(財)地球・人間環境フォーラム(2004)による『日系企業の海外活動に当たっての環境対策(中国―北京・天津編)〜「平成15年度日系企業の海外活動に係る環境配慮動向調査」報告書〜』から【見る→】
中華人民共和国大気汚染防止法(2000 年9月1日施行)(Law of the People’s Republic
of China on the Prevention and Control of Atmospheric Pollution
中 華 人 民 共 和 国 大 気 汚 染 防 止 法
2000 年4 月29 日第9 期人民代表大会常務委員会第15 回会議可決
中華人民共和国主席令第 32 号
《中華人民共和国大気汚染防止法》は中華人民共和国第 9 期全国人民代表大会常務委員会第15 回会議が2000 年4 月29
日改正可決した。ここで、改正後の《中華人民共和国大気汚染防止法》を公布し、2000 年9 月1 日から施行する。
中華人民共和国主席 江澤民
2000 年4 月29 日
第 1 章 総則
- 第 1 条 大気汚染を防止することにより、生活環境および生態環境の保全および改善を図り、人の健康を保護するとともに、経済と社会の持続可能な発展を促進させるため、この法律を制定する。
- 第 2 条 国務院および各級地方政府は、大気環境保全施策を国民経済・社会発展計画に組み込み、適正な工業立地計画を策定し、大気汚染防止に対する研究を強化し、大気汚染防止の措置を取り、大気環境の保全および改善を図らなければならない。
- 第 3 条 国は大気汚染防止の措置を取り、各地の主な大気汚染物の排出総量を計画的に制御、あるいは逐次削減する。各級地方政府は、その管轄地区の大気環境の質に責任を負い、規格を制定し、措置を講じ、管轄地区の大気環境の質が規定する基準を満たすようにしなければならない。
- 第 4 条 県級以上の地方人民政府環境保護行政主管部門は、大気汚染の防止に対し、統一的に監督・管理を行う。各級公安、交通、鉄道、漁業管理部門は各自の職責に基づき、自動車・船舶の大気汚染に対し、監督・管理を行う。県級以上の人民政府のその他の関係主管部門は各自の職責範囲内で、大気汚染に対し、監督・管理を行う。
- 第 5 条 すべての部門および個人は、大気環境を保全する義務を有し、合わせて大気環境を汚染する部門および個人を告発または告訴する権利を有する。
- 第 6 条 国務院の環境保護行政主管部門は、国家大気環境基準を定める。省、自治区、直轄市の地方人民政府は、国家大気環境基準の中で未規定の項目について、地方大気環境基準を定めることができる。この場合、地方大気環境基準を定めた省などの地方政府は、国務院の環境保護行政主管部門に報告するものとする。
- 第 7 条 国務院の環境保護行政主管部門は国家大気環境基準、国の経済状況および技術条件を踏まえ、国家大気汚染物質排出基準を定める。省、自治区、直轄市の地方人民政府は、国家大気汚染物質排出基準の中で定められていない項目について、地方大気汚染物質排出基準を定めることができる。また、国家大気汚染物質排出基準で定められている項目について、国家大気汚染物質排出基準よりも厳しい地方大気汚染物質排出基準を定めることができる。地方大気汚染物質排出基準を定めた省などの地方政府は、国務院の環境保護行政主管部門に報告しなければならない。省、自治区、直轄市の地方人民政府が定めた自動車・船舶の地方大気汚染物質排出基準が国家大気汚染物質排出基準より厳しい場合は、国務院に報告し、批准を得なければならない。すでに地方排出基準のある区域に大気汚染物質を排出するものは、全て、地方排出基準を執行しなければならない。
- 第 8 条 国は大気汚染を防止し、総合的かつ積極的な経済・技術政策の策定および実施により、国の利益を図るものとする。大気汚染の防止または大気環境の保全および改善に顕著な功績のあった部門または個人は、各級地方政府から報償が与えられる。
- 第9 条 国は大気汚染防止に対する科学技術研究を奨励、これを支持する。また、先進的かつ効果のある大気汚染防止技術を促進し、太陽エネルギー、風力、水力などクリーンエネルギー源の開発利用を奨励、支持する。
- 第 10 条 各級地方人民政府は植樹、造林および都市の緑化事業を強化し、適地適作に有効な措置を講じ、砂漠化防止事業を進め、大気質の改善に努めなければならない。
第 2 章 大気汚染防止の監督・管理
- 第 11 条 大気に汚染物を排出する事業を新設、拡張または変更する時は、建設事業に係る国の環境保護管理規定を遵守しなければならない。建設事業の環境影響報告書は、事業実施により生じる恐れのある大気汚染および生態環境への影響について評価し、防止措置を定め、かつ所定の手続きにしたがって環境保護行政主管部門の審査、承認を受けなければならない。建設事業に関しては、生産の開始または使用の前にその大気汚染防止施設について、環境保護行政主管部門の検査を受けなければならない。建設事業に係る国の環境保護管理規定の用件に適合しない建設事業は、生産または使用を開始してはならない。
- 第 12 条 大気汚染物を排出する工場、事業場は、国務院の環境保護行政主管部門の規定に従い、所在地の環境保護行政主管部門に、所有する大気汚染物質排出施設、大気汚染物質処理施設、並びに通常の作業状態における大気汚染物質の種類、量および濃度を申告し、あわせて大気汚染防止に関する技術資料を提出しなければならない。前項で規定する工場、事業場が大気に排出する汚染物質の種類、量、および濃度を大きく変更する場合、その内容を速やかに申告しなければならない。また、大気汚染物質の処理施設は正常な使用状態を保持しなければならず、これを廃止または休止する場合は、事前に所在地の県級以上の地方人民政府の環境保護行政主管部門の承認を得なければならない。
- 第 13 条 大気汚染物質を排出する場合、その濃度は国と地方が規定する排出基準を超えてはならない。
- 第 14 条 国は排出する大気汚染物質の種類、量に基づき汚染物質排出費を徴収する制度を実施し、大気汚染防止を強化する要求と国の経済・技術条件に基づき、汚染物質排出費の徴収基準を適正に制定する。汚染物質排出費の徴収は国の規定する基準を遵守しなければならない。具体的な方法と実施手順については国務院が定める。徴収した汚染物質排出費は一律に財政に上納され、国務院の規定に基づき大気汚染防止に使用されることとし、流用されてはならない。あわせて会計監査機関が法に基づき会計監査と監督を実施する。
- 第 15 条 国務院と省、自治区、直轄市の地方人民政府は、規定の大気環境質基準を達成していない区域と国務院が承認指定した酸性雨の規制区域、二酸化硫黄汚染の規制区域を、主要大気汚染物質排出の総量規制区域と指定することができる。主要大気汚染物質排出の総量規制の具体的な方法は国務院が定める。大気汚染物質排出の総量規制区域内の関連地方人民政府は、国務院が規定する条件と手順に従い、公開、公平、公正の原則に基づき、工場、事業場の主要大気汚染物質の排出総量を査定し、主要大気汚染物資の排出許可証を交付する。大気汚染物資の総量規制義務を負う工場、事業場は、査定した主要大気汚染物資の排出総量および許可証で規定する排出条件に従って汚染物資を排出する。
- 第 16 条 国務院並びに省、自治区、直轄市の地方人民政府が指定する景勝地、自然保護区、文物保護部門の付近地区およびその他特別に保護を必要とする区域内において、環境を汚染する工業生産設備の建設を行ってはならない。また、その他の設備を建設する場合に当たっては、所定の大気汚染物質の排出基準を超えて汚染物質を排出するものであってはならない。この法律の施行前に、既に設備を建設した工場、事業場であって、大気汚染物質基準を超えて汚染物質を排出しているものは、本法第48
条の規定により期限を付けて汚染対策を講じる。
- 第 17 条 国務院は都市のマスタープラン、環境保全企画の目標および都市大気環境質の状況に基づき、大気汚染の重点都市を指定する。
直轄市、省の中心都市、沿海開放都市および重点観光都市は、大気汚染防止重点都市に入れるべきである。大気環境質基準を達成していない大気汚染防止の重点都市は、国務院、あるいは国務院の環境保護行政主管部門が定める期限内に、大気環境質基準を達成しなければならない。当該都市の地方人民政府は、期限付き目標達成計画を制定しなければならない。並びに国務院の権限受理あるいは規定に基づき、一層厳格な措置を講じ、期限どおりに目標達成計画を実現しなければならない。
- 第 18 条 国務院の環境保護行政主管部門は、国務院の関連部門とともに、気象、地形、土壌などの自然条件に基づき、酸性雨が既に発生したか、発生する可能性のある地区、あるいは二酸化硫黄汚染の厳重な地区に対し、国務院の承認を取った後、酸性雨規制区域あるいは二酸化硫黄規制区域に指定することが許される。
- 第 19 条 企業はエネルギーの高効率利用および大気汚染低排出のクリーン生産技術を優先して採用し、大気汚染物質の排出を削減しなければならない。国は、大気環境に重大な影響を与える旧式生産技術および旧式生産設備の廃止制度を実施する。国務院の経済総合主管部門および国務院の関連部門は、大気環境に重大な影響を与える生産技術および生産設備を指定し、一定の猶予期間の後、当該技術の導入を禁止し、また当該生産設備の販売、輸入および使用を禁止する。前項の規定する生産設備の製造者、販売業者、輸入業者、または設備を使用しているものは、国務院の経済総合主管部門および国務院の関連部門が定める期限内に、当該設備の製造、販売、輸入または使用を停止しなければならない。生産技術を導入している者は、国務院の経済総合主管部門および国務院関連部門が定める期限内に、前項に定める生産技術の導入を停止しなければならない。前
2 項の規定に基づき廃止する設備は、他の者に譲り渡したり、使用させてはならない。
- 第 20 条 事故、その他突発事件に伴い、有害、有毒ガスまたは放射性物質を排出または漏洩し、その排出または漏洩により、大気汚染事故もしくは人の健康に係る被害が生じた場合、またはその恐れがある場合、当該事故、突発事件に係る工場、事業場は、直ちに大気汚染による被害拡大の防止措置を取らなければならず、かつ大気汚染による被害が生じる恐れがある工場、事業場および住民に通報すると共に、所在地の環境保護行政主管部門に報告し、所要の調査、処分を受けなければならない。重大な大気汚染により、人の健康および安全に被害を及ぼす恐れのある緊急事態が発生した場合、所在地の地方人民政府は、即時所在地住民に公告し、大気汚染を排出する関係工場、事業場に対し、大気汚染物質の排出の停止命令を含む強制的な応急措置を取らなければならない。
- 第 21 条 環境保護行政主管部門およびその他監督・管理部門は、管轄範囲内の大気汚染物質を排出する工場、事業場に対する立ち入り検査を行う権限を有する。被検査工場、事業場は、情況を虚偽なく報告し、必要な資料を提供しなければならない。検査部門は、被検査事業場の技術上の秘密および業務上の秘密を守る責務を有する。
- 第 22 条 国務院の環境保護行政主管部門は、大気汚染の監視測定制度を確立し、監視網を組織し、統一した監視測定方法を制定しなければならない。
- 第 23 条 大、中都市の地方人民政府環境保護行政主管部門は、大気環境質の状況を定期的に公報し、大気環境質の予報事業を展開する。大気環境質の状況公報は、都市の大気環境汚染の特徴、主要汚染物質の種類および汚染危害の度合いなどの内容が含まれなければならない。
第 3 章 石炭燃焼による大気汚染の防止
- 第 24 条 国は、選炭加工を普及させ、石炭中の硫黄分と灰分を低減し、高硫黄分石炭と高灰分石炭の採掘を制限する。高硫黄分石炭および高灰分石炭を採掘する炭坑において、採鉱所を新設する場合は、選炭施設を設置し、石炭中の硫黄分および灰分を規定の基準に適合するようにしなければならない。既設の採鉱所で、採掘する石炭が高硫黄分および高灰分炭坑に属す場合は、国務院が承認した企画に基づき、期限付きで関連の選炭施設を設置しなければならない。規定の基準を超えた放射性物質および砒素など有毒、有害物質を含む石炭の採掘を禁止する。
- 第 25 条 国務院関連部門および各級地方人民政府は、都市のエネルギー構造を改善し、クリーンエネルギーの生産、使用を普及させなければならない。大気汚染防止の重点都市の地方人民政府は、管轄内に国務院の環境保護行政主管部門が定める高汚染燃料の販売、使用を禁止する区域を指定できる。当該区域内の部門および個人は、所在地人民政府の定める期限内に、高汚染燃料の燃焼を停止し、天然ガス、液化石炭ガス、電気およびその他クリーンエネルギーを使用する。
- 第 26 条 国は石炭のクリーン利用を有利にする経済・技術政策および措置を講じ、低硫黄分、低灰分の優質石炭の使用を奨励、支持し、クリーンコールテクノロジーの開発と普及を奨励、支持する。
- 第 27 条 国務院の関連主管部門は、国が定めるボイラー大気汚染物質排出基準に基づき、ボイラー製品の品質基準に相応の要求を定めなければならない。要求を満たす事のできないボイラーは、製造、販売あるいは輸入してはならない。
- 第 28 条 都市建設において、石炭燃焼給熱地区を統一計画し、熱源を統一して解決し、集中給熱を発展させる。集中給熱管網でカバーされている地区で、石炭燃焼給熱ボイラーを新規建設してはならない。
- 第 29 条 大都市および中都市の地方人民政府は、飲食サービス業に対し、天然ガス、液化石油ガス、電気あるいはその他クリーンエネルギーを、期限を定めて使用するよう計画を制定しなければならない。高汚染使用禁止区域に指定されていない大都市および中都市は、当該都市区部内のその他の民生用ボイラーについて、期限を定めて、固硫型石炭の使用に改め、あるいはその他クリーンエネルギーを使用する。
- 第 30 条 二酸化硫黄を排出する火力発電所およびその他大規模または中規模の工場、事業場を新設、拡張し、規定する汚染物質排出基準、あるいは総量規制指標を超過する場合、関連の脱硫、除塵装置あるいはその他二酸化硫黄排出抑制措置および除塵措置を取らなければならない。(旧法での対象は酸性雨および二酸化硫黄抑制区のみ) 酸性雨抑制区内および二酸化硫黄汚染抑制区内に所在する工場、事業場であって、定められた汚染物質排出基準を超過して大気汚染物質を排出する場合は、本法律の第48
条に定める期限内に汚染対策を講じる。国は、企業が先進的な脱硫および除塵に係る技術の導入を奨励するものとする。工場、事業場は燃焼過程で生じる窒素酸化物に対し、抑制措置を取らなければならない。
- 第 31 条 人口密集地区での石炭、硬炭、石炭かす、石炭灰、砂石、埃など資材の積み上げは、燃焼防止、防塵措置を取り、大気の汚染を防止する。
第 4 章 自動車・機動船の排出汚染の防止
- 第 32 条 自動車機動船が大気に排出する汚染物質は、定められた排出基準を超えてはならない。すべての部門と個人は、規定の汚染物質排出基準を超えた自動車、機動船を製造、販売、導入してはならない。
- 第 33 条 既存の自動車で、製造当初汚染物質排出基準に合致しない自動車は運転使用してはならない。省、自治区、直轄市の地方人民政府は、既存の自動車に新しい汚染排出基準を実行し、併せて、これに対し改造を行う場合は、国務院に報告し承認を受けなければならない。自動車修理部門は、大気汚染防止の要求と国の関連技術規範に基づき、既存自動車が規定の汚染物質排出基準を達成するよう修理する。
- 第 34 条 国はクリーンエネルギーを使用する自動車・機動船の生産、消費を奨励する。
国は、優質燃料油の生産、使用を奨励し、燃料油中の有害物質の大気環境に対する汚染を低減する措置を取らなければならない。部門と個人は、国務院が定めた期限までに、含鉛ガソリンの生産、輸入、販売を停止する。
- 第 35 条 省、自治区、直轄市の地方人民政府環境保護行政主管部門は、公安機関の資格認定を受けた自動車年度検査を担当する部門に委託し、規範に基づき自動車の排気汚染に対し、年度検査測定を行ってもよい。交通、漁業政策など監督・管理権のある部門は、関係部門の資格認定を受けた機動船年度検査を担当する部門に委託し、規範に基づき機動船の排気汚染に対し、年度検査測定を行ってもよい。県級以上の地方人民政府環境保護行政主管部門は、停車場で使用中の自動車に対し汚染物質排出状況について監督し、抽出検査を実施する事が許される。
第5 章 排ガスおよび粉塵による大気汚染の防止並びに悪臭の防止
- 第 36 条 大気中に粉塵を排出する汚染排出工場、事業場は、除塵措置を取らなければならない。大気中に有毒物質を含む排ガスおよび粉塵の排出を厳格に規制する。止むをえず排出する場合は浄化処理をした後、大気汚染物質排出基準を超えないようにしなければならない。
- 第 37 条 工業生産化の過程で生じる可燃性ガスは、回収、利用しなければならない。回収、利用の条件が整っておらず、大気中に排出する場合は、汚染防止処理を行わなければならない。大気中に転炉ガス、アセチレンガス、電気炉による黄燐製造に伴う排ガスおよび有機炭化水素類の排ガスを排出する場合は、所在地の環境保護行政主管部門に報告し、承認を得なければならない。可燃性ガスの回収、利用装置が正常に作動しない場合、適時に修復あるいは更新しなければならない。回収・利用装置が正常に作動しない期間、可燃性ガスを止むをえず排出する場合、排出する可燃性ガスを十分燃焼するなど、大気汚染を低減する為の措置を取らなければならない。
- 第 38 条 石油精製、合成アンモニア、石炭ガス化、石炭コークス化および非鉄金属精練の工場、事業場において、硫化物を含むガスを排出する場合、脱硫装置を設置するか、あるいはその他脱硫の措置を取らなければならない。
- 第 39 条 大気中に放射性物質を含むガスまたはエアロゾルを排出する場合は、国家放射線保護規定に適合していなければならず、規定の排出基準を超えてはならない。
- 第 40 条 大気中に悪臭ガスを排出する工場、事業場は、周辺の居住民への汚染を防止する為の措置をとらなければならない。
- 第 41 条 人口密集地域および法に基づき特殊保護を受ける地域において、アスファルト、フェルト、ゴム、プラスチック、皮革、ゴミおよびその他有害な粉塵または悪臭ガスを発生する物質の燃焼を禁止する。人口密集地域、空港周辺、交通幹線付近および地元人民政府が指定する地域の露天で、麦わら、落ち葉など煙塵を生じる物質の燃焼を禁止する。前の
2 項のほか、都市の人民政府は実状に基づき、煙塵汚染防止のその他の措置を講じる事ができる。
- 第 42 条 有毒、有害ガスまたは粉塵を飛散させる恐れのある運送積み下ろしおよび貯蔵は、密封措置などの防護措置をとらなければならない。
- 第 43 条 都市人民政府は、緑化の責任制、建設施工管理の強化、地面の舗装面積の拡大、固体廃棄物の制御、クリーン輸送などの措置を取って、緑地の一人当たり平均占有面積を向上し、市内区域の裸地面と地面のほこりを削減して、都市の黄塵汚染を防止する。都市区内において建設施工あるいはその他生産に従事する中で、黄塵汚染を生じる部門は、所在地の環境保全の規定に基づき、黄塵汚染の防止措置を取らなければならない。国務院の関連行政主管部門は、都市の黄塵汚染の抑制状況を都市環境総合整備審査の根拠の一つとする。
- 第 44 条 都市の飲食業経営者は、油煙を防止し、周辺住民の居住環境を汚染する事を防止するための措置を取らなければならない。
- 第 45 条 国は、オゾン層破壊物質の代替品の生産と使用を奨励、支持し、オゾン層を破壊する物質の生産量を逐次削減し、これをオゾン層破壊物質の生産と使用を禁止するまで続ける。オゾン層破壊物質を生産、輸入する工場、事業場は、国の定める期限内、国務院の行政主管部門が査定する配当額に基づき、生産、輸入しなければならない。
第 6 章 法的責任
- 第 46 条 この法律の規定に違反し、下記の行為の一つを行ったものに対して、環境保護行政主管部門または本法第4
条第2 項の規定する監督・管理部門は情状に応じて、違法行為の停止命令、期限付きの是正命令、警告または5 万元以下の罰金に処する事ができる。
(1) 国務院の環境保護行政主管部門が定める大気汚染物質排出に関する申告を拒み、または虚偽の申告をすること。
(2) 環境保護行政主管部門またはその他の監督・管理部門が立ち入り検査を行うことを拒み、または立ち入り検査を受けた際に、虚偽の報告をすること。
(3) 汚染物質排出の工場、事業場が、大気汚染物質処理施設を正常に使用せず、あるいは環境保護行政主管部門の承認を得ずに、大気汚染防止施設を廃止または休止すること。
(4) 燃焼防止、煙塵防止の措置を取らず、人口集中地区において、アスファルトおよび硬炭、石炭かす、石炭灰、砂石、固体廃棄物などの物質を堆積すること。
- 第 47 条 本法第11 条の規程に違反して、大気汚染防止施設が完成していない建設事業、または建設事業に係る国の環境保全管理規定の要件に適合していない建設事業において、生産または使用を開始した場合、当該建設プロジェクトの環境影響報告書を審査、承認する環境保護行政主管部門は、生産または使用の停止を命令し、また、1
万元以上10 万元以下の罰金に処することができる。
- 第 48 条 本法に違反して、大気に排出した汚染物質が、国と地方の定めた排出基準を超えた場合、期限付きで汚染対策を講じ、更に、所在地県級以上の地方人民政府環境保護行政主管部門が1
万元以上10 万元以下の罰金を科す。期限付き汚染対策決定の権限および期限付き汚染対策の要求違反に対する行政処分は国務院が定める。
- 第 49 条 生産、販売、輸入もしくは使用が禁止されている設備を生産、販売、輸入または使用し、あるいは導入が禁止されている生産技術を導入した場合、県級以上の地方人民政府経済総合行政主管部門がその是正を命令する。情状が重大な場合、県級以上の地方人民政府経済総合行政主管部門が同級の地方人民政府に意見を提出し、承認を得た後、国務院が規定する権限に基づき、業務の停止または閉鎖を命令する。廃止される設備を他人に譲渡し使用させた場合、譲渡者所在地の人民政府環境保護行政主管部門あるいは法に基づき監督・管理権を有する部門が譲渡者の不法所得を没収し、並びに、不法所得の2
倍以下の罰金に処する。
- 第 50 条 本法第24 条第3 項の規定に違反して、規定基準を超えた放射性や砒素など有毒、有害物質を含む石炭を採掘した場合、県級以上の地方人民政府は国務院が定める権限に基づき閉鎖を命令する。
- 第 51 条 本法第25 条第2 項あるいは第29 条第1 項の規定に違反し、所在地人民政府が定めた期限を過ぎた後も引き続き高汚染燃料を使用する工場、事業場に対し、所在地県級以上の地方人民政府環境保護行政主管部門は取り壊しを命令、または高汚染燃料用設備を没収する。
- 第 52 条 本法第28 条の規定に違反し、都市区内の集中給熱管網地区に石炭燃焼給熱ボイラーを新設する工場、事業場に対し、県級以上の地方人民政府環境保護行政主管部門は違法行為の停止または期限付き是正を命令し、5
万元以下の罰金に処することができる。
- 第 53 条 本法第32 条の規定に違反し、汚染物質排出基準を超えた自動車、船舶を製造、販売または輸入した場合、法に基づき監督・管理権を行使する部門は違法行為の停止を命令し、違法所得を没収し、その上違法所得の倍以下の罰金に処することができる。規定する汚染物質排出基準を達成できない自動車、船舶は、没収して廃棄処分する。
- 第 54 条 本法第34 条第2 項の規程に違反し、国務院の定める期限までに含鉛ガソリンの生産、輸入あるいは販売を止めない場合は、所在地の県級以上の地方人民政府環境保護行政主管部門あるいはその他法に基づき監督・管理権を行使する部門が違法行為の停止を命令し、生産、輸入、販売の含鉛ガソリンとその違法所得を没収する。
- 第 55 条 本法第35 条第1 項あるいは第2 項に規定に違反し、所在地の省、自治区、直轄市の地方人民政府環境保護行政主管部門または交通、漁業政策など法に基づき監督管利権を行使する部門の委託を受けずに、自動車、船舶の排気汚染の検査測定を行ったもの、または委託を受け資格のある部門が、検査測定の際に虚偽行為を行ったものに対して、県級以上の地方人民政府環境保護行政主管部門または交通、漁業政策など法に基づき監督・管理権を行使する部門は、違法行為の停止かつ期限付き是正を命令し、また5
万元以下の罰金に処することができる。また、情状が重大な場合、資格認定部門はその自動車、船舶年度検査の資格を取消す。
- 第 56 条 本法の規程に違反し、下記の行為の一つを行ったものに対して、県級以上の地方人民政府環境保護行政主管部門またはその他法に基づき監督・管理権を行使する部門は、違法行為の停止かつ期限付き是正を命令し、また、5
万元以下の罰金に処することができる。
(1) 有効な汚染防止措置を取らず、粉塵、悪臭ガスまたはその他有毒物質を含むガスを大気に排出するもの。
(2) 所在地の環境保護行政主管部門の承認を取らず、転炉ガス、アセチレンガス、電気炉による黄燐製造に伴う排ガス、有機炭化水素類の排ガスを大気に排出するもの。
(3) 飛散する恐れのある有毒、有害ガスや粉塵物質を密封措置またはその他防止保護措置を取らず、輸送、積み下ろしおよび貯蔵するもの。
(4) 都市の飲食経営者が有効な汚染防止措置を取らず、排出する油煙が周辺住民の居住環境に汚染をもたらすもの。
- 第 57 条 本法第41 条第1 項の規定に違反し、人口集中地区とその他法に基づき特殊保護を必要とする区域内において、アスファルト、フェルト、ゴム、プラスチック、皮革、ゴミおよびその他有毒、有害煙塵と悪臭を生じる物質を燃焼した場合、所在地の地方人民政府環境保護行政主管部門は、その違法行為の停止を命令し、かつ3
万元以下の罰金に処することができる。本法第 41 条第2 項の規定に違反し、人口集中地区、空港周辺、交通幹線付近および所在地地方人民政府の指定する区域の露天で、麦わら、落ち葉など煙塵汚染を生じる物質を燃焼した場合、所在地県級以上の地方人民政府環境保護行政主管部門は、その違法行為の停止を命令し、情状の重大なものは200
元以下の罰金に処することができる。
- 第 58 条 本法第43 条第2 項の規程に違反し、都市区内で建設、施工またはその他粉塵汚染を生ずる活動に従事するに当たって、粉塵防止措置を取らなかったために大気を汚染した場合、期限付きで是正しなければならず、2
万元以下の罰金を科せられる。期限までに所在地の環境保全規定の要求を達成しない場合は、工事の停止、整頓が命令される。前項規定の建設、施工により生じた粉塵汚染の処罰は、県級以上の地方人民政府建設行政主管部門が決定する。その他の原因により生じた粉塵汚染の処罰は、県級以上の地方人民政府指定関連主管部門が決定する。
- 第 59 条 本法第45 条第2 項の規定に違反し、国が定めた期限内に、国務院の関連部門が査定した配当額を超えて生産または輸入した場合、所在地の省、自治区、直轄市の地方人民政府関連部門は、2
万元以上20 万元以下の罰金に処する。情状が重大な場合、国務院の関連行政主管部門は、その生産と輸入の配当額を取消す。
- 第 60 条 本法規定に違反して、下記の行為のうち一つを行ったものに対して、県級の地方人民政府環境保護行政主管部門は、期限付きでその関連施設の建設を命令し、その上、2
万元以上20 万元以下の罰金に処する。
(1) 国の関係規定により、関連施設を建設せずに高硫黄分、高灰分石炭を採掘する炭坑を新設したもの。
(2) 硫化物を含むガスを排出する製油精練、合成アンモニア生産、石炭ガスとコークス化石炭燃焼および非鉄金属冶金企業が、国の定める関係規定によらず、関連脱硫装置を建設せずまたはその他脱硫措置を取らないもの。
- 第 61 条 本法に違反して、大気汚染の事故を引き起こした工場、事業場に対し、所在地の県級以上の地方人民政府環境保護行政主管部門は、引き起こした危害に基づき、直接経済損失の50%以下の罰金に処する。ただし、その罰金額は50
万元を超えてはならない。情状が比較的重大なものは、主管の直接責任者およびその他直接責任者に対し、所在部門または上級主管機関が法に従って行政処分または紀律処分を与える。重大な大気汚染事故を引き起こし、公有または私有財産に重大な損失を与え、または人を死傷させる重大な結果を招き、犯罪を構成する場合は、法に従って刑事責任を追求する。
- 第 62 条 大気汚染の被害を引き起こした工場、事業場は、被害を排除し、かつ直接の損害を受けた工場、事業場または個人に対し損害賠償の責任を有する。賠償責任および賠償金額に関する紛争は、当事者の請求に基づき、環境保護行政主管部門が調停処理する。調停が失敗した場合、当事者は人民法院に提訴する事ができる。当事者が、人民法院に直接提訴する事もできる。
- 第 63 条 完全に不可抗力の自然災害により、速やかに措置を講じたにもかかわらず、大気汚染による損失発生を回避する事が出来なかった場合、責任は免除される。
- 第 64 条 環境保護行政主管部門またはその他関連部門が、本法第14 条第3 項の規定に違反し、徴収した汚染物質排出費を流用した場合、関係検査機関または監査機関は、流用金額の返済またはその他の措置を取って汚染物質排出費の回収を命令し、主管の直接責任者とその他直接責任者に対し、法に従って行政処分を与える。
- 第 65 条 環境保護の監督・管理者が職権を濫用し、職責を軽んじた場合、行政処分を行う。犯罪を構成する場合は、法に従って刑事責任を追及する。
第 7 章 附則
- 第 66 条 この法律は2000 年9 月1 日から施行する。
※日中友好環境保全センター ウェブサイト 「中国の環境関連法令・通達など」より転載(一部加筆、修正)
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