(財)地球・人間環境フォーラム(2004)による『日系企業の海外活動に当たっての環境対策(中国―北京・天津編)〜「平成15年度日系企業の海外活動に係る環境配慮動向調査」報告書〜』から【見る→】
ボイラーの大気汚染物質排出基準(天津市地方基準DB12/151-2003)(Emission standard
of air pollutants for coal-burning oil-burning gas-fired boiler
天津市地方基準DB12/151-2003
ボイラーの大気汚染物質排出基準
前 言
本基準の全ての技術的内容は必ず遵守する事が要求される。
持続的発展戦略を実現し、環境保護、天津市空気環境質の改善および人体の健康を保障するため、元来の津/DHJB1-1999『ボイラーの大気汚染物質排出基準』を修正したものである。天津市火力発電所、および工業、暖房、生活ボイラーからの大気汚染物質を厳格に規制し、燃焼時排出大気汚染物質に対する処理能力を強化する事により、燃焼大気汚染物質の排出総量を減少させる事が目的である。『中華人民共和国環境保護法』、『中華人民共和国大気汚染防止法』の第19
条、第25 条、第26 条、第30 条および『天津市大気汚染防止条例』第3章の規定にしたがい、本基準を制定する。
本基準は天津市環境保護局によって提出され、2003 年7 月18 日に天津市人民政府によって批准されたものである。
本基準は津/DHJB1-1999『ボイラーの大気汚染物質排出基準』に代わるものである。
本基準を津/DHJB1-1999『ボイラーの大気汚染物質排出基準』と比較すると、以下のような違いがある。
――45.5MW および同値を越えるボイラー、火力発電所ボイラーの大気汚染物質排出濃度の極限値を追加規定した。
――ボイラーの大気汚染物質の排出濃度極限値を修正し、石炭燃焼ボイラー、火力発電所ボイラーの大気汚染物質中のNOX の排出濃度極限値を修正した。
――石油燃焼、ガス燃焼ボイラーのばいじんと二酸化硫黄の排出濃度極限値を修正した。
――火力発電所ボイラーにおける大気汚染物質排出濃度の大気汚染超過係数を規定し、14MW 以上のボイラーに関しては、オンライン連続モニタリング計器の取り付け義務を追加規定した。
――使用中のボイラーおよび新規建造、拡張、改造ボイラーの使用年限を新たに追加規定した。
――天津市のボイラー設置場所に関して、改めて区域区分した。
本基準は天津市環境保護局が提出した。
本気純は天津市人民政府によって批准された。
本基準起草:天津市環境監視測定センター
本基準起草者:王同健、魏巍、田秀華、劉波、田健麗
本基準解釈の責は天津市環境保護局が負う。
1. 範囲
本基準は使用中のボイラーと新規建造、改造、拡張のボイラーに適用され、各種ボイラーのばいじん、二酸化硫黄、窒素酸化物の最高許容排出濃度および燃焼ガス濃度に対する極限値を規定する。
本基準は発電所および工業、暖房、生活ボイラー(以下、ボイラーとする)の大気汚染物質排出極限値を規定する。
本基準は天津市の発電所および各種用途の石炭燃焼、オイル燃焼、ガス燃焼ボイラーに適用される。その他の固体燃料燃焼ボイラーは、本基準の石炭燃焼ボイラーの汚染物質排出極限値を参照する。
本基準は各種容量の石炭フィーダー付きボイラーおよび生活ゴミ、危険廃棄物を燃料とするボイラーには適用されない。
2. 引用基準
以下の基準の条項は本基準の引用によって本基準の条項となる。日付の記載がある引用基準に関して、それに続くすべての修正書(錯誤校正を含まない)、あるいは改正版は本基準に適用しない。しかし、本基準に従って合意に達する関係者が、これら基準の最新版を使用するか否かを検討することが奨励される。日付の記載のない引用基準は、その最新版を本基準に適用される。
GB5468 ボイラーばいじん測定方法
GB/T16157-1996 固定汚染源による排ガス中の顆粒物測定とガス態汚染物のサンプル採集方法
GB13271-2001 ボイラーの大気汚染物質排出基準
GB13223-1996 火力発電所大気汚染物質排出基準
HJ/T42-1999 固定汚染源からの排ガス中の窒素酸化物の測定 紫外線分光測光法
HJ/T56-2000 固定汚染源からの排ガス中の二酸化硫黄の測定 ヨウ素滴定法
HJ/T57-2000 固定汚染源からの排ガス中の二酸化硫黄の測定 電位決定電解法
HJ/T75-2001 火力発電所からの排出燃焼ガスの連続監視測定技術規範
HJ/T76-2001 固定汚染源からの排出燃焼ガスの連続監視測定システムの技術要求および測定方法
大気と排ガスの監視測定分析方法(中国環境科学出版社 1990 年版)
ばいじん、燃焼ガス測定の実用技術(中国環境科学出版社 1990 年版)
3. 専門用語と定義
下述する専門用語と定義は本基準に適用される。
- 3.1 ボイラー
燃料の化学エネルギーを熱エネルギーに転換し、さらに熱エネルギーを水、ガス、伝熱オイル等の物質に伝播し、蒸気、熱水、もしくは伝熱物質等によって熱エネルギーを出力する装置である。
本基準において、ボイラーは定額容量(熱エネルギー産出量)によってその汚染物の最高許容排出極限値が確定され、0.7MWの産出量は1t/h
の蒸発量に相当する。
- 3.2 標準状態
燃焼ガスの温度が 273K、圧力が101325Pa の状態を、“標準状態”という。この基準で規定する大気汚染物質排出濃度はいずれも標準状態での乾燥燃焼ガスの数値である。
- 3.3 空気汚染超過係数
燃料の燃焼時、実際の空気消費量と理論的な空気需要量の比率を、“α”で表示する。
- 3.4 排出燃焼ガスの連続的監視測定
ボイラーから排出される燃焼ガスを連続的に、随時、監視測定する。燃焼ガス排出オンライン連続監視測定とも言う。
- 3.5 煙突高度
ボイラーが所在する±0 地表面から煙突排出口までの垂直距離である。地表面以下に位置するボイラーの煙突高度は、ボイラー所在地面から±0
地表面までの部分を除くべきである。
ボイラーが所在する±0 地表面から煙突排出口までの垂直距離である。地表面以下に位置するボイラーの煙突高度は、ボイラー所在地面から±0
地表面までの部分を除くべきである。
- 3.6 ばいじんの最初の排出濃度
ボイラーの燃焼ガス出口あるいは浄化装置に入る前のばいじん排出濃度である。
- 3.7 ボイラーの大気汚染物質排出濃度
ボイラーの燃焼ガスを浄化装置で浄化した後の汚染物排出濃度である。浄化装置を取り付けていないボイラーにおいて、そのボイラー出口の汚染物濃度が排出濃度である。各種ボイラーの大気汚染物質排出濃度は、オンライン連続監視測定、もしくは手作業の連続監視測定を実施する場合の1
時間当りの平均濃度である。
4. 技術要求
- 4.1 時間帯区分
4.1.1 使用中ボイラーの執行時間帯
本基準の使用中ボイラー(4.3 の規定する排出禁止ボイラーを除く)には、二つの時間帯に分けて相応する汚染物排出濃度極限値が執行される。
第T時間帯:本基準施行日から 2005 年12 月31 日以前まで
第U時間帯:2006 年1 月1 日より
4.1.2 新規建造、改造、拡張するボイラーの執行時間帯
本基準は、新たに建造、改造、拡張するボイラー(本基準を頒布する以前に申請許可されたが、建造中で生産使用していないボイラーを含む)には第U時間帯の基準を執行する。
- 4.2 区域区分
本基準は天津市を A、B の両区域に区分する。
A 区域:外環線内の既建設区域、天津経済技術開発区、天津港保税区、天津新技術産業園区、自然保護区、景勝地、国家地質公園、国家森林公園およびその他の特別な保護を要する区域。
B 区域:A 区域を除いたその他の区域
火力発電所ボイラーは区域によって区分されない。
- 4.3 石炭燃焼ボイラーの排出禁止規定
本基準の実施日より、A 区域内にて石炭燃焼ボイラーの新規建造、改造、拡張を禁止する。第U時間帯より、A 区域内で出力が7MWおよび同値を下回る石炭燃焼ボイラーの使用を禁止する。
重油、残油を燃料とするボイラーの新規建造、拡張、改造を許可しない。重油、残油を燃料とする使用中ボイラーには石炭燃焼ボイラーの基準が執行される。
B 区域内で、出力が7MW および同値を下回る石炭燃焼ボイラー、および大気汚染物質排出量がそれに相当するボイラーの新規建造を許可しない。
既建設区域および『環境空気質基準』GB3095-1996 で規定する一類区内で、0.7MWおよび同値を下回る石炭燃焼ボイラーの使用を禁止する。非建設区域において、0.7MW
および同値を下回る石炭燃焼ボイラーは、ばいじんが80mg/m3、二酸化硫黄が400mg/m3 の基準値が執行される。
- 4.4 ボイラーの大気汚染物質排出極限値
ボイラーのばいじん、二酸化硫黄、窒素酸化物の最高許容排出濃度極限値、燃焼ガス濃度極限値は表 1 を参照する。ばいじんの最初の排出濃度はGB13271-2001
が規定するばいじんの最初の排出濃度が執行される。火力発電所および45.5MWを上回る蒸気ボイラーの大気汚染物質排出極限値は表2
を参照する。
表 1 ボイラーの大気汚染物質排出極限値(略)
表 2 火力発電所ボイラーの大気汚染物質排出極限値(略)
- 4.5 煙突の最低高度規定
4.5.1 工業、暖房ボイラーの煙突最低高度の規定
ボイラーの最低高度は表 3 に従って執行され、その他のものはGB13271 の4.6.1.2、4.6.2、4.6.3、4.6.4に従って執行される。
表 3 石炭燃焼ボイラー作業場の煙突の最低許容高度(略)
4.5.2 火力発電所の煙突の最低高度の規定
火力発電所の煙突の最低高度は表 4 に従って執行され、その他のものはGB13271 の4.6.1.2、4.6.2、4.6.3、4.6.4
に従って執行される。
表 4 火力発電所の煙突の最低許容高度(略)
5 監視測定
- 5.1 監視測定方法
ボイラーのばいじん、二酸化硫黄、窒素酸化物の排出濃度を監視するためのサンプル採取方法はGB54686及びGB/T16157
の規定に従って執行される。二酸化硫黄、窒素酸化物の分析方法は国家環境保護総局の関連する規定に従って執行される。
- 5.2 空気汚染超過係数の計算
実際に測定したボイラーのばいじん、二酸化硫黄、窒素酸化物の排出濃度は表 5 が規定する空気汚染超過係数αに従って計算すべきである。
表5 各種ボイラーの空気汚染超過係数計算値(略)
各種ボイラーの空気汚染超過係数の計算式
C=C’×(α’/α)
式において:
C: 計算後のボイラーのばいじん、二酸化硫黄、窒素酸化物の排出濃度(mg/m3)
C’: 実際に監視したボイラーのばいじん、二酸化硫黄、窒素酸化物の排出濃度(mg/m3)
α: 実際に監視した空気汚染超過係数
α’:規定の空気汚染超過係数
- 5.3 ボイラー負荷係数の計算
ボイラーの出力が負荷限界に達していない場合は、実際に監視したボイラーのばいじん、二酸化硫黄、窒素
酸化物の排出濃度を表6 が規定するボイラーの出力影響係数K に従って再度計算を行う。火力発電所はK 係数計
算を行わない。
表 6 ボイラーの出力影響係数(略)
- 5.4 窒素酸化物の濃度換算
本基準が規定する窒素酸化物の質量濃度は二酸化窒素をもって計算する。体積濃度を質量濃度に換算し、1mol/mol×10-6
の窒素酸化物は2.05mg/m3 の二酸化窒素に相当する。
- 5.5 ボイラー燃焼ガス排出に対する連続監視測定
使用量の固定された出力が 14MW 以上の石炭燃焼ボイラーを使用する場合は、大気汚染物質の排出測定計器を取り付け、HJ/T75
およびHJ/T76 の関連規定に適合しなければならない。測定計器の管理、使用は環境保護と計量監督の関連法規に従って実施する。
- 5.6 ばいじん、二酸化硫黄の総量規制に関する規定
火力発電所の二酸化硫黄の最高許容排出速度比率は、国家の現行の火力発電所の大気汚染物質排出基準の関連規定が執行される。
新規建造、拡張、改造ボイラーのばいじん、二酸化硫黄の年間排出総量は、市環境保護部門が確定する汚染物許容排出総量の指標要求を満たさなければならない。
6. 基準の実施
二酸化硫黄規制区域内に位置するボイラーの二酸化硫黄排出は、本基準を執行する以外に、所在する規制区
域内の地域総量排出規制の指標を執行しなければならない。
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