清水(2000)による〔『燃料電池とは何か』(44-46、138p)から〕


4 燃料電池の種類とアキレス腱
 すでに使われているリン酸型燃料電池

 従来からある定置型燃料電池は、アルカリ水溶液型とリン酸水溶液型(PAFC)タイプの燃料電池が主流で、すでに大きなプラントには実用化されている。
 定置型発電としてとくに普及したのはリン酸水溶液型燃料電池だ。すでに商用段階にあり、もっとも身近な燃料電池といえる。民生用(業務用)や産業用(工場用)として50〜200kW容量のプラントを中心に、日本でも100台以上が稼働中である。
 溶融炭酸塩型と固体酸化物型は、高い発電効率が特長であるが、作動温度が高いだけに開発課題も多く、実用化にはさらに要素開発が必要である。
 アルカリ水溶液型は、米国のスペースシャトルに搭載されるなど、特殊用途に使用されている。しかしいままでのシステムでは自動車や家庭用には適していない。自動車に使うためには小型で軽量、起動の応答性がよく、自由自在にオン・オフができなければならない。そんな性能をもった燃料電池が今回の主役であるPEM型燃料電池なのである。PEMはその用途が広く、最近開発が急速に加速している。』

燃料電池の種類
  リン酸型
(PAFC)
溶融炭酸塩型
(MCFC)
固体酸化物型
(SOFC)
固体高分子型
(PEFC/PEM)
動作温度 170〜200゚C 600〜700゚C 900〜1000゚C 常温〜100゚C
電解質 リン酸 炭酸リチウム/炭酸カリウム 安定化ジルコニア イオン交換膜
イオンの種類 H+ CO32- O2- H+
燃料 H2 H2、CO H2、CO 高純度H2
改質 外部改質 内部改質 内部改質 外部改質
発電効率(HHV) 36〜45% 45〜60% 50〜60% 36〜45%
原燃料 天然ガス、LPG、メタノール、ナフサ、軽質油 天然ガス、LPG、メタノール、ナフサ、軽質油 天然ガス、LPG、ナフサ、メタノール、石炭ガス、軽質油 天然ガス、LPG、メタノール、ナフサ
用途 分散発電
ビル用コージェネ
中央発電
分散発電
ビル用コージェネ
分散発電
ビル用コージェネ
ポータブル電源
家庭用コージェネ
ビル用コージェネ
EV用電源



戻る