課 題(和訳例)
Craig,J.R.,Vaughan,D.J. and Skinner,B.J.(1996):
Resources of the Earth Origin, Use, and Environmental Impact
(2nd ed.). Prentice Hall(New Jersey), 472p.〔ISBN0-13-457029-4〕〈目次〉の、各章(全13章)のFocal
Pointsを和訳する
地球の資源−起源、利用、そして環境への影響
@ 鉱物:社会の基盤
A 鉱物資源の起源
B 歴史を通じた地球資源
C 資源の開発と利用による環境への大きな影響
D 化石燃料からのエネルギー
E 将来のエネルギー−原子力と他の可能な代替エネルギー
F 豊富な金属
G 地球化学的に希少な金属
H 肥料および化学製品となる鉱物
I 建材と他の産業用鉱物
J 水資源
K 資源としての土壌
L 将来の資源
@ 鉱物:社会の基盤
- (1) 現代社会に必要なすべての材料は、直接または間接に地球から得られている。
- (2) 世界人口は西暦1500年頃まではゆっくりと増えていた;1800年頃から人口増加は速くなり、1930年には20億人、そして1975年には40億人に上昇した;2000年には60億人を超えるであろう。
- (3) まもなく60億人に達しようとしている人類の人口は、2100年頃に安定化する前には少なくとも110億人に上昇するものと見積られている。
- (4) 人口の成長速度は、先進国よりも発展途上国において非常に大きい。
- (5) 再生可能な資源は有機物とそれに由来するものからなる;再生不能な資源は、鉱物資源とそれに由来するものからなる。(石炭、石油、熱帯雨林のようないくつかの資源は、明らかに有機物ではあるが、実行可能な時間の尺度では再生可能ではない。)
- (6) 地殻は、地球内部からと太陽からのエネルギー入力をもつ大きなエンジンである;そのエネルギーフラックス(流量)は物質の移動つまり地球化学的循環を起こす。
- (7) 資源とは、経済的に取り出すことが可能であるような、天然に生成している鉱物の濃集体である。
- (8) 埋蔵鉱または鉱石とは、現在経済的に取り出せる鉱物の濃集体である。
A 鉱物資源の起源
- (1) もし地球が均質だったならば、現代社会を発展させ維持するために使われる鉱物資源の大部分は利用できなかったであろう。
- (2) 鉱物資源は、地殻において活動的な物理的および化学的過程から生じる天然の濃集体である。
- (3) ほとんどすべての地質過程は、ある地球資源を形成、または変形、または破壊する。
- (4) 放射性物質からの熱により発生した火成活動は、熱水流体が循環することにより、あるいはマグマ中で金属酸化物または硫化物の層を選択的に沈殿することにより、資源を濃集するだろう。
- (5) 広域変成作用は既存の岩石の性質を変え、そしてそれらのあるものをスレート(粘板岩)やマーブル(大理石)のような建材に転換する。
- (6) 火成岩の貫入によって放出された熱と熱水によって生じる接触変成作用は、金属鉱石を生み出し、そして宝石さえ生成するだろう。
- (7) 地下の浅い層位は、貴重な地下水資源を含み、そして埋没した有機物が温度と圧力の上昇によって変質される時に化石燃料が最初に生成される場所である。
- (8) 風化作用は、土壌および粘土やボーキサイト(アルミニウムの主要な鉱石)のような特定の資源を生み出す。
- (9) 風化と浸食の過程は岩石を破壊し、その残留物を運ぶ;これは大量の砂と礫を生むだろうし、砂鉱床として金や錫やチタン鉱物を濃集するだろう。
- (10) 乾燥地域での蒸発は、ハライト(岩塩)、カリ塩、石膏、そしてまれに硝酸塩の鉱床を形成するような、可溶性の塩を濃集する。
- (11) 埋没、および引き続く圧密と温度上昇は、陸上有機砕屑物を石炭に変えるだろう。
- (12) 海盆は、大陸から浸食された堆積物の最終的な堆積の場であり、したがってある種の砂鉱だけでなく膨大な量の砂と礫を含む。
- (13) 長い時間をかけて、浅海および縁海潟の蒸発は、最も大規模な蒸発岩鉱床を形成した。
- (14) 海生プランクトンの埋没は、のちに圧密と温度上昇を受け、石油および大部分のガスを形成する。
- (15) マンガンと鉄を含むノジュール(団塊)は、深海底でゆっくりと形成する。
- (16) 現代の海底熱水孔は、古い時代の岩石から採掘される大規模鉱体に類似した、鉄や銅や亜鉛に富んだ硫化物鉱床を形成している。
B 歴史を通じた地球資源
- (1) 地球資源は歴史を通じて、あらゆる文明によって利用されてきた。
- (2) 最も早くから利用された地球資源には、水、塩、および岩石から作られた簡単な道具が含まれていた。
- (3) 紀元前15,000年以前に出現した人類により最初に使われた金属は、ともに自然金属として生じている金と銅であったであろう。
- (4) 資源の利用の絶え間ない増大は、ギリシアとローマ帝国の時代にピークに達した。これは、西暦400年頃から1400年代の終わりまでの長い期間続いたが、その間にはほとんど新しい発展はなかった。
- (5) コロンブスらの新世界への航海は、ヨーロッパの列強数カ国による世界探検と植民地化の時代を開き、それはほぼ400年間続いた。これは、ヨーロッパの国々に莫大な富をもたらし(例えば、スペインへ金と銀)、それらの国々の文化の影響を世界の他の国々に強いることになった。
- (6) 1700年代と1800年代の産業革命は、国々を農業と田舎から、工業と都会へと変えた;これは鉱物資源とりわけ鉄と石炭の使用を大きく拡大した。
- (7) 18世紀の終わりに始まった現代化学の発展は、多くの新しい金属の発見とそれに引き続く利用をもたらした。
- (8) 今日、あらゆる国は必要とする鉱物資源の供給を他の国々に依存しており、世界の生産量の多くは大規模な多国籍のグループまたは企業により支配されている。
- (9) 資源の生産と支配に関係する最も有名な2つの組織は、OPEC(石油輸出国機構)とDeBeers(世界の宝石級ダイヤモンドの大部分を支配する)である。
- (10) 戦略的な世界資源の支配は、世界政治において主要な役割を演じ続けている。
C 資源の開発と利用による環境への大きな影響
- (1) 環境への強い影響が、資源の採取、資源の使用、および資源生産物の廃棄によって起こる。
- (2) 固体鉱物資源を採取する2つの主な手段は、地下採鉱(坑内掘り)と地表採鉱(露天掘り)である。井戸は、石油、水、および天然ガスのような流体や気体を採取するのに用いられる。
- (3) 地下採鉱は、採掘場所において岩石の落下、水の流入、およびガスの増加の可能性があるため、地表採鉱よりも危険で費用がかかる。
- (4) 地表採鉱は、大量の岩石を移動し、大きな廃石(ズリ)の山とともに巨大な採掘穴(跡)を生じるため、一般に地下採鉱よりも明らかに環境へ大きな影響を与える。
- (5) 地下採鉱は、採掘跡地への崩落が生じなければ、あるいは採鉱時に坑内への水の流入を防ぐために地下水面を低下させる必要がなければ、通常は地表への影響はほとんどない。
- (6) 金属鉱石から、その中に比較的低濃度で含まれる金属を抽出するために選鉱を行うと、大量の廃石を生じ、そして鉱石の製錬と精製を行うと大気中へ汚染物質を放出することになる。
- (7) ある資源の使用、とくに化石燃料の燃焼は、大気中へ汚染源となる大量の気体(CO2、NOx、SOx)を放出する。
- (8) 大気中のCO2濃度の増加は地球の気温上昇をもたらし、窒素と硫黄の酸化物の放出は酸性雨を発生させると、多くの人々は信じている。
- (9) 原子力発電は放射性廃棄物を発生し、それは数千年間安全性を保てるような特別な廃棄場所が必要である。
- (10) 多くの資源としての材料の循環は、廃棄か再使用か再循環(リサイクル)で終わる。例えば、米国は1年間に固体の一般(民生)廃棄物を約2億トン発生しており、その中で紙と板紙が最も多くを占める。
D 化石燃料からのエネルギー
- (1) 今日の主要なエネルギー資源である、最も普通の化石燃料は、石炭、石油、および天然ガスである。あまり知られていないが地域によって重要なのが、オイルシェール、タールサンド、ヘビーオイル(重油)、およびピート(泥炭)である。
- (2) 石炭は、陸上植物の集積、埋没、そして圧密によって生成するが、一連の圧密と温度上昇により、ピート、褐炭、瀝青淡、そして無煙炭へと進行していくなかの一部である。
- (3) 石油は、埋没した海成有機物が温度と圧力の増加で自然過程の転換を受けたときに生成する。
- (4) 天然ガスは、主にメタン(CH4)からなり、バクテリアが浅い所に埋没した有機物を分解するときに生物活動的に、あるいは深く埋没して高い温度と圧力によって有機物の分解が起こるときに熱生成的に生成する。
- (5) 石油は、古代から知られてはいたが、近代的な生産の歴史は1859年のペンシルバニアのタイタスビルでのエドウィン・L・ドレークによる井戸の掘削までさかのぼる。
- (6) 石油の集積は、構造的または層位的なトラップとして役立つ多孔性で透過性の岩石中へ、石油がその根源岩から移動した場合にのみ価値のあるものになる。
- (7) 石油は噴油井の形でほんのまれに井戸から噴出する;石油はポンプにより強制的に汲みだされるか、化学薬品や蒸気を注入して石油を岩石の孔隙から解放させることで汲みだしを容易にする。そのようにしても、埋蔵された石油の半分近くは岩石中にトラップされたままである。
- (8) 世界の石油生産は1950年代、1960年代、そして1970年代に急激に増加し、1980年代には日産約6000万バレルおよび年産220億バレルに達している。
- (9) 米国の石油生産は1970年にピークに達し、その後ゆっくり減少している。この傾向は、需要の増加と合わせて、石油輸入の増加をもたらした。
- (10) OPEC(石油輸出国機構)は約1兆バレルという世界の全石油埋蔵量の2/3から3/4を支配している;サウジアラビアは2600億バレルを有し、最大の埋蔵量をかかえる。
- (11) 天然ガスの使用は1960年以来4倍以上増加しており、多くはパイプラインと液化天然ガスとして現在輸送されている。
- (12) タールサンド、ヘビーオイル、およびオイルシェールは莫大な量の潜在的抽出可能な石油を含むが、現時点では非経済的な状況にある。
E 将来のエネルギー−原子力と他の可能な代替エネルギー
- (1) 熱の放出を伴ってゆっくりと自発的に崩壊するウラニウムとトリウムの放射性同位体は、核分裂の過程での急速な分裂を人工的に引き起こせるだろう。
- (2) 238Uが天然で最も豊富なウラニウムの同位体である(99.3%)が、235U(0.7%)がほとんどの核反応炉の主要な燃料である。
- (3) ウラニウムは普通1%U3O8以下しか含まない鉱石から分離され、イエローケーキと呼ばれる酸化物の形に濃縮され、235U同位体に富むように処理され、そして燃料棒中へ装填されるペレットに成形される。
- (4) 核反応炉は多数の燃料棒を収容する。これらの棒から出た放射線はチェーン(鎖)反応を生じ、そこで大量かつ制御された熱エネルギーが放出され、蒸気を発生して発電のためのタービンを回す。
- (5) 最初の商業用核反応炉は1956年に英国で操業された;続いて、数100基の反応炉が40以上の国々で建設された。
- (6) 1979年に米国のスリーマイル島発電所で起こった部分的なメルトダウン(炉心の溶融事故)は、多数の原子力発電所での数多くの設計変更、著しいコスト増、およびキャンセル(建設取消し)をもたらした。
- (7) 1986年4月にウクライナのキエフ近くにあるチェルノブイリ発電所での爆発と炎上は、広範囲の放射性物質の降下(死の灰)を、とくに東ヨーロッパとスカンジナビア中にもたらした。
- (8) 太陽エネルギーは家庭の暖房または温熱水用に使われるだろうし、あるいは太陽光発電用電池によって電気を発生するのに使われるだろう。
- (9) 水力発電は流水を使いタービンを回して発電される。それによる汚染はないが、自然の流水系を攪乱することで環境に重大な影響を引き起こす可能性がある。
- (10) 風力エネルギーは、早い時期から船や風車の動力として用いられていたが、局地的ウィンドファーム(風力発電用の土地)で発電するのに使うことが増えている;しかし、風力エネルギーはまだ局地的に利用されているだけである。
- (11) 風による波の働きを利用する波力、および海洋への月の引力に対応した潮位の規則的な上下動を利用した潮汐力、はある地域では発電するのに使用できる。
- (12) 地熱エネルギーは地球内部の熱に由来するが、それは天然に生成している放射性元素の崩壊によりそもそも生み出されている。異常に高い地温勾配の地域で、井戸を掘って流出した熱水や蒸気から、そのエネルギーは引き出せる。
- (13) 核融合の過程は太陽、恒星、および水爆において起こるが、軽い原子どうしが融合して、重たい原子を形成し、莫大なエネルギーを放出するものである。その過程には数100万度の高温を必要とし、ごくわずかの放射性廃棄物を生み出すが、核融合を制御するためには大きな技術上の問題が伴うために、21世紀に入って相当経たなければ商業的に利用できそうもない。
F 豊富な金属
- (1) 金属は、鉱床から採鉱により得られた鉱石から分離される;そのような鉱床の採鉱可能性はは、鉱物組成、品位、規模、および賦存場所のような要因に依存する。
- (2) 地殻の平均濃度で0.1%以上を占めるような豊富な金属は、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、チタン、マンガン、および鉄である。
- (3) 鉄は、今日使われているすべての金属の95%以上を占める。
- (4) 鉄鉱床はあらゆるタイプの岩石中に生じている;鉄が分離される主な鉱物は赤鉄鉱(Fe2O3)、磁鉄鉱(Fe3O4)、および針鉄鉱(FeOOH)である。
- (5) 世界最大の鉄鉱床は縞状鉄鉱層である;これらは先カンブリア時代の海で化学沈殿して形成されたもので、おそらく最初の光合成植物による酸素の発生と同時に起こったと思われる。
- (6) 鉄の製錬は、普通はコークスによる一酸化炭素ガスとの反応により、酸化鉄を金属鉄に還元することで行われる。
- (7) 世界の鉄鋼生産は、米国や他の西側諸国における生産はほぼ一定であるが、1950年以来着実に上昇してきている;したがって、例えば、米国の割合は50%近くから約10%へ落ち込んでいる。
- (8) 鉄鋼生産に不可欠の金属であるマンガンは、多くの国で採掘されている(米国にはないが);また深海底の多くの場所で鉄マンガン団塊としても生成している。
- (9) ボーキサイト(ある地域で「土壌」として生成しているアルミニウム水酸化物の軟らかく不均質(雑多)な塊)から得られるアルミニウムは、その軽量さ、電気伝導能力、非(耐)腐食性、および加工性のため、2番目に広く使われる金属となっている;アルミニウムの大きな短所は、鉱石から分離するのに大量のエネルギーが必要なことである。
- (10) チタンは多くの先端技術に使われているが、主としては白色顔料の調合剤として使われている。
- (11) 豊富な金属で最も軽いマグネシウムは、耐火煉瓦の調合剤およびアルミニウムとの軽量合金に使われている。
- (12) ケイ素は地殻で最も豊富な金属であり、鉄鋼製造に長い間使われてきており、そして例えば太陽電池やコンピュータチップのように新技術に使われることも増えている。
G 地球化学的に希少な金属
- (1) 地殻に0.1%以下の平均存在度で生じている金属として定義される、地球化学的に希少な金属は、30以上存在する。
- (2) 地球化学的に希少な金属は通常普通の鉱物中に分散して生じている;それらが非常に濃集(25〜1000倍以上)した時にのみ、それら自身の固有な鉱物を形成し、場合により採掘可能な鉱床となる。
- (3) 地球化学的に希少な金属の4大グループは、(1)鉄合金(フェロアロイ)金属、(2)卑金属、(3)貴金属、そして(4)特殊金属である。
- (4) 鉄合金金属−とくにNi、Cr、Co、Mo−は鉄と合金にして特別な鉄鋼(特殊鋼)(ステンレス(錆びない)、工具、高温など)を作るのに使われる。
- (5) ニッケル、クロム、およびコバルトは主に大規模な塩基性または超塩基性岩体に伴って生じている;モリブデンはフェルシック(珪長質)な斑岩質岩体中に生じている。
- (6) 卑金属−Cu、Pb、Zn、Sn、Hgのような−は熱水流体からの沈殿により形成された鉱床に主に生じている;これは広い範囲にわたる技術に使われている。
- (7) 最も広く使われている卑金属の銅は、人類に知られるようになった最初の金属の一つであり、今日では電気産業にとって最も重要な金属として利用されている。
- (8) 貴金属−金、銀、および白金族−は今日標準的な通貨として利用されており、装身具および重要な科学技術用の金属として使われている。
- (9) 金を探し求めることは、人類による探検と植民地化の多くにおいて牽引力であったし、探検(探査)活動の目的であり続けている。
- (10) 特殊金属は、新技術において重要な役割を演じることが増えているという共通の特徴をもつ広い範囲のグループである;これらの使用は将来的に増大すると思われる。
H 肥料および化学製品となる鉱物
- (1) 3つの主要な肥料成分−窒素、リン、およびカリウム−は植物の成長に必要であり、実質上収穫量を増加させる。
- (2) 人類は、先史時代には、食糧生産を増やすための肥料として、動物の糞や料理に使った焚き火の灰を用い始めた。
- (3) 世界の肥料生産は、現在約3億トン/年であり、増加する世界人口を養うために増産し続けなければならないだろう。
- (4) 窒素をふくむ肥料は、南アメリカ西部からヨーロッパへ大量の鳥の糞石(グアノ)を船積みしだした1800年代初期に、初めて世界貿易において重要になった。
- (5) 現在チリの北部であるところから船積みされている、天然硝酸肥料の存在は、太平洋戦争(1878−1883)を引き起こした;この戦いでボリビアは海岸線地帯を失った。
- (6) 窒素肥料は、今日では大気中の窒素から合成されている。
- (7) 初めは骨から作られていたリン肥料は、現在では可溶性の過リン酸石灰を作るために硫酸を用いてリン酸塩岩から加工している。
- (8) カリウム肥料はかって硬材の「ポット・アッシュ(木灰)」から得られていたが、現在は蒸発鉱床から分離されている。
- (9) 硫黄はときどき肥料に含まれるが、化学製品に広く用いられている。(「岩塩ドーム」に伴う)地下の鉱床から、そこに熱水をポンプで注入して硫黄を溶かし出すことにより分離されている。また、化石燃料から分離されることが増えてきた。
- (10) 岩塩または「普通の塩」は最も広く使われる化学的鉱物である。大規模な蒸発岩層での地下鉱山とか、天然塩水とか、海水から分離されている。
- (11) 鉱物から得られる非常にたくさんの化学物質は、非常に多くの材料を製造するのに用いられることで、現代社会に役立っている。
I 建材と他の産業用鉱物
- (1) 建材は、地球から引き出される鉱産物のなかで最も容積が大きい。
- (2) 大部分の建材が本来もつ価値は比較的小さい。多くの違ったタイプの材料が使われているし、地域からの材料が一般に供給の主体となっている。
- (3) 建材を切断したり、磨いたり、精製したり、あるいは焙焼したりして、処理することで、それらの価値が著しく増大する。
- (4) 道路、建造物の土台、およびコンクリートに主に使われる砕石は、最も広く利用される建材である;それに用いられる主な岩石は石灰岩であるが、他の多くの岩石も使われている。
- (5) セメントは、処理した岩石からの産物として最も重要なものであり、少量の粘土およびシリカと一緒に石灰岩を加熱して作られる。セメントは古代ローマ人により使われたが、その化学式は失われ、1756年に再発見された。
- (6) 石膏は、焼き石膏およびプラスターボードの製造に広く使われている。
- (7) 様々なタイプの粘土が、煉瓦から高品質の陶磁器にいたるまで、窯業材料を作るのに使われる。
- (8) ガラスは主として石英から作られるが、硼砂およびアルミナのような、広範囲の様々な材料が、その特性を変えるために加えられる。
- (9) アスベスト(石綿)は、健康問題に関連するために、最も広く知られている産業用鉱物の一つである。6種のアスベスト鉱物は、強くて、柔軟性があり、化学反応しない繊維となり、多くの産業用途をもつ。健康問題が認識されるようになって、アスベストの使用は急激に減少している。
- (10) 宝石は比較的普通にあるもののうち、とりわけ珍しく稀な形のものである。
- (11) 天然ダイヤモンドは150km以深のマントルで生成し、爆発孔を形成するキンバーライトのパイプ状火成岩に含まれて地表へ運ばれている。
- (12) 合成ダイヤモンドは、現在では大量に生産され、研磨材から電子「チップ(半導体素子)」にまで適用されて使われている。
J 水資源
- (1) 水は、人類にとって生存のために必須であるため、最も不可欠の鉱物資源である。
- (2) 地球の水圏の水の97.2%は海洋に含まれる;この水は塩水であり、3.5%の塩分を含み、大部分の用途には使えない。
- (3) 人類の使用に役立つ淡水のうち、最も大きい貯蔵量のものは地下水として生じている。
- (4) 海洋から蒸発散により大気へ、そして降水として陸地表面および海洋へ戻る水の不断の動きを、水文循環は説明している。
- (5) 世界の主要な降雨地帯は赤道に沿っているが、主な砂漠地帯は赤道の南北25゜〜30゜および極地域にある。
- (6) 洪水は豪雨の結果、自然に生じるが、氾濫原への人工建造物や表面流出を増加させるような人間活動により悪化する。
- (7) 通常の洪水を制御する試みは、水を溜めるダムの建設や、その地域から急速に水を流し去るのを促進するための水路の掘削を含む。
- (8) 共同体に飲料水を供給するための給水システムは先史時代にまでさかのぼり、今日では大規模に利用されている。
- (9) 米国の1人当りの淡水利用量は平均で約5070リットル(1340ガロン)/日である。
- (10) 米国では、発電所が最も大量の水を利用しており、その大部分は回収されているが、灌漑が最も大量の水を消費している。
- (11) 地下水の汲み出しは地下水面の低下、地表の陥没、および海岸地域で帯水層への海水の浸入さえ引き起こしている。
- (12) 資源としての水の重要性は世界人口が増加するにつれて必然的に大きくなるであろう。
K 資源としての土壌
- (1) 土壌は、気候、植生、地形の傾斜および時間に対応して、どのようなタイプの岩石の分解によっても形成する。
- (2) 物理風化は岩片の大きさを減らし、鉱物粒子をばらすが、化学風化は鉱物の化学的性質を変える。
- (3) 土壌は残留した石英粒子、粘土鉱物、鉄酸化物、および有機物よりなる。
- (4) 粘土は植物に栄養を提供する最も大事な鉱物であり、それは粘土が栄養となる陽イオンとゆるく結合しており、た易く植物にそれらを引き渡すためである。
- (5) 土壌は、色、組織(鉱物粒径)、コンシステンシー、および構造により特徴づけられる。特有の土壌層準が時間とともに形成し、非常に異なる特徴をもつようになるだろう。
- (6) 土壌の潜在的な利用は、農業生産を含めて、その特性に依存している。
- (7) 米国の陸地面積のほとんどは、森林、牧草地と放牧場、または農耕地である;住宅地、市街地、道路、および鉱山に使われているものの合計は、4%以下である。
- (8) 自然の浸食速度は地形と気候によって大きく変動する;耕作のような人類による干渉は、一般的に土壌浸食を増加させる。
- (9) 砂漠化、豊かな土地から砂漠への変容は、過放牧や森林伐採の結果として多くの半乾燥地域で生じている。
L 将来の資源
- (1) 人口増大、技術進歩、経済そして社会的圧力は、将来の資源の必要性を決定する。
- (2) 大部分の先進国において最も利用しやすい鉱床の枯渇は、もっと遠隔地および地殻のより深部の探査と開発を必要とすることになるであろう。
- (3) 富鉱床の枯渇は、もっと低品位の鉱床の開発を必要とすることになるであろう。
- (4) 普通の岩石から得られる豊富な金属および材料の埋蔵量は莫大であるので、事実上枯渇することはない。
- (5) 化石燃料は比較的近い将来に枯渇するであろうし、原子力や太陽エネルギーのような持続可能なエネルギー源に代替されねばならないだろう。
- (6) 技術革新が、今日用いられている、いくつかの資源に対する需要を減らすだろうが、他の新しいあるいはほとんど使われていない資源に対して必要性を生じるだろう。
戻る