立見(1983)による〔『Reserve〜Resource(続)−アメリカ合州国鉱山局および同地質調査所報告の例−』から〕


鉱物資源の資源量・埋蔵鉱量分類の基本方針*1
アメリカ合州国鉱山局および同地質調査所
*1 US Bureau of Mines and US Geological Survey (1980) Principles of a resource/reserve classification for minerals. US Geol. Surv., Circ. 831, 5p.

まえがき

 これまで長い間、地質技師・採鉱技師など鉱物資源の分野に携わって来た人々は、鉱物資源またはその量(mineral resources)註1(ここではエネルギー資源をも含むこととする)を記載し分類するのに、多種の用語を使ってきた。そのうちのあるものは、広く使われ、また容認されてもきたが、しかしそれらは、正確に同じ意味で常に使われてきたわけではない。
 アメリカ合州国鉱山局と同地質調査所では、すべての鉱物資源の量と質とについての情報を、異なった観点からのものあるいは異なった目的のためのものを含めてすべて集めている。1976年には、これら両機関の職員よりなる1チームが一つの共通した分類・命名方法を案出して、アメリカ合州国地質調査所報告1450-A「アメリカ合州国鉱山局および同地質調査所による鉱物資源分類体系の基本方針」として発表した。この鉱物資源(量)分類体系を使っているうちに、これをより実際的にし、かつまた長期的企画にもより役立つようにするためには、何がしかの変更を加えることが必要となった。そこで、アメリカ合州国地質調査所と同鉱山局との代表者は、前報告1450-Aを改訂するために協力することとなった。
 長期的な公的かつ商業的な企画は、新鉱床発見の見込み、現在では稼行できない鉱床に対しての経済的な鉱業諸技術の開発、およびどの鉱物資源が今すぐ利用できるものなのかについての知識に基づくものでなければならない。従って鉱物資源量は、新しい地質学的知見、科学・技術の進歩、経済・政治条件の変遷などを考慮して、絶えず再評価され続けられなければならないものである。この種の企画の要求に最も良く対応するためには、既知鉱物資源またはその量は、次の二つの観点から分類されなければならない。
(1)自然の状態での鉱床(material in place)註2の純粋に地質学的ないし物理・化学的な諸性質−例えば、品位、鉱質、鉱量、厚さ、深度など。
(2)与えられた時点で与えられた経済的条件の下での、採掘および販売に必要な費用に基づく利益性の解析。
 前者は鉱物資源またはその量についての重要な客観的・科学的情報よりなり、また相対的に言って不変の基礎であって、後者のより変わり易い経済的な設計は、その上に立って建てられ得るものである。
 すべての鉱物質原料に対して一般的に適用されるように計画されたこの分類体系改訂版は、第12表(略)に示されている。その内容と使い方は本文中に記してある。この鉱物およびエネルギー資源ならびにその量の分類は、必然的に人為的なものである。なぜならば、この決め方の規準となるものは、自然的な境い目とは必ずしも常に一致しているわけではないからである。この分類体系は、鉱物およびエネルギー−燃料資源またはそれらの量の現状について、国家あるいは特定の分野に対して報告するのに使われる。

鉱物資源量・埋蔵鉱量の定義

 資源(resource)に対する辞書の定義「何か貯えられているもの、あるいは必要があればすぐ使えるもの」は、その存在が単に推定されるものまでを含めて、現在または考え得る将来に価値のあるすべての原料の鉱物およびエネルギー資源に対して適用されて来た。
鉱物資源(resource)
 地殻中またはその表面に産する天然産固態・液態またはガス態物質の濃集体で、現在または将来そこから有用物質が経済的に採り出し得るような形と量とで存在しているものをいう。
原鉱物資源量(original resource)
 ある鉱物資源の生産前に存在していた量註3
既知鉱物資源またはその量(identified resources)
 その位置・品位・鉱質および鉱量が具体的な地質学的証拠によって知られているか、あるいは見積られている鉱物資源またはその量。これには経済的(economic)・准経済的(marginally economic)・経済限界下(subeconomic)註4の3種が含まれる。地質学的確からしさの程度の違いによって、これらの経済性による区分は、さらに精測(measured)・概測(indicated)・予測(inferred)に細分される*2。
*2 (原註)個々の鉱床や地域についての鉱石や化石燃料の経済的評価に当り産業界で普通に使われている確定(proved)・推定(probable)・予想(possible)の3語は、精測・概測・予測の3語にしだいに置き換えられて来ている。前者はこの分類体系の中では使わない。(なお初版(1978)によれば、これら確定・推定・予想の3種は、精測+概測の合計(確認)に当るとされている。)
確認(demonstrated):精測と概測の両者を合して示す語。
精測(measured)その鉱量は、露頭・トレンチ・坑道・試錐孔などであきらかにされた数値から計算されている。品位および(あるいは)鉱質は、詳しい試料採取の結果から計算される。調査・試料採取・測定の行われた地点がごく密に分布し、かつその地質学的性質も良く判っているので、その大きさ・形・深度・鉱物含有量も詳しく知られている。
概測(indicated)鉱量・品位および(あるいは)鉱質が精測鉱物資源(量)に対して用いられたものと同質の情報から計算されてはいるが、調査・試料採取・測定の地点の分布がより粗であったり、あるいはそれらの分布があまり適切でなかったりするもの。その確からしさの程度は、精測鉱物資源(量)の場合よりは低いが、各観測点間の連続性を考えるのには十分な大きさを持っている。
予測(inferred):その見積りは、精測および(あるいは)概測鉱物資源(量)の場合を超えたある想定された連続性によっているが、それに対する地質学的証拠は存在している。予測鉱物資源またはその量は、試料や測定に基礎づけられていることもあるし、またそうでない場合もある。

埋蔵鉱量ベース(reserve base)
 既知鉱物資源量の中で、現在の採掘および生産の操業に関係した、はっきり限定された物理的・化学的最低規準を満す部分をいう。この規準には、品位・鉱質・厚さ・深度などについてのものが含まれる。これは、埋蔵鉱量見積りの基となる自然の状態での確認資源量(in-place demonstrated resource)である。またこれは、既知鉱物資源量の中で、既開発の技術や現在の経済状況を基に考えるよりもずっと長い先の期間には経済的に役立つようになるであろうとの、筋の通った可能性の考えられる部分までを含むとしてもよい。この埋蔵鉱量ベースには、現在経済的な鉱物資源量(すなわち埋蔵鉱量、reserve)・経済限界すれすれの鉱物資源量(すなわち准埋蔵鉱量、marginal reserve)および一部の現在では経済限界下の鉱物資源量(すなわち経済限界下鉱物資源量、subeconomic resources)が含まれている。「地質学的な埋蔵鉱量(geological reserve)」という語が、一部の人々によってこの埋蔵鉱量ベース区分に対して一般的に適用されて来たが、これはまた、予測埋蔵鉱量ベース(inferred reserve base)区分を含むこともある。この語は、この分類体系の中には含まれない。
予測埋蔵鉱量ベース(inferred reserve base)
 予測埋蔵鉱量見積りの基となる既知鉱物資源の自然の状態での量(in-place part of an identified resource)をいう。これに関する各種の量的見積もりは、主にある鉱床の地質学的性質に関する知識に基づいており、試料採取や各種測定の行われていないこともある。これの見積りは、地質学的証拠によっている埋蔵鉱量ベースの場合を超えて、仮定された連続性によっている。
埋蔵鉱量(reserve)
 埋蔵鉱量ベースの中で、それを決めた時点で経済的に採掘または生産され得る部分をいう。埋蔵鉱量という語は、鉱業諸施設がそこにあって稼動できることには関係しない。これは利用可能な鉱床だけを含むのだから、「抽出可能埋蔵鉱量(extractable reserves)」とか「回収可能埋蔵鉱量(recoverable reserves)」とかのような語は余分で、この分類体系には含まれていない。
准埋蔵鉱量(marginal reserves)
 埋蔵鉱量ベースの中で、それを決めた時点で経済的生産が可能かどうかの境い目にあるものをいう。これの基本的特徴は経済上の不確かさにある。この中には、経済的・技術的要因に考え得る変化が起れば生産可能となり得るような種類の鉱物資源量が含まれる。
経済的(economic)
 この語は、ある限られた量の資本投下を仮定した場合の下で利益の上る採掘ないし生産が確かめられているか、理論的に論証されているか、あるいは適正な確からしさで仮定されるかした場合を意味する。
経済限界下鉱物質流量〔ママ〕(subeconomic resources)
 既知鉱物資源量の一部で、埋蔵鉱量や准埋蔵鉱量に対する経済的規準に合わないものをいう。
潜在鉱物資源(量)(undiscovered resources)
 その存在がただ論理的に推定されているだけで、既知鉱物資源とは別の鉱床からなる。これは、品位や位置に関しては、経済的・准経済的・経済限界下の各種鉱床に対して仮定される。またこれは、その地質学的確からしさの程度の違いによって、次の二つに区分される。
仮定鉱物資源(量)(hypothetical resources):既知鉱床と同型式であり、また似通った地質環境にある同じ生産地域または地方に存在すると理論的に期待されるような未発見の鉱物資源またはその量をいう。探査の結果その存在が確かめられ、また鉱質・品位・鉱量について十分な情報が明らかにされれば、これは既知鉱物資源(量)に再分類される。
純理的鉱物資源(量)(speculative resources):潜在鉱物資源の中で、まだ鉱徴は知られていないが地質学的には好条件のところに、既知型式の鉱床として産出するかも知れないもの、または、その経済的可能性がまだ認められていない型の鉱床として産するかも知れないもの、あるいはそれらの量をいう。探査の結果その存在が確かめられ、またその鉱質や鉱量および品位について十分な情報が明らかにされれば、これらは既知鉱物資源(量)に再分類される。

限定鉱物資源(量)・埋蔵鉱量(restricted resources/reserves)
 鉱物資源(量)・埋蔵鉱量に関する区分のそれぞれの中で、その採掘が法律や規則によって制限されているもの、例えば、埋蔵鉱量としての諸条件のうち、法律・規則によってのみ採掘が制限されていて、他のすべての条件には合っているもの。

鉱物資源およびその量の分類に関する指針

.すべての天然産金属、非金属および化石燃料の中で十分な濃集度を持つものは、この分類のいずれかのまたは複数の区分に分類される。
.埋蔵鉱量という語が、概測、准あるいは予測などの条件を限る形容詞無しにそれだけで使われている場合には、これは、第1表に示されているように、確認−経済的の区分と同義と考えてよい。
.鉱物資源またはその量の各区分の定義は、特定の地質学的または技術的特徴に伴う習慣的用法と一致するように、ある特定の鉱種に対して少し変更してもよい。特定鉱種に対してのこの種の修正された定義は、将来出版される政府刊行物中に示されるだろう。
.鉱質・品位・鉱量は異った目的に合わすために違った語および単位で表わされ得ようが、それらの使い方は明確に述べられかつ定義されていなければならない。
.鉱物資源量・埋蔵鉱量の見積りが行われる地理学的地域は、はっきり限定されていなければならない。
.すべての見積りには、日付けと作者名とが示されていなければならない。
.埋蔵鉱量ベースというのは、物理的・化学的規準で限定されたより広範囲の鉱物資源量区分である。このような区分を考えかつ見積る主な目的は、長期の公的かつ商業的な計画を立てるのに手助けとするためである。多くの鉱種にとっては、見積りを行う人それぞれの具体的な目的に従って、どの与えられた鉱床・地域または国家に対しても異った品位・鉱量または他の適当な鉱物資源量要因を考えることができよう。したがって、経済限界下の区分にまで続くようなより低い埋蔵鉱量ベースの境い目は、これらの目的ごとに変り得るものである。この意図は、鉱床(in-place material)の質をはっきりさせようとするためのものであって、これのどの部分も、採鉱計画や最終的に採用される経済上の仮定によっては、経済的となり得るものである。これらの規準が決められさえすれば、最初の埋蔵鉱量ベースの見積り値は、次の3種に区分されるだろう:すなわち、埋蔵鉱量・准埋蔵鉱量および残りの経済限界下鉱物資源量である。連邦政府の有用物質評価の目的のためには、この埋蔵鉱量ベースの規準が各鉱種ごとに立てられるだろう。
.潜在鉱物資源およびその量は、仮定および純理的鉱物資源(量)の定義に従って二つに区分される。あるいは、産出の相対的確度を示す語で分けられてもよい。
.予測埋蔵鉱量と予測埋蔵鉱量ベースとは、埋蔵鉱量および埋蔵鉱量ベースからの論理的な延長部である。これらは、相対的に低い確度で測られた既知鉱物資源量である。埋蔵鉱量・埋蔵鉱量ベースからの延長ではなくて、むしろ地質学的な推論のみによって仮定された鉱物資源量は、潜在鉱物資源量として区分されなければならない。
10.例え埋蔵鉱量として区分するのには薄すぎる、低品位すぎる、または深すぎると経済的には判断されても、局所的にはある限られた量の鉱石が生産されることがあるかも知れない。生産施設が建てられてあったり、また局地的な環境条件によっては、他では利益の上げ得ないものまで生産を可能にするような場合には、上のようなことの生じる場面もあろう。この種の生産の行われるところでは、このような鉱床の量(quantity of in-place material)も埋蔵鉱量ベースの中に含まれるだろう。しかしながら、局地的なこの種の鉱石の採算のとれる生産は、同様の厚さ・鉱質・深度を持つこの種の鉱石を他の地域でも埋蔵鉱量に区分する理論的根拠とはならない。
11.埋蔵鉱量として区分される鉱物資源量は、その区分の行われた時点で経済的に生産可能と考えられるものでなければならない。逆に言えば、現在利益を上げて生産できないものを埋蔵鉱量に区分することはできない。しかしながら、現在の原価と価格の下での鉱物資源量区分に対する経済的規準に合わない鉱石を生産するために、採鉱計画が立てられ、土地が獲得され、鉱山諸施設の建てられるような場合もある。ある種の鉱石にとっては、詳しい技術的評価が欠けているだけの理由で、その経済的生産性が確かでないこともある。准埋蔵鉱量という区分は、これら両者のような場合に適用される。仮にすべてのまたは一部の准埋蔵鉱量にとって経済的な生産が確かとなれば、これらは埋蔵鉱量に再分類される。
12.あまりにも低品位のものまたはその他の理由で、これまでに定義された各種鉱物資源量と同様の意味では潜在的な経済性があるとは考えられないものが、時にはあるかも知れないし、またその量の程度も見積られるかも知れない。しかし、これらは各種鉱物資源量の中には入らない。これまでの区分とは別の「その他の産出(other occurrences)」が、第12表中に組み込まれてある。
13第1表では、経済限界下鉱物資源量とその他の産出との間の境界は、鉱物資源量の定義から出て来る「現在または将来可能と思われる経済的生産の可能性(current or potential feasibility of economic production)」の概念によって区切られている。この境界は明らかに不確かなものだが、品位・鉱質・厚さ・実収率(percent extractable)あるいはその他の経済的可能性に関する要因についての項目で決められるものであろう。
14.鉱物資源やエネルギー資源の諸鉱種は、例えば瀝青炭が褐炭とは区別されているように、異った特徴または用途を持っている場合には区別して量が測られなければならない。
15.過去の累積生産量は、定義により鉱物資源量中には入らない。しかし、どれだけ生産されたかについての知識は、既採掘量および鉱床の残量の両者の点で、現在の鉱物資源量を考えるのに重要である。第1表中には、累積生産量も別枠で加えられている。現在のまたは将来の採掘によって大地中に残される分の量も、その経済的回収に合うような鉱物資源量区分の中に記録されるべきものである。
16.埋蔵鉱量と鉱物資源量とを区分するのに当っては、ある種の鉱物は他種鉱物の同時産物または副産物となる点からその経済的意義の生じることがあることを知る必要がある。この種の関係は、脚註または付属文としてはっきり説明されていなければならない。
17.経済的および地質学的条件以外に、法律、規則、環境ないし政治などに関する事情で、ある鉱床のすべてまたはその一部の利用が限定されたり禁止されたりすることがある。制限されることの判っている分の埋蔵鉱量や鉱物資源量は、これらに合った分類区分中に記録されなければならない。この制限される分の量と制限される理由も註記されていなければならない。
18.この分類体系には、通常報告される以上の区分あるいは資料入手可能の他の区分も含まれている。事情が許す場合には、これら諸区分が一緒に合わされたり、または削除されることもある。
19.鉱物資源量見積りの基礎となった資料およびそれらが計算された方法は、文書化されかつ保存されなければならない。

訳注
(1)日本語では、鉱物資源・鉱物資源量のように、資源そのものを表わす場合とその量を表わす場合とで、それぞれ違った語を使っているが、英語ではこれらはいずれもresourceという1語で示されることが多い。この報告中でも、内容的には明らかに量を示す場合でありながら、amount (quantity) of resourceのようにそれを明示した場合は少ない。またこれとは逆に、resourceの説明文中にこれをdepositで受けて、明らかにものを示している例がしばしばある。この訳文中では、それぞれの場合の行文の文意に従って、そのどちらかで記してある。また、両者を併記した場合も多い。
 なお、この報告中にmineral resourceと記してあるところはごく少なく、ほとんどの場合にresourceの1語で示されているが、訳文ではいずれも鉱物資源・鉱物資源量のように鉱物を加えておいた。
(2)この報告中にはmaterialという語がしばしば出て来る。そのほとんどの場合には、これを原料・材料などと訳すよりも、鉱床・鉱物質原料とした方が文意が通り易いと考えられるので、そうした場合が多い。ただしこの訳文では、鉱床という語を便宜的に広く解釈して、単に金属・非金属・化石燃料に対してのみならず、石材・砂利などの場合にもこの語を適用すると考える。
 またin-placeという語がしばしば出て来る。これはこの改訂版の一つの特徴となっている。その意は、鉱業的な量のみならず、それへの基礎となる地質学的な量でものを考えることの必要な場合のあることを考慮するようになったからであろう。ただしこのことは、すでにこの報告以外の分類方式案にも示されている(例えば、Zwartendyke,J.(ed.)(1975); Schanz,J.J.,Jr.(1980))。
(3)本文中の表現では、これが次の二つのいずれであるかは判定し難い。ただし、この報告全体の流れからすれば、(b)である可能性が大きいように思われる。
(a).探査の結果、判った鉱床そのものの量(鉱床量)。
(b).(a)を基にして立てられたJISの定義による埋蔵鉱量または可採粗鉱量に類するもの(後註(5)参照)。
(4)鉱物資源量の経済的条件を示すこれら3種の語はいずれも、鉱物資源量区分の決定が行われた時点での経済的判断の結果を表わしたものである。ある一つの具体的鉱床について言えば、時期の違いによりこれが経済的になったり准経済的になったり、また場合によっては経済限界下になったりすることすら、十分に有り得ることである。換言すれば、これら3種の区分は、常に「この鉱物資源量区分の行われた時点では」の条件づきである。
 なお、経済限界下と言っても、この分類体系の性格上、それぞれの時点で非経済的(non-economical)なものまでのすべてを含んで考えているわけではないと理解すべきであろう。
(5)この訳文では、「reserve」はすべて「埋蔵鉱量」と訳してある。
 ところで、日本の鉱業界では、鉱量計算に関するJIS-M-1001によって、「埋蔵鉱量とは、地殻中に現有する鉱床の質量をいう」と定義されている。この定義を文字通り解釈すれば、これは純粋に地質学的な鉱床そのものの量を示すようにもとれる(この訳文中では、この内容を表わすのに鉱床量という語を使っている)。しかし、実際の埋蔵鉱量計算に当っては、各鉱床ごとに考えられるその時々での技術的・経済条件に応じた可採粗鉱品位の下限値をまず定め、それを基に鉱画を設定し、これら鉱画内に存在する鉱床の質量を積算して、その値を得ている。従って、ここでいう鉱床量とJISでいう埋蔵鉱量との間には違いがある。前者は地質学的な量で、後者は鉱業的な量である。
 一方、英語の「reserve」の内容は、この報告書のreserveの本文説明に明らかなように、鉱床量のような純粋に地質学的な量ではなくて、明らかに何らかの鉱業的な意味を持った量である。しかし、これがJISでいう「埋蔵鉱量」あるいは「可採粗鉱量」と内容的に完全に一致するものであるかどうかは、訳者には判定し難い。
 以上の事情を承知の上で、ここでは先に述べたように「reserve」−「埋蔵鉱量」を対応させてある事を承知してほしい。



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