『4 燃料電池の種類とアキレス腱
 すでに使われているリン酸型燃料電池
 従来からある定置型燃料電池は、アルカリ水溶液型とリン酸水溶液型(PAFC)タイプの燃料電池が主流で、すでに大きなプラントには実用化されている。
 定置型発電としてとくに普及したのはリン酸水溶液型燃料電池だ。すでに商用段階にあり、もっとも身近な燃料電池といえる。民生用(業務用)や産業用(工場用)として50〜200kW容量のプラントを中心に、日本でも100台以上が稼働中である。
 溶融炭酸塩型と固体酸化物型は、高い発電効率が特長であるが、作動温度が高いだけに開発課題も多く、実用化にはさらに要素開発が必要である。
 アルカリ水溶液型は、米国のスペースシャトルに搭載されるなど、特殊用途に使用されている。しかしいままでのシステムでは自動車や家庭用には適していない。自動車に使うためには小型で軽量、起動の応答性がよく、自由自在にオン・オフができなければならない。そんな性能をもった燃料電池が今回の主役であるPEM型燃料電池なのである。PEMはその用途が広く、最近開発が急速に加速している。』
『
| リン酸型 (PAFC) | 溶融炭酸塩型 (MCFC) | 固体酸化物型 (SOFC) | 固体高分子型 (PEFC/PEM) | |
| 動作温度 | 170〜200゚C | 600〜700゚C | 900〜1000゚C | 常温〜100゚C | 
| 電解質 | リン酸 | 炭酸リチウム/炭酸カリウム | 安定化ジルコニア | イオン交換膜 | 
| イオンの種類 | H+ | CO32- | O2- | H+ | 
| 燃料 | H2 | H2、CO | H2、CO | 高純度H2 | 
| 改質 | 外部改質 | 内部改質 | 内部改質 | 外部改質 | 
| 発電効率(HHV) | 36〜45% | 45〜60% | 50〜60% | 36〜45% | 
| 原燃料 | 天然ガス、LPG、メタノール、ナフサ、軽質油 | 天然ガス、LPG、メタノール、ナフサ、軽質油 | 天然ガス、LPG、ナフサ、メタノール、石炭ガス、軽質油 | 天然ガス、LPG、メタノール、ナフサ | 
| 用途 | 分散発電 ビル用コージェネ | 中央発電 分散発電 ビル用コージェネ | 分散発電 ビル用コージェネ | ポータブル電源 家庭用コージェネ ビル用コージェネ EV用電源 |