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最終更新日:2017年1月30日
ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合プラズマ発光分析法:ICP-AES、ICP-Atomic
Emission Spectrometry:1960年代に原理成功、1970年代に装置完成、1980年代に商用化)は、物質の元素分析法(Elemental Analysis Method)の代表的なものである。元素分析として、固体(Solid)物質の微小部分析はEPMA(Electron
Probe Micro Analysis、X線マイクロアナリシス)が、固体(Solid)物質のバルク(Bulk、全量)分析はXRF(X-ray Fluorescence
Analysis、蛍光X線分析法)が、それぞれ代表的であるが、液体(Liquid、Solution)試料(あるいは固体試料を溶かして)の場合はICPである。液体試料の分析法には他に原子吸光分析法(Atomic Absorption Spectrometry、AAS)などがあり、目的に応じて使い分けられている。しかし、現実にはこれらの分析機器は高価〔Expensive:最近のコンピュータ化された(Computer-controlled)機器は数千万円〜数億円のオーダー(Order、Figure)である〕であるし、維持管理も大変である(高い精度の分析値を得るためには試料の前処理も含めての特殊な知識と経験が必要である)ため、自由に目的に応じて使い分けできることは限られる。 ICPは1980年代頃から使われ始めた。最初は、他の方法に対して優位ではなかったが、多くの元素を同時に分析することが可能であり、非常に高精度の分析値が得られるようになって、汎用化してきている。現在では、質量分析機能を持つICP-MS(ICP-Mass Spectrometry、ICP質量分析)も頻繁に利用されているし、状態分析〔State Analysis:化学種(Chemical Species)の同定(Identification)と定量(Quantification)〕も可能なものも開発されてきている〔HPLC-ICP-MS(High Performance Liquid Chromatography-Inductively Coupled Plasma-Mass Spectrometry、高速液体クロマトグラフ−誘導結合プラズマ分析−質量分析)など〕。 |
リンク |
ICP |
質量分析 ICP(1)中でイオン化された原子はまずインターフェイス部(2)を通過します。インターフェイス部は大気圧と高真空領域の境界に位置します。その後、イオンレンズによる軌道修正(3)、妨害イオン除去部における分子妨害イオンの分離(4)、質量分離部での質量分離(5)を経て、目的の質量をもった原子のみが検出器に到達します(6)。質量分離には通常、四重極型質量分析計が利用されますが、高い質量分解能を持つ磁場型二重収束質量分析計を備えた装置もあります。 |
四重極ICP-MSの概略図 |
発光分析 ICP(1)中で励起された原子・イオンが基底状態に戻る際に放出される光は、スリット(2)を通り分光器で波長分離(3)され、検出器にて強度が測定されます(4)。発光の波長は元素固有であるため、特定波長の発光強度を標準試料と比較することで定量が行えます。 |
ICP-AESの概略図 |
(財)材料科学技術振興財団(HP/2013/10)による『ICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析法)』から |
原理 高周波誘導結合プラズマ(ICP)を光源とする発光分光分析法である。試料溶液を霧状にしてArプラズマに導入し、励起された元素が基底状態に戻る際に放出される光を分光して、波長から元素の定性、強度から定量を行う。 装置への導入は希酸水溶液になる。固体試料は適切な試料前処理(技術要)により溶液化した後、測定に供する。通常、濃度既知の元素標準液により検量線を作成し、検量線法により定量を行う。 装置には、シーケンシャル型とマルチチャンネル型のものがあり、目的によって使いわけられる。 シーケンシャル型 回折格子を回転させて、一つの検出器(光電子倍増管)で光を検出する。 1元素ずつの測定になるが、分解能が高くなる。 マルチチャンネル型 複数の検出器(CCD)を用いて、各々、特定波長の光を検出する。 分解能は劣りますが、多元素同時測定が可能である。 |
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(株)東レリサーチセンター(HP/2013/10)による『ICP発光分光分析法(ICP-AES)』から |