『(b)炭素サイクル
地球表層部付近でのさまざまな物質の循環のなかでも水とともに炭素について考えることは重要である。それは、@地球温暖化にとって二酸化炭素が本質的な役割を演ずる、A炭素は地球の大気、海水、生命の起源にとって欠かせない元素である、および、B他の元素(たとえば、硫黄、酸素など)の循環に大きな影響を与える、という理由による。この炭素サイクルを考えるためには、はじめに各リザーバー(サブシステム)中に含まれている炭素の量を知る必要がある(表2-12)。また各リザーバー間の炭素の移行率は本質的に重要であるのでそれらも表2-13にまとめた。炭素の各リザーバー中での存在状態は異なっている。それらは、大気圏:二酸化炭素、生物圏:有機化合物、海洋:炭酸イオン、岩石圏:炭酸塩、炭素などである。
1 気圏 2 陸の生物圏 3 陸の死んだ有機物 4 海の生物圏 5 海の死んだ有機物 6 海水中に溶解 7 岩石圏の再循環した元素状炭素 8 岩石圏の再循環した炭酸塩中の炭素 9 初生炭素 |
690 |
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(1015g/年) |
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から | へ | ||
1 2 1 4 2 4 3 5 7 8 7 6 1 8 6 7,8,9 |
2 1 4 1 3 5 1 1 1 1 1 7 6 6 8 1 |
陸の純光合成 陸の有機物の速い分解 海の純光合成 海の有機物の速い分解 陸の死んだ有機物の蓄積 海の死んだ有機物の蓄積 陸の死んだ有機物の分解 海の死んだ有機物の分解 化石燃料の燃焼 セメント工業 元素状炭素の酸化 元素状炭素の堆積 炭酸塩への正味の流量 炭酸塩の風化 炭酸塩の堆積 変成、火山作用による脱ガス |
23 35 5 25 30 25 30 4.2 0.7 0.09±0.02 0.12±0.03 0.06±0.04 0.16±0.04 0.22±0.04 0.09±0.03 |
リザーバーの番号は表2-12と同じ。 |