第三版 環境学−遺伝子破壊から地球規模の環境破壊まで

目次

はじめに 1
第二版に当たって 1
第三版に当たって 2
序論 拡大する新しい型の公害 13
一 地球規模の環境破壊 地球の温暖化/酸性雨と森林破壊/オゾン層の破壊 14
二 細胞内からの破壊 大気汚染物質/さまざまな人工化合物/人工放射性核種/人工的な条件も 18
三 一般市民の加害者化 自動車の使用/電気の大量消費/人工化合物の使用 22

第 I 部
第一章 生命現象とその設計図 29
一 さまざまな生物と生命現象 ウイルスからヒトまで/分子から生態系まで/生物体を構成する物質 30
二 DNAに刻まれた遺伝暗号 遺伝子は染色体に存在/遺伝子はDNA/DNAの構造と複製/遺伝子の作用機構/遺伝暗号の解明/突然変異とは 38
三 生命現象は遺伝子の働き 分断された遺伝子/遺伝子の「編集」/酵素の触媒作用/ホルモンの働き/免疫反応と拒絶反応/生命現象の担い手 51
四 進化と適応の結果として 化石からの証拠/相同器官からも/地理的隔離と生殖的隔離/生物の適応/適応した繁殖力/さまざまな防御機構 62
第二章 地球の温暖化と酸性雨 73
一 進む地球の温暖化 恵まれた惑星/温室効果とは/二酸化炭素の急増/他の温室ガス/複合的な温暖化/すでに影響が出ている 74
二 熱帯雨林の破壊 熱帯雨林とは/熱帯雨林の減少/熱帯雨林破壊の実情/熱帯木材資源の浪費/大量の紙の浪費 82
三 オゾン層の破壊 オゾン層の働き/オゾンホール/オゾン量の平衡/フロンによる破壊/フロンの規制/後ろ向きの日本/対応を改めて問う 92
四 酸性雨と森林の破壊 初期の酸性雨被害/酸性雨とは/広がった酸性雨被害/日本での酸性雨/関東周辺部の酸性雨/マスコミの責任/「朝シャン」の犯罪/進む文化遺産の被害/オゾンとの複合作用 101
第三章 さまざまな環境変異原 113
一 変異原性とガン原性 変異原とガン誘発原/さまざまな環境変異原/ガン誘発原の作用/ガン組織の出現まで/催奇性との関係/大部分が劣性突然変異/体細胞突然変異/プロミュータジェン 114
二 氾濫する人工化合物 DDTとBHC/PCBとカネミ油症/食べさせられたAF2/さまざまな食品添加物/食品の農薬汚染/利点だけに注目が/のちに判明した有害性/試験体制の変遷/環境ホルモン 125
三 ダイオキシンの発生 ダイオキシンとは/最初の被害/ベトナムでの枯葉作戦/セベッソの大事故/進むダイオキシン汚染 138
四 合成洗剤の罪悪 石けんと合成洗剤/電気洗濯機が招いた/ABSとLAS/有リンと無リン/無リンでもダメ/自動食器洗浄機/なぜ理解されないか 147

第 II 部
第四章 人類と共存できない原子力

161
一 恐るべき原子力災害 史上最悪の事故/原子炉の原理/主な原子炉の型/広範な放射能汚染/さまざまな核種が/日本にも降下した/ヨウ素剤の投与/食品のセシウム汚染/TMI事故も想定外/炉心溶融の発生/対応不能が続いた/妊婦と乳幼児の退避/情報の秘匿と混乱/過去の事故被害予測/日本でも起こりうる/チェルノブイリその後 162
二 放射線は微量でも危ない 放射線と生物/放射線の種類/放射線のエネルギー/放射線量の単位/放射能の単位/さまざまな放射線障害/高線量の影響から判明/低線量の影響の判明/微量線量域での証明/他の生物や人体でも/化学物質との相乗効果 188
三 人工放射性核種の生態濃縮 浜岡原発周辺での実験/原発以外に原因がない/環境放射線量の上昇/翌年以降も有意差が/他の原発周辺でも/事故停止との関係も/広がった包囲網/体内被曝が主因/体内被曝の重大性/モニタリングの欺瞞/推進側の必死の対応/当人抜きの「否定会」/事実を曲げた『朝日』/推進側の実験/アメリカでの招待講演/早く気づくべきだった/なぜ濃縮するのか 206
四 始末できない放射性廃棄物 プルトニウムと核拡散/プルトニウムの毒性/プルトニウム社会/高速増殖炉の危険性/プルトニウムが過剰に/汚染を拡大する再処理/急増する放射性廃棄物/海洋投棄はダメ/六ヶ所村と幌延町/未解決の技術 235
五 マレーシアのトリウム廃棄物 三菱系のARE社/問題の発端/広がった反対運動/一回目の調査/高裁の操業停止命令/二回目の調査/操業再開の許可/原告側の立証/被告側の対応/判決の遅延/全面勝訴判決 247
六 無数のヒバクシャ 許容線量の変遷/基準運用原則の後退/BEIR報告/許容濃度の魔法/区別された原爆被爆者/遠かった援護法/原爆線量の見直し/隠されていた被爆者/ビキニ島民の再移住/風下のヒバクシャ/核実験従軍兵士/ウラン開発と先住民/激増した労働者被爆/核被害者世界大会/第二回はベルリンで 264

第 III 部
第五章 近代農業をめぐる諸問題

295
一 近代育種と品種の画一化 栽培植物の起源/農耕条件下での適応/最初は無意識的選抜/その後意識的選抜で/交配育種が主流に/国家事業として/古米や古々米の累積/多収性から高品質へ/新品種育成の問題点/進んだ銘柄化/品種の画一化/画一化の弊害 296
二 化学肥料と農業 有機肥料と化学肥料/密植を可能にした/土壌の酸性化/河川の富栄養化も/農薬漬けも招いた/回復が困難になった/ポスト・ハーベスト/ゴルフ場の農薬使用も/可逆サイクルの重要性 312
三 砂漠化が進む穀倉地帯 農地の砂漠化/コーンベルトの砂漠化/メシポタミアも/他の各地でも 323
四 国際商品化された農産物 投機の対象となった/ダイズ戦争/経済摩擦の結果として/長距離輸送の問題点/貯蔵・保存にも問題/加工食品に多い添加物/手軽な食品が危ない 329
第六章 畜産、漁業、林業の諸問題 341
一 汚染畜産物と家畜による砂漠化 ニワトリの品種/産卵機械となって/ブロイラー用の肥育/ブタの肥育も/ウシの肥育も変わった/牛乳にも問題が/トナカイのセシウム汚染/家畜による砂漠化/高カロリーの問題点 342
二 漁業資源の枯渇と環境破壊 自立更新的資源/略奪的乱獲の進行/冷凍保存も問題/開発と水産資源破壊/赤潮や海洋投棄 355
三 養殖漁業による汚染 養殖魚を好む若者/養殖による汚染/抗生物質汚染/有機スズ汚染も/栽培漁業の課題 364
四 単一樹林による災害 自然林と単一樹林/貧困な人工生態系/雪解け洪水が/土砂崩れも招いた/カモシカによる被害/スギ花粉症の元凶 370
第七章 バイオテクノロジーの問題点 379
一 遺伝子操作技術 共通の遺伝暗号/三つの「道具」/さまざまな制限酵素/遺伝子操作の手順/種の壁を越える/モラトリアムの提唱/規制の始まり/指針の策定/相次いだ規制緩和/新しいDNA合成法 380
二 遺伝子操作の夢と問題点 遺伝子工学ダービー/筑波のP4施設/かずかずのバラ色の夢・貴重な医薬品の量産/患者を市場に/生産物の純化問題/すべてが未知/検出できない漏出/新宿の予衛研P3/生物災害は起こる/組換え作物も問題/生態系との関係/あと始末の技術 396
三 細胞融合と体細胞雑種 組織培養技術/プロトプラスト/細胞融合技術/ポマトの失敗/体細胞雑種の難点 418
四 胚操作技術の問題点 試験管ベビー技術/男女の産み分け/精子バンクと貸し子宮/クローン人間も可能/遺伝子操作との併用/免疫抑制剤/異種間の受精も可能 427

終 部
第八章 進化と適応を忘れた技術

443
一 適応を知らない人工的なもの 「人工」を改めて問う/宇宙開発の問題点/無重力は有害/エンデバーの実験/動物を殺す高速交通/近代人工都市の危険/宇宙の環境汚染/核兵器の運搬手段/軍事技術が飢餓を/ME技術ロボット化/機械に従属する人間/生物学的危機に瀕する人類 444
二 生命を資源視する浪費社会 臓器移植と脳死/人工流産のあと/DNAの物質視/遺伝子資源の枯渇/貧困の固定/ODAの問題点/食料資源の浪費 460
三 テクノクラート社会を問う 原子力帝国/バイオ技術も/情報管理社会/民主主義とは相容れない/可逆サイクルへ/向かうべき方向/価値観の転換を 473
あとがき 489
第三版あとがき 490
索引(事項/生物/人名/地名・国名/年表) 525

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