駒橋(2000)による〔『燃料電池革命』(3-4p)から〕


固体高分子型燃料電池
 作動温度域によってタイプが分かれる燃料電池だが、特に作動温度が80゚Cと低温領域での発電が可能な固体高分子型燃料電池(ポリマー・エレクトロライト・フューエル・セル=PEFC)が、にわかに脚光をあびてきた。それは自動車産業が21世紀の究極の環境対応型自動車として、日、米、欧州で一斉に開発を始めたからだ。加えて定置用でも家庭向け1キロワット台で実用化への開発スピードが高まってきた。
 すでに開発ステージは終了し、実用化の段階に入っているリン酸型燃料電池(フォスフォリック・エーシッド・フューエル・セル=PAFC)は幅広いユーザーに使われだしてきている。作動温度の高い領域である溶融炭酸塩型燃料電池(モルテン・カーボネイト・フューエル・セル=MCFC)も日本では実用化の領域へ入ってきた。固体電解質型燃料電池(ソリッド・オキサイド・フューエル・セル=SOFC)も将来の分散型電源のエース格となる魅力は大。
 燃料電池は、自動車での実用化が本物となり、また分散型電源として発展する可能性が一段と高くなっている。日本も含む世界的な電力自由化の流れもそれを後押ししよう。二酸化炭素の排出を極力減らした省エネ機器としての期待もあり、21世紀のエネルギー利用に革命的変化を引き起こすであろう。燃料電池はいよいよ実用化の時代を迎えたわけだが、普及への最大の課題は、「コスト」である。コストの厚い壁を突破する技術のブレークスルー(突破口)を実現した企業こそが、燃料電池革命でのリーディング企業となるし、それが加速度的な普及への先陣の役割を果たすのである。』



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