熱残留磁化(partial
thermoremanent magnetization、PTRM)という。高温から常温まで冷却する過程をいくつかの温度区間に分け、それぞれで方向も大きさも独立な磁場をかけた場合、それぞれの温度区間に対応するPTRMは互いに無関係で(独立性)、得られるTRMはそれらのPTRMのベクトル和に等しい(加法性)。これらのTRMの性質は自然や人工の試料について十分確認されている。冷却過程で磁化が固定される温度をブロッキング温度(blocking
temperature、TB)といい、必ずしもキュリー温度付近とは限らない。〔田中秀文〕』
- 熱水変質作用(hydrothermal alteration)A
『熱水溶液と岩石の反応によって起こる岩石あるいは鉱物の変質作用。熱水作用で生成した鉱床の周囲の変質は母岩変質と呼ばれる。鉱物の分解・生成、岩石と鉱物の組織・化学成分の変化、脱色による白色化や同位体組成の変化も含む。熱水溶液の組成・温度、岩石の組成・透水性などが変質作用の要因となる。熱水溶液は岩石の割れ目を流動、あるいは岩石の孔隙や鉱物粒間に浸透する。鉱物粒内の拡散による成分の移動も起こる。水/岩石比は0.1〜4程度と推定されている。変質過程の重要な化学反応には加水分解(水素イオン交代作用:hydrogen
ion metasomatism)・水和・塩基交代作用・酸化還元反応がある。熱水変質の空間的広がりは鉱体から数cmにすぎないものから数kmに及ぶ。しばしば鉱体を中心に熱水変質の累帯分布が存在し、変質作用が鉱化作用と密接に関連していることを示唆するとともに鉱床探査の有力な指針となる。〔井沢英二〕』
- 熱中性子(thermal neutron)@
『中性子が原子核と衝突をくり返して減速し、媒質中の分子の熱運動と平衡に達した中性子をいう。この減速過程を熱中性子化といい、媒質原子の化学結合の影響や結晶構造の影響があらわれる。常温の場合の熱中性子の運動エネルギーは0.025
eV程度である。一般にエネルギーの小さい中性子をいい、0.4
eV程度以下のものをさすこともある。ふつう媒質中では吸収がおこるため、エネルギー分布は熱平衡分布からややずれる。』
- 粘性率(coefficient of viscosity)A
『応力下で流動変形している物質の、流動応力のひずみ速度に対する比。単位はPa・s。応力をτ、ずり変形のひずみ速度をγとすると、粘性率ηはη=τ/γ。粘性率の大きさは常温下で水が10-3Pa・s程度、マントルの粘性率は後氷期の地表面の隆起などから見積もられており約1021Pa・sである。ニュートン流体ではひずみ速度は流動応力に比例し、粘性率は物質により固有の定数である。一方、非ニュートン流体ではひずみ速度と流動応力が比例関係にはなく、その比は時間や流動応力によって変化するため有効粘性率(coefficient
of effective viscosity)と呼ばれる。〔金川久一・本多 了〕』
- 年代層序単元(chronostratigraphic
unit)A
『ある地層や岩体を地質年代を基に区分したときの単元。その境界面は同時間面を表し、その単元はある時間的広がりを代表する。各層・岩体の層序関係や含まれる化石などによって識別される。年代層序単元は階層的に区分され、高位から、eonothem、界(erathem)、系(system)、統(series)、階(stage)に分類され、さらにそれぞれを下部(lower)・中部(middle)・上部(upper)などに区分することがある。汎世界的に用いられている年代層序は、主に西欧で確立されてきた年代層序区分を基礎にしており、ある地層や岩体の地質年代を決定する基準となっている。〔柴 正博・公文富士夫〕』
- 粘土(clay)A
『堆積物を構成する5μm以下の粒子。母岩が風化分解し、Ca、Naなど水溶性成分が失われ、残ったSi、Alが水と結合して、一群の粘土鉱物がつくられる。粘土鉱物の主成分は含水酸化アルミニウムでFe、Mgが加わる。地表における風化作用のほか、海底風化、温泉作用、熱水変質作用によって生成される。〔松井 愈(正確には兪に心)〕』
clay [eng]L
『Plastic material consisting mainly of particles having diameters
less than 0.074 mm (passing U.S. standard sieve no.200). Cf:
silt [eng].』
clay [geol]L
『(a) As a size term, different disciplines use different boundaries,
but most place the boundary between silt and clay at either 2
or 4 micrometers. (b) Rocks with >67% clay-sized or colloidal
particles. If the rock is unindurated it is clay; it the rock
is indurated iti is claystone; if the rock is indurated and laminated
it is shale (Folk, 1974). (c) clay mineral.』
clay [soil]L
『A soil containing a high percentage of fine particles and colloidal
substances, becoming sticky and plastic when wet and forming
hard lumps or clods when dry; specif. a soil containing 40% or
more of clay and not more than 45% of sand or 40% of silt. The
term has also been used for a soil containing 30% or more of
clay.』
→粘土
→『粘土と粘土鉱物』のページを参照。
- 粘土鉱物(clay mineral)A
『粘土の構成鉱物。含水珪酸塩鉱物であり、層状結晶構造を有するものが大部分である。大きなサイズの結晶は一般に存在しない。四面体シートと八面体シートがそれぞれ1枚ずつからなる1:1型層状構造を有する粘土鉱物には、カオリン鉱物・蛇紋石鉱物があり、四面体シート2枚と八面体シート1枚の組合せからなる2:1型層状構造を有するものには、パイロフィライト・滑石・スメクタイトグループ・バーミキュライト・雲母・脆雲母がある。2:1型の珪酸塩層の層間に、さらに1枚の八面体シートが挟まった層構造をもつ2:1:1型のものには、緑泥石族がある。その他レクトライト・コレンサイト・トスダイトなどの混合層鉱物、セピオライト・パリゴルスキー石などの層状珪酸塩の変種、イモゴライトやアロフェンなどの準結晶質あるいは非晶質粘土鉱物がある。(図:略)〔嶋崎吉彦・富田克利〕』
clay mineralL
『Any mineral occurring in the clay-sized fraction of a soil,
a suspension, or a rock, with the understanding that size imposes
physical and chemical characteristics, e.g. colloidal and catalytic
properties. However, minerals so designated are mostly 1:1 or
2:1 hydrous aluminosilicates or phyllosilicates with some important
exceptions, such as hydrated oxides of iron and aluminum, zeolites,
and a few others. The most common clay minerals belong to the
chlorite, illite, kaolin, or smectite groups, or are mixed-layered
clay minerals formed from these components.』
→粘土鉱物
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