京都議定書
(全28条)


気候変動に関する国際連合枠組条約こちらを参照。



気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書

この議定書の締約国は、
気候変動に関する国際連合枠組条約(以下「条約」という。)の締約国として、
条約第2条に定められた条約の究極的な目的を達成するため、
条約を想起し、
条約第3条の規定を指針とし、
条約の締約国会議における第1回会合の決定第1号(第1回会合)により採択されたベルリン会合における授権に関する合意に従って、
次のとおり協定した。

第1条
この議定書の適用上、条約第一条の定義を適用する。さらに、
1 「締約国会議」とは、条約の締約国会議をいう。
2 「条約」とは、1992年5月9日にニュー・ヨークで採択された気候変動に関する国際連合枠組条約をいう。
3 「気候変動に関する政府間パネル」とは、1988年に世界気象機関及び国際連合環境計画が共同で設置した気候変動に関する政府間パネルをいう。
4 「モントリオール議定書」とは、1987年9月16日にモントリオールで採択され並びにその後調整され及び改正されたオゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書をいう。
5 「出席しかつ投票する締約国」とは、出席しかつ賛成票又は反対票を投ずる締約国をいう。
6 「締約国」とは、文脈により別に解釈される場合を除くほか、この議定書の締約国をいう。
7 「附属書Tに掲げる締約国」とは、条約附属書T(その最新のもの)に掲げる締約国又は条約第4条2(g)の規定に基づいて通告を行った締約国をいう。

第2条
1 附属書Tに掲げる締約国は、次条の規定に基づく排出の抑制及び削減に関する数量化された約束の達成に当たり、持続可能な開発を促進するため、次のことを行う。
(a)自国の事情に応じて、次のような政策及び措置について実施し又は更に定めること。
 (i)自国の経済の関連部門におけるエネルギー効率を高めること。
 (ii)関連の環境に関する国際取極に基づく約束を考慮に入れた温室効果ガス(モントリオール議定書によって規制されているものを除く。)の吸収源及び貯蔵庫の保護及び強化並びに持続可能な森林経営の慣行、新規植林及び再植林の促進
 (iii)気候変動に関する考慮に照らして持続可能な形態の農業を促進すること。
 (iv)新規のかつ再生可能な形態のエネルギー、二酸化炭素隔離技術並びに進歩的及び革新的な環境上適正な技術を研究し、促進し、開発し、及びこれらの利用を拡大すること。
 (v)すべての温室効果ガス排出部門における市場の不完全性、財政による奨励、内国税及び関税の免除並びに補助金であって条約の目的に反するものの漸進的な削減又は段階的な廃止並びに市場を通じた手段の適用
 (vi)温室効果ガス(モントリオール議定書によって規制されているものを除く。)の排出を抑制し又は削減する政策及び措置を促進することを目的として関連部門において適当な改革を奨励すること。
 (vii)運輸部門における温室効果ガス(モントリオール議定書によって規制されているものを除く。)の排出を抑制し又は削減する措置
 (viii)廃棄物の処理並びにエネルギーの生産、輸送及び分配における回収及び使用によりメタンの排出を抑制し又は削減すること。
(b)条約第4条2(e)(i)の規定に従い、この条の規定に基づいて採用される政策及び措置の個別の及び組み合わせた効果を高めるため、他の附属書Tに掲げる締約国と協力すること。このため、附属書Tに掲げる締約国は、当該政策及び措置について、経験を共有し及び情報を交換するための措置(政策及び措置の比較可能性、透明性及び効果を改善する方法の開発を含む。)をとる。この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議は、第一回会合において又はその後できる限り速やかに、すべての関連する情報を考慮して、そのような協力を促進する方法について検討する。
2 附属書Tに掲げる締約国は、国際民間航空機関及び国際海事機関を通じて活動することにより、航空機用及び船舶用の燃料からの温室効果ガス(モントリオール議定書によって規制されているものを除く。)の排出の抑制又は削減を追求する。
3 附属書Tに掲げる締約国は、条約第3条の規定を考慮して、悪影響(気候変動の悪影響、国際貿易への影響並びに他の締約国(特に開発途上締約国とりわけ条約第四条8及び9に規定する国)に対する社会上、環境上及び経済上の影響を含む。)を最小限にするような方法で、この条の規定に基づく政策及び措置を実施するよう努力する。この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議は、適当な場合には、この3の規定の実施を促進するため、追加の措置をとることができる。
4 この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議は、各国の異なる事情及び潜在的な影響を考慮して1(a)に規定する政策及び措置を調整することが有益であると決定する場合には、当該政策及び措置の調整を実施する方法及び手段を検討する。

第3条
1 附属書Tに掲げる締約国は、附属書Tに掲げる締約国により排出される附属書Aに掲げる温室効果ガスの全体の量を2008年から2012年までの約束期間中に1990年の水準より少なくとも5パーセント削減することを目的として、個別に又は共同して、当該温室効果ガスの二酸化炭素に換算した人為的な排出量の合計が、附属書Bに記載する排出の抑制及び削減に関する数量化された約束に従って並びにこの条の規定に従って算定される割当量を超えないことを確保する。
2 附属書Tに掲げる締約国は、2005年までに、この議定書に基づく約束の達成について明らかな前進を示す。
3 土地利用の変化及び林業に直接関係する人の活動(1990年以降の新規植林、再植林及び森林を減少させることに限る。)に起因する温室効果ガスの発生源による排出量及び吸収源による除去量の純変化(各約束期間における炭素蓄積の検証可能な変化量として計測されるもの)は、附属書Tに掲げる締約国がこの条の規定に基づく約束を履行するために用いられる。これらの活動に関連する温室効果ガスの発生源による排出及び吸収源による除去については、透明性のあるかつ検証可能な方法により報告し、第7条及び第八条の規定に従って検討する。
4 附属書Tに掲げる締約国は、この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議の第1回会合に先立ち、科学上及び技術上の助言に関する補助機関による検討のため、1990年における炭素蓄積の水準を設定し及びその後の年における炭素蓄積の変化量に関する推計を可能とするための資料を提供する。この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議は、第1回会合において又はその後できる限り速やかに、不確実性、報告の透明性、検証可能性、気候変動に関する政府間パネルによる方法論に関する作業、第5条の規定に従い科学上及び技術上の助言に関する補助機関により提供される助言並びに締約国会議の決定を考慮に入れて、農用地の土壌並びに土地利用の変化及び林業の区分における温室効果ガスの発生源による排出量及び吸収源による除去量の変化に関連する追加的な人の活動のいずれに基づき、附属書Tに掲げる締約国の割当量をどのように増加させ又は減ずるかについての方法、規則及び指針を決定する。この決定は、2回目及びその後の約束期間について適用する。締約国は、当該決定の対象となる追加的な人の活動が1990年以降に行われたものである場合には、当該決定を1回目の約束期間について適用することを選択することができる。
5 附属書Tに掲げる締約国のうち市場経済への移行の過程にある国であって、当該国の基準となる年又は期間が締約国会議の第2回会合の決定第9号(第2回会合)に従って定められているものは、この条の規定に基づく約束の履行のために当該基準となる年又は期間を用いる。附属書Tに掲げる締約国のうち市場経済への移行の過程にある他の締約国であって、条約第12条の規定に基づく1回目の自国の情報を送付していなかったものも、この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議に対して、この条の規定に基づく約束の履行のために1990年以外の過去の基準となる年又は期間を用いる意図を有する旨を通告することができる。この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議は、当該通告の受諾について決定する。
6 この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議は、条約第4条6の規定を考慮して、附属書Tに掲げる締約国のうち市場経済への移行の過程にある国によるこの議定書に基づく約束(この条の規定に基づくものを除く。)の履行については、ある程度の弾力的適用を認める。
7 附属書Tに掲げる締約国の割当量は、排出の抑制及び削減に関する数量化された約束に係る1回目の期間(2008年から2012年まで)においては、1990年又は5の規定に従って決定される基準となる年若しくは期間における附属書Aに掲げる温室効果ガスの二酸化炭素に換算した人為的な排出量の合計に附属書Bに記載する百分率を乗じたものに5を乗じて得た値に等しいものとする。土地利用の変化及び林業が1990年において温室効果ガスの排出の純発生源を成す附属書Tに掲げる締約国は、自国の割当量を算定するため、1990年又は基準となる年若しくは期間における排出量に、土地利用の変化に起因する1990年における二酸化炭素に換算した発生源による人為的な排出量の合計であって吸収源による除去量を減じたものを含める。
8 附属書Tに掲げる締約国は、7に規定する算定のため、ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン及び六ふっ化硫黄について基準となる年として1995年を用いることができる。

9 附属書Tに掲げる締約国のその後の期間に係る約束については、第21条7の規定に従って採択される附属書Bの改正において決定する。この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議は、1に定める1回目の約束期間が満了する少なくとも7年前に当該約束の検討を開始する。
10 第6条又は第17条の規定に基づいて一の締約国が他の締約国から取得する排出削減単位又は割当量の一部は、取得する締約国の割当量に加える。
11 第6条又は第17条の規定に基づいて一の締約国が他の締約国に移転する排出削減単位又は割当量の一部は、移転する締約国の割当量から減ずる。
12 第12条の規定に基づいて一の締約国が他の締約国から取得する認証された排出削減量は、取得する締約国の割当量に加える。
13 一の附属書Tに掲げる締約国の約束期間における排出量がこの条の規定に基づく割当量より少ない場合には、その量の差は、当該附属書Tに掲げる締約国の要請により、その後の約束期間における当該附属書Tに掲げる締約国の割当量に加える。
14 附属書Tに掲げる締約国は、開発途上締約国(特に条約第4条8及び9に規定する国)に対する社会上、環境上及び経済上の悪影響を最小限にするような方法で、1に規定する約束を履行するよう努力する。条約第4条8及び9の規定の実施に関する締約国会議の関連する決定に従い、この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議は、第1回会合において、条約第四条8及び9に規定する締約国に対する気候変動の悪影響又は対応措置の実施による影響を最小限にするためにとるべき措置について検討する。検討すべき問題には、資金供与、保険及び技術移転の実施を含める。

第4条
1 前条の規定に基づく約束を共同で履行することについて合意に達した附属書Tに掲げる締約国は、附属書Aに掲げる温室効果ガスの二酸化炭素に換算した人為的な排出量の合計についての当該附属書Tに掲げる締約国の総計が、附属書Bに記載する排出の抑制及び削減に関する数量化された約束に従って並びに前条の規定に従って算定された割当量について当該附属書Tに掲げる締約国の総計を超えない場合には、約束を履行したものとみなされる。当該附属書Tに掲げる締約国にそれぞれ割り当てられる排出量の水準は、当該合意で定める。
2 1の合意に達した締約国は、この議定書の批准書、受諾書若しくは承認書又はこの議定書への加入書の寄託の日に、事務局に対し当該合意の条件を通報する。事務局は、当該合意の条件を条約の締約国及び署名国に通報する。
3 1の合意は、前条7に規定する約束期間を通じて維持される。
4 共同して行動する締約国が地域的な経済統合のための機関の枠組みにおいて、かつ、当該地域的な経済統合のための機関と共に行動する場合には、この議定書の採択の後に行われる当該地域的な経済統合のための機関の構成のいかなる変更も、この議定書に基づく既存の約束に影響を及ぼすものではない。当該地域的な経済統合のための機関の構成のいかなる変更も、その変更の後に採択される前条の規定に基づく約束についてのみ適用する。
5 1の合意に達した締約国が排出削減量について当該締約国の総計の水準を達成することができない場合には、当該締約国は、当該合意に規定する自国の排出量の水準について責任を負う。
6 共同して行動する締約国が、この議定書の締約国である地域的な経済統合のための機関の枠組みにおいて、かつ、当該地域的な経済統合のための機関と共に行動する場合において、排出削減量の総計の水準を達成することができないときは、当該地域的な経済統合のための機関の構成国は、個別に、かつ、第24条の規定に従って行動する当該地域的な経済統合のための機関と共に、この条の規定に従って通報した自国の排出量の水準について責任を負う。

第5条
1 附属書Tに掲げる締約国は、1回目の約束期間の開始の遅くとも1年前までに、温室効果ガス(モントリオール議定書によって規制されているものを除く。)について、発生源による人為的な排出量及び吸収源による除去量について推計を行うための国内制度を設ける。その国内制度のための指針(2に規定する方法を含める。)は、この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議の第1回会合において決定する。
2 温室効果ガス(モントリオール議定書によって規制されているものを除く。)の発生源による人為的な排出量及び吸収源による除去量について推計を行うための方法は、気候変動に関する政府間パネルが受諾し、締約国会議が第3回会合において合意したものとする。当該推計を行うための方法が使用されない場合には、この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議の第1回会合において合意される方法に従って適当な調整が適用される。この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議は、特に気候変動に関する政府間パネルの作業並びに科学上及び技術上の助言に関する補助機関によって行われる助言に基づき、締約国会議の関連する決定を十分に考慮して、これらの方法及び調整について定期的に検討し、並びに適当な場合にはこれらを修正する。方法又は調整のいかなる修正も、その修正の後に採択される約束期間における第3条の規定に基づく約束の遵守を確認するためにのみ用いる。
3 附属書Aに掲げる温室効果ガスの発生源による人為的な排出及び吸収源による除去の二酸化炭素換算量を算定するために用いられる地球温暖化係数は、気候変動に関する政府間パネルが受諾し、締約国会議が第3回会合において合意したものとする。この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議は、特に気候変動に関する政府間パネルの作業並びに科学上及び技術上の助言に関する補助機関によって行われる助言に基づき、締約国会議の関連する決定を十分に考慮して、附属書Aに掲げる温室効果ガスの地球温暖化係数を定期的に検討し、及び適当な場合にはこれらを修正する。地球温暖化係数のいかなる修正も、その修正の後に採択される約束期間における第3条の規定に基づく約束についてのみ適用する。

第6条
1 附属書Tに掲げる締約国は、第3条の規定に基づく約束を履行するため、次のことを条件として、経済のいずれかの部門において温室効果ガスの発生源による人為的な排出を削減し又は吸収源による人為的な除去を強化することを目的とする事業から生ずる排出削減単位を他の附属書Tに掲げる締約国に移転し又は他の附属書Tに掲げる締約国から取得することができる。
 (a)当該事業が関係締約国の承認を得ていること。
 (b)当該事業が発生源による排出の削減又は吸収源による除去の強化をもたらすこと。ただし、この削減又は強化が当該事業を行わなかった場合に生ずるものに対して追加的なものである場合に限る。
 (c)当該附属書Tに掲げる締約国が前条及び次条の規定に基づく義務を遵守していない場合には、排出削減単位を取得しないこと。
 (d)排出削減単位の取得が第3条の規定に基づく約束を履行するための国内の行動に対して補足的なものであること。
2 この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議は、第1回会合において又はその後できる限り速やかに、この条の規定の実施(検証及び報告を含む。)のための指針を更に定めることができる。
3 附属書Tに掲げる締約国は、自国の責任において、法人がこの条の規定に基づく排出削減単位の発生、移転又は取得に通ずる行動に参加することを承認することができる。
4 附属書Tに掲げる締約国によるこの条の規定の実施上の問題が第8条の関連規定に従って明らかになる場合において、その後も排出削減単位の移転及び取得を継続することができる。ただし、締約国は、遵守に関する問題が解決されるまで、第3条の規定に基づく約束を履行するために当該排出削減単位を用いることはできない。

第7条
1 附属書Tに掲げる締約国は、締約国会議の関連する決定に従って提出する温室効果ガス(モントリオール議定書によって規制されているものを除く。)の発生源による人為的な排出及び吸収源による除去に関する自国の年次目録に、第3条の規定の遵守を確保するために必要な補足的な情報であって4の規定に従って決定されるものを含める。
2 附属書Tに掲げる締約国は、条約第12条の規定に基づいて提出する自国の情報に、この議定書に基づく約束の遵守を示すために必要な補足的な情報であって4の規定に従って決定されるものを含める。
3 附属書Tに掲げる締約国は、1の規定によって必要とされる情報を毎年提出する。ただし、この提出は、この議定書が自国について効力を生じた後の約束期間の最初の年について条約に基づき提出する最初の目録から開始する。附属書Tに掲げる締約国は、2の規定によって必要とされる情報を、この議定書が自国について効力を生じた後及び4に規定する指針が採択された後に条約に基づいて送付する最初の自国の情報の一部として、提出する。この条の規定によって必要とされる情報のその後の提出の頻度は、締約国会議が決定する各国の情報の送付の時期を考慮して、この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議が決定する。
4 この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議は、締約国会議が採択した附属書Tに掲げる締約国による自国の情報の作成のための指針を考慮して、第1回会合において、この条の規定によって必要とされる情報の作成のための指針を採択し、その後定期的に検討する。また、この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議は、1回目の約束期間に先立ち、割当量の計算方法を決定する。

第8条
1 附属書Tに掲げる締約国が前条の規定に基づいて提出する情報は、締約国会議の関連する決定に従い、かつ、この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議が4の規定に基づいて採択する指針に従い、専門家検討チームによって検討される。附属書Tに掲げる締約国が前条1の規定に基づいて提出する情報は、排出の目録及び割当量に関する毎年の取りまとめ及び計算の一部として検討される。さらに、附属書Tに掲げる締約国が前条2の規定に基づいて提出する情報は、専門家検討チームが行う情報の検討の一部として検討される。
2 専門家検討チームは、締約国会議がその目的のために与える指導に従い、事務局が調整し、並びに条約の締約国及び適当な場合には政府間機関が指名する者の中から選定される専門家で構成する。
3 検討の過程においては、締約国によるこの議定書の実施状況に関するすべての側面について十分かつ包括的な技術的評価を行う。専門家検討チームは、この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議に提出する報告書であって、締約国の約束の履行状況を評価し並びに約束の履行に関する潜在的な問題及び約束の履行に影響を及ぼす要因を明らかにするものを作成する。当該報告書については、事務局が条約のすべての締約国に送付する。事務局は、この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議が更に検討するために当該報告書に記載された実施上の問題の一覧表を作成する。
4 この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議は、第1回会合において、締約国会議の関連する決定を考慮して、専門家検討チームがこの議定書の実施状況を検討するための指針を採択し、その後定期的に検討する。
5 この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議は、実施に関する補助機関並びに適当な場合には科学上及び技術上の助言に関する補助機関の支援を得て、次のことについて検討する。
 (a)前条の規定に基づいて締約国が提出する情報及びその情報に関しこの条の規定に基づいて行われる専門家による検討に関する報告書
 (b)3の規定に基づいて事務局が列記する実施上の問題及び締約国が提起する問題
6 この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議は、5に規定する情報の検討に基づき、この議定書の実施に必要とされる事項について決定を行う。

第9条
1 この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議は、気候変動及びその影響に関する入手可能な最良の科学的情報及び評価並びに関連する技術上、社会上及び経済上の情報に照らして、この議定書を定期的に検討する。その検討は、条約に基づく関連する検討(特に条約第4条2(d)及び第7条2(a)の規定によって必要とされる検討)と調整する。この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議は、その検討に基づいて適当な措置をとる。
2 1回目の検討は、この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議の第2回会合において行う。その後の検討は、一定の間隔でかつ適切な時期に行う。

第10条
すべての締約国は、それぞれ共通に有しているが差異のある責任並びに各国及び地域に特有の開発の優先順位、目的及び事情を考慮し、附属書Tに掲げる締約国以外の締約国に新たな約束を導入することなく、条約第4条1の規定に基づく既存の約束を再確認し、持続可能な開発を達成するためにこれらの約束の履行を引き続き促進し、また、条約第4条3、5及び7の規定を考慮して、次のことを行う。
 (a)締約国会議が合意する比較可能な方法を用い、また、締約国会議が採択する各国の情報の作成のための指針に従い、温室効果ガス(モントリオール議定書によって規制されているものを除く。)の発生源
による人為的な排出及び吸収源による除去に関する自国の目録を作成し及び定期的に更新するため、締約国の社会経済状況を反映する国内の排出係数、活動データ又はモデルの質を向上させる費用対効果の大きい自国(適当な場合には地域)の計画を適当な場合において可能な範囲で作成すること。
 (b)気候変動を緩和するための措置及び気候変動に対する適応を容易にするための措置を含む自国(適当な場合には地域)の計画を作成し、実施し、公表し及び定期的に更新すること。
  (i) 当該計画は、特に、エネルギー、運輸及び工業の部門、農業、林業並びに廃棄物の処理に関するものである。さらに、適応の技術及び国土に関する計画を改善するための方法は、気候変動に対する適応を向上させるものである。
  (ii) 附属書Tに掲げる締約国は、第七条の規定に従い、この議定書に基づく行動に関する情報(自国の計画を含む。)を提出する。他の締約国は、自国の情報の中に、適当な場合には、気候変動及びその悪影響への対処に資すると認める措置(温室効果ガスの排出の増加の抑制、吸収源の強化及び吸収源による除去、能力の開発並びに適応措置を含む。)を内容とする計画に関する情報を含めるよう努める。
 (c)気候変動に関連する環境上適正な技術、ノウハウ、慣行及び手続の開発、利用及び普及のための効果的な方法の促進について特に開発途上国と協力し、並びに適当な場合には気候変動に関連する環境上適正な技術、ノウハウ、慣行及び手続の特に開発途上国に対する移転又は取得の機会の提供について、促進し、容易にし及び資金を供与するための実施可能なすべての措置(公の所有に属し又は公共のものとなった環境上適正な技術を効果的に移転し並びに民間部門による環境上適正な技術の移転及び取得の機会の提供の促進及び拡充を可能とする環境を創出するための政策及び計画を作成することを含む。)をとること。
 (d)条約第5条の規定を考慮して、気候系、気候変動の悪影響並びに種々の対応戦略の経済的及び社会的影響に関する不確実性を減少させるため、科学的及び技術的研究に協力し、組織的観測の体制の維持及び発展並びに資料の保管制度の整備を促進し、並びに研究及び組織的観測に関する国際的な及び政府間の努力、計画及び協力網に参加するための固有の能力の開発及び強化を促進すること。
 (e)教育訓練事業の計画(自国の能力(特に人的及び制度的能力)の開発の強化及び教育訓練専門家を養成する者の交流又は派遣(特に開発途上国のためのもの)に関するものを含む。)の作成及び実施について、国際的に及び適当な場合には既存の団体を活用して協力し及び促進し、並びに国内的な規模で気候変動に関する啓発及び情報の公開を円滑にすること。これらの活動を実施するための適切な方法は、条約第六条の規定を考慮して、条約の関連機関を通じて作成されるべきである。
 (f)締約国会議の関連する決定に従い、自国の情報の中にこの条の規定に基づいて行われる計画及び活動に関する情報を含めること。
 (g)この条の規定に基づく約束の履行に当たり、条約第4条8の規定について十分な考慮を払うこと。

第11条
1 締約国は、前条の規定の実施に当たり、条約第4条4、5及び7から9までの規定について考慮を払う。
2 条約附属書Uに掲げる先進締約国は、条約第4条1の規定の実施との関連において、条約第4条3及び第11条の規定に従い、また、条約の資金供与の制度の運営を委託された組織を通じて、次のことを行う。
 条約第4条1(a)の規定に基づく既存の約束であって前条(a)の規定の対象となるものの履行を促進するために開発途上締約国が負担するすべての合意された費用に充てるため、新規のかつ追加的な資金を供与すること。
 (b)条約第4条1の規定に基づく既存の約束であって、前条の規定の対象となり、かつ、開発途上締約国と条約第11条に規定する国際的組織との間で合意するものについて、その履行を促進するためのすべての合意された増加費用を負担するために開発途上締約国が必要とする新規のかつ追加的な資金(技術移転のためのものを含む。)を条約第11条の規定に従って供与すること。
これらの既存の約束の履行に当たっては、資金の流れの妥当性及び予測可能性が必要であること並びに先進締約国の間の適当な責任分担が重要であることについて考慮を払う。締約国会議の関連する決定(この議定書の採択前に合意されたものを含む。)における条約の資金供与の制度の運営を委託された組織に対する指導は、この2の規定について準用する。
3 条約附属書Uに掲げる先進締約国は、また、二国間の及び地域的その他の多数国間の経路を通じて、前条の規定を実施するための資金を供与することができるものとし、開発途上締約国は、これを利用することができる。

第12条
1 低排出型の開発の制度についてここに定める。
2 低排出型の開発の制度は、附属書Tに掲げる締約国以外の締約国が持続可能な開発を達成し及び条約の究極的な目的に貢献することを支援すること並びに附属書Tに掲げる締約国が第3条の規定に基づく排出の抑制及び削減に関する数量化された約束の遵守を達成することを支援することを目的とする。
3 低排出型の開発の制度の下で、
 (a)附属書Tに掲げる締約国以外の締約国は、認証された排出削減量を生ずる事業活動から利益を得る。
 (b)附属書Tに掲げる締約国は、第三条の規定に基づく排出の抑制及び削減に関する数量化された約束の一部の遵守に資するため、(a)の事業活動から生ずる認証された排出削減量をこの議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議が決定するところに従って用いることができる。
4 低排出型の開発の制度は、この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議の権限及び指導に従い、並びに低排出型の開発の制度に関する理事会の監督を受ける。
5 事業活動から生ずる排出削減量は、次のことを基礎として、この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議が指定する運営組織によって認証される。
 (a)関係締約国が承認する自発的な参加
 (b)気候変動の緩和に関連する現実の、測定可能なかつ長期的な利益
 (c)認証された事業活動がない場合に生ずる排出量の削減に追加的に生ずるもの
6 低排出型の開発の制度は、必要に応じて、認証された事業活動に対する資金供与の措置をとることを支援する。
7 この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議は、第1回会合において、事業活動の検査及び検証が独立して行われることによって透明性、効率性及び責任を確保することを目的として、方法及び手続を定める。
8 この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議は、認証された事業活動からの収益の一部が、運営経費を支弁するために及び気候変動の悪影響を特に受けやすい開発途上締約国が適応するための費用を負担することについて支援するために用いられることを確保する。
9 低排出型の開発の制度の下での参加(3(a)に規定する活動及び認証された排出削減量の取得への参加を含む。)については、民間の又は公的な組織を含めることができるものとし、及び低排出型の開発の制度に関する理事会が与えるいかなる指導にも従わなければならない。
10 2000年から1回目の約束期間の開始までの間に得られた認証された排出削減量は、1回目の約束期間における遵守の達成を支援するために利用することができる。

第13条
1 条約の最高機関である締約国会議は、この議定書の締約国の会合としての役割を果たす。
2 条約の締約国であってこの議定書の締約国でないものは、この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議の会合の審議にオブザーバーとして参加することができる。締約国会議がこの議定書の締約国の会合としての役割を果たす場合には、この議定書に基づく決定は、この議定書の締約国のみによって行われる。
3 締約国会議がこの議定書の締約国の会合としての役割を果たす場合には、締約国会議の議長団の構成員であってその時点でこの議定書の締約国でない条約の締約国を代表するものは、この議定書の締約国により及びこの議定書の締約国の中から選出される追加的な構成員に交代する。
4 この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議は、この議定書の実施状況を定期的に検討するものとし、その権限の範囲内で、この議定書の効果的な実施を促進するために必要な決定を行う。この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議は、この議定書により課された任務を遂行し、及び次のことを行う。
 (a)この議定書により利用が可能となるすべての情報に基づき、締約国によるこの議定書の実施状況、この議定書に基づいてとられる措置の全般的な影響(特に、環境、経済及び社会に及ぼす影響並びにこれらの累積的な影響)及び条約の目的の達成に向けての進捗状況を評価すること。
 (b)条約第4条2(d)及び第7条2に規定する検討を十分に勘案して、条約の目的、条約の実施により得られた経験並びに科学上及び技術上の知識の進展に照らして、この議定書に基づく締約国の義務について定期的に検討すること。このことに関して、この議定書の実施状況に関する定期的な報告書を検討し及び採択すること。
 (c)締約国の様々な事情、責任及び能力並びにこの議定書に基づくそれぞれの締約国の約束を考慮して、気候変動及びその影響に対処するために締約国が採用する措置に関する情報の交換を促進し及び円滑にすること。
 (d)二以上の締約国の要請に応じ、締約国の様々な事情、責任及び能力並びにこの議定書に基づくそれぞれの締約国の約束を考慮して、気候変動及びその影響に対処するために締約国が採用する措置の調整を円滑にすること。
 (e)この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議が合意することとなっているこの議定書の効果的な実施のための比較可能な方法について、条約の目的及びこの議定書の規定に従い、また、締約国会議の関連する決定を十分に考慮して、これらの開発及び定期的な改善を促進し及び指導すること。
 (f)この議定書の実施に必要な事項に関する勧告を行うこと。
 (g)第11条2の規定に従って追加的な資金が供与されるよう努めること。
 (h)この議定書の実施に必要と認められる補助機関を設置すること。
 (i)適当な場合には、能力を有する国際機関並びに政府間及び民間の団体による役務、協力及び情報の提供を求め及び利用すること。
 (j)その他この議定書の実施のために必要な任務を遂行し、及び締約国会議の決定により課される任務について検討すること。
5 締約国会議の手続規則及び条約の下で適用する財政手続は、この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議がコンセンサス方式により別段の決定を行う場合を除くほか、この議定書の下で準用する。
6 この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議の第1回会合は、この議定書の効力発生の日の後に予定されている締約国会議の最初の会合と併せて事務局が招集する。この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議のその後の通常会合は、この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議が別段の決定を行わない限り、締約国会議の通常会合と併せて毎年開催する。
7 この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議の特別会合は、この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議が必要と認めるとき又はいずれかの締約国から書面による要請のある場合において事務局がその要請を締約国に通報した後6箇月以内に締約国の少なくとも3分の1がその要請を支持するときに開催する。
8 国際連合、その専門機関、国際原子力機関及びこれらの国際機関の加盟国又はオブザーバーであって条約の締約国でないものは、この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議の会合にオブザーバーとして出席することができる。この議定書の対象とされている事項について認められた団体又は機関(国内若しくは国際の又は政府若しくは民間のもののいずれであるかを問わない。)であって、この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議の会合にオブザーバーとして出席することを希望する旨事務局に通報したものは、当該会合に出席する締約国の3分の1以上が反対しない限り、オブザーバーとして出席することを認められる。オブザーバーの出席については、5の手続規則に従う。

第14条
1 条約第8条の規定によって設置された事務局は、この議定書の事務局としての役割を果たす。
2 事務局の任務に関する条約第八条2の規定及び事務局の任務の遂行のための措置に関する条約第8条3の規定は、この議定書について準用する。さらに、事務局は、この議定書に基づいて課される任務を遂行する。

第15条
1 条約第9条及び第10条の規定によって設置された科学上及び技術上の助言に関する補助機関並びに実施に関する補助機関は、それぞれ、この議定書の科学上及び技術上の助言に関する補助機関並びに実施に関する補助機関としての役割を果たす。条約に基づくこれらの二の機関の任務の遂行に関する規定は、この議定書について準用する。この議定書の科学上及び技術上の助言に関する補助機関並びに実施に関する補助機関の会合は、それぞれ、条約の科学上及び技術上の助言に関する補助機関並びに実施に関する補助機関の会合と併せて開催する。
2 条約の締約国であってこの議定書の締約国でないものは、補助機関の会合の審議にオブザーバーとして参加することができる。補助機関がこの議定書の補助機関としての役割を果たす場合には、この議定書に基づく決定は、この議定書の締約国のみによって行われる。
3 条約第9条及び第10条の規定によって設置された補助機関がこの議定書に関係する事項に関して任務を遂行する場合には、補助機関の議長団の構成員であってその時点でこの議定書の締約国でない条約の締約国を代表するものは、この議定書の締約国により及びこの議定書の締約国の中から選出される追加的な構成員に交代する。

第16条
この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議は、締約国会議が行う関連する決定に照らして、条約第13条に規定する多数国間の協議手続をこの議定書について適用することをできる限り速やかに検討し、及び適当な場合には当該協議手続を修正する。この議定書について適用する多数国間の協議手続は、第18条の規定に従って設ける手続及び制度の実施を妨げることなく、運用される。

第17条
締約国会議は、排出量取引(特にその検証、報告及び責任)に関する原則、方法、規則及び指針を定める。附属書Bに掲げる締約国は、第3条の規定に基づく約束を履行するため、排出量取引に参加することができる。排出量取引は、同条の規定に基づく排出の抑制及び削減に関する数量化された約束を履行するための国内の行動に対して補足的なものとする。

第18条
この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議は、第1回会合において、不遵守の原因、種類、程度及び頻度を考慮して、この議定書の規定の不遵守の事案を決定し及びこれに対処すること(不遵守に対する措置を示す表の作成を通ずるものを含む。)のための適当かつ効果的な手続及び制度を承認する。この条の規定に基づく手続及び制度であって拘束力のある措置を伴うものは、この議定書の改正によって採択される。

第19条
紛争の解決に関する条約第14条の規定は、この議定書について準用する。

第20条
1 締約国は、この議定書の改正を提案することができる。
2 この議定書の改正は、この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議の通常会合において採択する。この議定書の改正案は、その採択が提案される会合の少なくとも6箇月前に事務局が締約国に通報する。また、事務局は、改正案を条約の締約国及び署名国並びに参考のために寄託者に通報する。
3 締約国は、この議定書の改正案につき、コンセンサス方式により合意に達するようあらゆる努力を払う。コンセンサスのためのあらゆる努力にもかかわらず合意に達しない場合には、改正案は、最後の解決手段として、その採択が提案される会合に出席しかつ投票する締約国の4分の3以上の多数による議決で採択する。採択された改正は、事務局が寄託者に通報するものとし、寄託者がすべての締約国に対し受諾のために送付する。
4 改正の受諾書は、寄託者に寄託する。3の規定に従って採択された改正は、この議定書の締約国の少なくとも4分の3の受諾書を寄託者が受領した日の後90日目の日に、当該改正を受諾した締約国について効力を生ずる。
5 改正は、他の締約国が当該改正の受諾書を寄託者に寄託した日の後90日目の日に当該他の締約国について効力を生ずる。

第21条
1 この議定書の附属書は、この議定書の不可分の一部を成すものとし、「この議定書」というときは、別段の明示の定めがない限り、附属書を含めていうものとする。この議定書が効力を生じた後に採択される附属書は、表、書式その他科学的、技術的、手続的又は事務的な性格を有する説明的な文書に限定される。
2 締約国は、この議定書の附属書を提案し、また、この議定書の附属書の改正を提案することができる。
3 この議定書の附属書及びこの議定書の附属書の改正は、この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議の通常会合において採択する。附属書案又は附属書の改正案は、その採択が提案される会合の少なくとも六箇月前に事務局が締約国に通報する。また、事務局は、附属書案又は附属書の改正案を条約の締約国及び署名国並びに参考のために寄託者に通報する。
4 締約国は、附属書案又は附属書の改正案につき、コンセンサス方式により合意に達するようあらゆる努力を払う。コンセンサスのためのあらゆる努力にもかかわらず合意に達しない場合には、附属書案又は附属書の改正案は、最後の解決手段として、その採決が提案される会合に出席しかつ投票する締約国の4分の3以上の多数による議決で採択する。採択された附属書又は附属書の改正は、事務局が寄託者に通報するものとし、寄託者がすべての締約国に対し受諾のために送付する。
5 3及び4の規定に従って採択された附属書又は附属書A若しくは附属書B以外の附属書の改正は、寄託者が附属書の採択又は附属書の改正の採択を締約国に通報した日の後6箇月で、その期間内に当該附属書又は当該附属書の改正を受諾しない旨を寄託者に対して書面により通告した締約国を除くほか、この議定書のすべての締約国について効力を生ずる。当該附属書又は当該附属書の改正は、当該通告を撤回する旨の通告を寄託者が受領した日の後90日目の日に、当該通告を撤回した締約国について効力を生ずる。
6 附属書又は附属書の改正の採択がこの議定書の改正を伴うものである場合には、採択された附属書又は附属書の改正は、この議定書の改正が効力を生ずる時まで効力を生じない。
7 この議定書の附属書A及び附属書Bの改正は、前条に規定する手続に従って採択され、効力を生ずる。ただし、附属書Bの改正は、関係締約国の書面による同意を得た場合にのみ採択される。

第22条
1 各締約国は、2に規定する場合を除くほか、一の票を有する。
2 地域的な経済統合のための機関は、その権限の範囲内の事項について、この議定書の締約国であるその構成国の数と同数の票を投ずる権利を行使する。地域的な経済統合のための機関は、その構成国が自国の投票権を行使する場合には、投票権を行使してはならない。その逆の場合も、同様とする。

第23条
国際連合事務総長は、この議定書の寄託者とする。

第24条
1 この議定書は、条約の締約国である国家及び地域的な経済統合のための機関による署名のために開放されるものとし、批准され、受諾され又は承認されなければならない。この議定書は、1998年3月16日から1999年3月15日までニュー・ヨークにある国際連合本部において、署名のために開
放しておく。この議定書は、この議定書の署名のための期間の終了の日の後は、加入のために開放しておく。批准書、受諾書、承認書又は加入書は、寄託者に寄託する。
2 この議定書の締約国となる地域的な経済統合のための機関でそのいずれの構成国も締約国となっていないものは、この議定書に基づくすべての義務を負う。地域的な経済統合のための機関及びその一又は二以上の構成国がこの議定書の締約国である場合には、当該地域的な経済統合のための機関及びその構成国は、この議定書に基づく義務の履行につきそれぞれの責任を決定する。この場合において、当該地域的な経済統合のための機関及びその構成国は、この議定書に基づく権利を同時に行使することができない。
3 地域的な経済統合のための機関は、この議定書の規律する事項に関するその権限の範囲をこの議定書の批准書、受諾書、承認書又は加入書において宣言する。また、当該地域的な経済統合のための機関は、その権限の範囲の実質的な変更を寄託者に通報し、寄託者は、これを締約国に通報する。

第25条
1 この議定書は、55以上の条約の締約国であって、附属書Tに掲げる締約国の千1990年における二酸化炭素の総排出量のうち少なくとも55パーセントを占める二酸化炭素を排出する附属書Tに掲げる締約国を含むものが、批准書、受諾書、承認書又は加入書を寄託した日の後90日目の日に効力を生ずる。
2 この条の規定の適用上、「附属書Tに掲げる締約国の1990年における二酸化炭素の総排出量」とは、附属書Tに掲げる締約国がこの議定書の採択の日以前の日に、条約第12条の規定に従って送付した1回目の自国の情報において通報した量をいう。
3 この議定書は、1に規定する効力発生のための要件を満たした後にこれを批准し、受諾し若しくは承認し又はこれに加入する国又は地域的な経済統合のための機関については、批准書、受諾書、承認書又は加入書の寄託の日の後90日目の日に効力を生ずる。
4 地域的な経済統合のための機関によって寄託される文書は、この条の規定の適用上、その構成国によって寄託されたものに追加して数えてはならない。

第26条
この議定書には、いかなる留保も付することができない。

第27条
1 締約国は、自国についてこの議定書が効力を生じた日から3年を経過した後いつでも、寄託者に対して書面による脱退の通告を行うことにより、この議定書から脱退することができる。
2 1の脱退は、寄託者が脱退の通告を受領した日から1年を経過した日又はそれよりも遅い日であって脱退の通告において指定されている日に効力を生ずる。
3 条約から脱退する締約国は、この議定書からも脱退したものとみなす。

第28条
アラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語をひとしく正文とするこの議定書の原本は、国際連合事務総長に寄託する。

1997年12月11日に京都で作成した。
以上の証拠として、下名は、正当に委任を受けて、それぞれ明記する日にこの議定書に署名した。

附属書A
温室効果ガス

 二酸化炭素(CO2
 メタン(CH4
 一酸化二窒素(N2O)
 ハイドロフルオロカーボン(HFCs)
 パーフルオロカーボン(PFCs)
 六ふっ化硫黄(SF6
部門及び発生源の区分
 エネルギー
  燃料の燃焼
   エネルギー産業
   製造業及び建設業
   運輸
   その他の部門
   その他
  燃料からの漏出
   固体燃料
   石油及び天然ガス
   その他
 産業の工程
  鉱物製品
  化学産業
  金属の生産
  その他の生産
  ハロゲン元素を含む炭素化合物及び六ふっ化硫黄の生産
  ハロゲン元素を含む炭素化合物及び六ふっ化硫黄の消費
  その他
 溶剤その他の製品の利用
 農業
  消化管内発酵
  家畜排せつ物の管理
  稲作
  農用地の土壌
  サバンナを計画的に焼くこと。
  野外で農作物の残留物を焼くこと。
  その他
 廃棄物
  固形廃棄物の陸上における処分
  廃水の処理
  廃棄物の焼却
  その他

附属書B

締約国

排出の抑制及び削減に関する数量化された約束
(基準となる年又は期間に乗ずる百分率)
オーストラリア
オーストリア
ベルギー
ブルガリア(注)
カナダ
クロアチア(注)
チェッコ共和国(注)
デンマーク
エストニア(注)
欧州共同体
フィンランド
フランス
ドイツ
ギリシャ
ハンガリー(注)
アイスランド
アイルランド
イタリア
日本国
ラトヴィア(注)
リヒテンシュタイン
リトアニア(注)
ルクセンブルグ
モナコ
オランダ
ニュー・ジーランド
ノールウェー
ポーランド(注)
ポルトガル
ルーマニア(注)
ロシア連邦(注)
スロヴァキア(注)
スロヴェニア(注)
スペイン
スウェーデン
スイス
ウクライナ(注)
グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国
アメリカ合衆国
108
92
92
92
94
95
92
92
92
92
92
92
92
92
94
110
92
92
94
92
92
92
92
92
92
100
101
94
92
92
100
92
92
92
92
92
100
92
93

 
注 市場経済への移行の過程にある国


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